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特許拒絶査定不服審判

2021-003136

ナノ粒子と、アルキレンオキシド繰り返し単位を有するモノマーとを含むミクロ構造化フィルム

審判番号
2021-003136
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2018-131991外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2021年03月09日
審決日
2021年10月18日
公報発行日
2022年04月28日
結論
請求不成立
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .121-Z (G02B) / P18 .575-Z (G02B)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項、特許法第17条の2第5項第2号、特許法第17条の2第5項、特許法第17条の2第5項第1号
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2018-131991「ナノ粒子と、アルキレンオキシド繰り返し単位を有するモノマーとを含むミクロ構造化フィルム」拒絶査定不服審判事件〔平成30年12月20日出願公開、特開2018-200471〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 第1 手続等の経緯 特願2018-131991号(以下「本件出願」という。)は、2013年(平成25年)8月22日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2012年(平成24年)9月20日 米国)を国際出願日とする特願2015-533074号の一部を、平成28年6月16日に新たな特許出願とした特願2016-119934号の一部を、さらに平成30年7月12日に新たな特許出願としたものであって、その手続等の経緯の概要は、以下のとおりである。 平成30年 8月10日提出:手続補正書 令和 元年 8月22日提出:手続補正書 令和 元年 9月18日付け:拒絶理由通知書 令和 2年 3月24日提出:意見書 令和 2年 3月24日提出:手続補正書 令和 2年 4月 2日付け:拒絶理由通知書 令和 2年10月 7日提出:意見書 令和 2年10月 7日提出:手続補正書 令和 2年10月30日付け:拒絶査定(以下「原査定」という。) 令和 3年 3月 9日提出:審判請求書 令和 3年 3月 9日提出:手続補正書 令和 3年 4月22日提出:手続補正書(方式) 第2 補正の却下の決定 [補正の却下の決定の結論] 令和3年3月9日にした手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。 [理由] 1 本件補正の内容 (1)本件補正前の特許請求の範囲 本件補正前の(令和2年10月7日にした手続補正後の)特許請求の範囲の請求項1の記載は、次のとおりである。 「 ミクロ構造化表面を有する輝度向上フィルムであって、前記ミクロ構造化表面が、 少なくとも20重量%のジルコニア無機ナノ粒子と、 少なくとも3個の連続するアルキレンオキシド繰り返し単位を有する非芳香族多官能性(メタ)アクリレートモノマーと、 下記の一般式 【化1】 [図:0001382958000001.jpg] [式中、 少なくとも1つのR1は芳香族置換基を含み、 tは1~4の整数であり、 R2はH又はCH3である] を有するベンジル(メタ)アクリレートモノマーから選択されるモノ(メタ)アクリレート希釈剤と を含む重合性組成物の反応生成物を含み、ボール落下損傷コントラストが0.25以下である、輝度向上フィルム。」 (2)本件補正後の特許請求の範囲 本件補正後の特許請求の範囲の請求項1の記載は、次のとおりである。なお、下線は補正箇所を示す。 「 ミクロ構造化表面を有する輝度向上フィルムであって、前記ミクロ構造化表面が、 少なくとも25重量%のジルコニア無機ナノ粒子と、 少なくとも3個の連続するアルキレンオキシド繰り返し単位を有する非芳香族多官能性(メタ)アクリレートモノマーと、 3-フェノキシベンジルアクリレート、又は2-フェニルフェノキシエチルアクリレートから選択されるモノ(メタ)アクリレート希釈剤と を含む重合性組成物の反応生成物を含み、ボール落下損傷コントラストが0.25以下である、輝度向上フィルム。」 2 本件補正の目的について 本件補正は、本件補正前の請求項1に記載された発明の、発明を特定するために必要な事項である「 下記の一般式 【化1】 [図:0001382958000002.jpg] [式中、 少なくとも1つのR1は芳香族置換基を含み、 tは1~4の整数であり、 R2はH又はCH3である] を有するベンジル(メタ)アクリレートモノマーから選択されるモノ(メタ)アクリレート希釈剤」を「3-フェノキシベンジルアクリレート、又は2-フェニルフェノキシエチルアクリレートから選択されるモノ(メタ)アクリレート希釈剤」と補正する事項(以下、「本件補正事項」という。)を含むものである。 しかしながら、本件補正後の請求項1に記載された発明の「2-フェニルフェノキシエチルアクリレート」は、本件出願明細書の【0112】によれば、「商品名「M1142」で入手可能」なものであり、また、【0041】及び【0042】によれば、商品名「M1142」は、以下の【化6】で表されるものである。そうすると、「2-フェニルフェノキシエチルアクリレート」は、本件補正前の請求項1に記載された発明の「【化1】」に含まるものではない。そのため、本件補正後の請求項1に記載された発明の「モノ(メタ)アクリレート希釈剤」は、本件補正前の請求項1に記載された発明の「モノ(メタ)アクリレート希釈剤」から「2-フェニルフェノキシエチルアクリレート」という択一的な要素が新たに付加されたものである。 したがって、本件補正事項は、本件補正前の請求項1に記載された発明の発明を特定するために必要な事項について、択一的な要素を付加する補正であることから、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものではない。また、本件補正事項が、特許法第17条の2第5項第1号、第3号、第4号のいずれを目的とするものでないことも明らかである。 【化6】 [図:0001382958000003.jpg] 3 独立特許要件について 前記2のとおり、本件補正事項は、特許法第17条の2第5項各号のいずれを目的とするものでないが、仮に、同項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものとした場合、本件補正後の請求項1に記載された発明(以下、「本件補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(同条第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか)について以下に検討する。 (1)引用文献1の記載 原査定の拒絶の理由で引用された、特開2011-221492号公報(以下「引用文献1」という。)は、本件出願の優先権主張の日(以下「本件優先日」という。)前に日本又は外国において頒布された刊行物であるところ、そこには、以下の記載がある。なお、下線は当合議体が付したものであり、引用発明の認定や判断等に活用した箇所を示す。 ア 「【技術分野】 【0001】 本発明は、液晶表示装置用バックライトのプリズムシート等として用いられる光学シート、光学部材用活性エネルギー線硬化性樹脂組成物並びに当該光学シートを備える面光源装置及び液晶表示装置に関する。」 イ 「【発明が解決しようとする課題】 【0010】 本発明は上記問題点を解決するためになされたものであり、優れた復元性を有し、かつ、傷付き難い凹凸形状を備えた光学シート、当該凹凸形状を形成するのに好適な光学部材用活性エネルギー線硬化性樹脂組成物並びに当該光学シートを備える面光源装置及び液晶表示装置を提供することを目的とする。」 ウ 「【発明の効果】 【0031】 本発明に係る光学シートは、上記単位凹凸構造の頂部における特定の押し込み荷重時の押し込み深さが特定の値以上であることにより、当該凹凸形状が優れた復元性を有し、かつ、傷付き難い。 当該光学シートを備える面光源装置は、光学シートの光学機能発現部が導光板等の部材と接触しても、単位凹凸構造の頂部に欠け、山潰れ及び変形が生じ難い。 当該光学シートを備える液晶表示装置は、光学シートの単位凹凸構造の頂部に欠け、山潰れ及び変形が生じ難いため、白点(白模様)等の表示ムラを生じ難く、外観に優れる。 本発明に係る光学部材用活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、容易に上記光学機能発現部を形成することができる。」 エ 「【発明を実施するための形態】 【0033】 次に、本発明の実施の形態について詳細に説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではなく、その趣旨の範囲内で種々変形して実施することができる。 ・・省略・・ 【0035】 (光学シート) 本発明に係る第一の態様の光学シートは、透明基材と、当該透明基材の一面側に設けられ、当該透明基材とは反対側の面に複数の単位凹凸構造を備える凹凸形状を有する光学機能発現部と、を備える光学シートであって、当該光学機能発現部が、アクリル樹脂及び/又はメタクリル樹脂を含む活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の硬化物からなり、当該単位凹凸構造の頂部における、ISO14577-1に準拠して押し込み荷重0.5mNで測定される押し込み深さが、0.6μm以上であることを特徴とする。 ・・省略・・ 【0044】 図1は、本発明に係る光学シートの一例を示した模式的な斜視図であり、図2は、本発明に係る光学シートの層構成の一例を示した模式的な断面図である。 