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特許拒絶査定不服審判

2025-005276

運転支援装置及びコンピュータプログラム

審判番号
2025-005276
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2021-060742
請求日
2025年04月07日
審決日
2026年01月09日
公報発行日
2026年03月27日
結論
請求不成立
当事者
  • 【請求人】株式会社アイシン
  • 【請求人代理人】弁理士法人ネクスト
審判長/審判官
  • 審判長 岩間 直純
  • 審判官 篠塚 隆
  • 審判官 久慈 渉
分類
P18 .121-Z (G08G) / P18 .113-Z (G08G) / P18 .575-Z (G08G)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項、特許法第17条の2第6項、特許法第17条の2第5項第2号、特許法第29条第1項第3号
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2021- 60742「運転支援装置及びコンピュータプログラム」拒絶査定不服審判事件〔令和 4年10月14日出願公開、特開2022-156848〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 第1 手続の経緯の概略 本願は、令和3年3月31日の出願であって、その手続の経緯は、概略、以下のとおりである。 令和 4年 3月16日 :手続補正書の提出 令和 6年 7月24日付け:拒絶理由通知書 令和 6年 9月24日 :意見書の提出 令和 6年12月18日付け:拒絶査定 令和 7年 4月 7日 :審判請求書、手続補正書の提出 第2 令和7年4月7日にされた手続補正(以下「本願補正」という。)についての補正の却下の決定 [補正の却下の決定の結論] 令和7年4月7日にされた手続補正を却下する。 [補正の却下の決定の理由] 1 本願補正について (1)本願補正後の特許請求の範囲 本願補正により、特許請求の範囲の旧請求項1は、次のとおり補正された(下線部は、補正箇所である。)。 「 【請求項1】 車両周辺の所定の検出範囲における道路状況を取得する道路状況取得手段と、 車両が走行する走行予定経路を取得する走行予定経路取得手段と、 前記検出範囲外の前記走行予定経路にあって車両の走行を妨げる要因となる障害物の情報を取得する障害物情報取得手段と、 道路に描かれた区画線の配置に関する情報を含む地図情報と前記障害物の情報とを用いて、前記検出範囲外を含む領域を対象にして前記走行予定経路を走行する際の前記障害物を回避する為に推奨される走行軌道を、前記区画線との位置関係を特定した態様で生成する走行軌道生成手段と、 前記走行軌道生成手段によって生成された走行軌道に基づいて車両の運転支援を行う運転支援手段と、を有する運転支援装置。」 (2)本願補正前の特許請求の範囲 本願補正前の、令和4年3月16日の手続補正による特許請求の範囲の請求項1の記載は次のとおりである。 「 【請求項1】 車両周辺の所定の検出範囲における道路状況を取得する道路状況取得手段と、 車両が走行する走行予定経路を取得する走行予定経路取得手段と、 前記検出範囲外の前記走行予定経路にあって車両の走行を妨げる要因となる障害物の情報を取得する障害物情報取得手段と、 区画線に関する情報を含む地図情報と前記障害物の情報とを用いて、前記検出範囲外を含む領域を対象にして前記走行予定経路を走行する際の前記障害物を回避する為に推奨される走行軌道を生成する走行軌道生成手段と、 前記走行軌道生成手段によって生成された走行軌道に基づいて車両の運転支援を行う運転支援手段と、を有する運転支援装置。」 (3)補正の目的 本願補正前の旧請求項1に対する補正は、本願補正前の旧請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項である、走行軌道生成手段で用いる「地図情報」について「道路に描かれた区画線の配置に関する情報を含む」との限定、及び、「走行軌道生成手段」での生成について「前記区画線との位置関係を特定した態様で」との限定を、それぞれ付加するものであって、本願補正前の旧請求項1に記載された発明と本願補正後の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 2 補正の適否 本願補正後の請求項1に記載される発明(以下「本願補正発明」という。)