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特許拒絶査定不服審判

2024-011334

システム等

審判番号
2024-011334
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2021-127083
請求日
2024年07月09日
審決日
2026年03月30日
公報発行日
2026年06月26日
結論
請求不成立
当事者
  • 【請求人】株式会社ユピテル
審判長/審判官
  • 審判長 小島 寛史
  • 審判官 井海田 隆
  • 審判官 関口 英樹
分類
P18 .55 -Z (G01S)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第17条の2第3項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2021-127083「システム等」拒絶査定不服審判事件〔令和 4年 1月 4日出願公開、特開2022- 634〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 第1 手続の経緯 本願は、令和元年9月30日(優先権主張 平成31年4月4日及び令和元年5月24日)に出願した特願2019-178754号の一部を令和2年7月14日に新たな特許出願とした特願2020-120290号の一部を令和3年8月3日に新たな特許出願としたものであって、その手続の経緯の概略は、次のとおりである。 令和4年 9月13日 :手続補正書、上申書の提出 令和5年 7月25日付け:拒絶理由通知書 同年10月 2日 :意見書、手続補正書の提出 同年12月 4日付け:拒絶理由通知書(最後) 令和6年 2月 8日 :意見書の提出 同年 4月 1日付け:拒絶査定(以下「原査定」という。) (同月 9日 :原査定の謄本の送達) 同年 7月 9日 :審判請求書の提出 第2 原査定の拒絶の理由 原査定の拒絶の理由の概要は、次のとおりである。 (新規事項) 令和5年10月2日付け手続補正書でした補正(以下「本件補正」という。)は、下記の点で願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「当初明細書等」という。)に記載した事項の範囲内においてしたものでないから、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない。 記 本件補正後の請求項1に係る発明は、「前記窓に設けられ、可視光カットフィルタとしての機能を有し前記レーザー光を通過させる部材と、前記通過させる部材とは別に設けられ、可視光カットフィルタとしての機能を有する、前記通過させる部材を通過したレーザー光を集光する集光レンズと、・・・を備え、」という構成を有する発明に補正されている。 当該構成は、「前記レーザー光を通過させる部材」と「集光レンズ」の両者が、「可視光カットフィルタとしての機能」を有することを意味している。 一方、本願の当初明細書等には、当該構成(特に「集光レンズ」が「可視光カットフィルタとしての機能」を有する点)に関して、以下の事項のみが記載されている。 「(11-38)可視光カットフィルタの後にレンズを通るように別体としてもよいが、レンズ自体を可視光カットする素材で作り、別途可視光カットフィルタを筐体表面側に設けないようにするとよい。」(段落272) 当該事項の後半は、レンズ自体を可視光カットする素材で作り、可視光カットフィルタを筐体表面側に設けないことを述べているから、レンズのみが、可視光カットフィルタとしての機能を有していることを意味する。 してみると、本願の当初明細書等には、「前記レーザー光を通過させる部材」と「集光レンズ」の両者が、「可視光カットフィルタとしての機能」を有することについて明示的に記載されておらず、また、出願時の技術常識に照らしても、当初明細書等から自明な事項であるともいえない。 それゆえ、本件補正のうち請求項1についてする補正は、新たな技術的事項を導入するものである。 また、本件補正のうち、請求項1と同様の補正を含む請求項2、3についてする補正についても同様である。 第3 当審の判断 審判合議体は、以下に詳述するとおり、本件補正は、当初明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものではなく、新規事項を追加する不適法な補正であると判断した。 1 本件補正の補正内容 本件補正は、次の(1)に示す、本件補正前の特許請求の範囲の記載(令和4年9月13日にされた手続補正後のものをいう。以下同じ。)を、次の(2)に示す、本件補正後の特許請求の範囲の記載に補正するものである(当審注:補正箇所に下線を付した。)。 (1) 本件補正前の特許請求の範囲の記載 「 【請求項1】 車両の速度を測定するためのレーザー光の受光に応じて警報を発する制御を行うシステムであって、 車両に配置され、窓が設けられた筐体と、 前記窓に設けられ、可視光カットフィルタとしての機能を有し前記レーザー光を通過させる部材と、 前記筐体の内部に配置される基板と、 前記基板に設けられ、前記通過させる部材を通過した光を受光する受光素子と、 前記受光素子による前記レーザー光の受光に応じて警報を発する制御を行う制御部と、 を備えるシステム。 【請求項2】 前記筐体は、前後方向よりも上下方向及び左右方向に長く、 前記基板は、前記筐体の背面側を向く面と前記筐体の前面側を向く面とを有し、 前記受光素子は、前記背面側から到来した前記レーザー光を受光するように前記基板の一方の面側に設けられる 請求項1に記載のシステム。 【請求項3】 前記窓及び前記通過させる部材は、上下方向よりも左右方向に長く、 前記制御部は、前記受光素子による前記レーザー光の受光に応じて、水平方向に方向を変更しながら前記レーザー光を発する速度測定装置に関する前記警報を発する制御を行う 請求項1または2に記載のシステム。 【請求項4】 前記通過させる部材は、可視光カットフィルタとしての機能を有する集光レンズを備える 請求項1から3のいずれか1項に記載のシステム。 【請求項5】 前記通過させる部材は、外から見た色が前記筐体と同系色である 請求項1から4のいずれか1項に記載のシステム。 【請求項6】 前記通過させる部材は、可視光カットフィルタとしての機能を有する前記窓を覆う蓋部を備える 請求項1から5のいずれか1項に記載のシステム。 【請求項7】 車両に配置され、窓が設けられた筐体と、 前記窓に設けられ、可視光カットフィルタとしての機能を有し車両の速度を測定するためのレーザー光を通過させる部材と、 前記筐体の内部に配置される基板と、 前記基板に設けられ、前記通過させる部材を通過した光を受光する受光素子と、 前記受光素子が受光した前記レーザー光に応じた信号を、前記レーザー光の受光に応じた報知を行う外部の電子機器に出力する手段と、 を有するシステム。 【請求項8】 請求項1から6のいずれか1項に記載のシステムの前記制御部の機能をコンピュータに実現させるためのプログラム。」 (2) 本件補正後の特許請求の範囲の記載 「 【請求項1】 車両の速度を測定するためのレーザー光の受光に応じて警報を発する制御を行うシステムであって、 車両に配置され、窓が設けられた筐体と、 前記窓に設けられ、可視光カットフィルタとしての機能を有し前記レーザー光を通過させる部材と、 前記通過させる部材とは別に設けられ、可視光カットフィルタとしての機能を有する、前記通過させる部材を通過したレーザー光を集光する集光レンズと、 前記筐体の内部に配置される基板と、 前記基板に設けられ、前記通過させる部材を通過した光を受光する受光素子と、 前記受光素子による前記レーザー光の受光に応じて警報を発する制御を行う制御部と、 を備え、 前記通過させる部材は、外から見た色が前記筐体と同系色である システム。 【請求項2】 前記通過させる部材は、可視光カットフィルタとしての機能を有し前記窓を覆う蓋部を構成し、 前記蓋部は、外から見た色が前記筐体と同系色である 請求項1に記載のシステム。 【請求項3】 車両に配置され、窓が設けられた筐体と、 前記窓に設けられ、可視光カットフィルタとしての機能を有し車両の速度を測定するためのレーザー光を通過させる部材と、 前記通過させる部材とは別に設けられ、可視光カットフィルタとしての機能を有する、前記通過させる部材を通過したレーザー光を集光する集光レンズと、 前記筐体の内部に配置される基板と、 前記基板に設けられ、前記通過させる部材を通過した光を受光する受光素子と、 前記受光素子が受光した前記レーザー光に応じた信号を、前記レーザー光の受光に応じた報知を行う外部の電子機器に出力する手段と、 を有し、 前記通過させる部材は、外から見た色が前記筐体と同系色である システム。」 2 本件補正についての当審の判断 本件補正後の請求項1及び3の記載は、いずれも「前記通過させる部材とは別に設けられ、可視光カットフィルタとしての機能を有する、前記通過させる部材を通過したレーザー光を集光する集光レンズ」という発明特定事項を含むところ、以下に詳説するとおり、このような発明特定事項を追加する補正は、当初明細書等の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものであるから、本件補正は、新規事項を追加する不適法な補正である。 (1) 当初明細書等の記載 当初明細書等には、次の記載がある。なお、下線は当合議体において付したものである。 ア 段落【0005】~【0091】 「【発明が解決しようとする課題】 【0005】 物体の移動速度の測定は、光を用いて行うこともできる。この光学方式の場合、発光装置は、物体に向けて光を発し、その物体からの反射波を受光して、移動速度を測定する。このような光学方式の速度測定装置が設置された場合も、その存在をユーザに報知できることが望ましい。