特許拒絶査定不服審判
2024-011384
ガイドワイヤ検出を伴うアテレクトミーシステム
- 審判番号
- 2024-011384
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2021-575287
- 請求日
- 2024年07月10日
- 審決日
- 2026年04月09日
- 公報発行日
- 2026年09月25日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】ボストン サイエンティフィック サイムド,インコーポレイテッド
- 【請求人代理人】恩田 誠
- 【請求人代理人】恩田 博宣
- 【請求人代理人】本田 淳
- 審判長/審判官
- 審判長 佐々木 正章
- 審判官 太田 良隆
- 審判官 麻川 倫広
- 分類
- P18 .536-WZ (A61B) / P18 .537-WZ (A61B)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法36条4項1号特許法36条6項1号特許法36条6項2号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第36条第6項第2号、特許法第36条第4項第1号、特許法第36条第6項第1号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2021-575287「ガイドワイヤ検出を伴うアテレクトミーシステム」拒絶査定不服審判事件〔令和 2年12月24日国際公開、WO2020/257280、令和 4年 8月22日国内公表、特表2022-536952〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、令和 2年 6月17日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2019年 6月18日、米国(US))を国際出願日とする出願であって、その後の手続の概略は、以下のとおりである。
令和 5年 1月23日付け:拒絶理由通知書
令和 5年 6月21日 :意見書、手続補正書の提出
令和 5年 9月20日付け:拒絶理由通知書(最後)
令和 5年12月22日 :意見書、手続補正書の提出
令和 6年 3月 6日付け:補正の却下の決定及び拒絶査定
令和 6年 7月10日 :審判請求書、手続補正書の提出
令和 7年10月23日付け:拒絶理由通知書
令和 8年 1月28日 :意見書、手続補正書の提出
第2 本願発明
本願の請求項1~14に係る発明は、令和 8年 1月28日提出の手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1~14に記載された事項により特定される発明であるところ、その請求項1の記載は次のとおりである。以下、請求項1に係る発明を「本願発明」という。
「【請求項1】
アテレクトミーバリと、
前記アテレクトミーバリを回転可能に作動させるように適合されている駆動機構であって、該駆動機構はガイドワイヤルーメンを含むとともに、前記ガイドワイヤルーメンを通って延びるガイドワイヤを収容するように適合されている、駆動機構と、
前記駆動機構内の前記ガイドワイヤルーメンを通って延びるガイドワイヤと、
前記ガイドワイヤが存在するか否かを検出するように構成されている、前記駆動機構内のガイドワイヤ存在検出器と、
前記ガイドワイヤの移動を検出するように適合されている、前記駆動機構内のガイドワイヤ動き検出器と、
前記ガイドワイヤ動き検出器および前記ガイドワイヤ存在検出器に動作可能に結合され、前記駆動機構の動作を調節するように適合されているコントローラと、を備え、
前記コントローラは、前記駆動機構の動作中に前記ガイドワイヤ動き検出器が前記駆動機構に対する前記ガイドワイヤの移動を検出したときに前記駆動機構の動作を停止するようにさらに適合されており、
前記コントローラは、ガイドワイヤが存在しないことを前記ガイドワイヤ存在検出器が示したときに前記駆動機構の動作を防止するようにさらに適合されている、アテレクトミーシステム。」
第3 拒絶の理由
令和 7年10月23日付けで当審が通知した拒絶理由は、概略、次の理由を含むものである。
