特許拒絶査定不服審判
2022-009138
設定情報の送受信方法、装置及び通信システム
- 審判番号
- 2022-009138
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2020-538657外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2022年06月14日
- 審決日
- 2023年07月05日
- 公報発行日
- 2023年09月29日
- 結論
- 請求不成立
- 分類
- P18 .113-WZ (H04W) / P18 .121-WZ (H04W)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条1項3号特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第1項第3号、特許法第29条第2項、特許法第36条第6項第2号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2020-538657「設定情報の送受信方法、装置及び通信システム」拒絶査定不服審判事件〔令和元年7月25日国際公開、WO2019/140627、令和3年4月30日国内公表、特表2021-510970〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、2018年(平成30年)1月19日を国際出願日とする出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和2年 7月22日 手続補正書の提出
令和3年 8月13日付け 拒絶理由通知書
令和3年10月15日 意見書、手続補正書の提出
令和4年 3月10日付け 拒絶査定
令和4年 6月14日 拒絶査定不服審判の請求、手続補正書の提出
令和4年 9月22日 上申書の提出
令和5年 1月31日付け 拒絶理由通知書(当審)
令和5年 4月10日 意見書、手続補正書の提出
第2 本願発明
本願の請求項1ないし20に係る発明は、令和5年4月10日に提出された手続補正書による手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし20に記載された事項により特定されるものである。そして、その請求項19に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、以下のとおりの発明である。
「 設定情報の送信装置であって、
記憶器;及び
前記記憶器に接続される処理器を含み、
前記処理器は、端末装置に無線リンクモニタリング用の第一設定情報を送信し、前記第一設定情報は、少なくとも、前記無線リンクモニタリングの第1の閾値設定、及び/又は、前記無線リンクモニタリングのための第1のリソース設定を含み、
前記端末装置は、前記第一設定情報を受信し、前記第一設定情報に基づいて前記無線リンクモニタリングを制御し、
前記処理器は、前記端末装置に前記無線リンクモニタリング用の第二設定情報を送信し、前記第二設定情報は、前記第一設定情報の設定を変更又は削除するために用いられ、
前記端末装置は、前記第二設定情報を受信し、
前記第二設定情報に基づいて変更又は削除される第2の閾値設定及び/又は第2のリソース設定を前記無線リンクモニタリングに適用し、連続同期外れ指示計数器(N310)のリセット及び連続同期指示計数器のリセットのうちの少なくとも1つを実行し、又は
少なくとも1つの同期外れ指示があることを確定し、無線問題回復のための第二タイマー(T310)を起動させ、前記第二設定情報に基づいて変更又は削除される第2の閾値設定及び/又は第2のリソース設定を前記無線リンクモニタリングに適用し、又は
少なくとも1つの同期指示があることを確定し、前記第二設定情報に基づいて変更又は削除される第2の閾値設定及び/又は第2のリソース設定を前記無線リンクモニタリングに適用し、又は
無線問題回復のための第二タイマー(T310)を起動させ、前記第二タイマーのタイムアウト又は停止時に、前記第二設定情報に基づいて変更又は削除される第2の閾値設定及び/又は第2のリソース設定を前記無線リンクモニタリングに適用する、送信装置。」
第3 当審拒絶理由の概要
令和5年1月31日付けで当審が通知した拒絶理由(以下、「当審拒絶理由」という。)は、以下の理由を含むものである。
2.(明確性)この出願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。
3.(新規性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。
4.(進歩性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
記 (引用文献等については引用文献等一覧参照)
●理由2(明確性)
・請求項1ないし6、10ないし20
(1)請求項1の第3段落には「前記第二設定情報に基づいて変更又は削除される閾値設定及び/又はリソース設定を前記無線リンクモニタリングに応用し、連続同期外れ指示計数器(N310)のリセット及び連続同期指示計数器のリセットのうちの少なくとも1つを実行する」なる記載があり、当該記載は、「前記第二設定情報に基づいて変更又は削除される閾値設定及び/又はリソース設定を前記無線リンクモニタリングに応用」するとき、「連続同期外れ指示計数器(N310)のリセット及び連続同期指示計数器のリセットのうちの少なくとも1つを実行する」という、連動して実施される一連の動作を示していると解される。
一方、発明の詳細な説明には、その段落0053に「1つの実施方式において、端末装置は、第二設定情報を受信した後に、該第二設定情報を無線リンクモニタリングに応用(apply)することができる。また、端末装置は、次のような操作のうちの少なくとも1つを含んでも良く、即ち、連続同期外れ指示を再計数し;連続同期外れ指示計数器をリセットし;連続同期指示を再計数し;連続同期指示計数器をリセットし;第一タイマーを再起動させる。」(下線は強調のために当審が付与した。)とあるように、第二設定情報を無線リンクモニタリングに応用する動作と、連続同期外れ指示計数器のリセット及び連続同期指示計数器のリセットを実行する動作とが、個別の動作として記載されており、連動して実施される一連の動作としては記載されていない。
(中略)
また、請求項1の上記記載では「応用し、」と句読点があり接続詞もないことから、連動して実施される一連の動作を示しているのか、個別に実施される動作を示しているのか、当該記載は多義的に解されるため、請求項1に係る発明は明確でない。(明確性)
同様の記載がある請求項19、20及び請求項1を引用している請求項2、10ないし18においても同様の不備がある。(明確性)
したがって、(中略)請求項1、2、10ないし20に係る発明は明確でない。(明確性)
(2)請求項3の第3段落には「少なくとも1つの同期外れ指示があることを確定し、無線問題回復のための第二タイマー(T310)を起動させ、前記第二設定情報に基づいて変更又は削除される閾値設定及び/又はリソース設定を前記無線リンクモニタリングに応用する」なる記載があり、当該記載は、「少なくとも1つの同期外れ指示があることを確定」する動作と、「無線問題回復のための第二タイマー(T310)を起動させ」る動作と、「前記第二設定情報に基づいて変更又は削除される閾値設定及び/又はリソース設定を前記無線リンクモニタリングに応用する」動作、からなる3つの動作によって構成されている。
