特許拒絶査定不服審判
2025-002352
医療用レーザー装置及びシステム
- 審判番号
- 2025-002352
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2024-045080
- 請求日
- 2025年02月14日
- 審決日
- 2025年12月03日
- 公報発行日
- 2026年05月29日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】ジャイラス エーシーエムアイ インク ディー/ビー/エー オリンパス サージカル テクノロジーズ アメリカ
- 【請求人代理人】村山 靖彦
- 【請求人代理人】飯田 雅人
- 【請求人代理人】実広 信哉
- 審判長/審判官
- 審判長 加々美 一恵
- 審判官 ▲高▼見 重雄
- 審判官 藏田 敦之
- 分類
- P18 .113-Z (A61B) / P18 .121-Z (A61B) / P18 .575-Z (A61B)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条1項3号特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第36条第6項第1号、特許法第29条第1項第3号、特許法第29条第2項、特許法第50条の2、特許法第17条の2第5項第2号、特許法第17条の2第6項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2024- 45080「医療用レーザー装置及びシステム」拒絶査定不服審判事件〔令和 6年 5月29日出願公開、特開2024- 73644〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本件出願(以下「本願」という。)は、2019年(平成31年)2月8日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2018年2月9日、(US)米国)を国際出願日とする出願である特願2020-542995号の一部を令和6年3月21日に新たな特許出願としたものであって、同年5月16日付けの拒絶理由の通知(特許法第50条の2の通知を伴う拒絶理由通知)に対し、同年9月11日に意見書が提出されるとともに手続補正がなされ、同年11月11日付けで補正の却下の決定とともに拒絶査定(以下「原査定」という。)がなされ、これに対して令和7年2月14日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に手続補正がなされ、同年7月22日に上申書が提出されたものである。
第2 令和7年2月14日にされた手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
令和7年2月14日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。
[理由]
1 本件補正について(補正の内容)
(1)本件補正後の特許請求の範囲の記載
本件補正後の特許請求の範囲の請求項1の記載は、次のとおりである(下線部は、補正箇所である。)。
「 【請求項1】
医療用レーザー装置は、
エネルギーガイド;
前記エネルギーガイドを介して標的組織を治療するためのエネルギーを生成するように構成された第1のエネルギー源;
前記標的組織を照射するための少なくとも2つの照射モードを有する光源;
前記光源とは異なる、前記エネルギーガイドを通じて第1及び第2の照準ビームを標的組織に放射するように構成された第2のエネルギー源であって、前記第2の照準ビームが、前記第1の照準ビームとは異なる少なくとも1つの特性を有する、第2のエネルギー源;及び、
ハードウェアを備えるコントローラであって、前記コントローラは、
前記少なくとも2つの照射モードの一方をオンにし、
前記標的組織を現在照射している前記少なくとも2つの照射モードの一方を示す信号を受信し、
前記標的組織を現在照射している照射モードに基づいて、前記第1及び第2の照準ビームから照準ビームを選択し、
前記標的組織に向けて選択された照準ビームを放射するように第2のエネルギー源を制御し、
前記選択された照準ビームが前記現在照射している照射モードに適切であるかどうか、照射モードの履歴データと対応する照準ビームの特性との対応関係に基づいて判定し、かつ、
前記選択された照準ビームが前記現在照射している照射モードでの使用に適していないと判定された場合、照準ビームを変更する、
ように構成された、コントローラ;
を備えることを特徴とする医療用レーザー装置。」
(2)本件補正前の特許請求の範囲
本件補正前の願書に最初に添付した特許請求の範囲の請求項1の記載は、次のとおりである。
「 【請求項1】
医療用レーザー装置は、
エネルギーガイド;
前記エネルギーガイドを介して標的組織を治療するためのエネルギーを生成するように構成された第1のエネルギー源;
前記標的組織を照射するための少なくとも2つの照射モードを有する光源;
前記光源とは異なる、前記エネルギーガイドを通じて第1及び第2の照準ビームを標的組織に放射するように構成された第2のエネルギー源であって、前記第2の照準ビームが、前記第1の照準ビームとは異なる少なくとも1つの特性を有する、第2のエネルギー源;及び、
ハードウェアを備えるコントローラであって、前記コントローラは、
前記標的組織を現在照射している前記少なくとも2つの照射モードの一方を示す信号を受信し、
前記標的組織を現在照射している照射モードに基づいて、前記第1及び第2の照準ビームから照準ビームを選択し、かつ、
前記標的組織に向けて選択された照準ビームを放射するように第2のエネルギー源を制御する
ように構成された、コントローラ;
を備えることを特徴とする医療用レーザー装置。」
2 補正の適否
上記補正は、本件補正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項である「コントローラ」が、
「 前記標的組織を現在照射している前記少なくとも2つの照射モードの一方を示す信号を受信し、
前記標的組織を現在照射している照射モードに基づいて、前記第1及び第2の照準ビームから照準ビームを選択し、かつ、
前記標的組織に向けて選択された照準ビームを放射するように第2のエネルギー源を制御する」という受信・選択・制御の3工程をするように構成されたものから、
「 前記少なくとも2つの照射モードの一方をオンにし、
前記標的組織を現在照射している前記少なくとも2つの照射モードの一方を示す信号を受信し、
前記標的組織を現在照射している照射モードに基づいて、前記第1及び第2の照準ビームから照準ビームを選択し、
前記標的組織に向けて選択された照準ビームを放射するように第2のエネルギー源を制御し、
前記選択された照準ビームが前記現在照射している照射モードに適切であるかどうか、照射モードの履歴データと対応する照準ビームの特性との対応関係に基づいて判定し、かつ、
前記選択された照準ビームが前記現在照射している照射モードでの使用に適していないと判定された場合、照準ビームを変更する、」というオン・受信・選択・制御・判定・変更の6工程をするように構成されたものへ変更する補正であるから、当該補正は、補正前の受信・選択・制御の3工程に対して、オン・判定・変更の3工程をさらに直列的に付加することで、「コントローラ」がする構成を限定するものである。
そして、補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、本件補正は、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正後の請求項1に記載される発明(以下「本件補正発明」という。)が同条第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について、以下、検討する。