光学シート1は、透明基材10上に(メタ)アクリル樹脂を含む活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の硬化物からなる光学機能発現部20が設けられており、光学機能発現部20は透明基材とは反対側の面に、図1及び2においては複数の単位凹凸構造30としてのプリズム構造を備えるプリズム形状を備える。 ・・省略・・ 【0046】 以下、本発明に係る光学シートの必須の構成要素である透明基材及び光学機能発現部並びに必要に応じて適宜設けることができる光拡散層について説明する。 【0047】 (透明基材) 透明基材10は、光学シート1の基材であり、特に限定されず、従来公知の光学シートに用いられている透明基材を用いることができる。透明基材は、例えば、特許文献2に記載のものを用いることができる。 透明基材は、所望の透明性、機械的強度等の要求適性を勘案の上、材料及び厚さを適宜選択すればよい。 透明基材は、樹脂基材であっても良いし、硝子基材であっても良い。 透明フィルムの樹脂材料としては、(メタ)アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリメタクリルイミド樹脂、ポリエステル樹脂、シクロオレフィンポリマー(COP)樹脂及びシクロオレフィンコポリマー(COC)樹脂等が好ましい。 ・・省略・・ 【0049】 (光学機能発現部) 光学機能発現部20は、(メタ)アクリル樹脂を含む活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の硬化物からなり、透明基材10とは反対側の面に複数の単位凹凸構造30を備える凹凸形状を有する。 【0050】 本発明に係る第一の態様の光学シートでは、当該単位凹凸構造30の頂部における、ISO14577-1に準拠して押し込み荷重0.5mNで測定される押し込み深さが、0.6μm以上である。・・省略・・ 【0051】 このように、単位凹凸構造の頂部における特定の押し込み荷重での押し込み深さが一定以上であることにより、当該凹凸形状が優れた復元性を有し、かつ、傷付き難い。 ・・省略・・ 【0054】 光学シートは、その作用機構から、光を凹凸形状における屈折又は反射等の幾何光学的作用によって変調させて、集光、拡散、屈折又は反射等の所望の機能を発現するプリズムシート又はレンズシート等と、光を凹凸形状における回折等の波動光学的作用によって変調させて、回折又は分光等の所望の機能を発現する回折格子又はホログラム等に大別される。 【0055】 プリズムシートとしての光学機能発現部の凹凸形状の具体的な形状(構造)を例示すると、三角柱(図1参照)、四角柱、五角柱等の角柱状の単位プリズム(単位凹凸構造)をその稜線方向(延在方向)と直交する方向に多数配列したもの(プリズム線状配列)が挙げられる。 上述したような角柱状の単位プリズムの場合、光学機能発現部の厚さTは、その稜線方向で均一であっても良いし、均一でなくとも良い。例えば、周縁部に近いほど高く、中央部に近いほど低いというように稜線方向で異なっていても良い。 【0056】 この他、プリズムシートとしての光学機能発現部の凹凸形状の具体的な形状の一例としては、円錐、円錐台又は三角、四角、五角若しくは六角等の角錐又は角錐台等の単位凹凸構造を透明基材表面に二次元的に複数配列したものが挙げられる。 透明基材の平面の法線方向(以下、単に「厚さ方向」という。)における単位プリズムの断面の形状は図2のように二等辺三角形としても良いし、図示しないが不等辺三角形としても良い。 厚さ方向の断面における三角形の単位プリズムの頂角の値は、図2のように90°でも良いし、それ以外の角度であっても良く、40~120°の範囲で調節することができる。 ・・省略・・ 【0060】 本発明の光学機能発現部は、要求される性能に応じて適宜、その単位凹凸構造又は凹凸形状を選択又は設定すれば良い。 ・・省略・・ 【0065】 (活性エネルギー線硬化性樹脂組成物) 活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(以下、単に「組成物」ということがある。)は、(メタ)アクリル樹脂を含み、活性エネルギー線の照射により硬化して光学機能発現部を形成する。 なお、本発明において「活性エネルギー線」とは、可視光線並びに紫外線及びX線等の非可視領域の波長の電磁波だけでなく、電子線及びα線のような粒子線を総称する、活性エネルギー線硬化性基を有する分子に架橋反応乃至重合反応を生じせしめるに足るエネルギー量子を持った放射線が含まれる。活性エネルギー線としては、紫外線が好ましい。 【0066】 この(メタ)アクリル樹脂としては、従来公知の光学シート形成用の(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリロイルオキシ基を有する単官能若しくは多官能のモノマー、オリゴマー又はプレポリマー等を用いることができる。 単官能のモノマーとしては、例えば、特許文献2に記載のビニルモノマー、(メタ)アクリル酸エステルモノマー及び(メタ)アクリルアミド誘導体が挙げられる。 多官能のモノマーとしては、例えば、特許文献2に記載のエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAポリエトキシジオールジ(メタ)アクリレート及びペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。 反応性プレポリマーとしては、例えば、特許文献2に記載のエポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート及びポリエステル(メタ)アクリレート等が挙げられる。 【0067】 本発明に係る光学シートの好適な態様では、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物が、(A)活性エネルギー線硬化性基を1個有するアクリル樹脂及び/又はメタクリル樹脂(以下、単に「(A)成分」ということがある。)、及び/又は(B)活性エネルギー線硬化性基を2個有するアクリル樹脂及び/又はメタクリル樹脂(以下、単に「(B)成分」ということがある。)、(C)ポリエーテル変性ジメチルポリシロキサン(以下、単に「(C)成分」ということがある。)及び(D)一般式(1)で表わされる化合物(以下、単に「(D)成分」ということがある。)を含み、かつ、当該(A)及び(B)の合計質量が当該活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の全固形分質量に対して50質量%以上であることが、光学機能発現部が上述した特定範囲の押し込み深さ及び上記特定の復元性を発現し易い点から好ましい。 以下、これら(A)~(D)成分について順に説明する。 【0068】 ((A)活性エネルギー線硬化性基を1個有する(メタ)アクリル樹脂) (A)成分は、活性エネルギー線硬化性基を1個有する(メタ)アクリル樹脂であり、ハロゲン原子、硫黄原子、酸素原子若しくは窒素原子等のヘテロ原子を含む鎖状の脂肪族又は環状の脂環式若しくは芳香族の(メタ)アクリル樹脂であっても良く、例えば、上述した特許文献2に記載の単官能の(メタ)アクリル樹脂を用いることができる。 【0069】 (A)成分は好ましくは、フェノキシエチル(メタ)アクリレート(別名(メタ)アクリル酸2-フェノキシエチル)及び下記一般式(2)で表わされる化合物が挙げられる。 【0070】 【化7】 [図:0001382958000004.jpg] (一般式(2)中、R1及びR2は、それぞれ独立に水素原子又はメチル基であり、Xは、水素原子又は炭素数1~10の鎖状の脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素若しくは芳香族炭化水素であり、kは2~6の整数である。) 【0071】 上記一般式(2)で表わされる化合物は、上記フェノキシエチル(メタ)アクリレートと共に組成物中に含有されることにより、その組成物の硬化物である光学機能発現部に柔軟性が付与され、光学機能発現部を傷付き難くし、かつ、光学機能発現部に外力が加わって形状が変形した場合でも、元の形状に復元可能な復元性を付与することができる。 上記一般式(2)において、kは2~6の正の整数であり、光学機能発現部の柔軟性を高める観点から、好ましくは2、3又は4であり、さらに好ましくは2又は3である。 【0072】 (A)成分は1種単独で用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いても良い。 (A)成分は組成物の全固形分質量に対して、20~50質量%が好ましい。 そして、組成物の全固形分質量に対してフェノキシエチル(メタ)アクリレートが、15~30質量%であることが好ましく、22~27質量%であることがより好ましい。 また、組成物の全固形分質量に対して上記一般式(2)で表わされる化合物が、5~20質量%であることが好ましく、5~15質量%であることがより好ましい。 【0073】 上記(A)成分と後述する(B)成分は、その合計質量((A)+(B))が組成物の全固形分質量に対して50質量%以上であることが好ましく、85~95質量%であることがより好ましい。当該合計質量を組成物の全固形分質量に対して50質量%以上とすることにより、光学機能発現部が上述した特定範囲の押し込み深さ及び上記特定の復元性を発現し易い。 【0074】 ((B)活性エネルギー線硬化性基を2個有する(メタ)アクリル樹脂) (B)成分は、活性エネルギー線硬化性基を2個有する(メタ)アクリル樹脂であり、ハロゲン原子、硫黄原子、酸素原子若しくは窒素原子等のヘテロ原子を含む鎖状の脂肪族又は環状の脂環式若しくは芳香族の(メタ)アクリル樹脂であっても良く、例えば、上述した特許文献2に記載の2官能の(メタ)アクリル樹脂を用いることができる。 (B)成分は好ましくは、下記一般式(3)で表わされる化合物及び下記一般式(5)で表わされる化合物(ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート)が挙げられる。 【0075】 【化8】 [図:0001382958000005.jpg] (一般式(3)中、R1及びR3は、それぞれ独立に水素原子又はメチル基であり、n及びmは、n+m=2~20を満たす正の整数である。) 