商標拒絶査定不服審判
2023-007754
ミビョータイサク
- 審判番号
- 2023-007754
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 商願2021-146377
- 請求日
- 2023年05月12日
- 審決日
- 2025年06月23日
- 公報発行日
- 2025年09月26日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】日清食品ホールディングス株式会社
- 【請求人代理人】林 栄二
- 審判長/審判官
- 審判長 豊瀬 京太郎
- 審判官 清川 恵子
- 審判官 目黒 潤
- 分類
- T18 .13 -Z (W05091029303235394041424344) / T18 .272-Z (W05091029303235394041424344)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法3条1項商標法3条3項商標法4条1項16号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第3条第1項第3号、商標法第4条第1項第16号、商標法第3条第1項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
商願2021-146377拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
1 手続の経緯
本願は、令和3年11月24日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和4年 2月15日付け:刊行物等提出書
令和4年 5月19日付け:拒絶理由通知書
令和4年 9月29日 :意見書の提出
令和5年 2月 7日付け:拒絶査定
令和5年 5月12日 :審判請求書の提出
令和6年 7月30日付け:審尋
令和6年 9月12日 :回答書の提出
令和6年 9月30日付け:審尋
令和6年11月 8日 :回答書、手続補正書の提出
2 本願商標
本願商標は、「未病対策」の文字を標準文字で表してなり、第5類、第9類、第10類、第16類、第29類、第30類、第32類、第35類、第39類ないし第44類に属する願書に記載のとおり商品及び役務を指定商品及び指定役務として登録出願され、その後、本願の指定商品及び指定役務は、当審における上記1の手続補正書により、別掲1のとおり、補正されたものである。
3 原査定の拒絶の理由(要旨)
原審において、「本願商標は、「未病対策」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中の「未病」の文字は、「漢方で、病状が現れる前の状態。」の意味を、「対策」の文字は、「相手の態度や事件の状況に応じてとる方策。」の意味を有する語であるから、本願商標は全体として、「未病の対策」ほどの意味合いを認識させるものである。そして、本願の指定商品・役務を取り扱う業界において、食事やサプリメント、運動などの生活習慣の改善等により、未病の対策や改善を行うことを「未病対策」と称している実情がある。そうすると、本願商標を本願の指定商品・指定役務に使用しても、これに接する取引者、需要者は、「未病の対策に関する商品・役務」であることを理解するにとどまるから、本願商標は、単に商品の品質・役務の質を普通に用いられる方法で表示するものというのが相当である。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記意味合いに照応する商品・役務以外の商品・役務に使用するときは、商品の品質・役務の質の誤認を生ずるおそれがあるから、商標法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、拒絶したものである。
4 当審における審尋(要旨)
(1)当審において、令和6年7月30日付け審尋(以下「審尋1」という。)により、別掲2及び別掲3に掲げる事実を提示した上で、本願商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するとの暫定的見解を示し、期間を指定した上で請求人に対し意見を求めた。
(2)当審において、令和6年9月30日付け審尋(以下「審尋2」という。)により、本願商標が、未だ商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するとの暫定的見解及び本願の指定商品及び指定役務の補正案を示し、相当の期間を指定して、請求人に対し、これに対する回答を求めた。
5 審尋に対する請求人の回答(要旨)
(1)請求人は、上記4(1)の審尋1に対する令和6年9月12日付け回答書において、要旨以下のとおり回答した。
