2021-016043
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- 審判番号
- 2021-016043
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2020-068718外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2021年11月24日
- 審決日
- 2023年11月15日
- 公報発行日
- 2024年02月22日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】株式会社ユピテル
- 分類
- P18 .121-WZ (G08G)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
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結論
理由
目次 ▾ 17項目
第1 手続の経緯
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この出願(以下「本願」という。)は、平成24年6月25日に出願した特願2012-141681号の一部を、平成29年4月11日に新たな特許出願とした特願2017-77996号の一部を、平成30年11月27日に新たな特許出願とした特願2018-220808号の一部を、令和2年4月7日に新たな特許出願としたものであって、令和3年3月26日付け(発送日:同年3月30日)で拒絶理由が通知され、その指定期間内である令和3年5月21日に意見書及び手続補正書が提出され、令和3年8月17日付け(発送日:同年8月24日)で拒絶査定がされ、これに対し、令和3年11月24日に拒絶査定不服審判が請求され、その請求と同時に手続補正書が提出され、当審において令和4年9月6日付け(発送日:同年9月13日)で拒絶理由が通知され、その指定期間内である令和4年11月11日に意見書及び手続補正書が提出され、当審において令和5年3月8日付け(発送日:同年3月14日)で拒絶理由が通知され、その指定期間内である令和5年5月15日に意見書が提出されたものである。
第2 本願発明
本願の請求項1ないし4に係る発明は、令和4年11月11日の手続補正により補正がされた特許請求の範囲の請求項1ないし4に記載された事項により特定されるとおりのものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、次のとおりである。
〔本願発明〕
「イベント発生の条件が成立したとき、前記イベント発生地点が、記録された運行情報を見ることのできる操作者によって予め登録されている特定の地点の範囲内にない場合に、その時点をイベント発生時点と決定し、記録手段への運行情報の記録を行う装置であって、前記イベント発生地点が前記操作者によって予め登録されている特定の地点の範囲内にある場合でも、前記運行情報が予め定めたパターンに類似しているか否かの判断により異常状態の発生に該当するか否かを判定し、異常状態に該当する場合には、その時点も前記イベント発生時点と決定して前記記録手段への運行情報の記録を行う機能を備えること、を特徴とする運行情報記録装置。」
第3 当審において通知した拒絶の理由について
当審において令和5年3月8日付けで通知した拒絶の理由の概要は以下のとおりである。
理由(進歩性)
この出願の請求項1ないし4に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
記(引用文献等については引用文献等一覧を参照)
●理由(進歩性)について
・請求項1ないし4
・引用文献1及び2
<引用文献等一覧>
1.特開2009-87274号公報
2.特開2008-3657号公報(周知技術として提示した文献)
第4 引用文献
1 引用文献1の記載事項
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当審において令和5年3月8日付けで通知した拒絶の理由に引用され、本願の出願前に頒布された刊行物である引用文献1(特開2009-87274号公報)には、「ドライブレコーダ」に関して、図面とともに、次の事項が記載されている(下線は当審が付与。以下同様。)。
ア 「【0003】また、最近では、車両に衝撃が加わった場合に、その衝撃が加わった前後における所定の情報を記録媒体に記録させるドライブレコーダが開発されてきている。このようなドライブレコーダにおいては、ドライブレコーダの制御部は、例えば加速度センサからの信号をフィルタ処理し、そのフィルタ処理された信号の大きさが所定の閾値を超えたか否かを判断する。そして、フィルタ処理された信号の大きさが所定の閾値を超えた場合には、所定の閾値を超えた前後における加速度、車速等の情報を記録媒体に記録させる。乗員は、ドライブレコーダの記録媒体に記録された情報を解析することにより、車両に衝撃が加わった際の車両の走行状態等を把握することができる。」
イ 「【0005】ドライブレコーダに設定された上記所定の閾値は、通常は、急加速や急減速等の状況を想定して設定される。この場合、想定外の状況における衝撃、例えば路面の凹凸に起因する衝撃等が、車両に加わった場合に、フィルタ処理された信号の大きさが所定の閾値を超えた場合には、加速度、車速等の所定の情報が記録媒体に記録されてしまう。想定外の状況における情報が記録媒体に記録された場合には、記録媒体の容量の関係から、想定した状況の情報を的確に記録媒体に記録させることができないといった問題が生じるおそれがある。また、想定外の状況における情報が記録媒体に記録されていると、乗員による記録媒体に記録された情報の解析作業の円滑な実行が困難となる。【0006】本発明は、想定した状況における情報を的確に記録することができるドライブレコーダを提供することを目的とする。」
