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特許拒絶査定不服審判

2024-015046

低ノイズコンデンサ

審判番号
2024-015046
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2022-173205
請求日
2024年09月20日
審決日
2026年03月23日
公報発行日
2026年08月28日
結論
請求不成立
当事者
  • 【請求人】キョーセラ・エイブイエックス・コンポーネンツ・コーポレーション
  • 【請求人代理人】山本 修
  • 【請求人代理人】宮前 徹
  • 【請求人代理人】松尾 淳一
  • 【請求人代理人】末松 亮太
審判長/審判官
  • 審判長 井上 信一
  • 審判官 久々宇 篤志
  • 審判官 ▲吉▼澤 雅博
分類
P18 .121-WZ (H01G) / P18 .537-WZ (H01G) / P18 .561-WZ (H01G)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第36条第6項第2号、特許法第29条第2項、特許法第17条の2第3項
データ出所
審決公報(XML)

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特願2022-173205「低ノイズコンデンサ」拒絶査定不服審判事件〔令和 4年12月27日出願公開、特開2022-191523〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 第1 手続の経緯 本願は、平成27年6月10日(パリ条約による優先権主張 平成26年6月11日(US)アメリカ合衆国、平成27年6月8日(US)アメリカ合衆国)に特許出願した特願2015-117533号の一部を、令和2年6月26日に新たな特許出願とした特願2020-110612号の一部を、令和4年10月28日に新たな出願としたものであって、その後の手続の概要は、以下のとおりである。 令和 5年12月 8日付け:拒絶理由通知 6年 3月13日提出:意見書及び手続補正書 同年 5月21日付け:拒絶査定 同年 9月20日提出:審判請求書及び手続補正書 令和 7年 6月18日付け:拒絶理由通知(当審) 同年11月19日提出:意見書及び手続補正書 第2 令和7年11月19日にされた手続補正についての補正却下の決定 [補正の却下の決定の結論] 令和7年11月19日にされた手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。 [理由] 1 補正の内容 本件補正は、特許請求の範囲について補正するものであって、本件補正前の特許請求の範囲の請求項1ないし8の記載を、本件補正後の特許請求の範囲の請求項1ないし7の記載に補正するものである。 (1)本件補正前の特許請求の範囲 本件補正前の特許請求の範囲の請求項1-8は、令和6年9月20日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし8に記載された、次のとおりのものである。 「【請求項1】 表面実装可能な比較的低ノイズの積層セラミックコンデンサ(MLCC)のコンデンサアセンブリであって、 積層された配列内に対向するコンデンサプレートのそれぞれの対を形成するように、複数のセラミック層と交互配置されたそれぞれ第1の極性および第2の極性である複数の導電層を有する本体と、 前記本体の両端部における、前記第1の極性の導電層および前記第2の極性の導電層にそれぞれ電気的に接続されたそれぞれの第1の極性の終端部および第2の極性の終端部を含み、 前記終端部が、前記本体の両端部のそれぞれに隣接するフラッシュ層と、前記フラッシュ層の上方(over)に配置されるコンプライアント層を含み、 前記コンプライアント層が、ポリマーを含み、 前記フラッシュ層が、前記コンプライアント層に比してより薄く、 前記コンプライアント層が、振動を減衰させ、電気機械的ノイズを低減させて、前記コンデンサアセンブリが約0.44Pa・Hzより小さい性能指数を有するように構成され、 前記コンプライアント層が、5GPa未満の弾性率を有する、 コンデンサアセンブリ。 【請求項2】 表面実装可能な積層セラミックコンデンサ(MLCC)のコンデンサアセンブリに関連付けられた電気機械的ノイズを比較的低減させるための方法であって、 積層された配列内に対向するコンデンサプレートのそれぞれの対を形成するように、複数のセラミック層と交互配置されたそれぞれの第1の極性および第2の極性の複数の導電層を有する本体を設けるステップと、 前記本体の両端部における、前記第1の極性の導電層および前記第2の極性の導電層にそれぞれ電気的に接続された第1の極性の終端部および第2の極性の終端部をそれぞれ形成するステップと、 を含み、 前記終端部が、前記本体の両端部のそれぞれに隣接するフラッシュ層と、前記フラッシュ層の上方(over)に配置されるコンプライアント層を含み、 前記コンプライアント層が、ポリマーを含み、 前記フラッシュ層が、前記コンプライアント層に比してより薄く、 前記コンプライアント層が、振動を減衰させ、電気機械的ノイズを低減させて、前記コンデンサアセンブリが約0.44Pa・Hzより小さい性能指数を有するように構成され、 前記コンプライアント層が、5GPa未満の弾性率を有する、 方法。 