【0076】 【化9】 [図:0001382958000006.jpg] (一般式(5)中、R4は、それぞれ独立に水素原子又はメチル基であり、nは、正の整数である。) 【0077】 上記一般式(3)で表わされる化合物は、上述したフェノキシエチル(メタ)アクリレート及び一般式(2)で表わされる化合物と共に組成物中に含有されることにより、光学機能発現部の柔軟性がさらに高まり、光学機能発現部の復元性を優れたものにすることができる。 さらに、上記一般式(3)で表わされる化合物と上記一般式(5)で表わされる化合物を組み合わせて用いることにより、上記特定の微小硬さ試験を行ったR1時における頂部の荷重前の頂部に対する復元率を55%以上としやすく、光学シートに優れた復元性と耐傷付き性を付与することができる。この理由は定かではないが、一般式(3)で表わされる化合物と一般式(5)で表わされる化合物の骨格の柔軟性とそれぞれによって形成される架橋密度が適切であるためと推測される。 【0078】 一般式(3)において、n及びmは、n+m=2~20を満たす正の整数である。n、mの個々の値及び両者の組合せの例としては、例えば、m=1、n=1でm+n=2、m=3、n=1でm+n=4、m=2、n=2でm+n=4、m=6、n=4でm+n=10、m=8、n=2でm+n=10、m=5、n=5でm+n=10、m=12、n=8でm+n=20、m=10、n=10でm+n=20等である。また、硬化物の柔軟性を高める観点から、n及びmは、好ましくはm+n=2~12、さらに好ましくはm+n=4~10となるように選ばれる。 【0079】 一般式(3)表わされる化合物の含有量は、組成物の全固形分質量に対して、25~50質量%であることが好ましく、さらに30~50質量%であることが好ましく、特に35~45質量%であることが好ましい。 【0080】 一般式(5)において、R4は、それぞれ独立に水素原子又はメチル基であるが、二つのR4が水素原子であることが好ましい。 一般式(5)で表わされる化合物の重量平均分子量は、上記特定の復元性を発現する観点から、400以上が好ましく、600以上がより好ましい。また、一般式(5)で表わされる化合物の入手の容易さの観点から、当該重量平均分子量は、800以下が好ましく、600以下がより好ましい。 一般式(5)で表わされる化合物の含有量は、上記特定の復元性を十分に発現する観点から、組成物の全固形分質量に対して、1~15質量%であることが好ましく、さらに5~10質量%であることが好ましい。 一般式(5)で表わされる化合物は、単一の構造及び重量平均分子量のものを用いても良いし、構造及び重量平均分子量が異なるものを2種以上組み合わせて用いても良い。 【0081】 ((C)ポリエーテル変性ジメチルポリシロキサン) (C)成分は、光学機能発現部に滑り性を付与し、光学機能発現部の凹凸形状に他部材等が接触した際の外力が加わりを緩和する働きを有する。 この他、非反応性の(C)成分は、組成物が硬化した際に、上記(A)成分、(B)成分及び後述する(D)成分が架橋した網目状の組織の中で、当該網目の隙間を埋める働きもしていると推測される。 【0082】 (C)成分は、重量平均分子量が5000~25000であることが好ましい。 このような(C)成分としては、例えば、下記一般式(4)で表わされる化合物が挙げられる。 【0083】 【化10】 [図:0001382958000007.jpg] (一般式(4)中、aは1~5の整数、bは1~5の整数、cは1~30の整数及びdは1~70の整数であり、かつ、c≦dを満たし、R1及びR2はそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1~4のアルキル基である。) 【0084】 一般式(4)中、a、b、c及びdが上記範囲を満たすことにより、高分子としての性質を発現し、組成物における適度な溶解乃至分散性が得られ、光学機能発現部にレベリング剤としての性質や滑り性を付与し易いという利点がある。 ・・省略・・ 【0087】 ((D)一般式(1)で表わされる化合物) (D)成分は、下記一般式(1)で表わされる化合物(グリセリンエポキシトリアクリレート)であり、1分子内に3つの活性エネルギー線硬化性基を有するため、組成物の硬化時に上記(A)及び(B)成分との架橋可能であり、多くの架橋点を生じる働きを有する。 この他、(D)成分は、そのCHO-(CH2O-)2部分に由来した柔軟性を有する。 したがって、(D)成分は、光学機能発現部に、複数の架橋点及びCHO-(CH2O-)2部分に由来した柔軟性による強靭性を付与する働きを有する。 【0088】 【化11】 [図:0001382958000008.jpg] ・・省略・・ 【0094】 (光学シートの用途) 本発明に係る光学シートは、例えば、液晶表示装置等のバックライトに用いられるプリズムシート、プロジェクションテレビ等の投影スクリーンに用いられるフレネルレンズシートやレンチキュラーシート等に用いることができる。本発明に係る光学シートはこれらのいずれにおいても好適に用いることができるが、中でも液晶表示装置用バックライトのプリズムシートとして好適に用いることができる。」 オ 「【実施例】 【0106】 以下、実施例を挙げて、本発明を更に具体的に説明する。これらの記載により本発明を制限するものではない。 【0107】 以下の組成物1~5をそれぞれ調製した。各組成物の組成をまとめたものを表1に示す。 ・・省略・・ 【0111】 (組成物4の調製) フェノキシエチルアクリレート(サートマー社製の商品名SR339A):9質量部 オルトフェニルフェノキシエチルアクリレート(別名アクリル酸2-(2-ビフェニリルオキシ)エチル):36質量部 ビスフェノールAジアクリレート(一般式(3)においてm=n=2、かつ、R1及びR3が全て水素原子、共栄社化学(株)製の商品名ライトアクリレート BP-4EA):8質量部 ビスフェノールAジアクリレート(一般式(3)においてm=n=5、かつ、R1及びR3が全て水素原子、MIWON社製の商品名MIRAMER M2100):42質量部 ポリエチレングリコールジアクリレート(一般式(5)においてR4が全て水素原子、重量平均分子量600):10質量部 ポリエーテル変性ジメチルポリシロキサン(ビックケミー・ジャパン(株)製の商品名BYK-377)、一般式(4)において、a=5、b=5、c=30、d=10、R1及びR2がメチル基、重量平均分子量10800):0.5質量部 グリセリンエポキシアクリレート(上記一般式(1)、ナガセケムテックス(株)製の商品名DA-314):5質量部 1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(チバ・ジャパン(株)製の商品名イルガキュア184):3質量部 リン酸エステル系離型剤(SC有機化学(株)製の商品名Chelex H-18D):0.1質量部 ・・省略・・ 【0113】 【表1】 [図:0001382958000009.jpg] 【0114】 (実施例1) 図1に示すような単位プリズムの線状配列の凹凸形状が形成されたプリズム型に上記調製した組成物1を滴下した後、厚さ125μmのポリエチレンテレフタレート(PET)基材(東洋紡績(株)製の商品名A4300)を重ね、ラミネーターで当該PET基材全面を組成物1に圧着した。 次いで、水銀灯を用い、780mJ/cm2でその組成物1に対して紫外線照射を行い、多数の単位プリズムを有するプリズム部を硬化させ、PET基材と一体化させた。その後、上記プリズム型を剥離することによって、光学シートを得た。 ここで、単位プリズムの形状は、厚さ方向の断面における形状が高さ25μm、底辺50μm、頂角90℃となる二等辺三角形の三角柱形状とした。そして、光学機能発現部は、各単位プリズムの稜線が互いに平衡になるように複数の単位プリズムを配列周期50μmで当該稜線と直交する方向に多数隣接して配列しているものであった。(当合議体注:「℃」は「°」の、「平衡」は「平行」の誤記であると認められる。) 【0115】 (実施例2~4及び比較例1) 実施例1において、組成物1をそれぞれ、表1に示すように組成物2~5に代えた以外は実施例1と同様に行い、光学シートを得た。 【0116】 (押し込み深さの測定) ISO 14577-1に準拠して(株)フィッシャー・インストルメンツ製の微小硬さ試験機(商品名PICODENTOR HM500、圧子はダイヤモンド製の四角錐型、対面角90°)を用いて、押し込み荷重0.5mN時及び300mN時の押し込み深さを測定した。その測定結果を表2に示す。 【0117】 (マルテンス硬度及び塑性変形硬さの測定) ISO 14577-1に準拠して(株)フィッシャー・インストルメンツ製の微小硬さ試験機(商品名PICODENTOR HM500、圧子はダイヤモンド製の四角錐型、対面角90°)を用いて、押し込み荷重300mN時のマルテンス硬度及び塑性変形硬さを測定した。その測定結果を表2に合わせて示す。 【0118】 (復元率の測定) 単位プリズムの頂部における、JIS Z2244(2003)に規定されるビッカース硬さ試験に準拠して、荷重を0mNから200mNまで一定の割合で変化させ、荷重200mNに到達後60秒間保持し、次いで、荷重を0.4mNまで抜重して4秒間保持した時(R1時)の当該頂部の荷重前の頂部(高さ25μm)に対する復元率を測定した。また、当該4秒間保持した後、さらに60秒間保持した時(R2時)の当該頂部の荷重前の頂部(高さ25μm)に対する復元率を測定した。R1時及びR2時における復元率の測定結果を表2に合わせて示す。 なお、復元率は、フィッシャー社製の商品名HP100XYp(圧子形状:半球状φ0.4mmボール、圧子本体材質:ステンレス、圧子の試料との接触部材質:タングステンカーバイト、圧子と測定機との接続部材質:フェライト)を用いて測定した。 【0119】 作製した実施例及び比較例の光学シートの光学機能発現部の復元性及び耐傷付き性を、下記の方法及び評価基準により評価した。その結果を合わせて表2に示す。 【0120】 (評価方法) 図6は、本発明における復元性及び耐傷付き性の評価方法を模式的に示した概略図であり、図6に示すように、耐摩耗試験機の可動盤110上に試験片である光学シート1を透明基材側が可動盤側に位置するように設定し、当該試験片上に面積12cm2の偏光フィルム120を介して荷重部130に2.45N(250gf)の荷重をかけた。