2020-000976
静電荷像現像用トナー
- 審判番号
- 2020-000976
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2016-039574外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2020年01月24日
- 審決日
- 2020年09月29日
- 公報発行日
- 2021年01月29日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】コニカミノルタ株式会社
- 【請求人代理人】特許業務法人光陽国際特許事務所
- 分類
- P18 .113-Z (G03G) / P18 .121-Z (G03G) / P18 .537-Z (G03G)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法36条6項2号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第36条第6項第2号、特許法第17条の2第5項第4号、特許法第17条の2、特許法第29条第1項第3号、特許法第29条第2項、特許法第17条の2第2号、特許法第17条の2第6項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
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結論
理由
目次 ▾ 12項目
1 手続の経緯
本願は平成28年3月2日の出願であって、令和元年8月20日付けで拒絶理由が通知され、同年10月23日に意見書の提出とともに手続補正がなされ、同年10月25日付けで拒絶査定(以下「原査定」という。)がされ、これに対し、令和2年1月24日に拒絶査定不服審判の請求と同時に手続補正(以下「本件補正」という。)がなされたものである。
2 本件補正
(1)補正事項
本件補正は、補正前の請求項1の
「 コア・シェル構造を有するトナー母体粒子を含有する静電荷像現像用トナーであって、前記トナー母体粒子が、少なくとも非晶性樹脂、着色剤、離型剤及び結晶性樹脂を含有するコア粒子と、前記コア粒子の表面を被覆率60~99%の範囲内で被覆するシェル層とを有し、前記シェル層が、非晶性樹脂を含有し、前記コア粒子と前記シェル層とに含有される非晶性樹脂が、それぞれ異なる種類の非晶性樹脂であり、該それぞれ異なる種類の非晶性樹脂とは、互いの樹脂中に異なる種類の樹脂成分が50質量%以上存在するものであり、前記シェル層に含有される非晶性樹脂が、前記コア粒子に含有される非晶性樹脂と同種の非晶性樹脂のセグメントが分子結合されているハイブリッド樹脂であり、前記トナー母体粒子の断面の直径が、前記トナー母体粒子の体積基準におけるメジアン径(D50%径)±10%の範囲内にある前記トナー母体粒子の断面を電子顕微鏡で観察し、20個の該トナー母体粒子のサンプルに対し、独立したシェル領域の数を数えたとき、その平均値が1~7個の範囲内であることを特徴とする静電荷像現像用トナー。」という記載を、
「 コア・シェル構造を有するトナー母体粒子を含有する静電荷像現像用トナーであって、前記トナー母体粒子が、少なくとも非晶性樹脂、着色剤、離型剤及び結晶性樹脂を含有するコア粒子と、前記コア粒子の表面を被覆率60~99%の範囲内で被覆するシェル層とを有し、前記シェル層が、非晶性樹脂を含有し、前記コア粒子と前記シェル層とに含有される非晶性樹脂が、それぞれ異なる種類の非晶性樹脂であり、該それぞれ異なる種類の非晶性樹脂とは、互いの樹脂中に共通の特徴的な化学結合を有しない樹脂成分が50質量%以上存在するものをいい、前記シェル層に含有される非晶性樹脂が、前記コア粒子に含有される非晶性樹脂と同種の非晶性樹脂のセグメントが分子結合されているハイブリッド樹脂であり、下記方法で前記トナー母体粒子の断面を電子顕微鏡で観察して得られた写真画像において、前記トナー母体粒子の断面の直径が、前記トナー母体粒子の体積基準におけるメジアン径(D50%径)±10%の範囲内にある前記トナー母体粒子の20個のサンプルに対し、独立したシェル領域の数を数えたとき、その平均値が1~7個の範囲内であることを特徴とする静電荷像現像用トナー。(前記トナー母体粒子の断面観察方法)トナー1~2mgをサンプル瓶に広げるように入れ、四酸化ルテニウム蒸気染色条件下で染色処理後、光硬化性樹脂中に分散させ、光硬化させてブロックを形成する。前記ブロックから、ダイヤモンド歯を備えたミクロトームを用いて、厚さ60~100nmの超薄片を切り出し、前記染色後24時間以内に電子顕微鏡で観察する。」(下線は補正箇所を示す。)に補正することを含むものである。