本発明の目的の一つは、特定波長の光を発する発光装置の存在をユーザに報知するための技術を提供することである。 【0006】 本願の発明の目的はこれに限定されず、本明細書および図面等に開示される構成の部分から奏する効果を得ることを目的とする構成についても分割出願・補正等により権利取得する意思を有する。例えば本明細書において「~できる」と記載した箇所を「~が課題である」と読み替えた課題が本明細書には開示されている。課題はそれぞれ独立したものとして記載しているものであり、各々の課題を解決するための構成についても単独で分割出願・補正等により権利取得する意思を有する。課題が明細書の記載から黙示的に把握されるものであっても、本出願人は本明細書に記載の構成の一部を補正または分割出願にて特許請求の範囲とする意思を有する。またこれら独立の課題を組み合わせた課題を解決する構成についても開示しているものであり、権利取得する意思を有する。 【課題を解決するための手段】 【0007】 (1)車両に設けられ、特定波長の光を発して車両の存在を検出する装置の存在を報知するシステムであって、非球面状の曲面を有する入射面と、前記入射面に入射した光が出射する出射面とを含む集光レンズと、前記出射面から出射した光を受光する受光素子と、 前記受光素子が受光した前記特定波長の光に基づいて前記発光装置の存在を報知する制御を行う制御部と、を有するシステムが提供される。 【0008】 このようにすれば、特定波長の光を発する発光装置の存在をユーザに報知するための技術を提供することができる。特に、非球面状の曲面を有する入射面を有する集光レンズを用いたことで、受光素子は所定方向における広範囲から到来する光を受光でるため、発光装置の存在をより確実に報知することができる。 【0009】 発光装置は、少なくとも外乱光よりも狭い波長領域にエネルギーが分布する光を発する装置とするとよい。外乱光は、受光すべき目的の光以外の光とするとよい。特定波長は、発光装置が発する光のエネルギーがピークとなる波長とするとよい。特定波長は、人間に知覚されない波長とすることがよく、例えば可視光領域外の特定波長にエネルギーを有するようにするとよい。特定波長は、例えば赤外光領域に属し、905nmとするとよい。特定波長は、これに限られず、850、950nm、1900nmまたはその他の波長でもよい。特定波長と異なる波長は、発光装置が発する光のエネルギーがピークとなる波長と異なる波長とするとよい。特定波長と異なる波長は、可視光領域に含まれる波長とするとよい。受光量は、受光部が選択して受光した特定波長の光量を示すとよい。波長を選択することは、或る波長領域の中から一部の波長を選び、少なくともそれ以外の一部の波長を選ばないことをいうとよい。報知する制御は、ユーザが認識し得る態様により情報を報知する制御のことをいうとよい。 【0010】 …(中略)… 【0048】 (21)前記集光レンズ側の第1面と、前記第1面に対向する第2面とを含む基板を有し、前記基板の前記第2面側に前記受光素子が設けられ、前記基板には前記第1面側から前記受光素子に光を導くための透光部が設けられるとよい。 【0049】 このようにすれば、受光素子と受光素子レンズとの間に基板が位置するので、焦点距離分の空間を有効に利用でき、筺体全体の厚さを抑制できる。 【0050】 また、本発明が以下のように特定されてもよい。 (A)車両に設けられるシステムであって、入射した光のうち特定波長の光を選択して受光し、受光量に応じた信号を出力する受光部と、前記受光部が出力した信号に基づいて、前記特定波長の光を発する発光装置の存在を報知する第1報知制御を行う制御部と、を有するシステムが提供される。 【0051】 このようにすれば、特定波長の光を発する発光装置の存在をユーザに報知するための技術を提供することができる。 【0052】 発光装置は、少なくとも外乱光よりも狭い波長領域にエネルギーが分布する光を発する装置とするとよい。外乱光は、受光すべき目的の光以外の光とするとよい。特定波長は、発光装置が発する光のエネルギーがピークとなる波長とするとよい。特定波長は、人間に知覚されない波長とすることがよく、例えば可視光領域外の特定波長にエネルギーを有するようにするとよい。特定波長は、例えば赤外光領域に属し、905nmとするとよい。特定波長は、これに限られず、850、950nm、1900nmまたはその他の波長でもよい。特定波長と異なる波長は、発光装置が発する光のエネルギーがピークとなる波長と異なる波長とするとよい。特定波長と異なる波長は、可視光領域に含まれる波長とするとよい。受光量は、受光部が選択して受光した特定波長の光量を示すとよい。波長を選択することは、或る波長領域の中から一部の波長を選び、少なくともそれ以外の一部の波長を選ばないことをいうとよい。報知制御は、ユーザが認識し得る態様により情報を報知する制御のことをいうとよい。 【0053】 …(中略)… 【0071】 (L)少なくとも前記特定波長の光を透過させる光透過部を有する筐体を有し、前記受光部は、前記筐体の内部に配置され、前記光透過部を介して入射した光のうち前記特定波長の光を受光するシステムとするとよい。 【0072】 このようにすれば、筐体内に収容した受光部を用いて特定波長の光を受光することができる。 【0073】 (M)前記受光部は、前記光透過部に対向する第1フィルタと、前記第1フィルタを通過した光を受光する第1受光素子と、前記光透過部に対向する第2フィルタと、前記第2フィルタを通過した光を受光する第2受光素子と、を有し、前記筐体は、前記第1受光素子に対応した第1窓と、前記第2受光素子に対応した第2窓とを有するシステムとするとよい。 【0074】 このようにすれば、筐体に収容された少なくとも2組の受光素子を用いた構成によって、発光装置の存在を報知することができる。 【0075】 …(中略)… 【0089】 上述した(1)から(20)、および(A)から(T)に示した発明は、任意に組み合わせることができる。例えば、(1)に示した発明の全てまたは一部の構成に、(2)以降の少なくとも1つの発明の少なくとも一部の構成を加える構成とするとよい。特に、(1)に示した発明に、(2)以降の少なくとも1つの発明の少なくとも一部の構成を加えた発明とするとよい。また、(1)から(20)、および(A)から(T)に示した発明から任意の構成を抽出し、抽出された構成を組み合わせてもよい。本願の出願人は、これらの構成を含む発明について権利を取得する意思を有する。また「~の場合」「~のとき」という記載があったとしても、その場合やそのときに限られる構成として記載はしているものではない。これらはよりよい構成の例を示しているものであって、これらの場合やときでない構成についても権利取得する意思を有する。また順番を伴った記載になっている箇所もこの順番に限らない。一部の箇所を削除したり、順番を入れ替えたりした構成についても開示しているものであり、権利取得する意思を有する。 【発明の効果】 【0090】 本発明によれば、特定波長の光を発する発光装置の存在をユーザに報知することができる。 【0091】 本願の発明の効果はこれに限定されず、本明細書および図面等に開示される構成の部分から奏する効果についても開示されており、当該効果を奏する構成についても分割出願・補正等により権利取得する意思を有する。例えば本明細書において「~できる」と記載した箇所などは奏する効果を明示する記載であり、また「~できる」と記載がなくとも効果を示す部分が存在する。またこのような記載がなくとも当該構成よって把握される効果が存在する。」 イ 段落【0093】~段落【0132】、【図1】、【図3】~【図7】 「【発明を実施するための形態】 【0093】 以下、実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。以下に示す実施形態は本開示の実施形態の一例であって、本開示はこれらの実施形態に限定されるものではない。なお、本実施形態で参照する図面において、同一部分又は同様な機能を有する部分には同一の符号又は類似の符号(数字の後にA、Bなどを付しただけの符号)を付し、その繰り返しの説明は省略する場合がある。また、以下の説明で参照する各図において、各部材、各領域等を認識可能な大きさとするために、実際とは縮尺を異ならせている場合がある。以下、本開示のシステムを、車両に搭載されるシステムであって、特定波長の光を発する速度測定装置を検出するシステムに適用した場合を説明する。 【0094】 [1.第1実施形態] <1-1.第1実施形態の構成> 図1は、第1実施形態に係るシステムの構成を示す図である。電子機器10は、本開示に係るシステムを適用した電子機器である。電子機器10は、光学方式およびレーダー方式に対応した探知機である。電子機器10は、速度測定装置30を探知の対象とする。光学方式は、速度測定装置30が発する光を検出する方式である。速度測定装置30が発する光は、本実施形態では、パルス光である。より具体的には、速度測定装置30が発する光は、一定のパルス幅を有するパルスレーザーである。この場合、光学方式は、レーザー方式と呼ぶこともできる。レーダー方式は、電波の発生装置である速度測定装置(図示略)が発する所定の電波を受信する方式である。所定の電波は、本実施形態ではマイクロ波である。」 「【図1】 [図:0001435632000001.jpg] 」 「 【0095】 電子機器10は、ほぼ直方体状のモニター型の機器である。電子機器10は、車両40の車室内に設置される。電子機器10は、例えば両面テープを用いて、ダッシュボード41上に設置される。電子機器10の筐体は、筐体100である。筐体100の正面には、開口部が設けられている。電子機器10は、この開口部の位置で画像を表示するための表示部13を有する。筐体100は、樹脂またはその他の材料で形成されている。 【0096】 速度測定装置30は、車両の速度取締地点に設置される。速度測定装置30は、例えば固定式および移動式のどちらでもよいが、移動式とするとよい。移動式は、例えば、可搬式および車両に搭載される方式を含む。