ウ 「【0028】図2は、実施例1に係るドライブレコーダ60の機能ブロック図である。図2において、衝撃情報取得部102は、車両10に加わった衝撃に関する情報を取得する。衝撃情報取得部102は、図1に示す加速度センサ54に相当する。【0029】車両操作情報取得部104は、車両10の操作に関する車両操作情報を取得する。車両操作情報取得部104は、図1に示すハンドルポジションセンサ35、ブレーキポジションセンサ50およびアクセルポジションセンサ52に相当する。車速情報取得部106は、車両10の車速に関する車速情報を取得する。車速情報取得部106は、図1に示す車速センサ56に相当する。位置情報取得部108は、車両10の位置に関する位置情報を取得する。位置情報取得部108は、図1に示すGPSセンサ40に相当する。映像情報取得部110は、車両10の周囲の映像に関する映像情報を取得する。映像情報取得部110は、図1に示すカメラ20に相当する。音声情報取得部112は、車両10の周囲の音声に関する音声情報を取得する。音声情報取得部112は、図1に示すマイク30に相当する。続きを表示(全62行)【0030】ドライブレコーダ60は、入出力インターフェース部120と、CPU130と、ROM132と、RAM134と、EEPROM136と、一時記録部140と、第1記録部142と、第2記録部144と、を備える。入出力インターフェース部120は、入力インターフェース部(図示せず)と出力インターフェース部(図示せず)とを含んで構成される。入力インターフェース部は、所定の信号をCPU130に入力させるためのインターフェースとしての機能を有する。出力インターフェース部は、CPU130からの信号をドライブレコーダ60の外部に出力させるためのインターフェースとしての機能を有する。衝撃情報取得部102、車両操作情報取得部104、車速情報取得部106、位置情報取得部108、映像情報取得部110および音声情報取得部112(以下、これらの情報取得部を各種情報取得部と称する)からの情報は、電気信号として入力インターフェース部に入力され、入力インターフェース部を介してCPU130に伝えられる。【0031】CPU130は、所定の情報を一時記録部140、第1記録部142および第2記録部144(以下、これらの記録部を各種記録部と称する)に記録させる制御部としての機能を有する。CPU130としては周知のCPUを用いることができる。ROM132は、CPU130の動作プログラムを記憶する。ROM132としては、周知のROMを用いることができる。RAM134は、CPU130が動作する際に必要な情報を揮発的に記録する。RAM134としては、周知のRAMを用いることができる。EEPROM136は、CPU130が動作する際に必要な情報を消去可能および再書き込み可能に記憶する。EEPROM136としては、周知のEEPROMを用いることができる。【0032】一時記録部140は、所定の情報を一時的に記録可能な記録媒体である。一時記録部140としては、例えば周知のRAMを用いることができる。CPU130は、各種情報取得部からの情報を一時記録部140にリングバッファ方式で一時的に記録させる。例えば、CPU130は、一時記録部140に、各種情報取得部からの情報を所定のタイミング毎に一旦記録させる。そして、一時記録部140に記録された情報が予め定められた記録時間に達した場合には、CPU130は、一時記録部140に記録された情報のうち時間的に最も古い情報を更新させる。つまり、CPU130は、一時記録部140において常に時系列で情報が記録されている状態となるように、情報の一時記録部140への記録を繰り返す。【0033】第1記録部142は、一時記録部140に記録された所定の情報を不揮発的に記録可能な記録媒体である。第1記録部142としては、周知のフラッシュメモリを用いることができる。CPU130は、所定の条件が満たされた場合には、一時記録部140の所定の情報の少なくとも一部を第1記録部142に記録させる。なお、第1記録部142は、ドライブレコーダ60から取り出し可能な記録媒体であることが好ましい。第1記録部142がドライブレコーダ60から取り出し可能であれば、第1記録部142をドライブレコーダ60の外部の情報解析装置に装着することができる。それにより、第1記録部142に記録されている情報を解析することが容易になる。【0034】また、本実施例においては、第2記録部144には、路面の凹凸に起因して生じる路面衝撃が発生する位置(以下、路面衝撃位置と称する)に関する路面衝撃位置情報があらかじめ不揮発的に記録されている。例えば、第2記録部144には、路面衝撃位置の緯度および経度が、あらかじめ不揮発的に記録されている。【0035】なお、第2記録部144は、ドライブレコーダ60から取り出し可能な記録媒体であることが好ましい。第2記録部144がドライブレコーダ60から取り出し可能であれば、第2記録部144を他の車両のドライブレコーダに装着することができる。それにより、第2記録部144に記録されている情報を他の車両で利用することが容易になる。【0036】続いて、ドライブレコーダ60の動作について説明する。図3は、ドライブレコーダ60の動作の全体を示すフローチャートの一例である。本実施例に係るドライブレコーダ60のCPU130は、所定の情報を一時記録部140に記録させつつ、車両10の位置に関する位置情報と路面衝撃位置情報とを比較する比較処理を実行し、比較処理の実行結果に基づいて車両10に加わった衝撃に対応する信号の大きさが所定値を超えたか否かの判断処理を実行し、判断処理の実行結果に基づいて一時記録部140に記録された所定の情報の少なくとも一部を第1記録部142に記録させる。