が特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について、以下、検討する。 (1)本願補正発明 本願補正発明は、上記1(1)に記載したとおりのものである。 (2)引用文献 ア 引用文献1 原査定の拒絶の理由で引用された引用文献である特開2017-117080号公報(以下「引用文献1」という。)には、図面とともに次の事項が記載されている(下線は、当審が付加した。以下同様。)。 (ア)「【0030】 また、障害物情報DB33は、情報配信サーバ5から配信される障害物情報が記憶される記憶手段である。尚、障害物情報は前述したように障害物の種類と、障害物の地図上の位置座標(区間に跨る場合には区間の始点と終点の座標)と、障害物の内容を特定する情報と、有効期限の始期と、有効期限の終期とを含む(図2参照)。そして、ナビゲーションECU13は、後述のように障害物情報DB33に記憶された障害物情報を用いて自動運転支援を実施する。具体的には、自動運転支援に用いる支援情報として、車両3の走行する軌道の候補となる走行軌道候補、走行軌道候補を走行する際の目標速度、走行軌道候補が複数ある場合には走行する優先度等を生成する。 【0031】 一方、ナビゲーションECU(エレクトロニック・コントロール・ユニット)13は、ナビゲーション装置2の全体の制御を行う電子制御ユニットであり、演算装置及び制御装置としてのCPU41、並びにCPU41が各種の演算処理を行うにあたってワーキングメモリとして使用されるとともに、経路が探索されたときの経路データ等が記憶されるRAM42、制御用のプログラムのほか、後述の支援情報生成処理プログラム(図4参照)及び自動運転制御プログラム(図15参照)等が記録されたROM43、ROM43から読み出したプログラムを記憶するフラッシュメモリ44等の内部記憶装置を備えている。尚、ナビゲーションECU13は、処理アルゴリズムとしての各種手段を有する。例えば、走行予定経路取得手段は、自車両が走行する走行予定経路を取得する。地図情報取得手段は、走行予定経路に含まれる道路の車線情報を含む地図情報を取得する。障害物情報取得手段は、走行予定経路を自車両よりも先行して走行する他車両によって取得された障害物の地図上の位置を含む障害物情報を、自車両の外部の情報配信サーバ5から取得する。支援情報生成手段は、走行予定経路の車線情報と障害物情報とに基づいて、走行予定経路を走行する自車両において実施する自動運転支援に用いる支援情報として、自車両の目標速度と走行軌道候補とを生成する。」 (イ)「【0037】 また、車外カメラ7は、例えばCCD等の固体撮像素子を用いたカメラにより構成され、車両のフロントバンパの上方に取り付けられるとともに光軸方向を水平より所定角度下方に向けて設置される。そして、車外カメラ7は、車両が自動運転区間を走行する場合において、車両の進行方向前方を撮像する。また、車両制御ECU20は撮像された撮像画像に対して画像処理を行うことによって、車両が走行する道路に描かれた区画線や周辺の障害物等を検出し、検出結果に基づいて車両の自動運転支援を行う。また、障害物を検出した場合には検出情報を検出情報DB32へと格納し、その後、情報配信サーバ5へと送信する。尚、車外カメラ7は車両前方以外に後方や側方に配置するように構成しても良い。また、障害物を検出する手段としてはカメラの代わりにミリ波レーダやレーザセンサ等のセンサを用いても良い。」 (ウ)「【0041】 先ず、支援情報生成処理プログラムではステップ(以下、Sと略記する)1において、CPU41は、車両が今後走行する予定にある経路(以下、走行予定経路という)を取得する。尚、車両の走行予定経路は、ナビゲーション装置2において案内経路が設定されている場合には、ナビゲーション装置2において現在設定されている案内経路の内、車両の現在位置から目的地までの経路を走行予定経路とする。尚、案内経路はナビゲーション装置2によって設定された出発地から目的地までの推奨経路であり、例えば公知のダイクストラ法を用いて探索される。一方、ナビゲーション装置2において案内経路が設定されていない場合には、車両の現在位置から道なりに走行する経路を走行予定経路とする。 【0042】 次に、S2においてCPU41は、地図情報DB31から走行予定経路の車線に関する車線情報を取得する。具体的には、走行予定経路を構成する道路に含まれる車線数、車線毎の進行方向の通行区分や道路の繋がり(分岐においてどの車線がどの道路に接続されているか)を特定する情報が取得される。 