理由1.(明確性)この出願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。
理由2.(実施可能要件)この出願は、発明の詳細な説明の記載が下記の点で、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない。
理由3.(サポート要件)この出願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。
記
●理由1(明確性)について
(1)請求項1に記載の「駆動機構内」(下線は強調のため付加。)とは、どの範囲を意味するのか、駆動機構の内と外の境界が明確でないことから、不明確である。
(2)請求項1の「前記駆動機構の動作中に前記ガイドワイヤ動き検出器が前記駆動機構に対する前記ガイドワイヤの移動を検出したときにアクションを取る」という記載について、駆動機構の動作中又は非動作中に、駆動機構との関係でガイドワイヤがどのような状態になっているのか或いはどのように動作しているのか、又は、どのような状態或いは動作となっていることが好ましいのか、不明であることから、「前記駆動機構に対する前記ガイドワイヤの移動」とはどのようなことを意味するのか、不明確であるとともに、前記記載のようにすることの技術的意味が不明確である。
●理由2(実施可能要件)について
発明の詳細な説明の記載を参照しても、駆動機構の動作中又は非動作中に、駆動機構との関係でガイドワイヤがどのような状態になっているのか或いはどのように動作しているのか、又は、どのような状態或いは動作となっていることが好ましいのか、不明であることから、請求項1に記載の「前記駆動機構の動作中に前記ガイドワイヤ動き検出器が前記駆動機構に対する前記ガイドワイヤの移動を検出したときにアクションを取る」ことは、アテレクトミーシステムがどのような検出及び動作を行うのか、発明の詳細な説明に当業者が実施することができる程度に記載されていない。
●理由3(サポート要件)について
発明の詳細な説明の段落【0002】には、本願発明が解決する課題として、「閉塞部の通過を容易にするための代替アテレクトミーデバイスの必要性が残っている。」と記載されている。
しかし、前記課題を本願発明がその構成によりどのように解決できるのか、理解できない。
第4 本願の発明の詳細な説明の記載
本願の発明の詳細な説明には、以下の記載がある。なお、下線は当審で付与した。
「【技術分野】
【0001】
本発明は、医療デバイス、ならびに医療デバイスを製造および使用するための方法に関する。より詳細には、本発明は、身体内腔から閉塞性物質を除去するためのデバイスおよび方法を対象とする。さらに、本開示は、血管等の身体内腔の閉塞を通る通路を形成するためのアテレクトミーデバイスを対象とする。
【背景技術】
【0002】
多くの患者は、閉塞した動脈や血流を制限する他の血管症状に罹患している。閉塞は、血管の閉塞部分を通る血流を減少させる部分的閉塞、または閉塞血管を通る血流を実質的に遮断する完全閉塞(例えば、慢性完全閉塞)である可能性がある。場合によっては、治療された閉塞部の領域にステントが配置され得る。しかし、ステント内で再狭窄が発生し得、血管がさらに閉塞して血流が制限され得る。血行再建術には、様々なデバイスを使用して閉塞を通過させ、閉塞部を通る開口を作成または拡張することが含まれる。アテレクトミーは、切断要素を有するカテーテルを、閉塞部を通って前進させて、閉塞部を通る経路を形成または拡張する1つの技術である。閉塞部の通過を容易にするための代替アテレクトミーデバイスの必要性が残っている。
【発明の概要】
【0003】
本発明は、医療デバイスの設計、材料、製造方法、および使用代替物を提供する。例えば、アテレクトミーシステムは、アテレクトミーバリと、アテレクトミーバリを回転可能に作動させるように、かつ駆動機構を通って延びるガイドワイヤを収容するように適合されている駆動機構とを含む。ガイドワイヤは、駆動機構を通って延びる。ガイドワイヤ動き検出器は、ガイドワイヤの移動を検出するように適合されている。コントローラは、ガイドワイヤ動き検出器に動作可能に結合され、駆動機構の動作を調節するように適合されている。コントローラはさらに、駆動機構の動作中にガイドワイヤ動き検出器が駆動機構に対するガイドワイヤの移動を検出したときにアクションを取るように適合されている。」
