特許拒絶査定不服審判
2021-007032
誤った走行方向で走行中の車両について警告する方法及びシステム
- 審判番号
- 2021-007032
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2016-140763外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2021年06月01日
- 審決日
- 2022年07月13日
- 公報発行日
- 2022年12月28日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング
- 【請求人代理人】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
- 【請求人代理人】前川 純一
- 【請求人代理人】永島 秀郎
- 【請求人代理人】二宮 浩康
- 【請求人代理人】上島 類
- 分類
- P18 .121-WZ (G08G) / P18 .537-WZ (G08G)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 行政事件訴訟法46条特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2016-140763「誤った走行方向で走行中の車両について警告する方法及びシステム」拒絶査定不服審判事件〔平成29年3月2日出願公開、特開2017-45448〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
この出願(以下「本願」という。)は、平成28年7月15日(パリ条約による優先権主張2015年(平成27年)7月17日、ドイツ連邦共和国(DE))の出願であって、その手続は以下のとおりである。
平成28年12月5日:手続補正書の提出
令和2年5月15日付け(発送日:同年5月19日):拒絶理由通知書
令和2年8月18日:意見書及び手続補正書の提出
令和3年1月27日付け(発送日:同年2月1日):拒絶査定
令和3年6月1日:審判請求書及び手続補正書の提出
令和4年1月5日付け(発送日:同年1月17日):拒絶理由通知書
令和4年4月18日:意見書及び手続補正書の提出
第2 本願発明
本願の請求項1ないし8に係る発明は、令和4年4月18日の手続補正により補正がされた特許請求の範囲の請求項1ないし8に記載された事項により特定されるとおりのものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、以下のとおりである。
「【請求項1】
誤った走行方向で走行中の車両(104)について警告する方法(500)において、
当該方法は、
誤った走行方向で走行中の車両(104)が、他の車両(106)から第1の距離に位置する場合、車両外部のサーバ(102)から、前記他の車両(106)に属する通信装置(200)とのインタフェース(202)へ、第1の警告情報(110)を供給するステップ(502)と、
前記誤った走行方向で走行中の車両(104)が、前記他の車両(106)から、前記第1の距離よりも短い第2の距離に位置する場合、前記他の車両(106)に属する前記通信装置(200)との前記インタフェース(202)へ、第2の警告情報(112)を供給するステップ(504)と、
を含み、
前記第1の警告情報(110)を供給する前記ステップ(502)において、前記第1の警告情報(110)は、前記誤った走行方向で走行中の車両(104)を回避して走行するための情報を含み、及び/又は、前記第2の警告情報(112)を供給する前記ステップ(504)において、前記第2の警告情報(112)は、前記誤った走行方向で走行中の車両(104)を回避して走行するための情報を含み、
前記第1の警告情報(110)を供給する前記ステップ(502)において、前記第1の警告情報(110)は、前記誤った走行方向で走行中の車両(104)に関する警告テキスト及び現在ポジションデータ(108)を含み、
前記警告テキスト及び前記現在ポジションデータ(108)を、テキスト・トゥ・スピーチ・システムによる音声メッセージとして、前記他の車両(106)に属する前記通信装置(200)のスピーカ(204)を介して、前記他の車両(106)の乗員へ出力するステップ(506)を含み、
前記テキスト・トゥ・スピーチ・システムによる前記音声メッセージは、複数の言語で実施可能であり、
