特許拒絶査定不服審判
2024-019797
システム及びプログラム等
- 審判番号
- 2024-019797
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2023-054651
- 請求日
- 2024年12月10日
- 審決日
- 2026年02月18日
- 公報発行日
- 2026年05月29日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】株式会社ユピテル
- 審判長/審判官
- 審判長 道祖土 新吾
- 審判官 後藤 亮治
- 審判官 関口 英樹
- 分類
- P18 .121-Z (G01D)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2023- 54651「システム及びプログラム等」拒絶査定不服審判事件〔令和 5年 7月11日出願公開、特開2023- 98908〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
1 手続の経緯
本願は、平成31年3月25日に出願した特願2019-056778号の一部を令和5年3月30日に新たな特許出願としたものであって、その手続の経緯の概略は、次のとおりである。
令和5年 4月24日 :手続補正書、上申書の提出
令和6年 2月19日付け:拒絶理由通知書
同年 4月26日 :意見書、手続補正書の提出
同年 5月27日付け:拒絶理由通知書(最後)
同年 8月 5日 :意見書、手続補正書の提出
同年 9月 2日付け:拒絶査定(以下「原査定」という。)
(同月10日 :原査定の謄本の送達)
同年12月10日 :審判請求書、手続補正書の提出
2 本願発明について
(1) 本願発明の認定
本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、令和6年12月10日に提出された手続補正書により補正された請求項1に記載された次に示す事項により特定されるとおりのものである。
「内部時計により計時した時刻情報を、撮影した動画情報に含まれる静止画像情報に対応づけて記憶する機能と、前記内部時計の時刻情報の校正を行った位置を示す位置情報を記録する機能とを有するドライブレコーダを備えることを特徴とするシステム。」
(2) 本願発明の分説
検討の便宜上、本願発明の構成を次のように構成Xと構成Aから構成Bまでに分説する。
<本願明の分説>
A 内部時計により計時した時刻情報を、撮影した動画情報に含まれる静止画像情報に対応づけて記憶する機能と、
B 前記内部時計の時刻情報の校正を行った位置を示す位置情報を記録する機能と
X を有するドライブレコーダを備えることを特徴とするシステム。
(3) 課題・作用効果等に関連する明細書の発明の詳細な説明の記載
本願明細書の発明の詳細な説明の記載のうち、発明が解決しようとする課題及び作用効果等に関連する記載を抜粋すると、次の記載がある。
「【技術分野】
【0001】
例えば、時刻を特定する技術等に関する。
…(中略)…
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
時刻を用いるシステムの多くは、例えばRTC(Real Time Clock)等の内部時計を備え、内部時計により計時した時刻を用いる。内部時計の多くは、比較的安価な水晶振動子が周期的に発する信号に基づき計時を行うが、水晶振動子が発する信号の周期は必ずしも設計値と一致せず、時間の経過に伴い内部時計が計時する時刻が正しい時刻からずれてゆく、という問題がある。
【0005】
また、時刻を用いるシステムに外部から電力供給がされない期間中に内部時計に電力を供給するバッテリーの蓄電量が不足すると、内部時計の動作が停止し、システムに対する外部からの電力供給が再開された際、内部時計が正しい時刻を計時できない、という問題がある。
【0006】
上記の不都合を解消するための方法として、まず、時刻を用いるシステムに操作ボタン等のユーザインタフェースを設け、ユーザがそのユーザインタフェースに対し時刻を示す情報(以下、「時刻情報」という)を手入力する操作を行うことが考えられる。この場合、時刻を用いるシステムはユーザにより手入力された時刻情報を用いて時刻を特定し用いることができる。ただし、ユーザが時刻情報を手入力するのは煩わしい。
・・・
【0009】
本発明の目的は、例えば、時刻を用いるシステムであって、時刻サーバ及び衛星測位システムの受信部のいずれからも直接的に情報を取得できない状況下において、ユーザによる情報の手入力を要することなく時刻を特定できるシステム等、従来のシステムよりも優れたシステムを提供することである。
【0010】
本願の発明の目的はこれに限定されず、本明細書および図面等に開示される構成の部分から奏する効果を得ることを目的とする構成についても分割出願・補正等により権利取得する意思を有する。例えば本明細書において「~できる」と記載した箇所を「~が課題である」と読み替えた課題が本明細書には開示されている。課題はそれぞれ独立したものとして記載しているものであり、各々の課題を解決するための構成についても単独で分割出願・補正等により権利取得する意思を有する。課題が明細書の記載から黙示的に把握されるものであっても、本出願人は本明細書に記載の構成の一部を補正または分割出願にて特許請求の範囲とする意思を有する。またこれら独立の課題を組み合わせた課題を解決する構成についても開示しているものであり、権利取得する意思を有する。」
「【0284】
また、ドライブレコーダ1が、時刻情報の校正を行った位置を示す位置情報を記録しておき、例えば画像の再生時に、その画像の撮影時刻と共に、その撮影時刻の校正が行われた位置を表示してもよい。」
3 原査定における拒絶の理由の概要
原査定の本願発明に対する理由2(進歩性の欠如)の概要は、次のとおりである。
理由2(進歩性の欠如) 本願発明は、遡及出願日前に発行された下記の引用文献に記載された発明に基づいて、遡及出願日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。
記