【0043】 続いて、S3においてCPU41は、前記S2で取得した車線情報に基づいて走行予定経路に対して車両が走行する軌道の候補(以下、走行軌道候補という)を設定する。尚、走行軌道候補は、基本的には図5に示すように走行予定経路を構成する道路に含まれる車線(但し、進行方向に対応する車線のみで対向車線は除く)に対して、一の車線毎に車両の進行方向に沿って一の走行軌道候補50が設定される。例えば、図5に示す例では片側2車線の道路であるので各車線に対して計2本の走行軌道候補50が設定されることとなる。尚、図6に示すように走行予定経路を構成する道路に含まれる車線が増加する場合には、増加する地点から増加する車線に対応する新たな走行軌道候補50が追加されることとなる。例えば、図6に示す例では片側2車線の道路に対して最も左側に車線が追加されるので、追加される走行軌道候補50を含めて計3本の走行軌道候補50が設定されることとなる。一方、逆に走行予定経路を構成する道路に含まれる車線が減少する場合には、車線が減少する地点で減少する車線に対応する走行軌道候補50について消失することとなる。尚、走行予定経路の全経路を対象として上記走行軌道候補を設定しても良いが、車両の現在位置から所定距離(例えば300m)以内のみを対象として上記走行軌道候補を設定しても良い。尚、当該支援情報生成処理プログラムは車両が所定距離走行する度に繰り返し実施される。」 (エ)「【0048】 先ず、S11においてCPU41は、走行予定経路の内、特に車両の現在位置から進行方向に沿って所定距離以内にある障害物に関する障害物情報を障害物情報DB33から取得する。尚、障害物情報は、前述したように障害物の種類と、障害物の地図上の位置座標(区間に跨る場合には区間の始点と終点の座標)と、障害物の内容を特定する情報と、有効期限の始期と、有効期限の終期とが記憶されている(図2参照)。従って、前記S11では車両の現在位置から進行方向に沿って所定距離以内の区間に、障害物の位置の少なくとも一部を含む障害物情報を障害物情報DB33から取得する。更に、前記S11では現在時刻と障害物情報の有効期限とを比較し、現在時刻が有効期限内(始期と終期の間)にある障害物情報のみを取得する。また、所定距離は例えば300mとし、当該支援情報生成処理プログラムは車両が所定距離走行する度に繰り返し実施する構成とする。」 (オ)「【0062】 具体的には、障害物の影響する範囲と障害物が影響しない範囲で異なる基準に基づいて以下のように優先度が設定される。尚、障害物の影響する範囲とは、障害物の位置する地点又は区間の周辺であるが、その大きさについては障害物の種類によって異なる。例えば工事区間等の車線変更が必要となる障害物については障害物の位置する区間に加えて車線変更を実施する為の手前側の区間も障害物の影響する範囲に含まれる。更に、同一区間であれば障害物が位置する車線に加えて障害物の位置しない車線についても障害物の影響する範囲に含む。尚、優先度は例えば『0』~『1.0』の範囲で設定し、数値が低い基準点よりも数値の大きい基準点を優先して走行すべきことを示す。 (A)障害物の影響しない範囲・・・走行予定経路に沿って車両が走行する為に優先的に走行すべき車線(例えば進行方向に沿った次の交差点で右折する場合には、進行方向区分が右折に区分された車線)にある基準点について他の車線にある基準点よりも優先度を高くする。 (B)障害物の影響する範囲・・・障害物が位置する車線にある基準点について他の車線にある基準点よりも優先度を低くする。」 (カ)「【0066】 また、前記S22においてCPU41は、前記S14で設定された各基準点に対して算出された優先度の値を対応付けてフラッシュメモリ44等に記憶する。その結果、図13に示すように、走行軌道候補50に対して設定された各基準点52に対して目標速度と優先度がそれぞれ対応付けて記憶される。そして、後述のようにCPU41は、各基準点52に対して設定された目標速度と優先度とを用いて車両を走行させる軌道である制御軌道を設定し、設定した制御軌道に沿って走行するように車両を制御する。」 (キ)「【0088】 先ず、自動運転制御プログラムではS51において、CPU41は、現在位置検出部11により検出した車両の現在位置を取得する。尚、車両の現在位置は、高精度ロケーション技術を用いて詳細に特定することが望ましい。