特許訂正審判
2024-390138
端末デバイス、ネットワークデバイス、及びネットワークデバイスで実施される方法
- 審判番号
- 2024-390138
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 訂正審判(訂正の審決)
- 出願番号
- 特願2023-082141
- 登録番号
- 7513157
- 請求日
- 2024年11月15日
- 審決日
- 2025年03月25日
- 公報発行日
- 2025年06月27日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】日本電気 株式会社
- 【請求人代理人】家入 健
- 審判長/審判官
- 審判長 廣川 浩
- 審判官 中木 努
- 審判官 本郷 彰
- 分類
- P141 .841-Z (H04W) / P141 .851-Z (H04W) / P141 .852-Z (H04W) / P141 .853-Z (H04W) / P141 .854-Z (H04W) / P141 .855-Z (H04W) / P141 .856-Z (H04W)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第126条第1項、特許法第126条第5項、特許法第126条第6項、特許法第36条第6項第1号、特許法第126条第7項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第7513157号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本件訂正審判の請求に係る特許第7513157号は、2018年(平成30年)7月16日を国際出願日とする特願2021-500640号の一部を、令和5年5月18日に新たな特許出願としたものであって、令和6年7月1日に特許権の設定登録がなされたものである。
その後、本件特許について、令和6年11月15日に本件訂正審判の請求がされ、同年12月25日付け(発送日:令和7年1月9日)で訂正拒絶理由を通知し、期間を指定して意見書を提出する機会を与えたが、請求人からは何らの応答もなかった。
第2 請求の趣旨
本件訂正審判の請求の趣旨は、「特許第7513157号の特許請求の範囲を本件審判請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1~6について訂正することを認める、との審決を求める。」というものである。
第3 訂正事項
本件訂正審判の請求に係る訂正事項は以下のとおりである。(下線は訂正箇所)
[訂正事項1]
特許請求の範囲の請求項1に
「前記ネットワークデバイスから前記BFRのための情報に対する応答を受信するために、前記SCe11で物理ダウンリンク制御チャネル(PDCCH)を監視する手段」
と記載されているのを、
「前記ネットワークデバイスから前記BFRのための情報に対する応答に関連する物理ダウンリンク制御チャネル(PDCCH)を前記SCe11で監視する手段」
に訂正する(請求項1の記載を引用する請求項2~6も同様に訂正する)。
第4 訂正拒絶理由の概要
当審が令和6年12月25日付けで通知した訂正拒絶理由の概要は、以下のとおりである。
訂正事項1に係る訂正は、特許法第126条第1項ただし書各号を目的とするものとはいえず、また、特許法第126条第5項ないし7項の規定に適合するものではないから、本件訂正を認めることはできない。
第5 当審の判断
[訂正事項1]
1 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であることについて
請求人は、審判請求書の「6」の「(3)」の「イ」の「(ア)」の「c 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること」(審判請求書3ページ)において、段落[0068]には、「・・・(略)・・・BFR要求に対する応答は、PDCCHを介して伝送されてもよい。」と記載がなされており、当該訂正事項1は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であると主張している。
しかしながら、段落[0068]に記載された、「BFR要求に対する応答は、PDCCHを介して伝送されてもよい。」との記載は、BFR要求に対する応答自体が、PDCCHを介して伝送されることを記載したものであって、BFR要求に対する応答以外の、BFR要求に対する応答に関連する情報がPDCCHを介して伝送されることを記載するものではない。また、そもそも、BFR要求に対する応答以外の、応答に関連する情報、例えば、BFR要求に対する応答を受信するためのスケジューリング情報や復号するための参照信号などが伝送されること自体、記載されていない。
