特許拒絶査定不服審判
2018-005717
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- 審判番号
- 2018-005717
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2016-159095外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2018年04月25日
- 審決日
- 2018年09月10日
- 公報発行日
- 2018年12月28日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】王子ホールディングス株式会社
- 【請求人代理人】特許業務法人三枝国際特許事務所
- 分類
- P18 .121-Z (G09F)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第17条の2第5項第2号、特許法第29条第2項、特許法第17条の2第6項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2016-159095「情報表示ラベル」拒絶査定不服審判事件〔平成30年2月22日出願公開,特開2018-28561〕について,次のとおり審決する。
結論
【結 論】
本件審判の請求は,成り立たない。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本件出願は,平成28年8月15日の出願であって,平成29年8月29日付けの拒絶理由の通知に対して同年10月17日付けで意見書及び手続補正書が提出されたが,平成30年3月6日付けで,平成29年8月29日付けの拒絶理由通知により通知された理由(以下,「原査定の理由」という。)による拒絶査定がなされ,その謄本は同年3月13日に請求人に送達された。
これに対し,平成30年4月25日に拒絶査定不服審判が請求されるとともに,それと同時に手続補正書が提出されたものである。
第2 平成30年4月25日付けの手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成30年4月25日にされた手続補正(以下,「本件補正」という。)を却下する。
[補正の却下の決定の理由]
1 本件補正について
本件補正は,特許請求の範囲を補正するものであり,その補正の一部には,本件補正前の請求項1の記載を本件補正後の請求項1のとおりに補正する補正事項(以下,「本件補正事項」という。)を含むものである。
(1)本件補正前の特許請求の範囲の請求項1及び2の記載
「【請求項1】
基材から構成された略長方形状のラベル本体の長手方向に,粘着部と,前記粘着部が剥離可能に貼付される仮止め部とを備えた情報表示ラベルであって,情報表示ラベルは前記ラベル本体の長手方向に対して略垂直に延びる先端及び基端を有し,
前記粘着部はラベル本体の長手方向の中央よりも前記先端寄りに設けられ,前記仮止め部はラベル本体の長手方向の中央よりも前記基端寄りに設けられ,
前記基材における前記仮止め部から前記基端までの部分である基端部分は前記粘着部が剥離不能に貼付される貼付部を有し,前記情報表示ラベルの長手方向における前記基端部分の長さは10~50mmであり,
前記粘着部を前記仮止め部に貼り付けた時に前記粘着部から前記仮止め部までの間のラベル本体の部分により形成されるループが,該ループ内に人の手指を挿入できる長さを有し,前記ループの全周の長さが35mm以上85mm以下である,情報表示ラベル。
【請求項2】
前記粘着部と前記仮止め部の間に前記粘着部を前記仮止め部に貼付するガイドのための折り線が設けられている請求項1に記載の情報表示ラベル。」
(2)本件補正後の特許請求の範囲の請求項1の記載
「【請求項1】
基材から構成された略長方形状のラベル本体の長手方向に,粘着部と,前記粘着部が剥離可能に貼付される仮止め部とを備えた情報表示ラベルであって,情報表示ラベルは前記ラベル本体の長手方向に対して略垂直に延びる先端及び基端を有し,
前記粘着部はラベル本体の長手方向の中央よりも前記先端寄りに設けられ,前記仮止め部はラベル本体の長手方向の中央よりも前記基端寄りに設けられ,
前記基材における前記仮止め部から前記基端までの部分である基端部分は前記粘着部が剥離不能に貼付される貼付部を有し,前記情報表示ラベルの長手方向における前記基端部分の長さは10~50mmであり,
前記粘着部を前記仮止め部に貼り付けた時に前記粘着部から前記仮止め部までの間のラベル本体の部分により形成されるループが,該ループ内に人の手指を挿入できる長さを有し,前記ループの全周の長さが35mm以上85mm以下であり,
前記粘着部と前記仮止め部の間であって,ラベル本体における前記粘着部および前記仮止め部と同じ面のみに,前記粘着部を前記仮止め部に貼付するガイドのための折り線が設けられている
情報表示ラベル。」(下線は,当審で付加したものである。下線については,以下同じである。)
