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特許拒絶査定不服審判

2019-011909

FDD-TDDジョイントキャリアアグリゲーションのためのアップリンク制御シグナリング

審判番号
2019-011909
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2016-523846外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2019年09月09日
審決日
2020年07月29日
公報発行日
2021年02月26日
結論
請求不成立
審判長/審判官
分類
P18 .121-Z (H04W) / P18 .113-Z (H04W)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項、特許法第17条の2第5項第2号、特許法第17条の2第6項、特許法第29条第1項第3号
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

特願2016-523846「FDD-TDDジョイントキャリアアグリゲーションのためのアップリンク制御シグナリング」拒絶査定不服審判事件〔平成26年12月31日国際公開、WO2014/209959、平成28年 9月29日国内公表、特表2016-530761〕について、次のとおり審決する。

結論

【結 論】
本件審判の請求は、成り立たない。

理由

目次 ▾ 11項目
【理 由】

第1 手続の経緯

折りたたみ中(クリックで表示)

本願は、2014年(平成26年)6月24日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2013年6月28日 米国、2013年8月15日 米国、2013年8月22日 米国、2014年6月10日 米国)を国際出願日とする出願であって、その手続の経緯の概略は以下のとおりである。

平成29年 6月16日  :手続補正書の提出
平成30年 4月26日付け:拒絶理由通知書
平成30年11月 2日  :意見書の提出
平成31年 4月24日付け:拒絶査定
令和 元年 9月 9日  :拒絶査定不服審判の請求、手続補正書の提出

第2 令和元年9月9日にされた手続補正についての補正の却下の決定

[補正の却下の決定の結論]

令和元年9月9日にされた手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。

[理由]

1 本件補正の概要

本件補正は、平成29年6月16日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項13に記載された

「ユーザ機器デバイスであって、
時分割複信(TDD)モードで動作し、1次サービングセル(PCell)として指定される第1のサービングセルへの接続を確立し、周波数分割複信(FDD)モードで動作し、2次サービングセル(SCell)として指定される第2のサービングセルへの接続を確立するように構成される、プロセッサ回路と、
前記SCellで、ダウンリンクサブフレームにおいて、物理ダウンリンク共有チャネル(PDSCH)メッセージを受信するように構成される、レシーバ回路と、
選択されるアップリンクサブフレームにおいて、前記受信したPDSCHメッセージに対応する肯定応答メッセージを送信するように構成される、トランスミッタ回路と、
を含む、デバイス。」との発明(以下、「本願発明」という。)を、
「ユーザ機器デバイスであって、
時分割複信(TDD)モードで動作し、1次サービングセル(PCell)として指定される第1のサービングセルへの接続を確立し、周波数分割複信(FDD)モードで動作し、2次サービングセル(SCell)として指定される第2のサービングセルへの接続を確立するように構成される、プロセッサ回路と、
前記SCellで、ダウンリンクサブフレームにおいて、物理ダウンリンク共有チャネル(PDSCH)メッセージを受信するように構成される、レシーバ回路と、
前記PCellの前記複信モードに基づく肯定応答を送るためにアップリンクサブフレームを選択し、前記PCellの選択されるアップリンクサブフレームにおいて前記受信したPDSCHメッセージに対応する肯定応答メッセージを送信するように構成される、トランスミッタ回路と、
を含む、デバイス。」(下線は補正箇所を示す。)との発明(以下、「補正後の発明」という。)に補正することを含むものである。

2 補正の適否

(1)補正の目的要件

本件補正は、本願発明の「トランスミッタ回路」について、「前記PCellの前記複信モードに基づく肯定応答を送るためにアップリンクサブフレームを選択し、前記PCellの選択されるアップリンクサブフレームにおいて」との限定を付し、これに伴い、「選択されるアップリンクサブフレーム」を「前記PCellの選択されるアップリンクサブフレーム」とするものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。したがって、本件補正は特許法第17条の2第5項第2号に掲げる事項を目的とするものである。

(2)独立特許要件

本件補正は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるから、補正後の発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか否かについて、以下検討する。

ア 補正後の発明

補正後の発明は、上記「1 本件補正の概要」の「補正後の発明」のとおりのものと認める。また、補正後の発明は以下のとおり構成要件に分説することができる(以下、「補正後の発明の構成要件A」などという。)

「A ユーザ機器デバイスであって、
B 時分割複信(TDD)モードで動作し、1次サービングセル(PCell)として指定される第1のサービングセルへの接続を確立し、周波数分割複信(FDD)モードで動作し、2次サービングセル(SCell)として指定される第2のサービングセルへの接続を確立するように構成される、プロセッサ回路と、
C 前記SCellで、ダウンリンクサブフレームにおいて、物理ダウンリンク共有チャネル(PDSCH)メッセージを受信するように構成される、レシーバ回路と、
D 前記PCellの前記複信モードに基づく肯定応答を送るためにアップリンクサブフレームを選択し、前記PCellの選択されるアップリンクサブフレームにおいて前記受信したPDSCHメッセージに対応する肯定応答メッセージを送信するように構成される、トランスミッタ回路と、
E を含む、デバイス。」

イ 引用発明

原査定の拒絶の理由に引用された特開2012-054711号公報(以下、「引用例」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている。(下線は、強調のために当審が付与した。)

