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特許拒絶査定不服審判

2024-018922

推定装置、推定方法、プログラム

審判番号
2024-018922
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2020-115936
請求日
2024年11月27日
審決日
2026年06月30日
公報発行日
2026年09月25日
結論
請求不成立
当事者
  • 【請求人】日本電気株式会社
  • 【請求人代理人】松沼 泰史
  • 【請求人代理人】橋本 隆史
審判長/審判官
  • 審判長 宮澤 浩
  • 審判官 ▲高▼見 重雄
  • 審判官 野村 伸雄
分類
P18 .121-Z (A61B) / P18 .575-Z (A61B)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条、特許法第17条の2第5項、特許法第17条の2第6項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2020-115936「推定装置、推定方法、プログラム」拒絶査定不服審判事件〔令和 4年 1月18日出願公開、特開2022- 13405〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 第1 手続の経緯 本願は、令和2年7月3日の出願であって、その手続の経緯の概略は、次のとおりである。 令和5年11月13日付け:拒絶理由通知書 令和6年 1月15日 :意見書、手続補正書の提出 同年 3月27日付け:拒絶理由通知書(最後) 同年 5月 9日 :意見書、手続補正書の提出 同年 8月14日付け:補正の却下の決定 同日付け:拒絶査定(以下「原査定」という。) (同月27日 :原査定の謄本の送達) 同年11月27日 :審判請求書、手続補正書の提出 第2 令和6年11月27日にされた手続補正についての補正の却下の決定 [補正の却下の決定の結論] 令和6年11月27日にされた手続補正を却下する。 [補正の却下の決定の理由] 1 補正の内容 令和6年11月27日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)は、特許請求の範囲の補正をするものであり、本件補正により、次の(1)に示す本件補正前(令和6年1月15日にされた手続補正後のものをいう。以下同じ。)の特許請求の範囲の請求項1の記載は、後記(2)に示す本件補正後の特許請求の範囲の請求項1の記載に補正された。下線は補正箇所を示す。 (1) 本件補正前 「【請求項1】 両足それぞれの立脚期間を取得する取得部と、 前記両足それぞれに装着した靴底に設けられた各センサから得られたセンシング情報に基づいて前記立脚期間を計算し、前記両足それぞれの複数の立脚期間の平均を前記両足それぞれについて計算する立脚期間計算部と、 前記両足それぞれの前記立脚期間の平均の差に基づいて下肢異常リスクを推定する推定部と、 を備える推定装置。」 (2) 本件補正後 「【請求項1】 両足それぞれの立脚期間を取得する取得部と、 前記両足それぞれに装着した靴底に設けられた各センサから得られたセンシング情報に基づいて、足裏面と脚部とを垂直にした場合の、踵とつま先とを結ぶ第一軸、脚部に平行で足首を通る第二軸、第一軸と第二軸に垂直な第三軸とした場合の、前記第三軸回りの回転の角速度を足部の上下回転角速度を算出し、当該上下回転角速度に基づいて前記立脚期間を計算し、前記両足それぞれの複数の立脚期間の平均を前記両足それぞれについて計算する立脚期間計算部と、 前記両足それぞれの前記立脚期間の平均の差に基づいて下肢異常リスクを推定する推定部と、 を備える推定装置。」 2 補正の目的 本件補正のうち請求項1についてする補正は、本件補正前の請求項1に記載された「立脚期間計算部」が計算する立脚期間について、「足裏面と脚部とを垂直にした場合の、踵とつま先とを結ぶ第一軸、脚部に平行で足首を通る第二軸、第一軸と第二軸に垂直な第三軸とした場合の、前記第三軸回りの回転の角速度を足部の上下回転角速度を算出し、当該上下回転角速度に基づいて」行うものに限定するものである。 そして、本件補正前の請求項1に記載された発明と本件補正後の請求項1に記載される発明は、産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一である。 したがって、本件補正により請求項1についてする補正は、特許法17条の2第5項2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とする補正に該当する。 3 独立特許要件の判断 本件補正は、前記2のとおり、特許法17条の2第5項2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とする補正に該当するから、本件補正後の請求項1に記載されている事項により特定される発明(以下「本件補正発明」という。)が、同法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に適合するか、すなわち、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるかについて、以下検討する。 (1) 各引用文献の記載事項及び引用発明等の認定 ア 引用文献1の記載事項及び引用発明の認定 (ア) 引用文献1に記載された事項 原査定の拒絶の理由において引用された、本願の出願前に発行された文献である米国特許出願公開第2009/0240171号明細書(以下「引用文献1」という。)