ここで、高精度ロケーション技術とは、車両に設置されたカメラから取り込んだ白線や路面ペイント情報を画像認識により検出し、更に、白線や路面ペイント情報を予め記憶した地図情報DBと照合することにより、走行車線や高精度な車両位置を検出可能にする技術である。尚、高精度ロケーション技術の詳細については既に公知であるので省略する。」 (ク)「【0117】 尚、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変形が可能であることは勿論である。 例えば、本実施形態では、走行予定経路に対して走行軌道候補を設定する場合に、一の車線に対して一の走行軌道候補を設定しているが、一の車線に対して複数の走行軌道候補を設定しても良い。例えば図23に示すように中央付近、右寄り、左寄りの3本の走行軌道候補81を設定することも可能である。このような構成とすれば、車線内の走行位置(右寄り、中央付近、左寄り)についても制御できるので、より詳細な自動運転支援を行うことが可能となる。例えば、障害物が車線の全てを占有するものでなく一部のみを占有する場合には、同一車線内で車両の走行位置を左右に移動させる制御軌道を設定することによって車線変更をせずに障害物を避けて走行する制御が可能となる。」 (ケ)【図3】「 [図:0001432941000001.jpg] 」 (コ)【図4】「 [図:0001432941000002.jpg] 」 (サ)【図5】「 [図:0001432941000003.jpg] 」 (シ)【図7】「 [図:0001432941000004.jpg] 」 (ス)【図13】「 [図:0001432941000005.jpg] 」 (セ)【図15】「 [図:0001432941000006.jpg] 」 (ソ)【図23】「 [図:0001432941000007.jpg] 」 (タ)引用発明 上記(ア)~(ソ)の、特に、下線部の記載に着目すると、引用文献1には、以下の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。 「ナビゲーションECU(エレクトロニック・コントロール・ユニット)13は、ナビゲーション装置2の全体の制御を行う電子制御ユニットであり、 ナビゲーションECU13は、各種手段を有し、 走行予定経路取得手段は、自車両が走行する走行予定経路を取得し、 地図情報取得手段は、走行予定経路に含まれる道路の車線情報を含む地図情報を取得し、 障害物情報取得手段は、走行予定経路を自車両よりも先行して走行する他車両によって取得された障害物の地図上の位置を含む障害物情報を、自車両の外部の情報配信サーバ5から取得し、 支援情報生成手段は、走行予定経路の車線情報と障害物情報とに基づいて、走行予定経路を走行する自車両において実施する自動運転支援に用いる支援情報として、自車両の走行軌道候補を生成する、ナビゲーション装置2であって、 障害物情報DB33は、情報配信サーバ5から配信される障害物情報が記憶される記憶手段であり、障害物情報DB33に記憶された障害物情報を用いて自動運転支援を実施し、 車外カメラ7は、車両の進行方向前方を撮像し、 車両制御ECU20は撮像された撮像画像に対して画像処理を行うことによって、車両が走行する道路に描かれた区画線や周辺の障害物等を検出し、 CPU41は、車両が今後走行する予定にある経路(以下、走行予定経路という)を取得し、 S2においてCPU41は、地図情報DB31から走行予定経路の車線に関する車線情報を取得し、走行予定経路を構成する道路に含まれる車線数、車線毎の進行方向の通行区分や道路の繋がり(分岐においてどの車線がどの道路に接続されているか)を特定する情報を取得し、 S3においてCPU41は、前記S2で取得した車線情報に基づいて走行予定経路に対して車両が走行する軌道の候補(以下、走行軌道候補という)を設定し、走行軌道候補は、走行予定経路を構成する道路に含まれる車線に対して、一の車線毎に車両の進行方向に沿って一の走行軌道候補50が設定され、片側2車線の道路では各車線に対して計2本の走行軌道候補50が設定されることとなり、 S11においてCPU41は、走行予定経路の内、障害物に関する障害物情報を障害物情報DB33から取得し、 工事区間等の車線変更が必要となる障害物については障害物の位置する区間に加えて車線変更を実施する為の手前側の区間も障害物の影響する範囲に含まれ、優先度は例えば『0』~『1.0』の範囲で設定し、 障害物が位置する車線にある基準点について他の車線にある基準点よりも優先度を低くし、 走行軌道候補50に対して設定された各基準点52に対して優先度が記憶され、 