(1)本件補正発明
本件補正発明は、上記1(1)に記載したとおりのものである。
(2)サポート要件(特許法第36条第6項第1号)について
本件補正発明の「コントローラ」が、
「 前記標的組織を現在照射している照射モードに基づいて、前記第1及び第2の照準ビームから照準ビームを選択」するという選択工程の後工程として、本件補正により追加された
「 前記選択された照準ビームが前記現在照射している照射モードに適切であるかどうか、照射モードの履歴データと対応する照準ビームの特性との対応関係に基づいて判定し、かつ、
前記選択された照準ビームが前記現在照射している照射モードでの使用に適していないと判定された場合、照準ビームを変更する」という判定・変更工程をするように構成されることは、発明の詳細な説明に記載されていない。その理由は以下のとおりである。
ア 発明の詳細な説明の記載
医療システムの使用について、発明の詳細な説明には、図3に示すフローチャート(以下「図3フロー」という。)と、図4に示すフローチャート(以下「図4フロー」という。)が、それぞれ独立した別の態様として記載されている。図3フローと発明の詳細な説明における図3フローの説明、及び図4フローと発明の詳細な説明における図4フローの説明は、それぞれ、次のとおりである(下線は、当審において付与した。)。
(ア-1)図3フロー
【図3】(令和7年2月14日提出の手続補正書により補正されたもの)
[図:0001434955000001.jpg]
図3フローの説明
「【0044】
図1の医療システム100の使用について、次に、図3に示すフローチャートに関して説明する。標的組織部位への内視鏡102の挿入後、ユーザは符号300で標的組織をディスプレイ108上で見る。標的組織のこのような観察は、符号302で設定された照射モードで行われ、光源104の光源210、212の1つによって出力される。このような照射モードは、当技術分野で知られている任意の手段によってユーザによる選択によって設定され得、または、所定の基準に基づいてコントローラ214、216のいずれかによって行われる決定によって自動的に提供され得る
【0045】
符号304で、第1のエネルギー源202が作動(オン)し、治療エネルギーをエネルギーガイド112に送達するかどうかに関して、コントローラ206によって判別がなされる。第1のエネルギー源202が治療エネルギーをエネルギーガイド112に送達しないと決定される場合、符号304Nにおいて、コントローラ206は、第2のエネルギー源204を作動して照準ビームを生成しない。第1のエネルギー源202が治療エネルギーをエネルギーガイド112に送達していると決定された場合、符号304Yで、コントローラ206は、第2のエネルギー源204を作動して、符号306で第1または第2の照準ビームの1つを生成する。
【0046】
符号308で、コントローラ206は、使用されている照射モードのタイプを示す信号を受信するなど、内視鏡によって使用される、標的組織を照射する複数の照射モードから照射モードを決定する。コントローラ206に提供される照射モード信号は、光源104の入力104aにおけるユーザからの手動入力であり得、光源コントローラ214に内視鏡プロセッサ103のコントローラ216に信号を出力するように指示し、次に、信号を出力する。このような手動入力は、内視鏡プロセッサ103のボタン103aなどの入力から行うこともできる。光源コントローラ214は、照射モードを示す信号をレーザー装置コントローラ206に直接出力することもできる。入力はまた、信号線107dを通して内視鏡のボタン107cを介して、内視鏡プロセッサ103のコントローラ216に送られ得、これは、レーザー装置のコントローラ206に中継される。レーザー装置106のコントローラ206はまた、内視鏡によって使用される照射モードを示す信号をセンサ208から受信することができ、エネルギーガイド112を通して反射光によって使用されている照射を検出し、コントローラ206はこのような検出を処理して判別する。さらに、内視鏡プロセッサ103のコントローラ216は、イメージセンサ116からの画像信号を分析し、このような画像信号に基づいて照射モードを判別し、このような判別をレーザー装置106のコントローラ206に出力することができる。内視鏡によって使用されている照射モードを決定するために、内視鏡102の遠位端または内視鏡プロセッサ103内などで他のセンサ(図示せず)が使用され得る。
【0047】
符号310で、照準ビームが決定された照射モードに適切であるかどうかに関する判定が行われる。このような判定は、コントローラ206に操作可能に接続されたルックアップテーブル(LUT)に反映された履歴データに基づき得、LUTが、照射モードを照準ビーム特性に対応させる。このようなLUTは、このような照射モードまたはこのような照射モードの波長で使用するための照射モード(または照明光の波長)及び対応する照準ビームの波長のデータを格納し得る。使用されている照準ビームが、使用されている照射モードでの使用に適していると判定された場合、使用中の照準ビームの変更は必要なく、使用中の照準ビームが使用されている照射モードでの使用に適していないと判定されるまで、符号310Yでプロセスは続き、標的組織を画像化する。このような判定は、所定の間隔で、または第1のエネルギー源がオフにされてから再びオンにされるなどの所定のイベントの発生時に行われ得る。
【0048】
しかしながら、符号310Nで、使用されている照準ビームが使用されている照射モードでの使用に適していないと判定された場合、第2のエネルギー源204は、指示された照射モードに基づいて符号312で照準ビームを変更するように制御される。例えば、白色光照射モードが決定される場合、コントローラ206は、500nm~550nmの範囲の波長を有する第1の照準ビームを放射するように第2のエネルギー源204を制御し得る。或いは、特定光照射モードが決定される場合、コントローラ206は、635nm~690nmの範囲の波長を有する第2の照準ビームを放射するように第2のエネルギー源204を制御し得る。上述したように、特定光モードは、例えば、狭帯域イメージングモード、自動蛍光イメージングモード、または赤外線イメージングモードのうちの1つであり得る。」
(ア-2)図3フローの概要
上記(ア-1)の図3フローでは、要すれば、コントローラが、
(符合302)照射モードをオンにし、
(符号304)第1のエネルギー源202をオンにし、
(符号306)第1または第2の照準ビームをオンにし、
(符号308)照射中の照射モードを決定し、
(符号310)使用中の第1または第2の照準ビームが、照射モードと照準ビームとを対応させたルックアップテーブルに基づいて、決定された照射モードに適しているかどうか判定し、
(符号310Y)決定された照射モードに適していると判定された場合、照準ビームを変更せず、
(符号310N)決定された照射モードに適していないと判定された場合、
(符号312)照準ビームを変更する、
ように構成されたものといえる。
(イ-1)図4フロー
【図4】
[図:0001434955000002.jpg]
図4フローの説明
「【0049】
次に、図1の医療システム100の別の使用を図4に示すフローチャートに関して説明する。図4では、符号300、302、304、及び306は、実質的に上述のとおりである。第1または第2の照準ビームなどの照準ビームの1つがレーザー装置106によって起動される場合、符号314で、第1または第2の照準ビームによって生じたスポットが内視鏡102からの画像で識別できるかどうかについて判定が行われる。すなわち、コントローラ216は、イメージセンサ116からの画像信号を分析して、使用されている照準ビームスポットが標的組織の画像で可視かどうかを判定する。画像データにおけるスポットのこのような判定は、例えば、スポットの予想されるサイズ及び/または形状に対応する画像の領域内のピクセルデータの視差(不連続性)を判定するピクセル比較など当技術分野で公知である。さらに、このような判定は、スポットが検出されたが、視差が画像からスポットを明確に識別するのにユーザが困るであろう、所定の閾値を下回る場合、スポットは見えないと見なし得る。
