特許訂正審判
2018-390040
グリース組成物及びその製造方法
- 審判番号
- 2018-390040
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 訂正審判(訂正の審決)
- 出願番号
- 特願2008-050764外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2018年02月28日
- 審決日
- 2018年04月10日
- 公報発行日
- 2018年07月27日
- 結論
- 訂正認容
- 分類
- P141 .852-Y (C10M) / P141 .853-Y (C10M) / P141 .856-Y (C10M)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法126条1項3号特許法126条5項特許法126条6項特許法126条7項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第126条第1項、特許法第126条第5項、特許法第126条第6項、特許法第126条第7項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特許第5417621号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
特許第5417621号の明細書を本件審判請求書に添付された訂正明細書のとおり訂正することを認める。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本件訂正審判に係る特許は、発明の名称を「グリース組成物及びその製造方法」とする特許第5417621号(以下、「本件特許」という。)であって、平成20年2月29日を出願日とする特願2008-50764号について、平成25年11月29日、請求項1ないし6に対して、設定登録を受けたものである。その後、本件特許に対し、平成30年2月28日に訂正審判の請求がなされたものである。
第2 請求の趣旨及び訂正の内容
1 本件訂正審判の請求の趣旨は、本件特許の明細書を、本件審判請求書に添付した訂正明細書のとおり訂正することを認める、との審決を求めるものである。
2 本件訂正の内容
本件訂正審判に係る明細書の訂正の内容は、以下に示す、訂正事項1ないし7である(これらを併せて「本件訂正」という。)。
なお、下線は訂正箇所を示すものである。
(1)訂正事項1
明細書の段落【0014】の「炭素数6~12の宝庫族炭化水素基」との記載を、「炭素数6~12の芳香族炭化水素基」に訂正する。
(2)訂正事項2
明細書の段落【0025】の「基油は、40℃における動粘度が15~200mm2/sであることが好ましいが、潤滑特性、蒸発特性及び低温流動性を考慮すると、20~150mm2/sであることがより好ましい」との記載を、「基油は、40℃における動粘度が15~200mm2/sであることが好ましいが、潤滑特性、蒸発特性及び低温流動性を考慮すると、20~150mm2/sであることがより好ましい」に訂正する。
(3)訂正事項3
明細書の段落【0042】の「トリメチルシクロヘキシル器」との記載を、「トリメチルシクロヘキシル基」に訂正する。
(4)訂正事項4
明細書の段落【0061】の表1の「実施例4」及び「実施例5」を「参考例4」及び「参考例5」にそれぞれ訂正し、段落【0057】の「実施例及び比較例」との記載を、「実施例、参考例及び比較例」に訂正し、段落【0058】の「実施例1~7、比較例1~3」との記載を、「実施例1~3、6、7、参考例4、5、比較例1~3」に訂正する。
(5)訂正事項5
明細書の段落【0063】の「平均粒径0.1μm以下の炭酸カルシウム をグリース全量の0.1~5質量%含有する実施例の各試験グリース」との記載を、「平均粒径0.1μm以下の炭酸カルシウムをグリース全量の0.1~3質量%含有する実施例の各試験グリース」に訂正する。
(6)訂正事項6
明細書の段落【0066】の表3の「実施例2」との記載を、「実施例12」に訂正する。
(7)訂正事項7
明細書の段落【0073】の「第1のジウレア化合物と第2のジウレア化合物とと個別に調製し、混合する方法」との記載を、「第1のジウレア化合物と第2のジウレア化合物とを個別に調製し、混合する方法」に訂正する。
第3 当審の判断
前記訂正事項1ないし7が、特許法第126条第1項ただし書き各号に掲げる事項を目的とするものであるか否か(訂正の目的の適否)、同条第5項(新規事項の追加の有無)、同条第6項(特許請求の範囲の実質的拡張又は変更の有無)及び同条第7項(独立特許要件充足性)の各規定に適合するものであるか否かについて、訂正事項1から順に以下検討をする。
1 訂正事項1
(1)訂正の目的の適否
本件訂正前の明細書の段落【0014】には、「炭素数6~12の宝庫族炭化水素基」と記載されているが、日本語として意味をなさず、請求項1、段落【0030】の「芳香族炭化水素基」との記載も考慮すれば、「炭素数6~12の芳香族炭化水素基」の誤記であることは明白である。
訂正事項1は、明白な誤記を本来の意味に正す訂正であるから、特許法第126条第1項ただし書第2号に規定する誤記又は誤訳の訂正を目的とするものといえる。
(2)新規事項の追加の有無