引用文献3.特開2011-257849号公報(主たる引用文献)
引用文献4.特開2010- 72787号公報(周知技術を示す文献)
引用文献5.特開2009- 93255号公報(周知技術を示す文献)
4 引用文献3の記載事項及び引用発明の認定
(1) 引用文献3に記載された事項
原査定の拒絶の理由において引用された、本願の遡及出願日前に発行された文献である特開2011-257849号公報(以下「引用文献3」という。)には、次の記載がある(なお、当合議体により、後記(2)の摘記事項から読み取れる事項の認定に用いる記載に下線を付した。)。
ア 段落【0008】~【0009】
「【0008】
さらに、撮影した映像を各種の証拠として利用する場合、撮影場所の特定は映像自体でできるものの、事故発生日時を特定するためには、ドライブレコーダに内部時計を組み込み、撮影した画像データを記録する際に、その内部時計に基づく日時データも関連づける必要があるが、関連づけの元となる内部時計が示す時刻が正確でないと、事故発生日時を正確に特定することはできない。そのため、定期的に内部時計を校正する必要があるが、その作業が繁雑である。
【0009】
一方、上記のごとく、実際に事故が発生したときに録画されるドライブレコーダでは、仮に車両に設置したとしても、一般のドライバーにとっては、無事故であるかぎり録画処理がされないので、結局一度も録画処理されずに終わることにもなりかねず、ユーザメリットに乏しいと言える。確かに、録画されないことは、無事故であることの裏返しであり、その点では好ましいが、車載機器として設置するためには、普段から実益が得られる実用性のあるものにしたいという課題がある。そのため、例えば、事故発生以外でも、所望のタイミングで周囲の映像を撮影すると共に録画し、録画した映像を後で観賞して楽しむなどの使い道を考えることができる。しかし、事故発生前後の映像の場合、元々どの地点での映像であるかがわかっているので、位置情報などを関連づけて登録する必要性は低いが、任意の場所での映像の記録を想定した場合には、どの地域・地点を映した映像であるかが後でわかるような情報を付加する必要がある。その場合、例えばGPSアンテナを含むGPS受信機を実装し、映像を記録する際にGPS受信機で受信した位置情報を関連づけて登録することが考えられる。しかし、GPS受信機を搭載することは、上述した表示装置と同様、装置が大型化すると共に、コスト高を招くという課題がある。」
イ 段落【0040】
「【0040】
図1は、本発明の好適な一実施の形態の車載システムを示している。車載システムは、ドライブレコーダ1と、GPS搭載車載機としてナビゲーション装置2と、を備えており、両者は、接続ケーブル3で連結されている。」
ウ 段落【0054】~【0068】
「【0054】
次に、ドライブレコーダ1並びにナビゲーション装置2の内部構造を説明する。図2に示すように、ドライブレコーダ1は、本体10内に、事故検知センサ31,一時記憶メモリ32,内部時計33,スピーカ34,スイッチ35,マイク38並びに制御部36をさらに備える。事故検知センサ31は、加速度センサ等の衝撃検知センサにより実現される。一定の衝撃(加速度)を検知した場合、事故(衝突)があったとする。また、一定の衝撃の閾値を適宜に設定することで、事故発生以外にも、急ブレーキ・急ハンドル時にも検出信号が出力されるようにすることもできる。
【0055】
一時記憶メモリ32は、例えばCCDカメラ18で撮像した画像データ等を一時的に記憶するRAMであり、少なくとも現在から一定時間以上過去までに撮像した画像データが常時記憶されるようにしている。但し、記憶容量は有限であるため、一定の基準で古い画像データは削除する。一定の基準は、例えば、一定時間以上前に記憶した画像データや、記憶するメモリ容量が一定以上となった場合などとすることができる。本実施形態では、一時記憶メモリ32は、リングバッファにより構成する。
・・・
【0057】
また、制御部36は、CPU,ROM,RAM,不揮発性メモリ、I/O等を備えるマイコンであり、上記の各種の入力機器から入力される情報に基づき所定の処理を実行し、出力機器を利用して所定の情報を出力する。ドライブレコーダ36の機能は、制御部36に有するコンピュータが実行するプログラムとして制御部36のEEPROM上に格納され、これを制御部36に有するコンピュータが実行することで実現される。
制御部36の有するプログラムによってコンピュータが実現する機能としては、画像記録機能、画像出力機能、内部時計の校正機能などがある。
【0058】
制御部36は、ドライブレコーダの基本機能を実現するための回路であり、CCDカメラ18で撮影された映像(画像データ)を映像ファイルとして一時記憶メモリ32に記憶したり、事故検知センサ31からの検出信号に基づき、上記の撮像した画像データ(映像ファイル)を不揮発性メモリに格納したりする。本実施形態では、不揮発性メモリとして、SDメモリカード用スロット部19に装着したSDメモリカード37を用いる。このSDメモリカード37を取り外し、パソコンに接続したメモリカードリーダ等に装着することで、当該パソコンにデータを取り込むことができる。また、記録した映像等は、上記のようにSDメモリカード37(記録メディア)を着脱して外部に取り出すことに限らず、有線・無線による通信(データ伝送)により行うことができる。また、有線による通信を行うためには、本体に、通信ケーブルを接続するためのコネクタ・USB等を備えると良い。
・・・
【0060】
そして、事故や急ブレーキ・急ハンドル時に発生する衝撃を事故検知センサ31が検出した(センサの出力値が閾値を超えた)場合、その閾値を超えた(衝撃検出)時点より前の一定期間の画像データ(映像)を一時記憶メモリ32から読み出して不揮発性メモリ(SDメモリカード37)に格納すると共に、閾値を超えた時点以降はその後に撮像したCCDカメラ18の映像をSDメモリカード37に直接或いは一時記憶メモリ32を経由して記録することで衝撃前及び衝撃後の所定時間にわたる映像を不揮発性メモリたるSDメモリカード37に保存する。また、このとき、マイク38を内蔵していた場合、マイク38で集音した周囲の音声も、画像データに関連付けて録音する。この録音も、一時記憶メモリ32に一時的に記憶し、画像データをSDメモリカード37に格納する際に、その録音した音声データもSDメモリカード37に格納する。映像と共に音声も付加されると、臨場感が増すので好ましい。