本件補正は、以下の補正事項を含むものである。
ア 補正事項1
本件補正前の請求項1における発明特定事項である「それぞれ異なる種類の非晶性樹脂」について、「異なる種類の樹脂成分が50質量%以上存在するもの」とされていたのを、「共通の特徴的な化学結合を有しない樹脂成分が50質量%以上存在するもの」(下線は補正により変更された箇所を示す。)とする補正事項(以下、「補正事項1」という。)。
イ 補正事項2
本件補正前の請求項1における発明特定事項である「独立したシェル領域の数」の「平均値」について、「トナー母体粒子の断面の直径が、前記トナー母体粒子の体積基準におけるメジアン径(D50%径)±10%の範囲内にある前記トナー母体粒子の断面を電子顕微鏡で観察し、20個の該トナー母体粒子のサンプルに対し、独立したシェル領域の数を数えたとき」としていたものを、「トナー母体粒子の断面を電子顕微鏡で観察して得られた写真画像において、前記トナー母体粒子の断面の直径が、前記トナー母体粒子の体積基準におけるメジアン径(D50%径)±10%の範囲内にある前記トナー母体粒子の20個のサンプルに対し、独立したシェル領域の数を数えたとき」であって、そのトナー母体粒子の断面観察方法が、「トナー1~2mgをサンプル瓶に広げるように入れ、四酸化ルテニウム蒸気染色条件下で染色処理後、光硬化性樹脂中に分散させ、光硬化させてブロックを形成する。前記ブロックから、ダイヤモンド歯を備えたミクロトームを用いて、厚さ60~100nmの超薄片を切り出し、前記染色後24時間以内に電子顕微鏡で観察する。」とする補正事項(以下、「補正事項2」という。)。
(2)補正の目的
ア 補正事項1について
補正事項1による補正は、「それぞれ異なる種類の非晶性樹脂」において、50質量%以上存在するとしていた「樹脂成分」について、「異なる種類」としていたのを「共通の特徴的な化学結合を有しない」と変更するものである。そして、本願明細書の「ここで、本発明では、樹脂種が異なるものを異なる種類の樹脂と定義し、単量体組成比が異なるもの、後述のスチレン-アクリル変性ポリエステル樹脂などの変性の有無のみの違いは異なる種類の樹脂とは呼ばない。」(段落【0055】)及び「ここで、「同種の樹脂」とは、繰り返し単位中に特徴的な化学結合が共通に含まれていることを意味する。」(段落【0110】)との記載に基づけば、補正事項1による補正は、「異なる種類の樹脂成分」の定義を、段落【0110】の記載に基づいて明りょうなものとするものであるといえる。そして、補正事項1による補正は、原査定で通知された拒絶理由の「理由4(特許法第36条第6項第2号)」に示された事項に対応してなされたものである。
また、補正事項1によって、発明特定事項である「それぞれ異なる種類の非晶性樹脂」において、本件補正前に包含されていた一部の樹脂が、本件補正後に包含されなくなったということはできないから、補正事項1による補正は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものではない。
イ 補正事項2について
補正事項2による補正は、「独立したシェル領域の数」について、それを観察する条件を明らかにするものといえる。そうすると、補正事項2による補正は、「独立したシェル領域の数」の「平均値」について、その観測条件を明りょうなものとするものであるといえる。そして、補正事項2による補正は、原査定で通知された拒絶理由の「理由4(特許法第36条第6項第2号)」に示された事項に対応してなされたものである。
また、補正事項2による補正は、「独立したシェル領域の数」の「平均値」の範囲について限定を付加するものではないから、補正事項2による補正は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものでない。
ウ 小括
以上のとおりであるから、本件補正は、特許法第17条の2第5項第4号に掲げる、明りょうでない記載の釈明を目的とするものである。