【0037】具体的には、ドライブレコーダ60は、各種情報取得部からの情報を受け取り、それらの情報を用いて、所定の演算処理(以下、情報演算処理と称する)を実行する(ステップS1)。例えば、ドライブレコーダ60のCPU130は、衝撃情報取得部102からの出力信号を受け取り、その出力信号からノイズを除去して加速度に対応する信号に演算する処理(以下、信号演算処理と称する)を実行する。また、CPU130は、音声情報取得部112からの音声情報を受け取り、その音声情報を音声信号に演算する処理を実行する。【0038】次いで、CPU130は、所定の情報を一時記録部140に一時的に記録させる処理(以下、一時記録処理と称する)を実行する(ステップS2)。例えば、CPU130は、ステップS1において演算された演算信号および音声信号を一時記録部140に一時的に記録させるとともに、ハンドルポジション、ブレーキ開度およびアクセル開度の車両操作情報と、車速情報と、位置情報と、映像情報と、を一時記録部140に一時的に記録させる。つまり、車両10のイグニションスイッチ(図示せず)がオンにされている間は、演算信号と、音声信号と、ハンドルポジション、ブレーキ開度およびアクセル開度の車両操作情報と、車速情報と、位置情報と、映像情報と、がそれぞれ一時記録部140に一時的に記録され続けている。【0039】次いで、CPU130は、第1記録部記録処理を実行する(ステップS3)。具体的には、CPU130は、車両10の位置に関する位置情報と路面衝撃位置情報とを比較する比較処理を実行し、比較処理の実行結果に基づいて車両10に加わった衝撃に対応する信号の大きさが所定値を超えたか否かの判断処理を実行し、判断処理の実行結果に基づいて一時記録部140に記録された所定の情報の少なくとも一部を第1記録部142に記録させる。次いで、CPU130は、フローチャートの実行を終了する。CPU130は、所定時間毎に図3に示すフローチャートを繰り返し実行する。【0040】図4は、CPU130の信号演算処理を示す模式的ブロック図である。車両10に衝撃が加わると、衝撃情報取得部102は、衝撃時に車両10に加わった加速度を取得する。なお、衝撃情報取得部102が取得した加速度は、ノイズを含んでいる。衝撃情報取得部102は、取得した加速度をアナログ信号として出力する。衝撃情報取得部102からのアナログ信号は、A/D変換部122により、アナログ信号からデジタル信号に変換される。ハイパスフィルタ部124およびローパスフィルタ部126は、デジタル信号に変換された信号のノイズを除去する。ハイパスフィルタ部124は、信号の低周波成分を除去する。ローパスフィルタ部126は、信号の高周波成分を除去する。以上の処理により、衝撃情報取得部102からの出力信号は、加速度に対応する信号に演算される。なお、演算された加速度に対応する信号を演算信号と称する。演算信号は、「車両10に加わった衝撃に対応する信号」に相当する。また、演算信号の大きさは、加速度の大きさに対応する。【0041】なお、図4において、A/D変換部122は、図2に示す入出力インターフェース部120の入力インターフェース部に相当する。また、ハイパスフィルタ部124およびローパスフィルタ部126は、図2に示すCPU130に相当する。【0042】図5(a)~図5(c)は、演算信号の一例を示す模式図である。図5(a)~図5(c)において、縦軸は演算信号の大きさを示し、横軸は時間を示している。図5(a)は、車両10が急減速した場合の演算信号の模式図である。図5(b)は、車両10が急加速した場合の演算信号の模式図である。図5(c)は、路面衝撃時において衝撃情報取得部102により取得された加速度が、CPU130によって信号演算処理された後の演算信号(以下、路面演算信号と称する)の模式図である。つまり、CPU130は、衝撃情報取得部102により取得された加速度を基に、図5(a)~図5(c)に示すような演算信号を演算する。【0043】また、図5(a)~図5(c)にはそれぞれ、演算信号の大きさが所定値を越えたか否かの判断処理の際に用いられる所定値に相当する第1閾値が示されている。図5(a)において、演算信号の大きさが第1閾値と一致する点を交点200として表示している。図5(b)において、演算信号の大きさが第1閾値と一致する点を交点201として表示している。図5(c)において、演算信号の大きさが第1閾値と一致する点を交点202として表示している。なお、第1閾値は、あらかじめEEPROM136に記録されている。【0044】CPU130は、演算信号の大きさが第1閾値を超えたか否かの判断処理を実行する。そして、CPU130は、演算信号の大きさが第1閾値を超えたか否かの判断処理を実行した結果、演算信号の大きさが第1閾値を超えたと判断された場合に、一時記録部140に記録された所定の情報の少なくとも一部を第1記録部142に記録させる。【0045】続いて、実施例1に係るCPU130の第1記録部記録処理の詳細について説明する。図6は、実施例1に係るドライブレコーダ60のCPU130の第1記録部記録処理を示すフローチャートの一例である。図6に示すように、まず、CPU130は、車両10の現在位置を取得する(ステップS10)。例えば、CPU130は、位置情報取得部108から、車両10の現在位置を取得する。【0046】次いでCPU130は、位置情報と路面衝撃位置情報とを比較する比較処理を実行する(ステップS11)。例えば、CPU130は、ステップS10において取得した車両10の現在位置が、第2記録部144に記録されている路面衝撃位置を含む所定範囲内に含まれるか否かを判断する。