【0061】
ドライブレコーダにおけるSDメモリカード37へのデータの格納は、上記のように事故検知センサ31の検出信号を契機として行うのが基本機能であるが、その他の記録開始条件を設定しておき、その記録開始条件を充足した場合にSDメモリカード37へのデータの記録を開始するようにしても良い。この場合に、記録開始条件を充足した時点以降に撮影した画像データを記録しても良いし、記録開始条件を充足したときから一定期間過去にさかのぼった時点からの画像データを記録しても良い。記録開始条件としては、例えば、時刻(日時)であったり、所定のスイッチ35の押下であったり、ナビゲーション装置2からの開始指示などがある。
・・・
【0064】
後述するように、ナビゲーション装置2は、内部時計42を備えている。そこで、制御部36は、所定のタイミングで接続ケーブル3を介してナビゲーション装置2の内部時計42の日時データを、基準日時データとして取得し、その取得した基準日時データに基づいて事故(当審注:「自己」の誤記と認める。)の内部時計33の日時データを校正する日時校正機能を備えている。この日時データの校正処理は、たとえは、内部時計33の日時データを、取得した基準日時データに置き換えるものである。また、前回の校正から今回基準日時データを取得するまでに生じた2つの内部時計33,42における時間の進み/遅れの差を求め、それに基づいて内部時計33の時間の進み方を調整する機能をさらに備えると良い。
【0065】
基準日時データの取得は、ドライブレコーダ1側からナビゲーション装置2側にアクセスして取得しても良いし、ナビゲーション装置2側から所定のタイミングで送られてきたものを取得しても良い。いずれの場合も、基準日時データを取得した制御部36は、取得後遅滞なく内部時計33の修正・校正を行う。これにより、2つの内部時計33,42の日時データがより正確に一致し、同期がとれる。
【0066】
基準日時データを送信する所定のタイミングであるが、ナビゲーション装置2側が主体的に行う場合、例えば、ナビゲーション装置2の電源が投入されて所定の時間後、あるいはナビゲーション装置2のGPS受信機41が、電源投入後最初に測位して所定時間後のタイミングとしたり、定期的としたりすることができる。GPS受信機41での測位に基づく場合、GPS受信機で受信した時刻データを基準日時データとすることができる。その場合、ナビゲーション装置2は、その取得した時刻データに基づいて内部時計42の日時データも併せて校正するようにする。なお、本実施形態では、ドライブレコーダ1側で記録する日時データと、ナビゲーション装置2側で記録する日時データが一致していることが重要である。つまり、ある同一タイミングでドライブレコーダ1とナビゲーション装置2とでそれぞれ日時データを記録した場合に、両者が一致していることで、その日時データに基づいてそれぞれに記録したデータの関連づけが正しく行える。従って、ナビゲーション装置2側で内部時計42を備えていて2つの内部時計33,42の時刻データが一致しているようにした場合、各内部時計33,42の時刻データが一致することが重要で必ずしもGPS受信機41で受信した正しい時刻データに合わせる必要はない。もちろん、後述するように、ナビゲーション装置2側に内部時計42を設けない構成でも対応できる。
・・・
【0068】
また制御部36は、SDメモリカード37に記録される少なくとも一部の画像データに、その画像データを撮影した日時データを関連付けて登録する日時データ管理機能を備える。この関連付ける日時データは、内部時計33から取得しても良いし、関連付ける際に制御部36がナビゲーション装置2に向けて基準日時データの送信要求をし、受信したレスポンスを用いても良い。」
エ 段落【0085】~【0097】
「【0085】
制御部45は、表示部24に表示したメニューボタンからGPSログ機能を指定するボタン領域がタッチされたことを認識すると、指定された位置情報の履歴情報を読み出し、図5に示すように、実際に移動したルート55を地図上の道路に重ねて描画する。このとき、制御部45は、移動軌跡を特定するそれぞれの位置情報に関連付けられた日時データをドライブレコーダ1側に送る。ドライブレコーダ1は、SDメモリカード37にアクセスし、受信した日付データに一致する、SDメモリカード37に格納された画像に関連付けられた日時データを探す。そして、該当する画像データ(映像ファイル)があったならば、ドライブレコーダ1の制御部は、その日付データに関連付けられた画像データ或いはその画像データを含む一連の画像データ(映像ファイル)を返信する。そこで、制御部45は、図6に示すように、返信されてきた画像データをサブ画面G2に表示すると共に、現在表示している画像データは、移動軌跡のどの位置で撮像した画像データであるか示す情報(ポインタアイコンI)を表示する。地図上のどの位置かは、画像データに関連付けられた日時データと同じ日時データの位置情報を抽出し、その位置情報に対応する地図上の位置をポインタアイコンIで示す。なお、画像データは、必ずしも全てのものに日時データが関連付けられているとは限らない。そこで、画像データに日時データが関連付けられている場合には、その日時データに基づいて移動軌跡上の該当する位置を求め、日時データが関連付けられていない場合には、日時データが関連付けされた画像データから何フレーム目の画像データかを求め、そこから経過時間を算出し、その画像データが撮像された日時データを特定し、特定した日時データに基づいて移動軌跡上の該当する位置を求めることができる。
・・・
【0088】