そして、可動盤110を速度5mm/sで20秒間、図6の矢印140方向に移動させた時の光学機能発現部の頂部の状態を目視及び顕微鏡観察により評価した。 【0121】 試験片は、得られた光学シートを長さ150mm、幅40mmに切断したものを用いた。 測定装置は、テスター産業(株)製の商品名AB-301 学振型摩擦堅牢度試験機を用いた。 偏光フィルムは、面積12cm2の大日本印刷(株)製の商品名H25を用い、マット層側を試験片に向けて配置した。 顕微鏡は、(株)キーエンス社製の商品名デジタルマイクロスコープ VHX-200Nを用いた。 なお、荷重部の底面は外径20mm、内径10mmのドーナツ状であり、底面積は2.36cm2である。 【0122】 (復元性評価) ・評価5:顕微鏡観察で形状の変形が確認されなかった。 ・評価4:顕微鏡観察で形状の変形が確認されたが、バックライト上で目視では確認されなかった。 ・評価3:バックライト上で目視で形状の変形が確認されたが、室温(25℃)で10分以内に元の形状に復元した。 ・評価2:バックライト上で目視で形状の変形が確認され、室温(25℃)で10分以内に元の形状に復元しなかったが、35℃に加熱した場合、5分以内に元の形状に復元した。 ・評価1:バックライト上で目視で形状の変形が確認され、35℃で加熱しても5分以内に元の形状に復元しなかったが、80℃で1分加熱した場合、元の形状に復元した。 【0123】 (耐傷付き性評価) ・評価5:顕微鏡観察で傷が確認されなかった。 ・評価4:顕微鏡観察で傷が1本確認されたが、バックライト上で目視では傷が確認されなかった。 ・評価3:バックライト上で目視により傷が2~3本確認された。 ・評価2:バックライト上で目視により傷(スジ)が多数確認された。 ・評価1:バックライト上で目視によりプリズム表面全面に削れた後が確認された。 なお、復元性評価及び耐傷付き性評価において、顕微鏡観察は、顕微鏡の倍率を100~1000倍の範囲内で適宜調節して行った。 【0124】 図7は、本発明における復元性及び耐傷付き性の評価方法を模式的に示した概略図であり、復元性評価3及び耐傷付き性評価5とは、例えば、図7の(a)に示すように光学機能発現部20の単位凹凸構造30の頂部に、偏光フィルム120の幅Lの凹み(変形)が形成された後、室温(25℃)で10分以内に、図7の(b)に示すように凹凸形状が元の形状に復元し、かつ、顕微鏡観察で傷が確認されなかった場合をいう。 復元性評価3及び耐傷付き性評価3とは、例えば、図7の(c)に示すように光学機能発現部20の単位凹凸構造30の頂部に、偏光フィルム120の幅Lの凹み(変形)と、偏光フィルム120の幅Lよりも小さい幅lが形成された後、室温(25℃)で10分以内に、図7の(d)に示すように凹凸形状が元の形状に復元するが、凹凸構造の頂部近傍の表面に復元せずに残った傷が2~3本形成され、当該傷がバックライト上で目視により確認された場合をいう。 【0125】 【表2】 [図:0001382958000010.jpg] 【0126】 (結果のまとめ) 表2より、実施例1~4では、押し込み荷重0.5mN時の押し込み深さが2.8μm、押し込み荷重300mN時の押し込み深さが20.8~22.2μmと大きかった。 また、実施例1~4では、押し込み荷重300mN時のマルテンス硬度が26.2~37.3N/mm2と、50N/mm2以下であった。 実施例1~4では、押し込み荷重300mN時の塑性変形硬さが29.5~46.5N/mm2と、50N/mm2以下であった。 そして実施例1~4では、復元性及び耐傷付き性がともに良好であった。 特に、復元率の評価について、実施例1~3では、R1時の復元率は68.7~68.9%、R2時の復元率は78.2~78.5%と良好であった。さらに実施例4では、R1時の復元率は77.8%、R2時の復元率は98.6%となり、実施例1~3の場合よりも短時間での復元性及び一定時間経過時の復元性の両方においてさらに優れた結果が得られた。 しかし、比較例1では、押し込み荷重0.5mN時及び押し込み荷重300mN時の押し込み深さがともに小さく、マルテンス硬度及び塑性変形硬さは大きかった。 そして、比較例1では、R1時及びR2時の復元率が低く、復元性及び耐傷付き性の評価がともに低かった。」 カ 「【符号の説明】 【0127】 1 光学シート 10 透明基材 20 光学機能発現部 30 単位凹凸構造」 キ 「 【図1】 [図:0001382958000011.jpg] 【図2】 [図:0001382958000012.jpg] ・・省略・・ 【図6】 [図:0001382958000013.jpg] 【図7】 [図:0001382958000014.jpg] 」 (2)引用発明1 引用文献1の【0115】の記載からは、実施例4として、組成物1を組成物4に代えた以外は実施例1と同様に光学シートを得ることが把握できる。また、実施例1については、引用文献1の【0114】に記載されている。 そうすると、引用文献1には、実施例4に係る光学シートとして、以下の発明(以下、「引用発明1」という。)が記載されている。 「図1に示すような単位プリズムの線状配列の凹凸形状が形成されたプリズム型に、以下のように調製した組成物4を滴下した後、厚さ125μmのポリエチレンテレフタレート(PET)基材(東洋紡績(株)製の商品名A4300)を重ね、ラミネーターで当該PET基材全面を組成物4に圧着し、次いで、水銀灯を用い、780mJ/cm2でその組成物4に対して紫外線照射を行い、多数の単位プリズムを有するプリズム部を硬化させ、PET基材と一体化させ、その後、上記プリズム型を剥離することによって得られた光学シートであって、 単位プリズムの形状は、厚さ方向の断面における形状が高さ25μm、底辺50μm、頂角90°となる二等辺三角形の三角柱形状であり、光学機能発現部は、各単位プリズムの稜線が互いに平行になるように複数の単位プリズムを配列周期50μmで当該稜線と直交する方向に多数隣接して配列している、光学シート。 図1 [図:0001382958000015.jpg] 1 光学シート 10 透明基材 20 光学機能発現部 30 単位凹凸構造 (組成物4の調整) フェノキシエチルアクリレート(サートマー社製の商品名SR339A):9質量部 オルトフェニルフェノキシエチルアクリレート(別名アクリル酸2-(2-ビフェニリルオキシ)エチル):36質量部 ビスフェノールAジアクリレート(一般式(3)においてm=n=2、かつ、R1及びR3が全て水素原子、共栄社化学(株)製の商品名ライトアクリレート BP-4EA):8質量部 ビスフェノールAジアクリレート(一般式(3)においてm=n=5、かつ、R1及びR3が全て水素原子、MIWON社製の商品名MIRAMER M2100):42質量部 ポリエチレングリコールジアクリレート(一般式(5)においてR4が全て水素原子、重量平均分子量600):10質量部 ポリエーテル変性ジメチルポリシロキサン(ビックケミー・ジャパン(株)製の商品名BYK-377)、一般式(4)において、a=5、b=5、c=30、d=10、R1及びR2がメチル基、重量平均分子量10800):0.5質量部 グリセリンエポキシアクリレート(一般式(1)、ナガセケムテックス(株)製の商品名DA-314):5質量部 1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(チバ・ジャパン(株)製の商品名イルガキュア184):3質量部 リン酸エステル系離型剤(SC有機化学(株)製の商品名Chelex H-18D):0.1質量部 [図:0001382958000016.jpg] [図:0001382958000017.jpg] [図:0001382958000018.jpg] [図:0001382958000019.jpg] 」 (3)引用文献14の記載 原査定の拒絶の理由で引用された、特表2008-533525号公報(以下「引用文献14」という。)は、本件優先日前に日本又は外国において頒布された刊行物であるところ、そこには、以下の記載がある。なお、下線は当合議体が付したものであり、引用発明の認定や判断等に活用した箇所を示す。 ア 「【特許請求の範囲】 【請求項1】 微細構造化表面を有する光学層を含む調光フィルムであって、前記光学層が、 (a)ポリマー材料と、 (b)複数の表面改質ジルコニア粒子とを含有し、前記ジルコニア粒子は、前記ジルコニア粒子中の無機酸化物の重量を基準にして0.1~8重量パーセントのイットリウムを含み、前記ジルコニア粒子は、平均一次粒度が30ナノメートル以下であり、分散指数が1~3であり、強度平均粒度の体積平均粒度に対する比が3.0以下であり、少なくとも70パーセントが立方晶、正方晶、またはそれらの組み合わせである結晶構造を有する、調光フィルム。 ・・省略・・ 【請求項3】 前記調光フィルムが輝度向上フィルムである、請求項1に記載の調光フィルム。」 イ 「【技術分野】 【0001】 本発明は、調光フィルムと、ジルコニア粒子を含有する調光フィルムの製造方法とに関する。」 ウ 「【背景技術】 【0002】 ・・省略・・ 【0006】 微細構造の先端が破壊されると、影響を受けた先端反射性および屈折性が低下し、透過光は実質的にすべてが前方角度に散乱する。調光フィルムがディスプレイ上の輝度向上フィルムであり、そのディスプレイをまっすぐ観察する場合、調光フィルム内の擦り傷を有する領域は、その周囲にある輝度向上フィルムの損傷していない領域よりも暗くなる。しかし、カットオフ角(すなわち、ディスプレイ上の画像を見ることができなくなる角度)付近またはそれを超える角度でディスプレイを観察すると、擦り傷を有する領域は、その周囲にあるフィルムの損傷していない領域よりも実質的に明るく見える。両方の状況において、外見上の観点から擦り傷は好ましくない。多数の擦り傷を有する輝度向上フィルムは、液晶ディスプレイなどの一部のディスプレイにおける使用に容認されない場合がある。」 エ 「【課題を解決するための手段】 【0007】 本発明は、微細構造化物品、および微細構造化物品の製造方法を提供する。より詳細には、本発明の微細構造化物品はジルコニア粒子を含有する。このジルコニア粒子は、コロイド状(たとえば100ナノメートル未満)で、結晶質であり、実質的に会合していない。微細構造化物品は、たとえば、輝度向上フィルム、反射フィルム、回転フィルムなどの調光フィルムであってよい。 