3 本件発明
本件補正は、前記2に記載したとおり、特許法第17条の2の規定を満たすものである。そうすると、本願の請求項1~9に係る発明は、本件補正により補正された特許請求の範囲の請求項1~9に記載された事項により特定されるとおりの発明であるところ、その請求項1に係る発明(以下「本件発明」という。)は、前記2(1)に記載したとおりのものである。
4 原査定の拒絶理由
原査定において通知された拒絶理由は、概略、次のとおりである。
(1)新規性
本願の請求項1~9に係る発明は、その出願前に電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献3に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。
(2)進歩性
本願の請求項1~9に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物である引用文献1又は引用文献2に記載された発明、又は、電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献3に記載された発明に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
(3)明確性
本願の請求項1の「異なる種類の樹脂」の異なる程度が不明である。また、本願の請求項1の「トナー母体粒子の断面を電子顕微鏡で観察したときに存在する独立したシェル領域が、1~7個の範囲内である」との記載では、シェル層の如何なる状態を表現しようとしているのかが不明瞭である。したがって、本願は、特許請求の範囲の記載が、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。
5 当審の判断
事案に鑑みて、(3)明確性について検討する。
(1)本件発明は、コア粒子とシェル層とに含有される「非晶性樹脂」について、「それぞれ異なる種類の非晶性樹脂」としており、「それぞれ異なる種類の非晶性樹脂」が「互いの樹脂中に共通の特徴的な化学結合を有しない樹脂成分が50質量%以上存在するもの」であるとしている。また、本件発明は、コア粒子とシェル層とに含有される「非晶性樹脂」について、「前記シェル層に含有される非晶性樹脂が、前記コア粒子に含有される非晶性樹脂と同種の非晶性樹脂のセグメントが分子結合されているハイブリッド樹脂」であるとしている。
シェル層に含有される「非晶性樹脂」は、「ハイブリッド樹脂」であって、「前記コア粒子に含有される非晶性樹脂と同種の非晶性樹脂のセグメントが分子結合されている」ものである。そうすると、シェル層に含有される「非晶性樹脂」は、その分子構造内に、コア粒子に含有される「非晶性樹脂」と同種の「化学結合」を有するものと理解できる。
そこで、コア粒子に含有される「非晶性樹脂」と、コア粒子に含有される「非晶性樹脂」と同種の「化学結合」を分子構造内に有するシェル層の「ハイブリッド樹脂」とが、「それぞれ異なる種類の非晶性樹脂」であるとされる本件発明において、「異なる種類の非晶性樹脂」とする事項が明確であるかについて検討する。
(2)本願の明細書には、ハイブリッド樹脂について、「本発明においては、前記シェル層に含有される非晶性樹脂が、前記コア粒子に含有される非晶性樹脂と同種の非晶性樹脂のセグメントとが分子結合されているハイブリッド樹脂であることが、コア粒子を構成する主な樹脂との相溶性(親和性)を良好にし、定着後の画像の強度をより良好にすることができるため好ましい。」(段落【0026】)と記載されており、技術的にみて、ハイブリッド樹脂が、それぞれの「セグメント」を分子結合してなる樹脂であることは明らかである。