上記のように移動軌跡を特定するそれぞれの位置情報に関連付けられた日時データをドライブレコーダに送り、対応する画像データを取得するのではなく、まず、制御部45は、図5に示すように地図画面とともにGPSログ機能による移動軌跡を描画し、その移動軌跡上の任意の地点を指定されたことを認識(タッチパネル25によりタッチされた地点を認識)すると、その指定された地点に関連付けられた日時データを取得し、それをドライブレコーダ1に送り、対応する画像データの送信要求をする。ドライブレコーダ1側では、該当する画像データを検出し、その画像データ並びにそれ以降の画像データを返信する。そこで、制御部45は、ドライブレコーダ1から返信されてきた画像データを受信すると、指定された地点の付近の画像データから再生する。
【0089】
制御部45は、ドライブレコーダ1から画像データとともに取得した日時データと、自己が記憶する日時データおよび車両の位置情報とマッチングして画像データを撮像した場所を特定する。そして、表示部24に描画される地図画面上の対応する箇所に所定のマークMや、画像データ付アイコンI1を描画する機能を備えると良い(図8参照)。そして、制御部45は、係るマークMや画像データ付アイコンI1のタッチを認識すると、そのタッチされたマークM等に対応する画像データを再生する。ドライブレコーダでの撮影場所を地図上に表示できる。また、イベントの種類別にアイコンを作成し表示させたり、撮影した日時データや、車両速度等の付帯データも合わせて表示させたりするとよい。
【0090】
一方、ドライブレコーダ1の制御部36は、SDメモリカード37への画像データの記録を開始した場合、その記録開始条件の情報(内容)をナビゲーション装置2に向けて送信する。そこでナビゲーション装置2の制御部45は、係る情報を接続ケーブル3経由で受信すると、そのときの内部時計42により規定される自己の日時データを関連付けてSDメモリカード29に記録する。また、制御部45は、自己の日時データを関連付けて記録するとともに、その日時データを基準日時データとしてドライブレコーダ1に送り返す機能を備えると良い。このようにすると、ドライブレコーダ1側では、受信した基準日時データに基づいて内部時計33の校正処理が行われる。このとき、ドライブレコーダ1の制御部36は、先に送信した記録開始条件の情報について、今回受信した基準日時データを関連付けて登録するとよい。これにより、同一の記録開始条件に関連付けられた日時データは、一致するので、当該記録開始条件の発生箇所を正確に特定できる。
・・・
【0097】
また、画像データが格納されたドライブレコーダのSDメモリカード37を取り外し、そのSDメモリカードをナビゲーション装置2のSDメモリカード用スロット部28に取り付けた場合に、ナビゲーション装置2の制御部45は、ナビゲーション装置2にて記憶されていた位置情報等のデータを、SDメモリカード37に記憶させることができる。このとき、日時データに基づいて画像データと位置情報の関連づけを行う。そして、画像データに加え、位置情報等も記録したSDメモリカードを、パソコン等に装着し、そこでデータの再生・編集・管理等を行うと良い。
オ 図8
「
[図:0001434882000001.jpg]
」
(2) 前記(1)の摘記事項から読み取れる事項の認定
ア 前記(1)イに摘記した【0040】の記載によれば、引用文献3には、「ドライブレコーダ1と、接続ケーブル3で連結されるナビゲーション装置2と、を備える車載システム」が記載されている。
イ 前記(1)ウに摘記した【0054】及び【0058】の記載によれば、引用文献3に記載された「ドライブレコーダ1」は、「一時記憶メモリ32、内部時計33、制御部36、及び、SDメモリカード用スロット部19に装着した不揮発性メモリであるSDメモリカード37を備える」ものである。
ウ 前記(1)ウに摘記した【0057】、【0058】、【0061】、【0064】及び【0068】の記載によれば、引用文献3に記載された「制御部36」は、「CCDカメラ18で撮影された映像(画像データ)を映像ファイルとしてSDメモリカード37に格納する画像記録機能、所定のタイミングで接続ケーブル3を介してナビゲーション装置2の内部時計42の日時データを、基準日時データとして取得し、基準日時データに基づいて、たとえは、内部時計33の日時データを、取得した基準日時データに置き換えることにより、自己の内部時計33の日時データを校正する日時校正機能、SDメモリカード37に記録される少なくとも一部の画像データに、内部時計33から取得した、その画像データを撮影した日時データを関連付けて登録する日時データ管理機能を備える」ものである。
エ 前記(1)ウに摘記した【0061】及び【0090】の記載によれば、引用文献3に記載された「画像記録機能」は、「所定のスイッチ35の押下などの記録開始条件を充足した場合に、SDメモリカード37への画像データの記録を開始するものであって、制御部36は、その記録開始条件の情報(内容)をナビゲーション装置2に向けて送信し、ナビゲーション装置2の制御部45は、その内部時計42により規定される自己の日時データを基準日時データとしてドライブレコーダ1に送り返し、制御部36は、受信した基準日時データに基づいて内部時計33の校正処理を行い、先に送信した記録開始条件の情報について、受信した基準日時データを関連付けて登録することにより、当該記録開始条件の発生箇所を正確に特定できる」ものである。
(3) 引用発明の認定
前記(2)において認定した事項及び前記(1)に摘記した引用文献3の記載事項を総合すると、引用文献3には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
<引用発明>
「ドライブレコーダ1と、接続ケーブル3で連結されるナビゲーション装置2と、を備える車載システムであって、
ドライブレコーダ1は、一時記憶メモリ32、内部時計33、制御部36、及び、SDメモリカード用スロット部19に装着した不揮発性メモリであるSDメモリカード37を備え、
CCDカメラ18で撮影された映像(画像データ)を映像ファイルとしてSDメモリカード37に格納する画像記録機能、所定のタイミングで接続ケーブル3を介してナビゲーション装置2の内部時計42の日時データを、基準日時データとして取得し、基準日時データに基づいて、たとえは、内部時計33の日時データを、取得した基準日時データに置き換えることにより、自己の内部時計33の日時データを校正する日時校正機能、SDメモリカード37に記録される少なくとも一部の画像データに、内部時計33から取得した、その画像データを撮影した日時データを関連付けて登録する日時データ管理機能を備え、