【0008】 第1の態様においては、微細構造化表面を有する光学層を含む調光フィルムを提供する。この光学層は、ポリマー材料と、複数の表面改質ジルコニア粒子とを含有する。これらのジルコニア粒子は、ジルコニア粒子中の無機酸化物の重量を基準にして0.1~8重量パーセントのイットリウムを含有する。さらに、これらのジルコニア粒子は、平均一次粒度が30ナノメートル以下であり、分散指数が1~3であり、強度平均粒度の体積平均粒度に対する比が3.0以下であり、少なくとも70パーセントが立方晶、正方晶、またはそれらの組み合わせである結晶構造を有する。 ・・省略・・ 【0020】 本明細書において使用される場合、用語「微細構造化」または「微細構造」は、微細構造を通って引かれた平均中心線から、形状がずれている突出部およびくぼみなどの不連続を有する表面を意味し、この中心線は、中心線より上の表面形状によって囲まれる面積の合計が、中心線より下の面積の合計に等しくなるように引かれており、この中心線は、物品の公称表面(微細構造を有する)に対して実質的に平行である。これらのずれの高さは、通常少なくとも0.005ミクロン、少なくとも0.01マイクロメートル、または少なくとも0.1マイクロメートルである。これらのずれの高さは、通常750マイクロメートル以下、500マイクロメートル以下、400マイクロメートル以下、200マイクロメートル以下、または100マイクロメートル以下である。一部の表面構造は、フィルム長さまたは幅に沿って延在する複数の長手方向の稜線部を有する。これらの稜線部は、中心線からのずれの高さが約0.1~約100マイクロメートルである。これらの稜線部は、対称の場合も非対称の場合もある先端および溝の交互パターンを形成することができる。先端および溝の大きさ、方向、あるいはそれらの間の距離は、均一の場合もあるし、不均一の場合もある。ある微細構造化表面においては、稜線部は複数のプリズム頂点から形成されている場合がある。これらの頂点は、鋭い場合、丸みを帯びた場合、平坦な場合、または切頭されている場合がある。」 オ 「【発明を実施するための最良の形態】 【0031】 ジルコニア粒子を含有する、調光フィルムなどの微細構造化物品を提供する。このジルコニア粒子は、コロイド状(たとえば100ナノメートル未満)で、結晶質であり、実質的に会合していない。このジルコニア粒子は、調光フィルムの屈折率を増加させることができる、調光フィルムの耐久性を増加させることができる、またはそれらの組み合わせを実現することができる。通常、調光フィルムは、輝度向上フィルム、反射フィルム、回転フィルムなどの形態である。 【0032】 第1の態様においては、微細構造化表面を有する光学層を含む調光フィルムを提供する。この光学層は、ポリマー材料と、複数の表面改質ジルコニア粒子とを含有する。これらのジルコニア粒子は、ジルコニア粒子中の無機酸化物の重量を基準にして0.1~8重量パーセントのイットリウムを含有する。さらに、これらのジルコニア粒子は、平均一次粒度が50ナノメートル以下であり、分散指数が1~3であり、強度平均粒度の体積平均粒度に対する比が3.0以下であり、少なくとも70パーセントが立方晶、正方晶、またはそれらの組み合わせである結晶構造を有する。 【0033】 通常、ジルコニア粒子を有する調光フィルムは、ポリマー材料のみを含有する調光フィルムよりも屈折率が高い。ある実施形態においては、調光フィルムは輝度向上フィルムである。別の実施形態においては、調光フィルムは反射フィルムまたは回転フィルムである。 ・・省略・・ 【0054】 調光フィルムの光学層は、表面改質ジルコニア粒子以外にポリマー材料も含有する。本発明の光学層は、通常、80重量パーセントまでの表面改質ジルコニア粒子を含む。ある実施形態においては、本発明の光学層は、75重量パーセントまで、70重量パーセントまで、65重量パーセントまで、60重量パーセントまで、55重量パーセントまで、50重量パーセントまで、45重量パーセントまで、または40重量パーセントまでの表面改質ジルコニアを含む。本発明の光学層は、通常、少なくとも1重量パーセント、少なくとも5重量パーセント、少なくとも10重量パーセント、少なくとも15重量パーセント、少なくとも20重量パーセント、少なくとも25重量パーセント、少なくとも30重量パーセント、少なくとも35重量パーセント、または少なくとも40重量パーセントの表面改質ジルコニア粒子を含む。ある実施形態においては、本発明の光学層は、1~80重量パーセント、1~70重量パーセント、1~60重量パーセント、5~60重量パーセント、10~60重量パーセント、20~60重量パーセント、30~60重量パーセント、または40~60重量パーセントの表面改質ジルコニア粒子を含有する。 【0055】 本発明の光学層中のポリマー材料は、十分に高い屈折率を有するあらゆる好適な材料であってよい。このポリマー材料の屈折率は、多くの場合、少なくとも1.40、少なくとも1.45、または少なくとも1.50である。本発明のポリマー材料は、たとえば、1種類以上のモノマー(たとえば、エチレン系不飽和モノマー)、1種類以上のオリゴマー(たとえば、エチレン系不飽和オリゴマー)、またはそれらの組み合わせを含有する重合性組成物を反応させることによって形成することができる。本発明の重合性組成物は、任意選択の架橋剤および任意選択の光開始剤を含むこともできる。 ・・省略・・ 【0057】 別の代表的なポリマー材料は、高屈折率を有するオリゴマー材料と、反応性希釈剤と、架橋剤(すなわち、架橋剤または架橋性モノマー)とを含む重合性組成物から調製される。この重合性組成物は開始剤を含むことが多い。オリゴマー材料は、ポリマー材料の全体的な光学的性質および抵抗性に寄与する。反応性希釈剤は、重合性組成物の粘度を調整するために加えることができるモノマーである。通常この粘度は、組成物中への気泡の取り込みを最小限にし、完全な微細構造形状を形成できるのに十分な流動性となるように調整される。多官能性架橋剤は、光学層の耐久性を高めるために加えられ、ポリマーのガラス転移温度を上昇させることができる(たとえば、ポリマー材料のガラス転移温度は多くの場合45℃を超える)。これらの代表的なポリマー材料は、2003年9月12日に出願された米国特許出願第10/662085号明細書、2004年9月10日に出願された米国特許出願第10/939184号明細書、および2004年9月10日に出願された米国特許出願第10/938006号明細書に、より詳細に記載されている。 【0058】 これらの代表的なポリマー材料用のオリゴマー材料は、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、またはそれらの組み合わせであることが多い。典型的なオリゴマー材料としては、芳香族ウレタンアクリレート(たとえば、ジョージア州スマーナのサーフェス・スペシャルティーズ(Surface Specialties,Smyrna,GA)よりエベクリル(EBECRYL)6700-20Tとして市販されている)、芳香族ウレタンジアクリレート(たとえば、サーフェス・スペシャルティーズ(Surface Specialties)よりエベクリル(EBECRYL)4849およびエベクリル(EBECRYL)4827として市販されている)、芳香族ウレタントリアクリレート(たとえば、サーフェス・スペシャルティーズ(Surface Specialties)よりエベクリル(EBECRYL)6602として市販されている)、ウレタンアクリレート(たとえば、サートマー(Sartomer)よりCN972として市販されている)、ウレタンアクリレートブレンド(たとえば、トリプロピレングリコールジアクリレートとブレンドされてサートマー(Sartomer)よりCN970A60およびCN973A80として市販されている)、六官能性ウレタンアクリレート(たとえば、サートマー(Sartomer)よりCN975として市販されており、さらにサーフェス・スペシャルティーズ(Surface Specialties)よりエベクリル(EBECRYL)220として市販されている)、ビスフェノールAエポキシジアクリレート(たとえば、サーフェス・スペシャルティーズ(Surface Specialties)よりエベクリル(EBECRYL)608、エベクリル(EBECRYL)1608、およびエベクリル(EBECRYL)3700として市販されている)、改質ビスフェノールAエポキシジアクリレート(たとえば、サーフェス・スペシャルティーズ(Surface Specialties)のエベクリル(EBECRYL)3701)、部分アクリル化ビスフェノールAエポキシジアクリレート(たとえば、エベクリル(EBECRYL)3605として市販されている)、エポキシアクリレート(たとえば、ペンシルバニア州エクストンのサートマー(Sartomer,Exton,PA)よりCN120およびCN104として、ならびにサーフェス・スペシャルティーズ(Surface Specialties)よりエベクリル(EBECRYL)3200として市販されている)、改質エポキシアクリレート(たとえば、サートマー(Sartomer)よりCN115、CN116、CN117、CN118、およびCN119として市販されている)、脂肪族/芳香族エポキシアクリレート(たとえば、サーフェス・スペシャルティーズ(Surface Specialties)よりエベクリル(EBECRYL)3201として市販されている)、およびゴム改質エポキシジアクリレート(たとえば、サーフェス・スペシャルティーズ(Surface Specialties)よりエベクリル(EBECRYL)3302として市販されている)が挙げられるが、これらに限定されるものではない。 