(3)本件補正の目的について
本件補正事項は,本件補正前の請求項1における発明特定事項に,本件補正前の請求項2における発明特定事項である「前記粘着部と前記仮止め部の間に前記粘着部を前記仮止め部に貼付するガイドのための折り線が設けられている」を追加するとともに,ラベル本体において折り線が設けられている面を「粘着部および前記仮止め部と同じ面のみ」と限定するものであるから,特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
したがって,請求項1に係る本件補正は,特許法第17条の2第5項第2号を目的とするものであって,特許法第17条の2第5項第2号に規定される特許請求の範囲の減縮を目的とする本件補正後の特許請求の範囲の請求項1に記載される発明(以下,「本件補正発明」という。)が,特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか否か(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか)について,以下検討する。
2 独立特許要件についての検討
(1) 引用文献に記載された事項
原査定の拒絶の理由に引用され,本願の出願日前である昭和50年4月2日に頒布された実願昭48-81326号(実開昭50-28700号公報)のマイクロフィルム(以下「引用文献」という。)には,図面と共に次の事項が記載されている。
ア「本考案は目印用粘着部材に関するもので,団体旅行などで煩雑するカバン類の自他区別の目印用に使用する粘着部材である。
本考案の実例を図面をもって具体的に説明すると,紙,合成紙,不織布などあるいはこれらとプラスチックフイルムを貼り合わせた鉛筆,マジック等で筆記可能な薄葉長片部材1の長手方向の一方の片面端部に粘着層2例えば感圧性接着剤層,あるいはフイルムもしくはシート基材に感圧性接着剤溶液を塗布もしくは含浸させて乾燥させた所謂両面接着フイルムもしくはシートなどを設け,該粘着層2を該片面の他の個所に設けた離型層3面に仮着したことを特徴とする目印用粘着部材である。なお図中4は書かれた文字でAはカバン類の手提部である。」(明細書第1ページ第10行~第2ページ第4行)
イ「本考案の目印用粘着部材は,通常第1図,第4図で図示されるように粘着層が離型層面に仮着されているが,使用時には第2図,第3図で図示されるように,粘着層が離型層より剥がされ離型層のない部分に接着される。離型層を設ける位置は第1図に図示する如く粘着層とは反対方向の端部近くに設けることが好ましいが,第4図で図示する如く粘着層と近接して設けることもできる。
本考案の目印用粘着部材は以上のように構成されているので,例えば第3図に図示する如くカバン類の手提部に,持主などを明示して粘着層を剥離層より剥離し,薄葉部材の端部がほぼ一致するように重ね合わせて後接着する。このようにして使用すると,従来粘着層に独立した剥離紙を仮着していたものに比較して,粘着層と離型層の分離が簡単であり,特に従来使用後は剥離紙がゴミとなり散乱していたが,本考案の物品を使用した場合は所謂ゴミとなるような材料を出さないので,空港のカウンターやホテルでの目印に好ましいものである。」(明細書第2ページ第10行~第3ページ第10行)
ウ 第3図から,薄葉長片部材1は,全体として略長方形状であること,及び,略長方形状であるから,両端は薄葉長片部材1の長手方向に対して略垂直方向に延びていることが看て取れる。
エ 第3図から,カバン類の手提部に巻回する使用時に粘着層2が接着される,薄葉長片部材1における離型層3のない部分は,離型層3が設けられた薄葉長片部材1の端部近くよりも,さらに端部側であることが看て取れる。
オ 第1図から,粘着層2が離型層3に仮着されているときに,粘着層2から離型層3までの間の薄葉長片部材1の部分によりループが形成されていることが看て取れる。
カ 第3図から,文字4が書かれる薄葉長片部材1の面は,粘着層2及び離型層3が設けられない側の面であることが看て取れる。
引用文献の上記記載事項を含め,引用文献の全記載を総合すると,引用文献には以下の発明(以下,「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「紙,合成紙,不織布などあるいはこれらとプラスチックフイルムを貼り合わせた略長方形状の薄葉長片部材1の長手方向に,粘着層2と,該粘着層2が仮着される離型層3を設けた目印用粘着部材であって,目印用粘着部材は前記薄葉長片部材1の長手方向に対して略垂直に延びる端部を有し,
前記粘着層は薄葉長片部材1の長手方向の一方の片面端部に設けられ,前記離型層3は該片面の他の個所であって粘着層とは反対方向の端部近くに設けられ,
文字4が書かれる薄葉長片部材1の面は,粘着層2及び離型層3が設けられない側の面であり,
カバン類の手提部に巻回する使用時に離型層3より剥がされた粘着層2が接着される,薄葉長片部材1における離型層3のない部分は,離型層3が設けられた薄葉長片部材1の端部近くよりも,さらに端部側にあり,