そして、上記段落[0068]を含め発明の詳細な説明全体を見ても、訂正事項1のような「前記BFRのための情報に対する応答に関連する物理ダウンリンク制御チャネル(PDCCH)」を伝送、監視することは記載されていない。
してみれば、訂正事項1は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内でされたものであるとはいえない。
したがって、訂正事項1は、特許法第126条第5項の規定に適合するものではない。
2 訂正の目的について
上記「1」で検討した明細書の段落[0068]の記載内容を踏まえると、訂正前の請求項1の「前記ネットワークデバイスから前記BFRのための情報に対する応答を受信するために、前記SCellで物理ダウンリンク制御チャネル(PDCCH)を監視する手段」は、BFRのための情報に対する応答自体を、PDCCHで監視するものと解される。
一方で、訂正後の請求項1における「前記ネットワークデバイスから前記BFRのための情報に対する応答に関連する物理ダウンリンク制御チャネル(PDCCH)を前記SCe11で監視する手段」は、BFRのための情報に対する応答自体ではなく、BFR要求に対する応答に関連する情報を、PDCCHで監視するものと解される。
そうすると、訂正前の請求項1の「前記SCellで物理ダウンリンク制御チャネル(PDCCH)を監視する手段」がPDCCHで監視する情報と、訂正後の請求項1の「物理ダウンリンク制御チャネル(PDCCH)を前記SCe11で監視する手段」がPDCCHで監視する情報では、情報が相違している。したがって、訂正後の請求項1の「物理ダウンリンク制御チャネル(PDCCH)を前記SCe11で監視する手段」がPDCCHで監視する情報は、訂正前の請求項1の「前記SCellで物理ダウンリンク制御チャネル(PDCCH)を監視する手段」がPDCCHで監視する情報を減縮したものとはなっていない。
よって、訂正事項1は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものとはいえない。
ここで、請求人は、審判請求書の「6」の「(3)」の「イ」の「(ア)」の「a 訂正の目的について」(審判請求書2ページから3ページ)において、訂正前の請求項1に係る発明では、「前記ネットワークデバイスから前記BFRのための情報に対する応答を受信するために、前記SCe11で物理ダウンリンク制御チャネル(PDCCH)を監視する手段」として、物理ダウンリンク制御チャネル(PDCCH)がどのような情報であるかについては特定されておらず、訂正後の請求項1に係る発明では、「前記ネットワークデバイスから前記BFRのための情報に対する応答に関連する物理ダウンリンク制御チャネル(PDCCH)を前記SCe11で監視する手段」とすることにより、物理ダウンリンク制御チャネル(PDCCH)が前記ネットワークデバイスから前記BFRのための情報に対する応答に関連する情報であることを明らかにすることで、特許請求の範囲を減縮しようとするものであるから、当該訂正事項1は、特許法第126条第1項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものであると主張する。
しかしながら、上記したように、訂正事項1により「物理ダウンリンク制御チャネル(PDCCH)」で監視する情報が、訂正前後で相違しており、また訂正後の請求項1の「物理ダウンリンク制御チャネル(PDCCH)を前記SCe11で監視する手段」がPDCCHで監視する情報は、訂正前の請求項1の「前記SCellで物理ダウンリンク制御チャネル(PDCCH)を監視する手段」がPDCCHで監視する情報を減縮したものとはなっていない。したがって、請求人の上記主張を採用することはできない。
また、訂正後の請求項1に係る発明では、「物理ダウンリンク制御チャネル(PDCCH)」が「前記ネットワークデバイスから前記BFRのための情報に対する応答に関連する」ということを特定しているものの、当該特定によって、訂正前の請求項1に記載のあった「前記ネットワークデバイスから前記BFRのための情報に対する応答を受信するために、」という「前記SCe11で物理ダウンリンク制御チャネル(PDCCH)を監視する手段」を特定する記載が削除された記載となっており、該削除は、直列的に記載された発明を特定するための事項の一部の削除に該当するものであるため、特許法第126条第1項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当しない。
