特許訂正審判
2025-390168
デジタルカメラ用外付けストロボの発光制御装置
- 審判番号
- 2025-390168
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 訂正審判(訂正の審決)
- 出願番号
- 特願2004-319845
- 登録番号
- 4614736
- 請求日
- 2025年11月19日
- 審決日
- 2026年03月17日
- 公報発行日
- 2026年06月26日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【請求人】株式会社イノン
- 【請求人代理人】木村 高明
- 審判長/審判官
- 審判長 畑中 高行
- 審判官 圓道 浩史
- 審判官 伊藤 隆夫
- 分類
- P141 .852-Y (H04N)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第126条第1項、特許法第126条第3項、特許法第126条第5項、特許法第126条第6項、特許法第126条第7項、特許法第126条第4項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第4614736号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
特許第4614736号の明細書、及び特許請求の範囲を本件審判請求書に添付された訂正明細書、及び特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔2-3〕について訂正することを認める。
理由
理 由
第1 経緯
本件訂正審判に係る特許第4614736号(以下「本件特許」という。)は、平成16年10月6日の出願であって、平成22年10月29日に特許権の設定登録がなされたものであり、その後の手続の概要は、以下のとおりである。
令和7年11月19日 本件訂正審判の請求
令和7年12月19日 応対記録(本件特許に関連する訴訟(令和7年
(ワ)第70008号)における特許無効の抗
弁の有無の問い合わせ、並びに特許無効の抗弁
及び訂正の再抗弁に関する書面の提出依頼)の
作成
同日付け 手続補正指令書(方式)
令和8年 1月22日 手続補正書(方式)(審判請求書を添付)の提
出
上申書(本件特許に関連する上記訴訟における
「被告準備書面(2)」及び「原告第2準備書面
」を添付)の提出
第2 請求の趣旨、訂正の内容
1 請求の趣旨
本件訂正審判の請求の趣旨は、特許第4614736号の明細書、特許請求の範囲を本件審判請求書に添付した訂正明細書、特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項2、3について訂正することを認める、との審決を求めるというものである。
2 訂正の内容
訂正の内容は、以下のとおりである。
(1) 訂正事項1
特許請求の範囲の請求項2に「デジタルカメラの内蔵ストロボの光が被写体に当たるのを防ぐ遮光手段を設け、導光手段により内蔵ストロボの信号を導き、その信号により外付けストロボを発光動作させる装置において、内蔵ストロボがプレ発光したとき、その発光信号をトリガーとして外付けストロボを発光開始させるプレ発光開始手段と内蔵ストロボのプレ発光の停止をトリガーとして外付けストロボのプレ発光を停止させるプレ発光停止手段と、内蔵ストロボが本発光したとき、その発光信号をトリガーとして外付けストロボを発光開始させる本発光開始手段と内蔵ストロボの本発光の停止をトリガーとして外付けストロボの本発光を停止させる本発光停止手段を備え、かつ、外付けストロボの放電管1本の使用の場合は、放電管の内径が1.9mm又は2.1mmの時はアーク長20mm以上とし、放電管の内径が2.6mmの時はアーク長40mm以下とし、外付けストロボのフル発光時の閃光時間は内蔵ストロボのフルフル発光時の2倍以内となるようにし、外付けストロボの発光曲線が内蔵ストロボの発光曲線と同等になるように発光制御することを特徴とするデジタルカメラ用外付けストロボの発光制御装置。」と記載されているのを、「デジタルカメラの内蔵ストロボの光が被写体に当たるのを防ぐ遮光手段を設け、導光手段により内蔵ストロボの信号を導き、その信号により外付けストロボを発光動作させる装置において、内蔵ストロボがプレ発光したとき、その発光信号をトリガーとして外付けストロボを発光開始させるプレ発光開始手段と内蔵ストロボのプレ発光の停止をトリガーとして外付けストロボのプレ発光を停止させるプレ発光停止手段と、内蔵ストロボが本発光したとき、その発光信号をトリガーとして外付けストロボを発光開始させる本発光開始手段と内蔵ストロボの本発光の停止をトリガーとして外付けストロボの本発光を停止させる本発光停止手段を備え、かつ、外付けストロボの放電管1本の使用の場合は、放電管の内径が1.9mm又は2.1mmの時はアーク長20mm以上とし、放電管の内径が2.6mmの時はアーク長40mm以下とし、外付けストロボのフル発光時の閃光時間は内蔵ストロボのフル発光時の2倍以内となるようにし、外付けストロボの発光曲線が内蔵ストロボの発光曲線と同等になるように発光制御することを特徴とするデジタルカメラ用外付けストロボの発光制御装置。」に訂正する(請求項2の記載を引用する請求項3も同様に訂正する)。