には、次の記載がある(なお、当合議体により、後記(イ)の引用発明の認定に直接用いる記載に下線を付した。また、訳は、当合議体で作成した。)。 実施形態の詳細な説明(【0021】~【0043】) 「(前略)… [図:0001438808000001.jpg] (【0022】 本明細書に記載の本発明の実施形態は、ユーザの歩行の非対称性を評価し、非対称性が指定された閾値を超える場合にリアルタイムのフィードバックを提供する下肢フィードバックシステム及びおよび下肢フィードバック方法を提供する。下肢フィードバックシステムには、計測器が取り付けられた一対の靴とフィードバック装置が含まれる。一態様では、靴は、マルチセンサーのインソールを含むことができる足装着モニターであることが可能である。本明細書では、「靴」という用語は、靴、スニーカー、ブーツ、サンダル、スリッパ、運動靴、靴下、義足、義足のシェルなど、市販されているか、センサーを搭載するために特注されたかに関わらず、あらゆる履物を指すために広く使用されている。靴には、靴のインソールの下に配置でき、かかとが床に着地した時点からつま先の最後の部分が床から離れるまでの力の分布を測定するように配置できる複数のセンサーを含めることができる。靴内のセンサーは、無線送信機及び無線受信機などを介して電子プロセッサに動作可能に接続することができる。電子プロセッサにはフィードバックアラームを接続できる。電子プロセッサは、各靴内の複数のセンサーによって測定されたデータを収集し、フィードバックアラームを介してフィードバックを制御することができる。電子プロセッサは、データを分析し、歩行中の左の靴と右の靴との間の非対称性の度合いを判定できる。対称度が所定の閾値を下回ると、フィードバックアラームが作動する。) [図:0001438808000002.jpg] (【0023】 図1に示すように、本発明による、全体が10で示される下肢フィードバックシステムは、ユーザの歩行の非対称性を評価し、非対称性が所定の閾値を超える場合にリアルタイムのフィードバックを提供するために用いられる。下肢フィードバックシステムは、一対の靴、すなわち左右の靴20と、靴に関連付けられて靴に搭載される複数のセンサー40と、無線送信機60及び無線受信機80を介してセンサーに動作可能に接続された電子プロセッサ70と、トランスデューサーやスピーカーなどのフィードバック装置90とを含むことができる。フィードバック装置は、振動などの触覚フィードバック、又はライトやディスプレイなどの視覚フィードバックも提供できる。) [図:0001438808000003.jpg] [図:0001438808000004.jpg] (【0024】 靴20は、当技術分野で知られている、通常の一対の靴又はブーツとすることができる。例えば、靴は、ユーザの生体の足又は義足に履くことができるスニーカーであってもよい。本発明の一態様では、センサーは、センサーインサート又はインソール42など、ユーザがすでに入手した市販の靴内に配置され得るように構成することができる。あるいは、センサーは、センサー及び/又はユーザ向けに特別に作られたカスタムの靴又は足に装着する装置に搭載することもできる。インソール42は、センサー40の周囲に形成されたプラスチック又はゴムのインサートであることができる。インサート42は、ユーザの足の下又はインソールの下で、靴内にフィットするようにサイズ及び形状を調整できる。別の態様では、インサート42は靴のインソールに置き換えることができる。インソール42は、靴20のつま先につま先センサー44を配置し、靴のかかとにかかとセンサー46を配置することができる。さらに、必要に応じて、足の裏の土踏まず又は母趾球に他のセンサーを配置することもできる。さらに、他の回路、電子機器、及び/又は電池48をインソール内に配置することもできる。インソールは、図のように分割することができ、つま先につま先センサーを配置し、かかとにかかとセンサーを配置するのに役立つ。) [図:0001438808000005.jpg] (【0025】 センサー40には、力センサー、両側力センサー、ひずみゲージ、加速度計、歩数計、水準器などが含まれる。さらに、これらのタイプのセンサーを組み合わせて使用することで、ユーザの歩行動作中のさまざまな動的環境条件を測定することができる。当技術分野で知られている他のセンサーも使用可能である。) [図:0001438808000006.jpg] (【0026】 センサー40は、無線送信機60及び無線受信機80などによって電子プロセッサ70に動作可能に接続されている。一態様では、送信機は、RF信号、紫外線信号、超音波信号、赤外線信号、光信号などの無線信号を送信できる無線データ送信機であり得る。送信機は、センサーからのデータをプロセッサ70に関連付けられたデータ受信機80に送信できる。データ受信機は、データ送信機から送信されたセンサーデータを受信できる。受信機は、無線送信機から離れた場所に配置可能な無線データ受信機であってもよい。例えば、無線受信機は、靴を履いている人の腰に取り付けることができるウエストバッグ72内に配置することができる。さらに、無線受信機をコンピュータ内に配置することもできる。データ受信機はセンサーデータを電子プロセッサにルーティングできる。本発明の一態様では、データプロセッサは、腰又はベルトに装着するハウジング上など、センサー及び/又は靴から離れた場所に配置することができる。あるいは、データプロセッサは、靴内又は靴上、あるいは足首や義足の周囲に配置することもできる。あるいは、プロセッサとセンサーを靴又はインソール内の回路上に一緒に形成することもできる。