「【0036】
図6は、例示的なアテレクトミーシステム400の概略ブロック図である。場合によっては、アテレクトミーシステム400は、アテレクトミーシステム10、20、40、または50の一例であると見なされ得る。いくつかの例では、アテレクトミーシステム400の特徴は、例えばアテレクトミーシステム10、20、40または50のいずれかの特徴と組み合わされ得る。アテレクトミーシステム400は、アテレクトミーバリ306を回転可能に作動させるように適合された駆動機構402を含む。いくつかの例では、示されるように、駆動機構402は、駆動モータ302および駆動ケーブル304を含むと見なされ得る。概略的に示されているが、駆動機構402は、駆動機構402を通り、さらにアテレクトミーバリ306を通って延びるガイドワイヤ404を収容するように適合され得ることが理解されよう。
【0037】
ガイドワイヤ動き検出器406は、駆動機構402に対するガイドワイヤ404の移動を検出するように適合され得る。コントローラ410は、コントローラ16またはコントローラ350の一例であると見なされ得、ガイドワイヤ動き検出器406に動作可能に結合され、駆動機構402の動作を調節するように適合される。コントローラ410は、ガイドワイヤ動き検出器406が駆動機構402に対するガイドワイヤ404の移動を検出したときにアクションを取るように適合されている。場合によっては、アクションを取ることは、駆動機構402の動作を停止することを含む。アクションを取ることは、追加的または代替的に、コントローラ410が聴覚警報、視覚警報または振動警報等の警報を提供することを含み得、それにより、ユーザは、ガイドワイヤ404の固定に問題があり得ることが理解されよう。
【0038】
場合によっては、ガイドワイヤ動き検出器406は、ガイドワイヤ404が駆動機構402内に存在するか否かを判断するためにさらに適合され得る。例えば、アテレクトミーシステム400は、(ガイドワイヤ動き検出器406の一部として、または別個の構成要素としてのいずれかで)ガイドワイヤ存在検出器412を含み得る。ガイドワイヤ存在検出器412は、任意の形態をとり得る。ガイドワイヤ存在検出器412は、例えば、流体中の気泡を検出するために別様に使用され得るような光学デバイスであり得る。ガイドワイヤ404がない場合、一定量の光が、ガイドワイヤ404を収容するように適合されたルーメンを通過することが理解されよう。ガイドワイヤ404が存在する場合、前述のルーメンを通過する光は少なくなる。したがって、光センサを使用して、相対的な光レベルを検出し得、これにより、ガイドワイヤ404が存在するか否かを判断し得る。この情報は、コントローラ410に伝達され得る。ガイドワイヤ404が存在しない場合、コントローラ410は、ユーザに警告することと駆動機構402の動作を許可しないことの両方または一方が可能である。
【0039】
図7は、ガイドワイヤ動き検出器406(図6)として使用され得るガイドワイヤ動き検出器420の一部の概略図である。ガイドワイヤ動き検出器420は、ガイドワイヤ404の並進または軸方向移動が軸方向符号化ホイールを軸L1の周りで回転させるように、ガイドワイヤ404と接触してガイドワイヤ404に対して配置される軸方向符号化ホイール422を含む。同様に、ガイドワイヤ動き検出器420は、ガイドワイヤ404の回転が径方向符号化ホイール424を軸L2の周りで回転させるように、ガイドワイヤ404と接触してガイドワイヤ404に対して配置される径方向符号化ホイール424を含む。軸方向符号化ホイール422および径方向符号化ホイール424は、軸L1が軸L2に直交するように配置されていることが理解されよう。軸方向符号化ホイール422は、例えば、ガイドワイヤ404の上方または下方に配置され得る。径方向符号化ホイール424は、ガイドワイヤ404の上方、下方、前、または後ろに配置され得る。
【0040】