【0059】 これらの代表的なポリマー材料用の典型的な反応性希釈剤モノマーとしては、モノアクリレート、たとえば(メタ)アクリル酸フェニルチオエチル、アクリル酸イソオクチル(たとえば、ペンシルバニア州エクストンのサートマー(Sartomer,Exton,PA)よりSR-440として市販されている)、アクリル酸イソデシル(たとえば、サートマー(Sartomer)よりSR-395として市販されている)、アクリル酸イソボルニル(たとえば、サートマー(Sartomer)よりSR-506として市販されている)、アクリル酸2-フェノキシエチル(たとえば、サートマー(Sartomer)よりSR-339として市販されている)、アルコキシル化アクリル酸テトラヒドロフルフリル(たとえば、サートマー(Sartomer)よりCD-611として市販されている)、および2(2-エトキシエトキシ)エチルアクリレート(たとえば、サートマー(Sartomer)よりSR-256として市販されている);ジアクリレート、たとえば、1,3-ブチレングリコールジアクリレート(たとえば、サートマー(Sartomer)よりSR-212として市販されている)、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート(たとえば、サートマー(Sartomer)よりSR-238として市販されている)、ネオペンチルグリコールジアクリレート(たとえば、サートマー(Sartomer)よりSR-247として市販されている)、およびジエチレングリコールジアクリレート(たとえば、サートマー(Sartomer)よりSR-230として市販されている)が挙げられるが、これらに限定されるものではない。他の反応性希釈剤モノマーとしては、たとえば、メチルスチレン、スチレン、ジビニルベンゼンなどが挙げられる。」 カ 「【実施例】 【0185】 ・・省略・・ 【0233】 輝度向上フィルムの作製 プリズムの側面の傾斜によって画定される90°の頂点角度を有する微細複製工具を使用して、重合性樹脂組成物から輝度向上フィルムを作製した。 【0234】 実施例1~5、7、および8の樹脂を使用する第1の組の実験においては、隣接する頂点間の平均距離が約50マイクロメートルであり、プリズムの頂点は鋭く、プリズムは、3Mカンパニー(3M Company)より商品名「ビキュイティBEF III90/50フィルム」(VIKUITI BEF III90/50 FILM)で販売される輝度向上フィルムと同様に長さに沿って高さが変動するものであった。重合性樹脂組成物は、約50℃の温度まで加熱し、連続フィルムを形成するのに十分な体積で、微細複製工具上に注いだ。5ミルのポリエチレンテレフタレートフィルム(PET)をこの重合性樹脂と接触させた。重合性樹脂がPETと微細複製工具との間に広がるように、PET、重合性樹脂、および微細複製工具をコーティングバー装置の下で引っ張った。重合性樹脂の厚さが約25マイクロメートルとなるように、微細複製工具に対してコーティングバーを配置した。微細複製工具とPETフィルムとの間に重合性樹脂層が形成された後、紫外線硬化装置中で重合性樹脂を約3000ミリジュール/cm2に曝露することによって重合性樹脂層を硬化させた。硬化後、重合した樹脂およびPETフィルムを微細複製工具から剥離した。」 (4)引用発明14 引用文献14には、請求項1の記載を引用する請求項3に記載される発明として、以下の発明(以下、「引用発明14」という。)が記載されている。 「 微細構造化表面を有する光学層を含む調光フィルムであって、前記光学層が、 (a)ポリマー材料と、 (b)複数の表面改質ジルコニア粒子とを含有し、前記ジルコニア粒子は、前記ジルコニア粒子中の無機酸化物の重量を基準にして0.1~8重量パーセントのイットリウムを含み、前記ジルコニア粒子は、平均一次粒度が30ナノメートル以下であり、分散指数が1~3であり、強度平均粒度の体積平均粒度に対する比が3.0以下であり、少なくとも70パーセントが立方晶、正方晶、またはそれらの組み合わせである結晶構造を有し、 前記調光フィルムが輝度向上フィルムである、調光フィルム。」 (5)対比・判断 ア 引用文献1を主引用例とした場合 (ア)対比 本件補正発明と引用発明1を対比する。 a 非芳香族多官能性(メタ)アクリレートモノマー 引用発明1の「ポリエチレングリコールジアクリレート」は、「一般式(5)においてR4が全て水素原子」であることから非芳香族であり、また、「一般式(5)」の構造からアクリレート基を2つ有するため、多官能性のモノマーであり、さらに、「重量平均分子量600」であることから「一般式(5)」の「n」が3以上であることは明らかである。したがって、引用発明1の「ポリエチレングリコールジアクリレート」は、少なくとも3個の連続するアルキレンオキシド繰り返し単位を有するものである。 以上より、引用発明1の「ポリエチレングリコールジアクリレート」は、本件補正発明の「非芳香族多官能性(メタ)アクリレートモノマー」に相当する。また、引用発明1の「ポリエチレングリコールジアクリレート」は、本件補正発明の「少なくとも3個の連続するアルキレンオキシド繰り返し単位を有する」の要件を満たす。 b 重合性組成物の反応生成物 引用発明1は「水銀灯を用い、780mJ/cm2でその組成物4に対して紫外線照射を行い、多数の単位プリズムを有するプリズム部を硬化させ」ていることから、引用発明1の「組成物4」は、重合性の組成物であり、紫外線照射によって反応して硬化するものである。 そうすると、引用発明1の「組成物4」は、本件補正発明の「重合性組成物」に相当し、「組成物4」が「紫外線照射」によって「硬化」したものは、本件補正発明の「反応生成物」に相当する。 c ミクロ構造化表面 引用発明1の「光学機能発現部」は、「各単位プリズムの稜線が互いに平行になるように複数の単位プリズムを配列周期50μmで当該稜線と直交する方向に多数隣接して配列」したものであり、「単位プリズムの形状は、厚さ方向の断面における形状が高さ25μm、底辺50μm、頂角90°となる二等辺三角形の三角柱形状」となっている。 引用発明1の「単位プリズム」は、その大きさからみて、本件補正発明の「ミクロ構造」に相当するものである。また、引用発明1の「光学機能発現部」は、その製造工程からみて「単位プリズム」の表面を有することは明らかであるから、引用発明1の「光学機能発現部」の表面は、本件補正発明の「ミクロ構造化表面」に相当する。 また、引用発明1の「単位プリズム」は、「組成物4に対して紫外線照射を行い」「硬化させ」たものであることから、引用発明1の「光学機能発現部」の表面は、本件補正発明と「少なくとも3個の連続するアルキレンオキシド繰り返し単位を有する非芳香族多官能性(メタ)アクリレートモノマー」「を含む重合性組成物の反応生成物を含」む点で共通する。 d 輝度向上フィルム 引用発明1の「光学シート」は、その名称から「シート」状であるため「フィルム」であることは明らかである。また、引用発明1の製造工程及び構造からみて、引用発明1の「光学シート」は「光学機能発現部」を有することも明らかである。 そうすると、引用発明1の「光学シート」は、本件補正発明の「輝度向上フィルム」と「フィルム」である点で共通する。また、上記「c」も併せて考慮すると、引用発明1の「光学シート」は、本件補正発明の「ミクロ構造化表面を有する」の要件を満たす。 (イ)一致点及び相違点 a 一致点 本件補正発明と引用発明1は、次の構成で一致する。 「 ミクロ構造化表面を有するフィルムであって、前記ミクロ構造化表面が、 少なくとも3個の連続するアルキレンオキシド繰り返し単位を有する非芳香族多官能性(メタ)アクリレートモノマー、 を含む重合性組成物の反応生成物を含む、フィルム。」 b 相違点 本件補正発明と引用発明1は、以下の点で相違する。 (相違点1) 本件補正発明は、「輝度向上フィルム」であるのに対して、引用発明1の「光学シート」は「輝度向上」するか明らかでない点。 (相違点2) 「重合性組成物の反応生成物」について、本件補正発明では「少なくとも25重量%のジルコニア無機ナノ粒子」を含むのに対して、引用発明1はそのような特定がない点。 (相違点3) 「重合性組成物の反応生成物」について、本件補正発明では「3-フェノキシベンジルアクリレート、又は2-フェニルフェノキシエチルアクリレートから選択されるモノ(メタ)アクリレート希釈剤」を含むのに対して、引用発明1はそのような特定がない点。 (相違点4) 本件補正発明は、「ボール落下損傷コントラストが0.25以下である」のに対して、引用発明1はそのような特定がない点。 (ウ)相違点についての判断 a 相違点1について 引用発明1の「単位プリズムの形状」は、「厚さ方向の断面における形状が高さ25μm、底辺50μm、頂角90°となる二等辺三角形の三角柱形状」となっており、この「単位プリズム」が「各単位プリズムの稜線が互いに平行になるように複数の単位プリズムを配列周期50μmで当該稜線と直交する方向に多数隣接して配列している」ことから、技術的にみて、引用発明1の「光学シート」は「輝度向上」の作用を有しているといえる。 あるいは、引用文献1には、「本発明は、液晶表示装置用バックライトのプリズムシート等として用いられる光学シート」(【0001】)、「光学シートは、その作用機構から、光を凹凸形状における屈折又は反射等の幾何光学的作用によって変調させて、集光、拡散、屈折又は反射等の所望の機能を発現するプリズムシート又はレンズシート等」(【0054】)との記載があり、また、液晶表示装置用バックライトに用いられるプリズムシートとして「輝度向上」作用を有するものは周知である(例えば、特表2008-530346号公報【0086】、図2等参照。)。したがって、引用発明1を「輝度向上」作用を有するようにすることは、当業者にとって何ら格別の困難性はない。 b 相違点2について 液晶表示装置用バックライトのプリズムシートにおいて、屈折率を高めることや耐久性向上を目的としてジルコニア無機ナノ粒子を含ませることは、周知技術である(例えば、引用文献14【0031】、特表2008-530346号公報【0050】及び【0053】等参照。)。 そして、引用発明1は、引用文献1の【0001】に記載のように「液晶表示装置用バックライトのプリズムシート」に用いられるものであるところ、屈折率を高めること及び耐久性を向上させることは周知の課題であり、引用文献1も当然に有する課題であると認められる。そうすると、引用発明1において、当該課題を解決するためにジルコニア無機ナノ粒子をプリズム部に含ませるようにすることは、上記周知技術を心得た当業者にとって何ら困難性はない。また、ジルコニア無機ナノ粒子の量として「少なくとも25重量%」とすることは、必要とする屈折率や耐久性を考慮して当業者が適宜設計する事項にすぎない。 