【0050】
画像でスポットが検出されるか、実質的に検出される場合、このような判定が変わるか、レーザー装置が第1のエネルギー源202を起動しなくなるまで、符号314Yで、イメージング、照射、及び、画像とスポットの表示が続行される。スポットが符号314Nで画像に検出できない、または実質的に検出できない場合、コントローラ216は、符号316で、信号をレーザー装置のコントローラ206に出力して、第1または第2の照準ビームの異なる1つに切り替える。
【0051】
同様の判定が符号318でコントローラ216によって行われ、第1または第2の照準ビームの異なる1つによって生じたスポットが内視鏡102からの画像で識別できるかどうかの判定が行われる。符号318Yでのイメージング、照射、及び、画像及びスポットの表示は、このような決定が変わるか、またはレーザー装置が第1のエネルギー源202をもはや作動させなくなるまで続行する。符号318Nでの画像でスポットが検出できないか、実質的に検出できない場合、安全対策として、コントローラは、レーザー装置コントローラ206に信号を出力して、第1のエネルギー源を制御して、符号320で第1のエネルギー源が標的組織を治療するためのエネルギーを生成することを禁止し得る。」
(イ-2)図4フローの概要
上記(イ-1)の図4フローでは、要すれば、コントローラが、
(符合302)照射モードをオンにし、
(符号304)第1のエネルギー源202をオンにし、
(符号306)第1または第2の照準ビームをオンにし、
(符号314)第1または第2の照準ビームによって生じたスポットが画像で識別できるかどうか判定し、
(符号314Y)スポットが画像で識別できると判定された場合、照準ビームを変更せず、
(符号314N)スポットが画像で識別できないと判定された場合、
(符号316)照準ビームを変更する、
ように構成されたものといえる。
イ サポート要件についての検討
(ア)判断
本件補正発明の「コントローラ」が、本件補正前から備える
「 前記標的組織を現在照射している照射モードに基づいて、前記第1及び第2の照準ビームから照準ビームを選択」するという選択工程は、図3フローの「(符号310)使用中の第1または第2の照準ビームが、照射モードと照準ビームとを対応させたルックアップテーブルに基づいて、決定された照射モードに適しているかどうか判定し、(符号310Y)決定された照射モードに適していると判定された場合、照準ビームを変更せず、(符号310N)決定された照射モードに適していないと判定された場合、(符号312)照準ビームを変更する、」という工程に対応するものであって、図3フローの(符号310)~(符号312)までの工程を上位概念として表現した工程であるといえる。
そして、本件補正発明の「コントローラ」において、本件補正により追加された
「 前記選択された照準ビームが前記現在照射している照射モードに適切であるかどうか、照射モードの履歴データと対応する照準ビームの特性との対応関係に基づいて判定し、かつ、
前記選択された照準ビームが前記現在照射している照射モードでの使用に適していないと判定された場合、照準ビームを変更する」という判定・変更工程は、この判定・変更の対象が「前記選択された照準ビーム」であって、「前記選択された照準ビーム」は、選択工程にて「現在照射している照射モードに基づいて」「選択」された「照準ビーム」であるから、本件補正発明の判定・変更工程が、上記の選択工程の後工程であることは明らかである。すると、本件補正発明は、本件補正により、選択工程にて選択された「照準ビーム」が、判定・変更工程にて再度選択(判定・変更)される工程を備えるものとなった。
一方、発明の詳細な説明における図3フローの(符号310)~(符号312)は「照準ビーム」の判定・変更工程ではあるが、上述したとおり、発明の詳細な説明における図3フローの(符号310)~(符号312)は本件補正発明の選択工程に対応する工程である。そして、図3フローの(符号310)~(符号312)の対象である「照準ビーム」は、「現在照射している照射モードに基づいて」「選択」された「照準ビーム」ではなく、(符号306)でオンにした第1または第2の照準ビームであるから、図3フローの(符号310)~(符号312)の工程が、本件補正発明の判定・変更工程に対応する工程にはなり得ない。
また、発明の詳細な説明における図4フローが、本件補正発明の選択工程及び判定・変更工程に対応する工程を備えていないことは明らかである。
(イ)小括
してみると、本件補正発明の「コントローラ」が、
「 前記標的組織を現在照射している照射モードに基づいて、前記第1及び第2の照準ビームから照準ビームを選択」するという選択工程の後工程に、本件補正により追加された
「 前記選択された照準ビームが前記現在照射している照射モードに適切であるかどうか、照射モードの履歴データと対応する照準ビームの特性との対応関係に基づいて判定し、かつ、
前記選択された照準ビームが前記現在照射している照射モードでの使用に適していないと判定された場合、照準ビームを変更する」という判定・変更工程をするように構成されることは、発明の詳細な説明に記載されていない。
(3)請求人の主張
請求人は審判請求書において、請求項1に係る本件補正の根拠を次のように述べている。
ア「(1)請求項1
旧請求項1に「前記少なくとも2つの照射モードの一方をオンにし」との記載、「前記選択された照準ビームが前記現在現在照射している照射モードに適切であるかどうか、照射モード及び対応する照準ビームの波長のデータを格納するルックアップテーブル(LUT)に反映された履歴データに基づいて判定し」との記載、及び、「前記選択された照準ビームが前記現在照射している照射モードでの使用に適していないと判定された場合、照準ビームを変更する」との記載を追加した。当該補正は、図3に示される「照明モードをオンにする(302)」、明細書段落〔0047〕の「符号310で、照準ビームが決定された照射モードに適切であるかどうかに関する判定が行われる。このような判定は、コントローラ206に操作可能に接続されたルックアップテーブル(LUT)に反映された履歴データに基づき得、LUTが、照射モードを照準ビーム特性に対応させる。このようなLUTは、このような照射モードまたはこのような照射モードの波長で使用するための照射モード(または照明光の波長)及び対応する照準ビームの波長のデータを格納し得る。」との記載、同段落〔0048〕の「符号310Nで、使用されている照準ビームが使用されている照射モードでの使用に適していないと判定された場合、第2のエネルギー源204は、指示された照射モードに基づいて符号312で照準ビームを変更するように制御される。」との記載、に基づいてなされたものである。」
イ 上記(2)で検討したとおり、請求項1に係る本件補正は、【0047】、【0048】及び図3を含む上記アに示す記載に基づいてなされたものでないから、請求人の上記主張は採用できない。
(4)本件補正発明についてのまとめ
以上のとおり、本願は、特許請求の範囲の記載が特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。
3 本件補正についてのむすび
よって、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。
第3 本願発明について
1 本願発明
令和7年2月14日にされた手続補正(本件補正)は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項に係る発明は、願書に最初に添付した特許請求の範囲の特許請求の範囲の請求項1~23に記載された事項により特定されるものである。そのうちの請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、上記第2の1(2)に記載された事項により特定されるものである。