そして、当該記載は、これら3つの動作が、連動して実施される一連の動作を示しているのか、それとも、時間的順序を問わず個別に実施される動作を示しているのか、多義的に解されるため、請求項3に係る発明は明確でない。(明確性)
同様の記載がある請求項11、16、19、20及び請求項3を引用している請求項4、5、10ないし18においても同様の不備がある。(明確性)
したがって、請求項3ないし5、10ないし20に係る発明は明確でない。(明確性)
(3)請求項6の第3段落には「少なくとも1つの同期指示があることを確定し、前記第二設定情報に基づいて変更又は削除される閾値設定及び/又はリソース設定を前記無線リンクモニタリングに応用する」なる記載があり、当該記載は、「少なくとも1つの同期指示があることを確定」する動作と、「前記第二設定情報に基づいて変更又は削除される閾値設定及び/又はリソース設定を前記無線リンクモニタリングに応用する」動作、からなる2つの動作によって構成されている。
そして、当該記載は、これら2つの動作が、連動して実施される一連の動作を示しているのか、それとも、時間的順序を問わず個別に実施される動作を示しているのか、多義的に解されるため、請求項6に係る発明は明確でない。(明確性)
同様の記載がある請求項12、17、19、20及び請求項6を引用している請求項10ないし18においても同様の不備がある。(明確性)
したがって、請求項6、10ないし20に係る発明は明確でない。(明確性)
●理由3(新規性)及び理由4(進歩性)
・請求項 19
・引用文献等 3
・備考
(中略)
本願発明19と引用発明Aは、以下の点で相違し、その余の点で一致する。
(相違点)
本願発明19は、端末装置が、
「 前記第二設定情報に基づいて変更又は削除される閾値設定及び/又はリソース設定を前記無線リンクモニタリングに応用し、連続同期外れ指示計数器(N310)のリセット及び連続同期指示計数器のリセットのうちの少なくとも1つを実行する、又は
少なくとも1つの同期外れ指示があることを確定し、無線問題回復のための第二タイマー(T310)を起動させ、前記第二設定情報に基づいて変更又は削除される閾値設定及び/又はリソース設定を前記無線リンクモニタリングに応用する、又は
少なくとも1つの同期指示があることを確定し、前記第二設定情報に基づいて変更又は削除される閾値設定及び/又はリソース設定を前記無線リンクモニタリングに応用する、又は
無線問題回復のための第二タイマー(T310)を起動させ、前記第二タイマーのタイムアウト又は停止時に、前記第二設定情報に基づいて変更又は削除される閾値設定及び/又はリソース設定を前記無線リンクモニタリングに応用する
ように構成される」
という発明特定事項を有するのに対し、引用発明Aには、当該発明特定事項は特定されていない点。
当該相違点について検討する。
本願発明19は、「送信装置」であるところ、当該相違点に係る上記発明特定事項は、他のサブコンビネーションである、端末装置の機能を特定する一方で、送信装置の機能を何ら特定していない。それゆえ、上記発明特定事項は、送信装置を特定するための意味を有しないものである。
したがって、上記相違点は、実質的に相違点ではない。
(中略)
よって、本願発明19は、引用発明Aであり、又は、引用発明Aに基づいて当業者が容易になし得たことである。(新規性、進歩性)
<引用文献等一覧>
3.Qualcomm Incorporated, Radio link monitoring consideration, 3GPP TSG-RAN WG1 Meeting RAN1 #90bis R1-1718534, [online], インターネット<URL:https://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG1_RL1/TSGR1_90b/Docs/R1-1718534.zip>, 2017年10月03日アップロード
第4 引用文献の記載及び引用発明
当審拒絶理由で引用された、Qualcomm Incorporated, Radio link monitoring consideration, 3GPP TSG-RAN WG1 Meeting RAN1 #90bis R1-1718534, [online], インターネット<URL:https://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG1_RL1/TSGR1_90b/Docs/R1-1718534.zip>, 2017年10月03日アップロード(以下、「引用文献3」という。)には,以下の事項が記載されている。(下線は当審が付与した。)
(1)
「2.1 Aperiodic IS based on the success of beam recovery procedure
In multi-beam operation, network configures a UE to monitor multiple RS resource(s) for RLM and beam failure recovery procedures.For RLM, the UE monitors the configured resources and sends periodic IS and OOS to the upper layers. In particular, for periodic IS indication, a UE measures all configured X RLM-RS resource(s) over a time window and derives link quality metric for the configured resources. If at least Y RLM-RS resource(s) are above the Q_in threshold then L1 sends a periodic IS indication to upper layers.
The following are the drawbacks of periodic IS that may unnecessarily result in RLF:
1. For periodic IS indication, the averaging of link quality metric may occur over a certain time period (E.g., 100 ms). During this period, the channel quality of one or more RS resource(s) (RLM or BFR) may improve. However, this may not get reflected quickly (due to averaging) in the link quality metric used for periodic IS indication. Therefore, the additional delay for the link quality metric to rise above the Q_in threshold may unnecessarily result in the expiry of T310 causing RLF. This issue can be avoided by allowing the UE to use the success of beam failure recovery procedure to either stop the RLF timer.