さらに、訂正事項1が「誤記又は誤訳の訂正」、「明瞭でない記載の釈明」、「請求項間の引用関係の解消」を目的とするものでないことは明らかである。
よって、訂正事項1は、特許法第126条第1項ただし書各号に掲げる事項を目的とするものとはいえない。
3 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないことについて
上記「2」で検討したように、訂正前の請求項1の「前記SCellで物理ダウンリンク制御チャネル(PDCCH)を監視する手段」がPDCCHで監視する情報と、訂正後の請求項1の「物理ダウンリンク制御チャネル(PDCCH)を前記SCe11で監視する手段」がPDCCHで監視する情報では、情報が相違しているから、訂正前後では「前記SCellで物理ダウンリンク制御チャネル(PDCCH)を監視する情報」が変更されていることになる。したがって、訂正事項1は、実質上特許請求の範囲を変更するものである。
また、訂正前の請求項1に記載のあった「前記ネットワークデバイスから前記BFRのための情報に対する応答を受信するために、」という「前記SCe11で物理ダウンリンク制御チャネル(PDCCH)を監視する手段」を特定する記載を削除することは、「前記SCe11で物理ダウンリンク制御チャネル(PDCCH)を監視する手段」に対する限定を削除するものであるから、実質上特許請求の範囲は拡張されている。したがって、訂正事項1は、実質上特許請求の範囲を拡張するものである。
したがって、特許法第126条第6項の規定に適合するものではない。
4 独立特許要件について
訂正後の請求項1には、「前記SCellでビーム障害が検出されたことに応答して、候補ビームと前記SCellのインデックスとを示すビーム障害回復(BFR)のための情報を前記ネットワークデバイスに送信する手段」が記載されている。当該記載によれば、「前記SCellのインデックス」は、ビーム障害が検出された「前記SCell」のインデックスを表すものと解される。
一方、明細書には、セルの「インデックス」について、段落[0045]に「いくつかの実施形態では、例えば、PDCCHオーダー内のいくつかの予約ビットを占有するフィールドは、BFR要求が伝送されるセルのインデックスを示すために使用されることができる。例えば、セルのインデックスを示すために、PDCCHオーダーで3ビットを使用してもよい。」との記載がある。当該記載によれば、「セルのインデックス」は、「BFR要求が伝送される」セルのインデックスを表すものであって、訂正後の請求項1のような、ビーム障害が検出された「前記SCell」のインデックスを表すものではない。また、段落[0050]に「いくつかの実施形態では、例えば、PDCCHオーダーにおけるいくつかの予約ビットを占有するフィールドは、BFR要求がトリガされるセルのインデックスを示すために使用されることができる。」との記載がある。しかしながら、当該記載における「BFR要求がトリガされるセル」とは、どのようなセルを表しているのか明確でなく、訂正後の請求項1のような、ビーム障害が検出された「前記SCell」のインデックスを表すものとはいえない。
そして、上記段落[0045]及び[0050]を含め発明の詳細な説明全体を見ても、訂正後の請求項1のような、ビーム障害が検出された「前記SCell」のインデックスを表すものは記載も示唆もされていない。
したがって、訂正後の請求項1の「前記SCellでビーム障害が検出されたことに応答して、・・・前記SCellのインデックスとを示すビーム障害回復(BFR)のための情報を前記ネットワークデバイスに送信する」ことは、発明の詳細な説明に記載されたものとはいえない。
請求項1を引用する請求項2ないし6に係る発明についても同様である。
以上のとおり、訂正後の請求項1ないし6に係る発明は、特許法第36条第6項第1号の要件を満たしていないから、特許出願の際に独立して特許を受けることができるものではない。 よって、訂正事項1は、特許法第126条第7項の規定に適合しない。
第6 訂正拒絶理由に対する請求人の主張
令和6年12月25日付けで訂正拒絶理由を通知し、期間を指定して意見書を提出する機会を与えたが、請求人からは何らの応答もなかったことから、上記「第5」で説示した当審の判断に対する請求人の主張はない。
第7 むすび
以上のとおり、訂正事項1に係る訂正は、特許法第126条第1項ただし書各号に掲げるいずれの事項を目的とするものでもなく、また、特許法第126条第5項ないし7項の規定に適合するものではないから、本件訂正を認めることはできない。 よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。
J-PlatPat 審決検索を開く
2024-390138