CPU41は、各基準点52に対して優先度を用いて車両を走行させる軌道である制御軌道を設定し、 設定した制御軌道に沿って走行するように車両を制御し、 CPU41は、現在位置検出部11により検出した車両の現在位置を取得し、車両の現在位置は、高精度ロケーション技術を用いて詳細に特定することが望ましく、ここで、高精度ロケーション技術とは、車両に設置されたカメラから取り込んだ白線や路面ペイント情報を画像認識により検出し、更に、白線や路面ペイント情報を予め記憶した地図情報DBと照合することにより、走行車線や高精度な車両位置を検出可能にする技術であり、 一の車線に対して複数の走行軌道候補を設定しても良く、中央付近、右寄り、左寄りの3本の走行軌道候補81を設定することも可能であり、車線内の走行位置(右寄り、中央付近、左寄り)についても制御できるので、障害物が車線の全てを占有するものでなく一部のみを占有する場合には、同一車線内で車両の走行位置を左右に移動させる制御軌道を設定することによって車線変更をせずに障害物を避けて走行する制御が可能となる、ナビゲーション装置2。」 (3)対比 本願補正発明と引用発明とを対比する。 ア 引用発明では、「車外カメラ7は、車両の進行方向前方を撮像し、車両制御ECU20は撮像された撮像画像に対して画像処理を行うことによって、車両が走行する道路に描かれた区画線や周辺の障害物等を検出」しており、車外カメラによる撮像は、車両周辺の所定の範囲に限られるから、引用発明の「車外カメラ7」は、本願補正発明の「車両周辺の所定の検出範囲における道路状況を取得する道路状況取得手段」に相当する。 イ 引用発明では、「走行予定経路取得手段は、自車両が走行する走行予定経路を取得」するが、具体的には、「CPU41は、車両が今後走行する予定にある経路(以下、走行予定経路という)を取得」しているから、引用発明と本願補正発明とは、「車両が走行する走行予定経路を取得する走行予定経路取得手段」を有する点で一致する。 ウ 引用発明では、「障害物情報取得手段は、走行予定経路を自車両よりも先行して走行する他車両によって取得された障害物の地図上の位置を含む障害物情報を、自車両の外部の情報配信サーバ5から取得」するが、具体的には、「障害物情報DB33は、情報配信サーバ5から配信される障害物情報が記憶される記憶手段であり、」「CPU41は、走行予定経路の内、障害物に関する障害物情報を障害物情報DB33から取得」している。引用発明において、情報配信サーバ5から配信される障害物情報が、検出範囲外の走行予定経路にあって車両の走行を妨げる要因となる障害物の情報であることは明らかであるから、引用発明と本願補正発明とは、「前記検出範囲外の前記走行予定経路にあって車両の走行を妨げる要因となる障害物の情報を取得する障害物情報取得手段」を有する点で一致する。 エ 引用発明では、「支援情報生成手段は、走行予定経路の車線情報と障害物情報とに基づいて、走行予定経路を走行する自車両において実施する自動運転支援に用いる支援情報として、自車両の走行軌道候補を生成する」が、具体的には、「S2においてCPU41は、地図情報DB31から走行予定経路の車線に関する車線情報を取得し、走行予定経路を構成する道路に含まれる車線数、車線毎の進行方向の通行区分や道路の繋がり(分岐においてどの車線がどの道路に接続されているか)を特定する情報を取得し、S3においてCPU41は、前記S2で取得した車線情報に基づいて走行予定経路に対して車両が走行する軌道の候補(以下、走行軌道候補という)を設定し、走行軌道候補は、走行予定経路を構成する道路に含まれる車線に対して、一の車線毎に車両の進行方向に沿って一の走行軌道候補50が設定され、片側2車線の道路では各車線に対して計2本の走行軌道候補50が設定されることとなり、」「工事区間等の車線変更が必要となる障害物については障害物の位置する区間に加えて車線変更を実施する為の手前側の区間も障害物の影響する範囲に含まれ、優先度は例えば『0』~『1.0』の範囲で設定し、障害物が位置する車線にある基準点について他の車線にある基準点よりも優先度を低くし、走行軌道候補50に対して設定された各基準点52に対して優先度が記憶され、CPU41は、各基準点52に対して優先度を用いて車両を走行させる軌道である制御軌道を設定」している。 ここで、引用発明において、「障害物情報」は、障害物情報DB33から取得しており、上記ウで検討したように、障害物情報DB33の「障害物情報」は、情報配信サーバ5からの配信によるものであって、走行予定経路上のものであるから、「前記検出範囲外を含む領域を対象にして前記走行予定経路を走行する際の前記障害物」であることは明らかである。 