前記警告テキスト及び前記現在ポジションデータ(108)を、前記音声メッセージとして前記他の車両(106)の乗員へ出力する前記ステップ(506)において、前記音声メッセージを、前記他の車両(106)に属する前記通信装置(200)において選択されている言語で出力し、
前記第2の警告情報(112)を供給する前記ステップ(504)において、前記第2の警告情報(112)は、前記誤った走行方向で走行中の車両(104)の現在ポジションデータ(108)を視覚的に表示するための視覚表示情報を含み、及び/又は、前記誤った走行方向で走行中の車両(104)が、前記他の車両(106)から前記第2の距離よりも短い第3の距離に位置する場合には、前記車両外部のサーバ(102)から前記他の車両(106)に属する前記通信装置(200)とのインタフェース(202)へ、第3の警告情報(114)を供給するステップ(516)において、前記第3の警告情報(114)は、前記誤った走行方向で走行中の車両(104)の現在ポジションデータ(108)を視覚的に表示するための視覚表示情報を含み、
前記第2の警告情報(112)を供給する前記ステップ(504)、及び/又は、前記第3の警告情報(114)を供給する前記ステップ(516)は、前記他の車両(106)の乗員へ、前記現在ポジションデータ(108)を視覚表示するために、視覚表示信号を出力するステップを含み、
前記視覚表示信号は、前記誤った走行方向で走行中の車両(104)の前記現在ポジションデータ(108)を、前記他の車両(106)の視覚化された現在ポジションデータと対比させた視覚化されたものとして、前記他の車両(106)に属する前記通信装置(200)のディスプレイ(400)に出力されるように構成されている、
誤った走行方向で走行中の車両(104)について警告する方法(500)。」
第3 当審拒絶理由の概要
令和4年1月5日付けで当審が通知した拒絶理由(以下「当審拒絶理由」という。)のうち進歩性についての拒絶理由の概要は以下のとおりである。
(進歩性)本願の請求項1ないし10に係る発明は、その優先日前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
記 (引用文献等については引用文献等一覧参照)
<引用文献等一覧>
1.特開2014-10561号公報
2.特開2009-140008号公報
3.特開2012-38024号公報
4.特開2000-36098号公報(周知技術を示す文献)
5.特開2010-34759号公報
6.特開2013-206155号公報
第4 引用文献、引用発明
1 引用文献1
当審拒絶理由に引用された特開2014-10561号公報(以下「引用文献1」という。)には、「プローブ情報収集システム」の発明に関して、図面とともに以下の事項が記載されている。(下線は当審で付した。以下同様。)
(1)「【0035】
次に、図4を用いてプローブセンタ4によって作成され、プローブ統計情報DB13に記憶される違反車情報について詳細に説明する。図4はプローブ統計情報DB13に記憶される違反車情報の一例を示した図である。
【0036】
図4に示すように違反車情報は、違反走行(本実施形態では逆走を対象にする)が検出された違反車両の位置するリンクのリンクIDと、違反車両の進行方向と、違反車両の位置座標と、違反走行の内容(本実施形態では逆走となる)とから構成される。例えば、図4に示す違反車情報では、リンクID『100001』のリンクの上り方向の地点(X1、Y1)に、逆走車両が位置することを示している。同様にして、他の違反車情報についても記憶されている。」
(2)「【0072】
その後、S17においてCPU21は、前記S16でプローブ情報DB12に格納されたプローブ情報に対して統計処理を行うことにより、道路に設定された規制を遵守しない違反走行(本実施形態では特に逆走を対象にする)を行っている違反車両に関する違反車情報(図4)を作成する。ここで、違反車情報の作成は、前記S15で新たなプローブ情報を受信する度に実行する構成としても良いし、前回作成した時から所定期間(例えば1時間)経過後に実行する構成としても良い。尚、作成された違反車情報は車両3に配信する配信情報としてプローブ統計情報DB13に格納される。
【0073】
次に、S18においてCPU21は、プローブ統計情報DB13に格納されている違反車情報を、配信情報として要求のあったナビゲーション装置2に配信する。
【0074】