移動式の場合、速度取締地点の位置情報が既知でなくとも、電子機器10は光学方式により速度測定装置30を検出することができる。図1の例では、速度測定装置30は、車道に隣接する歩道に設置され、この車道を走行する車両の速度を測定する。速度測定装置30は、所定距離(例えば、70m)以内の車両との距離を測定し、さらに、自装置からそれよりも近い所定距離(例えば、20m)地点での車両の速度を測定する。 【0097】 速度測定装置30は、速度測定部31と、撮像部32と、ストロボ33とを備える。速度測定部31は、レーザースキャン方式により、車両の速度を測定する。具体的には、速度測定部31は、パルス光Loutが車両40に到達して反射すると、その反射光Lrefを受光する。速度測定部31は、パルス光Loutを発してから、反射光Lrefを受光するまでに要した時間に基づいて、車両40までの距離を測定する、速度測定部31は、車両40までの距離の測定を繰り返し行い、単位時間の車両40の移動距離に基づいて、その車両40の速度を測定する。 【0098】 速度測定部31は、中心角が角度θの扇形の範囲T内に、方向を変えながら、パルス光Loutを発する。θは、例えば110度である。範囲Tは、速度測定装置30が設置された位置よりも、車両40の進行方向において上流側の範囲を、下流側の範囲よりも広く含む。速度測定部31は、反時計方向に、パルス光Loutの出射方向を変化させる。速度測定部31は、例えば、矢印D1方向にパルス光Loutを発した後、矢印D2方向にパルス光Loutを出射する。パルス光Loutの出射方向は、例えば、ほぼ水平方向である。速度測定部31は、例えば、一定速度で回転するミラーにパルス光を発する。ミラーが反射し、発光窓から発せられるパルス光が、パルス光Loutである。 【0099】 パルス光Loutは、特定波長に集中してエネルギーを有する。特定波長は、発光装置が発する光のエネルギーがピークとなる波長とするとよい。パルス光Loutは、例えば可視光領域外の特定波長にエネルギーを有することが望ましい。特定波長は、人間に知覚されない波長とすることがよく、例えば可視光領域外の特定波長にエネルギーを有するようにするとよい。特定波長は、例えば赤外光領域に属し、905nmである。ただし、特定波長は、これに限られず、850nm、950nm、1900nmまたはその他の波長であってもよい。 …(中略)… 【0102】 図3は、電子機器10の背面図である。図3に示すように、筐体100の背面には、第1窓101および第2窓102が形成されている。第1窓101および第2窓102は、外部の光を筐体100の内部に導くための開口部である。第1窓101と、第2窓102とは、左右方向において所定の間隔を空けて配置されている。第1窓101および第2窓102は、例えば矩形であるが、これ以外の形状であってもよい。筐体100の内部には、受光部12が設けられている。受光部12は、第1窓101および第2窓102を介して入射した光を受光する。」 「【図3】 [図:0001435632000002.jpg] 」 「 【0103】 図4および図5は、電子機器10の断面図である。図4(a)は、第1窓101を含む位置で、電子機器10を上下方向に沿って切断した場合の断面図(図3のI-I断面図)である。図4(b)は、第2窓102を含む位置で、電子機器10を上下方向に沿って切断した場合の断面図(図3のII-II断面図)である。図5は、第1窓101および第2窓102を含む位置で、電子機器10を左右方向に沿って切断した場合の断面図(図3のIII-III断面図)である、図6は、受光部12が有する後述する波長選択部の概略特性の一例を示すグラフである。図6において、横軸が波長、縦軸が透過率に対応する。」 「【図4】 [図:0001435632000003.jpg] 【図5】 [図:0001435632000004.jpg] 【図6】 [図:0001435632000005.jpg] 」 「 【0104】 図4(a),(b)に示すように、第1窓101には、可視光カットフィルタ126が設けられている。第2窓102には、可視光カットフィルタ127が設けられている。可視光カットフィルタ126,127は、少なくとも一部の可視光を遮断する。可視光カットフィルタ126,127は、特定波長λoutの光を透過させる。可視光を遮断することは、少なくとも可視光を減衰させることとするとよい。可視光領域は、例えば400~700nmである。可視光カットフィルタ126,127の存在により、筐体100の内部に収容される部品が、外部から視認されにくくなる。また、可視光カットフィルタ126,127の存在により、受光部12が直射日光等の強い可視光を受光することによる悪影響を軽減することができる。 【0105】 図4(a)に示すように、第1窓101に面して、第1波長選択部121、および第1受光素子122が設けられている。第1波長選択部121は、入射した光のうち、特定波長λoutの光を選択して透過させる。波長を選択することは、或る波長領域の中から一部の波長を選び、少なくともそれ以外の一部の波長を選ばないことをいってもよい。第1波長選択部121は、ここでは、バンド・パス・フィルタである。図6に実線で示すように、特定波長λoutを含む波長領域、ここでは、波長λ1aから波長λ1bまでの波長領域の波長の光を透過させ、それ以外の波長領域の光を遮断する。光の遮断は、少なくともその光を減衰させることをいい、光を透過させる波長よりも光を遮断する波長の方が減衰量が大きい。第1波長選択部121の特性は、できるだけ速度測定装置30からのパルス光と同じ波長の光だけ透過させる、という観点で決められている。波長λ1aから波長λ1bまでの波長領域の幅は、例えば20nmであるが、これよりも狭いことがより望ましい。 【0106】 なお、図6においては、光が透過する周波数領域の透過率を100%、遮断する周波数領域をほぼ0%と表しているが、それぞれ実用上耐えうる透過率であればよい。波長選択部は、図6で例示されるような急峻な特性を示すことが望ましいが、よりブロードな特性を示してもよい。例えば、第1波長選択部121および第2波長選択部123の透過率がいずれも0%でない波長が存在してもよい。 【0107】 第1受光素子122は、第1波長選択部121が透過させた光を受光して、その受光量である第1受光量に応じた第1信号を出力する。第1受光素子122は、例えばフォトダイオードであることが望ましいが、フォトトランジスタまたはその他の受光素子であってもよい。第1受光素子122は、少なくとも赤外光領域に感度を有する。第1受光素子122は、例えば、赤外光を透過させる樹脂モールドを含む。第1受光素子122は、700nm以下の波長領域の光を受光しないようにするとよい。第1受光素子122は、レンズを有しない、いわゆるレンズなしタイプの受光素子である。これにより、第1受光素子122の光の受け入れ角度が大きくなり(例えば、120~180度)、多方向の光を受光可能となる。これに代えて、レンズやミラーを組み合わせて、第1受光素子122の光の受け入れ角度を広げてもよい。 【0108】 図4(b)に示すように、第2窓102に面して、第2波長選択部123、および第2受光素子124が設けられている。第2波長選択部123は、入射した光のうち、特定波長λoutと異なる波長領域の光を選択して透過させるフィルタである。特定波長と異なる波長は、発光装置が発する光のエネルギーがピークとなる波長と異なる波長とするとよい。特定波長と異なる波長は、可視光領域に含まれる波長とするとよい。第2波長選択部123は、例えば、バンド・エリミネーション・フィルタである。図6に破線で示すように、第2波長選択部123は、特定波長λoutを含む波長領域、ここでは、波長λ2aから波長λ2bまでの波長領域の光を遮断し、それ以外の波長領域の光を透過させる。波長λ2aから波長λ2bまでの波長領域は、特定波長λoutを含まず、なるべく、特定波長λout以外の波長領域を広く含むことが望ましい。第2波長選択部123の特性は、できるだけ速度測定装置30からのパルス光Loutと異なる波長の光だけを透過させる、という観点で決められている。 【0109】 第2受光素子124は、第2波長選択部123を通過した光を受光して、その受光量である第2受光量に応じた第2信号を出力する。第2受光素子124は、例えばフォトダイオードであるが、フォトトランジスタまたはそのほかの受光素子であってもよい。第2受光素子124は、第1受光素子122と同じ特性の受光素子、例えば製品(例えば、型番)が同じであることが好ましい。第2受光素子124と、第1受光素子122とが同じ光を受光した場合に、第1信号Sig1と第2信号Sig2とが同じ信号となるからである。第2受光素子124は、第1受光素子122と同様、レンズが設けられていない、いわゆるレンズなしタイプのセンサである。 【0110】 図5に示すように、筐体100は、第1受光素子122と第2受光素子124との間に、光を遮断する隔壁103を含む。第1受光素子122と第2受光素子124との間の距離は、なるべく小さいことが望ましい。第1受光素子122と、第2受光素子124とで光の入射タイミングにずれが生じないようにするためである。この場合であっても、隔壁103の存在により、第1波長選択部121を透過した光が第2受光素子124に受光され、かつ第2波長選択部123を透過した光が第1受光素子122に受光される可能性が低くなる。 【0111】 受光部12は、導電性を有する素材を用いてシールドされていることが好ましい。このシールドは、例えば金属性のケースで構成される。これにより、筐体100内の電子部品に対する電磁的なノイズの影響が軽減される。 【0112】 第1窓101、第2窓102および受光部12は、電子機器10の表示部13を車両40の運転席に向けたときに、車両40の進行方向に対して斜め前方(例えば、左前方)を向くように設けられてもよい。これにより、受光部12が速度測定装置30からのパルス光Loutを受光しやすくなる可能性がある。 