(2) 訂正事項2
願書に添付された明細書の段落【0010】に記載された「フルフル発光」を「フル発光」に訂正する。
第3 当審の判断
1 訂正事項1について
(1) 訂正の目的の適否について
請求人は、審判請求書の「6(3)イ(ア)a」(3ページ)において、訂正前の請求項2に記載された「フルフル発光」は、「フル発光」の誤記である旨主張しているので、以下に検討する。
まず、誤記の訂正とは、本来その意であることが明細書、特許請求の範囲又は図面の記載などから明らかな字句、語句に正すことをいい、訂正前の記載が当然に訂正後の記載と同一の意味を表示するものと客観的に認められるものをいう。
そして、誤記の訂正が認められるためには、設定登録時の明細書、特許請求の範囲又は図面中の記載に誤記が存在することが必要である。
そこで、設定登録時の明細書、及び特許請求の範囲中の記載を参酌すると、「フルフル発光」又は「フル発光」に関して、以下の記載がある。
(ア)
「【請求項2】
デジタルカメラの内蔵ストロボの光が被写体に当たるのを防ぐ遮光手段を設け、導光手段により内蔵ストロボの信号を導き、その信号により外付けストロボを発光動作させる装置において、
内蔵ストロボがプレ発光したとき、その発光信号をトリガーとして外付けストロボを発光開始させるプレ発光開始手段と内蔵ストロボのプレ発光の停止をトリガーとして外付けストロボのプレ発光を停止させるプレ発光停止手段と、内蔵ストロボが本発光したとき、その発光信号をトリガーとして外付けストロボを発光開始させる本発光開始手段と内蔵ストロボの本発光の停止をトリガーとして外付けストロボの本発光を停止させる本発光停止手段を備え、かつ、外付けストロボの放電管1本の使用の場合は、放電管の内径が1.9mm又は2.1mmの時はアーク長20mm以上とし、放電管の内径が2.6mmの時はアーク長40mm以下とし、外付けストロボのフル発光時の閃光時間は内蔵ストロボのフルフル発光時の2倍以内となるようにし、外付けストロボの発光曲線が内蔵ストロボの発光曲線と同等になるように発光制御することを特徴とするデジタルカメラ用外付けストロボの発光制御装置。」
(イ)
「【0010】
第2には、デジタルカメラの内蔵ストロボの光が被写体に当たるのを防ぐ遮光手段を設け、導光手段により内蔵ストロボの信号を導き、その信号により外付けストロボを発光動作させる装置において、内蔵ストロボがプレ発光したとき、その発光信号をトリガーとして外付けストロボを発光開始させるプレ発光開始手段と内蔵ストロボのプレ発光の停止をトリガーとして外付けストロボのプレ発光を停止させるプレ発光停止手段と、内蔵ストロボが本発光したとき、その発光信号をトリガーとして外付けストロボを発光開始させる本発光開始手段と内蔵ストロボの本発光の停止をトリガーとして外付けストロボの本発光を停止させる本発光停止手段を備え、かつ、外付けストロボの放電管1本の使用の場合は、放電管の内径が1.9mm又は2.1mmの時はアーク長20mm以上とし、放電管の内径が2.6mmの時はアーク長40mm以下とし、外付けストロボのフル発光時の閃光時間は内蔵ストロボのフルフル発光時の2倍以内となるようにし、外付けストロボの発光曲線が内蔵ストロボの発光曲線と同等になるように発光制御することを特徴とするデジタルカメラ用外付けストロボの発光制御装置を提供する。」
(ウ)
「【0025】
他のプレ発光遅延停止手段の簡易形として発光停止信号検出回路39の動作を遅延させることも出来る。これは公知の抵抗とコンデンサを使用した積分型の遅延回路を発光停止信号検出回路39に追加することで達成出来る。この場合プレ発光分別回路47が無いので本発光の時も発光停止が遅れることになるが本発光の遅れはそれほど露出に影響無いので簡易形としては充分である。
何の対策も無い従来の装置の場合、プレ発光は81に示すようにさらに立ち上がりが遅くなり正しく機能しなくなる。
外付けストロボ11aを正しく動作させる為には立ち上がり時間を短縮させることが必要になる。また、前記のように外付けストロボ11aの本発光の発光曲線90を内蔵ストロボ6の発光曲線89と(実際は内蔵ストロボ6の光は遮光手段により被写体に当たっていないが当たった場合を想定して)同等にする方が露出は正確になるわけである。そのため外付けストロボ11aの方にフル発光時の閃光時間が短い手段が必要になる。