また、本願の明細書には、同種の樹脂について、「ここで、「同種の樹脂」とは、繰り返し単位中に特徴的な化学結合が共通に含まれていることを意味する。」(段落【0110】)、「樹脂が共重合体である場合における「同種の樹脂」とは、共重合体を構成する複数の単量体種の化学構造において、上記特徴的な化学結合を有する単量体種を構成単位としている場合、特徴的な化学結合を共通に有する樹脂同士を指す。したがって、樹脂自体の示す特性が互いに異なる場合や、共重合体中を構成する単量体種のモル成分比が互いに異なる場合であっても、特徴的な化学結合を共通に有していれば同種の樹脂とみなす。」(段落【0111】)及び「例えば、スチレン、ブチルアクリレート及びアクリル酸によって形成される樹脂(又は樹脂セグメント)と、スチレン、ブチルアクリレート及びメタクリル酸によって形成される樹脂(又は樹脂セグメント)とは、少なくともポリアクリルを構成する化学結合を有しているため、これらは同種の樹脂である。」(段落【0112】)と記載されている。これらの記載に基づけば、特徴的な化学結合を共通に有するセグメントを有する樹脂は、「同種の樹脂」とされるものであるから、コア粒子に含有される「非晶性樹脂」と同種の「化学結合」を分子構造内に有するシェル層の「ハイブリッド樹脂」は、本件発明でいうところの「同種の樹脂」であり、「異なる種類の非晶性樹脂」ということができない。
さらに、本願の明細書には、異なる種類の樹脂について、「ここで、本発明では、樹脂種が異なるものを異なる種類の樹脂と定義し、単量体組成比が異なるもの、後述のスチレン-アクリル変性ポリエステル樹脂などの変性の有無のみの違いは異なる種類の樹脂とは呼ばない。」(段落【0055】)と記載されているが、当該記載からも、コア粒子に含有される「非晶性樹脂」と同種の「化学結合」を分子構造内に有するシェル層の「ハイブリッド樹脂」を、「異なる種類の非晶性樹脂」ということができない。
そうすると、本件発明は、シェル層に含有される「非晶性樹脂」について、コア粒子に含有される非晶性樹脂と「異なる種類の非晶性樹脂」とする一方で、「前記シェル層に含有される非晶性樹脂」を「異なる種類の非晶性樹脂」ということのできない「ハイブリッド樹脂」であるという、両立し得ない限定が付された発明というほかない。
そうしてみると、本件補正後の請求項1においても、「異なる種類の非晶性樹脂」との記載が明確であるということはできない。
(3)ところで、本願の明細書には、「また、コア粒子若しくはシェル層を構成する樹脂中に異なる種類の樹脂成分が50%以上存在する場合は異なる種類の樹脂を含有するコア・シェル型トナーとみなす。」(段落【0055】)とも記載されている。しかし、本願の明細書には、「本発明においては、シェル層に含有されるスチレン-アクリル変性ポリエステル樹脂におけるスチレン-アクリル重合体セグメントの含有割合(以下、「スチレン-アクリル変性量」ともいう。)が5~30質量%の範囲内であることが好ましく、特に、5~20質量%の範囲内であることが好ましい。」(段落【0058】)及び「また、シェル層におけるスチレン-アクリル変性ポリエステル樹脂の含有割合は、シェルを構成する樹脂100質量%中において70~100質量%であることが好ましく、90~100質量%であることがさらに好ましい。」(段落【0060】)とも記載されており、「セグメントの含有割合」と「樹脂の含有割合」は、本願の明細書においては明確に区別して記載されている。したがって、上記段落【0055】における「樹脂成分が50%以上存在する場合」の「50%以上」を、セグメントあるいはモノマーの含有割合であると解釈し、本件発明の「シェル層に含有される非晶性樹脂」が「ハイブリッド樹脂」であると同時に、「コア粒子と前記シェル層とに含有される非晶性樹脂」が「互いの樹脂中に共通の特徴的な化学結合を有しない樹脂成分が50質量%以上存在する」との要件を満たすと理解することはできない。
なお、上記段落【0060】の記載に基づけば、本願の明細書には、シェル層における樹脂が、樹脂100質量%中において、0~30質量%の「スチレン-アクリル変性ポリエステル樹脂」以外の樹脂を含有する態様が記載されていたと理解できるとしても、本件発明は「前記シェル層に含有される非晶性樹脂が、前記コア粒子に含有される非晶性樹脂と同種の非晶性樹脂のセグメントが分子結合されているハイブリッド樹脂」であると特定されている。本件発明における上記特定を、「シェル層に含有される非晶性樹脂」のうちの50%未満の樹脂のみが「ハイブリッド樹脂」であることを特定していると理解することには無理がある。