【請求項3】 前記終端部は、前記コンプライアント層の上方に配置されたメッキ層をさらに備える、請求項1記載のコンデンサアセンブリ。 【請求項4】 前記メッキ層は、ニッケルおよびスズを含む、請求項3記載のコンデンサアセンブリ。 【請求項5】 前記フラッシュ層が銅を含み、前記コンプライアント層が、銀充填されたポリマーを含む、請求項1記載のコンデンサアセンブリ。 【請求項6】 前記コンデンサアセンブリが、基板の表面上に裁置されるように構成される、請求項1記載のコンデンサアセンブリ。 【請求項7】 表面実装可能な比較的低ノイズの積層セラミックコンデンサ(MLCC)のコンデンサアセンブリであって、 積層された配列内に対向するコンデンサプレートのそれぞれの対を形成するように、複数のセラミック層と交互配置されたそれぞれ第1の極性および第2の極性である複数の導電層を有する本体と、 前記本体の両端部における、前記第1の極性の導電層および前記第2の極性の導電層にそれぞれ電気的に接続されたそれぞれの第1の極性の終端部および第2の極性の終端部と、 1つ又は複数の振動減衰部材であって、前記1つ又は複数の振動減衰部材の、少なくとも一部が、裁置表面に付着されるように構成される振動減衰部材と、 を備え、 前記1つ又は複数の振動減衰部材が、振動を減衰させ、電気機械的ノイズを低減させて、前記コンデンサアセンブリが、約0.44Pa・Hzより小さい性能指数を有するように構成され、 前記1つ又は複数の振動減衰部材が、前記第1のおよび第2の極性の終端部の各々と共に含まれるコンプライアント層を含み、 前記コンプライアント層が、5GPa未満の弾性率を有する、 コンデンサアセンブリ。 【請求項8】 表面実装可能な比較的低ノイズの積層セラミックコンデンサ(MLCC)のコンデンサアセンブリであって、 積層された配列内に対向するコンデンサプレートのそれぞれの対を形成するように、複数のセラミック層と交互配置されたそれぞれ第1の極性および第2の極性である複数の導電層を有する本体と、 前記本体の両端部における、前記第1の極性の導電層および前記第2の極性の導電層にそれぞれ電気的に接続されたそれぞれの第1の極性の終端部および第2の極性の終端部と、 を備え、 前記終端部が、前記コンデンサアセンブリと、前記コンデンサアセンブリが表面の上に裁置される当該表面との間の振動を比較的減衰させるためのコンプライアント層と、を含み、当該表面が、電気機械的ノイズを比較的低減させるためのものであり、前記コンデンサアセンブリが、約0.44Pa・Hzより小さい性能指数を有し、 前記コンプライアント層が、5GPa未満の弾性率を有する、 コンデンサアセンブリ。」 (2)本件補正後の特許請求の範囲 本件補正後の特許請求の範囲の請求項1ないし7は、次のとおりのものである(下線は補正箇所である。)。 「【請求項1】 表面実装可能な比較的低ノイズの積層セラミックコンデンサ(MLCC)のコンデンサアセンブリであって、 積層された配列内に対向するコンデンサプレートのそれぞれの対を形成するように、複数のセラミック層と交互配置されたそれぞれ第1の極性および第2の極性である複数の導電層を有する本体と、 前記本体の両端部における、前記第1の極性の導電層および前記第2の極性の導電層にそれぞれ電気的に接続されたそれぞれの第1の極性の終端部および第2の極性の終端部を含み、 前記終端部が、前記本体の両端部のそれぞれに隣接するフラッシュめっき層と、前記フラッシュめっき層を覆うように配置されるコンプライアント層を含み、前記終端部が前記コンプライアント層を覆うように配置されるめっき層をさらに含み、該めっき層が前記コンプライアント層および前記本体の両方に接触し、 前記コンプライアント層が、ポリマーを含み、 前記フラッシュめっき層が、前記コンプライアント層に比してより薄く、 前記コンプライアント層が、振動を減衰させ、電気機械的ノイズを低減させるように構成され、 前記コンプライアント層が、5GPa未満の弾性率を有する、 コンデンサアセンブリ。 【請求項2】 表面実装可能な積層セラミックコンデンサ(MLCC)のコンデンサアセンブリに関連付けられた電気機械的ノイズを比較的低減させるための方法であって、 積層された配列内に対向するコンデンサプレートのそれぞれの対を形成するように、複数のセラミック層と交互配置されたそれぞれの第1の極性および第2の極性の複数の導電層を有する本体を設けるステップと、 前記本体の両端部における、前記第1の極性の導電層および前記第2の極性の導電層にそれぞれ電気的に接続された第1の極性の終端部および第2の極性の終端部をそれぞれ形成するステップと、 を含み、 前記終端部が、前記本体の両端部のそれぞれに隣接するフラッシュめっき層と、前記フラッシュめっき層を覆うように配置されるコンプライアント層を含み、前記終端部が前記コンプライアント層を覆うように配置されるめっき層をさらに含み、該めっき層が前記コンプライアント層および前記本体の両方に接触し、 前記コンプライアント層が、ポリマーを含み、 前記フラッシュめっき層が、前記コンプライアント層に比してより薄く、 前記コンプライアント層が、振動を減衰させ、電気機械的ノイズを低減させるように構成され、 前記コンプライアント層が、5GPa未満の弾性率を有する、 方法。 