特許拒絶査定不服審判
2025-002810
電子機器、接続アダプタ及びプログラム
- 審判番号
- 2025-002810
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2022-155926
- 請求日
- 2025年02月25日
- 審決日
- 2025年11月18日
- 公報発行日
- 2026年02月27日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】株式会社ユピテル
- 審判長/審判官
- 審判長 篠塚 隆
- 審判官 野崎 大進
- 審判官 坂庭 剛史
- 分類
- P18 .121-Z (G01S) / P18 .572-Z (G01S) / P18 .575-Z (G01S)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第17条の2第6項、特許法第44条第1項、特許法第17条の2第5項第2号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2022-155926「電子機器、接続アダプタ及びプログラム」拒絶査定不服審判事件〔令和 4年12月 6日出願公開、特開2022-180587〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
1 出願分割の経緯の概略
本願は、令和4年9月29日にされた特許法第44条第1項の規定による特許出願であって、平成27年11月21日を出願日とする特願2015-228243号を最先の出願とする、いわゆる第2世代の分割出願であるところ、出願の分割の経緯は、次のとおりである。なお、括弧内は当該出願の提出日を示す。
最先の出願:特願2015-228243号(平成27年11月21日)
第1世代 :特願2020-181205号(令和 2年10月29日)
本 願 :特願2022-155926号(令和 4年 9月29日)
2 手続の経緯の概略
本願の手続の経緯は、概略、以下のとおりである。
令和4年 9月29日 上申書の提出
令和5年12月20日付け 拒絶理由通知
令和6年 2月25日 意見書、手続補正書の提出
令和6年 5月27日付け 拒絶理由通知(最後)
令和6年 8月 5日 意見書、手続補正書の提出
令和6年11月21日付け 令和6年8月5日付け手続補正書による
補正の却下の決定、拒絶査定(原査定)
令和7年 2月25日 審判請求書、手続補正書の提出
第2 令和7年2月25日の手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
令和7年2月25日にされた手続補正を却下する。
[補正の却下の理由]
1.手続補正の内容
令和7年2月25日の手続補正(以下、「本件補正」という)により、特許請求の範囲の請求項1の記載は、本件補正前の(1)のとおりの記載から、本件補正後の(2)のとおりの記載に補正された(下線は補正により変更された部分を示す)。
(1)本件補正前の請求項1
「【請求項1】
画面上に所定の情報を表示している状態で、現在位置が報知対象物と所定の接近関係になると警報の表示を前記画面上に所定の情報の一部と重なる前記画面上の第一の領域に行う機能を備えた装置であって、
前記画面上に所定の情報を表示している状態で、前記画面上に所定の情報の一部と重なり前記第一の領域と異なる前記画面上の第二の領域に運転者の所定の状態を検知したときに警報を表示する機能と、
前記画面上に所定の情報を表示している状態で、前記画面上に所定の情報の一部と重なり前記第一の領域と異なる前記画面上の第三の領域に前方車両への接近を検知したときに警報をする機能と、
を備え、
前記運転者の所定の状態を検知したときに警報を表示する前記画面上の第二の領域については、半透明の領域を備えること
を特徴とする電子機器。」
(2)本件補正後の請求項1
「【請求項1】
画面上に所定の情報を表示している状態で、現在位置が報知対象物と所定の接近関係になると警報の表示を前記画面上に所定の情報の一部と重なる前記画面上の第一の領域に行う機能を備えた装置であって、
前記画面上に所定の情報を表示している状態で、前記画面上に所定の情報の一部と重なり前記第一の領域と異なる前記画面上の第二の領域に運転者の所定の状態を検知したときにテキストによる警報を表示する機能と、
前記画面上に所定の情報を表示している状態で、前記画面上に所定の情報の一部と重なり前記第一の領域と異なる前記画面上の第三の領域に前方車両への接近を検知したときに図による警報をする機能と、
を備え、
前記運転者の所定の状態を検知したときに警報を表示する前記画面上の第二の領域については、前記テキストによる警報を表示する半透明の領域を備えること
を特徴とする電子機器。」
2.補正の適否
(1)本件補正の目的