一方、プローブセンタ4から配信された配信情報を受信した車両3は、受信した配信情報に基づいて逆走車両に関する案内を行う。具体的には、車両3の進行方向前方の所定距離(例えば700m)以内に逆走車両がある場合に、逆走車両に対する案内を行う。具体的には、液晶ディスプレイ35に表示された地図画像上の逆走車両が位置する地点においてマークを表示したり、スピーカ36から逆走車両の注意喚起を行う音声を出力する。」
上記記載事項及び図面の図示内容から、引用文献1には、以下の発明(以下「引用発明」という。)が記載されている。
〔引用発明〕
「逆走車両に関する案内を行う方法において、
当該方法は、
プローブセンタ4から、逆走車両情報を受信した車両3は、前記車両3の進行方向前方の所定距離以内に逆走車両がある場合に、ナビゲーション装置2の液晶ディスプレイ35に表示されていた地図画像上の逆走車両が位置する地点においてマークを表示したり、スピーカ36から逆走車両の注意喚起を行う音声を出力する、
方法。」
2 引用文献2
当審拒絶理由に引用された特開2009-140008号公報(以下「引用文献2」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている。
(1)【0029】
「また地上処理センター2の危険走行情報算出部35に格納されるプログラムを設定しておくことにより、逆走警告案内は、夜間や雨天等、特定の条件下でのみ有効にしておくこともできる。
さらに、この逆走行警告は、当該逆走行車両以外の他の車両にも通知することが交通安全上好ましい。そこで地上処理センター2は、当該逆走行している車両の周辺を走行するプローブ車両、又は当該道路を逆走行車両に向かって順方向に走行しているプローブ車両を抽出する(ステップS6)。さらに抽出したプローブ車両のうち、当該逆走行しているプローブ車両が走行しているリンクを将来走行する可能性のあるプローブ車両を認識する(ステップS7)。このステップS7で認識された車両を「周辺車両」という。これらの周辺車両のうち逆走行車に接近中のプローブ車両があるかどうかを、当該車両の走行軌跡に基づいて判定し(ステップS8)、接近中のプローブ車両があれば、そのプローブ車両に「逆走行車があります。ご注意ください」といった警告を送信する(ステップS9)。」
上記記載事項及び図面の図示内容から、引用文献2には、以下の事項(以下「引用文献2記載事項」という。)が記載されている。
〔引用文献2記載事項〕
「地上処理センター2から逆走行警告を、逆走行車両以外の周辺車両に送信すること。」
3 引用文献3
当審拒絶理由に引用された特開2012-38024号公報(以下「引用文献3」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている。
(1)「【0063】
そして、前記S1~S4の処理によって少なくとも一以上の逆走車両情報が取得できたと判定された場合(S5:YES)には、S6へと移行する。それに対して、前記S1~S4の処理によって逆走車両情報が取得できなかったと判定された場合(S5:NO)には、運転の支援を行うことなく当該運転支援処理プログラムを終了する。
【0064】
S6においてCPU51は、前記S1~S4で取得した逆走車両情報について、取得した逆走車両情報毎に取得元を上記(1)~(4)のいずれかに特定する。即ち、逆走車両情報の送信元を、逆走車両、逆走車両を検出した他車両、路側装置4、公的機関5のいずれかから特定することにより、逆走車両情報の取得元を特定する。
【0065】
次に、S7においてCPU51は、前記S6で特定した取得元に基づいて、取得した逆走車両情報の信頼度を判定する。信頼度は「0(低)」~「3(高)」の4段階で判定される。尚、逆走車両が複数ある場合であって、それぞれの逆走車両に対する逆走車両情報を取得していた場合には、逆走車両毎に逆走車両情報を区分して、信頼度を判定する。具体的には、図4を用いて説明したように、信頼度判定テーブル36を用いて、同一の逆走車両に対する情報を取得した取得元の種類(取得元が複数ある場合にはその組合せ)によって信頼度を判定する。尚、信頼度の判定の詳細に関しては、図4を用いて既に説明したので省略する。
【0066】
続いて、S8においてCPU51は、前記S7で判定した信頼度に基づいて、実行する運転支援の内容を特定する。具体的には、図5を用いて説明したように、支援内容判定テーブル37を用いて、前記S7で判定された信頼度に対応する運転の支援を特定する。尚、運転支援内容の特定の詳細に関しては、図5を用いて既に説明したので省略する。
【0067】