あるいは、プロセッサは、手首に装着する装置内、又はポケットに収まるハウジング内に配置することもできる。) [図:0001438808000007.jpg] [図:0001438808000008.jpg] (【0027】 電子プロセッサ70は、センサーから受信したセンサーデータを処理できる。電子プロセッサ70には、コンピュータ、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラなどが含まれる。電子プロセッサには、当技術分野で知られている電子メモリストレージを含めることができる。さらに、電子プロセッサには、バッテリ電源86によって電力を供給できる。) [図:0001438808000009.jpg] (【0028】 電子プロセッサ70は、センサーデータの非対称性を分析できる。例えば、電子プロセッサ70は、一対の靴のうちの一方の靴からのセンサーデータと一対の靴のうちの他方の靴からのセンサーデータを比較して、各靴間の違い、すなわち非対称性を判定することができる。一態様では、電子プロセッサ70は、一方の靴の立脚期時間を他方の靴の立脚期時間と比較して、ユーザの立脚期時間の非対称性を判定することができる。本出願で使用される立脚期時間とは、ユーザが靴の一方に力を加えた時間である。) [図:0001438808000010.jpg] (【0029】 別の態様では、電子プロセッサ70は、一方の靴に加えられた立脚期の力の合計と、他方の靴に加えられた立脚期の力の合計を比較して、ユーザの立脚期の力の非対称性を判定することができる。さらに別の態様では、電子プロセッサ70は、立脚期時間の非対称性と立脚期の力の非対称性の両方を判定できる。電子プロセッサは、靴からのセンサーデータを比較し、歩行動作中、すなわちユーザの歩行中にリアルタイムで差異を判定できる。) [図:0001438808000011.jpg] (【0030】 これらすべての態様において、電子プロセッサ70は、立脚期時間の非対称性、立脚期の力荷重の非対称性、及び/又はこれらの非対称性の組み合わせを、事前にプログラムされた所定の閾値と比較して、非対称性が閾値を超えているか否かを判定することができる。非対称性又は非対称性の組み合わせが所定の閾値を超える場合、電子プロセッサ70はフィードバック装置90を作動できる。) [図:0001438808000012.jpg] (【0031】 非対称性の閾値は、特定の個人ユーザに対して判定することも、統計的母集団から収集されたデータに基づいて判定することもできることは理解されるであろう。閾値が特定の個人に基づいている場合、一対の靴を履いた個人による事前のテストとデータ収集を実施して、ユーザの歩行中のパフォーマンスのベースラインを判定することができる。その後ベースラインを使用して閾値を計算できる。) [図:0001438808000013.jpg] (【0032】 フィードバック装置90は、電子プロセッサ70に電子的に接続することができ、ユーザにリアルタイムのフィードバックを提供することができる。フィードバック装置90は、ユーザの歩行が所定の閾値外になったときにユーザに信号を送ることができるアラームであってもよい。このようにして、ユーザは歩行の立脚と荷重を調整し、非対称状態を修正することができる。リアルタイムで歩行を修正すると、ユーザの関節にかかる、望ましくない荷重が軽減され、関節に変形性関節症が形成される可能性が低減される点で有効である。) [図:0001438808000014.jpg] [図:0001438808000015.jpg] (【0033】 一態様では、フィードバック装置90は、スピーカーから発せられる可聴アラームを含むことができる。可聴アラームは、歩行中に、靴を履いている人に聴覚的な合図を与えることができる。可聴アラームは、さまざまな、歩行の非対称性の状態ごとに別個の識別可能な音を発することができる。例えば、立脚期時間の非対称性が所定の閾値を超えた場合、可聴アラームは、靴のユーザに立脚期時間の非対称性状態を警告する第1の識別可能な音を鳴らすことができる。同様に、立脚期の力荷重の非対称性が所定の閾値を超えた場合、可聴アラームは、ユーザに立脚期の力荷重の非対称性を警告するために、立脚期時間の非対称性をユーザに警告するために使用された音とは異なる別の、第2の識別可能な音を生成することができる。さらに、別の異なる、第3の識別可能な音を使用して、立脚期の時間と力荷重の非対称性の組み合わせをユーザに警告することもできる。さらに、可聴アラームは、許容される対称的な状態で歩いたり走ったりする感覚をユーザに訓練するために、ユーザの歩行が許容できる非対称性の範囲内にあるときに異なる音を生成してユーザに警告することもできる。) [図:0001438808000016.jpg] (【0034】 別の態様では、フィードバック装置90は他の固有受容性アラームを含むことができる。) [図:0001438808000017.jpg] (【0035】 例えば、フィードバック装置には、音声インジケータ、視覚インジケータ、及びバイブレータが含まれる。当技術分野で知られている他の固有受容性フィードバック装置も使用可能である。) [図:0001438808000018.jpg] (【0036】 図2を参照すると、本発明は歩行を分析し、歩行の非対称性に関するリアルタイムのフィードバックを提供する方法も含むことができる。最初に、センサー40(図1)を較正する(96)ことができる。靴のユーザが歩行動作を通じて靴を動かすと、左の靴20内及び右の靴20(図1)内に配置された複数のセンサーからセンサーデータが受信される(100及び104)。本発明の一態様では、センサーデータは、歩行動作中に加えられる力(図3a及び図3b)及び靴と歩行面との接触をそれぞれ示す力データ及び/又は接触データを含むことができる。