所定のスイッチ35の押下などの記録開始条件を充足した場合に、SDメモリカード37への画像データの記録を開始するものであって、制御部36は、その記録開始条件の情報(内容)をナビゲーション装置2に向けて送信し、ナビゲーション装置2の制御部45は、その内部時計42により規定される自己の日時データを基準日時データとしてドライブレコーダ1に送り返し、制御部36は、受信した基準日時データに基づいて内部時計33の校正処理を行い、先に送信した記録開始条件の情報について、受信した基準日時データを関連付けて登録することにより、当該記録開始条件の発生箇所を正確に特定できる
車載システム。」
5 引用文献4~6の記載事項及び周知技術の認定
(1) 引用文献4~6に記載された事項
ア 引用文献4に記載された事項
本願の遡及出願日前に発行された文献である特開2010-72787号公報(以下「引用文献4」という。)には、次の記載がある。なお、下線は当合議体が付したものであり、以下同様である。
(ア)段落【0008】及び【0009】
「【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
(1)実施の形態の概要
ドライブレコーダ6(図1)は、一定期間(ここでは30秒)の録画フレームから1枚の静止画を選びハッシュ値を計算する。ドライブレコーダ6は、そのハッシュ値をハッシュ値用サーバ3に送信し、ハッシュ値用サーバ3はタイムスタンプサーバ2でハッシュ値にタイムスタンプを発行させたうえで保管する。
送信したハッシュ値がハッシュ値用サーバ3に送信されたことが確認できた場合、ドライブレコーダ6は、ハッシュ値を削除しても保管してもよい。
【0009】
次に、ドライブレコーダ6は、次の30秒の動画から1枚の静止画を選びハッシュ値を計算し、ハッシュ値用サーバ3に送信する。以降、ドライブレコーダ6は、同様の処理を逐次行う。
ハッシュ値がハッシュ値用サーバ3に送信されたことが確認できたら、1つ前の静止画は削除しても保管してもよい。
これにより、ハッシュ値が付与された画像のうち、少なくとも最新の画像がドライブレコーダ6で保管されると共に、当該画像のハッシュ値がタイムスタンプを付与されてハッシュ値用サーバ3で保管される。」
(イ)段落【0069】
「【0069】
図8の例では、ドライブレコーダ6は、動画2を記憶すると、静止画2をサンプリングすると共に、動画2のハッシュ値を計算する。
更に、ドライブレコーダ6は、車両情報部27(図2)から、GPSによる位置情報を取得すると共に、GPSによる現在の日時刻(時計部24を用いてもよい)を取得する。
そして、ドライブレコーダ6は、これら、静止画2、動画2のハッシュ値、位置情報、日時刻情報を1つのファイル2として保存すると共に、ファイル2のハッシュ値2を計算する。」
イ 引用文献5に記載された事項
本願の遡及出願日前に発行された文献である特開2009-93255号公報(以下「引用文献5」という。)には、次の記載がある。
(ア)段落【0045】及び【0046】
「【0045】
静止画像データ生成手段160は、撮像制御手段140によって撮像した映像信号に基づいて、所定時間間隔の複数の静止画像から成る静止画像データを生成する。勿論、動画データ生成手段150により生成された動画データファイルから複数の静止画を抽出することによって、静止画像データを生成するようにしても良い。なお、カメラモジュールA23aにより撮像した映像信号に基づいて生成された静止画像データを、以下「外部静止画像データ」と称する。また、カメラモジュールB23bにより撮像した映像信号に基づいて生成された静止画像データを、以下「内部静止画像データ」と称する。
【0046】
記録手段170は、動画データ生成手段150および静止画像データ生成手段160によって生成された動画データファイルおよび静止画像データを、記憶部17内の画像データ記憶部61に記録する。また、これら動画データファイルおよび静止画像データには、それぞれの撮像時において、撮像しているカメラモジュール23a,23bを識別するための識別情報、イベント種別判別手段135による判別結果、位置情報取得手段110の取得結果および時刻情報取得手段120の取得結果等によって得られる車両情報を関連付けて記録する。」
(イ)段落【0084】
「【0084】
また、ドライブレコーダ10が画像データと共に送信・保存する車両情報は、送信対象となる画像データを撮像した撮像手段350の識別情報と、イベント種別判別手段135の判別結果と、GPS受信機14から得られる位置情報と、RTC15から得られる時刻情報と、加速度センサ16から得られる速度情報と、を含むものとしたが、その他、車両に搭載されたエアバックの作動情報、方向指示器のオン/オフ情報、ブレーキ圧情報、ハンドル舵角情報等を含めるようにしても良い。」
ウ 引用文献6に記載された事項
当審において新たに引用する、本願の遡及出願日前に発行された文献である特開2001-199370号公報(以下「引用文献6」という。)には、次の記載がある。
(ア)段落【0008】~【0011】
「【0008】
図1において、1はドライブレコーダで、車輌情報検出部101と、位置情報検出部102と、撮像部103と、時間情報演算部104と、記録制御部105と、記録部106と、Global Positioning System(以下GPS)受信部107とを具備している車輌情報検出部101は、車輌の状態を表す各種センサ、例えば車速センサ、エンジン回転数センサ、Gセンサ、ヨーレートセンサや、運転者の運転状況を検出する各種センサ、例えばアクセル・ブレーキ操作センサ、ステアリング操作センサ、シートベルト着用センサ、運転者の視界方向検出センサや、事故が発生した場合に各種状態を検出する各種センサ、例えば、エアバック動作状態検出センサ、外部衝撃検出センサなどを含み、上記各種センサにより得られる車輌の状態を表す各種車輌情報を車輌情報信号として出力する。GPS受信部107は、GPS電波を受信しGPS信号を出力する。
【0009】
