特許訂正審判
2019-390130
ランダムアクセスチャンネルを送受信する方法及びそのための装置
- 審判番号
- 2019-390130
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 訂正審判(訂正の審決)
- 出願番号
- 特願2019-501923外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2019年12月26日
- 審決日
- 2020年03月26日
- 公報発行日
- 2020年06月26日
- 結論
- 訂正認容
- 分類
- P141 .852-Y (H04W)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第126条第1項、特許法第126条第3項、特許法第184条の4第1項、特許法第126条第5項、特許法第126条第6項、特許法第126条第7項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特許第6616551号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
特許第6616551号の特許請求の範囲を本件審判請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項[5、6、14-16][7、17-19]について訂正することを認める。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本願は,2018年(平成30年)5月3日(パリ条約による優先権主張 外国庁受理 2017年5月3日 米国、2017年5月17日 米国、2017年10月2日 米国、2017年10月11日 米国、2017年11月17日 米国、2018年1月12日 米国)を国際出願日とする出願であって、令和元年11月15日に特許権の設定登録がなされ、令和元年12月26日に本件訂正審判の請求がされたものである。
第2 請求の趣旨及び訂正の内容
本件訂正審判の請求の趣旨は、特許第6616551号の特許請求の範囲を本件審判請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項5-7、14-19について訂正することを認める、との審決を求めるものであり、その訂正の内容は,次の訂正事項からなる。
1 訂正事項1
特許請求の範囲の請求項5に「少なくとも1つの同期信号ブロック(SSB)の前記端末の送信に関連する第1情報、及び(i)前記端末が前記RACHを送信するための複数のRACHリソース、(ii)前記端末が前記複数のRACHリソース内の前記RACHを送信するための時間区間に関連する第2情報を前記端末に送信するステップと」とあるを、「少なくとも1つの同期信号ブロック(SSB)の送信に関連する第1情報、及び(i)前記端末が前記RACHを送信するための複数のRACHリソース、(ii)前記端末が前記複数のRACHリソース内の前記RACHを送信するための時間区間に関連する第2情報を前記端末に送信するステップ」に訂正する(請求項5を引用する請求項6及び14、及び請求項14を引用する請求項15及び16についても同様に訂正する)。(下線は訂正箇所を示す。以下同様。)
2 訂正事項2
特許請求の範囲の請求項7に「少なくとも1つの同期信号ブロック(SSB)の前記端末の送信に関連する第1情報、及び(i)前記端末が前記RACHを送信するための複数のRACHリソース、(ii)前記端末が前記複数のRACHリソース内の前記RACHを送信するための時間区間に関連する第2情報を前記端末に送信し」とあるを、「少なくとも1つの同期信号ブロック(SSB)の送信に関連する第1情報、及び(i)前記端末が前記RACHを送信するための複数のRACHリソース、(ii)前記端末が前記複数のRACHリソース内の前記RACHを送信するための時間区間に関連する第2情報を前記端末に送信し」に訂正する(請求項7を引用する請求項17、及び請求項17を引用する請求項18及び19についても同様に訂正する)。
第3 当審の判断
1 訂正事項1について
(1)一群の請求項について
訂正事項1に係る訂正前の請求項5、6、14-16は、請求項5の記載を請求項6、14がそれぞれ引用し、請求項14の記載を請求項15、16がそれぞれ引用して記載されるものであるから、一群の請求項である。よって、これらに対応する訂正後の請求項5、6、14-16も一群の請求項である。
したがって、訂正事項1は、当該一群の請求項についてなされているから、特許法第126条第3項の規定に適合するものである。
(2)訂正の目的について
ア 訂正前の請求項5には、「少なくとも1つの同期信号ブロック(SSB)の前記端末の送信に関連する第1情報、及び(i)前記端末が前記RACHを送信するための複数のRACHリソース、(ii)前記端末が前記複数のRACHリソース内の前記RACHを送信するための時間区間に関連する第2情報を前記端末に送信するステップ」と記載されている。この記載のうち、「同期信号ブロック(SSB)の前記端末の送信」との事項は、同期信号ブロック(SSB)を端末が送信することと解する。