「【0004】
LTE-A システムでは、更なる周波数利用効率及びピークスループットなどの向上を目標とし、LTEよりも広帯域な周波数の割当てが検討されている。また、LTE-A(例えば、Rel.10)では、LTEとの後方互換性(Backward compatibility) を持つことが一つの要求条件であり、このため、LTEが使用可能な帯域幅を有する基本周波数ブロック(コンポーネントキャリア(CC :Component carrier))を複数有する周波数帯域の採用が検討されている。
(中略)
【0014】
続きを表示(全96行)
図1は、LTE-Aシステムで合意されている階層型帯域幅構成を示す図である。図1に示す例は、複数のコンポーネントキャリア(CC)で構成される第1システム帯域を持つ第1移動通信システムであるLTE-Aシステムと、1つのコンポーネントキャリアで構成される第2システム帯域を持つ第2移動通信システムであるLTEシステムが併存する場合の階層型帯域幅構成である。LTE-Aシステムにおいては、例えば、最大100MHzの可変のシステム帯域幅で無線通信し、LTEシステムにおいては、最大20MHzの可変のシステム帯域幅で無線通信する。LTE-Aシステムのシステム帯域は、LTEシステムのシステム帯域を一単位とする少なくとも一つのコンポーネントキャリアを含み、ダイナミックに又は準静的にコンポーネントキャリア数を追加または削除する。このように、複数のコンポーネントキャリアで広帯域化することをキャリアアグリゲーションという。
【0015】
例えば、図1においては、LTE-Aシステムのシステム帯域は、LTEシステムのシステム帯域(ベース帯域:20MHz)を一つのコンポーネントキャリアとする5つのコンポーネントキャリアの帯域を含むシステム帯域(20MHz×5=100MHz)となっている。図1においては、移動端末装置#1(UE(User Equipment)#1)は、LTE-Aシステム対応(LTEシステムにも対応)のユーザ端末であり、100MHzまでのシステム帯域に対応可能である。UE#2は、LTE-Aシステム対応(LTEシステムにも対応)のユーザ端末であり、40MHz(20MHz×2=40MHz)までのシステム帯域に対応可能である。UE#3は、LTEシステム対応(LTE-Aシステムには対応せず)のユーザ端末であり、20MHz(ベース帯域)までのシステム帯域に対応可能である。
【0016】
また、上述したように、移動局装置と無線基地局装置との無線通信システムに適用される複信(デュプレックス)方式としては、FDD方式とTDD方式がある(図2参照)。例えば、LTEシステムにおいてFDD方式を適用していた場合には、後方互換性の観点から、LTE-Aにおいても各基本周波数ブロック(CC)でFDD方式を適用することが考えられる。しかし、LTE-Aシステムでは、高速伝送を実現するために周波数帯域幅の拡大が必要となり、FDDでは上りと下りのペアバンドの確保が困難となる問題がある。また、TDD方式では、上り・下りとも送信が可能である期間が制限されるため、伝送遅延が増大し、カバレッジが減少する問題が考えられる。そのため、全てのCCで同一の方式を適用する場合には、通信に不具合が生じる可能性が考えられる。
【0017】
一方で、FDD方式は、上りと下りに対して異なる周波数帯域が割当てられ、常時、上り及び下りにおいて送信が可能(全ての送信時間間隔(TTI)(LTEではサブフレーム(Subframe))において上り及び下りの無線リソースにデータや制御情報等の各種情報の割当てが可能)であるため、伝送遅延を抑制し各種情報の送受信のタイミングを柔軟に設定することができるという利点を有している。また、TDD方式は、上りと下りの周波数帯域が同じであるため、上りと下りのフェージングの瞬時変動も含めて送信と受信の回線は同じ伝搬特性となる。そのため、受信で用いている重み付け係数(チャネル係数)をそのまま送信での重み付けに適用することにより(Channel reciprocity(チャネル可逆性))、受信部からのチャネル状態情報のフィードバックを低減することができるという利点を有している。
【0018】
そこで本発明者は、複数の基本周波数ブロックで広帯域化するキャリアアグリゲーションシステムにおいて、異なる基本周波数ブロックにおいてFDD方式とTDD方式(又はHalf duplex FDD方式)を組み合わせて適用することを着想し、本願発明に至った。また、複数のコンポーネントキャリアで広帯域化するキャリアアグリゲーションシステムにおいて、異なる複信(デュプレックス)方式を適用する場合に、通信の制御に必要な制御系の情報(制御情報)とデータ系の情報(データ情報)の割当てを、複信方式を考慮して設定して情報の送信を制御することを着想し、本願発明に至った。
【0019】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。なお、本実施の形態においては、本発明をLTE-Aに適用した例について説明するが、本発明はLTE-Aに適用した場合に限定されるものではない。複数の基本周波数ブロックを一体として広帯域化するキャリアアグリゲーションにおいて、異なる複信(デュプレックス)方式を適用する無線通信システムであれば、本発明をどのような無線通信システムに適用してもよい。
【0020】
また、以下の説明において、基本周波数ブロック(CC)の数が2つである場合について説明しているが、本発明はこれに限定されず、CCの数が2つより多い場合であっても、FDD方式とTDD方式を適宜組み合わせて適用することができる。
【0021】
<FDD方式/TDD方式から構成される無線通信システム>
本実施の形態で示す無線通信システムは、無線基地局装置とユーザ端末(移動端末装置)との無線通信に割当てる周波数帯域を基本周波数ブロック単位で追加または削除して構成される無線通信システムであり、周波数帯域が複数の基本周波数ブロックで構成される場合に、周波数帯域を少なくともFDD方式の無線通信を行う第1の基本周波数ブロックと、TDD方式の無線通信を行う第2の基本周波数ブロックとで構成する(図3参照)。
【0022】
図3では、第1の基本周波数ブロック(CC#1)でFDD方式の無線通信を行い、第2の基本周波数ブロック(CC#2)でTDD方式の無線通信方式を行う場合を示している。FDD方式を適用するCC#1では、上りの通信と下りの通信を互いに異なる周波数(ペアバンド)で行い、TDD方式を適用するCC#2では、上りの通信と下りの通信を同一の周波数を用いて時間で分離している。
【0023】
CC#1では、上りと下りに対して異なる周波数帯域が割当てられ、常時、上り及び下りにおいて送信が可能であるため、伝送遅延を抑制し各種情報の送受信のタイミングを柔軟に設定することができる。一方、CC#2では、上りと下りの周波数帯域が同じであるため、Channel reciprocityを利用した無線通信を行うことができる。
【0024】
したがって、各CCに対して、2つの複信方式の利点や、LTEシステムとの後方互換性の観点等に基づいて、無線基地局装置と移動端末装置との無線通信を制御する制御情報やデータ等の各種情報の割当てを制御することにより、情報の伝送を効率的に行うことが可能となる。制御情報としては、同期チャネル信号、PBCH信号、PRACH信号、下りリンクL1/L2制御チャネル信号、上りリンクL1/L2制御チャネル信号等がある。
【0025】
以下に、複数の基本周波数ブロックに対して異なる複信方式を適用する場合に、各基本周波数ブロックに対する各種情報(チャネル信号、参照信号等)の割当て方法について具体的に説明する。
(中略)
【0042】
<上りリンクL1/L2制御信号>
図7に、FDD方式が適用される第1の基本周波数ブロック(CC#1)及びTDD方式が適用される第2の基本周波数ブロック(CC#2)で構成される無線通信システムにおいて、上りリンクL1/L2制御信号の送信の一例を示す。
【0043】
上りリンクL1/L2制御信号は、レイヤ1とレイヤ2間の制御のための信号であり、下り周波数スケジューリングのためのチャネル品質情報(CQI:Channel Quality Indicator)報告、下り送信データに対するACK/NACK、移動端末装置がデータ送信のために上りリンクリソースを必要とすることを表示するためのスケジューリング要求等の制御情報から構成される。
【0044】
また、上りリンクで送信される制御信号は、ユーザデータと同時に送信する場合はPUSCHと時間多重され、制御信号のみを送信する場合は、上りリンク制御チャネル(PUCCH:Physical Uplink Control Channel)に割り当てられる。
【0045】
PUCCHは、移動端末装置で測定した受信チャネル品質情報、および下りリンクのPDSCHの送達確認情報を送信するために用いられる。サブフレーム構成は、1スロット(1/2サブフレーム)に7つのSC-FDMAシンボルを含んでおり、ピーク電力の増大を抑制するために、データ信号と参照信号を時間多重している。また、上記の移動端末装置で測定した受信チャネル品質情報(CQI)、および下りリンクのPDSCHの送達確認情報(ACK/NACK)はともに、12サブキャリア帯域で送信される。具体的には、CQIとACK/NACKを送信する場合で異なるサブフレーム構成をとっており、ACK/NACKのサブフレーム構成(ACK/NACKフォーマット)は、スロット内の第3シンボル~第5シンボルにRSを多重し、他のシンボル(第1シンボル、第2シンボル、第6シンボル、第7シンボル)に制御情報(ACK/NACK)が多重される。前記スロットは、1サブフレームにおいて2回繰り返されている。また、PUCCHはシステム帯域の両端の無線リソースに多重され、1サブフレーム内の異なる周波数帯域を有する2スロット間で周波数ホッピング(Inter-slot FH)が適用される。
【0046】
本実施の形態では、第1の基本周波数ブロック(CC#1)に対応する上りリンクL1/L2制御信号と第2の基本周波数ブロック(CC#2)に対応する上りリンクL1/L2制御信号を、FDD方式が適用されるCC#1又はTDD方式が適用されるCC#2のいずれかの上りリンクの無線リソースに集約して割当てる。
【0047】
図7では、CC#1に対応するPUCCHとCC#2に対応するPUCCHをCC#1の上りリンクの無線リソースに集約して割当てて情報を送信する場合を示している。具体的には、CC#2に対応する上りの制御信号をCC#1のPUCCHに割当てて情報を送信する。
【0048】
TDD方式を適用する第2の基本周波数ブロックにおいては、上りと下りが時間で分離されているため、TDD方式の上りに対応するサブフレーム期間(図中「UL期間」)においては、上り制御信号を送信しなくてもよい。つまり、CC#1の上りリンクのPUCCHにおいては、CC#1とCC#2に対応する上り制御信号が割当てられる場合と、CC#1の上り制御信号のみが割当てられる場合がある。この場合、CC#1の上りリンクのPDCCHにおいて、CC#1とCC#2に対応する上り制御信号が割当てられる場合と、CC#1の上り制御信号のみが割当てられる場合においてビット情報が異なる。そのため、それぞれの場合において拡散率や信号構成等が異なるPUCCHフォーマットを適用してもよい。