この補正は、本件補正前の請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「運転者の所定の状態を検知したときに警報を表示する機能」について、「運転者の所定の状態を検知したときにテキストによる警報を表示する機能」と限定し、「前方車両への接近を検知したときに警報をする機能」について、「前方車両への接近を検知したときに図による警報をする機能」と限定し、「半透明の領域」について、「前記テキストによる警報を表示する半透明の領域」と限定するものであって、本件補正の前後で、請求項1に記載の発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、本件補正は、特許法第17条の2第5項第2号に規定された特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
そこで、本件補正後の請求項1に係る発明(以下、「本件補正発明」という)が特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項に規定された特許出願の際独立して特許を受けられるものであるか否かについて以下検討する。
(2)独立特許要件についての判断
ア 本件補正発明
本件補正発明は、上記1.(2)の記載により特定されるとおりのものである。
イ 引用発明
原査定の拒絶の理由で引用された特開2013-224836号公報(以下、「引用文献1」という)には、図面とともに次の事項が記載されている(下線は、当審で付加した。以下同様。)。
(ア)「【技術分野】
【0001】
本発明は、運転者に対して報知を行うことによって運転者の運転を支援する運転支援システム、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
目標対象の位置情報を記憶し、GPSによって検出された車両の位置と、その記憶した目標対象の位置とが所定の関係になった場合に、運転者に対して警報を発する運転支援システムが知られている。目標対象として、例えば、車両速度を測定する装置や、取締・検問エリアなどが挙げられる。例えば特許文献1には、目標対象と車両との間の距離が設定された距離に至った場合、目標対象を特定する情報等をディスプレイ上に表示したり、音声による警報を出力したりできる運転支援システムが提案されている。目標対象は、交通事故の発生し易い危険な場所に設置される場合が多い。従って運転支援システムは、目標対象への接近を運転者に知らせることで、交通事故の発生しやすい場所において運転者に安全運転を促すことができる。このように、目標対象への接近を運転者に知らせることは、運転者の安全運転に寄与するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】 特開2011-22161号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されたシステムでは、車両の近くに目標対象が多数存在する場合、運転支援システムから運転者に対して頻繁に報知が行われることになる。これらの報知の中には、運転者が既に十分認識している目標対象に関するものや、誤報も含まれている可能性がある。このような報知が繰り返された場合、運転者は、全ての報知に対して注意を払うことが次第に億劫になり、報知に対する注意力は徐々に散漫になる。このため、重要な報知を運転者が見逃してしまう場合が発生し得るという問題点がある。
【0005】
本発明の目的は、運転者に対して行う報知を、従来よりも運転者に適切に認識させることができる運転支援システム、およびプログラムを提供することにある。」
(イ)図1
[図:0001431928000001.jpg]
(ウ)「【0037】
図1を参照し、運転支援システム4の概要について説明する。運転支援システム4は、車両内に設置される。運転支援システム4は、様々な情報を出力することによって、運転者の運転を支援する。運転支援システム4の一例として、レーダー探知機が挙げられる。運転支援システム4には、主制御を行う制御部41が設けられる。制御部41は、CPU42、EEPROM43、RAM44等を備えるマイコン等から構成されている。また制御部41には、GPS衛星からの電波を受信するGPS受信器(GPSモジュール)45、速度計測用のレーダーからのマイクロ波を受信するマイクロ波受信器(マイクロ波受信モジュール)46、交通取締りの連絡用のUHF帯の無線電波を受信する無線受信器(無線受信モジュール)47、各種の情報や警報画面を表示するカラー液晶から構成された表示部48、表示部48の表面に設けられたタッチパネル49、点滅又は点灯して報知を行うランプ50、警告の音声を発するスピーカ51、SDカード5が挿入されるカードリーダ52、および、車両のOBD情報を収集するためのOBDコネクタ53が接続されている。」
(エ)図4
[図:0001431928000002.jpg]
(オ)「【0054】
