商標拒絶査定不服審判
2021-004993
ゲンテーカラー、ゲンテー
- 審判番号
- 2021-004993
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 商願2019-082456外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2021年04月19日
- 審決日
- 2022年05月30日
- 公報発行日
- 2022年08月26日
- 結論
- 請求不成立
- 分類
- T18 .13 -Z (W0510)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法3条1項3号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第3条第1項第3号、商標法第4条第1項第16号、特許法第150条
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
商願2019-82456拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は,成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は,令和元年6月11日の出願であって,その手続の経緯は以下のとおりである。
令和2年8月13日付け:拒絶理由通知書
令和2年9月28日 :意見書の提出
令和3年1月14日付け:拒絶査定
令和3年4月19日 :審判請求書の提出
令和4年2月2日付け :証拠調べ通知書
令和4年3月14日 :手続補正書,意見書の提出
第2 本願商標
本願商標は,「限定カラー」の文字を標準文字で表してなり,第5類及び第10類に属する願書記載のとおりの商品を指定商品として上記第1のとおり登録出願されたものであり,指定商品については,当審における手続補正書により第5類「除菌剤(洗濯用及び工業用のものを除く。),抗菌剤(洗濯用及び工業用のものを除く。),消臭剤(工業用・身体用及び動物用消臭剤並びに口臭用消臭剤を除く。),芳香消臭剤(工業用・身体用及び動物用消臭剤並びに口臭用消臭剤を除く。),その他の薬剤」及び第10類「洗眼カップ」に補正されたものである。
第3 原査定の拒絶の理由(要点)
原査定は,「本願商標は『限定カラー』の文字を標準文字で表してなるところ,その構成中『限定』の文字は『事物の範囲や数量などを限り定めること』の意味を有する語であり,『カラー』の文字は『色,色彩』の意味を有する語(いずれも広辞苑第7版)であるところ,全体として『(数量等を)限定した色』程の意味合いを容易に認識させるものであって,本願の指定商品を取り扱う業界のみならず商取引の実際の場において『限定カラー』の語が『販売数等を限定した色の商品』程の意味合いで取引が行われている実情が認められる。そうすると,本願商標をその指定商品中『販売数等を限定した色の商品』に使用した場合,これに接する需要者は単に商品の品質等を普通に用いられる方法で表示したものとして認識するというべきであり,また,本願商標を前記商品以外の商品に使用するときは,商品の品質等の誤認を生じさせるおそれがあるというべきである。したがって,本願商標は商標法第3条第1項第3号に該当し,前記商品以外の商品に使用するときは,商品の品質等の誤認を生ずるおそれがあるから,商標法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定,判断し,本願を拒絶したものである。
第4 当審による証拠調べ通知
当審において,本願商標が,商標法第3条第1項第3号に該当するか否かについて,職権に基づく証拠調べを実施した結果,原審で開示した事実に加えて,別掲2に掲げる事実を発見したため,上記第1のとおり,同法第56条第1項で準用する特許法第150条の規定に基づき,その結果を請求人に通知し,意見を求めた。
第5 証拠調べ通知に対する請求人の意見
上記第4の証拠調べ通知に対し,請求人は,令和4年3月14日付けで意見書を提出し,要旨以下のように意見を述べた。
1 補正後の指定商品に関する使用例の不存在