その後、S9においてCPU51は、前記S8で特定された運転支援の内容に基づいて、逆走車両を回避する為の運転支援を実施するか否か判定する。尚、本実施形態では、取得した逆走車両情報の信頼度が最も低い「0」に判定された場合のみにおいて、運転支援を行わないように構成されている。
【0068】
そして、逆走車両を回避する為の運転支援を実施すると判定された場合(S9:YES)には、S10へと移行する。それに対して、逆走車両を回避する為の運転支援を実施しないと判定された場合(S9:NO)には、当該運転支援処理プログラムを終了する。
【0069】
S10においてCPU51は、前記S7で特定された運転の支援を実行する。具体的には、信頼度が「1」の逆走車両情報を受信した場合には、逆走車両が存在することに関する案内(例えば、「逆走車両に注意して下さい」との案内を出力)を行う。また、信頼度が「2」の逆走車両情報を受信した場合には、逆走車両が存在することに関する案内(例えば、「逆走車両に注意して下さい」との案内を出力)を行うことに加えて、逆走車両を回避する為の案内(例えば、「左側の車線に移動して下さい」や「近くのサービスエリアやインターチェンジに避難して下さい」との案内を出力)を行う。また、信頼度が「3」の逆走車両情報を受信した場合には、逆走車両のより詳細な案内(例えば、逆走車両の走行地点を特定する情報を出力)を行うことに加えて、逆走車両を回避する為の案内と減速制御を行う。」
上記記載事項から、引用文献3には、以下の事項(以下「引用文献3記載事項」という。)が記載されている。
〔引用文献3記載事項〕
「逆走車両が存在する場合、例えば、「左側の車線に移動して下さい」や「近くのサービスエリアやインターチェンジに避難して下さい」等の、逆走車両を回避する為の案内を行うこと。」
4 引用文献4
当審拒絶理由に引用された特開2000-36098号公報(以下「引用文献4」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている。
(1)「【0107】対向車警報が有効な状態が選択されていると判断した場合には、信号処理部7が、計測された車間距離を自車速で除し、車間時間を算出する(ステップS1002)。対向車警報が有効な状態では、図14(b)に示すように、表示部9cの対向車警報オフ報知部16が消灯し、対向車警報が有効な状態が選択されていることがドライバーに容易に判別できるようなっている。次に、算出した車間時間とあらかじめ設定した対向車警報用のしきい値THAG1、THAG2、THAG3とを比較して点灯する警報のレベルを決定する。
【0108】算出した車間時間がTHAG1よりも大きい場合は(ステップS1003)、衝突の可能性はほとんど無いと判断し、警告灯は点灯しない(ステップS1004)。
【0109】算出した車間時間がTHAG1以下の場合は、注意を払うべき範囲内に対向車物が存在すると判断し、図14(c)に示すように対向車警報部15aの赤色の警告灯を点灯する(ステップS1005)。これにより、前方車両や静止物に対する警報と対向車に対する警報とをドライバが区別することができ、前方車両や静止物に比べて急激に接近する対向車を、ドライバに容易に認識させることができる。
【0110】次に、算出した車間時間がTHAG1以下でTHAG2よりも大きい場合は(ステップS1006)、衝突の可能性は小と判断し、緑色の警告灯12cを点灯する(ステップS1007)。
【0111】算出した車間時間がTHAG2以下でTHAG3よりも大きい場合は(ステップS1008)、衝突の可能性は中と判断し、緑色の警告灯12cと黄色の警告灯12bとを点灯すると同時に、対向車に対する衝突の可能性は中とドライバが認識することが可能なように、他の警報とは異なる音色、鳴り方の警報音あるいは具体的な音声メッセージで報知する(ステップS1009)。
【0112】算出した車間時間がTHAG3以下の場合は、衝突の可能性は大と判断し、緑色の警告灯12cと黄色の警告灯12bと赤色の警告灯12aを点灯すると同時に、対向車に対する衝突の可能性は大とドライバが認識することが可能なように、他の警報とは異なる音色、鳴り方の警報音あるいは具体的メッセージで報知する(ステップS1010)。」
5 引用文献5
当審拒絶理由に引用された特開2010-34759号公報(以下「引用文献5」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている。
(1)「【0012】