ア 本願商標は、極めて広範な商品又は役務を指定し、この中には、漢方や、健康及び病気が関連する医療関連の分野とは全く異なり、生産、流通、供給部門、主な需要者層、主な機能、用途も全く異なり、それぞれの指定商品・役務の特徴も全く異なるものが幅広く含まれているから、直接的かつ具体的に如何なる品質等の特徴が表示されるといえるのかは明らかではないし、引用されているウェブサイト等も、健康及び病気が関連する医療関連の分野での対策などを紹介する記事にとどまっている。
イ 「未病対策」又は「未病」の文字を含む商標や、「未病」以外の病気関連と思料される商標の登録例を提示し、当該登録例は、近時の事例を含めて提示したものであり、本願商標がそれらと異なる判断をすべき理由は考え難い。
(2)請求人は、上記4(2)の審尋2に対する令和6年11月8日付け回答書において、要旨以下のとおり回答した。
ア 補正後の本願の指定商品・役務には、本件審尋における認定部分にない指定商品・役務が多数含まれており、また、認定部分についても、如何なる品質等の特徴を表示しているのかは明らかにされておらず、具体的に、いずれの指定商品又は指定役務がいずれのウェブサイトの記事を根拠に認定したのかさえも、明らかにされていない。
イ 商標の審決例や審査例は、近時の事例を含めて主張したものであり、本願商標と異なる判断をすべき理由は考え難く、また、特許庁は、当該拒絶理由に該当する条文の審査基準や審判便覧を改正しているわけではなく、審査・審判の運用変更を明らかにするところもなかったことから、行政庁としての判断の一貫性を重視することが必要である。
6 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第3号について
商標法第3条第1項第3号に掲げる商標が、商標登録の要件を欠くとされているのは、このような商標は、指定商品又は指定役務との関係で、その商品の品質、その役務の質等その他の特性を表示記述する標章であって、取引に際し必要適切な表示として何人もその使用を欲するものであるから、特定人によるその独占使用を認めるのを公益上適当としないものであるとともに、一般的に使用される標章であって、多くの場合自他商品又は自他役務の識別力を欠き、商標としての機能を果たし得ないものであることによるものと解される。
そうすると、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するというためには、本件審決時において、本願商標がその指定商品又は指定役務との関係で、商品の品質、役務の質等その他の特性を表示記述するものとして取引に際し必要適切な表示であり、本願商標がその指定商品又は指定役務に使用された場合に、将来を含め、指定商品又は指定役務の取引者、需要者によって商品又は役務の上記特性を表示したものと一般に認識されるものであれば足りると解される(最高裁昭和53年(行ツ)第129号判決、平成26年(行ケ)第10056号判決、平成27年(行ケ)第10107号判決、平成27年(行ケ)第10232号判決参照)。
以上を前提に、本願商標と、その指定商品及び指定役務との関係における同号該当性等について検討する。
(2)商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号該当性について
本願商標は、「未病対策」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中、「未病」の文字は「漢方で、病状が現れる前の状態。」(出典:「広辞苑 第7版」株式会社岩波書店)、「半健康・半病気状態、あるいは健康と病気の中間の概念。」(出典:「日本大百科全書(ニッポニカ)」https://kotobank.jp/word/%E6%9C%AA%E7%97%85-639502#w-1598171)の意味を、「対策」の文字は「相手の態度や事件の状況に応じてとる方策。」の意味(出典:「広辞苑第7版」株式会社岩波書店)をそれぞれ有する語であるから、その構成全体からは「未病(漢方で、病状が現れる前の状態。半健康・半病気状態、あるいは健康と病気の中間の概念。)のための対策」ほどの意味合いを容易に看取し得るものである。
ところで、我が国では、少子高齢化が進み、医療費や介護費が増え続けていることはよく知られており、超高齢化社会に伴って医療費が増え、社会保障費が逼迫していることから、このような状況を回避するために、各自治体において、「未病対策」と称して、病気を未然に防ぐことに関する様々な施策や取組が行われているところである(原審提示の情報及び別掲2)。
また、民間企業等においても、未病対策を切り口とした観光振興、未病対策をうたう飲食料品の製造販売・ツアーや旅行の企画・セミナー等の開催・レシピの紹介・宿泊施設の提供、未病対策を目的とした入浴施設の提供、未病対策としてのフィットネスジムの運営、未病対策のための未病に関する学術研究、未病対策のための製品・サービスの展示会の開催、未病対策に関する食品・製品・サービスが集まる日本最大級のウェルネス総合展の開催、未病対策事業に関わる新製品・新サービスの研究開発等が行われているところである(原審提示の情報及び別掲3)。