令和4年3月14日付け手続補正書において,本願の指定商品を上記第2のとおり減縮する補正をしたので,指摘に係るウェブサイトは全て本願の指定商品とは無関係の商品に関するものとなり,本願の補正後の指定商品に関し,「限定カラー」の文字が使用されている事実は一切示されていない。
本願商標を構成する「限定カラー」の文字が本願の指定商品の品質表示として認識されるか否かは,本願の指定商品の取引の実情に基づいて判断されるべきものであり,本願の指定商品と無関係の商品に「限定カラー」の文字が使用されているからといって,「限定カラー」の文字が本願の指定商品の品質表示に当たるということはできない。
したがって,証拠調べ通知において指摘したウェブサイトの存在は,「限定カラー」との語が本願の指定商品の品質表示として認識されることの根拠になるものではなく,かかる使用例を根拠に本願を拒絶することは妥当ではない。
2 証拠調べ通知が指摘した各ウェブサイトの記載内容
証拠調べ通知が指摘した各ウェブサイトの記載内容は,本願商標の自他商品識別力を否定する根拠になるものでない。
「限定カラー」との語に具体的な意味合いを持たせるためには,「限定」の語の前に,何が限定されるのかを特定する必要があり,このような特定のない「限定カラー」との表現では,具体的な意味合いが特定できない。この点,証拠調べ通知におけるウェブサイトでは,それぞれ,「数量限定カラー」,「アカチャンホンポ限定カラー」,「40周年記念限定カラー」,「8月限定カラー」,「台数限定カラー」との表現が使用されており,「限定カラー」の文字の前に限定の対象を特定する記載をすることによって初めて意味内容が明確になっているものにすぎない。
また,ウェブサイト中の文章表現中の記載の一部に「限定カラー」の文字が使用されているからといって,「限定カラー」の文字が本願の指定商品の品質表示として認識されるとはいえない。さらに,指摘のウェブサイトには既に閉鎖され,内容を確認できなくなっているものもあるため,かかる点から見ても,これらのウェブサイトは,本願を拒絶する根拠になるものではない。
第6 当審の判断
1 商標法第3条第1項第3号該当性について
(1)商標法第3条第1項第3号の趣旨
商標法第3条第1項第3号が,「その商品の産地,販売地,品質,原材料,効能,用途,形状(包装の形状を含む。),生産若しくは使用の方法若しくは時期その他の特徴,数量若しくは価格」を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標について商標登録を受けることができない旨規定しているのは,このような商標は,指定商品との関係で,その商品の産地,販売地,品質,形状その他の特性を表示記述する標章であって,取引に際し必要適切な表示として何人もその使用を欲するものであるから,特定人によるその独占使用を認めるのは公益上適当でないとともに,一般的に使用される標章であって,多くの場合自他商品識別力を欠くものであることによるものと解される。そうすると,本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するというためには,審決の時点において,本願商標が,その指定商品との関係で,その商品の産地,販売地,品質,形状その他の特性を表示記述するものとして取引に際し必要適切な表示であり,本願商標の指定商品の取引者及び需要者によって本願商標がその指定商品に使用された場合に,将来を含め,商品の上記特性を表示したものと一般に認識されるものであれば足りると解される(知財高裁平成27年(行ケ)第10107号,同年10月21日判決参照)。
(2)本願商標
本願商標は,上記第2のとおり,「限定カラー」の文字を標準文字で表してなるところ,その構成中の「限定」の文字は,「事物の範囲や数量などを限り定めること。」の意味を有する語であり,「カラー」の文字は,「色,色彩。」の意味を有する語(いずれも「広辞苑第7版」株式会社岩波書店)であって,いずれも我が国の代表的な辞書に採録されている一般的な語である。
そうすると,上記各語を結合し,標準文字で一連に表したにすぎない本願商標は,その構成文字全体として,「事物の範囲や数量などを限り定めた色,色彩。」ないし,原審が指摘するとおり,「(数量等を)限定した色」程の意味合いを容易に理解させるものといえる。
(3)各種商品における「限定カラー」の文字の使用状況