粘着層2が離型層3に仮着されているときに,粘着層2から離型層3までの間の薄葉長片部材1の部分によりループが形成される,
空港のカウンターやホテルでの目印となる目印用粘着部材。」
(2) 対比
本件補正発明と引用発明とを対比する。
引用発明の「薄葉長片部材1」は,本件補正発明の「ラベル本体」に相当する。
以下同様に,「粘着層2」は「粘着部」に,
「離型層3」は「仮止め部」に,それぞれ相当する。
本件補正発明において「基材」とは,本願明細書の段落【0013】の「ラベル本体2は,紙,合成紙,合成樹脂製フィルム等の基材20から構成される。」から,ラベル本体を構成する材料であることが理解できる。そして,引用発明の「紙,合成紙,不織布などあるいはこれらとプラスチックフイルムを貼り合わせた」ものは,ラベル本体を構成する材料に他ならないから,引用発明の「紙,合成紙,不織布などあるいはこれらとプラスチックフイルムを貼り合わせた」ものは,本件補正発明の「基材」に相当する。
引用発明において,文字4が書かれる薄葉長片部材1は,何らかの情報を表示していることは明らかであり,薄葉長片部材1,粘着層2,及び離型層3から構成される「目印用粘着部材」は,本件補正発明の「情報表示ラベル」に相当する。
引用発明の「端部」は,薄葉長片部材1の長手方向にある2つの端部のことであるから,一方を「先端」,他方を「基端」とすることができることは自明である。
そして,粘着層2が設けられた「端部」は,本件補正発明の「先端」に相当し,当然薄葉長片部材1の長手方向の中央よりも前記先端寄りにあることになり,離型層3が設けられた「端部」は,本件補正発明の「基端」に相当し,当然薄葉長片部材1の長手方向の中央よりも前記基端寄りにあることになることは明らかである。
引用発明において,カバン類の手提部に巻回する使用時に離型層3より剥がされた粘着層2が接着される,薄葉長片部材1における離型層3のない部分は,離型層3が設けられた薄葉長片部材1の端部(基端)近くよりも,さらに端部(基端)側にあることから,引用発明において,本件補正発明の「基端部分」に相当する部分があることは自明である。
また,引用発明における「基端部分」に相当する部分に,離型層3より剥がされた粘着層2が接着される部分があるから,引用発明の「離型層3より剥がされた粘着層2が接着される部分」は,本件補正発明の「貼付部」に相当する。
引用発明における,粘着層2が離型層3に仮着されているときに,粘着層2から離型層3までの間の薄葉長片部材1の部分により形成される「ループ」は,本件補正発明の粘着部を仮止め部に貼り付けた時に粘着部から仮止め部までの間のラベル本体の部分により形成される「ループ」に相当する。
以上のことから,両者は,
〈一致点〉
「基材から構成された略長方形状のラベル本体の長手方向に,粘着部と,前記粘着部が剥離可能に貼付される仮止め部とを備えた情報表示ラベルであって,情報表示ラベルは前記ラベル本体の長手方向に対して略垂直に延びる先端及び基端を有し,
前記粘着部はラベル本体の長手方向の中央よりも前記先端寄りに設けられ,前記仮止め部はラベル本体の長手方向の中央よりも前記基端寄りに設けられ,
前記基材における前記仮止め部から前記基端までの部分である基端部分は前記粘着部が貼付される貼付部を有し,
前記粘着部を前記仮止め部に貼り付けた時に前記粘着部から前記仮止め部までの間のラベル本体の部分によりループが形成される情報表示ラベル。」
である点で一致し,以下の点で相違している。
〈相違点〉
相違点1
本件補正発明の貼付部は,「粘着部が剥離不能に貼付」されるのに対して,引用発明における「離型層3より剥がされた粘着層2が接着される部分」は,どのような強度で粘着層2と接着されているか不明である点。
相違点2
本件補正発明の基端部分の長手方向における長さは,「10~50mm」であるのに対して,引用発明においてはその点が不明である点。
相違点3
本件補正発明のループの全周の長さは,「人の手指を挿入できる長さ」を有し,「35mm以上85mm以下」であるのに対して,引用発明においてはその点が不明である点。
相違点4
本件補正発明において「前記粘着部と前記仮止め部の間であって,ラベル本体における前記粘着部および前記仮止め部と同じ面のみに,前記粘着部を前記仮止め部に貼付するガイドのための折り線」が設けられているのに対して,引用発明においてはそのような折り線がない点。
(3) 判断
相違点1について
本件補正発明の「剥離不能」に関して,本願明細書の段落【0021】において「ここで,「剥離不能」とは情報表示ラベル1の使用者が粘着部12を貼付部16から剥離すべく引き離そうとしたときに,剥離できないか,又は剥離できたとしても破損や貼付部16における粘着部12の粘着剤の糊残りなしに剥離できないことを指す。」と記載されている。