軸方向符号化ホイール422または径方向符号化ホイール424のいずれか、または両方の動きは、コントローラ410に伝達される必要があることが理解されよう。図8は、ガイドワイヤ動き検出器430の概略図である。ガイドワイヤ動き検出器430は、例えば、軸方向符号化ホイール422または径方向符号化ホイール424のいずれかを表し得る符号化ホイール432を含む。位置感知エンコーダ434は、符号化ホイール432がいつ動くかを位置感知エンコーダ434が検出することができるように、符号化ホイール432と動作可能に結合される。符号化ホイール432の移動を検出することに応答して、位置感知エンコーダは、コントローラ410に通知する通信を送信する。位置感知エンコーダ434は、任意の形態をとり得る。位置感知エンコーダ434は、例えば、機械的エンコーダであり得る。
【0041】
場合によっては、光を使用して、符号化ホイール432の移動を検出し得る。図9は、符号化ホイール432を含むガイドワイヤ動き検出器440の概略図である。図示のように、符号化ホイール432は、多数のスロットまたはアパーチャ442を含む。光は、光源444から放出され得、符号化ホイール432に衝突し得る。光源444は、例えば、LED、レーザー、または小さな白熱電球であり得る。符号化ホイール432が静止している場合、多数のスロットまたはアパーチャ442を通過する任意の光は一定のままであろう。しかし、符号化ホイール432が回転している場合、光がスロット442を通過するか、または符号化ホイール432によって遮断されると、多数のスロットまたはアパーチャ442を通過する光は変化するであろう。光検出器446は、符号化ホイール432を通過する光を受信するように配置され得る。光検出器446は、例えば、フォトダイオード、フォトトランジスタ、またはフォトセルであり得る。符号化ホイール432の移動を検出することに応答して、光検出器446は、コントローラ410に通知する通信を送信する。
【0042】
図10は、ガイドワイヤ404の任意の並進またはガイドワイヤ404の任意の回転がトラックボールを回転させるようにガイドワイヤ404に接触するように配置されたトラックボール452を含むガイドワイヤ動き検出器450の概略図である。トラックボール452は、任意の方向に自由に回転できることが理解されよう。光源470は、トラックボール452に衝突する光ビームを提供する。いくつかの例では、図示のように、光ビームは、光源470とトラックボール452との間に配置された光学要素454を通過し得る。いくつかの例では、光源470は、レーザーまたは発光ダイオード(LED)であり得る。光学要素454は、例えば、光源470が配置され得る箇所において柔軟性を可能にする光ファイバ要素であり得る。別の例として、光学要素454は、集束レンズであり得る。場合によっては、トラックボール452はゴムボールであり得、トラックボール452の移動がトラックボール452によって光が反射される方法に変化を引き起こすのに十分な表面粗さを有し得る。トラックボール452によって反射された光は、光検出器472に衝突する前にレンズ456を通過し得る。場合によっては、光検出器472は、トラックボール452の表面によって反射されてレンズ456を通過する光源470からの光を受けるように配置され得る。光検出器472は、反射光によって形成された像を受ける画像処理チップであり得る。トラックボール452の移動を検出することに応答して、光検出器472は、コントローラ410に通知する通信を送信する。
【0043】
図11は、ガイドワイヤ404の移動を検出するように構成されたガイドワイヤ動き検出器460の概略図である。光源470は、ガイドワイヤ404に衝突する光ビームを提供する。場合によっては、ガイドワイヤ404は、反射光の変化を介した移動の検出に関してうまく機能するには滑らかすぎる表面を有し得ると考えられるため、図示されてはいないが、場合によっては、ガイドワイヤ404は、ガイドワイヤ動き検出器460が機能するのに適切な粗さをガイドワイヤ404に提供する高分子コーティングを含み得る。ガイドワイヤ404の移動は、光がガイドワイヤ404によって反射される方法に変化を引き起こし得る。光検出器472は、ガイドワイヤ404の表面によって反射される前に光学要素454を通過し、次にレンズ456を通過する光源470からの光を受け取るように、配置され得る。前記のように、光学要素454は、光ファイバケーブルであり得、または光学要素454は、集束レンズであり得る。いくつかの例では、光源470は、レーザーまたは発光ダイオード(LED)であり得る。場合によっては、光検出器472はフォトディテクタであり得る。光検出器472は、光学検出器であり得る。場合によっては、光ファイバを使用し得、光源454と光検出器456の両方または一方を、パッケージングの観点からおそらくはより望ましい場所に、ガイドワイヤ404から離して配置することができる。ガイドワイヤ404の移動を検出することに応答して、光検出器472は、コントローラ410に通知する通信を送信する。