【0113】 図7は、電子機器10の電気的な構成を示すブロック図である。制御部11は、電子機器10の各部を制御する。制御部11は、例えば、演算処理回路、およびメモリを含むコンピュータである。演算処理回路は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、またはその他の演算処理回路を含む。メモリは、例えば、RAM(Random Access Memory)またはその他の揮発性のメモリを含む。演算処理回路は、メモリにデータを一時的に読み出して演算処理を行うことにより、各種の制御を行う。」 「【図7】 [図:0001435632000006.jpg] 」 「 【0114】 受光部12は、第1波長選択部121と、第1受光素子122と、第2波長選択部123と、第2受光素子124と、インターフェース125と、を含む。第1波長選択部121は、例えば、入射した光のうち、波長λ1aから波長λ1bまでの波長領域を選択して、光Lin1として透過させる。第1受光素子122は、光Lin1を受光して、第1受光量に応じた第1信号Sig1を出力する。第1受光量は、受光部12が選択して受光した特定波長の光量を示すとよい。第1信号Sig1は、光Lin1の受光量を示す。第2波長選択部123は、波長λ2aから波長λ2bまでの波長領域と異なる波長領域を選択して、光Lin2として透過させる。第2受光素子124は、光Lin2を受光して、第2受光量に応じた第2信号Sig2を出力する。第2受光量は、受光部12が選択して受光した特定波長と異なる波長の光量を示すとよい。第2信号Sig2は、光Lin2の受光量を示す。インターフェース125は、第1信号Sig1および第2信号Sig2を処理して、処理後の信号を制御部11に出力する。インターフェース125は、例えば、第1信号Sig1および第2信号Sig2をデジタル形式に変換して出力する。 …(中略)… 【0132】 これに対し、第2 波長選択部123は、パルス光Loutがエネルギーを有する特定波長λout(本実施形態では、波長λ2aから波長λ2bまでの波長領域)の光を遮断し、それ以外の波長領域の光を透過させる。このため、第2信号Sig2は、パルス光Loutが受光されている期間において、受光量は小さくなる。第2受光素子124は、上記外乱光を受光するが、このような外乱光は一般にエネルギーが分布する波長領域が広い。 よって、受光部12が、周期的に点灯および消灯が繰り返される外乱光を受光した場合であっても、第2受光素子124の受光量は大きくなると考えられる。このため、第1信号Sig1の受光量が大きい場合であって、第2信号Sig2の受光量が小さい場合、つまり受光量の差分が閾値以上の場合は、パルス光Loutが受光されたと推定できる。一方、第1信号Sig1の受光量が大きい場合であって、第2信号Sig2の受光量も大きい場合、つまり受光量の差分が閾値未満の場合、パルス光Loutが受光された可能性は低いと推定できる。よって、電子機器10によれば、第1受光素子122および第2受光素子124を用いて光を受光することにより、速度測定装置30の検出の精度の向上が期待できる。」 ウ 段落【0145】~【0194】、【図26】、【図49】~【図63】 「【0145】 [2.第2実施形態] この実施形態では、電子機器10は、パルス光およびマイクロ波を受信しない場合でも、速度測定装置30の存在を報知する機能を有する。この実施形態の電子機器は、上述した第1実施形態の機能の一部または全部を有するとよいし、有しなくてもよい。 …(中略)… 【0158】 [5.電子機器10の外観構成] 図26は、電子機器10の外観構成の一例を示す六面図である。この例では、電子機器10の筐体の正面には、表示部13、発光部23およびセンサ部20の照度センサ201が設けられている。筐体100の上端面から音声を出力するように、スピーカ14が設けられている。筐体100の右側端面には、SDカード(登録商標)を装着するための装着部21(すなわち、SDカードスロット)が設けられている。筐体100の背面の右上方部には、受光部12が設けられている。また、筐体100の背面の左下部には、電源部22の電源スイッチ221およびDCジャック222が設けられている。領域104は、機種名およびシリアルナンバーが記される領域である。」 「【図26】 [図:0001435632000007.jpg] 」 「…(中略)… 【0183】 [7.電子機器10の機構] 図49は、電子機器10の外観構成の一例を示す斜視図である。図50および図51は、電子機器10の外観構成の一例を示す六面図である。図50には、電子機器10の正面図、上面図、右側面図、底面図、および左側面図が示されている。図51には、電子機器10の背面図が示されている。この例では、電子機器10の筐体100は、正面側に位置する第1筐体1001と、後方側に位置する第2筐体1002とに分けられる。第1筐体1001の前面には、表示部13、発光部23およびセンサ部20の照度センサ201が設けられている。第1筐体1001の前面の開口部に表示部13の表示領域が位置する。第2筐体1002の上端面から音声を出力するように、スピーカ14が設けられている。筐体100の右側端面には、SDカードを装着するための装着部21(すなわち、SDカードスロット)が設けられている。筐体100の背面の右上方部には、受光部12が設けられている。また、筐体100の背面の左下部には、電源部22の電源スイッチ221およびDCジャック222が設けられている。」 「【図49】 [図:0001435632000008.jpg] 【図50】 [図:0001435632000009.jpg] 【図51】 [図:0001435632000010.jpg] 」 「 【0184】 図51に示すように、第2筐体1002の背面には、蓋部1003が設けられている。蓋部1003は、背面から見て第2筐体1002の右上寄りの位置に設けられている。蓋部1003は、第2筐体1002に着脱可能な蓋であり、上下方向よりも左右方向に長い部材である。蓋部1003は、少なくともパルス光Loutを透過させる素材により形成される光透過部である。蓋部1003は、筐体100と同じ素材で形成されるとよいが、異なる素材で形成されてもよい。蓋部1003は、樹脂またはその他の素材で形成される。蓋部1003は、可視光を遮断する素材で形成され、可視光カットフィルタとしても機能するとよいが、そうでなくてもよい。蓋部1003は、半透明または透明の部材としてもよい。また、蓋部1003に代えて、筐体100の背面に、少なくともパルス光Loutを透過させる部分である光透過部が形成されてもよい。 【0185】 図52は、第2筐体1002から蓋部1003を取り外した様子を示す背面図である。図52に示すように、第2筐体1002には、第1窓101および第2窓102が形成されている。第1窓101および第2窓102は、外部の光を筐体100の内部に導くための開口部である。ただし、第1窓101および第2窓102は、少なくとも特定波長の光を透過させるレンズなどの部材を有してもよい。第1窓101と、第2窓102とは、左右方向において所定の間隔を空けて配置されている。第1窓101および第2窓102は、円形であるが、これ以外の形状であってもよい。筐体100の内部には、第1窓101および第2窓102を介してパルス光が入射する。蓋部1003が半透明または透明の部材である場合、第1窓101および第2窓102をユーザが視認可能である。これが意匠的な魅力を発揮する場合もある。」 「【図52】 [図:0001435632000011.jpg] 」 「 【0186】 図53は、電子機器10の分解斜視図である。図53(a),(b)に示すように、電子機器10の筐体100の内部には、第1筐体1001側から順に、表示部13、第1基板1010、および第2基板1030が収容されている。第1基板1010は、平面視において上下方向よりも左右方向に長い長方形上の基板である。第1基板1010の正面側の第1面には、表示部13が実装される。第1基板1010の当該第1面には、制御回路1331が実装されている。制御回路1331は、制御部11の機能の一部または全部を実現するようにするとよい。制御回路1331は、例えば集積回路(IC)とするとよい。制御回路1331は、ここでは1つとしているが、2以上の制御回路に置き換えられてもよい。第1基板1010の第1面とは反対側の第2面には、マイクロ波受信部15が実装されている。マイクロ波受信部15は、ほぼ直方体形状である。これらの部材を収容して、第2筐体1002は第1筐体1001にネジ止めされている。」 「【図53】 [図:0001435632000012.jpg] 」 「 【0187】 図54は、電子機器10からさらに第2筐体1002を取り外した状態を示す背面図である。図55、図56および図57は、この状態の電子機器10の内部構成を示す斜視図である。第2基板1030は、第1基板1010の背面側において、第1基板1010に重なるようにして配置されている。第2基板1030は、平面視においてほぼL字状の基板である。第2基板1030は、マイクロ波受信部15が存在する領域が切り欠かれているため、このような形状になっている。このようにすれば、マイクロ波受信部15に第2基板130が重なり合う場合に比べて、電子機器10の厚みの増大を抑えることができる。第2基板1030のうち、上下方向に長い第1領域Ar3には、受光部12が実装されている。第1窓101に面して、第1波長選択部121、および第1受光素子122が設けられている。第2窓102に面して、第2波長選択部123、および第2受光素子124が設けられている。」 「【図54】 [図:0001435632000013.jpg] 【図55】 [図:0001435632000014.jpg] 【図56】 [図:0001435632000015.jpg] 【図57】 [図:0001435632000016.jpg] 」 「 【0188】 第1波長選択部121、および第1受光素子122、並びに第2窓102に面して、第2波長選択部123、および第2受光素子124は、シールドケース1031に収容されている。