センサーデータは、電子プロセッサが、一方の靴のセンサーデータを他方の靴のセンサーデータと比較し、靴間の差異を判定する(108)ことによって、分析することができる。プロセッサは、靴に加えられる力の大きさを判定することもできる。さらに、プロセッサは靴の立脚期の時間を判定することもできる。さらに、プロセッサは、靴間の立脚期時間及び/又は力の差を所定の閾値と比較する(112)ことができる。したがって、ユーザの非対称歩行の重症度を判定することができる。非対称歩行の重症度が所定の閾値を超えたときに、フィードバックアラームを作動して、ユーザに警告する(116)ことができる。) [図:0001438808000019.jpg] (【0037】 センサーデータの受信には、無線送信機による、センサーからのデータの送信も含まれる。無線送信機によって送信されたデータを、無線受信機が受信することができる。無線受信機からのデータを電子プロセッサにルーティングすることができる。) [図:0001438808000020.jpg] (【0038】 センサーデータを分析することには、ユーザの立脚期時間の非対称性を判定するために、一方の靴の立脚期時間と他方の靴の立脚期時間(図3a及び3b)を比較することも含まれる。電子プロセッサは、一方の靴に加えられた立脚期の力の合計を、もう一方の靴に加えられた立脚期の力の合計と比較することで、ユーザの立脚期の力荷重の非対称性を判定することができる。) …(後略)」 (イ) 引用発明の認定 前記(ア)に摘記した引用文献1の記載事項を総合すると、引用文献1には、実施形態に係る次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。なお、認定の根拠となる記載箇所を括弧内に示した。また、「センサー40」と「センサー」は、「センサー40」に、「無線送信機60」、「送信機」と「データ送信機」は、「無線送信機60」に、「無線受信機80」、「データ受信機80」と「データ受信機」は、「無線受信機80」に、「電子プロセッサ70」、「プロセッサ70」と「プロセッサ」は、「電子プロセッサ70」に、それぞれ用語を統一して認定した。 <引用発明> 「ユーザの歩行の非対称性を評価し、非対称性が指定された閾値を超える場合にリアルタイムのフィードバックを提供する下肢フィードバックシステムであって、(【0022】) 左右の靴20と、靴に関連付けられて靴に搭載される複数のセンサー40と、無線送信機60及び無線受信機80を介してセンサー40に動作可能に接続された電子プロセッサ70と、トランスデューサーやスピーカーなどのフィードバック装置90とを含み、(【0023】) センサー40は、インソール42に配置され得るように構成され、(【0024】) センサー40には、力センサー、両側力センサー、ひずみゲージ、加速度計、歩数計、水準器などが含まれ、(【0025】) 無線送信機60は、センサー40からのデータを電子プロセッサ70に関連付けられた無線受信機80に送信でき、無線受信機80は、無線送信機60から送信されたセンサーデータを受信でき、(【0026】) 電子プロセッサ70は、センサー40から受信したセンサーデータを処理でき、(【0026】) 電子プロセッサ70は、一方の靴の立脚期時間を他方の靴の立脚期時間と比較して、ユーザの立脚期時間の非対称性を判定することができ、(【0028】 フィードバック装置90は、電子プロセッサ70に電子的に接続することができ、ユーザにリアルタイムのフィードバックを提供することができ、このようにして、ユーザは歩行の立脚と荷重を調整し、非対称状態を修正することができ、リアルタイムで歩行を修正すると、ユーザの関節にかかる、望ましくない荷重が軽減され、関節に変形性関節症が形成される可能性が低減される点で有効であり、(【0032】) 電子プロセッサ70は、靴間の立脚期時間の差を所定の閾値と比較することができ、したがって、ユーザの非対称歩行の重症度を判定することができる(【0036】) 下肢フィードバックシステム。」 イ 引用文献2~4に記載された事項及び周知技術1の認定 (ア) 引用文献2に記載された事項 本願の出願前に発行された文献である国際公開第2018/164157号(以下「引用文献2」という。)には、次の記載がある。なお、下線は当合議体が付したものであり、以下同様である。 「[0001] 本発明は、歩行・足部評価方法、歩行・足部評価プログラムおよび歩行・足部評価装置に関する。」 「[0020] 歩行処理後データ527は、図7に例示されるように、「年月日時刻」「ユーザID」「歩数」「左足平均立脚時間」「右足平均立脚時間」「両脚支持割合」「左足単脚支持割合」「右足単脚支持割合」「左足1番センサ:後足部(踵)最大圧力値平均」「左足2番センサ:中足部1最大圧力値平均」「左足3番センサ:前足部1最大圧力値平均」「左足4番センサ:前足部2最大圧力値平均」「左足5番センサ:前足部3最大圧力値平均」「左足6番センサ:中足部2最大圧力値平均」「左足7番センサ:前足部4最大圧力値平均」「右足1番センサ:後足部(踵)最大圧力値平均」「右足2番センサ:中足部1最大圧力値平均」「右足3番センサ:前足部1最大圧力値平均」「右足4番センサ:前足部2最大圧力値平均」「右足5番センサ:前足部3最大圧力値平均」「右足6番センサ:中足部2最大圧力値平均」「右足7番センサ:前足部4最大圧力値平均」「COP開始位置X座標」「COP開始位置Y座標」「COP終了位置X座標」「COP終了位置Y座標」「左足COP屈曲角」「右足COP屈曲角」「左足歩行中期COP_X座標範囲」「右足歩行中期COP_X座標範囲」等の項目を有している。「左足1番センサ:後足部(踵)最大圧力値平均」等は足底圧パラメータである。「左足COP屈曲角」「左足歩行中期COP_X座標範囲」等はCOPパラメータである。