イ 同期信号ブロックの送信に関する事項、及び同期信号ブロックの送信に関連する情報の送信に関する事項について、明細書に以下の通りの段落の記載がある(下線は当審が付与)。
「【0014】
本発明の実施例に係る無線通信システムにおいて、基地局がランダムアクセスチャンネル(RandomAccessChannel;RACH)を受信する方法であって、実際に送信される同期信号ブロック(Synchronization Signal Blocks;SSBs)に関する情報及びRACHリソースに対するRACH設定情報を送信して、前記実際に送信されるSSBに関する情報及び前記RACH設定情報をベースとして、前記実際に送信されるSSBにマッピングされたRACHリソース上において、RACH受信を行うことを含み、前記実際に送信されるSSBは、前記RACH設定情報をベースとしたRACH設定周期内において、前記実際に送信されるSSBの数の正の整数倍だけ繰り返してRACHリソースにマッピングされる。」
「【0096】
LTE/LTE-AシステムにおいてPSS/SSSは、全-方位(omni-direction)に送信されるのに対して、mmWaveを適用するgNBがビーム方向を全-方位に回しながらPSS/SSS/PBCHなどの信号をビームフォーミングして送信する方法が考慮されている。このように、ビーム方向を回しながら信号を送信/受信することをビームスイーピング(beamsweeping)又はビームスキャニングという。本発明における「ビームスイーピング」は送信機側の行動であり、「ビームスキャニング」は受信機側の行動である。例えば、gNBが最大N個のビーム方向を持つことができると仮定すると、N個のビーム方向のそれぞれに対してPSS/SSS/PBCHなどの信号を送信する。すなわち、gNBは、自分が持つことのできる又は支援しようとする方向をスイーピングしながら、それぞれの方向に対してPSS/SSS/PBCHなどの同期信号を送信する。又は、gNBがN個のビームを形成できる場合、いくつかのビームを束ねて1つのビームグループとして構成することができ、各ビームグループでPSS/SSS/PBCHが送信/受信されることができる。このとき、1つのビームグループは、1つ以上のビームを含む。同方向に送信されるPSS/SSS/PBCHなどの信号が1つのSSブロックと定義されてもよく、1つのセル内に複数のSSブロックが存在してもよい。複数のSSブロックが存在する場合、各々のSSブロックを区分するために、SSブロックインデックスを使用してもよい。例えば、一システムにおいて10個のビーム方向にPSS/SSS/PBCHが送信される場合、同方向へのPSS/SSS/PBCHが1つのSSブロックを構成することができ、当該システムでは、10個のSSブロックが存在することと理解されてもよい。本発明において、ビームインデックスは、SSブロックインデックスとして解釈されてもよい。」
「【0100】
1)gNBはUEが初期アクセス段階でgNBを検出し、すなわち、セル探索(cell search)又はセル獲得(cell acquisition)を行い、広ビームの各々のチャンネル品質を測定して、ビーム獲得の1次段階で使用する最適な広ビームが検出できるようにするために、広ビーム別に同期ブロック(synchronization block)を送信する。2)UEは各ビームの同期ブロックに対してセル探索を行い、各ビームのセル検出(detection)の結果を用いて下りリンクビーム獲得を行う。3)UEは自分で検出したgNBに自身が接続しようとしていることを通知するためにRACH過程を行う。4)UEがRACH過程と同時に広ビームレベルで下りリンクビーム獲得の結果(例え、ビームインデックス)をgNBに通知するために、前記gNBはビーム別に送信された同期ブロックと、RACH送信のために使用されるRACHリソースを連結又は関連させておく。UEが検出した最適なビーム方向と連結されたRACHリソースを用いてRACH過程を行う場合、gNBはRACHプリアンブルを受信する過程で前記UEに適した下りリンクビームに関する情報を得る。」
「【0135】
> B. UEは多重ビームシナリオにおいて持続にビームを追跡する。このとき、UEは、現在サービスされているサービングビームがいずれのSSブロックと連結されているかの情報を事前にgNBから伝達されたら、前記UEはサービングビームに関連するSSブロックと連結されたRACHリソースと同一の時間領域を自身が送信する時間として解釈する。UEがスケジュールされたスロット内に前記UEのサービングビームに関連するSSブロックと連結されたRACHリソースが存在しない場合、前記UEはビーム不一致(mismatch)が生じたと判断することができる。」
「【0286】
SSブロックは最大8個又は128個送信できるが、実際のシステムにおいては8個又は128個以下で送信できる。gNBが何個のSSブロックを送信したかの情報を別途にシグナリングしない場合、UEはこの情報を正確に知っているため、gNBはこの情報をRMSI(RemainingMinimumSystemInformation)を通じてシグナリングする。この情報をActual Transmitted SS blocks(ATSS)という。」