シールドケース1031は、例えば導電性の素材(例えば金属)で形成され、受光部12の素子が外部からの電磁波を影響としたノイズを発生しないようにするための部材である。電磁波の発生源は、車両40に設けられたワイパーを駆動する駆動部などの電気的な部品である。シールドケース1031は、第1受光素子122が収容される空間と、第2受光素子124が収容される空間とを隔てるための隔壁を有する。この隔壁はパルス光の伝搬も妨ぐ。このようにすれば、導電性を有する材料でシールドされていない場合に比べて、第1受光素子122および第2受光素子124が出力する信号が電磁的なノイズの影響を受けにくくなる。また、隔壁の存在により、第1波長選択部121を透過した光が第2受光素子124に受光され、かつ第2波長選択部123を透過した光が第1受光素子122に受光される可能性が低くなる。 【0189】 第2基板1030のうち、第2領域Ar4には、GPS受信部16およびスピーカ14が実装されている。第2領域Ar4は、第1領域Ar3よりも上下方向に短くかつ第1領域Ar3よりも上方に突出する。GPS受信部16のうち、正面側の第1面にGPSモジュールが実装され、背面側の第2面にGPSアンテナが実装されるようにするとよい。GPSアンテナについては上方に指向性を確保するため、マイクロ波受信部15よりも上方に配置されている。また、GPS受信部16のスペースを確保するため、第2基板1030における第2領域Ar4は、第1領域Ar3よりも上方に突出している。マイクロ波受信部15は、GPS受信部16およびスピーカ14の下方に位置する。装着部21が、第1基板1010の左方に実装されている。装着部21の下方には、電源部22の電源スイッチ221、DCジャック222およびボタン電池223が設けられている。ボタン電池223は、電子機器10の内部電源である。また、第2基板1030の正面側であって、第1領域Ar3の反対側には、通信部17の無線モジュール171が実装されている。 【0190】 図58は、第2基板1030の写真を示す。図58(a)は背面側から見た図、図58(b)は正面側から見た図である。図58(a)で「(16)」と示した領域にGPS受信部16が実装され、「(14)」と示した領域にスピーカ14が実装される。また、第2基板1030の白線で囲んだ領域に受光部12が実装される。図59は、受光部12の電気的な構成である。第1受光素子122は、ここではフォトダイオードPD1である。フォトダイオードPD1には、第1波長選択部121を介した光が受光面に入射する。PD1のカソードは高電位側の電源ラインと接続され、アノードは抵抗R1の一端と接続する。抵抗R1の他端は接地されている。アンプIC1(1/2)の入力端は、フォトダイオードPD1のアノードと抵抗R1の一端とに共通に接続されている。アンプIC1(1/2)の出力端は、差動増幅器AMPの負極側の入力端子に接続されている。第2受光素子124は、ここではフォトダイオードPD2である。フォトダイオードPD2には、第2波長選択部123を介した光が受光面に入射する。フォトダイオードPD2のカソードは高電位側の電源ラインと接続され、アノードは抵抗R2の一端と接続する。抵抗R2の他端は接地されている。アンプIC1(2/2)の入力端は、フォトダイオードPD2のアノードと抵抗R2の一端とに共通に接続されている。アンプIC1(2/2)の出力端は、差動増幅器AMPの正極側の入力端子に接続されている。アンプIC1(1/2)およびアンプIC1(2/2)は、出力を1/2にして出力する。差動増幅器AMPの出力端からは、フォトダイオードPD1,PD2の受光量の差分に応じた信号が出力される。制御部11は、この差分に基づいて速度測定装置30を検出する。制御部11は、差動増幅器AMPにより増幅され、さらに、アンプQ1およびアンプIC2(2/2)を経た後、波形成形後の信号に基づいて、速度測定装置30を検出するとよい。」 「【図58】 [図:0001435632000017.jpg] 【図59】 [図:0001435632000018.jpg] 」 「 【0191】 図60は、第1波長選択部121および第2波長選択部123のフィルタ特性の一例を示グラフである。第1波長選択部121は、ここでは、バンド・パス・フィルタである。図60(a)に示すように、目的波長である特定波長λout905nmを含む波長領域の光を透過させ、それ以外の波長領域の光を遮断する。光が透過する波長領域の幅は、例えば20nmであるが、これよりも狭いことがより望ましい。第2波長選択部123は、例えば、バンド・エリミネーション・フィルタである。図60(b)に示すように、第2波長選択部123は、特定波長λoutを含む波長領域の光を遮断し、非目的波長であるそれ以外の波長領域の光を透過させる。光が遮断される波長領域の幅は、例えば20nmであるが、これよりも狭いことがより望ましい。」 「【図60】 [図:0001435632000019.jpg] 」 「 【0192】 図60においては、光が透過する周波数領域の透過率を80%よりも大きく、遮断する周波数領域を15%未満としているが、それぞれ実用上耐えうる透過率であればよい。波長選択部は、図60で例示されるような急峻な特性を示すことが望ましいが、よりブロードな特性を示してもよい。 【0193】 電子機器10からさらに第2基板1030を取り外すと、図61に示す状態となる。」 「【図61】 [図:0001435632000020.jpg] 」 「 【0194】 [8.電子機器の他の例] 図62は、電子機器の他の例である電子機器80の外観構成を示す斜視図である。図63は、電子機器80を車両の進行方向に対して右斜め前方側からみたときの外観構成を示す斜視図である。図62および図63に示すように、電子機器80はほぼ直方体形状の箱型の装置である。電子機器80は、表示部13を有しておらず、外部機器に有線のケーブル81を介して各種信号を出力する。電子機器80は、無線の通信路を介して外部機器と通信してもよい。電子機器80は、上方に位置する第1筐体801と下方に位置する第2筐体802とに分けられる。電子機器80の前方側には、蓋部803が設けられている。蓋部803は、蓋部1003と同様、パルス光を透過させる素材で形成されている光透過部材である。」 「【図62】 [図:0001435632000021.jpg] 【図63】 [図:0001435632000022.jpg] 」 エ 段落【0269】~【0272】、【図71】 「 【0269】 (11-36)蓋部1003,803で例示される可視光カットフィルタとして機能する部材は、その表面状態の違いにより、受光部での受光感度が変わる。例えば、当該部材の表面はシボ面(比較的表面が粗い面)とするとよいが、これよりも平滑な(つやつやとして粗さが少ない)面(例えば、磨き面)としてもよく、この場合、受光感度の向上が期待できる。シボ面の場合は、表面で光が拡散する。その効果を期待して、受光方向が横方向にズレていても、感度が得やすくなると考えられる。一方、磨き面とすると、光が上記可視光カットフィルタとして機能する部材を通過するときに拡散せず、受光部に達する光が増える為、感度が上がると発明者は考えた。図71は、シボ加工の有無の違いを示す図である。」 「【図71】 [図:0001435632000023.jpg] 」 「 【0270】 シボ加工の場合、例えば意匠性が損なわれない構成とするとよい。例えば筐体の内部が外部から見えないほうが望ましい場合があるからである。上記可視光カットフィルタとして機能する部材の周りが、シボ加工など模様が施されていれば、上記可視光カットフィルタとして機能する部材部分も同じような模様とするとよい。この部分の色について、外から見た色を。筐体と同系色であって検出対象の光が透過するものとするとよい。 【0271】 (11-37)電子機器10の制御部11は、赤外線領域を撮像可能なカメラを使って、撮像領域内に、速度測定装置30からの光に相当する画像を検出した場合、警報制御を行うようにするとよい。この光に相当する画像は、(例えばピクセル数としては少ないエリア(点に相当する範囲)の)点滅光とするとよい。電子機器10の制御部11は、撮影した画像中のこの光に相当する画像の位置が、速度測定装置の設置位置に対応する位置と判定するとよい。電子機器10の制御部11は、道路の走行路の直上、走行車線の側方(路側帯位置)を画像認識でエリアを特定しその位置に点滅光があるかで判定するなどしてもよい。 【0272】 (11-38)可視光カットフィルタの後にレンズを通るように別体としてもよいが、レンズ自体を可視光カットする素材で作り、別途可視光カットフィルタを筐体表面側に設けないようにするとよい。」 オ 段落【0288】~【0307】、【図72】~【図79】 「 【0288】 [12.他の実施形態] 上述したレンズまたはミラーを組み合わせて受光素子の光の受け入れ角度を広げる構成に関して、例えば以下の構成。図72は、本実施形態の電子機器10Aを背面側の右斜め上方向から見た構成を示す図である。図73は、本実施形態の電子機器10Aの外観構成の一例を示す六面図である。図73には、電子機器10Aの正面図、上面図、右側面図、底面図、左側面図、および背面図が示されている。以下、[7.電子機器10の機構]で説明した要素と同じ要素については、[7.電子機器10の機構]で用いた符号と同じ符号を用いて表し、適宜説明を省略する。」 「【図72】 [図:0001435632000024.jpg] 【図73】 [図:0001435632000025.jpg] 」 「 【0289】 電子機器10Aの筐体100Aは、正面側に位置する第1筐体1001と、後方側に位置する第2筐体1002Aとに分けられる。第1筐体1001の前面には、表示部13、発光部23およびセンサ部20の照度センサ201が設けられている。