「左足平均立脚時間」「右足平均立脚時間」「両脚支持割合」「左足単脚支持割合」「右足単脚支持割合」は時間パラメータである。」 「[0037] 図11に戻り、次いで、立脚期データ解析部504は、時間パラメータとして、複数歩の平均である「左足平均立脚時間」「右足平均立脚時間」「両脚支持割合」「左足単脚支持割合」「右足単脚支持割合」を取得する(ステップS115)。図16は左右の足の接地状態を示しており、片足の接地から離床までが立脚時間となり、両足が接地している期間が両脚支持期となり、片足のみが接地している期間が単脚支持期となる。両脚支持割合は、立脚時間における両脚支持期の時間の割合である。単脚支持割合は、立脚時間における単脚支持期の時間の割合である。」 (イ) 引用文献3に記載された事項 本願の出願前に発行された文献である国際公開第2018/211550号(以下「引用文献3」という。)には、次の記載がある。 「[0012] 本実施形態の情報処理システムでは、情報処理装置100が、歩行状態(身体状態)の推定の対象となる対象者Pの上半身に装着されたセンサ200と、対象者Pの下半身に装着されたセンサ300のそれぞれから、センサ情報210、310を取得する。そして、情報処理装置100は、センサ情報210、310に基づき、対象者Pの歩行状態を推定する。より具体的には、本実施形態の情報処理装置100は、対象者Pが歩行している最中における、異常な動作の有無を推定する。したがって、本実施形態の情報処理装置100は、対象者Pの歩行中における異常の有無を推定する異常歩行推定装置の役割を果たす。」 「[0171] 以上の動作をふまえて、本実施形態の脚特徴量算出部152は、脚の左右への移動幅、立脚時間、脚上げ幅、歩行速度、遊脚中の脚上げ幅、冠状面の最小回転速度、遊脚中期までの時間、歩幅を算出し、算出結果の統計をとった結果を脚特徴量とする。 …(中略)… [0184] 具体的には、脚特徴量算出部152は、例えば、8種類の値のそれぞれについて、各値の平均値、標準偏差を算出した値を、脚特徴量としても良い。この場合、脚特徴量には、8つの平均値と標準偏差とが含まれることなる。また、脚特徴量算出部152は、8つの特徴量のそれぞれについて、最小値と最大値を脚特徴量として取得しても良い。また、本実施形態の脚特徴量算出部152は、センサ情報310の波形における左右対称性に基づき取得された特徴量を脚特徴量としても良い。言い換えれば、脚特徴量算出部152は、左脚の歩行速度の平均値、右脚の歩行速度の平均値だけではなく、左と右の歩行速度の平均値の差分(左右対称性の一例)を用いても良い。」 (ウ) 引用文献4に記載された事項 本願の出願前に発行された文献である国際公開第2018/159731号(以下「引用文献4」という。)には、次の記載がある。 「[0001] 本発明は,歩行を分析できるシステムに関する。」 「[0049] リズム 解析部は,外部装置が受信したセンシングデータを用いて,左右の足が接地した後に,次に接地するまでの時間の間隔である接地時間間隔を求め,被験者のリズムを評価するものであってもよい。この間隔は,一歩ごとのタイミングを評価するものといえる。接地は,踵部接地であっても,足指接地であっても構わない。先に説明したとおり,解析部は,踵部接地(足指接地)のタイミングを求め,記憶する。解析部は,記憶した踵部接地(足指接地)のタイミングを用いて,接地時間間隔を求めればよい。そして,解析部は,求めた接地時間間隔を適宜記憶部に記憶すればよい。 [0050] 解析部は,所定歩数における接地時間間隔を記憶部から読み出す。解析部は,読み出した複数の接地時間間隔の値を用いて,左右それぞれの履物について,接地時間間隔の分散,又は偏差といった統計値を求める。記憶部には,統計値とそれに基づく評価及び評価点が記憶されている。 [0051] 解析部は,求めた統計値(例:,接地時間間隔の分散,又は偏差)を用いて,記憶部から,求めた統計値に対応する評価及び評価点を読み出す。このようにして,解析部は,統計値に基づいた,歩行のバランス(リズム)を解析する。 [0052] このようにして求めた接地時間間隔に基づいた評価点をxR5,xL5とする。 [0053] 解析部は, 外部装置が受信したセンシングデータを用いて,左右の足の接地時間間隔を比較することで,被験者の左右バランスを評価するものであってもよい。この比較は,例えば,上記のようにして求めた複数の接地時間間隔の値の平均値を求めて,解析部が,左右の平均値を比較することにより求めればよい。記憶部は,この比較値(例えば,平均値の差)に対応した評価及び評価値を記憶しており,解析部は13求めた比較値に基づいて,記憶部から評価及び評価値を読み出せばよい。 [0054] このようにして求めた左右の足の接地時間間隔の差に基づいた評価点をxA3とする。 [0055] 解析部は, さらに,外部装置が受信したセンシングデータを用いて, (1) 踵部接地から足指接地までの時間の間隔, (2) 足指接地から踵離地までの時間の間隔, (3) 踵離地から足指離地までの時間の間隔,及び (4) 足指離地から踵部接地までの時間の間隔 のいずれか1種又は2種以上を求め,被験者のリズム及び左右バランスのいずれか又は両方を評価するものであってもよい。これは,基本的には,先に説明したと同様にして解析部が求めることができ,また評価及び評価値を記憶部から読み出すことができる。すなわち,センシングデータを用いることで,解析部は,踵部接地,足指接地,踵離地,足指離地のタイミングを求めることができる。解析部は,求めたタイミングを記憶部に記憶し,記憶したタイミングを読み出して,差分をとることにより時間間隔を求め,求めた時間間隔を記憶部に記憶する。記憶部は,時間間隔に応じた評価及び評価点を記憶しているので,解析部は,求めた時間間隔に応じた評価及び評価点を記憶部から読み出すことができる。