特許拒絶査定不服審判
2024-012873
歯間清掃具
- 審判番号
- 2024-012873
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2019-239159
- 請求日
- 2024年08月07日
- 審決日
- 2026年03月24日
- 公報発行日
- 2026年06月26日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】小林製薬株式会社
- 【請求人代理人】弁理士法人R&C
- 審判長/審判官
- 審判長 佐々木 正章
- 審判官 麻川 倫広
- 審判官 太田 良隆
- 分類
- P18 .121-WZ (A61C) / P18 .537-WZ (A61C)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項特許法36条6項2号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第36条第6項第2号、特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2019-239159「歯間清掃具」拒絶査定不服審判事件〔令和 3年 7月29日出願公開、特開2021-106723〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、令和 元年12月27日の出願であって、その手続の経緯は概略以下のとおりである。
令和 5年 8月17日付け:拒絶理由通知書
令和 5年10月17日 :意見書及び手続補正書の提出
令和 6年 1月16日付け:拒絶理由通知書(最後)
令和 6年 3月19日 :意見書及び手続補正書の提出
令和 6年 5月 8日付け:令和6年 3月19日の手続補正に
ついての補正の却下の決定及び拒絶査定
令和 6年 8月 7日 :審判請求書及び手続補正書の提出
令和 7年11月 4日付け:拒絶理由通知書
令和 8年 1月 6日 :意見書及び手続補正書の提出
第2 本願発明
本願の請求項1~4に係る発明は、令和 8年 1月 6日提出の手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1~4に記載された事項により特定されるとおりのものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、以下のとおりである。
「【請求項1】
第一方向に沿って延出した基部と、前記基部の一端部から延出して前記第一方向から前記第一方向と交差する第二方向に向かって屈曲した屈曲部と、
前記屈曲部の前記基部とは反対側の端部から前記第二方向に沿って延出した軸部と、を有する本体と、
前記軸部に形成され、前記本体の硬度よりも低い硬度を有する弾性材料である軟質部材からなり前記軸部の外周面全体を被覆すると共に歯間への挿入が可能な外形で構成された清掃部本体と、を備え、
前記基部の前記第一方向の中心よりも前記屈曲部側に、前記第一方向と前記第二方向とに直交する第三方向の長さが前記第一方向と前記第三方向とに直交する第四方向の長さよりも長い幅広部を有しており、
前記幅広部の、前記屈曲部の屈曲外側に位置する背幅広部分と、前記屈曲部の屈曲内側に位置する腹幅広部分と、を有し、
前記背幅広部分は、前記屈曲部の屈曲に沿って側面視で外方に凸になるように湾曲した曲面であり、
前記腹幅広部分は、前記屈曲部の屈曲に沿って側面視で内方に凹になるように湾曲した曲面である、歯間清掃具。」
第3 当審の拒絶理由
令和 7年11月 4日付けで当審が通知した拒絶理由は、以下の理由を含むものである。
理由1:本願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。
請求項1の「前記基部の前記第一方向の中心よりも前記屈曲部側に、・・・幅広部を有しており」の記載は、「基部」がどこからどこまでか明確でなく、「第一方向の中心」がどのように規定されるのか不明なため、「基部」のいずれの領域に「幅広部」を有しているのか明確でない。
理由2:本願発明は、その出願前に日本国内又は外国において頒布された下記の引用文献に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