ステップS10において取得した車両10の現在位置が、上記所定範囲内に含まれると判断された場合には、CPU130は、車両10の現在位置が路面衝撃位置であると判断する。一方、ステップS10において取得した車両10の現在位置が、上記所定範囲内に含まれると判断されなかった場合には、CPU130は、車両10の現在位置が路面衝撃位置でないと判断する。【0047】ステップS11において、車両10の現在位置が路面衝撃位置でないと判断された場合には、CPU130は、車両10に加わった衝撃に対応する信号の大きさが所定値を超えたか否かの判断処理を実行する(ステップS12)。すなわちCPU130は、演算信号の大きさが第1閾値を超えたか否かの判断処理を実行する。【0048】ステップS12において、演算信号の大きさが第1閾値を超えたと判断された場合には、CPU130は、一時記録部140の記録の更新を停止させる(ステップS13)。【0049】次いでCPU130は、一時記録部140から、車両操作情報および車速情報を取得する(ステップS14)。例えば、CPU130は、演算信号の大きさが第1閾値を超えた時点における車両操作情報および車速情報を取得する。【0050】次いでCPU130は、第1記録部142に記録させる情報の整形処理を行う(ステップS15)。例えば、CPU130は、現在位置情報、演算信号、映像情報、音声信号に関する情報、車両操作情報および車速情報の暗号化、圧縮処理等を行う。【0051】次いでCPU130は、ステップS15で整形処理された情報を、第1記録部142に記録させる(ステップS16)。つまり、本実施例においては、CPU130は、一時記録部140に記録された情報のうち、演算信号、映像情報、音声信号に関する情報、車両操作情報および車速情報を第1記録部142に記録させる。次いで、CPU130は、ステップS13において停止させた一時記録部140の記録の更新の停止を解除する(ステップS17)。次いで、CPU130はフローチャートの実行を終了する。【0052】一方、ステップS11において、車両10の現在位置が路面衝撃位置でないと判断されなかった場合、CPU130はフローチャートの実行を終了する。つまり、車両10の位置が路面衝撃位置を含む所定範囲内に含まれる場合には、CPU130は、演算信号の大きさが第1閾値を超えたか否かの判断処理を実行しない。この場合、一時記録部140に記録された所定の情報の第1記録部142への記録は行われない。【0053】また、ステップS12において、演算信号の大きさが第1閾値を超えたと判断されなかった場合には、CPU130は、フローチャートの実行を終了する。この場合、一時記録部140に記録された所定の情報の第1記録部142への記録は行われない。【0054】本実施例に係るドライブレコーダ60によれば、CPU130は、車両10の位置情報と路面衝撃位置情報との比較処理を実行し、比較処理の実行結果に基づいて車両10に加わった衝撃に対応する信号の大きさ(演算信号の大きさ)が所定値(第1閾値)を超えたか否かの判断処理を実行し、判断処理の実行結果に基づいて一時記録部140に記録された所定の情報の少なくとも一部を第1記録部142に記録させる。それにより、例えば車両10の位置が路面衝撃位置を含む所定範囲内に含まれる場合には、判断処理を実行しないことが可能となる。その結果、路面衝撃による一時記録部140の情報の第1記録部142への記録が抑制されることから、想定した状況における情報を的確に記録することができる。【0055】なお、本実施例において、第2記録部144に記録されている路面衝撃位置情報としては、路面の凹凸位置に関する緯度および経度の情報を用いたが、これに限られない。例えば、ドライブレコーダ60は、走行ルートに関する地図情報をEEPROM136に記憶し、かつ、第2記録部144には、路面衝撃位置に関する地図上のルートポイントが記録されていてもよい。この場合、CPU130は、図6のステップS11の比較処理において、ステップS10において取得した車両10の現在位置と第2記録部144に記録されているルートポイントと地図情報とを比較する。その結果、CPU130は、車両10の位置が路面衝撃位置を含む所定範囲内に含まれるか否かを判断する。【0056】また、路面衝撃位置情報は、走行方向に関する情報に関連づけられて、第2記録部144に記録されていてもよい。この場合、例えば、CPU130は、図6のステップS11の比較処理において、車両10の現在位置が第2記録部144に記録されている路面衝撃位置を含む所定範囲内に含まれるか否かを判断するとともに車両10の走行方向が第2記録部144に記録されている走行方向と一致するか否かを判断する。車両10が受ける衝撃に対応する信号の大きさは、走行方向、すなわち車両10の路面の凹凸位置を通過する方向によって異なることが考えられる。したがって、緯度、経度等の路面衝撃位置情報にルート情報が関連づけて記録されていることにより、CPU130は、路面衝撃位置をより的確に把握することができる。その結果、ドライブレコーダ60は、想定した状況における情報を的確に記録することができる。【0057】なお、路面衝撃位置情報を走行方向に関する情報に関連づけて第2記録部144に記録させるためには、例えば、走行方向に対して路面凹凸位置を挟んだ前後の緯度・経度を第2記録部144に記録させればよい。この場合、CPU130は、路面衝撃位置情報を取得するとともに車両10の走行方向を取得することができる。【0058】また、ドライブレコーダ60が走行ルートに関する地図情報を記憶している場合には、路面衝撃位置情報は、走行ルートに関する情報に関連づけられて、第2記録部144に記録されていてもよい。また、走行ルートに関する情報は、車線情報に関連づけられて第2記録部144に記録されていてもよい。」