【請求項3】 前記めっき層は、ニッケルおよびスズを含む、請求項1記載のコンデンサアセンブリ。 【請求項4】 前記フラッシュめっき層が銅を含み、前記コンプライアント層が、銀充填されたポリマーを含む、請求項1記載のコンデンサアセンブリ。 【請求項5】 前記コンデンサアセンブリが、基板の表面上に裁置されるように構成される、請求項1記載のコンデンサアセンブリ。 【請求項6】 表面実装可能な比較的低ノイズの積層セラミックコンデンサ(MLCC)のコンデンサアセンブリであって、 積層された配列内に対向するコンデンサプレートのそれぞれの対を形成するように、複数のセラミック層と交互配置されたそれぞれ第1の極性および第2の極性である複数の導電層を有する本体であって、 第1の外表面および該第1の外表面に対向する第2の外表面を含み、 前記第1の外表面および前記第2の外表面のそれぞれが、前記複数の導電層に平行に延び、 前記本体が第1の端面、および該第1の端面と対向する第2の端面をさらに含み、 前記第1の端面および前記第2の端面が、前記第1の外表面および前記第2の外表面の間でこれらに垂直に延びる、 本体と、 前記本体の両端部における、前記第1の極性の導電層および前記第2の極性の導電層にそれぞれ電気的に接続されたそれぞれの第1の極性の終端部および第2の極性の終端部と、 1つ又は複数の振動減衰部材であって、前記1つ又は複数の振動減衰部材の、少なくとも一部が、裁置表面に付着されるように構成される振動減衰部材と、 を備え、 前記1つ又は複数の振動減衰部材が、振動を減衰させ、電気機械的ノイズを低減させるように構成され、 前記1つ又は複数の振動減衰部材が、前記第1のおよび第2の極性の終端部の各々と共に含まれるコンプライアント層であって、前記本体の第1の端面を覆うように延びる第1のコンプライアント層と、前記本体の第2の端面を覆うように延びる第2のコンプライアント層を含み、前記第1のコンプライアント層および前記第2のコンプライアント層の何れもが、前記本体の第1の外表面または前記第2の外表面を覆うようには延びない、コンプライアント層を含み、 前記コンプライアント層が、5GPa未満の弾性率を有する、 コンデンサアセンブリ。 【請求項7】 表面実装可能な比較的低ノイズの積層セラミックコンデンサ(MLCC)のコンデンサアセンブリであって、 積層された配列内に対向するコンデンサプレートのそれぞれの対を形成するように、複数のセラミック層と交互配置されたそれぞれ第1の極性および第2の極性である複数の導電層を有する本体と、 前記本体の両端部における、前記第1の極性の導電層および前記第2の極性の導電層にそれぞれ電気的に接続されたそれぞれの第1の極性の終端部および第2の極性の終端部と、 を備え、 前記終端部が、前記コンデンサアセンブリと、前記コンデンサアセンブリが表面の上に裁置される当該表面との間の振動を比較的減衰させるためのコンプライアント層と、を含み、当該表面が、電気機械的ノイズを比較的低減させるためのものであり、 前記コンプライアント層がフラッシュめっき層を覆うように配置され、また、めっき層が前記コンプライアント層を覆うように配置され、前記コンプライアント層が前記本体に接触しないように、前記フラッシュめっき層が前記コンプライアント層および前記本体の間に配置され、 前記コンプライアント層が、5GPa未満の弾性率を有する、 コンデンサアセンブリ。」 2 本件補正の適否 事案に鑑み、本件補正後の請求項6に係る補正事項について検討する。 (1)本件補正後の請求項6について 本件補正後の請求項6に係る発明は、本件補正前の請求項7に係る発明に、 「第1の外表面および該第1の外表面に対向する第2の外表面を含み、 前記第1の外表面および前記第2の外表面のそれぞれが、前記複数の導電層に平行に延び、 前記本体が第1の端面、および該第1の端面と対向する第2の端面をさらに含み、 前記第1の端面および前記第2の端面が、前記第1の外表面および前記第2の外表面の間でこれらに垂直に延びる、 本体」との構成、及び「前記本体の第1の端面を覆うように延びる第1のコンプライアント層と、前記本体の第2の端面を覆うように延びる第2のコンプライアント層を含み、前記第1のコンプライアント層および前記第2のコンプライアント層の何れもが、前記本体の第1の外表面または前記第2の外表面を覆うようには延びない、コンプライアント層」との構成(以下、「構成A」という。)を追加し、また、「前記コンデンサアセンブリが、約0.44Pa・Hzより小さい性能指数を有する」との構成を削除するものである。 本件補正について、審判請求人は、令和7年11月19日に提出した意見書において、「(3) 上記請求項1の補正事項は、補正前の請求項3、当初明細書の段落0078、0079および当初図面の図5Bの記載に基づいている。また、補正後の請求項1では、補正前の「前記コンデンサアセンブリが約0.44Pa・Hzより小さい性能指数を有する」との記載を削除している。補正後の請求項2、6、7についても同様である。」と述べている。 また、上記意見書において審判請求人は、「図5Aでは、Cu「フラッシュ」(本願発明1の「フラッシュめっき」の一例)およびAgポリマー(同「コンプライアント層」の一例)が本体の端部に限って配置されており、その一方で、Ni-Snめっき(同「めっき層」の一例)がAgポリマーを覆い、本体の外表面まで回り込むように構成されている。」と主張している。 (2)判断 本件補正により請求項6に追加された、上記「構成A」について検討する。 まず、上記意見書で審判請求人が述べている本願の当初明細書等の段落【0078】には、「従来技術の図2Dの厚膜銅終端部と対照的に、本開示された図5Aの例示的実施形態は、比較的薄いCu層(または「フラッシュ」)上にAg-ポリマーを有する。そのようなよりコンプライアントなポリマー終端部は「クッション」の役割をし、コンデンサデバイスとPCBの間の振動の結合を減衰させる。」との記載があり、段落【0079】や図5Bには、「コンプライアント終端部の本開示された実施形態は、従来技術実施形態に対して大幅なノイズ低減を有する」との試験結果が示されているが、いずれにも、「コンプライアント層」や、コンプライアント層の一例である「Ag-ポリマー」が、「本体」のどの領域まで延びているのか記載も示唆もされていない。 ここで、本件補正後の請求項6に係る発明の「端面」及び「外表面」について、いずれも本願の当初明細書等に明記されていないものの、本件補正後の請求項6の「第1の外表面および前記第2の外表面のそれぞれが、前記複数の導電層に平行に延び」、「第1の端面および前記第2の端面が、前記第1の外表面および前記第2の外表面の間でこれらに垂直に延びる」及び「本体の両端部における、前記第1の極性の導電層および前記第2の極性の導電層にそれぞれ電気的に接続されたそれぞれの第1の極性の終端部および第2の極性の終端部」との記載や、本願の当初明細書等の段落【0078】の記載や図5A等を踏まえると、「端面」とは、以下に示す図5Aにおいて、本体の左右の表面、「外表面」とは、図5Aにおいて本体の上下の表面を示すものと認められる。 「図5A [図:0001437825000001.jpg] 」 この点を踏まえて図5Aを見ると、図5Aには、図面の横方向から本体の「端面」に接触するCu「フラッシュ」が存在する領域(図面中央の本体領域に比して薄い着色の矩形状の領域)、Agポリマーが存在する領域、さらにその外側に、Ni-Snめっきが存在する領域(Agポリマーが存在する領域に比して濃い着色で示される領域)が図示されているものと認められる。そして、Agポリマーが存在する領域は、Cu「フラッシュ」が存在する「端面」のみならず、本体の上下の表面である「外表面」にも延びて存在するように図示されていることが見てとれる。 すると、図5Aにおいて、コンプライアント層の一例である「Ag-ポリマー」は、本体の外表面の少なくとも一部を覆うように延びていることが図示されていると解されるから、図5Aからも、上記「構成A」の「前記第1のコンプライアント層および前記第2のコンプライアント層の何れもが、前記本体の第1の外表面または前記第2の外表面を覆うようには延びない」ことが記載されているとは認められない。したがって、上記意見書における審判請求人の、「図5Aでは、Cu「フラッシュ」(本願発明1の「フラッシュめっき」の一例)およびAgポリマー(同「コンプライアント層」の一例)が本体の端部に限って配置されており、その一方で、Ni-Snめっき(同「めっき層」の一例)がAgポリマーを覆い、本体の外表面まで回り込むように構成されている。」との主張も採用することはできない。 また、「コンプライアント層」に関して、本願の当初明細書等の上記段落以外において、「いくつかの実施形態では、コンプライアント層がコンプライアントポリマーの層を含んでよい。種々の実施形態では、コンプライアントポリマーが、おおむね導電性のポリマー、または銀-ポリマー層である導電性ポリマー、または銀、銅もしくはニッケル充填されたポリマーのうちの1つであるポリマーを含んでよい。」(段落【0030】)、「実施形態の種々の代替形態では、終端部が比較的薄いフラッシュ層(flashing layer)上に銀ポリマーを含んでよく、および/またはフラッシュ層が銅層を含んでよく、さらにあるいは、終端部が、比較的薄い銅フラッシュ層上の銀ポリマーを、銀ポリマー層上のめっきの層とともに含んでもよい。いくつかの代替形態では、めっきの層がニッケル-スズめっきを含んでよい。」(段落【0032】)、「例示的方法論のいくつかの代替形態では、コンプライアント層は、コンプライアントポリマーの層を含んでよい。他の代替形態において、コンプライアントポリマーが、銀、銅、もしくはニッケル充填されたポリマーのうちの1つを含むおおむね導電性のポリマーを含んでよい。」(段落【0034】)等の記載もあるが、いずれにも、「コンプライアント層」や、コンプライアント層の一例である「Ag-ポリマー」が、「本体」のどの領域まで延びているのか、記載や示唆がされているものとは認められない。 なお、上記「構成A」の「前記第1のコンプライアント層および前記第2のコンプライアント層の何れもが、前記本体の第1の外表面または前記第2の外表面を覆うようには延びない」ことが本願出願前の技術常識であるとも認められない。 以上を踏まえると、上記「構成A」は、本願の当初明細書等に記載されたものではなく、また当初明細書等の記載から自明の事項であるともいえない。 そうすると、本件補正後の請求項6に係る補正事項は、当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術事項を導入しないものであるとはいえないから、当初明細書等に記載した事項の範囲においてするものとはいえず、特許法第17条の2第3項の規定する要件を満たしていない。 