次に、上記した構成の作用について、図2ないし図4を参照して説明する。車載通信機1は、路上機または他の車載通信機から空中伝播信号で送信された警報情報としてのデータを受信部3により受信した否かを監視しており(ステップS1)、路上機または他の車載通信機から空中伝播信号で送信された警報情報としてのデータを受信部3により受信したと判定すると(ステップS1にて「YES」)、データ判定処理を行い(ステップS2)、自動応答判定処理を行う(ステップS3)。以下、これらデータ判定処理を及び自動応答判定処理について説明する。
【0013】
(1)データ判定処理
車載通信機1は、データ判定処理を開始すると、その受信したデータが音声データであるか文字データであるかをデータ判定部4により判定する(ステップS11)。そして、車載通信機1は、その受信したデータが音声データであると判定すると、その音声データを音声出力制御部9によりデコードし(ステップS12)、その音声データに対応する音声をスピーカ10から出力させる(ステップS13)。
【0014】
これに対して、車載通信機1は、その受信したデータが文字データであると判定すると、その文字データの言語が言語設定部5により設定されている言語と同一であるか否かを言語判定部5により判定し(ステップS14)、その文字データの言語が言語設定部5により設定されている言語と同一であると判定すると(ステップS14にて「YES」)、その文字データを音声データ生成部8により合成音声処理して音声データを生成し(ステップS15)、その生成した音声データを音声出力制御部9によりデコードし(ステップS12)、その音声データに対応する音声をスピーカ10から出力させる(ステップS13)。
【0015】
また、車載通信機1は、その文字データの言語が言語設定部5により設定されている言語と同一でないと判定すると(ステップS14にて「NO」)、その文字データの言語を言語設定部5により設定されている言語に翻訳処理部7により翻訳処理し(ステップS16)、その翻訳処理した文字データを音声データ生成部8により合成音声処理して音声データを生成し(ステップS15)、その生成した音声データを音声出力制御部9によりデコードし(ステップS12)、その音声データに対応する音声をスピーカ10から出力させる(ステップS13)。」
(2)「【0017】
以上に説明したように本実施形態によれば、車載通信機1において、路上機または他の車載通信機から送信された警報情報としてのデータを受信すると、その受信したデータが音声データであるか文字データであるかを判定し、その受信したデータが文字データであると判定すると、その文字データを合成音声処理して音声データを生成し、その生成した音声データに対応する音声を出力するように構成したので、その受信した文字データに対応する警報情報を音声として運転者に適切に伝達することができる。
【0018】
また、その受信した文字データの言語が設定されている言語と同一であるか否かを判定し、その受信した文字データの言語が設定されている言語と同一でないと判定すると、その受信した文字データの言語を設定されている言語に翻訳処理し、その翻訳処理した文字データを合成音声処理して音声データを生成し、その生成した音声データに対応する音声を出力するように構成したので、運転者が所望の言語を予め設定しておくことにより、路上機または車載通信機から警報情報として送信された文字データを受信した場合に、その受信した文字データに対応する警報情報を所望の言語の音声として運転者に適切に伝達することができる。」
上記記載事項及び図面の図示内容から、引用文献5には、以下の事項(以下「引用文献5記載事項」という。)が記載されている。
〔引用文献5記載事項〕
「車載通信機1において、路上機から受信した警告情報が文字データである場合、前記文字データの言語を前記車載通信機1で設定されている言語に翻訳処理して音声データとして出力すること。」
第5 対比及び判断
本願発明と引用発明とを対比すると、引用発明における「逆走車両」は、その機能、構成又は技術的意義からみて、本願発明における「誤った走行方向で走行中の車両(104)」に相当し、以下同様に、「案内を行う」は「警告を行う」に、「プローブセンタ4」は「車両外部のサーバ(102)」に、「逆走車両情報を受信した車両3」は「他の車両(106)」に、「逆走車両が位置する地点」は「現在ポジションデータ」に、それぞれ相当する。
引用発明における
「プローブセンタ4から逆走車両情報を受信した車両3は、前記車両3の進行方向前方の所定距離以内に逆走車両がある場合に、液晶ディスプレイ35に表示されていた地図画像上の逆走車両が位置する地点においてマークを表示したり、スピーカ36から逆走車両の注意喚起を行う音声を出力する」と