2. In RAN#90, it was agreed that ‘NR supports to configure X RLM-RS resource(s)’. Now suppose that a beam failure event occurs and the candidate beam used to send beam failure recovery request is not part of the X RLM-RS resource(s). In such a scenario, the NW needs to send additional signaling to update the X RLM-RS resources. This will add additional delay to monitor the newly added RLM-RS resource(s) and to send periodic RLM IS indication. For e.g., if the RLM averaging window is 100 ms then the delay incurred to send an IS indication is: signaling delay + 100 ms. This issue can be avoided by allowing the UE to use the success of beam failure recovery procedure to stop or pause the RLF timer. This issue is illustrated in Figure 1. 」(4ページ先頭行ないし最終行)
(当審訳:
2.1 ビーム障害回復手順の成功に基づく非周期的IS
マルチビーム動作において、ネットワークはUEがRLMとビーム障害回復手順のために複数のRSリソースを監視するように設定する。RLMのために、UEは設定されたリソースを監視し、定期的なIS及びOOSを上位レイヤに送信する。特に、定期的なIS指示のために、UEは設定されたX個のRLM-RSリソース全てを時間ウィンドウにわたって測定し、設定されたリソースのリンク品質指標を導出する。少なくともY個のRLM-RSリソースがQ_inの閾値を超えている場合、L1は定期的なIS指示を上位レイヤに送信する。
以下に、不必要にRLFを引き起こす可能性のある定期的なISの欠点を示す。
1. 定期的なIS指示に対して、リンク品質指標の平均化がある期間(例えば、100 ms)にわたり行われることがある。この期間中、1つまたは複数のRSリソース(RLMまたはBFR)のチャネル品質は改善され得る。しかし、これは(平均化のため)定期的なIS指示に使用されるリンク品質指標にすぐには反映されないかもしれない。したがって、リンク品質指標がQ_in閾値を超えて上昇するための追加遅延は、RLFを引き起こすT310の満了を不必要にもたらし得る。この問題は、UEがビーム障害回復手順の成功を利用して、RLFタイマーを停止するようにすることで回避できる。
2. RAN#90では、「NRはX個のRLM-RSリソースを設定することをサポートする」と合意された。ここで、ビーム障害イベントが発生し、ビーム障害回復要求を送信するために使用される候補ビームがX個のRLM-RSリソースに含まれないと仮定する。このようなシナリオでは、NWはX個のRLM-RSリソースを更新するために追加シグナリングを送信する必要がある。これは、新しく追加されたRLM-RSリソースを監視し、定期的なRLM IS指示を送信するために追加の遅延を追加することになる。例えば、RLMの平均化ウィンドウが100msの場合、IS指示を送信するために発生する遅延は、シグナリング遅延+100msとなる。この問題は、UEがビーム障害回復手順の成功を利用してRLFタイマーを停止または一時停止できるようにすることで、回避することができる。この問題は、図1に示されている。)
(2)
「
[図:0001401196000001.jpg]
」(5ページFigure 1)
(当審訳:
[図:0001401196000002.jpg]
)
(3)「
[図:0001401196000003.jpg]
」(6ページFigure 2)
(当審訳:
[図:0001401196000004.jpg]
)
引用文献3の上記記載、及び移動体通信分野における技術常識を考慮すると、次のことがいえる。
ア 上記「(3)」の最上部には、「gNB」と記載されているから、引用文献3には、gNBが記載されている。
ここで、「gNB」が、NRの「gNodeB」の略称であり、また、NRに対応しUEと無線通信を行うネットワーク装置であることは、技術常識である。
イ 上記「(1)」には、「ネットワークはUEがRLM・・・のために複数のRSリソースを監視するように設定する。RLMのために、UEは設定されたリソースを監視・・・する。・・・は、図1に示されている。」という記載があり、また、当該「図1」を示す上記「(2)」の左欄段落1には、「RLM RSリソース:B2,B3,B4」という記載があり、さらに、同中欄段落1には、「gNB」から「UE」に向けた矢印とともに「X個のRLM RSリソースを設定」と記載されており、加えて、同右欄段落1には、「RLM設定に基づき、UEはリソースB2,B3,B4を監視」と記載されている。
そして、上記「(3)」の図2左欄段落1、同中欄段落1、及び同右欄段落1には、それぞれ上記「(2)」の図1左欄段落1、同中欄段落1、及び同右欄段落1と同様の記載があるから、上記「(3)」の図2左欄段落1、同中欄段落1、及び同右欄段落1には、gNBは、UEがRLMのためにRSリソースを監視するように、RLM RSリソースB2、B3、B4を設定し、UEは、RLMのためにRLM RSリソースB2、B3、B4を監視することが、記載されているといえる。
また、上記「(3)」の図2中欄段落1から、ネットワークがUEを設定する際に、UEと無線通信を行うネットワーク装置であるgNBが設定した設定内容を送信し、UEが当該設定内容を受信することが、読み取れる。