引用発明は,空港のカウンターやホテルでの目印となるものであって,空港のカウンターやホテルは,周囲に不特定多数の人がいることを前提としていることは明らかであり,そのような場所で使用する目印用粘着部材において,粘着層と離型層のない部分との接着強度を容易に剥離しないような接着強度とすることは自明である。
また,引用発明において,カバン類の手提部に巻回する使用する前の粘着層2と離型層3との接着の態様,つまり上記使用に際して容易に剥がすことを前提とした接着の態様を「仮着」と限定していることからみても,粘着層と離型層のない部分との接着強度は,容易に剥離し得ない接着強度で設計されていることは自明である。
以上のことより,相違点1に係る本件補正発明の発明特定事項は,実質的に引用発明に記載されているといえる。
相違点2について
本件補正発明における「基端部」は,「基材における仮止め部から基端までの部分」であって,「貼付部」を有するものである。
そして,本件補正発明は,その長さを「10~50mm」としたものであるところ,本願明細書をみても,当該数値限定による臨界的意義は記載されておらず,当該数値限定については当業者が適宜定める程度の設計的事項にすぎない。
したがって,相違点2に係る本件補正発明の構成は,引用発明から,当業者が容易に想到し得たものである。
相違点3について
引用発明の「ループ」は,粘着層2が離型層3に仮着されているときに形成されるものであるから,カバン類の手提部に巻回する使用時に,当該ループ内に人の手指を挿入して,粘着層2と離型層3との仮着状態を解除することは,人間の動作として通常の使用形態にすぎない。
そして,本件補正発明は,その長さを「35mm以上85mm以下」としたものであるところ,本願明細書をみても,当該数値限定による臨界的意義は記載されておらず,当該数値限定については当業者が適宜定める程度の設計的事項にすぎない。
したがって,相違点3に係る本件補正発明の構成は,引用発明から,当業者が容易に想到し得たものである。
相違点4について
相違点4に係る本件補正発明の発明特定事項である「前記粘着部と前記仮止め部の間」は,折る場所(が存在する領域)を特定し,「ラベル本体における前記粘着部および前記仮止め部と同じ面のみ」は,折る対象物の片面のみに設けられていることを特定しているところ,折る場所を示すために,折る対象物に「ガイドのための折り線」を設けること,該「折り線」を折る対象物の片面に設けることは,情報表示ラベルの技術分野のみならず,広く一般的に用いられる周知技術(以下,「周知技術2」という。)である。
必要であれば,以下の文献を参照されたい。
周知技術2を示す文献:米国特許第3994085号明細書(なお,日本語訳は当審でした。)
ア「As best shown in FIGS. 1 and 2, the first section 10 consists of cover member 15 and a cover member 16. A score line 14 is provided between cover members 15 and 16 to facilitate bending or folding. The front cover member has an interior surface 17 and an exterior surface 18. The rear cover member 16 has an interior surface 19 and an exterior surface 20. Section 10 also includes a passenger identification portion 23 having an interior surface 23A and an exterior surface 23B. In the preferred embodiment interior surfaces 17, 19 and 23A have an adhesive coating applied over the entire surface. 」(第2欄第15~26行)
(図1及び図2に最もよく示されるように,第1の部分10は,カバー部材15と,カバー部材16とからなる。スコアライン14は,折り曲げを容易にするために,カバー部材15,16との間に設けられる。前側カバー部材は内側面17と外側面18を有している。リアカバー部材16は,内側面19と外側面20とを有している。第1の部分10は,内側面23Aと外側面23Bとを有する乗員判別部23を備えている。好適な実施例では内側面17,19及び23Aが全面に塗布された接着剤コーティングを有している。)
イ「As shown in FIG. 2, the exterior surfaces 18 and 20 are imprinted with airline, destination and flight information. The surface 20 also includes an identical baggage claim number 12a which matches the claim number 12 on the detachable claim check portion 11.」(第2欄第34~38行)