エ 「【0059】(変形例1)また、CPU130は、比較処理を実行した結果、車両10の位置が路面衝撃位置を含む所定範囲内に含まれる場合には、所定値(第1閾値)を車両10の位置が所定範囲内に含まれない場合の所定値に比較して大きい所定値に変更した後に車両10に加わった衝撃に対応する信号の大きさ(演算信号の大きさ)が所定値を超えたか否かの判断処理を実行してもよい。図7は、実施例1の変形例1に係るドライブレコーダ60のCPU130の第1記録部記録処理を示すフローチャートの一例である。図7に示すフローチャートは、ステップS20とステップS21とをさらに含む点において、図6に示すフローチャートと異なる。その他の構成は、図6に示すフローチャートと同様のため、説明を省略する。【0060】図7に示すように、本変形例に係るCPU130は、ステップS11において比較処理を実行した結果、車両10の位置が路面衝撃位置を含む所定範囲内に含まれると判断された場合には、第1閾値を車両10の位置が所定範囲内に含まれない場合の第1閾値に比較して大きい閾値に変更する(ステップS20)。【0061】次いで、CPU130は、演算信号の大きさがステップS20において変更された閾値を越えたか否かの判断処理を実行する(ステップS21)。ステップS21において、演算信号の大きさがステップS20において変更された閾値を超えたと判断された場合には、CPU130はステップS13を実行する。一方、ステップS21において演算信号の大きさがステップS20において変更された閾値を超えたと判断されなかった場合には、CPU130は、フローチャートの実行を終了する。【0062】本変形例に係るドライブレコーダ60によれば、CPU130は、比較処理を実行した結果、車両10の位置が路面衝撃位置を含む所定範囲内に含まれる場合には、所定値(第1閾値)を車両10の位置が所定範囲内に含まれない場合の所定値に比較して大きい所定値に変更した後に車両10に加わった衝撃に対応する信号の大きさ(演算信号の大きさ)が変更後の所定値を超えたか否かの判断処理を実行する。それにより、車両10の位置が路面衝撃位置を含む所定範囲内に含まれる場合に、路面衝撃を除く衝撃が発生した場合であっても、路面衝撃を除く衝撃に対応する信号の大きさ(演算信号の大きさ)が変更後の所定値(変更後の閾値)を超える場合には、一時記録部140の情報を第1記録部142に記録させることができる。それにより、想定した状況における情報を的確に記録することができる。」
オ 「【0098】本実施例に係るドライブレコーダ60aによれば、CPU130aは、乗員の判断に基づいて、車両10aの位置情報、具体的には演算信号の大きさが第2閾値を超えた際の車両10aの位置情報を、路面衝撃位置情報として第2記録部144に記録させることができる。また、本実施例に係るドライブレコーダ60aによれば、CPU130aは、図14に示すフローチャートを実行した後には、図6に示す実施例1に係るフローチャート、図7に示す実施例1の変形例1に係るフローチャート、図9に示す実施例1の変形例2に係るフローチャート、図10に示す実施例1の変形例3に係るフローチャートのいずれかのフローチャートを実行する。それにより、路面衝撃による一時記録部140に記録された情報の第1記録部142への記録が抑制されることから、想定した状況における情報を的確に記録することができる。【0099】(変形例1)なお、CPU130aは、乗員の判断に基づいて、位置情報を路面衝撃位置情報として第2記録部144に記録させ、かつ、車両10aに加わった衝撃に対応する信号に関する衝撃情報を路面衝撃識別情報として第2記録部144に記録させてもよい。そして、CPU130aは、第2記録部144への記録を行った後には、図10に示すような実施例1の変形例3に係るフローチャートを実行してもよい。」
カ 図7「
[図:0001406090000001.jpg]
」
2 引用文献1に記載された発明
上記1イないしエの記載事項及び上記1カの図示内容を総合すると、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されている。
〔引用発明〕
「車両10のイグニションスイッチがオンにされている間は、車両10に加わった衝撃に対応する信号(演算信号)と、音声信号と、ハンドルポジション、ブレーキ開度およびアクセル開度の車両操作情報と、車速情報と、位置情報と、映像情報と、がそれぞれ一時記録部140に一時的に記録され続け、車両10の現在位置が第2記録部144にあらかじめ記録されている路面衝撃位置を含む所定範囲内でないと判断された場合には、車両10に加わった衝撃に対応する信号の大きさ(演算信号の大きさ)が第1閾値を超えたか否かの判断処理を実行し、第1閾値を超えたと判断された場合には、一時記録部140の記録の更新を停止させ、一時記録部140から車両10に加わった衝撃に対応する信号(演算信号)、映像情報、音声信号に関する情報、車両操作情報、車速情報を取得し第1記録部142に記録させるドライブレコーダー60であって、車両10の現在位置が路面衝撃位置を含む所定範囲内に含まれる場合に、第1閾値を車両10の位置が所定範囲内でない場合の所定値に比較して大きい所定値に変更し、車両10に加わった衝撃に対応する信号の大きさ(演算信号の大きさ)が変更された所定値を超えたか否かの判断処理を実行し、演算信号の大きさが変更された所定値を超えたと判断された場合には、一時記録部140の記録の更新を停止させ、一時記録部140から車両10に加わった衝撃に対応する信号(演算信号)、映像情報、音声信号に関する情報、車両操作情報、車速情報を取得し第1記録部142に記録させるドライブレコーダー60。」