そうすると、引用文献3の図2には、gNBは、UEがRLMのためにRSリソースを監視するように、RLM RSリソースB2、B3、B4を設定する設定内容を送信し、UEは、RLM RSリソースB2、B3、B4を設定する設定内容を受信し、RLM RSリソースB2、B3、B4を設定する設定内容に基づき、RLMのためにRLM RSリソースB2、B3、B4を監視することが、記載されているといえる。
ウ 上記「(3)」の左欄最終段落には、「RLM RSリソース:B1,B5」という記載があり、また、同中欄最終段落には、「gNB」から「UE」に向けた矢印とともに「X個のRLM RSリソースを(再)設定」と記載されており、さらに、同右欄最終段落に「RLM(再)設定に基づき、UEはリソースB1,B5を監視」と記載されている。
そうすると、上記「(3)」からは、上記「イ」で検討したとおりgNBが「RLM RSリソースB2、B3、B4を設定」(左欄段落1、中欄段落1、及び右欄段落1)する設定内容を送信した後で、gNBが「RLM RSリソースB1、B5を再設定」する設定内容を送信し(左欄最終段落、中欄最終段落、及び右欄最終段落)、RLM RSリソースB1、B5を再設定する設定内容は、RLM RSリソースをB2、B3、B4からB1、B5へ変更するためのものであり、UEは、RLM RSリソースB1、B5を再設定する設定内容を受信することが、読み取れる。
よって、引用文献3の図2には、gNBは、RLM RSリソースB2、B3、B4を設定する設定内容を送信した後で、RLM RSリソースB1,B5を再設定する設定内容を送信し、RLM RSリソースB1、B5を再設定する設定内容は、RLM RSリソースを変更するためのものであり、UEは、RLM RSリソースB1、B5を再設定する設定内容を受信することが、記載されているといえる。
以上を総合すると、引用文献3には、以下の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「 gNBであって、
gNBは、UEがRLMのためにRSリソースを監視するように、RLM RSリソースB2、B3、B4を設定する設定内容を送信し、UEは、RLM RSリソースB2、B3、B4を設定する設定内容を受信し、RLM RSリソースB2、B3、B4を設定する設定内容に基づき、RLMのためにRLM RSリソースB2、B3、B4を監視し、
gNBは、RLM RSリソースB2、B3、B4を設定する設定内容を送信した後で、RLM RSリソースB1、B5を再設定する設定内容を送信し、RLM RSリソースB1、B5を再設定する設定内容は、RLM RSリソースを変更するためのものであり、UEは、RLM RSリソースB1、B5を再設定する設定内容を受信する、
gNB。」
第5 対比及び判断
1 本願発明と引用発明との対比
(1) 引用発明の「gNB」は、NRに対応しUEと無線通信を行うネットワーク装置であることが技術常識であり、また、「設定内容」を送信するから、本願発明の「送信装置」に含まれる。
また、引用発明の「設定内容」は、UEとの無線通信における無線信号に含まれて送受信される「情報」であることが技術常識であるから、本願発明の「設定情報」に含まれる。
したがって、本願発明の「設定情報の送信装置」と、引用発明の「設定内容」を送信する「gNB」は、「設定情報の送信装置」である点で、共通する。
(2)
ア 本願発明の「前記処理器は、端末装置に無線リンクモニタリング用の第一設定情報を送信し、前記第一設定情報は、少なくとも、前記無線リンクモニタリングの第1の閾値設定、及び/又は、前記無線リンクモニタリングのための第1のリソース設定を含み、」(下線は当審で付した。以下同様。)という発明特定事項における「及び/又は」という記載は、「及び」と「又は」を包括した表記と解されるから、当該発明特定事項は、「前記処理器は、端末装置に無線リンクモニタリング用の第一設定情報を送信し、前記第一設定情報は、少なくとも、前記無線リンクモニタリングの第1の閾値設定、及び、前記無線リンクモニタリングのための第1のリソース設定を含」むことと、「前記処理器は、端末装置に無線リンクモニタリング用の第一設定情報を送信し、前記第一設定情報は、少なくとも、前記無線リンクモニタリングの第1の閾値設定、又は、前記無線リンクモニタリングのための第1のリソース設定を含」むことを、包括した表記と解される。
そうすると、上記「前記処理器は、端末装置に無線リンクモニタリング用の第一設定情報を送信し、前記第一設定情報は、少なくとも、前記無線リンクモニタリングの第1の閾値設定、及び/又は、前記無線リンクモニタリングのための第1のリソース設定を含み、」という発明特定事項には、「前記処理器は、端末装置に無線リンクモニタリング用の第一設定情報を送信し、前記第一設定情報は、少なくとも、前記無線リンクモニタリングのための第1のリソース設定を含」むことが含まれている、と認められる。
イ ところで、引用発明の「UE」は、「User Equipment」の略称であり、また、「ユーザ端末装置」を意味することが当業者には自明であるから、引用発明の「UE」は、本願発明の「端末装置」に含まれる。
また、引用発明の「RLM」は、「Radio Link Monitoring」の略称であり、「無線リンクモニタリング」を意味することが技術常識であるから、引用発明の「RLM」は、本願発明の「無線リンクモニタリング」に相当する。
さらに、引用発明の「RLM RSリソースB2、B3、B4を設定する設定内容」は、UEがRLMのためにRSリソースを監視するように送信される「設定情報」であって第一の「設定情報」といえるから、本願発明の「無線リンクモニタリング用の第一設定情報」に含まれる。
そして、引用発明では、「gNBは、UEがRLMのためにRSリソースを監視するように、RLM RSリソースB2、B3、B4を設定する設定内容を送信し、UEは、RLM RSリソースB2、B3、B4を設定する設定内容を受信し」ていることから、引用発明の「gNBは、UEがRLMのためにRSリソースを監視するように、RLM RSリソースB2、B3、B4を設定する設定内容を送信」することは、本願発明の「端末装置に無線リンクモニタリング用の第一設定情報を送信」することに含まれる。