2 原査定の拒絶理由の概要
原査定の拒絶の理由は、本願発明は、引用文献1に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない、また、本願発明は、引用文献1に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない、という理由を含むものである。
引用文献1:特開2010-75314号公報
3 引用文献等
(1)引用文献1の記載
原査定の拒絶の理由で引用され、本願の優先日前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回路を通じて公衆に利用可能となった文献である引用文献1には、図面とともに次の記載がある(下線は、当審において付与した。)。
ア「【請求項1】
照射対象に照射させる不可視光を射出する不可視光光源と、
前記不可視光と合波させて前記照射対象に照射させることにより前記不可視光の照射位置を明示するためのガイド光を射出するガイド光光源と、を有し、
波長領域の異なる前記ガイド光を射出する複数の前記ガイド光光源が設けられていること、
を特徴とする不可視光照射装置。」
イ「【0001】
本発明は不可視光照射装置、不可視光照射装置の制御方法に係り、特に、不可視光の照射位置を確認するためのガイド光(エイミング光)の技術に関する。」
ウ「【0003】
特許文献1には、内視鏡の鉗子チャンネル内に光走査プローブが挿通され、当該光走査プローブから赤外光の低干渉光を被検体に射出して測定する光断層画像化装置において、赤外光の低干渉光に赤色の可視光であるエイミング光(ガイド光)を合波させることにより、内視鏡の先端部から白色光の照明光を被検体に照射して得られたモニタ内の観察部画像にて、視認できない赤外光の低干渉光による測定位置を、エイミング光により視認できるとする技術が開示されている。
【0004】
このように、モニタ内の観察部画像において観察者が被検体の様子を確認することができるように内視鏡の先端部から照明光を被検体に照射するが、このとき、特許文献1のものでは可視光の赤色光のエイミング光の単色光のみを用いている。
【0005】
また、近年の内視鏡では、病変部をより精度よく抽出する方法として、照明光に特定領域の波長の光を使用して測定対象を観察したり、照明光による反射光のうち特定領域の波長の光のみを取得してモニタ内の観察部画像として表示して測定対象を観察するなど、いわゆる特殊光観察が行なわれている。
【0006】
このような特殊光観察モードの一例として、例えば、特許文献2では、従来の照明光とは別個に、血管を強調するために胃粘膜に多い赤色の補色であるシアン色の光を被検体に照射させる技術が開示されている。また、特許文献3では、630nm以上の波長をカットする赤色カットフィルタを用いて、血管などの視認性を向上させる技術が開示されている。また、特許文献4では、赤外観察可能な赤外電子スコープにより生体粘膜の観察を行う内視鏡装置において、波長790~820nmと波長905~970nmのふたつの赤外光を照射し、モニタ内にこれら赤外画像の観察部画像を表示する技術が開示されている。
【特許文献1】特開平11-56772号公報
【特許文献2】特許4067358号公報
【特許文献3】特許3894761号公報
【特許文献4】特許3441449号公報
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前記のように特殊光観察モードにおいては、通常光観察モードとは異なる波長領域の光を用いてモニタ内の観察部画像が取得される。そのため、エイミング光が単色光であると、通常光観察モードではエイミング光がモニタ内の観察部画像で視認できたとしても、特殊光観察モードではエイミング光の波長領域によってはエイミング光がモニタ内の観察部画像で視認できないおそれがある。
【0008】
特許文献1のものでは、エイミング光が赤色光のみの単色光である。赤色は水に対する吸収が少なく、より深部まで浸透して反射する波長であり、通常内視鏡下であれば、患部によってはエイミング光としてふさわしい波長であるが、仮にエイミング光の波長と同じ赤色を除去する特殊光観察モードを備えた内視鏡で測定対象を観察した場合には、モニタ内の観察部画像でエイミング光が視認できないおそれがある。
【0009】
例えば、特許文献3のものでは、通常観察時のエイミング光として赤色を使用すると、特殊光観察モードにおいて赤色をカットして観察するため、特殊光観察モードの時にはモニタ内の観察部画像に赤色のエイミング光が観察されなくなる。そのため、例えば赤色の代わりに緑色光(510nm)や青色光(440nm)を用いれば、モニタ内の観察部画像にて低干渉光による測定位置を認識しやすくなる。
【0010】
一方、例えば、特許文献2のものでは、特殊光観察モードでは照明光としてシアン色を照射するので、そのままシアン色や、シアンに近い青、緑色のエイミング光を用いると、このタイプの内視鏡と共に用いた場合にモニタ内の観察部画像でエイミング光を視認できなくなるおそれがある。そのため、特殊光観察モードにおいてエイミング光として赤色光を用いることが望ましい。
【0011】
また、特許文献4のものでは、通常光観察モード時の画像である通常画像においては可視光のエイミング光が望ましく、特殊光観察モード時の画像である赤外画像においては赤外電子スコープで受光可能な赤外光のエイミング光が望ましい。」
エ「【0014】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、通常光観察モードおよび特殊光観察モードにおいて、観察部画像でエイミング光が常に確認できる不可視光照射装置、不可視光照射装置の制御方法を提供することを目的とする。」
オ「【0032】
〔光断層画像化装置の説明〕
以下、本発明の具体的な実施の形態について図面を用いて説明する。まず、本発明の実施形態である光断層画像化装置について図1を参照して説明する。
【0033】
本発明の光断層画像化装置1は、被検者の体腔10内に挿入される内視鏡の挿入部12と、生体の体腔10内の観察部のカラー画像を取得する観察部画像取得部14と、カラー画像を表示するモニタ16とを備えている。また、体腔10内の測定領域18の光断層画像を取得するOCT取得部20と、内視鏡の挿入部12に設けられた鉗子口22に挿入される光プローブ24と、光断層画像取得動作を制御するOCT制御部26と光断層画像を表示するモニタ28とを備えている。
【0034】
挿入部12は、挿入部12内を貫通する鉗子口22と、内部に先端まで延びるCCDケーブル30とライトガイド32とを備えている。CCDケーブル30の先端には、CCD撮像素子34が接続されている。そして、挿入部12の先端部には撮像レンズ38が備えられ、この撮像レンズ38の内側にはプリズム40が設けられている。ライトガイド32の先端部、すなわち挿入部12の先端部には、照明レンズ36が備えられている。また、CCDケーブル30とライトガイド32は、観察部画像取得部14へ接続されている。」
カ「【0035】
図2に示すように、観察部画像取得部14は、観察部画像撮像用であって通常光観察モードに用いられる白色光を発する白色光源42および、同じく観察部画像撮像用であって特殊光観察モードに用いられるシアン色光を発するシアン色光源44を備えている。
【0036】
また、白色光源42の光の射出部分にはレンズ46が配置され、シアン色光源44の光の射出部分にはレンズ48が配置されている。そして、レンズ46、レンズ48からの光の射出方向には、さらに観察モード切替え制御部50(照明光切替え制御部)が設けられている。この観察モード切替え制御部50は、前記のOCT制御部26とライトガイド32に接続している。