c 相違点3について 液晶表示装置用バックライトのプリズムシートにおいて、粘度を調整することや屈折率を高めることを目的として高屈折率の希釈剤を含ませることは、周知技術であり(例えば、引用文献14【0057】、特表2008-530346号公報【0030】及び【0038】、国際公開第2010/113600号[0002]及び[0027]等参照。)、そのような希釈剤として「3-フェノキシベンジルアクリレート」や「2-フェニルフェノキシエチルアクリレート」も周知である(特表2008-530346号公報【0039】、国際公開第2010/113600号[0027]等参照。)。 そして、引用発明1は、引用文献1の【0001】に記載のように「液晶表示装置用バックライトのプリズムシート」に用いられるものであるところ、粘度を調整することや屈折率を高めることは周知の課題であり、引用文献1も当然に有する課題であると認められる。そうすると、引用発明1において、当該課題を解決するために、高屈折率の希釈剤である「3-フェノキシベンジルアクリレート」や「2-フェニルフェノキシエチルアクリレート」をプリズム部に含ませるようにすることは、上記周知技術を心得た当業者にとって何ら困難性はない。 d 相違点4について 引用発明1は、引用文献1の【0031】に記載のように「傷付き難い」「光学シート」であり、引用文献1の【表2】(【0125】)から読み取れるように「耐傷付き性」の評価が高いものである。また、上記「b」に示したように、ジルコニア無機ナノ粒子を含ませることにより耐久性が向上することとなる。 そうすると、引用発明1において「ジルコニア無機ナノ粒子」を含有した「光学シート」は、「ボール落下損傷コントラストが0.25以下である」蓋然性が高いと認められる。 あるいは、引用発明1において、衝撃に対してプリズム部を損傷しないようにさせることは当然有する課題であり、当該課題を解決するために、「ジルコニア無機ナノ粒子」の含有量を適宜調整すること等により「ボール落下損傷コントラストが0.25以下である」ようにすることは当業者が適宜設計する事項にすぎないともいえる。 イ 引用文献14を主引用例とした場合 (ア)対比 本件補正発明と引用発明14を対比する。 a ジルコニア無機ナノ粒子 引用発明14の「表面改質ジルコニア粒子」は、その名称のとおり「ジルコニア」を含むものであり、また、「イットリウムを含み」、「平均一次粒度が30ナノメートル以下」であることから、無機材料からなっており、ナノ粒子である。 そうすると、引用発明14の「表面改質ジルコニア粒子」は、本件補正発明の「ジルコニア無機ナノ粒子」に相当する。 b 重合性組成物の反応生成物 引用発明14の「光学層」は、「(a)ポリマー材料」と「(b)複数の表面改質ジルコニア粒子」を含有している。また、一般にポリマーは、重合性モノマーが重合反応してなる反応生成物である。 そうしてみると、引用発明14の「(a)ポリマー材料」と「(b)複数の表面改質ジルコニア粒子」とからなるものは、本件補正発明の「重合性組成物の反応生成物」に相当する。 c ミクロ構造化表面 本件出願明細書の【0096】や【0119】の記載等から、本件補正発明の「ミクロ構造化表面」は、μmオーダーの突出部及びくぼみを有する表面を意味すると認められる。一方、引用文献14の【0020】や【0234】の記載等から、引用発明14の「微細構造化表面」についても、μmオーダーの突出部及びくぼみを有する表面を意味すると認められる。 そうしてみると、引用発明14の「微細」という用語と、本件補正発明の「ミクロ」という用語とは、実質的に同義であるといえ、引用発明14の「微細構造化表面」は、本件補正発明の「ミクロ構造化表面」に相当するといえる。 また、引用発明14の「光学層」の「微細構造化表面」も、「(a)ポリマー材料」と、「(b)複数の表面改質ジルコニア粒子」を含むものであるといえることから、引用発明14の「微細構造化表面」は、本件補正発明の「ミクロ構造化表面」と「ジルコニア無機ナノ粒子」「を含む重合性組成物の反応生成物を含み」という点で共通する。 d 輝度向上フィルム 引用発明14の「調光フィルム」は、「輝度向上フィルムである」ことから、本件補正発明の「輝度向上フィルム」に相当する。また、引用発明14の「調光フィルム」は、「微細構造化表面を有する光学層を含む」ことから、本件補正発明の「輝度向上フィルム」と「ミクロ構造化表面を有する」点で共通する。 (イ)一致点及び相違点 a 一致点 本件補正発明と引用発明14は、次の構成で一致する。 「 ミクロ構造化表面を有する輝度向上フィルムであって、前記ミクロ構造化表面が、 ジルコニア無機ナノ粒子、 を含む重合性組成物の反応生成物を含む、輝度向上フィルム。」 b 相違点 本件補正発明と引用発明14は、以下の点で相違する。 (相違点1) 「ジルコニア無機ナノ粒子」について、本件補正発明では「少なくとも25重量%」含むのに対して、引用発明14はそのような特定がない点。 (相違点2) 「重合性組成物の反応生成物」について、本件補正発明では「少なくとも3個の連続するアルキレンオキシド繰り返し単位を有する非芳香族多官能性(メタ)アクリレートモノマー」を含むのに対して、引用発明14はそのような特定がない点。 (相違点3) 「重合性組成物の反応生成物」について、本件補正発明では「3-フェノキシベンジルアクリレート、又は2-フェニルフェノキシエチルアクリレートから選択されるモノ(メタ)アクリレート希釈剤」を含むのに対して、引用発明14はそのような特定がない点。 (相違点4) 本件補正発明は、「ボール落下損傷コントラストが0.25以下である」のに対して、引用発明14ではそのような特定がない点。 (ウ)相違点についての判断 a 相違点1について 引用文献14の【0031】には、「ジルコニア粒子は、調光フィルムの屈折率を増加させることができる、調光フィルムの耐久性を増加させることができる、またはそれらの組み合わせを実現することができる」と記載され、引用文献14の【0054】には、「表面改質ジルコニア粒子」を「少なくとも25重量パーセント」含むことが記載されている。 そうしてみると、引用発明14において、「表面改質ジルコニアナノ粒子」の含有量を、屈折率や耐久性の観点から適宜調整して、少なくとも25重量%含むようにすることは当業者が適宜設計する事項にすぎない。 b 相違点2について 引用文献14の【0058】には、「ポリマー材料用のオリゴマー材料」として、「ウレタンアクリレートブレンド(たとえば、トリプロピレングリコールジアクリレートとブレンドされてサートマー(Sartomer)よりCN970A60およびCN973A80として市販されている)」を用いることが記載されている。ここで、トリプロピレングリコールジアクリレートは、以下の構造式で表されるものであり(例えば、国際公開第2011/118174号[0050]等参照。)、その構造式からみて、本件補正発明の「少なくとも3個の連続するアルキレンオキシド繰り返し単位を有する非芳香族多官能性(メタ)アクリレートモノマー」に相当する。 (トリプロピレングリコールジアクリレートの構造式) [図:0001382958000020.jpg] また、ポリエチレングリコールジアクリレート等のポリアルキレンオキシド単位を複数有するアクリルモノマーを構成成分とする樹脂は、一般に柔軟性や耐衝撃性に優れることは周知技術である(例えば、特開2011-186208号公報の【0057】、特開平7-125449号公報の【0015】及び【0016】、特開2011-207047号公報の【0041】、特開2003-147033号公報の【0011】、特表2009-541808号公報の【0104】、【0105】及び【0107】等参照。)。 そうしてみると、引用発明14において、「(a)ポリマー材料」を構成するモノマー成分として、「CN970A60」又は「CN973A80」を用いることは、柔軟性や耐衝撃性等を考慮して、当業者が適宜選択する事項にすぎない。 c 相違点3について 引用文献14には、重合性組成物の粘度を調整するために反応性希釈剤を加えることが記載されている(【0057】)。また、希釈剤として「3-フェノキシベンジルアクリレート」や「2-フェニルフェノキシエチルアクリレート」は周知であり(特表2008-530346号公報【0039】、国際公開第2010/113600号[0027]等参照。)、また、これらの化合物は「アクリレート」であることから反応性希釈剤であることは明らかである。 そうすると、引用発明14の「反応性希釈剤」として、これらの周知のものを選択することは、当業者が適宜選択する事項にすぎない。 d 相違点4について 引用文献14には、微細構造の先端が破壊されることの問題点が記載されており(【0006】)、ジルコニア粒子を含有させることで耐久性が向上することが記載されている(【0031】。)。また、上記bに示したように、ポリエチレングリコールジアクリレート等のポリアルキレンオキシド単位を複数有するアクリルモノマーを構成成分とする樹脂によって、一般に柔軟性や耐衝撃性に優れたものとなる。 そうすると、引用発明14において、少なくとも25重量%の「表面改質ジルコニア粒子」を含有し、「(a)ポリマー材料」を構成するモノマー成分として、「CN970A60」又は「CN973A80」を用いたものは、「ボール落下損傷コントラストが0.25以下である」蓋然性が高いと認められる。 あるいは、引用発明14において、衝撃に対してプリズム部を損傷しないようにさせることは当然有する課題であり、当該課題を解決するために、「ジルコニア無機ナノ粒子」の含有量を適宜調整等することにより「ボール落下損傷コントラストが0.25以下である」ようにすることは当業者が適宜設計する事項にすぎないともいえる。 (6)効果について 本件出願の明細書【0122】には、「実施例からわかるように、落下損傷コントラストは極度に低く、屈折率は高い。」との記載がある。 しかしながら、引用発明1は、引用文献1の【0010】に記載のように「優れた復元性を有し、かつ、傷付き難い凹凸形状を備えた」ものであり、また、上記(5)ア(ウ)c及びdに記載のように、屈折率を高めることや耐久性向上を目的としてジルコニア無機ナノ粒子を含ませることや屈折率を高めることを目的として高屈折率の希釈剤を含ませることは周知技術である。そうすると、上記本件出願の明細書【0122】に記載の効果は、引用発明1及び周知技術から当業者が予測できる範囲内のものにすぎない。 