1.実願昭53-010512号(実開昭54-116457号)のマイクロフィルム
第4 当審の判断
1 理由1(明確性)について
請求項1の「前記基部の前記第一方向の中心よりも前記屈曲部側に、・・・幅広部を有しており」の記載は、「基部」がどこからどこまでか明確でなく、「第一方向の中心」が定まらず、「幅広部」を有している場所が明確でなく、歯間清掃具の形状が明確でない。
なお、令和 8年 1月 6日提出の意見書において、請求人は以下のように主張している。
「本願の出願当初の明細書の段落[0018]に、「歯間清掃具Dは、基端部11及び延出部12を有する基部1と屈曲部2と軸部3とが一体成形された本体Aと、本体Aの硬度よりも低い硬度を有する弾性材料である軟質部材からなり、軸部3を覆う清掃部本体4を備えている」とも記載されているように、本体Aのうち、屈曲部2と軸部3以外の部分は、すべて基部1であることが理解できます。
また、基部1は、下の図(以下の[図a])で示すように、幅広部13の端から、湾曲部分111までの長さの中心となることから、「基部の第一方向の中心」についても理解できるものと思料します。
[図a]
[図:0001435660000001.jpg]
」
上記主張を踏まえても、本願発明の「基部」の「第一方向」の両端のうち、屈曲部側の一端については、屈曲部と基部の境界がどのように定められるか不明なため、基部の屈曲部側の一端がどこに規定されるのか明確でない(上記図aでも、基部の屈曲部側の一端として、基部1(幅広部13)ではなく、屈曲部2の位置が図示されている)。このため、「第一方向の中心」が定まらず、いずれの領域に「幅広部」を有しているのか明確でない。
したがって、出願人の上記主張は採用できず、本願発明は、明確でない。
2 理由2(進歩性)について
(1)引用文献の記載及び引用発明
ア 引用文献1の記載
引用文献1には、以下の事項が記載されている(下線は、当審で付与した。以下同様。)。
(ア)「本考案は、奥歯の歯間の清掃まで確実にでき、しかも食事の直後に人前でも手軽且つ安全に使用できる歯の清掃具を提供しようとするものである。
従来、歯の清掃具として歯間を磨く清掃用糸(デンタル・フロス)や爪揚子があるが、清掃用糸は両端を指で摘んで歯の間に挿し入れるので、奥歯の清掃に使用しにくく、しかも使用時に口を大きく開かなければならないので、人前での使用に都合が悪い。また他方の爪揚子は人前で手軽に使用できるが、これで歯間の歯垢まで確実に除去しようとすると、歯茎を傷つけるおそれのあることは言うまでもない。」(第2頁第7行~第18行)
(イ)「1は主杆で、その一端に尖鋭部2が形成され、この尖鋭部2の手前の部分が指で摘んだ時向きが変わらないように広幅に形成されている。」(第3頁第6行~第8行)
(ウ)「二又部6を含む主杆1全体は、矢印イ・口で示す左右方向(主杆1の長手方向Aとも、二又部先端部3a・3bの突出方向とも直交する方向)に型開きする金型によりプラスチックから一体成形するものとし、この成形加工時に清掃用糸4の両端部を二又部先端部3a・3b内に埋入固定する。この場合、合成繊維製の清掃用糸はプラスチックに比べ耐熱温度が高いので、清掃用糸に変質を生じない。
本考案の歯の清掃具は上記構造から成り、一端の尖鋭部で歯に附着した食物残滓を取り除き、他端の二又部の清掃用糸を歯間に挿し入れることによって歯間の歯垢を除去することができ、一つの用具で爪揚子としても清掃用糸としても使用できて至便であり、特に清掃用糸で歯間を清掃する場合、従来と異なり奥歯の歯間まで清掃でき、しかも大きく口を開ける必要がないので、会食の直後等においても人前で手軽に使用できる。」(第4頁第2行~第5頁第1行)
(エ)第1図「
[図:0001435660000002.jpg]
」
(オ)第2図「
[図:0001435660000003.jpg]
」
(カ)上記(エ)、(オ)から、主杆1と尖鋭部2の間に屈曲した部分が看取できる。また、屈曲した部分は、外側に位置する部分と内側に位置する部分がいずれも連続的に湾曲していることが看取できる。
イ 引用発明
上記ア(イ)、(ウ)、(カ)から、引用文献1には次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されている。
「主杆1と、主杆1の一端に形成された尖鋭部2を備え、