(図2に示すように,外側面18及び外側面20は,航空会社,目的地,航空機運行情報が書き込まれる。外側面20も,着脱可能な前記チェック部11に前記番号12に対応して同一の手荷物請求書の番号12aを備えている。)
ウ「The cover member 16 is then folded along score line 14 so that the interior surface 19 overlies both the passenger information portion 23 and the interior surface 17. 」(第3欄第3~6行)
(内面19は,乗員情報部23と内側表面17の両方の上に位置するように,カバー部材16は,スコアライン14に沿って折り返されている。)
そして,引用発明と周知技術2とは,情報表示ラベルという技術分野に属する点,及びラベルの使用目的として貼付した物品の自他区別の目的として使用するためのものであるという内在する課題を有する点で共通するから,引用発明の「粘着層2と離型層3の間」に,該周知技術2を適用して,相違点4に係る本件補正発明の発明特定事項とすることは,当業者が容易に想到し得たものである。
また,本件補正発明の発明特定事項全体によって奏される作用効果も,引用文献及び周知技術1及び2から,当業者が予測しうる程度のものである。
したがって,本件補正発明は,引用発明と周知技術1及び2から当業者が容易に想到し得たものであるから,特許法第29条第2項の規定により,その特許出願の際に独立して特許を受けることができない。
(4) 本件補正についてのまとめ
本件補正は,特許法第17条の2第5項第2号を目的とするものであって,同条第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので,同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
第3 本件発明について
1 本件発明及び引用文献に記載された発明
平成30年4月25日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので,請求項に係る発明は,平成29年10月17日付け手続補正により補正された特許請求の範囲に記載されたとおりのものである。
そして,その請求項1により特定される発明(以下「本件発明」という。)は次のとおりである。
「【請求項1】
基材から構成された略長方形状のラベル本体の長手方向に,粘着部と,前記粘着部が剥離可能に貼付される仮止め部とを備えた情報表示ラベルであって,情報表示ラベルは前記ラベル本体の長手方向に対して略垂直に延びる先端及び基端を有し,
前記粘着部はラベル本体の長手方向の中央よりも前記先端寄りに設けられ,前記仮止め部はラベル本体の長手方向の中央よりも前記基端寄りに設けられ,
前記基材における前記仮止め部から前記基端までの部分である基端部分は前記粘着部が剥離不能に貼付される貼付部を有し,前記情報表示ラベルの長手方向における前記基端部分の長さは10~50mmであり,
前記粘着部を前記仮止め部に貼り付けた時に前記粘着部から前記仮止め部までの間のラベル本体の部分により形成されるループが,該ループ内に人の手指を挿入できる長さを有し,前記ループの全周の長さが35mm以上85mm以下である,情報表示ラベル。」
(2) 対比・判断
本件発明は,前記「第2 1 (2)」で検討した本件補正発明から「前記粘着部と前記仮止め部の間であって,ラベル本体における前記粘着部および前記仮止め部と同じ面のみに,前記粘着部を前記仮止め部に貼付するガイドのための折り線が設け」られているという発明特定事項を除いたものである。
そうすると,本件発明の発明特定事項をすべて含み,さらに他の発明特定事項を付加したものに相当する本件補正発明が,前記「第2 2 (3)」に記載したとおり,引用発明と周知技術1乃至3に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるところ,周知技術2及び3は上記相違点4に係る本件補正発明の発明特定事項に係るものであるから,上記相違点4に係る本件補正発明の発明特定事項を有さない本件発明は,引用発明と周知技術1に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものである。
(3) むすび
以上のとおり,本件発明は,引用発明と周知技術1に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって,本願は,他の請求項について検討するまでもなく,拒絶されるべきものである。
よって,結論のとおり審決する。
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2018-005717