【0049】
また、上りリンクで送信される制御信号が、ユーザデータと同時に送信される場合は、CC#1に対応するPUCCHとCC#2に対応するPUCCHを、CC#1及び/又はCC#2のPUSCHに多重して送信することができる。制御信号を送信するCC数を一つに限定する必要がある場合、CC#1に対応するPUCCHとCC#2に対応するPUCCHを、CC#1あるいはCC#2のPUSCHに集約(時間多重)して送信することが好ましい。
【0050】
一方、TDD方式を中心とする場合、CC#1に対応するPUCCHとCC#2に対応するPUCCHをCC#2の上りリンクの無線リソースに集約して割当てて送信してもよい。この場合には、TDD方式を適用するCC#2においては、FDD方式を適用するCC#1と比較して、時間方向において上りのTTIが少ないため、CC#2の上りの1つのTTIに対して複数のTTIに対応するPUCCHを集約して割当てて送信することが好ましい(図8参照)。
【0051】
<共有データチャネル>
図9に、FDD方式が適用される第1の基本周波数ブロック(CC#1)及びTDD方式が適用される第2の基本周波数ブロック(CC#2)で構成される無線通信システムにおいて、共有データチャネル(PDSCH、PUSCH)信号の送信の一例を示す。
【0052】
共有データチャネル信号としては、高いデータレートが要求されるデータトラヒックの他に、報知情報(SI:System Information)、音声データ(VoIP:Voice over IP)等、伝送速度そのものよりもカバレッジの確保が優先されるものがある。
【0053】
LTEシステムにおいて使用される報知情報は、PBCHを用いて送信されるMIB(Master Information Block)及びPDSCHを用いて送信されるSIB(System Information Block)に分類されている。この場合、MIBには、下りリンクを受信するための必要な情報(下りリンクの帯域幅、下りリンク制御チャネル構成等)が含まれている。一方、SIBは、SIB1からSIBxに分類されており、SIB1には後続のSIBのスケジューリング情報、SIB2以降にはセル単位の報知情報等のシステムインフォメーションがそれぞれ含まれている。また、システムインフォメーションの変更は、SIB1に含まれるタグ情報(System Info Value Tag)やPCH(Paging Channel)のフラグによって移動端末装置に認識される。
【0054】
また、音声データ(VoIP)を実現するために、セミパーシステントスケジューリング(SPS:Semi Persistent Scheduling)の適用が検討されている。SPSは、下りリンクに関しては、無線基地局装置が、PDCCHを介して下りリンクスケジューリング情報を移動端末装置に対して送信したサブフレーム(割当開始時点)を起点として、下り無線リソース(PDSCH)を、所定周期で固定的に当該移動局に割り当てるように構成されている。また、上りリンクに関しては、無線基地局装置は、PDCCHを介して上りリンクスケジューリンググラントをユーザ装置に対して送信したサブフレームから4ms後のサブフレーム(割当開始時点)を起点として、該上り無線リソース(PUSCH)を、所定周期で固定的に当該ユーザ装置に割り当てる。
【0055】
本実施の形態では、共有データチャネル信号を、FDD方式が適用される第1の基本周波数ブロック(CC#1)又はTDD方式が適用される第2の基本周波数ブロック(CC#2)のいずれかを用いて行う。
【0056】
図9では、PDSCHを用いて送信する報知情報をFDD方式が適用されるCC#1の下りの無線リソースに割当てて(CC#1のPDSCHを用いて)送信する。これにより、カバレッジを確保できるという効果を奏することができる。
【0057】
また、VoIPをFDD方式が適用されるCC#1の上り及び下りの無線リソースに割当てて(CC#1のPDSCHとPUSCHを用いて)、セミパーシステントスケジューリングを適用する。つまり、VoIPを、FDD方式を適用する第1の基本周波数ブロックのペアバンドを用いて行う。この場合、カバレッジを確保できるという効果を奏することができる。
【0058】
一方、TDD方式を中心とする場合、報知情報をTDD方式が適用されるCC#2の下りの無線リソースに割当てて(CC#2のPDSCHを用いて)送信し、VoIPをTDD方式が適用されるCC#2の上り及び下りの無線リソースに割当てて(CC#2のPDSCHとPUSCHを用いて)送信してもよい。
【0059】
また、FDD方式が適用されるCC#1と、TDD方式が適用されるCC#2で異なるスクランブルを適用してもよい。例えば、CC#1に対してCell-specificスクランブルを適用し、CC#2に対してUE-specificスクランブルを適用することができる。
(中略)
【0075】
<システム構成図>
以下に、上述した無線通信システムを適用する移動端末装置及び無線基地局装置等の構成について説明する。ここでは、LTE-Aシステムに対応する複数のアンテナを具備する無線基地局装置及び移動端末装置を用いる場合について説明する。
【0076】
まず、図13を参照しながら、移動端末装置200及び無線基地局装置100を有する無線通信システム1について説明する。図13は、本発明の一実施の形態に係る移動端末装置200及び無線基地局装置100を有する無線通信システム10の構成を説明するための図である。なお、図13に示す無線通信システム10は、例えば、LTEシステムが包含されるシステムである。
【0077】
図13に示すように、無線通信システム10は、無線基地局装置100と、この無線基地局装置100と通信する複数の移動端末装置200(2001、2002、2003、・・・200n、nはn>0の整数)とを含んで構成されている。無線基地局装置100は、コアネットワーク40と接続される。移動端末装置200は、セル50において無線基地局装置100と通信を行っている。なお、コアネットワーク40には、例えば、アクセスゲートウェイ装置、無線ネットワークコントローラ(RNC)、モビリティマネジメントエンティティ(MME)等が含まれるが、これに限定されるものではない。
【0078】
無線通信システム10においては、無線アクセス方式として、下りリンクについてはOFDMAが、上りリンクについてはSC-FDMAが適用される。
【0079】
OFDMAは、周波数帯域を複数の狭い周波数帯域(サブキャリア)に分割し、各サブキャリアにデータをマッピングして通信を行うマルチキャリア伝送方式である。SC-FDMAは、端末毎に連続した帯域にデータをマッピングして通信を行うシングルキャリア伝送方式であり、複数の端末が互いに異なる帯域を用いることで、マルチアクセスを実現する。
【0080】
ここで、LTEシステムにおける通信チャネルについて説明する。下りリンクについては、各移動端末装置200のトラヒックデータを伝送するPDSCH、および各移動端末装置200にPDSCHにおけるRBの割り当て情報、データ変調方式・チャネル符号化率,再送関連情報等のL1/L2制御情報を通知するPDCCH等が用いられる。また、チャネル推定、受信品質測定等に用いられる参照信号がこれらのチャネルと共に送信される。
【0081】
上りリンクについては、各移動端末装置200のトラヒックデータを伝送するPUSCH、および下り周波数スケジューリングのためのチャネル品質情報(CQI)報告、下り送信データに対するACK/NACK等のL1/L2制御情報を伝送するPUCCH等が用いられる。また、チャネル推定に用いられる復調用参照信号やチャネル品質測定に用いられるチャネル品質測定用参照信号がこれらのチャネルと共に送信される。
(中略)
【0088】
次に、図15を参照して、上述した無線通信システムを構成する移動端末装置の機能構成の一例について説明する。
【0089】
図15に示す移動端末装置は、送信部と、受信部とを備えている。送信部は、上り共有チャネル生成部201と、上りL1/L2制御チャネル生成部202と、ランダムアクセスチャネル生成部203と、各信号の無線リソースへの割当てを行うリソースマッピング部211~213と、マッピングされた情報に逆高速フーリエ変換するIFFT部221、222と、CPを付加するCP付加部231、232と、FDD方式を適用する情報を送信する第1の送信回路部241と、TDD方式を適用する情報を送信する第2の送信回路部242とを有している。
【0090】
上り共有チャネル生成部201は、上りの無線リソースで上り共有チャネルを用いて送信する信号(PUSCH信号)を生成する。上りL1/L2制御チャネル生成部202は、上りL1/L2制御チャネルを用いて送信する信号(PUCCH信号等)を生成する。ランダムアクセスチャネル生成部203は、上りの無線リソースでランダムアクセスチャネルを用いて送信する信号(PLACH信号([当審注]:「PLACH信号」は「PRACH信号」の誤記である))を生成する。
【0091】
リソースマッピング部211~213は、上り共有チャネル生成部201、上りL1/L2制御チャネル生成部202、ランダムアクセスチャネル生成部203で生成された信号について、無線リソースへの割当を行う。具体的には、FDD方式を適用する第1の基本周波数ブロックとTDD方式を適用する第2の基本周波数ブロックに対して各信号のマッピングを行う。ここでは、通信の制御に必要な制御情報を第1の基本周波数ブロックに割当て、それ以外のデータ情報を第2の基本周波数ブロックに割当てる場合を示しているが、これに限られず上記図4~図11で示した割当てを適用することができる。なお、図14では、参照信号について図示していないが、生成された参照信号についてもリソースマッピング部を用いていずれかの基本周波数ブロックに割当てることができる。
【0092】
受信部は、FDD方式を適用する情報を受信する第1の受信回路部291と、TDD方式を適用する情報を受信する第2の受信回路部292と、CPを除去するCP除去部281、282と、受信信号を高速フーリエ変換(FFT)するFFT部271、272と、多重された信号を分離するリソースデマッピング部261~264と、同期チャネル検出部251と、報知チャネル受信部252と、下りL1/L2制御チャネル受信部253と、下り共有チャネル受信部254とを有している。
【0093】
なお、本発明の範囲を逸脱しない限りにおいて、上記説明における処理部の数、処理手順については適宜変更して実施することが可能である。また、図に示される要素の各々は機能を示しており、各機能ブロックがハードウエアで実現されても良く、ソフトウエアで実現されてもよい。その他、本発明の範囲を逸脱しないで適宜変更して実施することが可能である。」(発明の詳細な説明【0004】、【0014】ないし【0025】、【0042】ないし【0059】、【0075】ないし【0081】、【0088】ないし【0093】)
「【図8】
」

