特許訂正審判
2025-390118
有機熱伝達システム、方法、および流体
- 審判番号
- 2025-390118
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 訂正審判(訂正の審決)
- 出願番号
- 特願2021-573440
- 登録番号
- 7566800
- 請求日
- 2025年08月29日
- 審決日
- 2026年01月13日
- 公報発行日
- 2026年04月24日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【請求人】ザ ルブリゾル コーポレイション
- 【請求人代理人】山本 秀策
- 【請求人代理人】森下 夏樹
- 審判長/審判官
- 審判長 関根 裕
- 審判官 村守 宏文
- 審判官 渡辺 陽子
- 分類
- P141 .852-Y (C09K)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法126条1項特許法126条5項特許法126条6項特許法126条7項特許法184条の19
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第126条第1項、特許法第126条第6項、特許法第184条の19、特許法第126条第3項、特許法第126条第7項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第7566800号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
特許第7566800号の明細書、特許請求の範囲を本件審判請求書に添付された訂正明細書、訂正特許請求の範囲のとおり訂正することを認める。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本件訂正審判の請求に係る特許第7566800号は、2020年(令和2年)6月12日(パリ条約に基づく優先権主張外国庁受理 2019年6月12日 (US)アメリカ合衆国)を国際出願日とする特願2021-573440号の請求項1~16に係る発明について、令和6年10月4日に特許権の設定登録がされたものである。
そして、令和7年8月29日に本件訂正審判の請求がされた。
第2 請求の趣旨及び訂正の内容
1 請求の趣旨
本件訂正審判の請求の趣旨は、「特許第7566800号の明細書、特許請求の範囲を本件審判請求書に添付した訂正明細書、特許請求の範囲のとおり訂正することを認める、との審決を求める。」というものである。
2 訂正の内容
本件訂正審判の請求に係る訂正(以下「本件訂正」という。)の内容は、次の訂正事項1~11のとおりである。
(1)訂正事項1
明細書の段落【0028】に「発火点」と記載されているのを、「引火点」に訂正する。
(2)訂正事項2
明細書の段落【0065】に「発火点」と記載されているのを、「引火点」に訂正する。
(3)訂正事項3
明細書の段落【0068】に「発火点」と記載されているのを、「引火点」に訂正する。
(4)訂正事項4
明細書の段落【0078】の項目1、6、16、18に「発火点」と記載されているのを、「引火点」に訂正する。
(5)訂正事項5
特許請求の範囲の請求項1に「発火点」と記載されているのを、「引火点」に訂正する。
(6)訂正事項6
特許請求の範囲の請求項2に「発火点」と記載されているのを、「引火点」に訂正する。
(7)訂正事項7
特許請求の範囲の請求項3に「発火点」と記載されているのを、「引火点」に訂正する。
(8)訂正事項8
特許請求の範囲の請求項4に「発火点」と記載されているのを、「引火点」に訂正する。
(9)訂正事項9
特許請求の範囲の請求項7に「発火点」と記載されているのを、「引火点」に訂正する。
(10)訂正事項10
特許請求の範囲の請求項12に「発火点」と記載されているのを、「引火点」に訂正する。
(11)訂正事項11
特許請求の範囲の請求項14に「発火点」と記載されているのを、「引火点」に訂正する。
第3 当審合議体の判断
1 訂正の目的について
訂正事項1~11は、本件訂正前の「発火点」を「引火点」に訂正するものである。
本件特許の国際出願日における国際出願の明細書の段落[0028]には、「The dielectric oleaginous heat transfer fluid has a flash point of at least 50°C as measured according to ASTM D56, or at least 60°C, or at least 75°C, or at least 100°C.」と記載されており、本件訂正前の明細書の段落【0028】の「誘電性油性熱伝達流体は、ASTM D56に従って測定したときに、少なくとも50℃、または少なくとも60℃、または少なくとも75℃、または少なくとも100℃の発火点を有する。」との記載と対比すると、後者における「発火点」が、前者における「flash point」の翻訳であることは明らかである。
しかしながら、一般に、「発火点」に対応する英語は「ignition point」であって、「flash point」に対応する日本語は「引火点」であり、また、ASTM D56は、「発火点」ではなく「引火点」を試験する方法であるから(要すれば、「JSA GROUP WEBDESK>規格・書籍・物品>ASTM D56-22・タグ密閉式試験装置による引火点の標準試験方法」,[online],日本規格協会グループ、取得先< https://webdesk.jsa.or.jp/books/W11M0090/index/?bunsyo_id=ASTM+D56+-+22>参照)、本件訂正前の明細書の段落【0028】の「発火点」は、「引火点」の誤訳であることは明らかである。
よって、訂正事項1は、当該誤訳を訂正するものであるから、特許法第126条第1項ただし書第2号に掲げる誤記又は誤訳の訂正を目的とするものである。訂正事項2~11も、本件特許の国際出願日における国際出願の明細書、特許請求の範囲の「flash point」の誤訳を訂正するものであるから同様である。
2 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正でないことについて
前記1で示したとおり、訂正事項1は、本件訂正前の明細書における誤訳を訂正するものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでないから、訂正事項1は、特許法第126条第6項の規定に適合する。訂正事項2~11についても同様である。
3 国際出願日における国際出願の明細書、請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であることについて
前記1で示したとおり、本件特許の国際出願日における国際出願の明細書の段落[0028]には、「flash point」と記載されており、訂正事項1は、本件訂正前の明細書における当該記載の誤訳を訂正するものであるから、国際出願の明細書、請求の範囲又は図面に記載した事項に記載した事項の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものではない。
よって、訂正事項1は、国際出願日における国際出願の明細書、請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてするものであり、特許法第184条の19の規定により読み替えて適用する同法第126条第5項の規定に適合する。訂正事項2~11も、本件特許の国際出願日における国際出願の明細書、特許請求の範囲の「flash point」の誤訳を訂正するものであるから同様である。
4 明細書の訂正と関連する請求項について
本件訂正審判は、特許権全体に対して請求されたものであり、請求項ごとに請求されたものではないから、一群の請求項に関する特許法第126条第3項及び第4項の規定に適合するか否かの検討を要しない。
5 特許出願の際に独立して特許を受けることができることについて
前記1で示したとおり、訂正事項1は、本件訂正前の明細書における誤訳を訂正するものであり、訂正事項2~11も、本件訂正前の明細書、特許請求の範囲における誤記を訂正するものであるから、訂正後の請求項1~16に記載される事項により特定される発明について、特許要件の適否について見直すべき新たな事情は存在せず、特許出願の際独立して特許を受けることができないとする理由を発見しない。
よって、訂正事項1~11は、特許法第126条第7項の規定に適合する。
第4 むすび
以上のとおり、本件訂正は、特許法第126条第1項ただし書第2号に掲げる事項を目的とするものに該当し、かつ、同法第184条の19の規定により読み替えて適用する同法第126条第5項、並びに同法第126条第6項及び第7項の規定に適合するものである。
よって、結論のとおり審決する。
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