第1筐体1001の前面の開口部に表示部13の表示領域が位置する。第2筐体1002Aの上端面から音声を出力するように、スピーカ14が設けられている。筐体100Aの右側端面には、SDカードを装着するための装着部21(すなわち、SDカードスロット)が設けられている。筐体100Aの背面の右上方部には、集光レンズ300が設けられている。筐体100Aの背面の左下部には、電源部22の電源スイッチ221およびDCジャック222が設けられている。 【0290】 第2筐体1002Aの背面には、レンズホルダ1006が設けられている。レンズホルダ1006は、筐体100Aの内外を通じさせる開口部である窓を構成する。レンズホルダ1006は、筐体100Aの背面側から見たとき、水平方向に長軸、鉛直方向に短軸を有する楕円形状である。電子機器10Aが車両に設置された状態では、水平方向が車両の幅方向に相当し、鉛直方向は車両の高さ方向に相当する。 【0291】 集光レンズ300は、レンズホルダ1006に嵌め込まれている。集光レンズ300は、受光部400の一部であり、上述した実施形態で説明した光の入射部に相当する位置に設けられる。レンズホルダ1006および集光レンズ300は、第2筐体1002Aの背面から見て、第2筐体1002Aの右上寄りの位置に設けられている。例えば集光レンズ300は、筐体100Aの背面のうち、少なくとも上下方向における中心よりも上方で、かつ少なくとも自車両の運転席側から見て車両の進行方向に対して左側に位置するように配置される。集光レンズ300が第2筐体1002Aの背面の比較的上方に位置し、かつ速度測定装置30が位置する可能性の高い路肩側に配置されるほうが、速度測定装置30からの光を受光しやすくなる可能性があるからである。速度測定装置30からのパルス光Loutは、レンズホルダ1006および集光レンズ300を介して筐体100Aの内部に導入される。集光レンズ300は、その全体が光を透過させる素材を用いて形成されている。集光レンズ300は、透明または半透明である。集光レンズ300は、光の入射面が非球面状であり、筐体100Aの背面よりもさらに背面側に突出している。集光レンズ300は非球面レンズであるが、その構成については詳しくは後述する。集光レンズ300は、少なくともパルス光Loutを透過させるレンズで、半透明または透明の部材である。これが電子機器10Aの意匠的な魅力の発揮に寄与する場合がある。 【0292】 図74は、電子機器10Aから第2筐体1002Aを取り外した状態を示す図である。図75は、電子機器10Aからさらに集光レンズ300を取り外した状態を示す図である。図76は、電子機器10Aからさらにフィルタ250およびシールドプレート270を取り外した状態を示す図である。」 「【図74】 [図:0001435632000026.jpg] 【図75】 [図:0001435632000027.jpg] 【図76】 [図:0001435632000028.jpg] 」 「 【0293】 第2基板1030のうちの第1領域Ar3に重なる位置に集光レンズ300が設けられている。集光レンズ300は、所定の焦点距離位置にパルス光Loutを集光するように設計・製造されている。受光素子410は、集光レンズ300により集光された光を受光する。受光素子410は、第2基板1030のうち、集光レンズ300側の一方の面に対向する面側、本実施形態では第1基板1010が配置される側に設けられている。このため、受光素子410は、第2基板1030に設けられた透光部1033を通過した光を受光する。透光部1033はここでは直方体状の開口部である。受光素子410は、第1受光素子122または第2受光素子124と同じ素子でよいが、受光素子が1つであるという点で上述した実施形態とは異なる。 【0294】 フィルタ250は、第1波長選択部121に相当する波長選択部の一例である。フィルタ250は、受光素子410と集光レンズ300との間に設けられ、入射した光のうち、特定波長λoutの光を選択して透過させる。フィルタ250は、任意の構成で、取り外しても構わない。シールドプレート270は、例えばアルミニウムまたは導電性の素材で形成されたシールドで、透光部1011の4辺のうちの3辺を囲む領域に設けられている。シールドプレート270は、受光素子410やその他の電子部品に対する静電気等の影響を抑えるためのものである。 【0295】 図77は、図76のうち第2基板1030を消去した図である。受光素子410は、シールドケース280に収容されている。シールドケース280は、基板1010のうち集光レンズ300側の一方の面に対向する面側に設けられて、受光素子410の全体を覆う。このようなシールドケース280は、シールドケース1031と同様の機能を果たす。」 「【図77】 [図:0001435632000029.jpg] 」 「 【0296】 このように、受光素子410が、第2基板1030のうち電子機器10Aにおける前面の面に配置される。このようにすることで、簡便な方法でシールドがより確実にできるとともに、受光素子410と集光レンズ300との間に基板1010が存在するので、焦点距離分の空間を有効に利用できる。その結果、筺体100全体としてコンパクト化の実現にも寄与する。なお、受光素子410が第1基板1010のうちの、電子機器10Aにおける前面の面または後方の面に配置されることによっても、同様の効果が期待できる。 【0297】 図78は、集光レンズ300の構成の一例を示す六面図である。集光レンズ300は、非球面レンズであって、速度測定装置30からの反射光を集光して所定の集光位置に結像する。集光レンズ300は、光の入射面が非球面状である非球面レンズである。集光レンズ300は、入射面310と出射面320とを含む。入射面310は、速度測定装置30からのパルス光が入射する非球面状の曲面311を含む。入射面310は、車両の幅方向に沿って凸状となる曲面311を含む。曲面311は、車両の幅方向における中央において最も突出している。また、曲面311は、車両の高さ方向に沿って凸状となる。曲面311は、車両の高さ方向における中央において最も突出している。曲面311は、例えば放物線形状であるが、滑らかな曲線からなる面であればこれ以外の形状でもよい。」 「【図78】 [図:0001435632000030.jpg] 」 「 【0298】 曲面311は、車両の幅方向の長さLaが高さ方向の長さLbよりも大きい。集光レンズ300の車両の幅方向の曲線の曲率は、車両の高さ方向の曲線の曲率よりも小さい。このように、集光レンズ300は、車両の幅方向のほうが、車両の高さ方向よりも緩やかに曲がる。 【0299】 出射面312は、入射面310(特に曲面311)に入射した光が出射する面である。 出射面312は、平坦な面である。ただし、出射面312が曲面状であってもよい。 【0300】 集光レンズ300は、速度測定装置30からのパルス光を受光素子410の位置に導く。集光レンズ300の特性に応じて受光素子410の位置に光が集光されるようにその配置位置が設定される。 【0301】 入射面310のうち曲面311の周囲には平坦面313が設けられている。平坦面313の互いに対向する一対の辺部には脚部314A,314Bが設けられている。脚部314A,314Bが基板1010に固定される。なお、平坦面313および脚部314A,314Bは必須の構成でない。 【0302】 以上の構成の集光レンズ300が非球面レンズであることにより、球面レンズが用いられる場合に比べて、受光素子410にて結像する際に、球面収差を抑制することができる。非球面レンズで得られるスポットサイズは、球面レンズに比べて数桁小さいことがある。このような考え方によれば、集光レンズは、球面レンズよりも球面収差を小さくした複数のレンズの組み合わせにより実現されてもよいと考えられる。 【0303】 速度測定装置30が路肩に存在する場合、速度測定装置30と車両との距離が大きい場合ほぼ正面側からパルス光Loutが入射するが、近づくにつれて左方向からパルス光Loutが入射することになる。このため、集光レンズ300は、車両の幅方向のほうが、車両の高さ方向よりも広い受け入れ角度で光を受光できるように水平方向の長さLaを、Lbよりも大きくしている。例えば、集光レンズ300は、幅方向両側に40度ずつ、高さ方向両側に20度ずつの入射角で入射した光を集光することができるようになっている。曲面311の高さ方向の長さLbを相対的に短くすることで、パルス光Lout以外の光の集光を軽減する。車両の幅方向に広範囲の入射角を受光することを目的とするのであれば、曲面311は、車両の高さ方向に沿って平坦なであってもよい。 【0304】 集光レンズ300の焦点距離位置に受光素子410が配置されるのではなく、焦点距離よりも短い位置に受光素子410が配置されるとよい。集光レンズ300の曲率が小さく、光を大きく曲げているため、集光レンズ300周辺の光が、焦点距離より前で、光軸中心付近に集まりやすくなる。焦点距離より前に受光素子410が配置されることで、より多くの光を集光できる。また、角度が急な方向から来た光も、焦点距離位置よりも前で光軸中心付近を通る。受光素子410を前とすることで、広い入射角度の光を受光することができる。 【0305】 集光レンズ300は、速度測定装置30からのパルス光が仮に微弱であってもこれを検知できるような特性を有する。これにより、電子機器10は、超広範囲かつ長距離で速度測定装置30の存在を検知でき、その存在を迅速に報知することができる。なお、上述した実施形態と同様、集光レンズ300の入射面側に可視光カットフィルタが設けれてもよいし、集光レンズ300が可視光カット機能を有する素材で形成されてもよい。これにより、可視光の影響が軽減される。集光レンズ300は、アスフェリックレンズ(エスフェリックレンズ)と呼ばれるものであってもよい。 【0306】 集光レンズ300は、その光軸が車両の前後方向と平行となるように配置されてもよいが、傾いていてもよい。