そして,原審が示した事実(別掲1)及び当審による証拠調べ通知書において示した事実(別掲2)によれば,「限定カラー」の文字は,「シャープペン」(別掲1(3)),「電動スポーツバイク」(別掲1(4)),「革製コインケース,革製パスケース,革製ペンケース,革製トートバック等」(別掲1(5),別掲2の2(1)),「イヤホン」(別掲2の2(2)),「ワイヤレスイヤーカフ」(別掲2の2(5)),「ワンピース」(別掲2の2(3)),「ヨガマット」(別掲2の2(4)),「オートバイ」(別掲2の2(6))ばかりでなく,「衛生マスク」(別掲1(1),(7),別掲2の1(1)),「マスクカバー」(別掲2の1(2)),「医療用磁気ネックレス」(別掲1(2)),「電子体温計」(別掲2の1(3)),「哺乳瓶」(別掲1(9)),「マッサージ機器」(別掲1(10)),「歯がため」(別掲2の1(4)),「ほ乳びん洗浄用具」(別掲2の1(5))といった,本願商標の補正後の指定商品である第5類「除菌剤(洗濯用及び工業用のものを除く。),抗菌剤(洗濯用及び工業用のものを除く。),消臭剤(工業用・身体用及び動物用消臭剤並びに口臭用消臭剤を除く。),芳香消臭剤(工業用・身体用及び動物用消臭剤並びに口臭用消臭剤を除く。),その他の薬剤」及び第10類「洗眼カップ」とも関連する衛生や医療に関連する分野の商品についても,「限定カラー」単独で,あるいは「数量限定カラー」,「40周年記念限定カラー」,「8月限定カラー」,「台数限定カラー」のように他の語と結合して「販売の数量や期間を限定した色,色彩を有する商品」程の意味合いを表す文字として広く使用されている。
(4)判断
上記(1)ないし(3)を踏まえて判断するに,本願商標は,「限定」及び「カラー」の文字の語義,当該各文字を一連に表した「限定カラー」の文字全体から理解される意味合い,補正後の指定商品とも関連する衛生や医療分野の商品を含む幅広い各種商品についての「限定カラー」の文字の使用状況を勘案すれば,これを本願の補正後の指定商品について使用するときには,その指定商品の取引者及び需要者によって,「販売の数量や期間を限定した色,色彩を有する商品」程の意味合いを表すものとして一般に認識されるものであると認められる。
そうすると,本願商標は,その指定商品に使用されたときは,その商品が「販売の数量や期間を限定した色,色彩を有する商品」であるという商品の品質ないし特徴を表示記述するものとして認識されるものであって,取引に際し必要適切な表示として何人もその使用を欲するものといえるから,特定人によるその独占使用を認めるのは公益上適当でないとともに,自他商品の出所識別力を欠くものであるというべきである。
そして,本願商標は,上記第2のとおり,標準文字で表されているから,普通に用いられる方法で表示する標章のみからなるものであることは明らかである。
したがって,本願商標は,その商品の品質ないし特徴を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標であるから,商標法第3条第1項第3号に該当する。
2 請求人の主張について
(1)請求人は,「補正後の指定商品に関する使用例の不存在」を指摘し「本願の指定商品と無関係の商品に『限定カラー』の文字が使用されているからといって『限定カラー』の文字が本願の指定商品の品質表示に当たるということはできない。」旨主張している。
しかしながら,「商標法第3条第1項第3号は,取引者,需要者に指定商品の品質等を示すものとして認識され得る表示態様につき,それ故に登録を受けることができないとしたものであって,該表示態様が,商品の品質を表すものとして必ず使用されるものであるとか,現実に使用されている等の事実は,同号の適用において必ずしも要求されないものと解すべきである」(東京高裁平成12年(行ケ)第76号,同年9月4日判決参照)から,「限定カラー」の文字が商品の品質を表すものとして,現実に使用されている事実は,本号の適用において必ずしも要求されないものと解すべきであって,本願商標の補正後の指定商品について「限定カラー」の使用例がないとしても,上記1(3)のとおり,補正後の指定商品と関連性のある衛生や医療分野の商品についても当該文字が使用されていることや,商品の取引の場においては,商品や商品の包装に様々な色彩が付されるのが一般的であり,かかる事情は「消臭芳香剤」,「消臭除菌剤」あるいは「薬剤」といった補正後の指定商品も例外とはいえないことも踏まえれば,補正後の指定商品についても,「販売の数量や期間を限定した色,色彩を有する商品」を理解させるものといえる。