また、引用文献14には、微細構造の先端が破壊されることの問題点が記載されており(【0006】)、また、ジルコニア粒子を含有させることで、屈折率を増加させること及び耐久性が向上することが記載されている(【0031】。)。また、上記(5)イ(ウ)bに記載のように、ポリエチレングリコールジアクリレート等のポリアルキレンオキシド単位を複数有するアクリルモノマーを構成成分とする樹脂は、一般に柔軟性や耐衝撃性に優れることは周知技術である。そうすると、上記本件出願の明細書【0122】に記載の効果は、引用発明14及び周知技術から当業者が予測できる範囲内のものにすぎない。 (7)請求人の主張について 請求人は、令和3年4月22日付け手続補正書(方式)で補正された審判請求書において、 ア「アルキレンオキシド繰り返し単位を有する非芳香族多官能性(メタ)アクリレートモノマー(ii)を取り入れることにより、そしてそれとジルコニア無機ナノ粒子(i)とを組み合わせることにより、衝撃に起因する損傷コントラストを低減し、かつ高い屈折率を提供できるものです。」、 イ「「少なくとも25重量%のジルコニア無機ナノ粒子」と「3-フェノキシベンジルアクリレート、又は2-フェニルフェノキシエチルアクリレートから選択されるモノ(メタ)アクリレート希釈剤」との組み合わせによる、予想外の相乗効果を示しているものと考えます。」 と主張する。 しかしながら、上記アについて、「衝撃に起因する損傷コントラストを低減し、かつ高い屈折率を提供できる」ことについては、上記(6)に示したように格別の効果と認めることはできない。また、本件出願明細書からは、「アルキレンオキシド繰り返し単位を有する非芳香族多官能性(メタ)アクリレートモノマー」と「ジルコニア無機ナノ粒子」とを組み合わせることにより、それぞれが有する効果を超えて格別の相乗効果を有すると認めることもできない。 したがって、請求人の上記アについての主張を採用することはできない。 次に、上記イについて検討する。 本件出願明細書に記載される実施例では、「ジルコニア無機ナノ粒子」と「3-フェノキシベンジルアクリレート」又は「2-フェニルフェノキシエチルアクリレート」を含む希釈剤との組合せ(以下、「本願の組合せ」という。)の実施例しか記載されておらず、他の物質からなるナノ粒子や他の希釈剤と組み合わせた場合の比較もなされていないことから、本願の組合せにより相乗効果を有しているのか否かが明らかでない。また、本願の組合せにより、相乗効果を有するという点に関する技術的な説明もされておらず、相乗効果を有することが技術常識ということもできない。 また、本件出願明細書に記載される実施例を検討しても、ボール落下損傷コントラストについては、「3-フェノキシベンジルアクリレート」又は「2-フェニルフェノキシエチルアクリレート」を含んでいるか否かによって、格別の差異があるとは認められず、かえってこれらの希釈剤が含まれていない実施例19や実施例33は「0.00」となっていることを踏まえると、ボール落下損傷コントラストについて、本願の組合せによる格別の相乗効果を認めることはできない。 次に、屈折率については、これらの希釈剤が含まれる実施例の方が、含まない実施例よりも、概ね屈折率が高くなっていることが【表3】、【表4】より読み取ることができる。また、実施例35は、「3-フェノキシベンジルアクリレート」を希釈剤として含んでいるものの、屈折率が「1.560」となっているが、「ZrO2の重量%」が他の実施例より小さく「20.0%」となっているものである。そうすると、これらの実施例からは、同程度の量の「ジルコニア無機ナノ粒子」が含まれる場合には、「3-フェノキシベンジルアクリレート」又は「2-フェニルフェノキシエチルアクリレート」の希釈剤を含んでいた方が含まないものよりも屈折率が高いこと及び「3-フェノキシベンジルアクリレート」を含んでいても「ジルコニア無機ナノ粒子」の量が少ないと屈折率が低くなることがいえる。 しかしながら、「ジルコニア無機ナノ粒子」を含むことにより、屈折率が高くなることは、前記(5)ア(ウ)bに示したように周知の事項である。また、前記(5)ア(ウ)cに示したように、高屈折率の希釈剤を含ませることは周知の事項であり、本件出願明細書の実施例についても、「A」の成分に比べて、これらの希釈剤の方が、屈折率が高いものとなっている(例えば、特開2008-203573号公報【0064】に記載のように、脂肪族モノマーは屈折率が低いことは周知の事項であるし、また、「A」の成分の屈折率については、「SR259」が1.4639、「SR344」が1.4655、「SR268」が1.4621、「PPG400」が1.450、「SR9035」が1.4695である(「SR259」、「SR344」、「SR268」については、”巴工業株式会社、“2官能アクリレート”、[online]、[令和3年9月27日検索]、インターネット<URL:https://www.tomo-e.co.jp/upload/cProductsJA/25QU044-cProductsJA_content-011.pdf>”を、「PPG400」については、”東亞合成株式会社、“光硬化型樹脂”、[online]、2018年11月、[令和3年9月27日検索]、インターネット<URL:https://www.toagosei.co.jp/english/products/polymer/resin/pdf/index_pdf_03.pdf>”を、「SR9035」については、"巴工業株式会社、“3官能アクリレート”、[online]、[令和3年9月27日検索]、インターネット<URL:https://www.tomo-e.co.jp/upload/cProductsJA/25QU044-cProductsJA_content-012.pdf>"のウェブページに、それぞれの物性が記載されている。)。希釈剤の屈折率については、本件出願明細書の【0112】に記載されている。)。したがって、「ジルコニア無機ナノ粒子」を含むことにより屈折率は高くなり、また、「3-フェノキシベンジルアクリレート」又は「2-フェニルフェノキシエチルアクリレート」の希釈剤を含むことによっても屈折率が高くなるということができる。そして、これらのことを併せて本件出願明細書の実施例について検討すると、屈折率については、「ジルコニア無機ナノ粒子」を含むこと及び「3-フェノキシベンジルアクリレート」又は「2-フェニルフェノキシエチルアクリレート」の希釈剤を含むことのそれぞれが有する作用によるものであり、本願の組合せによって格別の相乗的な効果を奏するものと認めることはできない。 以上より、請求人の上記イについての主張を採用することはできない。 (8)小括 本件補正発明は、引用文献1に記載された発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。また、本件補正発明は、引用文献14に記載された発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 したがって、本件補正発明は、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができない。 4 補正の却下の決定のむすび 以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第5項に規定する要件に違反するものであり、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 また、仮に、本件補正が、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるとしても、本件補正は、同条第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 よって、前記[補正の却下の決定の結論]のとおり決定する。 第3 本願発明について 1 本願発明 以上のとおり、本件補正は却下されたので、本件出願の請求項に係る発明は、令和2年10月7日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1~8に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、前記「第2」[理由]1(1)に記載された事項によって特定されるとおりのものである。 2 原査定の拒絶の理由 原査定の拒絶の理由は、本願発明は、本件優先日前に日本国内又は外国において頒布された刊行物である引用文献1(特開2011-221492号公報)に記載された発明及び周知技術、又は、引用文献14(特表2008-533525号公報)に記載された発明及び周知技術に基づいて、本件優先日前に当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、という理由を含むものである。 3 引用文献の記載及び引用発明 引用文献1及び引用文献14の記載並びに引用発明1及び引用発明14は、前記「第2」[理由]3(1)~(4)に記載したとおりである。 4 対比及び判断 本願発明は、前記「第2」[理由]3で検討した本件補正発明から、「ジルコニア無機ナノ粒子」が含まれる量を「少なくとも25重量%」から「少なくとも20重量%」とし、また、「モノ(メタ)アクリレート希釈剤」について「2-フェニルフェノキシエチルアクリレート」の択一的な要素を除き、さらに「3-フェノキシベンジルアクリレート」を含む一般式として「【化1】」としたものである。そして、「ジルコニア無機ナノ粒子」が「少なくとも25重量%」含まれれば「少なくとも20重量%」含まれることは明らかであり、また、前記「第2」[理由]3において、本件補正発明のうち「3-フェノキシベンジルアクリレート」を選択した「モノ(メタ)アクリレート希釈剤」についても検討していることから、本願発明は、前記「第2」[理由]3で述べた理由のとおり、引用文献1に記載された発明及び周知技術、又は、引用文献14に記載された発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 第4 むすび 以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2021-003136

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