この場合において、集光レンズ300の光軸が、車両の前後方向に対して左前方側に傾いていると、速度測定装置30からのパルス光Loutをより受光しやすくなる可能性がある。 【0307】 非球面レンズで広い入射角度の光を受光することができることを確認するための実験を発明者らは行った。図79(a)に示すように、市販の透明アクリルの半丸棒(半径6.35mm)を厚さ3mmまで削り落として磨いた。受光素子はフォトダイオード(PD)を用いた。焦点距離はバックフォーカスで3mmで、上側の画角を広くとるため、受光素子より1mm上にレンズを配置した。図79(b)はこの場合の光源方向[deg]と、ATT値[db]との関係を示す表である。これにより、曲線状となる水平方向の受け入れ角度がその垂直方向の受け入れ角度よりも大きいことが確認できた。」 「【図79】 [図:0001435632000031.jpg] 」 カ 段落【0354】、【図96】 「 【0354】 (変形例3) 第1波長選択部121および第2波長選択部123は、それぞれバンド・パス・フィルタでなくてもよい。第1波長選択部121および第2波長選択部123は、例えば、ロー・パス・フィルタ、およびハイ・パス・フィルタの組み合わせで構成されてもよい。また、第2波長選択部123は、図96(a)の特性で示すように、ロー・パス・フィルタでもよい。この例では、第2波長選択部123は、波長λ2aよりも低域側の波長領域の光を透過させ、それよりも高域側の波長領域の光を遮断する。第2波長選択部123は、図96(b)の特性で示すように、ハイ・パス・フィルタでもよい。この例では、第2波長選択部123は、波長λ2bよりも高域側の波長領域の光を透過させ、それよりも低域側の波長領域の光を遮断する。この場合であっても、第2信号Sig2は、パルス光Loutが受光されている期間において、受光量は極めて小さくなる。受光部12は、受光の目的とするパルス光Loutだけでなく、外乱光も受光するが、このような外乱光は一般にエネルギーが分布する波長領域が広い。よって、受光部12が、周期的に点灯および消灯が繰り返される外乱光を受光した場合であっても、受光量は大きくなると考えられる。このため、第1信号Sig1の受光量が大きい場合であって、第2信号Sig2の受光量が小さい場合、つまり差分が閾値以上の場合は、パルス光Loutが受光されたと推定できる。一方、第1信号Sig1の受光量が大きい場合であって、第2信号Sig2の受光量も大きい場合、つまり差分が閾値未満の場合は、パルス光Loutが受光された可能性は低いと推定できる。よって、電子機器10によれば、第1受光素子122および第2受光素子124を用いて光を受光することにより、速度測定装置30の検出の精度の向上が期待できる。また、第1波長選択部121および第2波長選択部123は、プリズムなど、フィルタ以外の光学素子を用いて構成されてもよい。」 「【図96】 [図:0001435632000032.jpg] 」 キ 段落【0368】 「 【0368】 本発明は上述した実施の形態に記載の構成に限定されない。上述した各実施の形態や変形例の構成要素は任意に選択して組み合わせて構成するとよい。また各実施の形態や変形例の任意の構成要素と、発明を解決するための手段に記載の任意の構成要素または発明を解決するための手段に記載の任意の構成要素を具体化した構成要素とは任意に組み合わせて構成するとよい。これらについても本願の補正または分割出願等において権利取得する意思を有する。また、「~の場合」「~のとき」という記載があったとしてもその場合やそのときに限られる構成として記載はしているものではない。これらの場合やときでない構成についても開示しているものであり、権利取得する意思を有する。また順番を伴った記載になっている箇所もこの順番に限らない。一部の箇所を削除したり、順番を入れ替えた構成についても開示しているものであり、権利取得する意思を有する。」 (2) 新規事項の追加の有無の検討 ア 検討対象とする補正事項 本件補正により、本件補正前の請求項1の記載を引用する請求項5(本件補正後の請求項1)に対し、「システム」が「前記通過させる部材とは別に設けられ、可視光カットフィルタとしての機能を有する、前記通過させる部材を通過したレーザー光を集光する集光レンズ[を備える]」という発明特定事項(以下「補正特定事項A」という。)が追加された。 また、本件補正により、本件補正前の請求項7(本件補正後の請求項3)に対しても、上記補正特定事項Aが追加された。 次節以降において、補正後の請求項1及び3に補正特定事項Aを追加する補正が、当初明細書等に記載した事項の範囲においてしたものか否かについて検討する。 イ 本件補正により導入された技術的事項(補正後技術事項1) (ア) 補正後の請求項1の記載 上述したとおり、本件補正により、補正後の請求項1に対して補正特定事項Aが追加されたところ、補正後の請求項1には、本件補正前から次のa~bの特定も存在する。 a 「前記窓に設けられ、可視光カットフィルタとしての機能を有し前記レーザー光を通過させる部材と、」「を備え、」 b「前記基板に設けられ、前記通過させる部材を通過した光を受光する受光素子と、」「を備え、」 (イ) 補正後の請求項1に係る発明の構成 補正特定事項A及び前記(ア)a~bの特定から、補正後の請求項1には、次のa~cの事項が特定されているといえる。 a 可視光カットフィルタとしての機能を有しレーザー光を通過させる部材にレーザー光を通過させること。 b 通過させる部材とは別に設けられ、可視光カットフィルタとしての機能を有する集光レンズにより、前記通過させる部材を通過したレーザー光を集光させること。 c 通過させる部材を通過し、集光レンズにより集光された光を受光素子により受光させること。 ここで、前記a及びbのとおり、補正後の請求項1では、「通過させる部材」と、これと別体の「集光レンズ」の両者が、「可視光カットフィルタとしての機能」を有することとなった。 そして、「集光レンズ」が集光するレーザー光は、「可視光カットフィルタとしての機能を有[する]」「通過させる部材」を通過した後、「可視光カットフィルタとしての機能を有する、」「集光レンズ」で集光される。このことは、「通過させる部材」と「集光レンズ」の二段階で可視光をカットしていることを意味しているから、前記cも考慮すると、可視光をより確実にカットしたうえでレーザー光を受光素子に受光させるという作用効果を奏するといえる。 そして、集光レンズは、レーザー光の集光と可視光のカットという二つの役割を兼用しているといえる。 (ウ) 補正後技術事項1について 以上をまとめると、本件補正のうち、請求項1に対して補正特定事項Aを追加する補正により、補正後の請求項1に対して、次の技術的事項(以下「補正後技術事項1」という。)が導入されることになったと認められる。また、補正後の請求項3に対しても、同様である。 <補正後技術事項1> 「可視光カットフィルタとしての機能を有しレーザー光を通過させる部材にレーザー光を通過させ、前記通過させる部材とは別に設けられ、可視光カットフィルタとしての機能を有する集光レンズにより、前記通過させる部材を通過したレーザー光を集光させることにより、前記通過させる部材及び前記集光レンズの二段階で可視光をカットし、これにより、集光レンズにレーザー光の集光と可視光のカットという二つの役割を兼用させつつ、可視光をより確実にカットしたうえでレーザー光を受光素子に受光させること。」 ウ 当初明細書等における補正後技術事項1に関する記載又は示唆の有無 次に、以下に示す段落について、補正後技術事項1に関する記載又は示唆が当初明細書等になされていたかについて検討する。 (ア) 段落【0093】~段落【0132】、【図1】~【図7】について a 当該段落のうち、特に段落【0104】~段落【0109】では、可視光カットフィルタが設けられる第1窓(段落【0104】)に面するバンド・パス・フィルタである第1波長選択部121についての記載がある(段落【0105】)。当該記載では、第1受光素子122に入射する光線について、可視光カットフィルタと第1波長選択部121の二段階で可視光カットを行っているということは読み取れるものの、それぞれの受光素子は、レンズを有しない、いわゆるレンズなしタイプの受光素子が想定されている。 また、レンズやミラーを組み合わせて、受光素子の光の受け入れ角度を広げてもよい旨の記載もあるが(段落【0107】)、当該レンズをもって可視光をカットしていることが自明であるとは読み取れない。 b また、これらの記載における、可視光カットフィルタ後にバンド・パス・フィルタを設けることの意味について検討するに、可視光カットフィルタが設けられる第1窓に面するバンド・パス・フィルタである第1波長選択部121に対して、可視光カットフィルタが設けられる第2窓には、バンド・エリミネーション・フィルタである第2波長選択部123が設けられており、段落【0132】の「第1信号Sig1の受光量が大きい場合であって、第2信号Sig2の受光量が小さい場合、つまり受光量の差分が閾値以上の場合は、パルス光Loutが受光されたと推定できる。一方、第1信号Sig1の受光量が大きい場合であって、第2信号Sig2の受光量も大きい場合、つまり受光量の差分が閾値未満の場合、パルス光Loutが受光された可能性は低いと推定できる。」との記載を参酌すると、第1波長選択部121と第2波長選択部123は、より確実に可視光をカットすることを目的とするものではなく、2つのセンサ(第1受光素子122と第2受光素子124)の出力差分を見るための相補的な関係をもたらすためのものであることが分かる。 つまり、当該段落の、「可視光カットフィルタが設けられる第1窓に面するバンド・パス・フィルタである第1波長選択部121」はセンサに入射する光線について、二段階で可視光カットを行っているということは読み取れるものの、その目的は、可視光以外の特定波長λoutによる受光であるか否かの振り分けを行うためのものであって、より確実に可視光をカットすることを目的とするものではなく、そもそも集光レンズにより可視光をカットするものでもない。 