【0044】
図12は、ガイドワイヤ動き検出アセンブリ480の斜視図である。図から分かるように、ガイドワイヤ動き検出アセンブリ480は、回路基板482に対して固定されるいくつかの構成要素を含む。ガイドワイヤ動き検出アセンブリ480は、ガイドワイヤ404が所定位置にロックされる第1の位置(図示)と、ガイドワイヤ404がガイドワイヤ動き検出アセンブリ480に対して自由に動く第2の位置との間で作動することができるワイヤブレーキ490を含む。ワイヤブレーキ490は、回路基板482に対して旋回してガイドワイヤ404をロックまたはロック解除するように適合されているクランプレバー492を含む。ワイヤブレーキ490は、ガイドワイヤ404に選択的に係合するクランプコレット494を含む。
【0045】
レンズ456は、図10および図11で参照されているのと同じレンズ456であり、回路基板482に対して固定されている。図示の通り、回路基板482に固定された光検出器472を分かりやすくするため、レンズ456は透明であるものとして示されている。示されているように、光検出器472は、ガイドワイヤ404の任意の検出された動きがコントローラ410に伝達され得るように、コントローラ410(図6)に動作可能に結合された画像処理チップである。ガイドワイヤ存在検出器496は、回路基板482に対して固定され、ガイドワイヤ存在検出器412(図6)の一例と見なされ得る。
【0046】
場合によっては、ガイドワイヤ動き検出アセンブリ480は、ワイヤブレーキ490とガイドワイヤ存在検出器496との間に延びるガイドワイヤカバー484を含み得る。ガイドワイヤカバー484は、ガイドワイヤ404が任意の他の構成要素にぶつかることなく容易に延びるためのルーメンを提供すると見なされ得る。場合によっては、ガイドワイヤカバー484は、ガイドワイヤ404を光に曝すスロットを含み得る。ガイドワイヤ動き検出器420(図7)およびガイドワイヤ動き検出器430(図8)に関して、図12に示されるレンズ456および光検出器472は、省略され得る。ガイドワイヤ動き検出器450(図10)に関して、トラックボール452は、ガイドワイヤ404に接触するように配置され得、それにより、光源470から放出された光がトラックボール452から反射され、最終的に光検出器472に反射されることが理解されよう。場合によっては、示されてはいないが、ガイドワイヤ404の移動がトラックボール452の移動を引き起こすように、トラックボール452をガイドワイヤ404と十分に接触させて保持するために、トラックボール452にわずかにバネ荷重をかけられ得る。図11に示されるガイドワイヤ動き検出器460に関して、光源470は、回路基板482に搭載されたLEDまたは他の光源(図示せず)であり得ることが理解されよう。」
「図6
[図:0001438713000001.jpg]
」
第5 判断
1 サポート要件違反(特許法第36条第6項第1号)について
(1) サポート要件の判断手法
特許請求の範囲の記載が明細書のサポート要件に適合するか否かは、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載とを対比し、特許請求の範囲に記載された発明が、発明の詳細な説明に記載された発明で、発明の詳細な説明の記載又はその示唆により当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否か、また、その記載や示唆がなくとも当業者が出願時の技術常識に照らし当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否かを検討して判断すべきものである。
以下、この判断手法に立って検討する。
(2) サポート要件の判断