運転支援システム4の表示部48に表示される表示画像について、図4~図7を参照して説明する。運転支援システム4は、設定された表示モードに応じて異なる態様の表示画面を表示部48に表示する。運転支援システム4は、常時表示モードとして、レーダー待受表示モード、OBD表示モード、およびMAP表示モードを備えている。レーダー待受表示モードでは、時計およびスピードを示す画面、GPSの測位状況を示す画面の他、車両の傾斜状態を示す画面、車両に加わる加速度を示す画面等を表示部48に表示する。OBD表示モードでは、瞬間燃費、今回燃費、燃料流量、車速、冷却水温度、トリップメータ、全国道平均燃費、一般道平均燃費、高速道平均燃費、エンジン回転数、エンジン負荷率、スロットル開度等を示す画面を表示部48に表示する。MAP表示モードでは、自車両の近傍の地図画像31(図4~図7参照)を表示部48に表示する。
【0055】
それぞれの表示モードにおいて警報情報が出力される場合について説明する。レーダー待受表示モードおよびOBD表示モードでは、それぞれの常時表示モードに対応する画面に、警報情報を示すテロップが重ねて表示され、警告音がスピーカから51から出力される。これに対してMAP表示モードでは、自車両に近づいた目標対象を示す情報として、ターゲットアイコン21等(図4~7参照)が地図画像31に重ねて表示される。また、目標対象情報を示す文字等が表示される。本実施形態における運転支援システム4は、このMAP表示モードにおいて警報情報を出力する場合の態様に特徴を有している。以下、詳説する。
【0056】
図4を参照し、表示部48に表示される表示画面の一例である表示画面100について説明する。なお図4では、2011年11月10日 9:15時点で表示画面100が表示部48に表示された場合を想定している。自車両は、遠野市の国道396号線(図4中、道路28)上を走行中であるとする。従ってこの時点では、第二DB431(図2参照)におけるインデックス6の更新日時(2011/11/11 9:00)は記憶されていないものとする。
【0057】
表示画面100には、メイン表示領域11、第一サブ表示領域12、第二サブ表示領域13、第三サブ表示領域14、および第四サブ表示領域15が設けられている。メイン表示領域11は、表示部48全体に設けられる。第一サブ表示領域12は、表示部48の上端且つ左右中央部分に設けられる。第三サブ表示領域14は、表示部48の下端に設けられる。第二サブ表示領域13は、第三サブ表示領域14の上側に設けられる。第四サブ表示領域15は、第二サブ表示領域13の上側且つ右側に設けられる。以下、其々の表示領域の詳細について説明する。
【0058】
メイン表示領域11について説明する。メイン表示領域11は、自車両と目標対象との位置関係を示すための画像を表示する領域である。メイン表示領域11には、地図画像31が全体に表示される。地図画像31は、自車両の位置の周辺の地図データをSDカード5から読み出して生成する。メイン表示領域11に表示する地図画像31の範囲は、運転者による設定に基づいて決定する。メイン表示領域11に表示された地図画像31上に、自車アイコン20、ターゲットアイコン21、22・・・、および制限速度アイコン24が重ねて表示される。自車アイコン20は、地図画像31に対して自車両がどの位置にあるかを示すためのものである。制御部41は、GPS受信器45から出力された位置情報に基づいて、自車両位置を特定し、地図画像31のうち自車両位置に相当する部分に、自車アイコン20を重ねて表示する。ターゲットアイコン21、22・・・は、自車両との間の距離が所定距離以下であって所定の条件を満たす目標対象が地図画像31に対してどの位置に設置されているかを示すためのものである。ターゲットアイコン21、22・・・の内部に表示された文字や図形等は、目標対象の種別を示している。制御部41は、第二DB431(図2参照)に基づいて目標対象の位置を特定し、地図画像31のうち目標対象の位置に相当する部分に、ターゲットアイコン21、22・・・を重ねて表示する。制限速度アイコン24は、自車両が走行中の道路の制限速度を示している。制御部41は、走行中の道路に対応する道路情報データをSDカード5から読み出し、制限速度を取得して制限速度アイコン24内に表示する。
【0059】
なお制御部41は、メイン表示領域11に表示する自車アイコン20及びターゲットアイコン21、22と地図画像31との間で位置合わせをし、同期をとって表示をする。具体的には以下のとおりである。自車アイコン20の表示位置は、メイン表示領域11の下方中央部位に固定する。車両の進行方向が上側になるように、地図画像31を回転させる。つまり、自車両の進行方向が変わった(曲がった)場合、それに合わせて地図画像31も回転させる。自車両が前進した場合、表示する地図画像31を下方にスクロール移動させる(いわゆるヘディングアップ表示)。なおこのような表示の制御は、カーナビゲーションシステムにおける地図の表示制御、即ち、自車両の位置を画面中央に固定した状態で、地図画像31を適宜スクロール等させる制御を利用することで実現することができる。
【0060】