加えて、引用発明の「RLM RSリソースB2、B3、B4を設定する設定内容」は、「RLM RSリソースB2、B3、B4を設定」する内容であるから、RLM RSリソースB2、B3、B4設定を当然含むといえる。そして、当該RLM RSリソースB2、B3、B4設定は、RLMのためのリソース設定であって第一のリソース設定であるから、本願発明の「第一設定情報」に含まれている「無線リンクモニタリングのための第1のリソース設定」に含まれる。
よって、本願発明の「第一設定情報」と引用発明の「RLM RSリソースB2、B3、B4を設定する設定内容」は、「少なくとも、前記無線リンクモニタリングのための第1のリソース設定を含」む点で、共通する。
ウ そうすると、「前記処理器は、端末装置に無線リンクモニタリング用の第一設定情報を送信し、前記第一設定情報は、少なくとも、前記無線リンクモニタリングのための第1のリソース設定を含」むことが含まれている、本願発明の「前記処理器は、端末装置に無線リンクモニタリング用の第一設定情報を送信し、前記第一設定情報は、少なくとも、前記無線リンクモニタリングの第1の閾値設定、及び/又は、前記無線リンクモニタリングのための第1のリソース設定を含」むことと、引用発明の「gNBは、UEがRLMのためにRSリソースを監視するように、RLM RSリソースB2、B3、B4を設定する設定内容を送信」することは、送信装置は、「端末装置に無線リンクモニタリング用の第一設定情報を送信し、前記第一設定情報は、少なくとも、前記無線リンクモニタリングの第1の閾値設定、及び/又は、前記無線リンクモニタリングのための第1のリソース設定を含」む点で、共通するといえる。
(3) 上記「(2)」「イ」で説示したとおり、引用発明の「UE」は本願発明の「端末装置」に含まれ、また、引用発明の「RLM」は本願発明の「無線リンクモニタリング」に相当し、さらに、引用発明の「RLM RSリソースB2、B3、B4を設定する設定内容」は本願発明の「無線リンクモニタリング用の第一設定情報」に含まれるから、引用発明の「UEは、設定内容を受信」することは、本願発明の「端末装置は、」「第一設定情報を受信」することに含まれる。
その上、引用発明の「RLMのためにRLM RSリソースB2、B3、B4を監視」することは、RLMのためにRLM RSリソースを選択して監視することを当然含むから、本願発明の「無線リンクモニタリングを制御」することに含まれるといえる。
そうすると、本願発明の「前記端末装置は、前記第一設定情報を受信し、前記第一設定情報に基づいて前記無線リンクモニタリングを制御」することと、引用発明の「UEは、RLM RSリソースB2、B3、B4を設定する設定内容を受信し、RLM RSリソースB2、B3、B4を設定する設定内容に基づき、RLMのためにRLM RSリソースB2、B3、B4を監視」することは、「端末装置は、第一設定情報を受信し、第一設定情報に基づいて無線リンクモニタリングを制御」する点で、共通する。
(4)
ア 本願発明の「前記処理器は、前記端末装置に前記無線リンクモニタリング用の第二設定情報を送信し、前記第二設定情報は、前記第一設定情報の設定を変更又は削除するために用いられ、」(下線は当審で付した。以下同様。)という発明特定事項における「前記第一設定情報の設定」は、上記「(2)」で検討した「前記無線リンクモニタリングの第1の閾値設定、及び/又は、前記無線リンクモニタリングのための第1のリソース設定」を意味すると解され、「及び/又は」という記載は、上記「(2)」で説示したとおり、「及び」と「又は」を包括した表記と解されるから、前記「前記第一設定情報の設定」は、「前記無線リンクモニタリングのための第1のリソース設定」を含むといえ、また、「前記第一設定情報の設定を変更又は削除するために用いられ」るという発明特定事項は、「前記第一設定情報の設定を変更するために用いられ」ることを含むといえる。
そうすると、本願発明の「前記処理器は、前記端末装置に前記無線リンクモニタリング用の第二設定情報を送信し、前記第二設定情報は、前記第一設定情報の設定を変更又は削除するために用いられ、」という発明特定事項には、「前記処理器は、前記端末装置に前記無線リンクモニタリング用の第二設定情報を送信し、前記第二設定情報は、前記無線リンクモニタリングのための第1のリソース設定を変更するために用いられ」ることが含まれている、と認められる。
イ ところで、上記「(2)」「イ」で説示したとおり、引用発明の「RLM」は本願発明の「無線リンクモニタリング」に相当し、また、引用発明の「RLM RSリソースB2、B3、B4を設定する設定内容」は本願発明の「無線リンクモニタリング用の第一設定情報」に含まれる。
そして、引用発明の「RLM RSリソースB1、B5を再設定する設定内容」は、上記「(2)」「イ」で検討した「RLM RSリソースB2、B3、B4を設定する設定内容」と同様、本願発明の「設定情報」であって、さらに、「RLM RSリソースB2、B3、B4を設定する設定内容」(第一の設定情報)とは区別された第二の「設定情報」といえるから、本願発明の「無線リンクモニタリング用の第二設定情報」に含まれる。
加えて、引用発明の「RLM RSリソースB1、B5を再設定する設定内容」は、「RLM RSリソースを変更するためのもの」であるから、RLM RSリソースB2、B3、B4設定(上記「(2)」「イ」を参照。)を変更するために用いられることが明らかである。そして、上記「(2)」「イ」で説示したとおり、RLM RSリソースB2、B3、B4設定は、本願発明の「第一設定情報」に含まれている「無線リンクモニタリングのための第1のリソース設定」に含まれる。
ウ そうすると、「前記処理器は、前記端末装置に前記無線リンクモニタリング用の第二設定情報を送信し、前記第二設定情報は、前記無線リンクモニタリングのための第1のリソース設定を変更するために用いられ」ることが含まれている、本願発明の「前記処理器は、前記端末装置に前記無線リンクモニタリング用の第二設定情報を送信し、前記第二設定情報は、前記第一設定情報の設定を変更又は削除するために用いられ」ることと、引用発明の「gNBは、RLM RSリソースB2、B3、B4を設定する設定内容を送信した後で、RLM RSリソースB1、B5を再設定する設定内容を送信し、RLM RSリソースB1、B5を再設定する設定内容は、RLM RSリソースを変更するためのものであり、UEは、RLM RSリソースB1、B5を再設定する設定内容を受信する」ことは、送信装置は、「端末装置に無線リンクモニタリング用の第二設定情報を送信し、第二設定情報は、第一設定情報の設定を変更又は削除するために用いられ」る点で、共通する。