本願発明における
「誤った走行方向で走行中の車両(104)が、他の車両(106)から第1の距離に位置する場合、車両外部のサーバ(102)から、前記他の車両(106)に属する通信装置(200)とのインタフェース(202)へ、第1の警告情報(110)を供給するステップ(502)と、
前記誤った走行方向で走行中の車両(104)が、前記他の車両(106)から、前記第1の距離よりも短い第2の距離に位置する場合、前記他の車両(106)に属する前記通信装置(200)との前記インタフェース(202)へ、第2の警告情報(112)を供給するステップ(504)と、
を含み、
前記第1の警告情報(110)を供給する前記ステップ(502)において、前記第1の警告情報(110)は、前記誤った走行方向で走行中の車両(104)を回避して走行するための情報を含み、及び/又は、前記第2の警告情報(112)を供給する前記ステップ(504)において、前記第2の警告情報(112)は、前記誤った走行方向で走行中の車両(104)を回避して走行するための情報を含み、
前記第1の警告情報(110)を供給する前記ステップ(502)において、前記第1の警告情報(110)は、前記誤った走行方向で走行中の車両(104)に関する警告テキスト及び/又は現在ポジションデータ(108)を含み、
前記警告テキスト及び/又は前記現在ポジションデータ(108)を、テキスト・トゥ・スピーチ・システムによる音声メッセージとして、前記他の車両(106)に属する前記通信装置(200)のスピーカ(204)を介して、前記他の車両(106)の乗員へ出力するステップ(506)を含み、
前記テキスト・トゥ・スピーチ・システムによる前記音声メッセージは、複数の言語で実施可能であり、
前記警告テキスト及び/又は前記現在ポジションデータ(108)を、前記音声メッセージとして前記他の車両(106)の乗員へ出力する前記ステップ(506)において、
前記音声メッセージを、前記他の車両(106)に属する前記通信装置(200)において選択されている言語で出力する」とは、
「誤った走行方向で走行中の車両が、他の車両から所定の距離に位置する場合、警告情報を供給するステップと、
を含み、
前記警告情報を供給するステップにおいて、前記警告情報は、前記誤った走行方向で走行中の車両に関する警告及び/又は現在ポジションを含み、
前記誤った走行方向で走行中の車両に関する警告を音声メッセージとして、前記他の車両に属するスピーカを介して、前記他の車両の乗員へ出力し、前記誤った走行方向で走行中の車両に関する現在ポジションを出力するステップを含む」という限りにおいて一致している。
そうすると、両者は、次の一致点、相違点を有する。
〔一致点〕
「誤った走行方向で走行中の車両について警告する方法おいて、
当該方法は、
誤った走行方向で走行中の車両が、他の車両から所定の距離に位置する場合、警告情報を供給するステップと、
を含み、
前記警告情報を供給するステップにおいて、前記警告情報は、前記誤った走行方向で走行中の車両に関する警告及び/又は現在ポジションを含み、
前記誤った走行方向で走行中の車両に関する警告を音声メッセージとして、前記他の車両に属するスピーカを介して、前記他の車両の乗員へ出力し、前記誤った走行方向で走行中の車両に関する現在ポジションを出力するステップを含む、
誤った走行方向で走行中の車両について警告する方法。」
〔相違点〕
本願発明においては、
「誤った走行方向で走行中の車両(104)が、他の車両(106)から第1の距離に位置する場合、車両外部のサーバ(102)から、前記他の車両(106)に属する通信装置(200)とのインタフェース(202)へ、第1の警告情報(110)を供給するステップ(502)と、
前記誤った走行方向で走行中の車両(104)が、前記他の車両(106)から、前記第1の距離よりも短い第2の距離に位置する場合、前記他の車両(106)に属する前記通信装置(200)との前記インタフェース(202)へ、第2の警告情報(112)を供給するステップ(504)と、
を含み、
前記第1の警告情報(110)を供給する前記ステップ(502)において、前記第1の警告情報(110)は、前記誤った走行方向で走行中の車両(104)を回避して走行するための情報を含み、及び/又は、前記第2の警告情報(112)を供給する前記ステップ(504)において、前記第2の警告情報(112)は、前記誤った走行方向で走行中の車両(104)を回避して走行するための情報を含み、