なお制御部41は、自車アイコン20とターゲットアイコン21、22との間の距離が所定距離以内となった場合、目標対象の種類に応じて模式図または写真のデータをSDカード5から読み出し、地図画像31に重ねて表示する。また、目標対象の種類に応じた音声データをSDカード5から読み出し、スピーカ51から出力する。例えば、速度測定装置が500m未満に接近した場合には、速度測定装置の模式図または写真のデータをSDカード5から読み出して、地図画像31に重ねて表示する。また、「500m先 速度測定装置です。スピード注意」という音声をSDカード5から読み出し、スピーカ51から出力する。
【0061】
第一サブ表示領域12について説明する。第一サブ表示領域12は、メイン表示領域11に表示されたターゲットアイコン21、22、・・・によって示される目標対象の情報を、文字によって表示するために設けられる。第一サブ表示領域12に表示される情報は、目標対象の種別、および、自車両と目標対象との間の距離である。なお、第一サブ表示領域12内に文字が収まらない場合、制御部41は、図4に示すように文字をスクロール表示する。」
(カ) 上記(イ)~(オ)より、引用文献1の、特に下線を付加した記載に着目すると、引用文献1には、以下の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「車両内に設置される運転支援システム4であって、
様々な情報を出力することによって、運転者の運転を支援するものであり、
運転支援システム4には、主制御を行う制御部41が設けられ、制御部41は、CPU42、EEPROM43、RAM44等を備えるマイコン等から構成されており、
各種の情報や警報画面を表示するカラー液晶から構成された表示部48が接続されており、
運転支援システム4は、MAP表示モードを備えており、MAP表示モードでは、自車両の近傍の地図画像31を表示部48に表示しており、
MAP表示モードでは、自車両に近づいた目標対象を示す情報として、ターゲットアイコン21等が地図画像31に重ねて表示され、
表示の制御は、カーナビゲーションシステムにおける地図の表示制御、即ち、自車両の位置を画面中央に固定した状態で、地図画像31を適宜スクロール等させる制御を利用することで実現することができ、
自車アイコン20とターゲットアイコン21、22との間の距離が所定距離以内となった場合、目標対象の種類に応じて模式図または写真のデータを地図画像31に重ねて表示し、例えば、速度測定装置が500m未満に接近した場合には、速度測定装置の模式図または写真のデータを地図画像31に重ねて表示する
運転支援システム。」
ウ 対比
本件補正発明と、引用発明とを対比する。
引用発明において「運転支援システム4には、主制御を行う制御部41が設けられ、制御部41は、CPU42、EEPROM43、RAM44等を備えるマイコン等から構成され」、「各種の情報や警報画面を表示するカラー液晶から構成された表示部48が接続され」、「自車両の近傍の地図画像31を表示部48に表示しており、・・・自車両に近づいた目標対象を示す情報として、ターゲットアイコン21等が地図画像31に重ねて表示され、・・・自車アイコン20とターゲットアイコン21、22との間の距離が所定距離以内となった場合、目標対象の種類に応じて模式図または写真のデータを地図画像31に重ねて表示し、例えば、速度測定装置が500m未満に接近した場合には、速度測定装置の模式図または写真のデータを地図画像31に重ねて表示する」とされている。
ここで、引用発明の「表示部48」、「地図画像31」、「自車アイコン20とターゲットアイコン21、22との間の距離が所定距離以内となった場合」、「目標対象の種類に応じて模式図または写真のデータを地図画像31に重ねて表示」することは、それぞれ、本件補正発明の「画面」、「所定の情報」、「現在位置が報知対象物と所定の接近関係になる」場合、「警報の表示を前記画面上に所定の情報の一部と重なる前記画面上の第一の領域に行う」ことに、相当するといえる。
また、引用発明は、「CPU42、EEPROM43、RAM44等を備えるマイコン等から構成され」た「制御部41」が「設けられ」たものであるから、本件補正発明と同様に、「装置」ないし「電子機器」であるといえる。
したがって、本件補正発明と、引用発明とは、「画面上に所定の情報を表示している状態で、現在位置が報知対象物と所定の接近関係になると警報の表示を前記画面上に所定の情報の一部と重なる前記画面上の第一の領域に行う機能を備えた装置であ」る「電子機器」である点で共通しているといえる。
エ 一致点および相違点
本件補正発明と、引用発明とは、以下(ア)の点で一致し、以下(イ)の点で相違する。
(ア)一致点
「画面上に所定の情報を表示している状態で、現在位置が報知対象物と所定の接近関係になると警報の表示を前記画面上に所定の情報の一部と重なる前記画面上の第一の領域に行う機能を備えた装置である
電子機器。」
(イ)相違点
a <相違点1>