(5) 上記「(2)」「イ」で説示したとおり、引用発明の「UE」は本願発明の「端末装置」に含まれ、また、上記「(4)」「イ」で説示したとおり、引用発明の「RLM RSリソースB1、B5を再設定する設定内容」は本願発明の「無線リンクモニタリング用の第二設定情報」に含まれるから、本願発明の「前記端末装置は、前記第二設定情報を受信」することと、引用発明の「UEは、RLM RSリソースB1、B5を再設定する設定内容を受信する」ことは、「端末装置は、」「第二設定情報を受信」する点で、共通する。
(6) 以上を総合すると、本願発明と引用発明は、以下の点で一致し、また一応相違する。
(一致点)
「 設定情報の送信装置であって、
送信装置は、端末装置に無線リンクモニタリング用の第一設定情報を送信し、前記第一設定情報は、少なくとも、前記無線リンクモニタリングの第1の閾値設定、及び/又は、前記無線リンクモニタリングのための第1のリソース設定を含み、
前記端末装置は、前記第一設定情報を受信し、前記第一設定情報に基づいて前記無線リンクモニタリングを制御し、
送信装置は、前記端末装置に前記無線リンクモニタリング用の第二設定情報を送信し、前記第二設定情報は、前記第一設定情報の設定を変更又は削除するために用いられ、
前記端末装置は、前記第二設定情報を受信する、送信装置。」
(相違点1)
本願発明では、送信装置は、
「記憶器;及び
前記記憶器に接続される処理器を含み、」、
かつ、端末装置に無線リンクモニタリング用の第一設定情報を送信すること、及び前記端末装置に前記無線リンクモニタリング用の第二設定情報を送信することを「前記処理器」が行うとの発明特定事項を含むのに対して、引用発明では、当該発明特定事項が特定されていない点。
(相違点2)
本願発明では、
「 前記第二設定情報に基づいて変更又は削除される第2の閾値設定及び/又は第2のリソース設定を前記無線リンクモニタリングに適用し、連続同期外れ指示計数器(N310)のリセット及び連続同期指示計数器のリセットのうちの少なくとも1つを実行し、又は
少なくとも1つの同期外れ指示があることを確定し、無線問題回復のための第二タイマー(T310)を起動させ、前記第二設定情報に基づいて変更又は削除される第2の閾値設定及び/又は第2のリソース設定を前記無線リンクモニタリングに適用し、又は
少なくとも1つの同期指示があることを確定し、前記第二設定情報に基づいて変更又は削除される第2の閾値設定及び/又は第2のリソース設定を前記無線リンクモニタリングに適用し、又は
無線問題回復のための第二タイマー(T310)を起動させ、前記第二タイマーのタイムアウト又は停止時に、前記第二設定情報に基づいて変更又は削除される第2の閾値設定及び/又は第2のリソース設定を前記無線リンクモニタリングに適用する」
という発明特定事項を含むのに対して、引用発明では、当該発明特定事項が特定されていない点。
2 相違点1についての判断
gNBを、記憶器、及び当該記憶器に接続される処理器を含むよう構成することは技術常識であるから、引用発明の「gNB」についても、記憶器、及び当該記憶器に接続される処理器を含み、かつ、端末装置に無線リンクモニタリング用の第一設定情報を送信すること、及び前記端末装置に前記無線リンクモニタリング用の第二設定情報を送信することを「前記処理器」が行うよう構成されていることは、自明である。
したがって、相違点1は、表現上の相違に過ぎず、実質的な相違点ではない。また、仮に、本願発明と引用発明が、相違点1で実質的に相違するとしても、引用発明に基づいて、相違点1に係る発明特定事項を備えるように構成することは、当業者が容易に想到し得たことである。
3 相違点2についての判断
(1) 請求項19の記載に基づく検討
相違点2に係る発明特定事項は、請求項19の段落8ないし11に記載されており、動作の主体について明記されていないが、同段落7を加えた請求項19の段落7ないし11には、以下の記載がある。
「 前記端末装置は、前記第二設定情報を受信し、
・・・を前記無線リンクモニタリングに適用し、・・・のうちの少なくとも1つを実行し、又は
・・・同期外れ指示があることを確定し、・・・を起動させ、・・・を前記無線リンクモニタリングに適用し、又は
・・・同期指示があることを確定し、・・・を前記無線リンクモニタリングに適用し、又は
・・・を起動させ、・・・を前記無線リンクモニタリングに適用する、」(下線は当審で付した。)
そして、請求項19の段落4ないし8では段落毎に主語として「前記処理機」又は「前記端末装置」が記載されているのに対して、同段落8ないし11には主語が記載されていない。しかしながら、同段落8ないし11の直近にある主語は、段落7に記載された「前記端末装置」であるから、同段落7ないし11に記載された複数の動詞の主語は、全て「前記端末装置」であると解するのが相当である。
また、本願発明は「送信装置」の発明であるところ、請求項19の記載において、「送信装置」と「端末装置」は異なる装置として区別されており、請求項19の段落8ないし11に記載された、相違点2に係る発明特定事項において、「送信装置」の構造や機能等を特定していると把握できる箇所は、見いだせない。
そうすると、請求項19の段落8ないし11に記載された、相違点2に係る発明特定事項は、「送信装置」(サブコンビネーション)及び「端末装置」(他のサブコンビネーション)を組み合わせてなるシステム(コンビネーション)の発明における、「端末装置」(他のサブコンビネーション)に関する事項であって、「送信装置」(サブコンビネーション)の構造、機能等を何ら特定していない事項に該当する。
したがって、相違点2に係る発明特定事項は、本願発明の「送信装置」を特定するための意味を有しないから、本願発明と引用発明との間で、相違点2に係る発明特定事項では、「送信装置」の構造、機能等に差異はない。
(2) 発明の詳細な説明の記載に基づく検討
本願明細書の発明の詳細な説明には、以下の記載がある。(下線は当審で付した。以下同様。)
「【0053】