【0037】
また、観察部画像取得部14は、その他、CCD撮像素子34で撮像された画像信号に基いて、CCDケーブル30に接続し画像信号を生成する画像処理部52と、該画像処理部52から出力された画像信号をビデオ信号に変換してモニタ16へ出力するビデオ信号処理回路54とを備えている。
【0038】
このような構成を有する光断層画像化装置1において、観察者は挿入部12を被験者の体腔10内に挿入し、観察部画像をモニタ16に表示する。
【0039】
そして、観察モード切替え制御部50による制御によって、通常光観察モードにおいては、観察部画像取得部14の白色光源42から射出される白色光がレンズ46によってライトガイド32に入射され、挿入部12の先端まで導光された後、照明レンズ36から体腔10内へ照射される。そして、白色光Laの反射光Lbは撮像レンズ38によって集光され、プリズム40に反射して、CCD撮像素子34上に結像する。CCD撮像素子34で光電変換された画像信号は、CCDケーブル30を介して画像処理部52に出力される。
【0040】
また、観察モード切替え制御部50による制御によって、特殊光観察モードにおいては、観察部画像取得部14のシアン色光源44から射出されるシアン色光がレンズ46によってライトガイド32に入射され、挿入部12の先端まで導光された後、照明レンズ36から体腔10内へ照射される。そして、シアン色光Laの反射光Lbは撮像レンズ38によって集光され、プリズム40に反射して、CCD撮像素子34上に結像する。CCD撮像素子34で光電変換された画像信号は、CCDケーブル30を介して画像処理部52に出力される。
【0041】
なお、シアン色光源44は観察部画像取得部14にではなく、別途、挿入部12の先端部に設けてもよい。
【0042】
また、観察部画像取得部14において、シアン色光源44は備えずに白色光源42のみを備え、さらにシアン色光以外の波長領域の光をカットするカットフィルタを備えておいてもよい。そして、観察モード切替え制御部50による制御によって、通常光観察モードにおいては当該カットフィルタを用いずに白色光源42からの白色光をそのままライトガイド32に入射させる一方、特殊光観察モードにおいては当該カットフィルタを用いて白色光源42からの白色光からシアン色のみをライトガイド32に入射させてもよい。
【0043】
光プローブ24は挿入部12の鉗子口22へ挿入する。そして、モニタ16に表示された観察部画像を観察しながら、挿入部12の先端を移動させ、光断層画像を取得する部位の近傍に達したところで、OCT取得部20の第1の光源(第1の光源ユニット)60(図3参照)からレーザ光あるいは低コヒーレンス光L0を射出させる。」
キ「【0044】
次に、OCT取得部20の説明をする。
【0045】
図3に示すように、OCT取得部20は、光干渉断層(OCT:Optical Coherence Tomography)計測法による測定対象の光断層画像を取得するためのもので、測定のための光L0を射出する第1の光源(第1の光源ユニット)60と、第1の光源60から射出された光L0を測定光(第1の光束)L1と参照光L2に分岐する光ファイバカプラ(分岐合波部)63と、後述するエイミング光Leと測定光L1を合波するWDMカプラ64と、WDMカプラ64まで導波するとともに光ファイバFB1によって導波された戻り光L3を導波する光ファイバFB2と、後述する光路長調整部72によって周波数シフトおよび光路長の変更が施されて戻った参照光L2と測定対象Sからの戻り光L3とを合波する光ファイバカプラ65と、光ファイバカプラ65で生成された干渉光L4およびL5を干渉信号として検出する干渉光検出部66と、この干渉光検出部66によって検出された干渉信号を処理して光断層画像(以下、単に「断層画像」とも言う)を取得する処理部68とを有する。
【0046】
また、OCT取得部20は、測定の目印を示すためのエイミング光(第2の光束)Leを射出する第2の光源(第2の光源ユニット)70と、参照光L2の光路長を調整する光路長調整部72と、光ファイバカプラ65で生成された干渉光L4およびL5を検出する検出部76aおよび76bとを有する。
【0047】
第1の光源60は、OCTの信号光(例えば、中心波長1.3μmの波長掃引レーザ光あるいは低コヒーレンス光)を射出するものであり、レーザ光あるいは低コヒーレンス光L0を射出する光源60aと、光源60aから射出された光L0を集光するレンズ60bとを備えている。第1の光源60から射出された光L0は、光ファイバFB4を介して光ファイバカプラ63で測定光L1と参照光L2に分割され、測定光L1はサーキュレータ62を介してWDMカプラ64に入力される。なお、光ファイバカプラ63は、たとえば測定光L1:参照光L2=99:1の割合で分割する。
【0048】
また、第2の光源70は、エイミング光Leとして測定部位を確認しやすくするために視認性のある着色された光を射出するものである。本実施形態では、赤色レーザ光(例えば、波長630nmのレーザ光)を射出する赤色レーザ光源78と、緑色レーザ光(例えば、波長532nmのレーザ光)を射出する緑色レーザ光源80を有する。
【0049】
また、第2の光源70は、赤色レーザ光源78から射出されたエイミング光Leを集光するレンズ78aと、緑色レーザ光源から射出されたエイミング光Leを集光するレンズ80aを有する。そして、レンズ78aやレンズ80aから射出したエイミング光Leは、WDMカプラ82に入射され、その後、光ファイバFB11を介してWDMカプラ64に入力される。そして、WDMカプラ64では、測定光L1とエイミング光Leとが合波され、光プローブ24内の光ファイバFB1に導波される。
【0050】
また、赤色レーザ光源78と緑色レーザ光源80は、ガイド光制御部としての役割も有するOCT制御部26に接続され、OCT制御部26によりその動作を制御されている。
【0051】
サーキュレータ62は、光ファイバカプラ63から光ファイバFB3を介して入射した測定光L1を光ファイバFB2に入射させ、測定対象Sからの戻り光L3を光ファイバFB10に入射させる。
【0052】
サーキュレータ67は、光ファイバカプラ63から光ファイバFB5を介して入射した参照光L2を光ファイバFB6に入射させ、後述する光路長調整部72によって周波数シフトおよび光路長の変更が施されて光ファイバFB6を戻った参照光L2を、光ファイバFB7に射出する。
【0053】
光プローブ24は、WDMカプラ64を介して、光ファイバFB2と接続されており、光ファイバFB2から、WDMカプラ64を介して、エイミング光Leと合波された測定光L1が光ファイバFB1に入射される。入射されたこのエイミング光Leと合波された測定光L1を光ファイバFB1によって伝送して測定対象Sに照射する。そして測定対象Sからの戻り光L3を取得し、取得した戻り光L3を光ファイバFB1によって伝送して、WDMカプラ64を介して、光ファイバFB2に射出するようになっている。
【0054】
干渉光検出部66は、光ファイバFB8および光ファイバFB9と接続されており、光ファイバカプラ65で参照光L2と戻り光L3とを合波して生成された干渉光L4およびL5を干渉信号として検出するものである。
【0055】
処理部68は、干渉光検出部66で検出した干渉信号から断層画像を取得する。
【0056】
光路長調整部72は、光ファイバFB6の参照光L2の射出側に配置されている。
【0057】
光路長調整部72は、光ファイバFB6から射出された参照光L2を平行光にする第1光学レンズ90と、第1光学レンズ90で平行光にされた光を集光する第2光学レンズ92と、第2光学レンズ92で集光された光を反射する反射ミラー94と、第2光学レンズ92および反射ミラー94を支持する基台96と、基台96を光軸方向に平行な方向に移動させるミラー移動機構98とを有し、第1光学レンズ90と第2光学レンズ92との距離を変化させることで参照光L2の光路長を調整する。