内蔵ストロボ6は小型の為、放電管が短くその為外付けストロボ11aよりフル発光時の閃光時間が短くなっている訳で、外付けストロボ11aの閃光時間を内蔵ストロボ6に合わせ、従来の長めの物より短くする必要がある。
この閃光時間が短い手段は立ち上がり時間を短縮させることと相関関係にあり、例えば閃光時間を短くすれば立ち上がり時間も短縮される。
【0026】
この方法及び装置を図7、図8により説明する。
内蔵ストロボ6はどのカメラの物もほとんど同じで小型である。
外付けストロボ11aは内蔵ストロボ6より強力にしなくては意味が無いことを考慮すると外付けストロボ11aの放電管28は内蔵ストロボ6と同じ物は使用出来ないことが分かる。もし、同じ物を使用すれば過小入力が加わり不良になってしまう。
すなわち内蔵ストロボ6より大きい物が必要になる。しかし、長い放電管を使用すれば閃光時間は長くなり同時に立ち上がり時間も遅くなってしまう。
本件では実験により以下のデータを出している。
放電管を2本(またはそれ以上)並列接続にすると著しい効果がある。
図7aの82と83に示す。この場合の放電管は一本使いの場合より長い物が使用出来る。
放電管を一本使用する場合は直列にチョークコイルを入れると立ち上がり時間が遅くなり良くない。もし入れる場合は20μH(マイクロヘンリー)以下にする。これを図7bの84に示す。
放電管一本で使用するときのアーク長は出来るだけ短くしたいが内径2.1mm(外形3.2mm)または内径1.9mm(外形3.1mm)の場合アーク長20mm以上必要。これより短いと過大入力により不良になる。これを図8の85、87に示す。
内径2.6mm(外形3.6mm)の場合アーク長40mm以下が必要。これより長いと閃光時間は長くなり同時に立ち上がり時間も遅くなってしまう。これを図8の86、88に示す。
このような選択によりフル発光時の閃光時間は長くても90のようになり内蔵ストロボ6のほぼ2倍以内に収まれば使用上問題無いと言える。
このように放電管28の選択が必要になる。
【0027】
次に上記のように放電管28の選択をして調整したがそれでも外付けストロボ11aの閃光時間が内蔵ストロボ6より長くなってしまうが、さらに内蔵ストロボ6の発光曲線に近づけたい場合で、これを電気回路で修正する方法及び装置を図3、図9により説明する。
内蔵ストロボ6は容積、寸法の制限があり小型に出来ていて、どのカメラでもそれほど変わらずフル発光時の閃光時間は89に示すようにおよそ0.75mSである。外付けストロボ11aのフル発光が90のようにおよそ1.5mSあっても91のように通常使用の場合途中で発光を止める閃光時間リミッター手段を設けて内蔵ストロボ6に合わせれば良いわけである。(以後略)」
以上(ア)から(ウ)によれば、設定登録時の明細書、及び特許請求の範囲の記載において、「フルフル発光」という用語は、「外付けストロボのフル発光時の閃光時間は内蔵ストロボのフルフル発光時の2倍以内となるように」(請求項2、段落0010)という文脈でのみ使用されており、一方、「フル発光」という用語は、請求項2、段落0010の当該箇所に加えて段落0025から0027の5箇所に記載されている。
ここで、特に、段落0025の「外付けストロボ11aの本発光の発光曲線90」との記載、及び段落0026の「フル発光時の閃光時間は長くても90のようになり内蔵ストロボ6のほぼ2倍以内に収まれば使用上問題無いと言える。」との記載に着目すると、段落0026の記載は、外付けストロボ11aの閃光時間は内蔵ストロボの閃光時間の2倍以内に収めるべきことを述べており、このうち外付けストロボ11aの閃光時間が内蔵ストロボの閃光時間の2倍以内であることは、上記「外付けストロボのフル発光時の閃光時間は内蔵ストロボのフルフル発光時の2倍以内となる」(請求項2、段落0010)ことと同義であると解される。
また、「フル発光」という用語は、ストロボの技術分野において周知の技術用語である一方、「フルフル発光」という用語は、本件特許公報以外に用いられた例が見あたらず、本件特許の明細書の段落0010、0025から0027に記載された「フル発光」とは別の意味であると解すべき証拠は見あたらない。
そうすると、設定登録時の請求項2、及び明細書の段落0010に記載された「フルフル発光」は誤記であって、その正しい記載が「フル発光」であることは、明らかである。
したがって、訂正事項1による訂正は、誤記である「フルフル発光」との記載を、本来その意であることが明細書、及び特許請求の範囲の記載から明らかな語句である「フル発光」に正すものであるから、特許法第126条第1項ただし書第2号に掲げる誤記の訂正を目的とするものである。
(2) 一群の請求項について
本件訂正前の請求項2及び3において、請求項3は、請求項2の記載を引用するものであるから、請求項3は、訂正事項1により記載が訂正される請求項2に連動して訂正されるものである。