本件補正発明は、「前記画面上に所定の情報を表示している状態で、前記画面上に所定の情報の一部と重なり前記第一の領域と異なる前記画面上の第二の領域に運転者の所定の状態を検知したときにテキストによる警報を表示する機能」を備え、「前記運転者の所定の状態を検知したときに警報を表示する前記画面上の第二の領域については、前記テキストによる警報を表示する半透明の領域を備え」ているのに対して、引用発明は、そのような機能を備えていない点。
b <相違点2>
本件補正発明は、「前記画面上に所定の情報を表示している状態で、前記画面上に所定の情報の一部と重なり前記第一の領域と異なる前記画面上の第三の領域に前方車両への接近を検知したときに図による警報をする機能」を備えているのに対して、引用発明は、そのような機能を備えていない点。
オ 相違点についての判断
(ア) <相違点1>について
a 引用文献2(特開2015-138308号公報)には、図面とともに以下の記載がある。
(a) 「【技術分野】
【0001】
本発明は、運転手の安全運転を支援する運転支援装置に関し、特に、運転状況に対して、より適切な警告や診断等の通知を行うための警告通知方法に関する。」
(b) 図5
[図:0001431928000003.jpg]
(c) 「【0042】
図5は、視認時間が所定時間以上であった場合における警告通知の表示例を示す図である。警告通知手段216は、計測された視認時間が所定時間以上であったとき、表示画面240の中央部に「危険に気づくのが遅いです。わき見運転に気をつけましょう。」との警告表示242を提示する。これにより、運転者は、運転中の不注意に気づくことができ、安全運転を心がけることができる。」
b 引用文献4(特開2002-162236号公報)には、図面とともに以下の記載がある。
(a) 「【発明の属する技術分野】本発明は、車両に搭載された画像表示装置、例えば自車の現在位置を検出するとともに、出発地から目的地までの推奨経路を探索してモニタ画面の地図上に表示するナビゲーション装置などのような画像表示装置に関する。」
(b) 図3
[図:0001431928000004.jpg]
(c) 「【0012】次に、本発明の主題である走行中の注意表示について図2を参照して説明する。まず車両のエンジンを掛けてナビゲーション装置を立ち上げると、表示手段5に操作メニューが表示されるので(ステップS1)、その中から「行き先」を選択して目的地を設定すると(ステップS2)、表示手段5の画面には現在地から目的地までの走行ルートが地図上に表示される(ステップS3)。運転者が目的地までのルートを確認して車両の走行を開始すると(ステップS4)、走行検出手段6が車両の走行を検出し、その信号を基に、制御手段8が、図3に示すように、表示画面9に「画面を注視しないで!」といった注意表示10を表示させる(ステップS5)。この注意表示10は、文字のみを点滅表示させても、注意表示10の枠内全体を点滅表示させてもよい。または、注意表示10の枠内を背景が透けて見えるような半透明表示にしてもよい。」
c 引用文献2および4の上記記載から、運転支援システムの技術分野において、運転者のよそ見などの状態を検知して、テキストにより警告するメッセージを地図上などに重ねて表示したり、そのテキストを半透明表示したりする技術は、原出願前に周知技術であったといえる。
d また、複数のメッセージを表示する際に、互いにメッセージが重ならないように別の領域に表示することも、原出願前に周知の技術にすぎない。
e したがって、引用発明においても、当該周知技術を採用して、運転者のよそ見などの状態を検知して、他のメッセージと重ならない領域に、テキストにより警告するメッセージを地図上などに重ねて表示したり、そのテキストを半透明表示したりするようにし、<相違点1>に係る構成とすることは、当業者が容易に想到し得たものである。
(イ) <相違点2>について
a 引用文献3(特開2010-025709号公報)には、図面とともに以下の記載がある。
(a) 「【技術分野】
【0001】
本発明は、たとえば、車両などの移動体に搭載され、当該移動体の運転を支援する運転支援装置、運転支援方法、運転支援プログラム、およびコンピュータに読み取り可能な記録媒体に関する。」
(b) 「【0065】
近接距離判定プログラムは、各種センサ317によって、自車両と近接車両との間の距離(近接距離)を検知させ、当該近接距離と、設定された所定距離とを比較し、「近接距離>所定距離」であるか「近接距離<所定距離」であるかを判定させる。なお、「近接距離>所定距離」である場合には、上記の音声生成プログラムや表示プログラムによって、進行をあらわす所定の報知情報を報知させる。また、「近接距離<所定距離」である場合には停止をあらわす所定の報知情報を報知させる。」
(c) 図10
[図:0001431928000005.jpg]
(d) 「【0121】
図10は、本実施例のナビゲーション装置の具体的な表示例を示す説明図(その2)である。なお、図10では、図9と同一の構成については同符号とし、説明を省略する。図10に示した案内ウインドウ1003には、近接車両との接近を警告する文字列が表示されている。すなわち、図6に示した近接距離判定処理によって、近接距離が設定された所定距離以下であると判定されたため、近接車両(一台前の車両)との接近を警告し、停止をあらわす文字列が表示されている(停止をあらわす所定の報知情報に基づく文字列)。」