【0058】
光プローブ24は、挿入部12の鉗子口22(図1参照)に挿入可能で回転可能なシース100と、該シース100の中を貫通する光ファイバFB1と、光ファイバFB1のシース100先端方向に設けられた集光反射レンズ系102を備えている。なお、シース100の先端部は透明である。また、シース100の根本部分には、シース100をラジアル方向(円周方向)に回転させたり、リニア方向(軸方向)にスライドさせるロータリージョイント104 が取り付けられている。
【0059】
OCT制御部26は、OCT取得部20の各部位に接続され、適宜各部位の動作タイミングを制御するものである。また、ロータリージョイント104の動作を制御して、測定光L1の照射方向の回転および測定光L1の照射位置を制御するものである。」
ク「【0060】
〔エイミング光の切替えの説明〕
以上のような構成および基本的作用を有する本発明の光断層画像化装置1において、エイミング光Leの切替えについて説明する。
【0061】
本発明の光断層画像化装置1においては、前記の図3に示すように、OCT取得部20における第2の光源70において、赤色レーザ光源78と緑色レーザ光源80が配置され、異なる波長領域の複数のエイミング光Le用のレーザ光源が配置されている。
【0062】
また、前記の図2に示すように、ライトガイド32に接続される観察部画像取得部14において、通常光観察モードの照明光の光源である白色光源42と、特殊光観察モードの照明光の光源であるシアン色光源44が配置され、異なる波長領域の複数の照明光の光源が配置されている。
【0063】
そこで、通常光観察モードの照明光を測定対象に照射させたときと、特殊光観察モードの照明光を測定対象に照射させたときで、エイミング光Leの波長領域を切替えて、モニタ16内の観察部画像においてエイミング光Leによる測定位置の視認性を向上させることとする。
【0064】
具体的には、まず、照明光として白色光源42から白色光を照射する通常光観察モードでは、OCT取得部20における第2の光源70において、赤色レーザ光源78からの赤色レーザ光の射出をOFFとする一方、緑色レーザ光源80からの緑色レーザ光の射出をONとする。
【0065】
これにより、通常光観察モードでは、例えば測定対象が赤色の胃粘膜であるときには観察画像用のモニタ16において照明光により測定位置周辺が赤色で表示されるが、緑色のエイミング光Leが照射されるため、モニタ16内の観察部画像においてエイミング光Leの照射位置の視認性が向上する。そのため、観察者は観察画像用のモニタ16において測定位置を容易に確認することができる。
【0066】
ここで、通常光観察モードから、照明光としてシアン色光源44からシアン色光を照射する特殊光観察モードに切替えると、これに応じてトリガ信号が観察部画像取得部14の観察モード切替え制御部50からOCT制御部26に送信される。そして、OCT制御部26により、第2の光源70において、赤色レーザ光源78からの赤色レーザ光の射出をONとする一方、緑色レーザ光源80からの緑色レーザ光の射出をOFFとするように制御する。
【0067】
これにより、特殊光観察モードでは、モニタ16内の観察部画像においてシアン色の照明光により測定位置周辺がシアン色で表示されるが、赤色のエイミング光Leが照射されるため、モニタ16内の観察部画像においてエイミング光Leの照射位置の視認性が向上する。特に、赤色はシアン色の補色であるため、視認性は格別に向上する。そのため、特殊光観察モードにおいても、通常光観察モードと同様に、観察者は観察画像用のモニタ16において測定位置を容易に確認することができる。
【0068】
そして、特殊光観察モードから再び通常光観察モードへ切替えると、これに応じてトリガ信号が観察部画像取得部14の観察モード切替え制御部50からOCT制御部26に送信される。そして、OCT制御部26により、第2の光源70において、赤色レーザ光源78からの赤色レーザ光の射出をOFFとする一方、緑色レーザ光源80からの緑色レーザ光の射出をONとするように制御する。
【0069】
以降同様に、通常光観察モードと特殊光観察モードの切替えごとに、トリガ信号が観察部画像取得部14の観察モード切替え制御部50からOCT制御部26に送信され、OCT制御部26により、第2の光源70において、赤色レーザ光源78からの赤色レーザ光の射出のONとOFF、緑色レーザ光源80からの緑色レーザ光の射出のONとOFFを切替えるように制御する。
【0070】
このように、通常光観察モードと特殊光観察モードの照明光の波長領域に対応して、エイミング光Leの波長領域を切替えるので、通常光観察モードおよび特殊光観察モードにおいて、常にエイミング光が観察部画像で視認できる。」
ケ「【0085】
例えば、光断層画像化装置に限らず、前記のようなプローブを用いて不可視光の光軸を走査する不可視光照射装置として、レーザ光照射治療装置などにも適用することができる。」
コ 【図1】
「
[図:0001434955000003.jpg]
」
サ 【図2】
「
[図:0001434955000004.jpg]
」
シ 【図3】
「
[図:0001434955000005.jpg]
」
(2)引用文献1に記載された発明
上記(1)の記載事項及び図面を総合勘案すると、引用文献1には、以下の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる(ここで、各構成単位末尾の括弧内には、主たる認定根拠とした記載箇所を示す。)。
「 被検者の体腔10内に挿入される内視鏡の挿入部12と、生体の体腔10内の観察部のカラー画像を取得する観察部画像取得部14と、カラー画像を表示するモニタ16とを備え、また、体腔10内の測定領域18の光断層画像を取得するOCT取得部20と、内視鏡の挿入部12に設けられた鉗子口22に挿入される光プローブ24と、光断層画像取得動作を制御するOCT制御部26と光断層画像を表示するモニタ28とを備えている、光断層画像化装置1であって、(【0033】)
挿入部12は、内部に先端まで延びるライトガイド32とを備え、ライトガイド32は、観察部画像取得部14へ接続され、(【0034】)
観察部画像取得部14は、通常光観察モードに用いられる白色光を発する白色光源42および、特殊光観察モードに用いられるシアン色光を発するシアン色光源44を備え、(【0035】)
また、白色光源42、シアン色光源44からの光の射出方向には、さらに観察モード切替え制御部50が設けられ、この観察モード切替え制御部50は、前記のOCT制御部26とライトガイド32に接続しており、(【0036】)
そして、観察モード切替え制御部50による制御によって、通常光観察モードにおいては、観察部画像取得部14の白色光源42から射出される白色光がライトガイド32に入射され、体腔10内へ照射され、(【0039】)
また、観察モード切替え制御部50による制御によって、特殊光観察モードにおいては、観察部画像取得部14のシアン色光源44から射出されるシアン色光がライトガイド32に入射され、体腔10内へ照射され、(【0040】)
OCT取得部20は、測定のための光L0を射出する第1の光源60と、後述するエイミング光Leと測定光L1を合波するWDMカプラ64と、を有し、(【0045】)
また、OCT取得部20は、測定の目印を示すためのエイミング光Leを射出する第2の光源70を有し、(【0046】)
第1の光源60は、波長掃引レーザ光を射出するものであり、(【0047】)
また、第2の光源70は、エイミング光Leとして測定部位を確認しやすくするために視認性のある着色された光を射出するものであり、赤色レーザ光(例えば、波長630nmのレーザ光)を射出する赤色レーザ光源78と、緑色レーザ光(例えば、波長532nmのレーザ光)を射出する緑色レーザ光源80を有し、(【0048】)
そして、WDMカプラ64では、測定光L1とエイミング光Leとが合波され、光プローブ24内の光ファイバFB1に導波され、(【0049】)