1つの実施方式において、端末装置は、第二設定情報を受信した後に、該第二設定情報を無線リンクモニタリングに応用(apply)することができる。また、端末装置は、次のような操作のうちの少なくとも1つを含んでも良く、即ち、連続同期外れ指示を再計数し;連続同期外れ指示計数器をリセットし;連続同期指示を再計数し;連続同期指示計数器をリセットし;第一タイマーを再起動させる。」
「【0066】
(中略)例えば、図6に示すように、該第二設定情報を受信する前に、端末装置は、少なくとも1つの同期外れ指示があり、且つ第二タイマーが起動しないことを確定することができる。(中略)
【0067】
この場合、端末装置は、該第二設定情報を受信した後に、事前定義の基準に基づいて第二タイマー(例えば、T310)の確定及び起動を行い、及び、前記第二設定情報に基づいて変更又は削除された設定を前記無線リンクモニタリングに応用することができる。」
「【0068】
(中略)また、例えば、図7に示すように、該第二設定情報を受信した後に、端末装置は、少なくとも1つの同期指示があることを確定することができる。(中略)この場合、端末装置は、前記第二設定情報に基づいて変更又は削除された設定を前記無線リンクモニタリングに応用することができる。」
「【0071】
(中略)また、例えば、図8に示すように、該第二設定情報を受信する前に、端末装置は、第二タイマーを起動させており、また、前記第二タイマーのタイムアウト又は停止時に、端末装置は、前記第二設定情報に基づいて変更又は削除された設定を前記無線リンクモニタリングに応用することができる。」
そうすると、発明の詳細な説明の段落0053には、請求項19の段落8に記載された、「前記第二設定情報に基づいて変更又は削除される第2の閾値設定及び/又は第2のリソース設定を前記無線リンクモニタリングに適用し、連続同期外れ指示計数器(N310)のリセット及び連続同期指示計数器のリセットのうちの少なくとも1つを実行」する動作の主体は「端末装置」であることが、記載されているといえる。
また、同じく段落0066及び0067には、請求項19の段落9に記載された、「少なくとも1つの同期外れ指示があることを確定し、無線問題回復のための第二タイマー(T310)を起動させ、前記第二設定情報に基づいて変更又は削除される第2の閾値設定及び/又は第2のリソース設定を前記無線リンクモニタリングに適用」する動作の主体は「端末装置」であることが、記載されているといえる。
さらに、同じく段落0068には、請求項19の段落10に記載された、「少なくとも1つの同期指示があることを確定し、前記第二設定情報に基づいて変更又は削除される第2の閾値設定及び/又は第2のリソース設定を前記無線リンクモニタリングに適用」する動作の主体は「端末装置」であることが、記載されているといえる。
加えて、同じく段落0071には、請求項19の段落11に記載された、「無線問題回復のための第二タイマー(T310)を起動させ、前記第二タイマーのタイムアウト又は停止時に、前記第二設定情報に基づいて変更又は削除される第2の閾値設定及び/又は第2のリソース設定を前記無線リンクモニタリングに適用する」動作の主体は「端末装置」であることが、記載されているといえる。
一方、発明の詳細な説明には、請求項19の段落8ないし11に記載された、相違点2に係る発明特定事項の動作を、「送信装置」が行うことを示す記載は全く無いから、発明の詳細な説明を参酌しても、請求項19の段落8ないし11に記載された、相違点2に係る発明特定事項の主体は「端末装置」といえる
そうすると、請求項19の段落8ないし11に記載された、相違点2に係る発明特定事項は、コンビネーションの発明における「端末装置」(他のサブコンビネーション)に関する事項であって、「送信装置」(サブコンビネーション)の構造、機能等を何ら特定していない事項に該当する。
したがって、相違点2に係る発明特定事項は、本願発明の「送信装置」を特定するための意味を有しないから、本願発明と引用発明との間で、相違点2に係る発明特定事項では、「送信装置」の構造、機能等に差異はない。
(3) 相違点2に係る発明特定事項に対する明確性の拒絶理由と、新規性、進歩性の判断の関係について
上記「(1)」及び「(2)」で説示したとおり、相違点2に係る発明特定事項は、本願発明の「送信装置」を特定するための意味を有しない。
そうすると、相違点2のうち、請求項19段落8に記載された、「前記第二設定情報に基づいて変更又は削除される第2の閾値設定及び/又は第2のリソース設定を前記無線リンクモニタリングに適用し、連続同期外れ指示計数器(N310)のリセット及び連続同期指示計数器のリセットのうちの少なくとも1つを実行し、」という発明特定事項が、当審拒絶理由の「●理由2(明確性)」「(1)」で指摘したとおり、一連の動作を示しているのか個別の動作を示しているのか明確でないかどうかは、本願発明の「送信装置」の新規性及び進歩性の判断に影響しない。
また、相違点2のうち、請求項19の段落9に記載された、「少なくとも1つの同期外れ指示があることを確定し、無線問題回復のための第二タイマー(T310)を起動させ、前記第二設定情報に基づいて変更又は削除される第2の閾値設定及び/又は第2のリソース設定を前記無線リンクモニタリングに適用し、」という発明特定事項が、当審拒絶理由の「●理由2(明確性)」「(2)」で指摘したとおり、一連の動作を示しているのか個別の動作を示しているのか明確でないかどうかは、本願発明の「送信装置」の新規性及び進歩性の判断に影響しない。
さらに、相違点2のうち、請求項19の段落10に記載された、「少なくとも1つの同期指示があることを確定し、前記第二設定情報に基づいて変更又は削除される第2の閾値設定及び/又は第2のリソース設定を前記無線リンクモニタリングに適用し、」という発明特定事項が、当審拒絶理由の「●理由2(明確性)」「(3)」で指摘したとおり、一連の動作を示しているのか個別の動作を示しているのか明確でないかどうかは、本願発明の「送信装置」の新規性及び進歩性の判断に影響しない。
したがって、相違点2に係る発明特定事項が、当審拒絶理由の「●理由2(明確性)」「(1)」ないし「(3)」で指摘したとおり、一連の動作を示しているのか個別の動作を示しているのか明確でないかどうかは、本願発明の「送信装置」の新規性及び進歩性の判断に影響しない。
4 相違点1及び2についての判断のまとめ