訂正事項1は、単に、日本語として意味をなさない明白な誤記を本来の意味に正すものであるから、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてなされたものであり、特許法第126条第5項に規定する要件を満たすものといえる。
(3)特許請求の範囲の実質的拡張又は変更の有無
訂正事項1は、単なる誤記の訂正に過ぎないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではない。
したがって、訂正事項1は、特許法第126条第6項に規定する要件を満たすものである。
(4)独立特許要件充足性
訂正事項1は、単に、日本語として意味をなさない明白な誤記を、本来の意味に正すものであるから、これにより独立特許要件を充足しなくなるような事情は認められない。
したがって、訂正事項1は、特許法第126条第7項に規定する要件を満たすものである。
2 訂正事項2
(1)訂正の目的の適否
本件訂正前の明細書の段落【0025】には、基油の40℃における動粘度について、「20~150mm2/sであることがより好ましい」と記載されているが、「mm2/s」は動粘度の単位として技術的に正しくなく、同段落の「40℃における動粘度が15~200mm2/sであることが好ましいが」との記載も考慮すれば、「mm2/s」が「mm2/s」の誤記であることは明白である。
訂正事項2は、単位の表記についての明白な誤記を本来の表記に正す訂正であるから、特許法第126条第1項ただし書第2号に規定する誤記又は誤訳の訂正を目的とするものといえる。
(2)新規事項の追加の有無
訂正事項2は、明白な誤記を本来の意味に正すものであるから、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてなされたものであり、特許法第126条第5項に規定する要件を満たすものといえる。
(3)特許請求の範囲の実質的拡張又は変更の有無
訂正事項2は、単なる誤記の訂正に過ぎないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではない。
したがって、訂正事項2は、特許法第126条第6項に規定する要件を満たすものである。
(4)独立特許要件充足性
訂正事項2は、明白な誤記を、本来の意味に正すものであるから、これにより独立特許要件を充足しなくなるような事情は認められない。
したがって、訂正事項2は、特許法第126条第7項に規定する要件を満たすものである。
3 訂正事項3
(1)訂正の目的の適否
本件訂正前の明細書の段落【0042】には、「トリメチルシクロヘキシル器」と記載されているが、日本語として意味をなさず、同段落の「ヘキシル基」との記載も考慮すれば、「トリメチルシクロヘキシル基」の誤記であることは明白である。
訂正事項3は、明白な誤記を本来の意味に正す訂正であるから、特許法第126条第1項ただし書第2号に規定する誤記又は誤訳の訂正を目的とするものといえる。
(2)新規事項の追加の有無
訂正事項3は、明白な誤記を本来の意味に正すものであるから、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてなされたものであり、特許法第126条第5項に規定する要件を満たすものといえる。
(3)特許請求の範囲の実質的拡張又は変更の有無
訂正事項3は、単なる誤記の訂正に過ぎないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではない。
したがって、訂正事項3は、特許法第126条第6項に規定する要件を満たすものである。
(4)独立特許要件充足性
訂正事項3は、明白な誤記を、本来の意味に正すものであるから、これにより独立特許要件を充足しなくなるような事情は認められない。
したがって、訂正事項3は、特許法第126条第7項に規定する要件を満たすものである。
4 訂正事項4
(1)訂正の目的の適否
本件訂正前の明細書の実施例4、5は、添加剤として炭酸カルシウム粒子を5.0質量%含んでいるから、これらは、特許請求の範囲に係る発明の実施例にあたらない。
訂正事項4は、当該発明の技術的範囲に含まれない実施例を参考例とし、特許請求の範囲と明細書の記載とを整合させるものであるから、特許法第126条第1項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものといえる。
(2)新規事項の追加の有無
訂正事項4は、特許請求の範囲の記載と明細書の記載との整合を図るために、特許請求の範囲に係る発明の技術的範囲に含まれない実施例を参考例に訂正するものである。
したがって、訂正事項4は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてなされたものであり、特許法第126条第5項に規定する要件を満たすものといえる。
(3)特許請求の範囲の実質的拡張又は変更の有無
訂正事項4は、特許請求の範囲の記載と明細書の記載との整合を図るために明細書の記載を訂正するものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではない。
したがって、訂正事項4は、特許法第126条第6項に規定する要件を満たすものである。
5 訂正事項5
(1)訂正の目的の適否
本件訂正前の明細書の段落【0063】には、「平均粒径0.1μm以下の炭酸カルシウムをグリース全量の0.1~5質量%含有する実施例の各試験グリース」と記載されている。
