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特許拒絶査定不服審判

2019-006179

ナノインプリント用液体材料、ナノインプリント用液体材料の製造方法、硬化物パターンの製造方法、光学部品の製造方法、回路基板の製造方法、および電子部品の製造方法

審判番号
2019-006179
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2016-030332外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2019年05月13日
審決日
2020年07月01日
公報発行日
2020年10月30日
結論
請求不成立
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .121-Z (H01L)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

特願2016- 30332「ナノインプリント用液体材料、ナノインプリント用液体材料の製造方法、硬化物パターンの製造方法、光学部品の製造方法、回路基板の製造方法、および電子部品の製造方法」拒絶査定不服審判事件〔平成28年 9月 8日出願公開、特開2016-164977〕について、次のとおり審決する。

結論

【結 論】 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

【理 由】 第1 手続の経緯 本願は、平成28年2月19日(優先権主張 平成27年2月27日)の出願であって、その手続の経緯の概要は以下のとおりである。 平成30年 5月 8日付け:拒絶理由通知書 平成30年 7月13日  :意見書の提出 平成30年 9月27日付け:拒絶理由通知書 平成30年11月30日  :意見書、手続補正書の提出 平成31年 1月31日付け:拒絶査定(原査定) 令和 元年 5月13日  :審判請求書の提出 令和 2年 2月10日付け:審尋 令和 2年 4月 6日  :回答書 第2 本願発明 本願の請求項に係る発明は、平成30年11月30日の手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし23に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、以下のとおりのものである。 「粒径0.07μm以上のパーティクルの個数濃度が310個/mL未満であることを特徴とするナノインプリント用液体材料。」 第3 原査定の拒絶の理由 原査定の拒絶の理由は、この出願の下記の請求項に係る発明は、本願の優先権主張の日(以下「優先日」という。)前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、本願の優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、というものである。 ●理由(特許法第29条第2項)について ・請求項1-2、9、11 ・引用文献等1-2 ・請求項5 ・引用文献等1-3 ・請求項6 ・引用文献等1-3 ・請求項7、10 ・引用文献等1-3 ・請求項12-15、18、20 ・引用文献等1-3 ・請求項16 ・引用文献等1-4 ・請求項17 ・引用文献等1-3、5 ・請求項19 ・引用文献等1-3、5 ・請求項21-22 ・引用文献等1-3 <引用文献等一覧> 引用文献1.特開2014-003123号公報 引用文献2.特開2010-045163号公報(周知技術を示す文献) 引用文献3.特開2013-092643号公報(周知技術を示す文献) 引用文献4.特開2012-212779号公報 引用文献5.特開2015-029073号公報 第4 引用文献の記載及び引用発明 1 引用文献1の記載 原査定の拒絶の理由で引用された本願の優先日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献1には、図面とともに、次の記載がある(下線は、当審で付した。以下同じ。)。 (1)「【請求項1】 分子量500以上、かつ、反応性基を有する化合物を含有し、分子量200以下の化合物の含有量が固形分合計の1質量%を超え10質量%以下である、インプリント用硬化性組成物と基板の間の密着用組成物。」 (2)「【0012】 本発明により、密着性に優れ、かつ、パターン欠陥を抑制可能な、インプリント用硬化性組成物と基板の間の密着用組成物を提供可能になった。」 (3)「【0015】 なお、本明細書中において、"(メタ)アクリレート"はアクリレートおよびメタクリレートを表し、"(メタ)アクリル"はアクリルおよびメタクリルを表し、"(メタ)アクリロイル"はアクリロイルおよびメタクリロイルを表す。また、本明細書中において、"単量体"と"モノマー"とは同義である。本発明における単量体は、オリゴマーおよびポリマーと区別され、重量平均分子量が1,000以下の化合物をいう。本明細書中において、"官能基"は重合反応に関与する基をいう。 また、本発明でいう"インプリント"は、好ましくは、1nm~10mmのサイズのパターン転写をいい、より好ましくは、およそ10nm~100μmのサイズ(ナノインプリント)のパターン転写をいう。 尚、本明細書における基(原子団)の表記において、置換および無置換を記していない表記は、置換基を有さないものと共に置換基を有するものをも包含するものである。