評価点はxR5,xL5及びxA3と合わせて別な評価点とすることもできるし,xR5,xL5及びxA3の代わりに用いることもできる。」 (エ) 周知技術1の認定 前記(ア)~(ウ)に示した引用文献2~4の摘記事項に例示されているように、次の技術事項は、当業者にとって周知技術であったと認められる。(以下「周知技術1」という。) <周知技術1> 「歩行分析に関する技術において、左右それぞれの足の平均立脚時間を計算すること。」 (2) 本件補正発明と引用発明の対比 ア 対比分析 本件補正発明と引用発明を対比する。 (ア) 本件補正発明の「両足それぞれの立脚期間を取得する取得部と、 」「を備える」の特定事項について 引用発明の「無線受信機80」は、本件補正発明の「取得部」に相当する。 そして、引用発明は、「左右の靴20と、靴に関連付けられて靴に搭載される複数のセンサー40」「からのデータを電子プロセッサ70に関連付けられた無線受信機80に送信でき、無線受信機80は、無線送信機60から送信されたセンサーデータを受信でき」るものであり、「電子プロセッサ70は、一方の靴の立脚期時間を他方の靴の立脚期時間と比較」するものであるから、引用発明の「無線受信機80」は、本件補正発明にいうところの「両足それぞれの立脚期間を取得する取得部」であるといえる。 したがって、引用発明は、前記特定事項を備える。 (イ) 本件補正発明の「前記両足それぞれに装着した靴底に設けられた各センサから得られたセンシング情報に基づいて、足裏面と脚部とを垂直にした場合の、踵とつま先とを結ぶ第一軸、脚部に平行で足首を通る第二軸、第一軸と第二軸に垂直な第三軸とした場合の、前記第三軸回りの回転の角速度を足部の上下回転角速度を算出し、当該上下回転角速度に基づいて前記立脚期間を計算し、前記両足それぞれの複数の立脚期間の平均を前記両足それぞれについて計算する立脚期間計算部と、」「を備える」の特定事項について a 引用発明の「インソール42」は、本件補正発明の「靴底」に、 引用発明の「センサー40」は、本件補正発明の「センサ」に、 それぞれ相当する。 そして、引用発明の「センサー40」は、「左右の靴20」「に搭載され」、「インソール42に配置され得る」ものであるから、引用発明の「センサー40」は、本件補正発明にいうところの「前記両足それぞれに装着した靴底に設けられた各センサ」であるといえる。 b 引用発明の「電子プロセッサ70」は、「左右の靴20」「に搭載される」「センサー40から受信したセンサーデータを処理でき、」「一方の靴の立脚期時間を他方の靴の立脚期時間と比較して、ユーザの立脚期時間の非対称性を判定することができ」るものであるから、本件補正発明にいうところの「各センサから得られたセンシング情報に基づいて、」「前記立脚期間を計算し、前記両足それぞれの複数の立脚期間」「を前記両足それぞれについて計算する立脚期間計算部」であるといえる。 c 以上の検討結果を踏まえると、本件補正発明と引用発明は、次の(a)の点において一致し、後記(b)の点において相違する。 (a) 前記特定事項の一致点 「前記両足それぞれに装着した靴底に設けられた各センサから得られたセンシング情報に基づいて、前記立脚期間を計算し、前記両足それぞれの複数の立脚期間を前記両足それぞれについて計算する立脚期間計算部」である点。 (b) 前記特定事項の相違点 (b-1)立脚期間の計算がどのようなものに基づくかについて、 本件補正発明においては、 「足裏面と脚部とを垂直にした場合の、踵とつま先とを結ぶ第一軸、脚部に平行で足首を通る第二軸、第一軸と第二軸に垂直な第三軸とした場合の、前記第三軸回りの回転の角速度を足部の上下回転角速度を算出し、当該上下回転角速度に基づいて」いるものであるのに対して、 引用発明においては、 どのようなものに基づいて計算しているのか明かでない点。 (b-2) 両足から計算された立脚期間のそれぞれの処理について 本件補正発明においては、 「平均」であるのに対して、 引用発明においては、 どのようなものか明かでない点。 (ウ) 本件補正発明の「前記両足それぞれの前記立脚期間の平均の差に基づいて下肢異常リスクを推定する推定部と、を備える」の特定事項について a 引用発明の「電子プロセッサ70」は、「左右の靴20」「に搭載される」「センサー40から受信したセンサーデータを処理でき、」「一方の靴の立脚期時間を他方の靴の立脚期時間と比較して、ユーザの立脚期時間の非対称性を判定することができ、」「靴間の立脚期時間の差を所定の閾値と比較することができ、」「ユーザの非対称歩行の重症度を判定することができ」、「電子プロセッサ70に電子的に接続する」「フィードバック装置90は、」「トランスデューサーやスピーカーなど」であり、「ユーザは歩行の立脚と荷重を調整し、非対称状態を修正することができ、リアルタイムで歩行を修正すると、ユーザの関節にかかる、望ましくない荷重が軽減され、関節に変形性関節症が形成される可能性が低減される点で有効であ[る]」から、引用発明の「電子プロセッサ70」は、左右の靴20に搭載されるセンサー40から受信したセンサーデータから、ユーザの立脚期時間の非対称性を判定し、靴間の立脚期時間の差を所定の閾値と比較し、ユーザの非対称歩行の重症度を判定し、フィードバック装置90に下肢の変形性関節症のリスクを通知させるようにするものであるといえる。そうすると、引用発明の「電子プロセッサ70」は、前記(イ)で説示した「立脚期間計算部」であるだけでなく、本件補正発明にいうところの「前記両足それぞれの前記立脚期間の」「差に基づいて下肢異常リスクを推定する推定部」でもあるといえる。 b 以上の検討結果を踏まえると、本件補正発明と引用発明は、次の(a)の点において一致し、後記(b)の点において相違する。 (a) 前記特定事項の一致点 「前記両足それぞれの前記立脚期間の差に基づいて下肢異常リスクを推定する推定部」である点。 (b) 前記特定事項の相違点 両足から計算された立脚期間のそれぞれの処理について 本件補正発明においては、 「平均」であるのに対して、 引用発明においては、 どのようなものか明かでない点。 (エ) 本件補正発明の「推定装置。」の特定事項について 引用発明の「下肢フィードバックシステム」は、「靴間の立脚期時間の差を所定の閾値と比較することができ、したがって、ユーザの非対称歩行の重症度を判定する」ものであるから、本件補正発明の「推定装置」に、相当する。 したがって、引用発明は、前記特定事項を備える。 イ 一致点及び相違点 前記アの対比分析の結果をまとめると、本件補正発明と引用発明は、次の(ア)に示す一致点において一致し、後記(イ)に示す相違点において相違すると認められる。 (ア) 一致点 「両足それぞれの立脚期間を取得する取得部と、 前記両足それぞれに装着した靴底に設けられた各センサから得られたセンシング情報に基づいて、前記立脚期間を計算し、前記両足それぞれの複数の立脚期間を前記両足それぞれについて計算する立脚期間計算部と、 前記両足それぞれの前記立脚期間の差に基づいて下肢異常リスクを推定する推定部と、 を備える推定装置。」である点。 (イ) 相違点 a 相違点1 立脚期間の計算がどのようなものに基づくかについて、 本件補正発明においては、 「足裏面と脚部とを垂直にした場合の、踵とつま先とを結ぶ第一軸、脚部に平行で足首を通る第二軸、第一軸と第二軸に垂直な第三軸とした場合の、前記第三軸回りの回転の角速度を足部の上下回転角速度を算出し、当該上下回転角速度に基づいて」いるものであるのに対して、 引用発明においては、 どのようなものか明かでない点。 b 相違点2 両足から計算された立脚期間のそれぞれの処理について 本件補正発明においては、 「平均」であるのに対して、 引用発明においては、 どのようなものか明かでない点。 (3) 判断 ア 相違点1について (ア) 引用発明の「センサー40」には、「水準器」が含まれ、水準器は角度を測定するものであることは技術常識である。 そして、引用発明の「左右の靴20」の「インソール42」に「水準器」が配置され、左右の「靴の立脚期時間」を測定する場合に、足の構造から考えて、踵とつま先の角度を測ることは、自明であり、立脚期時間を計算するために、当該角度の時間変化を用いることは、当業者が、当然認識することである。 そうすると、引用発明は、水準器で、踵とつま先の角度の時間変化のデータから左右の靴の立脚期時間を計算するものであるといえる (イ) そして、前記「踵とつま先の角度」の変化は、本件補正発明の「足裏面と脚部とを垂直にした場合の、踵とつま先とを結ぶ第一軸、脚部に平行で足首を通る第二軸、第一軸と第二軸に垂直な第三軸とした場合の、前記第三軸回りの回転」することに相当する。 ところで、角速度は「角度の時間変化」であることは、技術常識である。 そうすると、前記「踵とつま先の角度の時間変化のデータから左右の靴の立脚期時間を計算すること」は、本件補正発明の「足裏面と脚部とを垂直にした場合の、踵とつま先とを結ぶ第一軸、脚部に平行で足首を通る第二軸、第一軸と第二軸に垂直な第三軸とした場合の、前記第三軸回りの回転の角速度を足部の上下回転角速度に基づいて」両足それぞれの立脚期間を計算することに相当する。 したがって、相違点1は、実質的な相違点ではない。 (ウ) なお、相違点1に係る本件補正発明の構成は、審判請求と同時に行った補正に係るものであり、審判請求書では、当該補正が本願の発明の詳細な説明の【0043】~【0049】に基づくとの主張がなされている。すなわち、相違点1に係る本件補正発明の構成は、本願の第三の実施形態に基づくものである。そして、第三の実施形態は、【0044】~【0048】、図11、図12から、踵とつま先の角度(pitch(Degree))の時間変化(Time(S))のデータから両足それぞれの立脚期時間を計算していることが把握できる。したがって、本願の発明の詳細な説明の第三の実施形態を考慮しても、前記(イ)の判断は左右されない。 イ 相違点2について 引用発明は、「ユーザの歩行の非対称性を評価」するものであるところ、左右どちらの歩行にしても、一歩、一歩の歩行は、所定の誤差があることは、技術常識である。 そして、周知技術1で認定したように、「歩行分析に関する技術において、左右それぞれの足の平均立脚時間を計算すること。」(再掲)は、周知である。 そうすると、引用発明に周知技術1を採用して、立脚期時間の平均を左右の靴について計算し、靴間の立脚期時間の平均の差に基づいてユーザの非対称歩行の重症度を判定すること、すなわち、相違点2に係る本件補正発明の構成となすことは、当業者が、容易になし得たことにすぎない。 ウ 総合評価 前記ア及びイにおいて検討したとおり、引用発明において、前記相違点に係る本件補正発明の構成を備えるようにすることは、引用発明及び周知技術1に基づいて当業者が容易に想到し得たことである。 そして、相違点1、2を総合的に勘案しても、本件補正発明が奏する効果としては、当該構成のものとして当業者が予測・発見困難であり、かつ、格別顕著な効果を認めることはできない。 したがって、本件補正発明は、引用発明及び周知技術1に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 エ 請求人の主張について (ア) 請求人の主張の内容 請求人は、上下回転角速度に基づいて立脚期間を用いることで、「歩行運動において踵を着地するタイミングにおいては踵とつま先を結ぶ第一軸が足首を支点としてつま先方向を上げた背屈状態(B)となる。