また、本件訂正前の請求項2の記載を引用する請求項は請求項3以外に存在せず、さらに、本件訂正前の請求項3の記載を引用する請求項は存在しない。
そうすると、本件訂正前の請求項2及び3に対応する本件訂正後の請求項2及び3は、特許法第126条第3項に規定する一群の請求項である。
したがって、本件訂正審判の請求は、訂正事項1について、2以上の請求項に係る願書に添付した特許請求の範囲の訂正をする場合において、当該請求項の中に一群の請求項があるときに、当該一群の請求項ごとに当該請求をするものであるから、特許法第126条第3項の規定に適合するものである。
(3) 願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内であるかについて
上記(1)のとおり、訂正事項1による訂正は、特許法第126条第1項ただし書第2号に掲げる誤記の訂正を目的とするものであるから、特許法第126条第5項の規定により、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしなければならない。
ここで、願書に最初に添付した明細書の段落0031から0033には、以下の記載がある。
「【0031】
・・・
外付けストロボを正しく動作させる為には立ち上がり時間短縮手段が必要になる。また、前記のように外付けストロボの本発光の発光曲線90を内蔵ストロボの発光曲線89と(実際は内蔵ストロボの光は遮光手段により被写体に当たっていないが当たった場合を想定して)同等にする方が露出は正確になるわけである。そのため外付けストロボの方にフル発光時の閃光時間短縮手段が必要になる。
内蔵ストロボは小型の為、放電管が短くその為外付けストロボよりフル発光時の閃光時間が短くなっている訳で、外付けストロボの閃光時間を内蔵ストロボに合わせ、従来の長めの物より短くする必要がある。
・・・
【0032】
・・・
このような選択によりフル発光時の閃光時間は長くても90のようになり内蔵ストロボのほぼ2倍以内に収まれば使用上問題無いと言える。
このように放電管の選択が必要になる。
【0033】
・・・
内蔵ストロボは容積、寸法の制限があり小型に出来ていて、どのカメラでもそれほど変わらずフル発光時の閃光時間は89に示すようにおよそ0.75mSである。外付けストロボのフル発光が90のようにおよそ1.5mSあっても91のように通常使用の場合途中で発光を止める閃光時間リミッター手段を設けて内蔵ストロボに合わせれば良いわけである。(以後略)」
したがって、訂正事項1による訂正は、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてされたものであり、特許法第126条第5項に規定する要件に適合するものである。
(4) 特許請求の範囲の拡張又は変更の存否について
設定登録時の請求項2に記載された「フルフル発光」と、訂正事項1による訂正後の「フル発光」が、同じ「フル発光」を意味することは、上記(1)で説示したとおりであるから、訂正事項1による訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでない。
したがって、訂正事項1による訂正は、特許法第126条第6項に規定する要件に適合するものである。
(5) 独立特許要件について
訂正事項1による訂正は、特許法第126条第1項ただし書第2号に掲げる誤記の訂正を目的とするものであるから(上記(1))、本件訂正後の請求項2及び3に係る発明について、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるかについて検討する。
まず、本件特許の請求項2及び3に係る発明は、拒絶の理由を発見しないものとして特許査定がなされ、また、訂正事項1による訂正の前後で、特許請求の範囲は実質上拡張又は変更されない(上記(4))。
次に、本件特許については、関連する上記訴訟において、特許無効の抗弁がされており、その内容は概略、以下に示す無効理由1から5のとおりである。
無効理由1から3(本件発明1から3の進歩性欠如)
本件発明1から3は、乙第3号証に記載された発明に、乙第4号証から
乙第6号証に記載された技術事項を組み合わせることにより、当業者が容
易に発明をすることができたものである。
乙第3号証:特開2002-311478号公報
乙第4号証:特開平11-212147号公報
乙第5号証:特開平4-114136号公報
乙第6号証:特開2000-89315号公報
無効理由4(本件発明1から3のサポート要件違反)
請求項1、2には、「外付けストロボの発光曲線が内蔵ストロボの発光
曲線と同等になるように発光制御する」とある。内蔵ストロボの発光曲線
がメーカーや機種によって異なることは技術常識であり、発光曲線を同等
にするためには、事前に内蔵ストロボの発光曲線を把握して外付けストロ
ボに認識させる等の対策が必要となるが、そのような対策を要さない発明