ウ イで示した明細書の段落【0096】にはgNBがPSS/SSS/PBCHなどの同期信号をSSブロックとして送信することが記載されており、また段落【0100】にはgNBが同期ブロックを送信することが記載されている。更に、段落【0286】にはgNBがSSブロックを送信することが記載されている。
ここで、段落【0096】のSSブロックは、段落【0100】の同期ブロック及び段落【0014】の同期信号ブロックと同義であることは明らかであり、またgNBは基地局であるとの技術常識を考慮すると、イで示した明細書の段落【0096】、【0100】、【0286】には、同期信号ブロックを基地局が送信することが示されていると認められる。そして、同期信号ブロックを端末が送信することは、明細書の上記段落に記載も示唆もされておらず、また明細書の上記段落以外の段落や図面においても記載も示唆もされていない。
しかしながら、上記アで示した通り、訂正前の請求項5は、同期信号ブロックを端末が送信すると解されるから、明細書の内容に矛盾したものとなっている。また、同期信号ブロックを端末が送信するとの事項は、同期信号ブロックは基地局が送信するとの技術常識からしても整合しない。
そして、訂正事項1に係る本件訂正は、請求項5の「少なくとも1つの同期信号ブロック(SSB)の前記端末の送信に関連する第1情報」とあるを「少なくとも1つの同期信号ブロック(SSB)の送信に関連する第1情報」に訂正するものである。上記訂正により、請求項5に係る発明は明細書の記載と符合し、かつ技術常識とも整合するものとなる。
よって、訂正事項1に係る本件訂正は、特許法第126条第1項ただし書第第2号に規定する誤記の訂正を目的とするものである。
(3)願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内であることについて
本件訂正審判に係る訂正事項のうち、特許法第126条第1項ただし書き第2号に掲げる事項を目的とするものについて、同条第5項を適用する際の「外国語書面出願」及び「外国語書面」は、同法第184条の19の規定により、それぞれ「第184条の4第1項の外国語特許出願」「第184条の4第1項の国際出願日における国際出願の明細書、請求の範囲又は図面」となるので、同法第126条第5項で規定する「願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面」は、「第184条の4第1項の国際出願日における国際出願の明細書、請求の範囲又は図面」となる。
すなわち、本件訂正審判に係る訂正事項のうち、特許法第126条第1項ただし書き第2号に掲げる事項を目的とするものについて、同条第5号を適用する際の「願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面」は国際出願日における本件国際出願の明細書、請求の範囲又は図面となる。
そして上記「(2)」のとおり、訂正事項1は、訂正前の請求項5に記載の誤記の訂正を目的とするものであり、訂正事項1に係る訂正により技術的内容が変更されるものではなく、国際出願日における本件国際出願の明細書、請求の範囲又は図面のすべてを総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものでない。
したがって、訂正事項1に係る訂正は、特許法第184条の4第1項の国際出願日における国際出願の明細書、請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第126条第5項に適合するものである。
(4)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでないことについて
上記「(2)」のとおり、訂正事項1は、訂正前の請求項5に記載の誤記の訂正を目的とするものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第126条第6項に適合するものである。
(5)独立特許要件について
上記「(4)」のとおり、訂正事項1に係る訂正は,実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、本件発明は拒絶の理由を発見しないとして特許されたものであって、当該事情を変更する新たな事由もない。
よって、本件発明は特許出願の際に独立して特許を受けることができるものであり、訂正事項1に係る訂正は,特許法第126条第7項の規定に適合するものである。
3 訂正事項2について
(1)一群の請求項について
訂正事項2に係る訂正前の請求項7、17-19は、請求項7の記載を請求項17が引用し、請求項17の記載を請求項18、19がそれぞれ引用して記載されるものであるから、一群の請求項である。よって、これらに対応する訂正後の請求項7、17-19も一群の請求項である。
したがって、訂正事項2は、当該一群の請求項についてなされているから、特許法第126条第3項の規定に適合するものである。
(2)訂正の目的について
ア 訂正前の請求項7には、「少なくとも1つの同期信号ブロック(SSB) の前記端末の送信に関連する第1情報、及び(i)前記端末が前記RACHを送信するための複数のRACHリソース、(ii)前記端末が前記複数のRACHリソース内の前記RACHを送信するための時間区間に関連する第2情報を前記端末に送信し、」と記載されている。この記載のうち、「同期信号ブロック(SSB)の前記端末の送信」との事項は、同期信号ブロック(SSB)を端末が送信することと解する。