そして、引用発明では、「片側2車線の道路では各車線に対して計2本の走行軌道候補50が設定される」が、「工事区間等の車線変更が必要となる障害物」の存在によって、「障害物が位置する車線にある基準点について他の車線にある基準点よりも優先度を低く」することによって、「優先度を用いて車両を走行させる軌道である制御軌道を設定」するとされるから、引用発明と本願補正発明とは、「地図情報と前記障害物の情報とを用いて、前記検出範囲外を含む領域を対象にして前記走行予定経路を走行する際の前記障害物を回避する為に推奨される走行軌道を、生成する走行軌道生成手段」を有する点で一致する。 オ 引用発明では、「CPU41は、各基準点52に対して優先度を用いて車両を走行させる軌道である制御軌道を設定し、設定した制御軌道に沿って走行するように車両を制御」しており、本願補正発明と同様、「前記走行軌道生成手段によって生成された走行軌道に基づいて車両の運転支援を行う運転支援手段」を有するといえ、引用発明の「ナビゲーション装置2」は、本願補正発明の「運転支援装置」に相当するものである。 (4)一致点および相違点 本願補正発明と、引用発明1とは、以下アの点で一致し、以下イの点で相違する。 ア 一致点 「車両周辺の所定の検出範囲における道路状況を取得する道路状況取得手段と、 車両が走行する走行予定経路を取得する走行予定経路取得手段と、 前記検出範囲外の前記走行予定経路にあって車両の走行を妨げる要因となる障害物の情報を取得する障害物情報取得手段と、 地図情報と前記障害物の情報とを用い て、前記検出範囲外を含む領域を対象にして前記走行予定経路を走行する際の前記障害物を回避する為に推奨される走行軌道を、生成する走行軌道生成手段と、 前記走行軌道生成手段によって生成された走行軌道に基づいて車両の運転支援を行う運転支援手段と、を有する運転支援装置。」 イ 相違点 <相違点1> 走行軌道生成手段において、本願補正発明では、道路に描かれた区画線の配置に関する情報を含む地図情報と障害物の情報とを用いるのに対して、引用発明では、地図情報と障害物の情報とを用いるものの、地図情報が、道路に描かれた区画線の配置に関する情報を含む地図情報であることが特定されていない点。 <相違点2> 走行軌道生成手段において、本願補正発明では、区画線との位置関係を特定した態様で走行軌道を生成するのに対して、引用発明では、どのような態様で走行軌道を生成するのか特定がされていない点。 (5)判断 以下、相違点について検討する。 <相違点1>について 引用発明は、「車外カメラ7は、車両の進行方向前方を撮像し、車両制御ECU20は撮像された撮像画像に対して画像処理を行うことによって、車両が走行する道路に描かれた区画線や周辺の障害物等を検出し」ているが、その一方で、引用発明は、「車両に設置されたカメラから取り込んだ白線や路面ペイント情報を画像認識により検出し、更に、白線や路面ペイント情報を予め記憶した地図情報DBと照合することにより、走行車線や高精度な車両位置を検出可能」にしているから、引用発明において、画像処理を行うことによって検出した、車両が走行する道路に描かれた区画線(白線)を、当該区画線の情報を含む地図情報DBと照合して、車両の現在位置を検出していることは明らかである。 そうすると、引用発明では、地図情報と障害物の情報とを用いて走行軌道を生成しているところ、走行軌道を生成するにあたって用いる地図情報を車両位置を検出する際に用いる地図情報と同一の地図情報とすることは当業者が当然行い得る事項であるから「道路に描かれた区画線の配置に関する情報」を含む地図情報を用いて走行軌道を生成することは、当業者が容易になし得たことである。 <相違点2>について 引用発明では、「一の車線に対して複数の走行軌道候補を設定しても良く、中央付近、右寄り、左寄りの3本の走行軌道候補81を設定することも可能であり、車線内の走行位置(右寄り、中央付近、左寄り)についても制御できるので、障害物が車線の全てを占有するものでなく一部のみを占有する場合には、同一車線内で車両の走行位置を左右に移動させる制御軌道を設定することによって車線変更をせずに障害物を避けて走行する制御が可能となる」とされている。 すなわち、引用発明は、一の車線に対して、中央付近、右寄り、左寄りの3本の走行軌道候補を設定することも可能であるから、そのように設定した場合、車線毎に設定される、中央付近、右寄り、左寄りの3本の走行軌道候補の中から、車両が走行するように制御する制御軌道を選ぶものと認められる。