上記の記載、並びに当業者の技術常識を考慮すると、次のことがいえる。

(ア)引用例の【0021】段落には移動端末装置との無線通信に用いられる無線通信システムについて説明があり、「本実施の形態で示す無線通信システムは、無線基地局装置とユーザ端末(移動端末装置)との無線通信に割当てる周波数帯域を基本周波数ブロック単位で追加または削除して構成される無線通信システムであり、周波数帯域が複数の基本周波数ブロックで構成される場合に、周波数帯域を少なくともFDD方式の無線通信を行う第1の基本周波数ブロックと、TDD方式の無線通信を行う第2の基本周波数ブロックとで構成する(図3参照)。」と記載されており、当該記載から、移動端末装置は、周波数帯域を少なくともFDD方式の無線通信を行う第1の基本周波数ブロックと、TDD方式の無線通信を行う第2の基本周波数ブロックとに割当てられて無線通信を行っているといえる。

また、引用例の【0019】段落に「なお、本実施の形態においては、本発明をLTE-Aに適用した例について説明するが、本発明はLTE-Aに適用した場合に限定されるものではない。」と記載されていることから、前段落で示した移動端末装置は、LTE-Aに適用された移動端末装置といえる。

更に、引用例の【0022】段落に「図3では、第1の基本周波数ブロック(CC#1)でFDD方式の無線通信を行い、第2の基本周波数ブロック(CC#2)でTDD方式の無線通信方式を行う場合を示している。FDD方式を適用するCC#1では、上りの通信と下りの通信を互いに異なる周波数(ペアバンド)で行い、TDD方式を適用するCC#2では、上りの通信と下りの通信を同一の周波数を用いて時間で分離している。」と記載されており、引用例の【0004】段落に基本周波数ブロックについて、「LTE-A(例えば、Rel.10)では、LTEとの後方互換性(Backward compatibility) を持つことが一つの要求条件であり、このため、LTEが使用可能な帯域幅を有する基本周波数ブロック(コンポーネントキャリア(CC :Component carrier))を複数有する周波数帯域の採用が検討されている。」と記載されている。そうすると、当該記載から、FDD方式を適用する第1の基本周波数ブロック(コンポーネントキャリアCC#1)では、上りの通信と下りの通信を互いに異なる周波数(ペアバンド)で行い、TDD方式を適用する第2の基本周波数ブロック(コンポーネントキャリアCC#2)では、上りの通信と下りの通信を同一の周波数を用いて時間で分離しているといえる。