また、赤色レーザ光源78と緑色レーザ光源80は、ガイド光制御部としての役割も有するOCT制御部26に接続され、OCT制御部26によりその動作を制御され、(【0050】)
エイミング光Leの切替えについて、(【0060】)
通常光観察モードの照明光を測定対象に照射させたときと、特殊光観察モードの照明光を測定対象に照射させたときで、エイミング光Leの波長領域を切替えて、モニタ16内の観察部画像においてエイミング光Leによる測定位置の視認性を向上させ、(【0063】)
具体的には、まず、照明光として白色光源42から白色光を照射する通常光観察モードでは、OCT取得部20における第2の光源70において、赤色レーザ光源78からの赤色レーザ光の射出をOFFとする一方、緑色レーザ光源80からの緑色レーザ光の射出をONとし、(【0064】)
ここで、通常光観察モードから、照明光としてシアン色光源44からシアン色光を照射する特殊光観察モードに切替えると、これに応じてトリガ信号が観察部画像取得部14の観察モード切替え制御部50からOCT制御部26に送信され、そして、OCT制御部26により、第2の光源70において、赤色レーザ光源78からの赤色レーザ光の射出をONとする一方、緑色レーザ光源80からの緑色レーザ光の射出をOFFとするように制御し、(【0066】)
そして、特殊光観察モードから再び通常光観察モードへ切替えると、これに応じてトリガ信号が観察部画像取得部14の観察モード切替え制御部50からOCT制御部26に送信され、そして、OCT制御部26により、第2の光源70において、赤色レーザ光源78からの赤色レーザ光の射出をOFFとする一方、緑色レーザ光源80からの緑色レーザ光の射出をONとするように制御し、(【0068】)
以降同様に、通常光観察モードと特殊光観察モードの切替えごとに、トリガ信号が観察部画像取得部14の観察モード切替え制御部50からOCT制御部26に送信され、OCT制御部26により、第2の光源70において、赤色レーザ光源78からの赤色レーザ光の射出のONとOFF、緑色レーザ光源80からの緑色レーザ光の射出のONとOFFを切替えるように制御する、(【0069】)
光断層画像化装置1。」
4 対比
本願発明と引用発明とを対比する。
(1)医療用レーザー装置
引用発明の「体腔10内の測定領域18の光断層画像を取得する」「光断層画像化装置1」(【0033】)は、「波長掃引レーザ光を射出する」(【0047】)医療装置であるから、本願発明の「医療用レーザー装置」に相当する。
(2)エネルギーガイド
光はエネルギーであるところ、引用発明の「光ファイバFB1」(【0049】)は、本願発明の「エネルギーガイド」に相当する。
(3)第1のエネルギー源
引用発明の「第1の光源60」が本願発明の「第1のエネルギー源」に相当する。そうすると、引用発明の「光ファイバFB1に導波され」る「測定光L1」(【0049】)を生成する「第1の光源60」(【0045】)と、本願発明の「前記エネルギーガイドを介して標的組織を治療するためのエネルギーを生成するように構成された第1のエネルギー源」とは、「前記エネルギーガイドを介して標的組織を」処置「するためのエネルギーを生成するように構成された第1のエネルギー源」の点で共通する。
(4)光源
引用発明の「通常光観察モード」と「特殊光観察モード」が本願発明の「2つの照射モード」に相当する。また、引用発明の「白色光源42」と「シアン色光源44」が本願発明の「光源」に相当する。そうすると、引用発明の「測定対象に照射させ」る(【0063】)ための「通常光観察モードに用いられる白色光を発する白色光源42および、特殊光観察モードに用いられるシアン色光を発するシアン色光源44」(【0035】)は、本願発明の「前記標的組織を照射するための少なくとも2つの照射モードを有する光源」に相当する。
(5)第2のエネルギー源
引用発明の「緑色レーザ光(例えば、波長532nmのレーザ光)」及び「赤色レーザ光(例えば、波長630nmのレーザ光)」が、それぞれ、本願発明の「第1の照準ビーム」及び「第2の照準ビーム」に相当する。また、引用発明の「第2の光源70」が本願発明の「第2のエネルギー源」に相当する。そうすると、引用発明の「光ファイバFB1に導波され」(【0049】)、「エイミング光Leとして測定部位を確認しやすくするために視認性のある着色された光を射出するものであり、赤色レーザ光(例えば、波長630nmのレーザ光)を射出する赤色レーザ光源78と、緑色レーザ光(例えば、波長532nmのレーザ光)を射出する緑色レーザ光源80を有」する「第2の光源70」(【0048】)であって、「赤色レーザ光(例えば、波長630nmのレーザ光)」が、「緑色レーザ光(例えば、波長532nmのレーザ光)」とは異なる「波長」特性を有する、「第2の光源70」は、「白色光源42」と「シアン色光源44」とは異なるから、本願発明の「前記光源とは異なる、前記エネルギーガイドを通じて第1及び第2の照準ビームを標的組織に放射するように構成された第2のエネルギー源であって、前記第2の照準ビームが、前記第1の照準ビームとは異なる少なくとも1つの特性を有する、第2のエネルギー源」に相当する。
(6)コントローラ
ア コントローラ(制御部)がコンピュータであることは技術常識であるから、引用発明の「OCT制御部26」は、本願発明の「ハードウェアを備えるコントローラ」に相当する。
イ 引用発明では、「通常光観察モードから、照明光としてシアン色光源44からシアン色光を照射する特殊光観察モードに切替えると、これに応じてトリガ信号が観察部画像取得部14の観察モード切替え制御部50からOCT制御部26に送信され、そして、OCT制御部26により、第2の光源70において、赤色レーザ光源78からの赤色レーザ光の射出をONとする一方、緑色レーザ光源80からの緑色レーザ光の射出をOFFとするように制御し」(【0066】)、「特殊光観察モードから再び通常光観察モードへ切替えると、これに応じてトリガ信号が観察部画像取得部14の観察モード切替え制御部50からOCT制御部26に送信され、そして、OCT制御部26により、第2の光源70において、赤色レーザ光源78からの赤色レーザ光の射出をOFFとする一方、緑色レーザ光源80からの緑色レーザ光の射出をONとするように制御」する(【0068】)から、引用発明の「OCT制御部26」は、「通常光観察モード」を示す「信号」、又は、「特殊光観察モード」を示す「信号」を受信し、受信した「信号」が「通常光観察モード」を示す場合、「緑色レーザ光」を選択し、選択した「緑色レーザ光」を「射出」するように制御し、受信した「信号」が「特殊光観察モード」を示す場合、「赤色レーザ光」を選択し、選択した「赤色レーザ光」を「射出」するように「制御」することは、明らかである。
ウ そうすると、引用発明の「OCT制御部26」であって、「OCT制御部26」が、
「通常光観察モード」を示す「信号」、又は、「特殊光観察モード」を示す「信号」を受信し、
受信した「信号」が「通常光観察モード」を示す場合、「緑色レーザ光」を選択し、選択した「緑色レーザ光」を「射出」するように「制御」し、
受信した「信号」が「特殊光観察モード」を示す場合、「赤色レーザ光」を選択し、選択した「赤色レーザ光」を「射出」するように「制御」する、
「OCT制御部26」は、
本願発明の「ハードウェアを備えるコントローラであって、前記コントローラは、
前記標的組織を現在照射している前記少なくとも2つの照射モードの一方を示す信号を受信し、
前記標的組織を現在照射している照射モードに基づいて、前記第1及び第2の照準ビームから照準ビームを選択し、かつ、
前記標的組織に向けて選択された照準ビームを放射するように第2のエネルギー源を制御する
ように構成された、コントローラ」ことに相当する。
5 一致点・相違点
上記4での対比を踏まえると、本願発明と引用発明とは、次の(1)の点で一致し、次の(2)の点で相違する。