3 引用文献1に記載された事項
上記1オの記載事項から、乗員の判断に基づいて路面衝撃位置情報を第2記録部144に予め記録させることができると理解できる。
上記1アの記載事項から、乗員は、ドライブレコーダの記録媒体に記録された加速度、車速等の情報を解析することにより、車両に衝撃が加わった際の車両の走行状態等を把握することができることから、その解析の際に、乗員は記録された加速度、車速等の情報を見ることができると理解できる。
そうすると、上記1ア及びオの記載事項から、引用文献1には、次の事項(以下「引用文献1記載事項」という。)も記載されている。
〔引用文献1記載事項〕
「記録された加速度、車速等の情報を見ることのできる乗員の判断に基づいて路面衝撃位置情報を予め記録すること。」
第5 対比
本願発明と引用発明とを対比する。
引用発明の「第1記録部142」は、その機能、構成又は技術的意義からみて、本願発明の「記録手段」に相当し、以下同様に、「車両10に加わった衝撃に対応する信号(演算信号)、映像情報、音声信号に関する情報、車両操作情報、車速情報」は「運行情報」に、「あらかじめ記録されている路面衝撃位置」は「予め登録されている特定の地点」に、「ドライブレコーダー60」は「運行情報記録装置」に、それぞれ相当する。
また、引用発明の「車両10に加わった衝撃に対応する信号の大きさ(演算信号の大きさ)が第1閾値を超えたか否かの判断処理を実行し、第1閾値を超えたと判断された場合」は、本願発明の「イベント発生の条件が成立したとき」に相当し、引用発明の「一時記録部140の記録の更新を停止させ、一時記録部140から車両10に加わった衝撃に対応する信号(演算信号)、映像情報、音声信号に関する情報、車両操作情報、車速情報を取得し第1記録部142に記録させる」は、一時記録部140の記録の更新を停止させることによりその時点の一時記録部140の情報を第1記録部142に記録させることから、本願発明の「その時点をイベント発生時点と決定し、記録手段への運行情報の記録を行う」に相当する。
そうすると、引用発明の「車両10のイグニションスイッチがオンにされている間は、車両10に加わった衝撃に対応する信号(演算信号)と、音声信号と、ハンドルポジション、ブレーキ開度およびアクセル開度の車両操作情報と、車速情報と、位置情報と、映像情報と、がそれぞれ一時記録部140に一時的に記録され続け、車両10の現在位置が第2記録部144にあらかじめ記録されている路面衝撃位置を含む所定範囲内でないと判断された場合には、車両10に加わった衝撃に対応する信号の大きさ(演算信号の大きさ)が第1閾値を超えたか否かの判断処理を実行し、第1閾値を超えたと判断された場合には、一時記録部140の記録の更新を停止させ、一時記録部140から車両10に加わった衝撃に対応する信号(演算信号)、映像情報、音声信号に関する情報、車両操作情報、車速情報を取得し第1記録部142に記録させる」ことと、本願発明の「イベント発生の条件が成立したとき、前記イベント発生地点が、記録された運行情報を見ることのできる操作者によって予め登録されている特定の地点の範囲内にない場合に、その時点をイベント発生時点と決定し、記録手段への運行情報の記録を行う」こととは、「イベント発生の条件が成立し、かつ、前記イベント発生地点が、予め登録されている特定の地点の範囲内にない場合に、その時点をイベント発生時点と決定し、記録手段への運行情報の記録を行う」こと、という限りにおいて一致する。
さらに、引用発明の「車両10に加わった衝撃に対応する信号の大きさ(演算信号の大きさ)が」「変更された所定値を超えたと判断された場合」は、演算信号の大きさが通常の状態よりも大きいと考えられるから、本願発明の「異常状態」に相当するものといえる。
そうすると、引用発明の「車両10の現在位置が路面衝撃位置を含む所定範囲内に含まれる場合に、第1閾値を車両10の位置が所定範囲内でない場合の所定値に比較して大きい所定値に変更し、車両10に加わった衝撃に対応する信号の大きさ(演算信号の大きさ)が変更された所定値を超えたか否かの判断処理を実行し、演算信号の大きさが変更された所定値を超えたと判断された場合には、一時記録部140の記録の更新を停止させ、一時記録部140から車両10に加わった衝撃に対応する信号(演算信号)、映像情報、音声信号に関する情報、車両操作情報、車速情報を取得し第1記録部142に記録させる」ことと、本願発明の「前記イベント発生地点が前記操作者によって予め登録されている特定の地点の範囲内にある場合でも、前記運行情報が予め定めたパターンに類似しているか否かの判断により異常状態の発生に該当するか否かを判定し、異常状態に該当する場合には、その時点も前記イベント発生時点と決定して前記記録手段への運行情報の記録を行う機能を備えること」とは、「前記イベント発生地点が予め登録されている特定の地点の範囲内にある場合でも、異常状態の発生に該当するか否かを判定し、異常状態に該当する場合には、その時点も前記イベント発生時点と決定して前記記録手段への運行情報の記録を行う機能を備える」という限りにおいて一致する。
したがって、本願発明と引用発明とは、以下の一致点及び相違点を有する。
〔一致点〕
「イベント発生の条件が成立し、かつ、前記イベント発生地点が、予め登録されている特定の地点の範囲内にない場合に、その時点をイベント発生時点と決定し、記録手段への運行情報の記録を行う装置であって、前記イベント発生地点が予め登録されている特定の地点の範囲内にある場合でも、異常状態の発生に該当するか否かを判定し、異常状態に該当する場合には、その時点も前記イベント発生時点と決定して前記記録手段への運行情報の記録を行う機能を備える運行情報記録装置。」