イ 同期信号ブロックの送信に関する事項、及び同期信号ブロックの送信に関連する情報の送信に関する事項について、明細書には上記「1 訂正事項1について」の(1)イで示した通りの段落の記載がある。
ウ イで示した明細書の段落【0096】にはgNBがPSS/SSS/PBCHなどの同期信号をSSブロックとして送信することが記載されており、また段落【0100】にはgNBが同期ブロックを送信することが記載されている。更に、段落【0286】にはgNBがSSブロックを送信することが記載されている。
ここで、段落【0096】のSSブロックは、段落【0100】の同期ブロック及び段落【0014】の同期信号ブロックと同義であることは明らかであり、またgNBは基地局であるとの技術常識を考慮すると、イで示した明細書の段落【0096】、【0100】、【0286】には、同期信号ブロックを基地局が送信することが示されていると認められる。そして、同期信号ブロックを端末が送信することは、明細書の上記段落に記載も示唆もされておらず、また明細書の上記段落以外の段落や図面においても記載も示唆もされていない。
しかしながら、上記アで示した通り、訂正前の請求項7は、同期信号ブロックを端末が送信すると解されるから、明細書の内容に矛盾したものとなっている。また、同期信号ブロックを端末が送信するとの事項は、同期信号ブロックは基地局が送信するとの技術常識からしても整合しない。
そして、訂正事項2に係る本件訂正は、請求項7の「少なくとも1つの同期信号ブロック(SSB)の前記端末の送信に関連する第1情報」とあるを「少なくとも1つの同期信号ブロック(SSB)の送信に関連する第1情報」に訂正するものであり、また上記訂正により、請求項7に係る発明は明細書の記載と符合し、かつ技術常識とも整合するものとなる。
よって、訂正事項2に係る本件訂正は、特許法第126条第1項ただし書第第2号に規定する誤記の訂正を目的とするものである。
(3)願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内であることについて
本件訂正審判に係る訂正事項のうち、特許法第126条第1項ただし書き第2号に掲げる事項を目的とするものについて、同条第5項を適用する際の「外国語書面出願」及び「外国語書面」は、同法第184条の19の規定により、それぞれ「第184条の4第1項の外国語特許出願」「第184条の4第1項の国際出願日における国際出願の明細書、請求の範囲又は図面」となるので、同法第126条第5項で規定する「願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面」は、「第184条の4第1項の国際出願日における国際出願の明細書、請求の範囲又は図面」となる。
すなわち、本件訂正審判に係る訂正事項のうち、特許法第126条第1項ただし書き第2号に掲げる事項を目的とするものについて、同条第5号を適用する際の「願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面」は国際出願日における本件国際出願の明細書、請求の範囲又は図面となる。
そして上記「(2)」のとおり、訂正事項2は、訂正前の請求項7に記載の誤記の訂正を目的とするものであり、訂正事項2に係る訂正により技術的内容が変更されるものではなく、国際出願日における本件国際出願の明細書、請求の範囲又は図面のすべてを総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものでない。
したがって、訂正事項2に係る訂正は、特許法第184条の4第1項の国際出願日における国際出願の明細書、請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第126条第5項に適合するものである。
(4)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでないことについて
上記「(2)」のとおり、訂正事項2は、訂正前の請求項7に記載の誤記の訂正を目的とするものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第126条第6項に適合するものである。
(5)独立特許要件について
上記「(4)」のとおり、訂正事項2に係る訂正は,実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、本件発明は拒絶の理由を発見しないとして特許されたものであって、当該事情を変更する新たな事由もない。
よって、本件発明は特許出願の際に独立して特許を受けることができるものであり、訂正事項2に係る訂正は,特許法第126条第7項の規定に適合するものである。
第4 むすび
以上のとおり、本件訂正審判の請求に係る訂正は,特許法第126条第1項ただし書第2号に掲げる目的とするものであり、かつ、同条第5項乃至第7項の規定に適合するものである。
よって、結論のとおり審決する。
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