主杆1の尖鋭部2の手前の部分が指で摘んだ時向きが変わらないように広幅に形成され、
主杆1全体はプラスチックから一体成形され、
主杆1と尖鋭部2の間に屈曲した部分を有し、
屈曲した部分は、外側に位置する部分と内側に位置する部分がいずれも連続的に湾曲している、爪揚子として使用できる歯の清掃具。」
(2) 周知技術を示す文献の記載
ア 周知文献1
実公昭57-31845号公報(以下「周知文献1」という。)には、以下の事項が記載されている。
(ア)「本案は、歯垢や歯の間に詰つた食片などの除去に使用する歯清掃用のピツクに関する。
歯の間に詰つた食片などの除去に使用するものとしては、すでに木製のつま楊枝がある。しかし、これは木を棒状としその一端を針状にとがらせたのみである。したがって、歯間に挿入することは容易であり、歯間の詰り物を除去することの目的は果しうるが、その全表面が平滑であるから、歯垢などは付着しにくくそれを除くことに対しては効果が低い難点を有する。しかも、先端が針状にとがっており、かなりの硬度を有するから使用時に歯肉にきずを付けやすく、歯の健康に対しては有害とな問題も内包している。
本案のピツクは上記の問題を解決するものである。これを図面の実施例について説明すると、1は硬質の合成樹脂、木などで形成した棒状のピツク本体で、その先端を針状にとがらせている。2は本体1の先端側の歯垢などの除去に使用する部分のほぼ外周面全体に、それを被覆して設けた軟質の合成樹脂またはゴムなどの柔軟性を有する材料製の皮膜で、これは本体1の全体に設けることもできる。」(第1欄第19行~第2欄第5行)
(イ)「本案のピツクの構成は上記のとおりで、これの使用は公知のつま楊枝と同様にその先端を歯間に挿入するなどして、それに詰つた食片などや歯垢を除去するが、本体1は柔軟性を有する皮膜2で被覆している。したがつて、本体1のとがつた先端を歯間に挿入したとき、それが歯肉に当つたり、先で突いた状態になっても、それにきずを付けることを少なくできる。」(第2欄第20行~第27行)
(ウ)「しかも、本体1の表面は皮膜2と細片3との柔軟な層で被覆しているから、歯と歯肉のいずれにも無理を与えることなく歯垢を除く目的を果すことが可能である、とともに、歯間部の歯肉をマツサージすることができ、歯肉の健康にも寄与しうる。」(第3欄第9行~第13行)
(エ)第1図「
[図:0001435660000004.jpg]
」
イ 周知文献2
特表2001-506514号公報(以下「周知文献2」という。)には、以下の事項が記載されている。
(ア)「歯間スペースのクリーニングには、上述のデンタルシルクとは別に、最近では歯間ブラシまたは楊枝の形で歯間クリーナが使用されており、ブリッジアンカーと歯肉溝領域内との間のわずかに空いた歯間スペースをクリーニングするために特に後者が多く用いられている。多数の種々の楊枝の設計が公知である。木の楊枝は主に歯間スペースから食べ物の残りかすを取除くのに用いられる。それらは円形または三角形の断面を有し得る。円形で先端が尖った楊枝は、歯嚢をクリーニングするのに特に適している。歯の接点の領域は木の楊枝ではクリーニングできないので、虫歯形成の危険性は存続する。」(第5頁第16行~第23行)
(イ)「図1aから1eは、硬い第1のプラスチック材料から作られた細長い棒状の支持体11を示し、その高さおよび厚さの両方に関して、先端15に向かって縦方向にわずかに円錐状で先が細くなっており、先端15が丸くなっている。支持体11は特に図1dからわかるように、細長い楕円形の断面を有する。反対側の後端では、支持体11は柄12の役割を果たす幅の広い部分を有する。」(第11頁第14行~第18行)
(ウ)「インサート14の第2のプラスチック材料は支持体11の第1のプラスチック材料よりも軟らかく、可能な限り最高のクリーニング動作を、場合によっては対応の添加物により、得ることを特に目的とする。」(第11頁第22行~第26行)
(エ)「図5aおよび5bに示す歯間クリーナ10は基本的に図4aおよび4bに従った歯間クリーナと対応するが、インサート14は支持体11の先端15まで延在して後者を完全に取り巻く。インサート14は、図示しないが、たとえば支持体11のアンダーカット、または開口部と凸に嵌まり合うような態様で保持される。」(第12頁第18行~第22行)
(オ)【図5】「