b 引用文献5(特開2002-025000号公報)には、図面とともに以下の記載がある。
(a) 「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、車両外部の情報を入手してその情報を表示するようにした車両の制御装置に関する技術分野に属する。」
(b) 図25
[図:0001431928000006.jpg]
(c) 「【0078】一方、上記ステップSE21の判定がYESであるときには、ステップSE25に進んで、情報提供フラグFc1が1であるか否かを判定する。このステップSE25の判定がYESであるときには、ステップSE26に進んで、ドライビングディスプレイ3の表示画面3aに、図25に示すような注意喚起表示を実行してリターンする。つまり、表示画面3aの第1表示部8に、注意対象を示す文字情報を表示し、第2表示部9に、前方の状況を示す図形情報を表示し、第3表示部10に、表示内容に関するシンボルマークmを表示する。尚、図25中、βは、他車(ここでは前方車)を示すマーク(他車マークβという)である。」
c 引用文献3および5の記載から、自車と前方車等との車間距離が一定距離以内になった場合に、警告情報を表示し、その際に、シンボルマーク等を用いた警告表示とすることは、原出願日前に、周知の技術であったといえる。
d また、複数の警告表示を表示する際に、互いにの警告表示(メッセージ)が重ならないように、互いに別の領域に表示することも、原出願前に周知の技術にすぎない。
e したがって、引用発明においても、当該周知技術を採用して、自車と前方車等との車間距離が一定距離以内になった場合に、警告情報を表示し、その際に、シンボルマーク等を用いた警告表示を警告表示(メッセージ)が重ならないように、別領域に表示するようにし、<相違点2>に係る構成とすることは、当業者が容易に想到し得たものである。
(ウ) そして、本願補正発明の奏する作用効果は、引用発明及び周知技術の奏する作用効果から予測される範囲内のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。
(エ) よって、本件補正発明は、引用発明及び周知技術に基づいて、容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。
(3)小活
したがって、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
第3 本願発明について
1.本願発明
上述のとおり、令和7年2月25日の手続補正は却下されたので、本願の請求項に係る発明は、令和6年2月25日の手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし6の記載により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という)は、上記第2の1.(1)に記載されたとおりのものである。
2.引用文献1、引用発明
引用文献1の記載事項及び引用発明は、上記第2の2.(2)「イ 引用発明」に記載したとおりである。
3.本願発明と引用発明との対比・判断
本願発明は、上記第2の2.(1)で述べたように、本件補正前の請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「運転者の所定の状態を検知したときに警報を表示する機能」について、「運転者の所定の状態を検知したときにテキストによる警報を表示する機能」との限定を省き、「前方車両への接近を検知したときに警報をする機能」について、「前方車両への接近を検知したときに図による警報をする機能」との限定を省き、「半透明の領域」について、「前記テキストによる警報を表示する半透明の領域」との限定を省いたものであるから、本願発明と引用発明とは、上記の省いた構成を除いて、上記第2の2.(2)「ウ 対比」と同様に対比でき、本願発明と引用発明との一致点は、上記第2の2.(2)「エ 一致点および相違点」「(ア)一致点」で述べた本願補正発明と引用発明との一致点と同じものとなり、本願発明は、本願補正発明と同様に、引用発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
したがって、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
第4 むすび
以上のとおりであるから、本願の請求項1に係る発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願は、その余の請求項について論及するまでもなく、拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2025-002810