以上のことから、引用例には「移動端末装置はLTE-Aに適用され、周波数帯域を少なくともFDD方式の無線通信を行う第1の基本周波数ブロックと、TDD方式の無線通信を行う第2の基本周波数ブロックとに割当てられて無線通信を行い、FDD方式を適用する第1の基本周波数ブロック(コンポーネントキャリアCC#1)では、上りの通信と下りの通信を互いに異なる周波数(ペアバンド)で行い、TDD方式を適用する第2の基本周波数ブロック(コンポーネントキャリアCC#2)では、上りの通信と下りの通信を同一の周波数を用いて時間で分離している」ことが記載されていると認める。

(イ)引用例の【0092】段落に移動端末装置の受信部の説明があり、「受信部は、FDD方式を適用する情報を受信する第1の受信回路部291と、TDD方式を適用する情報を受信する第2の受信回路部292と、CPを除去するCP除去部281、282と、受信信号を高速フーリエ変換(FFT)するFFT部271、272と、多重された信号を分離するリソースデマッピング部261~264と、同期チャネル検出部251と、報知チャネル受信部252と、下りL1/L2制御チャネル受信部253と、下り共有チャネル受信部254とを有している。」と記載されており、受信部は、FDD方式を適用する情報を受信する第1の受信回路部291と、TDD方式を適用する情報を受信する第2の受信回路部292と、下り共有チャネル受信部254とを有しているといえる。

更に、引用例の【0080】段落にLTEシステムにおける下りリンクの説明として、「下りリンクについては、各移動端末装置200のトラヒックデータを伝送するPDSCH、および各移動端末装置200にPDSCHにおけるRBの割り当て情報、データ変調方式・チャネル符号化率,再送関連情報等のL1/L2制御情報を通知するPDCCH等が用いられる。」と記載されていることから、下りリンクについては、各移動端末装置200のトラヒックデータを伝送するPDSCHが用いられるといえる。

また、引用例の【0051】段落に共有データチャネルの送信の説明として、「図9に、FDD方式が適用される第1の基本周波数ブロック(CC#1)及びTDD方式が適用される第2の基本周波数ブロック(CC#2)で構成される無線通信システムにおいて、共有データチャネル(PDSCH、PUSCH)信号の送信の一例を示す。」と記載され、また【0055】段落に「本実施の形態では、共有データチャネル信号を、FDD方式が適用される第1の基本周波数ブロック(CC#1)又はTDD方式が適用される第2の基本周波数ブロック(CC#2)のいずれかを用いて行う。」と記載されている。そして、送信と受信とは対応関係にあることを考慮すれば、引用例の記載は、共有データチャネル信号(PDSCH)は、FDD方式が適用される第1の基本周波数ブロック(CC#1)又はTDD方式が適用される第2の基本周波数ブロック(CC#2)のいずれかを用いて受信されるといえる。

以上のことから、引用例には「受信部は、FDD方式を適用する情報を受信する第1の受信回路部291と、TDD方式を適用する情報を受信する第2の受信回路部292と、下り共有チャネル受信部254とを有し、下りリンクについては、各移動端末装置200のトラヒックデータを伝送するPDSCHが用いられ、共有データチャネル信号(PDSCH)は、FDD方式が適用される第1の基本周波数ブロック(CC#1)又はTDD方式が適用される第2の基本周波数ブロック(CC#2)のいずれかを用いて受信される」ことが記載されていると認める。

(ウ)引用例の【0089】段落に移動端末装置の送信部の説明があり、「送信部は、上り共有チャネル生成部201と、上りL1/L2制御チャネル生成部202と、ランダムアクセスチャネル生成部203と、各信号の無線リソースへの割当てを行うリソースマッピング部211~213と、マッピングされた情報に逆高速フーリエ変換するIFFT部221、222と、CPを付加するCP付加部231、232と、FDD方式を適用する情報を送信する第1の送信回路部241と、TDD方式を適用する情報を送信する第2の送信回路部242とを有している。」と記載され、引用例の【0091】段落に「上りL1/L2制御チャネル生成部202は、上りL1/L2制御チャネルを用いて送信する信号(PUCCH信号等)を生成する。」と記載されていることから、送信部は、上りL1/L2制御チャネルを用いて送信する信号(PUCCH信号等)を生成する上りL1/L2制御チャネル生成部202と、FDD方式を適用する情報を送信する第1の送信回路部241と、TDD方式を適用する情報を送信する第2の送信回路部242とを有しているといえる。

また、引用例の【0045】段落に上りリンクL1/L2制御信号の送信の説明として、「PUCCHは、移動端末装置で測定した受信チャネル品質情報、および下りリンクのPDSCHの送達確認情報を送信するために用いられる。」及び「上記の移動端末装置で測定した受信チャネル品質情報(CQI)、および下りリンクのPDSCHの送達確認情報(ACK/NACK)はともに、12サブキャリア帯域で送信される。」と記載されており、PUCCHは下りリンクのPDSCHの送達確認情報(ACK/NACK)を送信するために用いられるといえる。

更に、引用例の【0050】段落にも上りリンクL1/L2制御信号の送信の説明があり、「TDD方式を中心とする場合、CC#1に対応するPUCCHとCC#2に対応するPUCCHをCC#2の上りリンクの無線リソースに集約して割当てて送信してもよい。この場合には、TDD方式を適用するCC#2においては、FDD方式を適用するCC#1と比較して、時間方向において上りのTTIが少ないため、CC#2の上りの1つのTTIに対して複数のTTIに対応するPUCCHを集約して割当てて送信することが好ましい」と記載されており、CC#1に対応するPUCCHとCC#2に対応するPUCCHをCC#2の上りリンクの無線リソースに集約して割当て、CC#2の上りの1つのTTIに対して複数のTTIに対応するPUCCHを集約して割当てて送信するといえる。

以上のことから、引用例には「送信部は、上りL1/L2制御チャネルを用いて送信する信号(PUCCH信号等)を生成する上りL1/L2制御チャネル生成部202と、FDD方式を適用する情報を送信する第1の送信回路部241と、TDD方式を適用する情報を送信する第2の送信回路部242とを有し、PUCCHは下りリンクのPDSCHの送達確認情報(ACK/NACK)を送信するために用いられ、CC#1に対応するPUCCHとCC#2に対応するPUCCHをCC#2の上りリンクの無線リソースに集約して割当て、CC#2の上りの1つのTTIに対して複数のTTIに対応するPUCCHを集約して割当てて送信する」ことが記載されていると認める。

(エ)引用例の【0089】段落に「移動端末装置は、送信部と、受信部とを備えている。」と記載されている。ここで、「移動端末装置」とは(ア)で示した移動端末装置、「送信部」とは上記(イ)で示した送信部、「受信部」とは上記(ウ)で示した受信部のことであることは明らかである。

したがって、引用例は「送信部と受信部とを備える移動端末装置」について記載されていると認める。

したがって、上記(ア)ないし(エ)より、引用例には以下の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認める。また、引用発明は以下のとおり構成要件に分説することができる(以下、「引用発明の構成要件A」などという。)