3 むすび 以上のとおり、本件補正後の請求項6に係る補正事項は、特許法第17条の2第3項に規定する要件に違反するものであるから、その余について検討するまでもなく、本件補正は、同法第159条第1項で読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。 よって、上記結論のとおり決定する。 第3 本願発明について 1 本願発明 本件補正は、前記第2のとおり却下されたので、本願の請求項に係る発明は、本件補正前の、令和6年9月20日提出の手続補正書で補正された特許請求の範囲の請求項1-8に記載された事項により特定されるものであるところ、請求項8に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、その請求項8に記載された事項により特定される、前記第2[理由]1(1)に記載のとおりのものである。 第4 拒絶の理由の概要 独立形式で記載された請求項8に係る発明(以下、「本願発明」という。)に着目すると、本願発明に対して令和7年6月18日付けで当審が通知した拒絶理由の概要は次のとおりである。 1.(明確性)本願の請求項8に係る発明は、特許請求の範囲の記載が下記の点で、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。 2.(進歩性)本願の請求項8に係る発明は、その出願前日本国内又は外国において頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 記 引用文献1.国際公開第2008/023496号 引用文献2.特開2013-69713号公報 引用文献3.特表2007-520081号公報 引用文献4.特開2004-47983号公報 引用文献5.特開2010-27948号公報 第5 当審の判断 1 理由1(特許法第36条第6項第2号違反) 請求項8における「・・・前記コンデンサアセンブリが約0.44Pa・Hzより小さい性能指数を有し」なる記載によれば、「コンデンサアセンブリ」それ自体のみで「約0.44Pa・Hzより小さい性能指数を有するように構成」されているものであるかのように解される。 しかしながら、本願の当初明細書等の図1に「従来技術デバイスまたは本開示された技術に従って構築および/もしくは実装されたデバイスのいずれかの試験のための、例示的な目下考案された試験配列10の概略図」(段落【0065】、【0069】)が示され、段落【0069】~【0073】に試験配列10を用いた試験方法が説明されている。ここで、本願の発明の詳細な説明に「主な可聴ノイズは、コンデンサそれ自体でなくPCBからの振動によって発生される」(段落【0013】)と記載されるように、試験配列10では、コンデンサデバイス12に試験波形の電圧をかけた際に、コンデンサデバイス12の振動に応じて基板14が振動し、基板14の振動が高精度マイク18に伝わることで、ノイズの音圧レベルが測定されると認められ、また1から9kHzの間の試験された周波数範囲内における音圧レベル(SPL)(単位dB)対適用された周波数(単位Hz)のグラフのSPL曲線の下の面積により性能指数が作り出される(段落【0075】)と認められる。 したがって、コンデンサデバイス12の振動に応じて基板14がどの程度振動するかは、基板14の具体的な材質や弾性率等によって異なると考えられ、ここでいう「性能指数」は基板の具体的な材質や弾性率等にも依存するものであるといえるが、請求項8には、基板の材質や弾性率等に関する具体的な特定は何らなされていない(なお、本願の明細書及び図面にも、基板の材質や弾性率等について具体的な記載がない。)。 よって、以上の点において、請求項8に係る発明は明確でない。 したがって、本願は、特許請求の範囲の記載が特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。 2 理由2(特許法第29条第2項違反) (1)引用文献1の記載及び引用発明 当審による拒絶の理由に引用された上記引用文献1(国際公開第2008/023496号)には、「積層セラミックコンデンサ」について、図面とともに以下の各記載がある(なお、下線は当審で付与した。)。 (ア)「[0003] この積層型電子部品は、回路基板などの基板に表面実装されることが多い。このとき、基板と端子電極とが半田によって接合固定される。ところが、基板がたわむと、実装されている積層型電子部品に応力が加わる。その結果、積層型電子部品の電気特性が劣化したり、あるいはクラックが生じたりすることがあった。」 (イ)「[0004] そこで、近年では、基板たわみによる応力を緩和するため、端子電極の柔軟性が高められている。具体的には、端子電極を形成するための材料として導電性樹脂が用いられている。このような積層型電子部品の一例を図3に示す。」 (ウ)「[0024] 図1によれば、本発明の積層型電子部品1は、誘電体からなる素体2と、前記素体中に形成された複数の内部電極5および複数の内部電極6と、複数の内部電極5、6をそれぞれ電気的に接続する端子電極7、8とを備えている。複数の内部電極5は素体の外表面、すなわち端面2aに引き出されている。端面2a上に端子電極7が形成されている。また、内部電極6は素体の別の端面2bに引き出されている。端面2b上に端子電極8が形成されている。」 (エ)「[0028] 端子電極7、8は、それぞれ、電解めっきまたは無電解めっきにより形成された第1の電極層7a、8aと、その上に形成された導電性樹脂からなる第2の電極層7b、8bとを備える。これら第1の電極層7a、8aと第2の電極層7b、 8bとの相互作用により、従来と比較して、基板たわみにより生じた応力を緩和する作用が大きくなる。」 (オ)「[0044] [実施例1] 図1に示すような、長さ3.2mm、幅1.6mm、厚み1.6mmの略直方体の、端子電極を形成する前の積層セラミック素体を用意した。素体の誘電体はチタン酸バリウム系誘電体セラミックからなり、内部電極はNiであった。また、隣り合う内部電極間の誘電体層1層あたりの厚みは4.4μmであり、静電容量に有効な積層数は263層であり、また、内部電極は幅と厚みにより形成される2つの対向する端面にそれぞれ交互に露出していた。また、この時点における内部電極の露出する面2a、2bに対する内部電極の引っ込みの長さdは、最も大きい箇所で10μmであった。」 (カ)「[0046]・・・(中略)・・・次に、 Ag粉末、エポキシ樹脂、およびフェノール樹脂をAg粉末が80重量%となるように混合し、溶剤としてブチルカルビトールを加え、Ag粉末をフィラーとする導電性樹脂組成物を用意した。」 (キ)「[0047] 第1の電極層を形成した積層セラミック素体において、第1の電極層の上に、ディップ工法を用いて、導電性樹脂組成物を塗布した。そして200℃にて30分間保持し、導電性樹脂組成物を硬化させた。こうして、導電性樹脂からなる厚み100μmの第2の電極層を得た。」 (ク)「[0049] 積層セラミックコンデンサの試料1を、図2 (a)に示すように、長辺 100mm×短辺40mm角×厚み1.6mmのガラスエポキシ基板11の主面に、基板11の長辺と試料1の長辺が平行となるよう、63Sn-37Pb共晶半田を用いて実装した。」 (ケ)「図1 [図:0001437825000002.jpg] 」 上記(ア)ないし(ケ)から以下のことがいえる。 ・引用文献1に記載の「積層セラミックコンデンサ」は、上記(ア)及び(ク)の記載によれば、ガラスエポキシ基板に表面実装され、上記(イ)の記載によれば、基板たわみによる応力を緩和するため、端子電極を形成するための材料として導電性樹脂を用いて、端子電極の柔軟性を高めているものである。 ・上記(ウ)の記載及び上記(ケ)(図1)によれば、引用文献1に記載の「積層セラミックコンデンサ」は、誘電体からなる素体2と、前記素体中に形成された複数の内部電極5および複数の内部電極6と、複数の内部電極5、6をそれぞれ電気的に接続する端子電極7、8とを備え、複数の内部電極5は素体の端面2aに引き出され、端面2a上に端子電極7が形成され、内部電極6は素体の別の端面2bに引き出され、端面2b上に端子電極8が形成されるものである。 ・上記(オ)の記載によれば、素体の誘電体はチタン酸バリウム系誘電体セラミックからなり、隣り合う内部電極間に誘電体層を有しているものである。 ・上記(エ)、(カ)、(キ)の記載及び上記(ケ)(図1)によれば、端子電極7、8は、Ag粉末をフィラ一とする導電性樹脂組成物を用いて形成された第2の電極層を含むものである。 したがって、上記記載事項及び図面を総合勘案すると、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。 「ガラスエポキシ基板に表面実装される積層セラミックコンデンサであって、 誘電体からなる素体2と、前記素体中に形成された複数の内部電極5および複数の内部電極6と、複数の内部電極5、6をそれぞれ電気的に接続する端子電極7、8とを備え、複数の内部電極5は素体の端面2aに引き出され、端面2a上に端子電極7が形成され、内部電極6は素体の別の端面2bに引き出され、端面2b上に端子電極8が形成され、 素体の誘電体はチタン酸バリウム系誘電体セラミックからなり、隣り合う内部電極間に誘電体層を有し、 端子電極7、8は、Ag粉末をフィラ一とする導電性樹脂組成物を用いて形成された第2の電極層とを含み、 基板たわみによる応力を緩和するため、端子電極を形成するための材料として導電性樹脂を用いて、端子電極の柔軟性を高めている、 積層セラミックコンデンサ」 (2)引用文献2の記載 また、当審による拒絶の理由に引用された上記引用文献2(特開2013-69713号公報)には、以下の各記載がある(なお、下線は当審で付与した。)。 「【0047】 また、回路基板に実装されたチップ型電子部品10は、誘電体15に発生する電歪現象に起因した音鳴りが発生したり、セラミック素体11にクラックが発生したりすることがある。端子電極20、30は、第1の樹脂層21、31及び第2の樹脂層22、32を有するので、電歪現象によるチップ型電子部品10の変形を吸収して、前記音鳴り及び前記クラックを抑制することもできる。特に、端子電極20、30は、ヤング率が第1の樹脂層21、31よりも低い第2の樹脂層22、32を有するので、電歪現象によるチップ型電子部品10の変形を吸収して、前記音鳴り及び前記クラックをより効果的かつ確実に抑制することができる。このように、チップ型電子部品10は、誘電体15を有する場合には、第1の樹脂層21、31及び第2の樹脂層22、32を含む端子電極20、30が音鳴り及びクラックを抑制できるという利点がある。