また歩行運動において離地するタイミングにおいては第一軸が足首を支点としてつま先方向を下げた底屈状態(A)となる。しかしながら、疾患により立脚期における各タイミングは、必ずしも最大の背屈角度と底屈角度となる時点と一致しない。」という問題を解決することが可能となり、このような本願特徴によれば、算出した立脚期間を用いて下肢異常リスクを推定することで、より精度高く下肢異常リスクを推定することができ、引用文献1~引用文献4には上記本願の特徴的構成は記載されておらず、それらを組みわせたとしても「歩行運動において踵を着地するタイミングにおいては踵とつま先を結ぶ第一軸が足首を支点としてつま先方向を上げた背屈状態(B)となる。また歩行運動において離地するタイミングにおいては第一軸が足首を支点としてつま先方向を下げた底屈状態(A)となる。しかしながら、疾患により立脚期における各タイミングは、必ずしも最大の背屈角度と底屈角度となる時点と一致しないという問題を解決して、より精度高く下肢異常リスクを推定することができる」という効果は得られない旨主張している。 (イ) 請求人の主張についての検討 しかしながら、本願の明細書の【0044】には、「歩行運動において踵を着地するタイミングにおいては踵とつま先を結ぶ第一軸が足首を支点としてつま先方向を上げた背屈状態(B)となる。また歩行運動において離地するタイミングにおいては第一軸が足首を支点としてつま先方向を下げた底屈状態(A)となる。しかしながら、疾患により立脚期における各タイミングは、必ずしも最大の背屈角度と底屈角度となる時点と一致しない。このような問題に対し、立脚期間計算部23(33)事前に計測した立脚期開始・終了のタイミングと歩行時の足関節角度の関係を機械学習によって推定モデルを作成し、計測時角度情報を入力し、立脚期開始・終了を推定することにより解決する。」と記載されていることから、上記主張の効果は、事前に計測した立脚期開始・終了のタイミングと歩行時の足関節角度の関係を機械学習によって推定モデルを作成し、計測時角度情報を入力し、立脚期開始・終了を推定することによるものであり、そうすると、当該機械学習によって推定モデルを作成し、立脚期開始・終了を推定する構成は、本願発明に特定されていないから、上記主張の効果は、本願発明に基づく主張ではない。 したがって、請求人の主張は採用されない。 オ 独立特許要件の判断のまとめ 以上検討のとおり、本件補正発明は、引用発明及び周知技術1に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。 したがって、本件補正により請求項1についてする補正は、特許法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に適合しない。 4 本件補正の却下の決定の理由のむすび 前記3(5)オのとおり、本件補正は、同法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に違反するから、同法159条1項において読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下すべきものである。 よって、前記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。 第3 本願発明について 1 本願発明について 本件補正は、前記第2のとおり却下したので、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、本件補正前の特許請求の範囲の請求項1(前記第2の1(1)参照)に記載された事項により特定されるとおりのものである。 2 原査定における拒絶の理由の概要 原査定の本願発明に対する拒絶の理由(進歩性の欠如)の概要は、次のとおりである。 理由1(進歩性の欠如) 本願発明は、出願前に発行された下記の引用文献に記載された発明に基づいて、出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。 記 引用文献1.米国特許出願公開第2009/0240171号明細書 引用文献2.国際公開第2018/164157号 引用文献3.国際公開第2018/211550号 引用文献4.国際公開第2018/159731号 3 各引用文献に記載された事項及び引用発明の認定等 引用文献1に記載された事項並び引用発明及び周知技術1は、前記第2の3(1)ア(ア)並びに3(1)ア(イ)及び3(1)イ(エ)において示したとおりである。 4 対比・判断 本願発明は、前記第2の2において検討したとおり、本件補正発明から「、足裏面と脚部とを垂直にした場合の、踵とつま先とを結ぶ第一軸、脚部に平行で足首を通る第二軸、第一軸と第二軸に垂直な第三軸とした場合の、前記第三軸回りの回転の角速度を足部の上下回転角速度を算出し、当該上下回転角速度に基づいて」とする限定を省いたものである。 そうすると、本願発明の発明特定事項を全て含み、その発明特定事項の一部を限定したものに相当する本件補正発明が、前記第2の3(3)において説示したとおり、引用発明及び周知技術1に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により引用発明及び周知技術1に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 第4 むすび 以上検討のとおり、本願発明は、特許法29条2項の規定により、特許を受けることができない。 したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2024-018922

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