〔相違点1〕
「イベント発生の条件が成立し、かつ、前記イベント発生地点が、予め登録されている特定の地点の範囲内にない場合」に関して、本願発明は「イベント発生地点が」「予め登録されている特定の地点の範囲内にない場合」との条件の前段に「イベント発生の条件が成立したとき」との条件があるのに対し、引用発明は「車両10の現在位置が第2記録部144にあらかじめ記録されている路面衝撃位置を含む所定範囲内でないと判断された場合」との条件の後段に「車両10に加わった衝撃に対応する信号の大きさ(演算信号の大きさ)が第1閾値を超えたか否かの判断処理を実行し、第1閾値を超えたと判断された場合」との条件がある点。
〔相違点2〕
「予め登録されている特定の地点」に関して、本願発明は、予め登録されている特定の地点が「記録された運行情報を見ることのできる操作者によって予め登録されている」のに対し、引用発明は、あらかじめ記録されている路面衝撃位置が「記録された運行情報を見ることのできる操作者によって」あらかじめ記録されているかどうか不明な点。
〔相違点3〕
「異常状態の発生に該当するか否かを判定」に関して、本願発明は、運行情報が「予め定めたパターンに類似しているか否かの判断により」行うのに対し、引用発明は、第1閾値を車両10の位置が所定範囲内に含まれない場合の所定値に比較して大きい所定値に変更し、車両10に加わった衝撃に対応する信号の大きさ(演算信号の大きさ)が変更された所定値を超えたか否かの判断処理を実行し、演算信号の大きさが変更された所定値を超えたと判断することにより行う点。
第6 当審の判断
1 相違点1について
上記相違点1について検討する。
引用発明は「車両10の現在位置が第2記録部144にあらかじめ記録されている路面衝撃位置を含む所定範囲内でないと判断された場合」との条件1が成立し、かつ、「車両10に加わった衝撃に対応する信号の大きさ(演算信号の大きさ)が第1閾値を超えたか否かの判断処理を実行し、第1閾値を超えたと判断された場合」との条件2が成立すると、「一時記録部140の記録の更新を停止させ」るものであり、上記条件1と上記条件2の前後関係を入れ替えて上記条件2を上記条件1の前段の条件としても「一時記録部140の記録の更新を停止させ」ることによりどの時点の情報を第1記録部142に記録させるかは変わらないから、引用発明において、上記条件2を上記条件1の前段の条件とすることは、当業者が適宜なし得る設計変更の範囲内の事項にすぎない。
そうすると、引用発明において、上記相違点1に係る本願発明の発明特定事項とすることは、当業者が容易に想到できたことである。
2 相違点2について
上記相違点2について検討する。
上記第4の3に記載のとおり、引用文献1には「記録された加速度、車速等の情報を見ることのできる乗員の判断に基づいて路面衝撃位置情報を予め記録すること。」という引用文献1記載事項が記載されている。
そして、引用発明に引用文献1記載事項を採用することは、路面衝撃位置情報を予め記録する、という共通する機能のための手段の具体化にすぎない。
そうすると、引用発明において、引用文献1記載事項を採用し、上記相違点2に係る本願発明の発明特定事項とすることは、当業者が容易に想到できたことである。
また、引用文献1の段落【0034】には、第2記録部144には路面衝撃位置があらかじめ記録されていることが記載されている。
そして、特定の地点を、記録された運行情報を見ることのできる操作者によって登録されている「特定の地点」とすることは、周知の技術であり(例えば、引用文献2の【0052】~【0054】及び図8を参照。以下「周知技術1」という。)、引用発明において、上記周知技術1を採用し、上記相違点2に係る本願発明の発明特定事項とすることは、当業者が容易に想到できたことである。
3 相違点3について
上記相違点3について検討する。
引用発明における「第1の閾値を車両10の位置が所定範囲内に含まれない場合の所定値に比較して大きい所定値を超えたか否かの判断」も「予め定めたパターンに類似しているか否かの判断」と理解できる。この場合、相違点3は実質的な相違点ではない。
仮にこのように理解できないとしても、異常状態の予め定めたパターンと比較することによって異常状態の発生を判定することは例を挙げるまでもなく本願出願前の周知技術であり、路面衝撃によるものと路面衝撃によるものでないことが区別できるように予めパターンを定め、当該パターンと比較することによって異常状態の発生を判定することにより、上記相違点3に係る本願発明の発明特定事項とすることは、当業者が容易に想到できたことである。
4 効果について
そして、全体としてみても、本願発明は、引用発明及び引用文献1記載事項から当業者が予測し得ない格別顕著な効果を奏するものとはいえない。
5 令和5年5月15日提出の意見書における審判請求人の主張について
審判請求人は上記意見書において、