前記第1の警告情報(110)を供給する前記ステップ(502)において、前記第1の警告情報(110)は、前記誤った走行方向で走行中の車両(104)に関する警告テキスト及び/又は現在ポジションデータ(108)を含み、
前記警告テキスト及び/又は前記現在ポジションデータ(108)を、テキスト・トゥ・スピーチ・システムによる音声メッセージとして、前記他の車両(106)に属する前記通信装置(200)のスピーカ(204)を介して、前記他の車両(106)の乗員へ出力するステップ(506)を含み、
前記テキスト・トゥ・スピーチ・システムによる前記音声メッセージは、複数の言語で実施可能であり、
前記警告テキスト及び/又は前記現在ポジションデータ(108)を、前記音声メッセージとして前記他の車両(106)の乗員へ出力する前記ステップ(506)において、前記音声メッセージを、前記他の車両(106)に属する前記通信装置(200)において選択されている言語で出力し、
前記第2の警告情報(112)を供給する前記ステップ(504)において、前記第2の警告情報(112)は、前記誤った走行方向で走行中の車両(104)の現在ポジションデータ(108)を視覚的に表示するための視覚表示情報を含み、及び/又は、前記誤った走行方向で走行中の車両(104)が、前記他の車両(106)から前記第2の距離よりも短い第3の距離に位置する場合には、前記車両外部のサーバ(102)から前記他の車両(106)に属する前記通信装置(200)とのインタフェース(202)へ、第3の警告情報(114)を供給するステップ(516)において、前記第3の警告情報(114)は、前記誤った走行方向で走行中の車両(104)の現在ポジションデータ(108)を視覚的に表示するための視覚表示情報を含み、
前記第2の警告情報(112)を供給する前記ステップ(504)、及び/又は、前記第3の警告情報(114)を供給する前記ステップ(516)は、前記他の車両(106)の乗員へ、前記現在ポジションデータ(108)を視覚表示するために、視覚表示信号を出力するステップを含み、
前記視覚表示信号は、前記誤った走行方向で走行中の車両(104)の前記現在ポジションデータ(108)を、前記他の車両(106)の視覚化された現在ポジションデータと対比させた視覚化されたものとして、前記他の車両(106)に属する前記通信装置(200)のディスプレイ(400)に出力されるように構成されている、」のに対して、
引用発明においては、
プローブセンタ4から、逆走車両情報を受信した車両3は、前記車両3の進行方向前方の所定距離以内に逆走車両がある場合に、ナビゲーション装置2の液晶ディスプレイ35に表示されていた地図画像上の逆走車両が位置する地点においてマークを表示したり、スピーカ36から逆走車両の注意喚起を行う音声を出力する点。
上記相違点について検討する。
引用発明と引用文献2記載事項とは、車両の運転者に逆走車両についての警告情報を通知するという点で共通する。よって、引用発明において、引用文献2記載事項を参酌し、車両外部のサーバから、他の車両に属する通信装置とのインタフェースへ、警告情報を供給するように構成することは、当業者が容易に想到できたことである。
引用文献3記載事項も、車両の運転者に逆走車両についての警告情報を通知するという点で共通するという点で引用発明と共通するから、引用文献3記載事項を参酌して、警告情報の内容を、誤った走行方向で走行中の車両を回避して走行するための情報を含むものとすることも、当業者が容易に想到できたことである。
引用文献5記載事項は、警告情報を出力するという点で、引用発明と共通する。そして、引用発明は、逆走車両が位置する地点及び注意喚起を行う音声を出力するものであるから、第1の警告情報を、誤った走行方向で走行中の車両に関する警告テキスト及び現在ポジションデータを含み、これらを、テキスト・トゥ・スピーチ・システムによる音声メッセージとして、他の車両に属する通信装置において選択されている言語で出力するように構成することも、当業者が容易に想到できたことである。
引用発明は、ナビゲーション装置2の液晶ディスプレイ35に表示されていた地図画像上の逆走車両が位置する地点においてマークを表示するものである。そして、ナビゲーション装置2において、地図画像上に自車両の現在位置を表示することは、通常行われていることである。そうすると、引用発明においても、実質的に、地図画像上に逆走車両の位置と自車両の現在位置とが表示される、すなわち、誤った走行方向で走行中の車両の現在ポジションデータを、他の車両の視覚化された現在ポジションデータと対比させた視覚化されたものとして、ディスプレイに出力されるように構成されているといえるか、少なくとも、そのように構成することは、当業者が容易に想到できたことである。