一方、願書に添付した特許請求の範囲の請求項1には「添加剤として下記の(A)をグリース組成物全量の0.1~3質量%…(中略)…含有する」」と記載され、また、段落【0010】には、「添加剤として下記の(A)をグリース組成物全量の0.1~3質量%…(中略)…含有する」、さらに、段落【0037】には、「炭酸カルシウム微粒子の含有量はグリース組成物全量の0.1~3質量%…(中略)…である」と記載されている。
したがって、炭酸カルシウムの含有量に関し、段落【0063】に記載された数値範囲「0.1~5質量%」と、請求項1や、段落【0010】、【0037】に記載された数値範囲「0.1~3質量%」とが一致せず、不明瞭となっていた。
訂正事項5は、明細書の記載について、願書に添付した特許請求の範囲の請求項1の記載との整合を図るため、明細書の段落【0063】の「0.1~5質量%含有する」との記載を「0.1~3質量%含有する」に訂正するものである。
したがって、当該訂正事項5は、特許法第126条第1項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものといえる。
(2)新規事項の追加の有無
訂正事項5は、明細書の段落【0063】の平均粒径0.1μm以下の炭酸カルシウムのグリース全量に対する含有量の数値範囲について、願書に添付した特許請求の範囲の請求項1、及び、請求項1の態様が記載されている明細書の段落【0010】、【0037】の「0.1~3質量%」との記載に基づいて、「0.1~5質量%」から「0.1~3質量%」に訂正するものである。
したがって、訂正事項5は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてなされたものであり、特許法第126条第5項に規定する要件を満たすものといえる。
(3)特許請求の範囲の実質的拡張又は変更の有無
訂正事項5は、特許請求の範囲の記載と明細書の記載との整合を図るために、願書に添付した特許請求の範囲の請求項1の記載に合わせて明細書の段落【0063】の記載を訂正するものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第126条第6項に規定する要件を満たすものである。
6 訂正事項6
(1)訂正の目的の適否
本件訂正前の明細書の段落【0066】の表3には、実施例8、実施例9、実施例11、実施例2が記載されているが、明細書の段落【0064】の「(実施例8~12)
表3に示すとおり…」との記載から、「実施例2」は「実施例12」の誤記であることは明白である。
したがって、訂正事項6は、明白な誤記を本来の意味に正す訂正であるから、特許法第126条第1項だだし書第2号に規定する誤記又は誤訳の訂正を目的とするものといえる。
(2)新規事項の追加の有無
訂正事項6は、明白な誤記を本来の意味に正すものであるから、最初に願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてなされたものであり、特許法第126条第5項に規定する要件を満たすものといえる。
(3)特許請求の範囲の実質的拡張又は変更の有無
訂正事項6は、単なる誤記の訂正に過ぎないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではない。
したがって、訂正事項6は、特許法第126条第6項に規定する要件を満たすものである。
(4)独立特許要件充足性
訂正事項6は、明白な誤記を、本来の意味に正すものであるから、これにより独立特許要件を充足しなくなるような事情は認められない。
したがって、訂正事項6は、特許法第126条第7項に規定する要件を満たすものである。
7 訂正事項7
(1)訂正の目的の適否
本件訂正前の明細書の段落【0073】には、「第1のジウレア化合物と第2のジウレア化合物とと個別に調製し、混合する方法」と記載されているが、「…と、…とと個別に調製し」とは日本語として意味をなさず「…と、…とを個別に調製し」の誤記であることは明白である。
したがって、訂正事項7は、明白な誤記を本来の意味に正す訂正であるから、特許法第126条第1項ただし書第2号に規定する誤記又は誤訳の訂正を目的とするものといえる。
(2)新規事項の追加の有無
訂正事項7は、明白な誤記を本来の意味に正すものであるから、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてなされたものであり、特許法第126条第5項に規定する要件を満たすものといえる。
(3)特許請求の範囲の実質的拡張又は変更の有無
訂正事項7は、単なる誤記の訂正に過ぎないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではない。
したがって、訂正事項7は、特許法第126条第6項に規定する要件を満たすものである。
(4)独立特許要件充足性
訂正事項7は、明白な誤記を、本来の意味に正すものであるから、これにより独立特許要件を充足しなくなるような事情は認められない。
したがって、訂正事項7は、特許法第126条第7項に規定する要件を満たすものである。
第4 結び
以上のとおり、本件訂正は、特許法第126条第1項ただし書第2号又は第3号に掲げる事項を目的とするものであって、かつ、同条第5項から第7項までの規定に適合するものである。
よって、結論のとおり審決する。
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