「引用文献1には、「運行情報を見ることのできる操作者によって予め登録されている」の記載はなく、引用文献1から本願発明には想到しません。引用文献1には、「路面衝撃位置情報として第2記録部144に記録させる。」というように「第1記録部142」とは別の「第2記録部144」に「路面衝撃位置情報」を記録されることが記載されています。そして「第1記録部142」については[0033]に「第1記録部142をドライブレコーダ60の外部の情報解析装置に装着することができる。それにより、第1記録部142に記録されている情報を解析することが容易になる。」と記載されているのに対し、「第2記録部144」については[0034]に「第2記録部144を他の車両のドライブレコーダに装着することができる。それにより、第2記録部144に記録されている情報を他の車両で利用することが容易になる。」と記載されています。このように、引用文献1は、衝撃が加わったときの判断をその場で乗員が行って乗員がスイッチをオンにして路面衝撃位置情報を第2記録部144に記録し、その路面衝撃位置情報を他の車両の装置でも利用可能とすることが記載されていますが、外部の情報解析装置に装着することは記載されていません。しかも記録部をあえて「外部の情報解析装置に装着する第1記録部142」と「他の車両のドライブレコーダに装着する第2記録部144」に分けるという思想は、本願発明の構成に至る阻害要因にすらなりうるものです。仮に阻害要因とならなくても、審査官殿のご認定は後知恵にあたるものです。そして、引用文献1は、[0084]以降の実施例2に記載のように、「ドライブレコーダ60aは、車両10aに所定の大きさの衝撃が加わった場合には、LEDランプを点灯させ、スピーカから「路面衝撃ですか。」との音声を発生させる。それにより、報知部65は、乗員に対して、車両10aに加わった衝撃が路面衝撃であるか否かの判断を促すことができる。」([0085])ものであり、「スイッチ70は、ドライブレコーダ60aに接続されている。スイッチ70は、車両10aに衝撃が加わった場合において、その衝撃が路面衝撃であるか否かの乗員による判断に関する乗員判断情報をドライブレコーダ60aが取得するための乗員判断情報取得部としての機能を有する。」([0086])ものであって「乗員は、車両10aに衝撃が加わった際に、その衝撃が路面衝撃であると判断した場合には、スイッチ70をONにする。それにより、ドライブレコーダ60aは、車両10aに加わった衝撃が路面衝撃であるとの乗員判断情報を取得することができる。」([0086])ものです。そして、「CPU130aは、乗員判断情報取得部114により車両10aに加わった衝撃が路面衝撃であるとの乗員判断情報が取得された場合には、位置情報取得部108により取得された位置情報を路面衝撃位置情報として第2記録部144に記録させる。」ものです。このように、引用文献1の乗員は運行情報を見ることはできません。引用文献1の乗員が見ることができるのは、「車両10aに所定の大きさの衝撃が加わった場合に」点灯する「LEDランプ」にすぎません。以上のように、本願記載の発明と各引用文献に記載の発明とはその技術的思想が異なるものであり、本願発明は引用文献とは異質な固有の効果を奏する特徴的な構成要素の有機的連携を有する構成であって、補正後の請求項1に記載の発明は、特許を受けるべき発明です。またその従属項等である請求項2以降に記載の発明は上述した効果を増大させる構成であって、これらも特許を受けるべき発明です。」と主張する。
上記主張について検討する。
本願の請求項1には「記録された運行情報を見ることのできる操作者によって予め登録されている特定の地点」と記載されており、「記録された運行情報を見ることのできる」との記載は「操作者」に係る文言であり、装置の構成として、「記録された運行情報を見る」ための構成が何か、「特定の地点」が装置のどの構成に記録されているかなどについては、請求項1において何ら特定されていない。
上記意見書における主張のように、「引用文献1には、「路面衝撃位置情報として第2記録部144に記録させる。」というように「第1記録部142」とは別の「第2記録部144」に「路面衝撃位置情報」を記録されることが記載されています。そして「第1記録部142」については[0033]に「第1記録部142をドライブレコーダ60の外部の情報解析装置に装着することができる。それにより、第1記録部142に記録されている情報を解析することが容易になる。」と記載されているのに対し、「第2記録部144」については[0034]に「第2記録部144を他の車両のドライブレコーダに装着することができる。それにより、第2記録部144に記録されている情報を他の車両で利用することが容易になる。」と記載されています。」としても、引用文献1の段落【0033】に「第1記録部142に記録されている情報を解析することが容易になる。」と記載されており、段落【0003】には「乗員は、ドライブレコーダの記録媒体に記録された情報を解析することにより、車両に衝撃が加わった際の車両の走行状態等を把握することができる。」と記載されていることから、乗員は「第1記録部142」に記録された「車両10に加わった衝撃に対応する信号(演算信号)、映像情報、音声信号に関する情報、車両操作情報、車速情報」(本願発明の「運行情報」に相当)を見ることができるといえるため、阻害要因とも後知恵ともいえない。
そして、上記第4の3に記載のとおり、引用文献1には「記録された加速度、車速等の情報を見ることのできる乗員の判断に基づいて路面衝撃位置情報を予め記録すること。」という引用文献1記載事項が記載されていると認められる。
したがって、上記第6の2に記載のとおり、引用発明において、引用文献1記載事項を採用し、上記相違点2に係る本願発明の発明特定事項とすることは、当業者が容易に想到できたことであるというべきである。
また、上記意見書においては、引用発明において、上記周知技術1を採用し、上記相違点2に係る本願発明の発明特定事項とすることは、当業者が容易に想到できたことである点については、何ら反論されていない。
よって、上記意見書における審判請求人の主張は、当を得ないものであり、採用することができない。
6 小括
したがって、本願発明は、引用発明及び引用文献1記載事項に基いて、又は、引用発明及び周知技術1に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
第7 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2021-016043