「第3の警告情報を供給するステップ」に関する事項は、すべて「及び/又は」で接続されている。これを「又は」と解した場合には、「第3の警告情報を供給するステップ」はすべて択一的な要素に過ぎず、これを含まないものを、本願発明として認定できる。
さらに、第1の警告情報、第2の警告情報及び第3の警告情報の内容については、すべて「・・・を含み」という形で特定されているから、第1ないし第3の警告情報が、本願発明で列記されたすべての情報を含むのとすると、第1ないし第3の警告情報の内容は同じものと認定できる。
そして、本願発明で列記された警告情報は、上記のとおり、引用文献3及び5記載事項から、当業者が容易に想到できたものである。
仮に、第1ないし第3の警告情報の内容がそれぞれ異なるものであるとしても、対象物との衝突の可能性を認識させる場合の警報を、対象物との接近レベルに応じて多段階で、その内容を異ならせて行うことは本願の優先日前に周知の技術である(以下「周知技術」という。例えば、引用文献4の段落【0107】ないし【0112】(上記第4 4 (1))並びに図10及び14を参照。)。そうすると、誤った走行方向で走行中の車両が、他の車両から第1の距離に位置する場合、第1の警告情報を供給し、第1の距離よりも短い第2の距離に位置する場合、第2の警告情報を供給し、第2の距離よりも短い第3の距離に位置する場合、第3の警告情報を供給するように構成することも、当業者が容易に想到できたことである。
以上を踏まえれば、引用発明において、引用文献2、3及び5記載事項並びに周知技術を参酌し、上記相違点に係る本願発明の発明特定事項とすることは、当業者が容易に想到できたことである。
そして、全体としてみても、本願発明が奏する作用効果は、引用発明、引用文献2、3及び5に記載項並びに周知技術から、当業者が予測し得る範囲内のものであって、格別なものではない。
したがって、本願発明は、引用発明、引用文献2、3及び5記載事項並びに周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
第6 請求人の主張について
請求人は令和4年4月18日の意見書において、次のように主張している。
「なお、引用文献1においては、記載部分によって、「車両3」が、逆走車両であるか否かの判定対象車両又は逆走車両として扱われていたり、逆走車両以外の一般車両として扱われていたり、記載に混乱が見受けられる。
例えば、引用文献1の段落0074では、車両3以外に逆走車両が存在するかのような記載となっているが、直後の段落0075の記載では、「車両3」が、逆走車両であるか否かの判定対象車両又は逆走車両として扱われている。
また、図8及び段落0057,0058の記載の他、段落0049の記載では、「車両3」が、逆走車両であるか否かの判定対象車両又は逆走車両として扱われているが、段落0051乃至0052では、車両3以外に逆走車両が存在するかのような記載となっている。
引用文献1の斯かる記載の混乱は、本願発明の進歩性を否定するために都合良く解釈されるべきではなく、記載部分ごとに開示構成を正確に解釈すべきである。」
この主張について検討すると、引用文献1の段落【0023】には「図1に示すように、本実施形態に係るプローブ情報収集システム1は、ナビゲーション装置2を搭載した各車両3と、各車両3からプローブ情報を収集し、収集したプローブ情報に基づく交通情報等の作成・配信を行うプローブセンタ4とから基本的に構成されている。」と記載され、段落【0024】には「車両3は全国の各道路を走行する車両であり、・・・」と記載され、図1においては、複数の車両に符号「3」が付されていることなどからみて、逆走車両及びそれ以外の車両を含む車両全般を「車両3」と称していることは明らかである。
したがって、引用文献1の「車両3」に関する記載において請求人が主張するような混乱はなく、請求人の主張は当を得ない。
第7 むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明、引用文献2、3及び5記載事項並びに周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
したがって、上記結論のとおり審決する。
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2021-007032