発明の詳細な説明の段落【0002】の記載から、本願発明の課題は、閉塞部の通過を容易にするための代替アテレクトミーデバイスを提供することである。
そして、発明の詳細な説明、特に段落【0037】に、ガイドワイヤ動き検出器406が駆動機構402に対するガイドワイヤ404の移動を検出したときに駆動機構402の動作を停止することが、記載されている。
しかし、発明の詳細な説明には、そもそも、駆動機構402の動作中に駆動機構402とガイドワイヤ404がどのような関係であるのか又はどのように動作しているのかの記載がなく、通常、治療中、アテクトミーバリは軸方向に移動し、ガイドワイヤは血管又は人に対して固定されていることを考えると、駆動機構402の動作中におけるガイドワイヤ404の駆動機構402に対する移動とはどのような状態又は動作であるのか不明であり、なぜ閉塞部の通過を容易にするのか理解できない。特に段落【0036】に「アテレクトミーバリ306を回転可能に作動させるように適合された」「駆動機構402は、駆動モータ302および駆動ケーブル304を含む」と記載されており、駆動機構402とガイドワイヤ404との関係が、一層不明である。
そうすると、発明の詳細な説明の記載からは、ガイドワイヤ動き検出器406が駆動機構402に対するガイドワイヤ404の移動を検出したときに駆動機構402の動作を停止することにより、本願発明の課題をどのように解決できるのか、理解できず、「前記コントローラは、前記駆動機構の動作中に前記ガイドワイヤ動き検出器が前記駆動機構に対する前記ガイドワイヤの移動を検出したときに前記駆動機構の動作を停止するようにさらに適合されて」いる本願発明が、本願発明の課題を解決できるとの技術常識もない。
また、本願発明のその余の記載から、本願発明の課題を解決できるとの技術常識もない。
したがって、本願発明は、発明の詳細な説明に記載された発明で、発明の詳細な説明の記載又はその示唆により当業者が本願発明の課題を解決できると認識できる範囲のものではなく、また、その記載や示唆がなくとも当業者が出願時の技術常識に照らし本願発明の課題を解決できると認識できる範囲のものでもない。
(3) 請求人の主張
請求人は、令和 8年 1月28日提出の意見書で、「例えば本願明細書の段落0037に記載されるように、使用中の駆動機構に対するガイドワイヤの移動は望ましくないという前提に基づき、本願の課題がガイドワイヤの固定を確実にすることであることが理解できます。本願明細書及び図面によって十分にサポートされている、ガイドワイヤの固定を確実にするということは、実際、特許請求の範囲において特定されている発明が解決に向けられている技術的課題となっています。なお、本願明細書の段落0032~0035には、フィードバックループ、モータ状態推定、及びPIDコントローラを含むコントローラのアーキテクチャが明確に記載されています。これにより当業者であれば、本願明細書及び図面から明確に、本願発明をどのように実施すべきかについての教示を得て、上述した本願発明の課題を解決できるものと思料します。」と主張する。
しかし、そもそも、請求人の主張する「ガイドワイヤの固定を確実にすること」について、ガイドワイヤ404を固定している機構が発明の詳細な説明には記載されておらず、さらに、上記(2)で指摘したように、駆動機構402の動作中に駆動機構402とガイドワイヤ404がどのような関係であるのか又はどのように動作しているのか、すなわち、本願発明の課題との関係で駆動中の駆動機構402に対するガイドワイヤ404の望ましくない移動がどのようなものであるのか、不明であるから、発明の詳細な説明の段落【0032】~【0035】の記載からは、本願発明が、本願発明の課題をどのように解決できるのか、理解できない。
(4) 小括
よって、本願発明は、発明の詳細な説明に記載したものではない。
2 実施可能要件違反(特許法第36条第4項第1号)について
(1) 実施可能要件の判断手法
発明の詳細な説明の記載が実施可能要件に適合するというためには、明細書の発明の詳細な説明に、当業者が、明細書の発明の詳細な説明の記載及び出願時の技術常識に基づいて、過度の試行錯誤を要することなく、その発明を実施することができる程度に発明の構成等の記載があることを要する。
以下、この判断手法に従って検討する。