[図:0001435660000005.jpg]
」
ウ 周知文献3
特開2013-188299号公報(以下「周知文献3」という。)には、以下の事項が記載されている。
「【0002】
歯間清掃具として、合成樹脂からなる基材部と、エラストマからなる軟質部とを備え、前記基材部は、ハンドル基材と、前記ハンドル基材の先端部に設けた細長い軸状の芯部とを有し、前記軟質部は、前記芯部を被覆する清掃用軟質部を有し、前記ハンドル基材で持ち手としてのハンドル部を構成し、前記芯部と清掃用軟質部とで歯間清掃用の清掃部を構成したものが実用化されている(例えば、特許文献1~3参照。)。」
(3)対比
本願発明と引用発明を対比する。
ア 引用発明の「主杆1」は、その形状から、所定の方向に沿って延出したと表現できるから、本願発明の「第一方向に沿って延出した基部」に相当する。
イ 引用発明の「主杆1と尖鋭部2の間」の「屈曲した部分」は、その形状及び配置から、主杆1の一端部から延出して、所定の方向から当該方向と交差する、尖鋭部2が延出する方向に向かって屈曲したと表現できるから、本願発明の「前記基部の一端部から延出して前記第一方向から前記第一方向と交差する第二方向に向かって屈曲した屈曲部」に相当する。
ウ 引用発明の「主杆1の一端に形成された尖鋭部2」は、その形状及び配置から、屈曲した部分の主杆1とは反対側の端部から、主杆1の延出する方向とは異なる所定の方向に沿って延出したと表現できる。そして、(1)ア(ア)の記載から、「尖鋭部2」は、歯間への挿入が可能な外形で構成されており、同(エ)、(オ)の記載から、引用発明の「プラスチックから一体成形され」た「主杆1全体」には、「尖鋭部2」が含まれる。
エ 上記ア~ウから、引用発明の「主杆1と、主杆1の一端に形成された尖鋭部2を備え、」「主杆1と尖鋭部2の間に屈曲した部分を有」し、「主杆1全体がプラスチックから一体成形され」ることと、本願発明の「第一方向に沿って延出した基部と、前記基部の一端部から延出して前記第一方向から前記第一方向と交差する第二方向に向かって屈曲した屈曲部と、前記屈曲部の前記基部とは反対側の端部から前記第二方向に沿って延出した軸部と、を有する本体と、前記軸部に形成され、前記本体の硬度よりも低い硬度を有する弾性材料である軟質部材からなり前記軸部の外周面全体を被覆すると共に歯間への挿入が可能な外形で構成された清掃部本体と、を備え」ることとは、第一方向に沿って延出した基部と、前記基部の一端部から延出して前記第一方向から前記第一方向と交差する第二方向に向かって屈曲した屈曲部と、を有する本体と、歯間への挿入が可能な外形で構成された清掃部本体と、を備えることの限りで一致する。
オ 引用発明の「広幅に形成され」た「部分」は、(1)ア(エ)、(オ)を参照すると、「屈曲した部分」を含んでいるから、「主杆1」の尖鋭部2側の一端は主杆1の延出方向の中心よりも屈曲した部分側であることは明らかである。また、「主杆1」の尖鋭部2側の一端の部分が「広幅」に形成された部分であることは、主杆1の延出方向と尖鋭部2の延出方向とに直交する方向の長さが主杆1の延出方向と当該直交する方向とに直交する方向の長さよりも長いと表現できる。
したがって、引用発明の「主杆1」の尖鋭部2側の一端の部分が、「広幅」に「形成され」ることは、本願発明の「前記基部の前記第一方向の中心よりも前記屈曲部側に、前記第一方向と前記第二方向とに直交する第三方向の長さが前記第一方向と前記第三方向とに直交する第四方向の長さよりも長い幅広部を有」することに相当する。
カ 引用発明の「屈曲した部分」の「外側に位置する部分」と「内側に位置する部分」は、(1)ア(エ)、(オ)を参照すると、「広幅に形成され」た部分の一部であるから、それぞれ、本願発明の「屈曲部の屈曲外側に位置する腹幅広部分」、「屈曲部の屈曲内側に位置する背幅広部分」に相当する。
したがって、引用発明の「屈曲した部分」の「外側に位置する部分」と「内側に位置する部分」がいずれも連続的に湾曲していることは、本願発明の「前記幅広部の、前記屈曲部の屈曲外側に位置する背幅広部分と、前記屈曲部の屈曲内側に位置する腹幅広部分と、を有し、前記背幅広部分は、前記屈曲部の屈曲に沿って側面視で外方に凸になるように湾曲した曲面であり、前記腹幅広部分は、前記屈曲部の屈曲に沿って側面視で内方に凹になるように湾曲した曲面である」ことに相当する。