例えば、「アルキル基」とは、置換基を有さないアルキル基(無置換アルキル基)のみならず、置換基を有するアルキル基(置換アルキル基)をも包含するものである。」 (4)「【0025】 本発明の密着用組成物は、上述の各成分を混合して調整することができる。また、前記各成分を混合した後、例えば、孔径0.003μm~5.0μmのフィルターで濾過することが好ましい。濾過は、多段階で行ってもよいし、多数回繰り返してもよい。また、濾過した液を再濾過することもできる。濾過に使用するフィルターの材質は、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、フッソ樹脂、ナイロン樹脂などのものが使用できるが特に限定されるものではない。」 (5)「【0050】 本発明の組成物からなる下層膜の膜厚は、使用する用途によって異なるが、0.1nm~100nm程度であり、好ましくは0.5~20nmであり、さらに好ましくは1~10nmである。また、本発明の密着用組成物を、多重塗布により塗布してもよい。得られた下層膜はできる限り平坦であることが好ましい。」 (6)「【0054】 <プロセス> 本発明のパター形成方法は、基板上に本発明の密着用組成物を適用して下層膜を形成する工程および下層膜表面にインプリント用硬化性組成物を適用する工程を含む。さらに、基板上に本発明の密着用組成物を適用した後、熱または光照射によって、該本発明の密着用組成物の一部を硬化した後、インプリント用硬化性組成物を適用することを含むことが好ましい。本発明の密着用組成物の厚さは、適用時(例えば、塗布膜厚)で3~10nmであることが好ましく、3~7nmであることがより好ましい。膜厚が3nm以上であることにより、密着用組成物が基板の影響を受けにくくなり、その結果塗布後の面状が良好になる傾向があるためである。また、膜厚があまり厚いと後のエッチング工程に悪影響を与える可能性がある。 硬化後の膜厚としては、3~10nmであることが好ましく、3~7nmであることがより好ましい。」 (7)「【0069】 <密着用組成物の調製> 本願実施例では、表1~3に示す化合物(A)を、表4に示す配合割合(質量比)で配合し、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートに溶解させ、0.1質量%の溶液(組成物)を作成した。該組成物について、下記表5に示すフィルターA、Bの順に通過させた。このときの印加圧力は、流速が0.05L/分となるよう調整した。表5においてUPEは超高分子量ポリエチレンを示している。前記組成物の総流量は、それぞれ1Lとした。フィルターを通過した組成物中における溶剤以外の分子量200以下の化合物含有量は、いずれの組成物においても固形分に対して1質量%未満であることを日本電子株式会社製質量分析計JMS-GCmateIIを用いて確認した。その後、各組成物において、該組成物に含まれる化合物A(A1~A6)と同じ構成単位からなるポリマーであって分子量が200以下の低分子量化合物を3質量%添加し、密着用組成物を得た。 比較例6、7の密着用組成物2'及び5'では、上記低分子量化合物の添加を実施せず、フィルター後そのままのものとした。 【0070】 」 (8)「【0073】 【0074】 【0075】 <経時安定性> 上記で得られた密着用組成物について、遮光した状態で2℃、23℃、35℃、50℃の各温度で365日間静置した後、液中のパーティクル数をリオン社製パーティクルカウンターKS-41にてカウントし、下記式で計算されるパーティクル増加数を評価した。 パーティクル増加数=(経時後のパーティクル数)-(パーティクル初期値) パーティクル数としては、硬化性組成物1ml中の0.25μm以上のパーティクル密度を測定し、下記のとおり評価した。 3:1個未満 2:1個以上5個未満 1:5個以上 結果を下記表に示す。表では、順に、2℃、23℃、35℃、50℃で保存したときの評価を示す。」 2 引用発明 上記1の記載から、引用文献1には、次の発明及び技術的事項が記載されていると認められる。 「化合物A(分子量約1,500のクレゾールノボラック型エポキシアクリレート、分子量約1,000のフェノールノボラック型エポキシアクリレート、又は分子量約1,400のカルボン酸無水物変性エポキシアクリレート)を、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートに溶解させた組成物について、 印加圧力は、流速が0.05L/分となるよう調整し、孔径0.2μmのフィルター、孔径0.05μmのフィルターの順に通過させ、 その後、各組成物において、該組成物に含まれる化合物Aと同じ構成単位からなるポリマーであって分子量が200以下の低分子量化合物を3質量%添加した、10nm~100μmのサイズ(ナノインプリント)のパターン転写用硬化性組成物と基板の間の密着用組成物。」(以下「引用発明」という。) 「密着用組成物の厚さは、塗布膜厚で3~10nmであり、密着用組成物を、塗布して得られた下層膜はできる限り平坦であることが好ましい。」(以下「技術的事項」) 第5 対比 本願発明と引用発明を対比する。 1 引用発明の「10nm~100μmのサイズ(ナノインプリント)のパターン転写用硬化性組成物と基板の間の密着用組成物」は、本願発明の「ナノインプリント用液体材料」に、相当する。 2 以上のことから、本願発明と引用発明との一致点及び相違点は、次のとおりである。 【一致点】 「ナノインプリント用液体材料。」 【相違点】 ナノインプリント用液体材料が、本願発明は「粒径0.07μm以上のパーティクルの個数濃度が310個/mL未満である」のに対し、引用発明はそのようなものか明らかでない点。 