(2) 実施可能要件の判断
発明の詳細な説明の段落【0037】には、ガイドワイヤ動き検出器406が駆動機構402に対するガイドワイヤ404の移動を検出したときに駆動機構402の動作を停止することが記載されているところ、具体的に、駆動機構402及びガイドワイヤ404の関係が明確でなく、駆動機構402の動作中に、駆動機構402とガイドワイヤ404がどのような関係であるのか又はどのように動作しているのか、或いは、どのような関係又は動作となっていることが問題なのか、不明であり、ガイドワイヤ動き検出器406が駆動機構402の動作中にガイドワイヤ404の駆動機構402に対するどのような移動を検出して駆動機構402の動作を停止するのか、不明である。特に段落【0036】に「アテレクトミーバリ306を回転可能に作動させるように適合された」「駆動機構402は、駆動モータ302および駆動ケーブル304を含む」と記載されており、駆動機構402とガイドワイヤ404との関係が、一層不明である。
この点、発明の詳細な説明の段落【0039】~【0046】に、ガイドワイヤ404の並進、軸方向移動及び回転を検出するガイドワイヤ動き検出器406、420、430、440、450、460及びガイドワイヤ検出アセンブリ480の具体的な構成が記載されているとしても、ガイドワイヤ動き検出器406が駆動機構402の動作中にガイドワイヤ404の駆動機構402に対するどのような移動を検出して駆動機構402の動作を停止するのか、実施することができる程度に記載されていない。
したがって、本願発明の「前記駆動機構の動作中に前記ガイドワイヤ動き検出器が前記駆動機構に対する前記ガイドワイヤの移動を検出したときに前記駆動機構の動作を停止する」ことについて、発明の詳細な説明に当業者が実施することができる程度に記載されていない。
(3) 請求人の主張
請求人は、令和 8年 1月28日提出の意見書で、「本願を読んで理解した当業者であれば、駆動機構との関係でガイドワイヤが移動しないことが望まれていることを当然に理解するものと思料します。いくつかの場合において、ガイドワイヤの望ましくない移動には、ガイドワイヤの摺動や駆動機構に対する並進が含まれます。いくつかの場合において、ガイドワイヤの望ましくない移動には、ガイドワイヤの駆動機構に対する回転が含まれます。これは例えば、本願明細書の段落0039に記載されており、当該段落には、図7の特定の例に関してではありますが、可能性のあるガイドワイヤの移動について説明されています。また、本願には明確に、どのようにガイドワイヤ存在検出器と、特にガイドワイヤ動き検出器とが機能するかについて複数のオプションが提示されています。図7~12、及び関連する明細書の段落0036~0046には、当業者が本願発明を実施することができる程度に十分な記載が提供されているものと思料します。」と主張する。
しかし、上記(2)で指摘したように、駆動機構402の動作中に、駆動機構402とガイドワイヤ404がどのような関係であるのか又はどのように動作しているのか、すなわち、駆動中の駆動機構402に対するガイドワイヤ404の望ましくない移動がどのようなものであるのか、不明であるから、本願発明の「前記駆動機構の動作中に前記ガイドワイヤ動き検出器が前記駆動機構に対する前記ガイドワイヤの移動を検出したときに前記駆動機構の動作を停止する」ことについて、発明の詳細な説明に当業者が実施することができる程度に記載されているとはいえない。
(4) 小括
よって、この出願の発明の詳細な説明は、当業者が本願発明を実施することができる程度に明確かつ十分に記載されたものでない。
3 明確性違反(特許法第36条第6項第2号)について
(1) 明確性要件の判断手法
特許法第36条第6項第2号に定める要件を充足するか否かは、特許請求の範囲の記載だけではなく、願書に添付した明細書の記載及び図面を考慮し、また、当業者の出願当時における技術常識を基礎として、特許請求の範囲の記載が、第三者に不測の不利益を及ぼすほどに不明確であるか否かという観点から判断されるべきである。
以下、この判断手法に従って検討する。
(2) 本願発明の「前記駆動機構内のガイドワイヤ存在検出器」及び「前記駆動機構内のガイドワイヤ動き検出器」について