そうすると、「未病対策」の文字は、各自治体や民間企業等により、施策や取組、事業の名称や商品の説明等に広く一般に使用されているものといえ、これらは、漢方の分野や健康及び病気が関連する医療関連の分野にとどまらず、教育・研究(教材の作成、食育等)、飲食、運動、データ活用、住宅(住居)、まちづくり、旅行、観光等の広範な分野に及ぶものである。
このような状況に鑑みれば、「未病対策」の語は、取引に際し、「未病対策に関する商品やサービス」を表すための語として、将来的に、さらに様々な事業分野に拡大していく可能性が極めて高いものであり、必要適切な表示として何人も使用を欲するといい得るものであるから、特定人による独占使用には適さないものであるとともに、本願商標をその指定商品及び指定役務に使用する場合、例えば、第9類「アプリケーションソフトウェア」や第43類「宿泊施設の提供」に使用する場合には、これに接する取引者、需要者に、「未病対策を行うためのアプリケーションソフトウェア」や「未病対策を目的とした宿泊施設の提供」といった「未病対策に関する商品又は役務」という商品の品質及び役務の質を表示したものと認識、理解させるにとどまるというのが相当である。
したがって、本願商標は、商品の品質及び役務の質を普通に用いられる方法で表示してなる標章のみからなる商標であるから、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記内容に照応する商品及び役務以外の商品及び役務に使用するときは、商品の品質及び役務の質の誤認を生ずるおそれがあるから、同法第4条第1項第16号に該当する。
(3)請求人の主張について
ア 請求人は、本願商標は、極めて広範な商品又は役務を指定しているところ、個々の商品・役務との関係で、直接的かつ具体的に如何なる品質等の特徴が表示されていると判断したのか明らかにされておらず、提示されたウェブサイトや新聞の記事情報は、指定商品・役務の全分野を網羅する内容というよりも、健康及び病気が関連する医療関連の分野での対策などを紹介するにとどまっている旨主張している。
しかしながら、上記(1)で説示したとおり、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するというためには、審決時において、本願商標が、その指定商品及び指定役務との関係で、その商品の品質又は役務の質を表示記述するものとして取引に際し必要適切な表示であり、本願商標の取引者、需要者によって、本願商標がその指定商品及び指定役務に使用された場合に、将来を含め、商品の品質又は役務の質を表示したものと一般に認識されるものであれば足りると解されるところ、上記(2)で説示したとおり、本願商標は、その構成文字から生じる意味と、原審並びに別掲1及び別掲2で提示した「未病対策」の語の健康及び病気が関連する医療関連の分野にとどまらない使用状況に照らせば、これに接する取引者、需要者をして、当該商品又は役務が「未病対策に関する商品」又は「未病対策に関する役務」であること、すなわち、商品の品質又は役務の質を表示するものと容易に理解、認識させることをもって足り、それ以上に具体的な商品や役務の内容が特定されることまでは要しないというのが相当である。
イ 請求人は、本願商標と同様に、「未病対策」又は「未病」の文字を含む商標や、「未病」以外の病気関連と思料される商標の登録例を提示し、当該登録例は、近時の事例を含めて提示したものであり、本願商標がそれらと異なる判断をすべき理由は考え難い旨主張している。
しかしながら、登録出願に係る商標が商標法第3条第1項第3号に該当するものであるか否かの判断は、当該商標登録出願の査定時又は審決時において、当該商標の構成態様と指定商品・指定役務との関係や、その商品又は役務の分野における取引の実情をも踏まえて、個別具体的に判断されるべきものであるところ、請求人の挙げた登録例や審決例は、「未病対策」や「未病」の文字に他の文字を結合させた構成からなる商標である等、商標の構成態様が本願商標とは異なるものである点において、本願とは、事案を異にするものというべきであり、また、過去の登録例や審決例が存在することをもって、上記判断が左右されるものではない。
ウ したがって、請求人の上記ア及びイの主張は、いずれも採用することができない。
(4)まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3項及び同法第4条第1項第16号に該当するものであるから、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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