(4)以上より、「前記シェル層に含有される非晶性樹脂が、前記コア粒子に含有される非晶性樹脂と同種の非晶性樹脂のセグメントが分子結合されているハイブリッド樹脂」であるとすると、そのような「ハイブリッド樹脂」とされる「前記シェル層に含有される非晶性樹脂」は、コア粒子に含有される非晶性樹脂と「異なる種類の非晶性樹脂」ということはできない。そうすると、「それぞれ異なる種類の非晶性樹脂」が「互いの樹脂中に共通の特徴的な化学結合を有しない樹脂成分が50質量%以上存在するもの」であると定義されたとしても、本件発明におけるコア粒子と前記シェル層とに含有される「非晶性樹脂」について、「それぞれ異なる種類の非晶性樹脂」であることが、それぞれどのような「非晶性樹脂」を特定しようとしているのかは、依然として明確に理解することができない。
(5)審判請求人は、審判請求書の請求の理由の「6.1.1 「異なる種類の樹脂」について」において、補正により「シェル層が含有する非晶性樹脂においては、コア粒子が含有する非晶性樹脂と共通の特徴的な化学結合を有する樹脂成分の含有量が50質量%以下である」と定義され、「「コア粒子に含まれる非晶性樹脂」と「シェルに含まれる非晶性樹脂」が、互いに「異なる程度」が明瞭になった」と主張している。
しかしながら、本件発明は、前記(1)に記載したとおり、「前記シェル層に含有される非晶性樹脂」について、「前記コア粒子に含有される非晶性樹脂と同種の非晶性樹脂のセグメントが分子結合されているハイブリッド樹脂」であるとも特定している。そして、前記(2)に記載したとおり、本願の明細書の記載を参酌すると、シェル層の「ハイブリッド樹脂」は、「同種の樹脂」であって、「異なる種類の非晶性樹脂」ということができないものである。そうすると、前記(4)に記載したとおり、本件発明における「それぞれ異なる種類の非晶性樹脂」がどのような「非晶性樹脂」であるのかを明確に理解することができない。
また、「前記コア粒子と前記シェル層とに含有される非晶性樹脂」が、「互いの樹脂中に共通の特徴的な化学結合を有しない樹脂成分」の混合物であったとしても、本件発明は、「前記シェル層に含有される非晶性樹脂が、前記コア粒子に含有される非晶性樹脂と同種の非晶性樹脂のセグメントが分子結合されているハイブリッド樹脂」と特定されている。その文言どおり解釈すれば、「前記コア粒子と前記シェル層とに含有される非晶性樹脂」がそれぞれ混合物であったとしても、「互いの樹脂中に共通の特徴的な化学結合を有しない樹脂成分が50質量%以上存在する」ような状態は想定できない。なお、仮に請求項の記載から、「ハイブリッド樹脂」であるのが、シェル層に含有される非晶性樹脂の一部であるような態様が想定し得たとしても、本願の明細書の段落【0060】や各実施例の記載からみて、「シェル層に含有される非晶性樹脂」のうちの50%未満の樹脂のみ「ハイブリッド樹脂」とするような態様は、記載も示唆もされていない。
以上のとおりであるから、請求人の主張は採用できない。
6 補足
上記2(2)で検討したとおり、本件補正は、特許法第17条の2第5項第4号に掲げる、明りょうでない記載の釈明を目的とするものであるが、仮に特許法第17条の2第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるとしても、本件発明が明確でないことに変わりはない。
そうすると、本願は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていないから、本件発明は、特許出願の際独立して特許を受けることができないものであり、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法126条第7項の規定に違反するので、同法159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
そして、本件補正が却下された後(令和元年10月23日付け手続補正後)の特許請求の範囲の請求項1に係る発明も、本件発明と同様の理由により、明確とはいえないから、本願は、特許請求の範囲の記載が特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。
7 むすび
以上のとおり、本願の請求項1に係る発明は明確でないから、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。
したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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2020-000976