本願発明の「駆動機構内」(下線は強調のため当審で付与。)について、特許請求の範囲の記載において駆動機構の内と外の境界がどこであるのか特定されておらず、発明の詳細な説明の段落【0036】の駆動機構402が駆動モータ302及び駆動ケーブル304を含みガイドワイヤ404を収容するという旨の記載や【0037】~【0038】及び図6の駆動機構402に関連したワイヤ動き検出器406及びガイドワイヤ存在検出器412の記載を参照しても駆動機構の内と外の境界がどこであるのか明確でないから、「駆動機構内」がどの範囲を意味するのか、不明確である。そのため、本願発明は、「前記駆動機構内のガイドワイヤ存在検出器」及び「前記駆動機構内のガイドワイヤ動き検出器」がどこに設けられているのかその範囲が明確でないから、第三者に不測の不利益を及ぼすほどに不明確である。
この点、請求人は、令和 8年 1月28日提出の意見書で、「「駆動機構内」という記載に関して、本願の図6には、402という参照符号で示される駆動機構が、駆動モータ302、ガイドワイヤ動き検出器406、及びガイドワイヤ存在検出器412を包含していることが示されています。当業者であれば、「駆動機構内」という記載に関して、ガイドワイヤ動き検出器406及びガイドワイヤ存在検出器412がいずれも、駆動機構402の一部であることを理解するであろうものと思料します。」と主張する。
しかし、駆動機構と総称する機構にガイドワイヤ動き検出器及びガイドワイヤ存在検出器が包含されるとしても、駆動機構の内と外の境界が明確でないことは変わらない。
(3) 本願発明の「前記駆動機構に対する前記ガイドワイヤの移動を検出したときに前記駆動機構の動作を停止する」について
本願発明において、駆動機構の動作中に駆動機構とガイドワイヤがどのような関係であるのか又はどのように動作しているのか、発明の詳細な説明の段落【0037】等を参照しても、不明であるから、検出対象の「前記駆動機構に対する前記ガイドワイヤの移動」がどのようなものであるのか、第三者に不測の不利益を及ぼすほどに不明確である。特に段落【0036】に「アテレクトミーバリ306を回転可能に作動させるように適合された」「駆動機構402は、駆動モータ302および駆動ケーブル304を含む」と記載されており、駆動機構402とガイドワイヤ404との関係が、一層不明確である。また、これらにより、「前記駆動機構の動作中に前記ガイドワイヤ動き検出器が前記駆動機構に対する前記ガイドワイヤの移動を検出したときに前記駆動機構の動作を停止する」ことの技術的意味が不明確である。
この点、請求人は、令和 8年 1月28日提出の意見書で、「「前記駆動機構に対する前記ガイドワイヤの移動」という記載に関して、本願を読んで理解した当業者であれば、ガイドワイヤの任意のどのような移動も望ましくないものであることを容易に理解できるであろうものと思料します。このようなガイドワイヤの移動には、駆動機構402に対するガイドワイヤの並進も、駆動機構402に対するガイドワイヤの回転も含まれ得ます。本願発明は後述するガイドワイヤの固定を確実にするという課題に対して、ガイドワイヤの移動や存在を検出する構成を提供し、ガイドワイヤの移動や存在しなくなったことが検出されたときに駆動機構の動作を停止したり警報を提供したりすることによって、当該課題を解決しようとするものです。」と主張する。
しかし、駆動機構の動作中に、駆動機構とガイドワイヤがどのような関係であるのか又はどのように動作しているのか、不明であり、また、例えば、段落【0036】に「アテレクトミーバリ306を回転可能に作動させるように適合された」「駆動機構402は、駆動モータ302および駆動ケーブル304を含む」と記載されているように、駆動機構402はガイドワイヤ404に対して回転(移動)する部分と回転(移動)しない部分を有するから、請求人が主張するガイドワイヤの任意のどのような移動も望ましくないということを観念できない。
(4) 小括
よって、本願発明は明確でない。
第6 むすび
以上のとおり、本願は、特許請求の範囲の記載が特許法第36条第6項第1号及び第2号に規定する要件を満たしておらず、発明の詳細な説明の記載が特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。
J-PlatPat 審決検索を開く
2024-011384