キ 引用発明の「歯の清掃具」は、歯間への挿入が可能な外形で構成された「尖鋭部2」を備え、「爪揚子として使用できる」から、本願発明の「歯間清掃具」に相当する。
そうすると、本願発明と引用発明は、
「第一方向に沿って延出した基部と、前記基部の一端部から延出して前記第一方向から前記第一方向と交差する第二方向に向かって屈曲した屈曲部と、を有する本体と、
歯間への挿入が可能な外形で構成された清掃部本体を備え、
前記基部の前記第一方向の中心よりも前記屈曲部側に、前記第一方向と前記第二方向とに直交する第三方向の長さが前記第一方向と前記第三方向とに直交する第四方向の長さよりも長い幅広部を有しており、
前記幅広部の、前記屈曲部の屈曲外側に位置する背幅広部分と、前記屈曲部の屈曲内側に位置する腹幅広部分と、を有し、
前記背幅広部分は、前記屈曲部の屈曲に沿って側面視で外方に凸になるように湾曲した曲面であり、
前記腹幅広部分は、前記屈曲部の屈曲に沿って側面視で内方に凹になるように湾曲した曲面である、歯間清掃具。」
である点で一致し、次の点で相違する。
<相違点>
本願発明では、本体が「前記屈曲部の前記基部とは反対側の端部から前記第二方向に沿って延出した軸部」を有し、清掃部本体が、「前記軸部に形成され、前記本体の硬度よりも低い硬度を有する弾性材料である軟質部材からなり前記軸部の外周面全体を被覆する」のに対し、引用発明では、尖鋭部2が、屈曲した部分の主杆1とは反対側の端部から、主杆1の延出する方向とは異なる所定の方向に沿って延出し、尖鋭部2を含む主杆1全体がプラスチックから一体成形される点。
(4)判断
ア 相違点について
以下、上記相違点について検討する。
歯間清掃具の先端を棒状(軸状)に形成し、その外周面全体を歯間清掃具本体よりも軟らかい(本願でいう硬度が低い)ゴムやエラストマのような軟質の部材で被覆することは、周知文献1~3に記載されるように周知技術である。そして、ゴムやエラストマが弾性材料であることは技術常識である。
そして、引用文献1(上記(1)ア(ア)を参照)には、爪揚子は、歯間の歯垢まで確実に除去しようとすると、歯茎を傷つけるおそれがある旨が記載されている一方、周知文献1(上記(2)ア(ア)~(ウ)を参照)に、つま楊枝と同様に歯間に挿入する先端を柔軟性を有する皮膜2で被覆することで、歯肉にきずを付けることを少なくでき、歯と歯肉のいずれにも無理を与えることなく歯垢を除く目的を果すことが可能である旨が記載されているように、上記周知技術は、歯間の歯垢を除去するにあたり、歯茎を傷つけるおそれを低減するものである。
してみると、引用発明において、歯間の歯垢を除去するにあたり、歯茎を傷つけるおそれを低減するために、上記周知技術を適用し、屈曲した部分の主杆1とは反対側の端部から、主杆1の延出する方向とは異なる所定の方向に沿って延出した尖鋭部2を軸状に形成し、その外周面全体を主杆1全体に用いられるプラスチックよりも軟らかいゴムやエラストマのような軟質の部材で被覆することで、上記相違点に係る本願発明の事項とすることは、当業者が容易に想到できたことである。
イ 効果について
本願明細書の段落【0006】~【0007】、【0029】~【0031】等の記載を踏まえると、本願発明は、「基部」に「幅広部」を有することで、「幅広部」の「背幅広部分」に人差し指の腹を安定して載置することができるとともに、「幅広部」の「腹幅広部分」に親指の腹を安定して載置することができ、清掃部を安定して支持することができ、清掃部の歯間への挿入性と操作性を高めることができる。
これに対し、引用発明は、「主杆1の尖鋭部2の手前の部分が指で摘んだ時向きが変わらないように広幅に形成されて」いるから、本願発明の上記効果と同様の効果を奏する。
よって、本願発明の奏する効果は、引用発明及び周知技術から当業者が予測し得る範囲のものである。
ウ 小括
以上のとおりであるから、本願発明は、引用発明及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものでもある。
第5 むすび
以上のとおりであるから、本願発明は、特許法第36条第6項第2号及び同法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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