(1)一致点
「医療用レーザー装置は、
エネルギーガイド;
前記エネルギーガイドを介して標的組織を」処置「するためのエネルギーを生成するように構成された第1のエネルギー源;
前記標的組織を照射するための少なくとも2つの照射モードを有する光源;
前記光源とは異なる、前記エネルギーガイドを通じて第1及び第2の照準ビームを標的組織に放射するように構成された第2のエネルギー源であって、前記第2の照準ビームが、前記第1の照準ビームとは異なる少なくとも1つの特性を有する、第2のエネルギー源;及び、
ハードウェアを備えるコントローラであって、前記コントローラは、
前記標的組織を現在照射している前記少なくとも2つの照射モードの一方を示す信号を受信し、
前記標的組織を現在照射している照射モードに基づいて、前記第1及び第2の照準ビームから照準ビームを選択し、かつ、
前記標的組織に向けて選択された照準ビームを放射するように第2のエネルギー源を制御する
ように構成された、コントローラ;
を備える」「医療用レーザー装置。」
(2)相違点(第1のエネルギー源)
第1のエネルギー源が生成するエネルギーが、本願発明では、標的組織を「治療」するためのエネルギーであるのに対し、引用発明では、標的組織を「測定」するためのエネルギーである点。
6 判断
上記相違点について検討する。
引用文献1には、「【請求項1】照射対象に照射させる不可視光を射出する不可視光光源と、前記不可視光と合波させて前記照射対象に照射させることにより前記不可視光の照射位置を明示するためのガイド光を射出するガイド光光源と、を有し、・・・を特徴とする不可視光照射装置。」(上記3(1)ア)、「【0001】本発明は不可視光照射装置・・・に係り、特に、不可視光の照射位置を確認するためのガイド光(エイミング光)の技術に関する。」(上記3(1)イ)、「【0014】 本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、通常光観察モードおよび特殊光観察モードにおいて、観察部画像でエイミング光が常に確認できる不可視光照射装置、・・・を提供することを目的とする。」(上記3(1)エ)、及び「【0085】例えば、光断層画像化装置に限らず、前記のようなプローブを用いて不可視光の光軸を走査する不可視光照射装置として、レーザ光照射治療装置などにも適用することができる。」(上記3(1)イ)と記載され、当該記載事項によれば、「不可視光照射装置」として、「光断層画像化装置」に限らず、「レーザ光照射治療装置」にも適用できることが記載されている。
してみると、引用文献1の上記記載事項を踏まえると、上記相違点1は、本願発明と引用発明(引用文献1に記載された発明)との実質的な相違点ではない。仮に、上記相違点が実質的な相違点であるとしても、引用文献1の上記記載事項に鑑み、引用発明において、「不可視光照射装置」として、「光断層画像化装置」から「レーザ光照射治療装置」へ変更し(変更した結果として、第1のエネルギー源が生成するエネルギーは、標的組織を「測定」するためのエネルギーから、標的組織を「治療」するためのエネルギーへ変更され)、上記相違点1に係る本願発明の構成とすることは、当業者が適宜なし得ることである。
7 本願発明についてのまとめ
したがって、本願発明は、引用発明(引用文献1に記載された発明)であり、引用発明(引用文献1に記載された発明)に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。
8 令和7年7月22日提出の上申書について
(1)補正案
請求人は、令和7年7月22日提出の上申書において、請求項1について次の補正案を提示している。
「[請求項1]
医療用レーザー装置は、
エネルギーガイド;
前記エネルギーガイドを介して標的組織を治療するためのエネルギーを生成するように構成された第1のエネルギー源;
前記標的組織を照射するための少なくとも2つの照射モードを有する光源;
前記光源とは異なる、前記エネルギーガイドを通じて第1及び第2の照準ビームを前記標的組織に放射するように構成された第2のエネルギー源であって、前記第2の照準ビームが、前記第1の照準ビームとは異なる少なくとも1つの特性を有する、第2のエネルギー源;及び、
ハードウェアを備えるコントローラであって、前記コントローラは、
前記少なくとも2つの照射モードの一方をオンにし、
前記第2のエネルギー源を作動して、前記第1または第2の照準ビームの1つを生成し、
前記標的組織を現在照射している前記少なくとも2つの照射モードの一方を示す信号を受信し、
前記第1または第2の照準ビームの1つが前記現在照射している照射モードに適切であるかどうか、照射モードの履歴データと対応する照準ビームの特性との対応関係に基づいて判定し、かつ、
前記第1または第2の照準ビームの1つが前記現在照射している照射モードでの使用に適していないと判定された場合、照準ビームを変更する
ように構成された、コントローラ;
を備えることを特徴とする医療用レーザー装置。」
(2)補正案についての検討
ア サポート要件の確認
上記補正案のコントローラが行う、オン・生成・受信・判定・変更の工程は、上記「第2の2(2)ア(ア-2)図3フローの概要」における(符合302)・(符号306)・(符号308)・(符号310)・(符号310N)と(符号312)の工程に対応するから、上記補正案は発明の詳細な説明に記載したものといえる。
イ 新規性・進歩性の判断
引用発明は、通常光観察モードの白色光では緑色レーザ光のエイミング光Le、特殊光観察モードのシアン色光では赤色レーザ光のエイミング光Leを用いるとの対応関係が予め設定されていることは明らかであり、観察のため、通常光観察モードの白色光、又は、特殊光観察モードのシアン色光、の一方が照射され、その後、測定のため、不可視光の測定光L1と、上記の対応関係に基づき決定された、照射された観察モードに応じたエイミング光Leとが合波された光が射出されるものであり、観察モードが変更された場合、変更された観察モードに応じたエイミング光Leに変更されるものである。
してみると、補正案と引用発明とは、第1または第2の照準ビームの1つが現在照射している照射モードに適切であるかどうか、を、補正案では、「照射モードの履歴データと対応する照準ビームの特性との対応関係」に基づいて判定するのに対し、引用発明では、「通常光観察モードの白色光では緑色レーザ光のエイミング光Le、特殊光観察モードのシアン色光では赤色レーザ光のエイミング光Leを用いるとの対応関係」に基づいて判定している点で相違し、その余の点では一致するものといえる。
上記相違点について検討するに、引用発明での対応関係が、通常光観察モード・特殊光観察モードの過去データから、対応するエイミング光の波長が決定されていることは明らかであるから、引用発明での対応関係は、補正案の対応関係に相当するものといえる。そうすると、上記相違点は実質的な相違点であるとはいえないし、仮に実質的な相違点であるとしても、引用発明において、通常光観察モード・特殊光観察モードの過去データから、対応するエイミング光の波長を決定することで、補正案の対応関係とすることは、当業者が容易になし得ることである。
(3)補正案についてのまとめ
してみると、補正案は、サポート要件は満たすものの、引用発明(引用文献1に記載された発明)であり、引用発明(引用文献1に記載された発明)に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。
第4 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第1項第3号に該当し、また、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないから、他の拒絶の理由及び他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2025-002352