c また、段落【0093】~段落【0132】のその余の記載や【図1】、【図3】~【図7】等を参酌しても、補正後技術事項1についての直接の記載は無く、これが自明であると読み取れる記載も無い。そのため、段落【0093】~段落【0132】のその余の記載や【図1】、【図3】~【図7】から、補正後技術事項1が導かれるということはない。 (イ) 段落【0183】~段落【0194】、【図49】~【図63】について 段落【0185】には、「第1窓101および第2窓102は、少なくとも特定波長の光を透過させるレンズなどの部材を有してもよい。」との記載があり、当該記載の前の段落である、段落【0184】には、「蓋部1003は、可視光を遮断する素材で形成され、可視光カットフィルタとしても機能するとよいが、そうでなくてもよい」と記載されている。 しかしながら、当該「少なくとも特定波長の光を透過させるレンズ」が可視光をカットすることまでは記載されておらず、当該「レンズ」と「可視光カットフィルタとしても機能する蓋部1003」を組み合わせて設けることにより二段階で可視光をカットすることは記載も示唆もされていない。 また、段落【0183】~段落【0194】のその余の記載や、【図49】~【図63】を参酌しても、補正後技術事項1についての直接の記載は無く、これが自明であると読み取れる記載も無い。 そうすると、これらの段落、図面からは、少なくとも可視光を二段階でカットすることや、レーザー光を集光しながら可視光をカットする集光レンズについての事項を含む、補正後技術事項1が導かれるということはない。 (ウ) 段落【0269】~段落【0272】、【図71】について 段落【0269】~段落【0270】には、可視光カットフィルタとして機能する部材である、蓋部1003の表面状態についての記載はあるが、補正後技術事項1に関連するような記載は無い。 そして、段落【0272】には、「可視光カットフィルタの後にレンズを通るように別体としてもよいが、レンズ自体を可視光カットする素材で作り、別途可視光カットフィルタを筐体表面側に設けないようにするとよい。」との記載がある。しかしながら、当該記載は、「レンズを可視光カットフィルタの後に設ける」という構成を、「レンズ自体を可視光カットする素材で作り、別途可視光カットフィルタを筐体表面側に設けないようにする」と良いとする記載であるから、当該記載は、可視光カットを1回にすることを意図しており、可視光を二段階でカットすることを含む補正後技術事項1を導くことはできない。 また、段落【0269】~段落【0272】のその余の記載や【図71】には、補正後技術事項1に関する記載も無ければ、示唆もない。 (エ) 段落【0288】~段落【0307】について a 段落【0289】では集光レンズが設けられている場所について、段落【0291】では、集光レンズの素材や形状などについて述べられているが、当該実施例において集光レンズは、レンズホルダにはめ込まれ、速度測定装置30からのパルス光Loutは、集光レンズ300を介して筐体100Aの内部に導入されるのであるから、「前記通過させる部材を通過したレーザー光を集光する」ものではない。 b 段落【0293】では、集光レンズの機能についての記載があり、段落【0294】では特定波長λoutの光を選択して透過させるフィルタ250についての記載があるものの、その位置は、外側の集光レンズを通った光が、フィルタ250を通過した後、受光素子410に入るのであるから、「前記通過させる部材を通過したレーザー光を集光する」ものではない。 c そして、段落【0305】においては、「なお、上述した実施形態と同様、集光レンズ300の入射面側に可視光カットフィルタが設けれてもよいし、集光レンズ300が可視光カット機能を有する素材で形成されてもよい。これにより、可視光の影響が軽減される。」と記載されている。 当該記載は、段落【0288】からの[12.他の実施形態]の説明の一部であり、当該実施形態は「上述したレンズまたはミラーを組み合わせて受光素子の光の受け入れ角度を広げる構成に関して、例えば以下の構成。」として、筐体のレンズホルダに集光レンズを設けた例について説明するものである。 当該実施形態について、段落【0288】~段落【0304】では、可視光のカットについて何ら説明がなされていないところ、段落【0305】の記載は、当該[12.他の実施形態]においても、可視光カットの機能を導入しても良い、という説明をするものである。 そして、段落【0305】の記載は、可視光カットの機能を導入するにあたり、「集光レンズ300の入射面側に」「フィルタ」を設ける、という例と「集光レンズ300」を「可視光カット機能を有する素材で形成」するという例の、いずれの方法でも採用することが出来るということを示しているものであって、双方の可視光カットの機能を同時に採用することを示唆する記載になっていない。 d つまり、これらの段落【0288】~段落【0307】、特に段落【0305】の記載からも、補正後技術事項1が導かれるということはない。 (オ) 段落【0368】について 段落【0368】には、「上述した各実施の形態や変形例の構成要素は任意に選択して組み合わせて構成するとよい。」と記載されているが、抽象的に組み合わせてよいことが記載されているのみであって、具体的にいずれの実施の形態や変形例の構成要素を組み合わせるのかは示されておらず、補正後技術事項1を何ら開示するものではない。 (キ) その他の記載について また、当初明細書等のその余の記載においても、補正後技術事項1が記載又は示唆されているとはいえず、技術常識から補正後技術事項1が導き出せるともいえない。 エ まとめ 以上を踏まえると、当初明細書等に補正後技術事項1が記載又は示唆されているとはいえないから、当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項に補正後技術事項1が含まれているとはいえない。そして、そうである以上、本件補正は、当初明細書等の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものである。 したがって、本件補正は、当初明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものではないから、新規事項を追加する不適法な補正である。 第4 請求人の主張について 1 請求人の主張の内容 請求人は、審判請求書(「3.本願発明が特許されるべき理由」)において、概略次のとおり主張をしている。 (1) 本願の明細書の段落【0305】には、「集光レンズ300の入射面側に可視光カットフィルタが設けれてもよいし、集光レンズ300が可視光カット機能を有する素材で形成されてもよい。」という記載があり、段落【0368】には「上述した各実施の形態や変形例の構成要素は任意に選択して組み合わせて構成するとよい。」ことも明示されているため、本願請求項1の構成は本願明細書の段落【0305】等に記載されているものであって、新規事項ではない。 (2) 本願の明細書の段落【0272】の記載は、「設けないようにすると『よい』。」と記載されているにすぎず、当該記載のみをもって、「レンズ自体を可視光カットする素材で作り、可視光カットフィルタを筐体表面側に設けないことを述べているから、レンズのみが、可視光カットフィルタとしての機能を有していることを意味する。」との認定は誤りである。 (3) 拒絶査定における認定は、令和6年2月8日に提出した意見書の内容(ChatGPTの見解を含む)に対する十分な説明を行っておらず主観的であるため、違法である。 2 請求人の主張に対する当審の判断 (1) 変形例の組み合わせに関して 本願の当初明細書等の段落【0305】における記載に対する判断については、上記第3の2(2)ウ(エ)において説示したとおりである。 また、段落【0368】における記載に対する判断についても、上記第3の2(2)ウ(オ)において説示したとおり、具体的にいずれの実施の形態や変形例の構成要素を組み合わせるのかは示されておらず、ましてや、段落【0305】において選択的に示された二つの態様を組み合わることが示唆されているとはいえない。 そして、【0272】の、「可視光カットフィルタの後にレンズを通るように別体としてもよいが、レンズ自体を可視光カットする素材で作り、別途可視光カットフィルタを筐体表面側に設けないようにするとよい。」との記載についても、上記第3の2(2)ウ(ウ)において説示したとおりである。 したがって、前記1(1)及び(2)に示した請求人の主張は採用できない。 (2) 拒絶査定における認定について 拒絶査定においては、出願人の意見書における主張を摘記して取り上げ、対象とする段落の記載から見られる実施形態の内容を説明し、結論として前記第3の2(2)において説示したとおりの、「前記レーザー光を通過させる部材」と「集光レンズ」の両者が、「可視光カットフィルタとしての機能」を有することを示す記載が無いとの判断が示されており、客観的であって十分な説明がされている。 また、意見書や審判請求書において「ChatGPTによる結果」が示されているが、これは、当初明細書等に補正後技術事項1が記載又は示唆されているか否かを判断したものではないため、前記第3の2(2)において示した結論を左右しない。 したがって、前記1(3)に示した請求人の主張も、採用することはできない。 第5 むすび 以上のとおりであるから、令和5年10月2日に提出された手続補正書による補正(本件補正)は、当初明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものとはいえない。 そうすると、本件補正は、特許法17条の2第3項に規定する要件を満たしていないことになるから、本願は拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2024-011334

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