第6 判断 1 相違点について (1)引用発明の化合物A、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート及び低分子化合物に由来するパーティクルについて ア 引用発明の化合物Aは、分子量が約1,000~1,500であり、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート及び低分子化合物は、分子量がいずれも200以下であることから、引用発明の化合物A、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート及び低分子化合物は、それ自体パーティクルであるといえるものであるが、その大きさは、いずれも0.07μm未満であると解される。 イ そして、引用発明の「10nm~100μmのサイズ(ナノインプリント)のパターン転写用硬化性組成物と基板の間の密着用組成物」(以下「密着用組成物」という。)には、重合開始剤が含まれていないと認められる以上、各成分が重合することは予定されていないと認められる。 よって、引用発明の密着用組成物には、化合物A、低分子化合物が重合した重合体からなる大きなパーティクルが含まれることはない。 なお、上記イの認定について、本願明細書の記載からも裏付けられる。 すなわち、本願明細書の【0269】には「参考のために、参考例1と比較例3とを比較すると、液体材料Lの一成分であるイソボルニルアクリレートを用いた際には、液体材料L自体を用いた際よりも、はるかに容易にパーティクルの個数濃度を減少させることができた。すなわち、本実施例のように複数成分を混合させた組成物を用いると、パーティクルの個数濃度を減少させることは困難になる。しかしながら本実施例では、本実施形態に係る精製工程を含む製造方法によって液体材料Lを製造することで、パーティクルの個数濃度を大幅に減少させることができた。」と記載されており、この記載からは、成分(A):重合性成分に、成分(B):重合開始剤を混合させた場合には、パーティクルの個数濃度が、重合性成分(イソボニルアクリレート)のみの場合よりも多くなることが理解できる。 そして、このことは、重合開始剤を混合させない場合は、重合性成分が、重合して、重合体からなる大きなパーティクルとはならないことを意味していると考えられる。 ウ このように、引用発明の密着用組成物において、化合物A、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート及び低分子化合物に由来するパーティクルは、その粒径が、0.07μm以上になることはないと認められる。 (2)引用発明の化合物A、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート及び低分子化合物に由来しないパーティクルについて ア 引用発明の密着用組成物を調整する途中においても、なんらかのパーティクルが混入することは避けられないのが自明であり、このようなパーティクルを除去することは明らかである。 イ そして、ナノインプリントに関する技術において、フィルターで濾過することによって溶液として調製する場合に、濾過を、多段階で行うことや、多数回繰り返して行うことや、濾過した液を再濾過することは、周知技術(例えば、原査定の拒絶の理由で引用された本願の優先日前に頒布された特開2010-045163号公報(特に、請求項1、【0068】参照。)を参照されたい。また、引用文献1の【0025】にも「密着用組成物は、上述の各成分を混合して調整することができる。また、前記各成分を混合した後、例えば、孔径0.003μm~5.0μmのフィルターで濾過することが好ましい。濾過は、多段階で行ってもよいし、多数回繰り返してもよい。また、濾過した液を再濾過することもできる。」と記載されている。)である。 ウ さらに、濾過に関する技術において、初流分を除去することは、周知技術(必要ならば、特開2001-353424号公報(特に、【0011】、【0024】参照。)、特開2002-166142号公報(特に、【0011】、【0021】参照。)、特開2002-166144号公報(特に、【0011】、【0022】参照。)を参照されたい。)である。 エ 加えて、引用文献1の【0025】には、孔径0.003μmのフィルターでの濾過は、多段階で行ってもよいし、多数回繰り返してもよい旨、また、濾過した液を再濾過することもできる旨記載されており、そうすると、孔径0.003μmのフィルターで多数回の濾過や再濾過を行えば、引用文献1の濾過技術だけでも、粒径0.07μm以上のパーティクルは相当減少させることができると解される。 オ そうすると、引用発明の密着用組成物を調整する途中に混入したなんらかのパーティクルを除去するために、引用発明の調整に加えて周知技術をも考慮して、引用発明の密着用組成物として、パーティクルの個数ができる限り少ないものを採用することは、当業者が容易に想到し得た事項である。 (3)引用発明の密着用組成物として、できる限り少ない個数であることが求められるパーティクルの粒径について ア 上記技術的事項の密着用組成物の厚さは、塗布膜厚で3~10nmであり、密着用組成物を、塗布して得られた下層膜はできる限り平坦であることが好ましいことから、ナノプリント用の密着用組成物は、10nm(0.01μm)より所定量大きいパーティクルが存在すると、硬化後の下膜層は平坦になりにくくなることが理解できる。 イ 上記アから、引用発明の密着用組成物として、粒径が0.01μm以上であるパーティクルを、できる限り少ない個数にすることは、当業者にとって明らかである。 (4)このように、引用発明の密着用組成物の厚さを塗布膜厚で3~10nmとし、密着用組成物を、塗布して得られた下層膜はできる限り平坦とするため、粒径0.01μm以上のパーティクルの個数をできる限り少なくすることは、当業者が容易に想到し得たことであり、そうであれば、引用発明の調整に加えて周知技術をも考慮して、引用発明の密着用組成物を、粒径0.07μm以上のパーティクルの個数濃度が310個/mL未満のものとすることは、当業者が適宜なし得た事項であるといえる。 (5)本願発明の奏する作用効果は、引用発明、引用文献1の技術的事項及び周知技術の奏する作用効果から予測される範囲内のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。 (6)したがって、本願発明は、引用発明、引用文献1の技術的事項及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 2 審判請求人の主張について (1)ア 審判請求人は、令和元年5月13日付けで提出された審判請求書において、「本願明細書の比較例2から比較例4の説明にあるように、例え0.05μmの孔径を有するフィルタを用いたとしても、必ずしも0.05μm以上のパーティクルを確実に除去することは容易ではないことは、当業者において良く知られた事実である。」、「本発明者らは、鋭意検討の結果、例えば本願明細書実施例2、3に示すように、『初流分を除去する』こと、あるいは、『流速0.03L/分未満』というかなり遅い流速でろ過すること、のような従来よりも繊細かつ慎重な処理を施すことで初めて当該パーティクル濃度を達成できたものである。」、「このような示唆は引用文献1および引用文献2には何ら開示も示唆もされていない。単に0.05μmのフィルタを用いて循環ろ過させるだけであれば、本願明細書比較例4に相当するように、パーティクル数は889個/mL程度となっても何らおかしくはないのである。」旨、主張している。 イ また、審判請求人は、令和2年4月6日付けで提出された回答書において、「具体的には、単一化合物(組成物1~6)の場合にはパーティクルの経時増加が見られておりませんが、複数成分からなる組成物7~9の場合には経時増加が見られたことが示されています。すなわち引用発明1においても、開始剤成分が含まれていない場合において、複数成分からなる組成物の場合には、組成物自体の反応が要因のパーティクルの経時増加が起こりうること、が示されており、このことからも当該認定は正しくないものと思料します。」、「そうであるならば、引用発明1における単一化合物(組成物1~6)は、本願発明の参考例1と同等のものであることに異論はありませんが、複数成分を有したインプリント用材料である密着層組成物においても同様の課題は当然に発生するものであり、重合開始剤の有無によって排除されるべきものではないと思料します。」、「すなわち、複数成分を有する密着用組成物においても、ろ過後の接続変更操作等によりパーティクル濃度の増加が発生する可能性が高まり、これを「粒径0.07μm以上のパーティクルの個数濃度が310個/mL未満」に減少させる本発明は、引用発明1からは容易に想到されるものではないと思料します。」旨、主張している。 (2)ア 検討するに、本願明細書の【0229】~【0256】に記載された実施例2、3、比較例2から比較例4は、成分(A):重合性成分、成分(B):重合開始剤、成分(C):その他の添加成分を配合したものであり、本願明細書の【0015】、【0019】~【0089】の(1)レジスト用硬化性組成物やモールドレプリカ(複製)形成用硬化性組成物等のパターン形成用硬化性組成物(「組成物(1)」と称する)に対応するものである。 しかし、本願発明のナノインプリント用液体材料として、本願明細書の【0015】、【0090】~【0107】には、(2)密着層形成組成物(「組成物(2)」と称する)についても記載されているのであり、引用発明の密着用組成物は、当該(2)密着層形成組成物と対比されるものである。 そして、上記第4の2で認定した引用発明の密着用組成物は、重合開始剤を含んでいないから、本願明細書の参考例1に近いものである。 そこで、本願明細書の【0269】の参考例1を参照すると、参考例1では、循環ろ過や循環ろ過の初流分除去を行わず、さらに、ろ過後の接続変更操作を行っても、粒径0.07μm以上のパーティクルの個数濃度が79.5個/mLである。そうすると、ろ過後の接続変更操作を行っても、粒径0.07μm以上のパーティクルの個数濃度として増加するものは、最大で79.5個/mLである。 よって、重合開始剤を含んでいない密着用組成物は、ろ過後の接続変更操作を行ったとしても、本願明細書の【0269】のとおり、はるかに容易にパーティクルの個数濃度を減少させることができるものと認められるものである。 イ 上記第4の2で認定した引用発明の密着用組成物は、引用文献1の【0070】、【0073】の密着用組成物1、3、6をもとに認定したものであり、パーティクルの経時増加が見られていないものである。また、引用文献1の【0070】、【0073】の複数成分からなる密着用組成物7~9から引用発明は認定していない。 したがって、審判請求人の主張を採用することはできない。 第7 むすび 以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2019-006179

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