車線は、その両側を区画線で区切られた領域をいうのであるから、引用発明においても、区画線との位置関係を特定した態様で、走行軌道を生成しているといえる。よって、この点で、本願補正発明と引用発明は実質的に相違していない。 そして、本願補正発明の奏する作用効果は、引用発明の奏する作用効果から予測される範囲内のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。 (6)小括 以上から、本願補正発明は、引用発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 (7)請求人の主張について 請求人は、令和7年4月7日提出の審判請求書において、本願発明では、区画線の配置に関する情報を用いて走行軌道を生成しているため、障害物を回避する走行軌道を生成する際、区画線に対する位置関係を特定した走行軌道を生成することができ、言い換えると、障害物を回避する走行軌道について、車体が区画線を超えずに車線内で移動して障害物を回避するのか、車体の一部若しくは車体全体が区画線からはみ出して障害物を回避するのかを事前に特定した上で走行軌道を生成することができる旨主張している。 しかしながら、上記(5)で検討したとおりであって、本願補正発明において、車体が区画線を超えずに車線内で移動して障害物を回避するのか、車体の一部若しくは車体全体が区画線からはみ出して障害物を回避するのかを事前に特定した上で走行軌道を生成することは特定されていないことから、請求人の主張する効果は本願補正発明から直接的に導きだせる効果とはいえず、請求人の上記主張は採用できない。 3 本願補正についてのむすび 以上から、本願補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。 第3 本願発明について 1 本願発明 令和7年4月7日にされた手続補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項に係る発明は、令和4年3月16日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1-5に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、その請求項1に記載された事項により特定される、上記第2[補正の却下の決定の理由]1(2)に記載のとおりのものである。 2 原査定の拒絶理由の概要 原査定の理由は、次のとおりのものである。 理由1.(新規性)本願の特許請求の範囲の請求項1-3、5に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、以下の引用文献1に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。 理由2.(進歩性)本願の請求項1-3、5に係る発明は、下記の引用文献1に記載された発明に基いて、本願の請求項4に係る発明は、下記の引用文献1、2に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 1.特開2017-117080号公報 2.米国特許出願公開第2020/0156538号明細書 3 引用文献 原査定の拒絶の理由で引用された引用文献1の記載事項は、上記第2の[補正の却下の決定の理由]2(2)アに記載したとおりである。 4 対比・判断 本願発明は、上記第2の[補正の却下の決定の理由]2で検討した本願補正発明の、走行軌道生成手段で用いる「地図情報」について「道路に描かれた区画線の配置に関する情報を含む」との限定、及び、「走行軌道生成手段」での生成について「前記区画線との位置関係を特定した態様で」との限定を、それぞれ削除したものである。 そうすると、本願発明の発明特定事項を全て含み、さらに他の限定を付加したものに相当する本願補正発明が、上記第2の[補正の却下の決定の理由]2(5)、(6)に記載したとおり、引用発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、引用発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 第4 むすび 以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2025-005276

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