「A 移動端末装置であって、
B 移動端末装置はLTE-Aに適用され、周波数帯域を少なくともFDD方式の無線通信を行う第1の基本周波数ブロックと、TDD方式の無線通信を行う第2の基本周波数ブロックとに割当てられて無線通信を行い、FDD方式を適用する第1の基本周波数ブロック(コンポーネントキャリアCC#1)では、上りの通信と下りの通信を互いに異なる周波数(ペアバンド)で行い、TDD方式を適用する第2の基本周波数ブロック(コンポーネントキャリアCC#2)では、上りの通信と下りの通信を同一の周波数を用いて時間で分離し、
C 受信部は、FDD方式を適用する情報を受信する第1の受信回路部291と、TDD方式を適用する情報を受信する第2の受信回路部292と、下り共有チャネル受信部254とを有し、下りリンクについては、各移動端末装置200のトラヒックデータを伝送するPDSCHが用いられ、共有データチャネル信号(PDSCH)は、FDD方式が適用される第1の基本周波数ブロック(CC#1)又はTDD方式が適用される第2の基本周波数ブロック(CC#2)のいずれかを用いて受信され、
D 送信部は、上りL1/L2制御チャネルを用いて送信する信号(PUCCH信号等)を生成する上りL1/L2制御チャネル生成部202と、FDD方式を適用する情報を送信する第1の送信回路部241と、TDD方式を適用する情報を送信する第2の送信回路部242とを有し、PUCCHは下りリンクのPDSCHの送達確認情報(ACK/NACK)を送信するために用いられ、CC#1に対応するPUCCHとCC#2に対応するPUCCHをCC#2の上りリンクの無線リソースに集約して割当て、CC#2の上りの1つのTTIに対して複数のTTIに対応するPUCCHを集約して割当てて送信する、
E 送信部と受信部とを備える移動端末装置。」

ウ 技術常識

本願の最先の優先日以前に利用可能であった3GPPの標準規格の文書である3GPP TS 36.300 V11.5.0,2013年 3月18日(アップロード),インターネット<URL:https://www.3gpp.org/ftp/Specs/archive/36_series/36.300/36300-b50.zip>には,以下の事項が記載されている。

「5.2.3 Physical uplink control channel
The PUCCH shall be mapped to a controlchannel resource in the uplink.
(中略)
PUCCH is transmitted on PCell only incarrier aggregation.
」(45ページ1行-16行)

([当審仮訳]:

5.2.3 物理上りリンク制御チャネル

PUCCHは上りリンクの制御チャネルリソースに対応される。

(中略)

PUCCHはキャリアアグリゲーションにおいてPCell上のみで送信される。)

「7.5 Carrier Aggregation
When CA is configured, the UE only has oneRRC connection with the network. At RRC connectionestablishment/re-establishment/handover, one serving cell provides the NASmobility information (e.g. TAI), and at RRC connectionre-establishment/handover, one serving cell provides the security input. Thiscell is referred to as the Primary Cell (PCell). In the downlink, thecarrier corresponding to the PCell is the Downlink Primary Component Carrier(DL PCC) while in the uplink it is the Uplink Primary Component Carrier (ULPCC).
Depending on UE capabilities, SecondaryCells (SCells) can be configured to form together with the PCell a set ofserving cells. In the downlink, the carriercorresponding to an SCell is a Downlink Secondary Component Carrier (DL SCC)while in the uplink it is an Uplink Secondary Component Carrier (UL SCC).
The configured set of serving cells fora UE therefore always consists of one PCell and one or more SCells:」(58ページ30行-39行)

([当審仮訳]:

7.5 キャリアアグリゲーション

CAが設定されるとき、UEのみネットワークに対し一つのRRC接続を有する。RRC接続確立/再確立/ハンドオーバでは、一つのサービングセルがNAS移動情報(例えばTAI)を提供し、RRC接続再確立/ハンドオーバでは、一つのサービングセルがセキュリティ入力を提供する。このセルはプライマリーセル(PCell)と呼ばれる。下りリンクでは、PCellに対応するキャリアはダウンリンクプライマリーコンポーネントキャリア(DL PCC)である一方、上りリンクでは、アップリンクプライマリーコンポーネントキャリア(UL PCC)である。

UEの能力に依存して、セコンダリーセル(SCell)がPCellとともにサービングセルの集合を構成するよう設定されうる。ダウンリンクでは、SCellに対応するキャリアはダウンリンクセコンダリーコンポーネントキャリア(DL SCC)である一方、上りリンクではそれはアップリンクセコンダリーコンポーネントキャリア(UL SCC)である。

したがって、UEのために設定されたサービングセルの集合は常に一つのPCellと一つまたは複数のSCellからなる:)

上記のとおり標準規格である3GPPの技術仕様にあるように、キャリアアグリゲーションの定義として、

「UEのために設定されたサービングセルの集合は常に一つのPCellと一つまたは複数のSCellからなり、PCellに対応するキャリアはダウンリンクプライマリーコンポーネントキャリア(DL PCC)である一方、上りリンクでは、アップリンクプライマリーコンポーネントキャリア(UL PCC)であり、SCellに対応するキャリアはダウンリンクセコンダリーコンポーネントキャリア(DL SCC)である一方、上りリンクではそれはアップリンクセコンダリーコンポーネントキャリア(UL SCC)であり、PUCCHはPCell上のみで送信される。」ことは技術常識である。

エ 対比

補正後の発明と引用発明とを対比すると、

(ア)引用発明の構成要件Aの「移動端末装置」は、補正後の発明の構成要件Aの「ユーザ機器デバイス」に対応する。

(イ)引用発明の構成要件Bの「移動端末装置はLTE-Aに適用され、周波数帯域を少なくともFDD方式の無線通信を行う第1の基本周波数ブロックと、TDD方式の無線通信を行う第2の基本周波数ブロックとに割当てられて無線通信を行い、FDD方式を適用する第1の基本周波数ブロック(コンポーネントキャリアCC#1)では、上りの通信と下りの通信を互いに異なる周波数(ペアバンド)で行い、TDD方式を適用する第2の基本周波数ブロック(コンポーネントキャリアCC#2)では、上りの通信と下りの通信を同一の周波数を用いて時間で分離し、」との事項から、移動端末装置がFDD方式の無線通信するための動作を行い、またTDD方式の無線通信するための動作を行うことは明らかである。

以上のことから、補正後の発明の構成要件Bと引用発明の構成要件Bとは、「時分割複信(TDD)モードで動作し、」及び「周波数分割複信(FDD)モードで動作し、」の点で共通する。

(ウ)引用発明の構成要件Cの「受信部は、FDD方式を適用する情報を受信する第1の受信回路部291と、TDD方式を適用する情報を受信する第2の受信回路部292と、下り共有チャネル受信部254とを有し、」との事項から、受信部は下り共有チャネルを受信するよう構成されるといえ、「受信部」は補正後の発明の構成要件Cの「レシーバ回路」に対応する。