を包含する本件発明1から3の範囲まで、発明の詳細な説明に開示された
内容を拡張、一般化できるとはいえないから、本件発明1から3は、発明
の詳細な説明に記載したものでない。
無効理由5(本件発明1から3の明確性要件違反)
請求項1、2に記載された「プレ発光開始手段」、「プレ発光停止手
段」、「本発光開始手段」、「本発光停止手段」について、これら手段が
互いにどのように関連し、どのように有機的に結合しているのかが特定さ
れておらず、さらに、これら手段と「外付けストロボの発光曲線が内蔵ス
トロボの発光曲線と同等になるように発光制御する」ことの関連性も不明
であるから、本件発明1から3は、明確でない。
そして、上記特許無効の抗弁の内容を参酌しても、本件訂正後の請求項2に係る発明、及び請求項2の記載を引用する請求項3に係る発明について、新たな拒絶理由を発見しないから、本件訂正後の請求項2及び3に係る発明は、特許出願の際独立して特許を受けることができるものである。
したがって、訂正事項1による訂正は、特許法第126条第7項の規定に適合する。
(6) 訂正事項1についてのまとめ
以上(1)から(5)のとおり、訂正事項1による訂正は、特許法第126条第1項ただし書第2号に掲げる誤記の訂正を目的とするものであって、かつ、同条第5項、第6項、及び第7項の規定に適合するものであり、また、本件訂正審判の請求は、訂正事項1について、同条第3項の規定に適合するものである。
2 訂正事項2について
(1) 訂正の目的の適否について
請求人は、審判請求書の「6(3)イ(イ)a」(3ページ)において、訂正前の明細書の段落0010に記載された「フルフル発光」は、「フル発光」の誤記である旨主張している。
そして、訂正事項2による訂正は、上記1(1)と同様の理由により、明らかな誤記である「フルフル発光」との記載を、本来その意であることが明細書、及び特許請求の範囲の記載から明らかな語句である「フル発光」に正すものであるから、特許法第126条第1項ただし書第2号に掲げる誤記の訂正を目的とするものである。
(2) 明細書の訂正に係る請求項について
上記1(1)で検討したとおり、設定登録時の明細書の段落0010の記載は、設定登録時の請求項2の記載と対応するから、訂正事項2による明細書の訂正に係る請求項は、請求項2である。
また、上記1(2)で検討したとおり、本件訂正前の請求項2及び3に対応する本件訂正後の請求項2及び3は、特許法第126条第3項に規定する一群の請求項である。
そうすると、訂正事項2による明細書の訂正に係る請求項を含む一群の請求項は、本件訂正後の請求項2及び3である。
そして、本件訂正審判の請求は、訂正事項2について、明細書の訂正に係る請求項を含む一群の請求項の全てについて行うものであるから、特許法第126条第4項の規定に適合するものである。
(3) 願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内であるかについて
訂正事項2による訂正は、上記1(3)と同じ理由により、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてされたものであり、特許法第126条第5項に規定する要件に適合するものである。
(4) 特許請求の範囲の拡張又は変更の存否について
設定登録時の請求項2、及び段落0010に記載された「フルフル発光」と、訂正事項2による訂正後の「フル発光」が、同じ「フル発光」を意味することは、上記1(1)で説示したとおりであるから、訂正事項2による訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでない。
したがって、訂正事項2による訂正は、特許法第126条第6項に規定する要件に適合するものである。
(5) 独立特許要件について
訂正事項2による訂正は、上記1(5)と同じ理由により、特許法第126条第7項の規定に適合する。
(6) 訂正事項2についてのまとめ
以上(1)から(5)のとおり、訂正事項2による訂正は、特許法第126条第1項ただし書第2号に掲げる誤記の訂正を目的とするものであって、かつ、同条第5項、第6項、及び第7項の規定に適合するものであり、また、本件訂正審判の請求は、訂正事項2について、同条第4項、の規定に適合するものである。
第4 むすび
以上のとおり、本件訂正審判の請求に係る訂正事項1及び2による訂正は、特許法第126条第1項ただし書第2号に掲げる誤記の訂正を目的とするものであって、かつ、同条第5項、第6項、及び第7項の規定に適合するものであり、また、本件訂正審判の請求は、訂正事項1及び2について、同条第3項、及び第4項、の規定に適合するものである。
よって、結論のとおり決定する。
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