上記「2」で説示したとおり、相違点1は、実質的な相違点ではなく、また、上記「3」で説示したとおり、相違点2に係る発明特定事項は、本願発明の「送信装置」を特定するための意味を有しないから、本願発明と引用発明との間で、相違点2に係る発明特定事項について、「送信装置」の構造、機能等に差異はない。そして、相違点1及び2の他に相違点がないので、本願発明と引用発明との間に構造、機能等の差異はない。
したがって、本願発明は、引用発明であり、両者は相違しない。また、仮に、本願発明と引用発明が、相違点1で実質的に相違するとしても、引用発明に基づいて、相違点1に係る発明特定事項を備えるように構成することは、当業者が容易に想到し得たことである。
5 請求人の主張について
請求人は、令和5年4月10日に提出された意見書の「意見の内容」「III.拒絶理由について」において、以下のように主張している。(下線は請求人が付した。)
「 ・理由3-4(新規性、進歩性)
補正後の請求項1に係る発明は、少なくとも、
「・・・
ネットワーク装置送信の無線リンクモニタリング用の第一設定情報を受信し、前記第一設定情報は、少なくとも、前記無線リンクモニタリングの第1の閾値設定、及び/又は、前記無線リンクモニタリングのための第1のリソース設定を含む受信器;及び
前記第一設定情報に基づいて前記無線リンクモニタリングを制御するように構成される処理器を含み、
前記受信器は、ネットワーク装置送信の前記無線リンクモニタリング用の第二設定情報を受信し、前記第二設定情報は、前記第一設定情報の設定を変更又は削除するために用いられ、
前記処理器は、前記第二設定情報に基づいて変更又は削除される第2の閾値設定及び第2のリソース設定を前記無線リンクモニタリングに適用し、連続同期外れ指示計数器(N310)のリセット及び連続同期指示計数器のリセットを実行する・・・」
という特徴を有します。
しかし、この特徴は引用文献3に記載も示唆もされていません。
例えば、引用文献3のsection 2.1には次の記載があります。
「For RLM, the UE monitors the configured resources and sends periodic IS and OOS to the upper layers. In particular, for periodic IS indication, a UE measures all configured X RLM-RS resource(s) over a time window and derives link quality metric for the configured resources. If at least Y RLM-RS resource(s) are above the Q_in threshold then L1 sends a periodic IS indication to upper layers.」
また、引用文献3には以下の図が開示されています。
[図:0001401196000005.jpg]
よって、引用文献3における第一ステップが「UEが第一設定情報を受信する」であるとしても、引用文献3のスキームは、UEがRLM RSのリソース設定を受信した後にT310を起動し、そして、BFR requestを送信します。それから、eNBはUEにBFR responseを送信します。
しかし、引用文献3は、第一設定情報を受信し、そして、第二設定情報を受信することを開示していません。また、「前記第二設定情報は、前記第一設定情報の設定を変更又は削除するために用いられ」ることも開示していません。
さらに、引用文献3では、 第二設定情報を受信した後に、“resetting a consecutive out-of-synchronization indication counter (N310) or resetting a consecutive in-synchronization indication counter”ではなく、N310を直接起動します。
従って、補正後の請求項1に係る発明は、当業者が引用文献3に基づいて容易に発明をすることができたものではないので、引用文献3に対して新規性、進歩性を有するものです。
また、補正後の本願の他の請求項に係る発明も同様です。」
そこで検討するに、引用文献3に、第一設定情報を受信し、そして、第二設定情報を受信することが開示されていること、及び、本願発明と引用発明が、「前記第二設定情報は、前記第一設定情報の設定を変更又は削除するために用いられ」る点で共通することは、いずれも上記「1」で説示したとおりである。
また、当審拒絶理由のうち、「●理由3(新規性)及び理由4(進歩性)」の「・請求項 19」の「・備考」において、
「 当該相違点について検討する。
本願発明19は、「送信装置」であるところ、当該相違点に係る上記発明特定事項は、他のサブコンビネーションである、端末装置の機能を特定する一方で、送信装置の機能を何ら特定していない。それゆえ、上記発明特定事項は、送信装置を特定するための意味を有しないものである。
したがって、上記相違点は、実質的に相違点ではない。」
と指摘した点に対して、請求人は、令和5年4月10日に提出された意見書において何ら主張していないので、請求項19の段落8ないし11に記載された発明特定事項が、本願発明の「送信装置」を特定するための意味を有するとは認められず、本願発明(請求項19に係る発明)に対して、出願人の上記主張は採用されない。
そして、上記「4」で説示したとおり、本願発明は引用発明であり、また、引用発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
第6 むすび
以上のとおり、本願発明は、引用文献3に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。また、本願発明は、引用文献3に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、他の請求項に係る発明について論及するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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2022-009138