位置情報検出部102は、GPS受信部107が出力するGPS信号を用いて車輌の現在位置を演算し、位置情報信号を出力する。上記位置情報検出部が、インフラストラクチャから得られる交通情報を受信するインフラストラクチャ情報受信装置を含み、インフラストラクチャ情報受信装置から得られる交通情報を位置情報信号に付加し出力してもよい。撮像部103は車輌の周辺状況や運転者を撮影し、映像情報信号として出力する。
【0010】
時間情報演算部104では、GPS受信部107が出力するGPS信号を用いて現在日時を演算し、時間情報信号を出力する。上記時間情報演算部が水晶時計を含む場合には、GPS信号により水晶時計を正確な日時に随時補正することが可能である。
【0011】
さらに、GPS電波の受信状況が不適な場合には、水晶時計を用いて現在日時を演算し、時間情報信号を出力することも可能である。記録部106は、上記車輌情報検出部101の出力する車輌情報信号と、上記位置情報検出部102の出力する位置情報信号と、上記撮像部103の出力する映像情報信号と、上記時間情報演算部104の出力する時間情報信号を記録する。上記記録部106は、Flash Memory等の半導体やDVDーRAM等の光ストレージを用いた記録装置によって構成すればよい。記録制御部105は、上記各種信号の記録部106への記録の制御を行う。」
(イ)段落【0016】~【0020】
「【0016】
第3の実施例を図3を用いて説明する。図3はドライブレコーダ1の時間情報演算部104を表し、解読部301、計時部302、比較演算部303から構成される。
【0017】
解読部301は、受信された標準電波またはGPS電波の信号を解読し、現在日時を表す外部時刻信号を出力する。計時部302は、水晶時計を用いて計時を行い、現在日時を表す内部時刻信号を出力する。また、比較演算部303より得られる内部時計校正信号を用いて、計時部302では時刻の補正を行う。比較演算部303では、解読部301から得られる外部時刻信号と計時部302から得られる内部時刻信号を用いて比較演算を行い、外部時刻信号と内部時刻信号のどちらによって現在日時を求めたかを表す選択情報、外部時刻信号もしくは内部時刻信号により求めた現在日時、外部時刻信号と内部時刻信号を比較し時間差を求めた時刻補正量、計時部302の時刻の校正を行った校正日時、を時間情報信号として時間情報演算部104の外部に出力し、外部時刻信号と内部時刻信号を比較し計時部302の内部時計を校正するための内部時計校正信号を計時部302に出力する。
【0018】
時刻補正量は、1分や1時間、1日等の周期での補正量の積算値でもよい。電波の受信状態が好ましく無い場合には、計時部302での内部時計の校正を行わず、比較演算部303では、内部時刻信号から現在日時を求め、時刻補正量、校正日時は計時部302の時間の校正を行っていた時の値を保持し、出力する。
【0019】
このことにより、電波の受信状態が悪い状況が長く続き、内部時計による時刻がドライブレコーダに記録された場合においても、校正日時と時刻補正量により内部時計の校正がいつ行われたかを知ることにより、内部時計の時刻情報の信頼性を計ることができる。
【0020】
かように本実施例によれば、内部時計の校正日時と時刻補正量も時刻情報として記録することにより、電波受信状況が悪く内部時計を用いて時刻情報の記録を行った場合でも、記録された時刻情報の信頼性を計ることが可能となる。」
(2) 周知技術の認定
ア 周知技術1の認定
前記(1)に摘記した引用文献4及び5の記載事項に例示されているように、次の技術事項は、「車載システム」の技術分野において、本願遡及出願日時、当業者にとって周知技術であったと認められる。(以下「周知技術1」という。)
<周知技術1>
「ドライブレコーダにおいて、撮影された画像には、動画と静止画があり、両者は対応付けて記録されること。」
イ 周知技術2の認定
前記(1)に摘記した引用文献4~6の記載事項に例示されているように、次の技術事項は、「車載システム」の技術分野において、本願遡及出願日時、当業者にとって周知技術であったと認められる。(以下「周知技術2」という。)
<周知技術2>
「ドライブレコーダにおいて、画像データを記録する際に、日時データ及び位置データを関連付けて記録すること。」
6 本願発明と引用発明の対比
(1) 対比分析
本願発明と引用発明を対比する。
ア 構成Xの観点(ドライブレコーダを備えることを特徴とするシステム)
引用発明の「ドライブレコーダ1」は、本願発明の「ドライブレコーダ」に相当し、以下同様に、「車載システム」は「システム」に相当する。
よって、引用発明の「ドライブレコーダ1」を備える「車載システム」は、本願発明の「ドライブレコーダを備えることを特徴とするシステム」に相当する。
イ 構成Aの観点(内部時計により計時した時刻情報を、撮影した動画情報に含まれる静止画像情報に対応づけて記憶する機能)
(ア) 引用発明の「内部時計33」は、本願発明の「内部時計」に相当し、以下同様に、「日時データ」は「時刻情報」に相当する。
(イ) 前記(ア)によれば、引用発明の「内部時計33」から取得した「日時データ」は、本願発明の「内部時計により計時した時刻情報」に相当する。
(ウ) 引用発明の「撮影された画像データ」と、本願発明の「撮影した動画情報」及び「撮影」した「静止画像情報」とは、「撮影した画像情報」である点で一致する。
(エ) 以上の検討結果を踏まえると、本願発明と引用発明の構成Bの観点における一致点及び相違点は、次のa及びbのとおりである。
a 構成Aの観点における一致点
「内部時計により計時した時刻情報を、撮影した画像情報に対応づけて記憶する」点。
b 構成Aの観点における相違点
時刻情報と対応付けられる画像情報に関し、本願発明においては、
「時刻情報」が「動画情報に含まれる静止画情報」に対応付けられるのに対して、
引用発明においては、
「日時データ」が「画像データ」に関連付けされることにとどまる点。
ウ 構成Bの観点(前記内部時計の時刻情報の校正を行った位置を示す位置情報を記録する機能)