また、引用発明の構成要件Cの「下りリンクについては、各移動端末装置200のトラヒックデータを伝送するPDSCHが用いられ、共有データチャネル信号(PDSCH)は、FDD方式が適用される第1の基本周波数ブロック(CC#1)又はTDD方式が適用される第2の基本周波数ブロック(CC#2)のいずれかを用いて受信され、」との事項から、FDD方式が適用される第1の基本周波数ブロック(CC#1)を用いて下りリンクで共有データチャネル信号であるPDSCHが送信されるといえる。ここで、引用発明の構成要件Bに「移動端末装置はLTE-Aに適用され」とあり、またLTE-Aで下りリンクでサブフレームを用いて送信することは技術常識であるから、下りリンクでサブフレームが送信されることは明らかであるといえる。そして前段落で述べたように、引用発明の構成要件Cの受信部は下り共有チャネルを受信するよう構成されており、下り共有チャネルには下りリンクの共有データチャネル信号が当然含まれることから、引用発明の構成要件Cの受信部は、FDD方式が適用される第1の基本周波数ブロック(CC#1)を用い、下りリンクのサブフレームで共有データチャネル信号であるPDSCHを受信するといえ、補正後の発明の構成要件Cの「ダウンリンクサブフレームにおいて、物理ダウンリンク共有チャネル(PDSCH)メッセージを受信する」との構成と共通する。

したがって、補正後の発明の構成要件Cと引用発明の構成用件Cとは、「ダウンリンクサブフレームにおいて、物理ダウンリンク共有チャネル(PDSCH)メッセージを受信するように構成される、レシーバ回路」との点の限りにおいて一致する。

(エ)引用発明の構成要件Dの「送信部は、上りL1/L2制御チャネルを用いて送信する信号(PUCCH信号等)を生成する上りL1/L2制御チャネル生成部202と、FDD方式を適用する情報を送信する第1の送信回路部241と、TDD方式を適用する情報を送信する第2の送信回路部242とを有し、PUCCHは下りリンクのPDSCHの送達確認情報(ACK/NACK)を送信するために用いられ、」との事項から、送信部は下りリンクのPDSCHの送達確認信号のうちACKをPUCCH信号として送信するよう構成されるといえる。ここで、「下りリンクのPDSCH」とは、上記(ウ)で述べた受信部で受信した下りリンクのPDSCHが含まれることは明らかであり、また「ACK」とは肯定応答メッセージのことであることは技術常識であることを考慮すれば、補正後の発明の構成要件Dと引用発明の構成要件Dの上記事項とは、「受信したPDSCHメッセージに対応する肯定応答メッセージを送信するように構成される」との点で共通し、また引用発明の構成要件Dの「送信部」は、補正後の発明の構成要件Dの「トランスミッタ回路」に対応する。

また、引用発明の構成要件Dの「CC#1に対応するPUCCHとCC#2に対応するPUCCHをCC#2の上りリンクの無線リソースに集約して割当て、CC#2の上りの1つのTTIに対して複数のTTIに対応するPUCCHを集約して割当てて送信する」との事項において、CC#2に対応するPUCCHの送信については、CC#2の複数のTTIに対応するPUCCHを送信するために、CC#2の上りの1つのTTIを選択することは明らかである。ここにおいて「TTI」とは、LTE-Aにおいてサブフレームであることは技術常識であり、また「CC#2」とは引用発明の構成要件Bの「TDD方式が適用される第2の基本周波数ブロック(コンポーネントキャリアCC#2)」である。そして、「PUCCH」とは、前段落で示したようにACKを送信するために用いられることから、引用発明の構成要件Dの当該事項は、TDD方式が適用される第2の基本周波数ブロック(コンポーネントキャリアCC#2)の複数のサブフレームに対応するACKを送信するために、CC#2の上りの1つのサブフレームを選択することといえ、補正後の発明の構成要件Dの「前記複信モードに基づく肯定応答を送るためにアップリンクサブフレームを選択」することに対応する。

一方、引用発明の構成要件Dの「CC#1に対応するPUCCHとCC#2に対応するPUCCHをCC#2の上りリンクの無線リソースに集約して割当て、CC#2の上りの1つのTTIに対して複数のTTIに対応するPUCCHを集約して割当てて送信する」との事項において、CC#1に対応するPUCCHの送信について、引用発明の構成要件Bの「FDD方式が適用される第1の基本周波数ブロック(コンポーネントキャリアCC#1)」を考慮すれば、引用発明の構成要件Dの当該事項は、選択されるCC#2の上りの1つのサブフレームにおいて、FDD方式が適用される第1の基本周波数ブロック(コンポーネントキャリアCC#1)の複数のサブフレームに対応するACKを送信するといえる。更に、上記(ウ)に示したようにFDD方式が適用される第1の基本周波数ブロック(コンポーネントキャリアCC#1)を用いPDSCHを受信することを考慮すれば、引用発明の構成要件Dの当該事項は、選択されるCC#2の上りの1つのサブフレームにおいて、FDD方式が適用される第1の基本周波数ブロック(コンポーネントキャリアCC#1)を用いて受信した複数のサブフレームのPDSCHに対応するACKを送信するといえ、補正後の発明の構成要件Dの「選択されるアップリンクサブフレームにおいて前記受信したPDSCHメッセージに対応する肯定応答メッセージを送信する」ことに対応する。

したがって、補正後の発明の構成要件Dと引用発明の構成用件Dとは、「前記複信モードに基づく肯定応答を送るためにアップリンクサブフレームを選択し、選択されるアップリンクサブフレームにおいて前記受信したPDSCHメッセージに対応する肯定応答メッセージを送信するように構成される、トランスミッタ回路」との点の限りにおいて一致する。

(オ)引用発明の構成要件Eの「移動端末装置」は、補正後の発明の構成要件Eの「デバイス」に対応する。

以上を総合すると、補正後の発明と引用発明とは、以下の点で一致し、また相違する。

(一致点)

「ユーザ機器デバイスであって、
時分割複信(TDD)モードで動作し、周波数分割複信(FDD)モードで動作し、
ダウンリンクサブフレームにおいて、物理ダウンリンク共有チャネル(PDSCH)メッセージを受信するように構成される、レシーバ回路と、
前記複信モードに基づく肯定応答を送るためにアップリンクサブフレームを選択し、選択されるアップリンクサブフレームにおいて前記受信したPDSCHメッセージに対応する肯定応答メッセージを送信するように構成される、トランスミッタ回路と、
を含むデバイス。」

(相違点1)

補正後の発明はその構成要件Bにあるように1次サービングセル(PCell)として指定される第1のサービングセルへの接続を確立し、2次サービングセル(SCell)として指定される第2のサービングセルへの接続を確立するように構成される、プロセッサ回路であるのに対し、引用発明はその構成要件Bにあるように、「移動端末装置はLTE-Aに適用され、周波数帯域を少なくともFDD方式の無線通信を行う第1の基本周波数ブロックと、TDD方式の無線通信を行う第2の基本周波数ブロックとに割当てられて無線通信を行い、FDD方式を適用する第1の基本周波数ブロック(コンポーネントキャリアCC#1)では、上りの通信と下りの通信を互いに異なる周波数(ペアバンド)で行い、TDD方式を適用する第2の基本周波数ブロック(コンポーネントキャリアCC#2)では、上りの通信と下りの通信を同一の周波数を用いて時間で分離」するというものであるが、補正後の発明のように、「1次サービングセル(PCell)として指定される第1のサービングセルへの接続を確立し、2次サービングセル(SCell)として指定される第2のサービングセルへの接続を確立するように構成される、プロセッサ回路」を備えていることが特定されていない点。