チップ型電子部品10は、誘電体15を有していなくてもよく、この場合は、端子電極20、30が外部からの応力及び熱応力を緩和するという効果が得られる。 【0048】 本実施形態において、第1の樹脂層21、31のヤング率は第2の樹脂層22、32のヤング率よりも高く、2GPa以上6GPa以下が好ましい。また、第2の樹脂層22、32のヤング率は、0.1GPa以上3GPa以下とすることが好ましく、1GPa以下とすることが特に好ましい。第1の樹脂層21、31のヤング率と第2の樹脂層22、32のヤング率とを上述した範囲とすることにより、第1の樹脂層21、31とチップ型電子部品10の内部電極17、18及び端面13、14とを確実に密着させ、かつチップ型電子部品10に作用する外的な応力及び熱応力を確実に緩和することができる。また、チップ型電子部品10の第1の樹脂層21、31及び第2の樹脂層22、32は、誘電体15の電歪現象に起因した音鳴り及びクラックを抑制することもできる。」 上記記載を総合勘案すると、引用文献2には、次の技術(以下、「公知技術」という。)が記載されている。 「チップ型電子部品において、電歪現象による部品の変形の吸収や外部から受ける応力を緩和するため、ヤング率が2GPa以上6GPa以下の第1の樹脂層、0.1GPa以上3GPa以下の第2の樹脂層を有する端子電極を備えること。」 (3)対比 本願発明と引用発明を対比すると、次のことがいえる。 ア.引用発明の「ガラスエポキシ基板に」「表面実装される積層セラミックコンデンサ」は、本願発明の「表面実装可能な」「積層セラミックコンデンサ(MLCC)のコンデンサアセンブリ」に相当する。 ただし、本願発明は、「比較的低ノイズ」であることが特定されているのに対して、引用発明はそのような特定がない点で、本願発明と相違する。 イ.引用発明の隣り合う内部電極間の「誘電体層」は、「チタン酸バリウム系誘電体セラミック」からなるので、本願発明の「セラミック層」に相当する。引用発明の「複数の内部電極5」、「複数の内部電極6」は、それぞれ本願発明の「第1の極性」「である複数の導電層」、「第2の極性」「である複数の導電層」に相当し、引用発明の「誘電体層」と「内部電極5」を合わせた構成、及び「誘電体層」と「内部電極6」を合わせた構成が、いずれも本願発明の「コンデンサプレート」に相当する。そして、引用発明において「内部電極5」、「内部電極6」は容量を形成するように「誘電体層」に交互に積層されていることは明らかであるから、引用発明の「素体2」が、本願発明の「本体」に相当する。 したがって、本願発明と引用発明とは、「積層された配列内に対向するコンデンサプレートのそれぞれの対を形成するように、複数のセラミック層と交互配置されたそれぞれ第1の極性および第2の極性である複数の導電層を有する本体」を有する点で一致する。 ウ.引用発明の素体の端面2a上及び素体の別の端面2b上に形成された、複数の内部電極5、6をそれぞれ電気的に接続する「端子電極7、8」は、本願発明の「第1の極性の終端部および第2の極性の終端部」に相当する。 したがって、本願発明と引用発明とは、「前記本体の両端部における、前記第1の極性の導電層および前記第2の極性の導電層にそれぞれ電気的に接続されたそれぞれの第1の極性の終端部および第2の極性の終端部」を有する点で一致する。 エ.引用発明の端子電極7、8における、Ag粉末をフィラ一とする導電性樹脂組成物を用いて形成された「第2の電極層」は、本願発明の「コンプライアント層」に相当する。 したがって、本願発明と引用発明とは「前記終端部が、」「コンプライアント層」を含む点で一致する。 ただし、本願発明は、「コンプライアント層」が、「コンデンサアセンブリと、前記コンデンサアセンブリが表面の上に裁置される当該表面との間の振動を比較的減衰させるための」ものであって、「表面が、電気機械的ノイズを比較的低減させるためのもの」であるのに対し、引用発明はそのような特定がない点、また、引用発明は、基板たわみによる応力を緩和するため、端子電極を形成するための材料として導電性樹脂を用い、端子電極の柔軟性を高めている、すなわち弾性率を低下させていることは記載されているが、本願発明のように、「前記コンデンサアセンブリが、約0.44Pa・Hzより小さい性能指数を有」することの明示がなく、弾性率についての特定がない点で相違する。 よって、本願発明と引用発明とは、 「表面実装可能な積層セラミックコンデンサ(MLCC)のコンデンサアセンブリであって、 積層された配列内に対向するコンデンサプレートのそれぞれの対を形成するように、複数のセラミック層と交互配置されたそれぞれ第1の極性および第2の極性である複数の導電層を有する本体と、 前記本体の両端部における、前記第1の極性の導電層および前記第2の極性の導電層にそれぞれ電気的に接続されたそれぞれの第1の極性の終端部および第2の極性の終端部と、を備え、 前記終端部が、コンプライアント層を含む、 コンデンサアセンブリ。」 である点で一致し、以下の点で相違する。 [相違点1] 本願発明は、「比較的低ノイズ」であって、「コンプライアント層」が「コンデンサアセンブリと、前記コンデンサアセンブリが表面の上に裁置される当該表面との間の振動を比較的減衰させるための」ものであり、「表面が、電気機械的ノイズを比較的低減させるためのもの」であるのに対して、引用発明はそのような特定がない点。 [相違点2] 引用発明は、基板たわみによる応力を緩和するため、端子電極を形成するための材料として導電性樹脂を用い、端子電極の柔軟性を高めている、すなわち弾性率を低下させていることは記載されているが、本願発明のように、「コンデンサアセンブリが約0.44Pa・Hzより小さい性能指数を有するように構成」することの明示がなく、弾性率についての特定がない点。 (4)判断 上記各相違点について検討する。 ア.相違点1について 引用発明の積層セラミックコンデンサについても、第2の電極層は導電性樹脂で形成され、基板による応力を緩和する特性を有している。 ここで、基板上に実装されたコンデンサアセンブリは基板の表面との間に振動が伝わり電気機械的ノイズとなることは技術常識である。そうしてみると、導電性樹脂により基板による応力を吸収する特性を有する引用発明の「第2の電極層」により、基板上に実装された場合には基板との間の振動を減衰させ、電気機械的なノイズを低減し、比較的低ノイズのコンデンサを構成しているといえる。したがって、引用発明の「第2の電極層」は、本願の請求項8に係る発明の「コンデンサアセンブリと、前記コンデンサアセンブリが表面の上に裁置される当該表面との間の振動を比較的減衰させるためのコンプライアント層」に相当する。 また、本願発明の「表面が、電気機械的ノイズを比較的低減させるためのもの」との構成について、本願の当初明細書等の、例えば、段落【0035】の「例示的方法論の変形形態は、プリント回路板を含む支持基板上のコンデンサアセンブリを表面実装することをさらに含んでよく、このようにすることで、コンデンサアセンブリの表面実装が、プリント回路板に伝達される振幅振動を低減しているようにして、比較的低ノイズの特性を有する機械的と電気的の両方の接続を提供する。」との記載や、段落【0049】の「コンデンサアセンブリが支持される表面は支持基板を含んでよく、および/または、支持基板はプリント回路板を含んでよく、このようにすることで、コンデンサアセンブリの表面実装が、プリント回路板に伝達される振幅振動を低減しているようにして、比較的低ノイズの特性を有する機械的と電気的の両方の接続を提供する。」との記載を踏まえれば、単に、コンデンサアセンブリをプリント回路基板などの基板の表面に実装することで、電気機械的ノイズを比較的低減させることを示していると解されるところ、引用発明は「ガラスエポキシ基板に表面実装される積層セラミックコンデンサ」であるから、本願発明のように「表面が、電気機械的ノイズを比較的低減させるためのもの」であるといえる。 以上より、相違点1とした構成は実質的な相違点ではない。 イ.相違点2について 上記「(2)」で述べたように、「チップ型電子部品において、電歪現象による部品の変形の吸収や外部から受ける応力を緩和するため、ヤング率が2GPa以上6GPa以下の第1の樹脂層、0.1GPa以上3GPa以下の第2の樹脂層を有する端子電極を備えること。」は公知技術である。 そうしてみると、上記公知技術では樹脂層を2層有しているものの、外部から受ける応力を緩和するために、樹脂層の弾性率としてヤング率を本願発明の5GPa未満と共通する範囲を含む2GPa以上6GPa以下、0.1GPa以上3GPa以下としており、樹脂層として当該程度の弾性率が妥当であることが示されている。また、本願発明の5GPaという値は本願の当初明細書等の段落【0031】をみても「おおむね5GPa未満の弾性率を有してよく」と記載されているにとどまり、5GPaに臨界的意義が存在するとは認められない。してみると、基板(外部)の応力を緩和するため、端子電極を形成するための材料として導電性樹脂を用いて、端子電極の柔軟性を高めている引用発明において樹脂の弾性率を5GPa未満とすることは、公知技術の樹脂層のヤング率を参照し、当業者が格別の創作能力を必要とすることなく容易に想到できたものである。そして、本願発明における「・・・前記コンデンサアセンブリが約0.44Pa・Hzより小さい性能指数を有し」なる記載については上記「1 理由1(特許法第36条第6項第2号違反)」で指摘したとおり明確でないところがあるが、仮に、コンプライアント層が5GPa未満の弾性率を示すことで、本願発明でいう「性能指数」が約0.44Pa・Hzより小さい値を有するものとなるというのであれば、引用発明においても導電性樹脂からなる第2の電極層の弾性率を5GPa未満とした場合、自ずと本願発明において特定する「前記コンデンサアセンブリが約0.44Pa・Hzより小さい性能指数を有する」構成を満たすことになるといえる。 したがって、本願発明は、引用発明及び引用文献2に記載の公知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 第6 むすび 以上のとおり、本願の請求項8に係る発明は、特許請求の範囲の記載が特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしておらず、また、引用文献1に記載された発明及び引用文献2に記載の公知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 したがって、本願は、その余の請求項について検討するまでもなく拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2024-015046

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