(ア) 引用発明において、「画像記録機能」は、「所定のスイッチ35の押下などの記録開始条件を充足した場合に、SDメモリカード37への画像データの記録を開始する」ものであって、「制御部36は、その記録開始条件の情報(内容)をナビゲーション装置2に向けて送信し、ナビゲーション装置2の制御部45は、その内部時計42により規定される自己の日時データを基準日時データとしてドライブレコーダ1に送り返し、制御部36は、受信した基準日時データに基づいて内部時計33の校正処理を行い、先に送信した記録開始条件の情報について、今回受信した基準日時データを関連付けて登録する」ものである。そして、「ドライブレコーダ1」と「ナビゲーション装置2」は「接続ケーブル3」で連結されていることから、両者間のデータの送受信は、有意な遅延が生じるとは認められない。
よって、引用発明において、「記録開始条件を充足」することにより、「SDメモリカード37への画像データの記録を開始」した際は、たとえは、内部時計33の日時データを、取得した基準日時データに置き換えることにより、「内部時計33の校正処理」が同時に行われるものであって、「先に送信した記録開始条件の情報について、受信した基準日時データを関連付けて登録する」ことにより、「内部時計33の校正処理」が同時に行われる「記録開始条件の発生箇所」を正確に特定できるようにしたものといえる。
してみれば、引用発明の「ナビゲーション装置2」から「記録開始」時に「受信」され、「記録開始条件の情報」として「登録」される「基準日時データ」は、「内部時計33の校正処理」が行われた時点を示す情報といえる。
(イ) 以上の検討結果を踏まえると、本願発明と引用発明の構成Bの観点にける一致点及び相違点は、次のa及びbのとおりである。
a 構成Bの観点における一致点
「前記内部時計の時刻情報の校正を行った点を示す情報を記録する機能」である点。
b 構成Bの観点における相違点
校正を行った点を示す情報に関し、本願発明においては、
「位置を示す位置情報」であるのに対して、
引用発明においては、
時点を示す情報である点。
(2) 一致点及び相違点
前記(1)の対比分析の結果をまとめると、本願発明と引用発明は、次のアに示す一致点において一致し、後記イに示す相違点において相違すると認められる。
ア 一致点
「内部時計により計時した時刻情報を、撮影した画像情報に対応づけて記憶する機能と、
前記内部時計の時刻情報の校正を行った点を示す情報を記録する機能と
を有するドライブレコーダを備えることを特徴とするシステム。」である点。
イ 相違点
(ア) 相違点1
時刻情報と対応付けられる画像情報に関し、本願発明においては、
「時刻情報」が「動画情報に含まれる静止画情報」に対応付けられるのに対して、
引用発明においては、
「日時データ」が「画像データ」に関連付けされることにとどまる点。
(イ) 相違点2
校正を行った点を示す情報に関し、本願発明においては、
「位置を示す位置情報」であるのに対して、
引用発明においては、
時点を示す情報である点。
7 判断
(1) 相違点1について
ア 引用文献3の【0058】及び【0085】の記載によれば、引用発明において記録される画像データは、CCDカメラ18により撮影された映像ファイルであって、複数フレームの画像データを含むことから、動画データといえる。
イ また、同【0068】、【0085】及び【0089】の記載によれば、引用文献3において、特定の地点(日時データ、位置情報)に対応する画像データは、画像データ付アイコンI1として表示可能であって、フレーム単位で日時データが関連付けられたものである。よって、かかるフレーム単位の画像データは、静止画として抽出可能であるから、静止画データといえる。
ウ 前記ア及びイの事項によれば、画像データとして、動画データ(動画情報)と静止画データ(静止画情報)を含むものであり、日時データ(時刻情報)が、かかるデータ内の静止画データ(静止画情報)に対応付けられていることは、引用文献3に記載されているに等しい事項である。
エ 仮に、ウの事項が引用文献3に記載されているに等しいとまではいえないとしても、前記5(2)アで周知技術1として述べたとおり、本願遡及出願日時、「車載システム」の技術分野において、「ドライブレコーダにおいて、撮影された画像には、動画と静止画があり、両者は対応付けて記録されること」は、当業者にとって周知技術である。
よって、引用発明において、周知技術1を踏まえるに、複数フレームの画像データからなり、フレーム単位で日時データと関連付けられる画像データとして、動画データ(動画情報)に含まれる静止画データ(静止画情報)とすることは、当業者が容易になし得たことであるともいえる。
(2) 相違点2について
ア 引用文献3の【0090】の記載によれば、引用文献3には、記録開始条件の発生箇所を正確に特定する動機がある。
イ また、同【0085】、【0089】及び【0097】の記載によれば、引用文献3において、日時データに関連付けられた画像データと、車両の位置情報とのマッチングは、ナビゲーション装置2の制御部45が行っているものである。
ウ さらに、前記5(2)イで周知技術2として述べたとおり、本願遡及出願日時、「車載システム」の技術分野において、「ドライブレコーダにおいて、画像データを記録する際に、日時データ及び位置データを関連付けて記録すること。」は、当業者にとって周知技術である。
エ 前記ア及びウによれば、引用発明において、記録開始条件の発生箇所を正確に特定するための情報として、位置データの有用性は明らかであるから、登録される画像データの記録開始条件に、位置データを含ませることには、当業者に十分の動機付けがある。
オ そして、引用発明では、前記イに示すように、システム全体として、ドライブレコーダ1外のナビゲーション装置2において、画像データと位置データのマッチングを行う構成を採用しているところ、かかる構成に代えて、周知技術2を勘案して、ドライブレコーダ1において、ナビゲーション装置2から記録開始の発生箇所の位置データを受信して、「内部時計33の校正処理」が行われた点を示す情報である、画像データの記録開始条件として、位置データを含めて、登録することにより、相違点2に係る構成を採用することは、当業者が容易になし得たことである。
(3) 総合評価