(相違点2)

補正後の発明はその構成要件Cにあるように、レシーバ回路に関しSCellでPDSCHメッセージを受信するよう構成されるのに対し、引用発明はその構成要件Cにあるように、受信部に関しFDD方式が適用される第1の基本周波数ブロック(CC#1)を用いPDSCHを受信するよう構成されるものの、SCellでPDSCHを受信することが特定されていない点。

(相違点3)

補正後の発明はその構成要件Dにあるように、トランスミッタ回路に関し「PCellの前記複信モードに基づく肯定応答を送るためにアップリンクサブフレームを選択し、前記PCellの選択されるアップリンクサブフレームにおいて受信したPDSCHメッセージに対応する肯定応答メッセージを送信するよう」構成されるのに対し、引用発明はその構成要件Dにあるように、送信部に関し「PUCCHは下りリンクのPDSCHの送達確認情報(ACK/NACK)を送信するために用いられ、CC#1に対応するPUCCHとCC#2に対応するPUCCHをCC#2の上りリンクの無線リソースに集約して割当て、CC#2の上りの1つのTTIに対して複数のTTIに対応するPUCCHを集約して割当てて送信する」よう構成されているものの、PCellのアップリンクサブフレームの選択について特定されていない点。

オ 判断

以下相違点について検討する。

事案に鑑み、相違点3、2、1の順に判断する。

(相違点3)

キャリアアグリゲーションの定義について「ウ 技術常識」で示したように「UEのために設定されたサービングセルの集合は常に一つのPCellと一つまたは複数のSCellからなり、PCellに対応するキャリアはダウンリンクプライマリーコンポーネントキャリア(DL PCC)である一方、上りリンクでは、アップリンクプライマリーコンポーネントキャリア(UL PCC)であり、SCellに対応するキャリアはダウンリンクセコンダリーコンポーネントキャリア(DL SCC)である一方、上りリンクではそれはアップリンクセコンダリーコンポーネントキャリア(UL SCC)であり、PUCCHはPCell上のみで送信される。」との技術常識を考慮すれば、引用発明の第2の基本周波数ブロック(コンポーネントキャリアCC#2)はPCellに対応するキャリアであり、また第1の基本周波数ブロック(コンポーネントキャリアCC#1)はSCellに対応するキャリアであることは当業者にとって明らかである。

したがって、引用発明の構成要件Dの送信部は、PCellに対応するキャリアの複数のサブフレームに対応するACKを送信するために、PCellに対応するキャリアの上りの1つのサブフレームを選択し、また選択されるPCellに対応するキャリアの上りの1つのサブフレームにおいて、SCellに対応するキャリアを用いて受信した複数のサブフレームのPDSCHに対応するACKを送信するよう構成されるといえる。

また、PCellに対応するキャリアのサブフレームとはPCellのサブフレームであり、Scellに対応するキャリアのサブフレームとはSCellのサブフレームに他ならないから、引用発明の構成要件Dの送信部は、補正後の発明の構成要件Dの、「PCellの前記複信モードに基づく肯定応答を送るためにアップリンクサブフレームを選択し、前記PCellの選択されるアップリンクサブフレームにおいて前記受信したPDSCHメッセージに対応する肯定応答メッセージを送信するよう構成されるトランスミッタ回路」と相違するところはない。

よって、相違点3は実質的な相違ではない。

(相違点2)

上記相違点3の判断に示したように、引用発明の第1の基本周波数ブロックはSCellに対応するキャリアであることは当業者にとって明らかである。よって、引用発明の構成要件Cに関して、受信部がSCellに対応するキャリアを用いPDSCHを受信するよう構成されるといえる。

また、SCellに対応するキャリアを用いてでPDSCHを受信することは、SCellでPDSCHを受信することに他ならないから、引用発明の構成要件Cの受信部は、補正後の発明の構成要件Cの、「前記SCellで、ダウンリンクサブフレームにおいて、物理ダウンリンク共有チャネル(PDSCH)メッセージを受信するよう構成される、レシーバ回路」と相違するところはない。

よって、相違点2は実質的な相違ではない。

(相違点1)

上記相違点3の判断に示したように、引用発明の第2の基本周波数ブロックはPCellに対応するキャリアであり、また第1の基本周波数ブロックはSCellに対応するキャリアであることは当業者にとって明らかである。また、PCell及びSCellに対応するキャリアは、それぞれサービングセルであるPCell及びSCellへの接続が確立されてから無線通信に用いられることは当然のことといえる。

したがって、引用発明の移動端末装置との無線通信に割当てる周波数帯域を基本周波数ブロック単位で追加または削除して構成されるLTE-Aに適用する無線通信システムでは、PCell及びSCellへの接続が確立されてから無線通信を行っているといえる。

また、移動端末装置でPCell及びSCellへの接続を確立し、PCell及びSCellに対応するキャリアを用いて無線通信を行わせるために、無線通信用のプロセッサ回路を採用することは、当業者にとっての常套手段である。

したがって、引用発明の移動端末装置に、1次サービングセル(PCell)として指定される第1のサービングセルへの接続を確立し、2次サービングセル(SCell)として指定される第2のサービングセルへの接続を確立するように構成されるプロセッサ回路を適用することは当業者が容易できたことである。

したがって、補正後の発明は引用発明に基づいて当業者によって容易に発明とすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないものであり、補正後の発明は特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

3 結語

したがって、令和元年9月9日にされた手続補正(本件補正)は、補正後の発明が特許出願の際独立して特許を受けることができないものであるから、特許法第17条の2第6項において準用する同法126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

よって、上記の補正の却下の結論のとおり決定する。

第3 本願発明について

1 本願発明

令和元年9月9日にされた手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項13に係る発明は、上記「第2」の項の「1 本件補正の概要」の項の「本願発明」のとおりのものと認める。

2 原査定の拒絶の理由

原査定の拒絶理由の概要は、「1.(新規性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。2.(進歩性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。」というものであり、請求項13に対して引用例(特開2012-054711号公報)が引用されている。

3 引用発明及び技術常識

引用発明及び技術常識は、上記「第2 令和元年9月9日にされた手続補正についての補正の却下の決定」の項中の「2 補正の適否」の項中の「(2)独立特許要件」の項中の「イ 引用発明」及び「ウ 技術常識」の項でそれぞれ認定したとおりである。

4 対比・判断

本願発明は、上記「第2 令和元年9月9日にされた手続補正についての補正の却下の決定」で検討した補正後の発明から、「前記PCellの前記複信モードに基づく肯定応答を送るためにアップリンクサブフレームを選択し、前記PCellの」との限定を省いたものである。

そして、本願発明の構成要件をすべて含み、更に他の構成要件を付加したものに相当する補正後の発明が、上記「第2 令和元年9月9日にされた手続補正についての補正の却下の決定」で判断したとおり引用発明に基づいて容易に発明ができたものであるから、本願発明も同様の理由により、引用発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

5 むすび

以上のとおり、本願発明は当業者が引用例に記載された発明に基づいて容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。

よって、結論のとおり審決する。

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2019-011909

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