したがって,本願商標は,商品の品質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなるものというのが相当である。
(2)請求人は,「『限定カラー』の語に具体的な意味合いを持たせるためには『限定』の語の前に,何が限定されるのかを特定する必要があり,このような特定のない表現では,具体的な意味合いが特定できない。」旨主張する。
しかしながら,証拠調べ通知で挙げた事例において,「生地タイプの限定カラーバージョンを販売する事となりました。」(別掲2の1(2)),「限定カラーな水色がとても可愛くお気に入りです」(別掲2の1(5)),「2021年8月の限定カラーは,『シエルブルー』」(別掲2の2(1)),「完全ワイヤレス骨伝導イヤホン・・・から限定カラー『ライトブルー』および『サクラピンク』が各色5,000台限定で登場。」(別掲2の2(2))のように,「限定カラー」が接頭語なしで「販売の期間や数量を限って販売する色,色彩」を有する商品であることを表すものとして使用される例があることに照らせば,接頭語なしの「限定カラー」の文字自体が「販売の期間や数量を限って販売する色,色彩」を有する商品であることを理解させるものであるといい得るから,「限定カラー」の文字について,「限定」の語の前に,何が限定されるのかを特定する必要があり,また,文字の前に限定の対象を特定する記載をすることによって初めて意味内容が明確になるものということはできない。
(3)請求人は,「証拠調べ通知で挙げた事例は,文章表現中の記載の一部にすぎず,これらのウェブサイトの文章表現の一部に『限定カラー』の文字が使用されているからといって『限定カラー』の文字が本願の指定商品の品質表示として認識されるとはいえない」旨主張している。
しかしながら,本願商標を構成する「限定カラー」の文字の使用事例が文章の一部として使用されるものであるとしても,これらの文字は商品の内容に関わるものとして現実に使用されているものであり,各文字の有する意味や使用状況等を総合的にみれば,「販売の期間や数量を限って販売する色,色彩」の商品であるという商品の品質を表すために将来一般的に使用され得るものであって,これを特定人に独占させることは適切ではないというべきであるから,本願商標については上記1のとおり判断するのが相当である。
(4)請求人は,「指摘のウェブサイトには既に閉鎖され,内容を確認できなくなっているものもあるため,かかる点から見ても,これらのウェブサイトは,本願を拒絶する根拠になるものではない。」旨主張する。
しかしながら,原審及び当審において示したウェブサイトは,各ウェブサイトの閲覧時(2020/08/13,2021/01/13,令和4年2月2日)には存在していたものであって,本件審判の審決時において,現に存在する多数あるウェブサイトの事例に加えて,それらの内容も参考として本願商標の構成文字の使用の実情を考慮することが著しく不合理であるとはいえず,本願商標の拒絶理由該当性の判断の根拠にならないということはできない。
(5)請求人は,過去の商標の登録例によれば,本願商標も登録されるべきである旨主張する。
しかしながら,登録出願に係る商標が商標法第3条第1項第3号に該当するものであるかどうかの判断は,当該商標の査定時又は審判時における取引の実情,当該商標の構成態様等に基づいて,個別具体的に検討,判断されるべきところ,請求人主張に係る各商標の登録例は,取引の実情や商標の構成態様等において本願商標と全く同一ということはできないから,上記1で示した本願商標についての同法第3条第1項第3号の判断は,これらの商標の登録例によって左右されるものではない。
(6)したがって,請求人の上記主張は,いずれも採用できない。
3 まとめ
以上のとおり,本願商標は,その補正後の指定商品について,商標法第3条第1項第3号に該当し,登録することができない。
よって,結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。
J-PlatPat 審決検索を開く
2021-004993