ア 前記(1)及び(2)において検討したとおり、引用発明において、前記相違点に係る本願発明の構成を備えるようにすることは、引用発明及び周知技術2に基づいて当業者が容易に想到し得たことである。または、同事項は、引用発明並びに周知技術1及び2に基づいて当業者が容易に想到し得たことであるともいえる。
イ そして、構成Bは「前記内部時計の時刻情報の校正を行った位置を示す位置情報を記録する機能」であって、当該情報を記録することが特定されているものの、当該情報をどのように使用するかは特定されておらず、また、全ての当該情報を記録することも特定されていない。そして、前記2(3)で述べたとおり、当該構成Bに関する本願明細書の記載は【0284】に、当該構成と同様の記載があるにすぎない。
よって、相違点1、2を総合的に勘案しても、本願発明が奏する効果としては、当該構成のものとして当業者が予測・発見困難であり、かつ、格別顕著な効果を認めることはできない。
ウ 仮に、構成Bが、内部時計の時刻情報の校正を行った位置を示す位置情報の全てを記録することを意味すると解しても、引用文献3の【0064】には「前回の校正から今回基準日時データを取得するまでに生じた2つの内部時計33,42における時間の進み/遅れの差を求め、それに基づいて内部時計33の時間の進み方を調整する機能をさらに備えると良い。」との記載があって、過去の校正履歴を使用することが示唆されており、同【0089】及び【0096】には、地図上に各種イベントを表示することが記載されているところ、例えば、引用文献6の前記5(1)ウ(イ)の記載、及び、特開2001-216048号公報の【0001】の記載にもあるように、内部時計を有するシステムにおいて、「内部時計の校正履歴を記録しておき、参照可能な状態としておくこと」が技術常識であったことを踏まえると、「内部時計33の校正処理」が行われた点である「記録開始条件の発生箇所」に加えて、内部時計の校正履歴たる「内部時計33の校正処理」が行われた点の全てを、イベントとして参照可能とすることも、当業者が当然になし得た事項にすぎない。
エ したがって、本願発明は、引用発明及び周知技術2に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。または、本願発明は、引用発明並びに周知技術1及び2に基づいて当業者が容易に発明をすることができたことである。
8 請求人の主張について
(1) 請求人の主張内容
請求人は、審判請求書において、大略、以下の主張をしている。
ア 引用文献3の【0068】には、内部時計33からの取得に代えて、基準日時データを直接使用するオプションの記載があるだけであり、内部時計33を置き換えた(校正する)ものを用いる構成の記載ではなく、阻害要因がある。
イ 引用文献4の【0066】の記載によれば、「時刻の置き換え」をする引用文献3と組み合わせることには、阻害要因がある。
ウ 本願発明の構成により、記録された内部時計の時刻情報の校正を行った位置を示す位置情報に基づいて、内部時計の時刻情報の校正を行った位置を容易に知ることができるという効果、内部時計の時刻情報の校正を行った位置を実際に訪れた運転者は、その場所の情景がわかっているため、その自身の脳内にある情景と撮影した動画情報に含まれる静止画像とを比較して、あの場所で校正したのだなと把握できるという効果を奏するが、こうした効果を奏する構成の記載はいずれの引用文献にもない。
エ 引用文献3と引用文献4-5を組み合わせた構成は、単に、自己の「校正前か校正後か区別できない」走行履歴位置を記憶するものであり、本願のように積極的に「内部時計の時刻情報の『校正を行った位置』」を記録するものではない。
(2) 請求人の主張についての検討
ア 前記(1)アに関し、引用文献3の【0057】、【0064】には、ドライブレコーダ1の制御部36に、内部時計の校正機能があることが明記されている。そして、同【0064】には、「この日時データの校正処理は、たとえは、内部時計33の日時データを、取得した基準日時データに置き換えるものである。」と記載されているとおり、内部時計33の校正として、「内部時計33の日時データを、取得した基準日時データに置き換え」た場合は、それ以降、「内部時計33」は、置き換えた日時データにしたがった日時を刻むものである。よって、請求人の主張は、引用文献3の記載を正解しないものであって、失当である。
イ 前記(1)イに関し、引用文献4の【0069】には、「更に、ドライブレコーダ6は、車両情報部27(図2)から、GPSによる位置情報を取得すると共に、GPSによる現在の日時刻(時計部24を用いてもよい)を取得する。」と記載されており、ドライブレコーダ6で記録する日時刻情報として、ドライブレコーダ6の外部から受信する「GPSによる現在の日時刻」またはドライブレコーダ6の内部の「時計部24」から取得するものを用いることが記載されているから、何の阻害要因も存在しない。
ウ 前記(1)ウに関し、請求人の主張する効果は、本願明細書に記載されたものではないから、前提において失当である。
エ 前記(1)エに関し、前記7(2)オで述べたように、引用発明で、周知技術2を勘案して、ドライブレコーダ1において、ナビゲーション装置2から記録開始の発生箇所の位置データを受信して、「内部時計33の校正処理」が行われた箇所を示す情報である、画像データの記録開始条件として、位置データを含めて、登録することにより、相違点2に係る構成を採用することは、当業者が容易になし得たことである。そして、当該構成は、少なくとも、画像データの記録開始位置において、内部時計33の校正処理が行われたことを認識できるものであって、校正の前後を区別できるものとなっている。そして、前記7(3)ウで述べたとおり、「内部時計33の校正処理」が行われた点である「記録開始条件の発生箇所」に加えて、内部時計の校正履歴たる「内部時計33の校正処理」が行われた点の全てを、イベントとして参照可能とすることも、当業者が当然になし得た事項にすぎない。
オ 前記ア~エのとおり、請求人の主張はいずれも採用できない。
9 むすび
以上検討のとおり、本願発明は、特許法29条2項の規定により、特許を受けることができない。
したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2024-019797