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特許拒絶査定不服審判

2024-020963

発光デバイス

審判番号
2024-020963
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2022-097313
請求日
2024年12月27日
審決日
2026年06月15日
公報発行日
2026年08月28日
結論
請求不成立
当事者
  • 【請求人】MFオプテックス株式会社
  • 【請求人代理人】弁理士法人前田特許事務所
審判長/審判官
  • 審判長 岡田 吉美
  • 審判官 横井 亜矢子
  • 審判官 目黒 大地
分類
P18 .121-Z (G09F)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2022-97313「発光デバイス」拒絶査定不服審判事件〔令和5年12月28日出願公開、特開2023-183673〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 1 手続の経緯 本願は、令和4年6月16日の出願であって、その手続の経緯の概略は、次のとおりである。 令和6年 5月 2日付け:拒絶理由通知書 同年 7月 1日 :意見書、手続補正書の提出 同年 8月15日付け:拒絶理由通知書 同年 9月10日 :意見書、手続補正書の提出 同年10月24日付け:拒絶査定(以下「原査定」という。) (同月29日 :原査定の謄本の送達) 同年12月27日 :審判請求書、手続補正書の提出 2 本願発明について (1) 本願発明の認定 本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、令和6年12月27日に提出された手続補正書により補正された請求項1に記載された次に示す事項により特定されるとおりのものである。 「光源と、 前記光源からの光を伝送する光ファイバと、 前記光ファイバが延びる方向を変化させるとともに前記光ファイバに応力を発生させて側面発光させる光取り出し手段と、 を備え、 前記光ファイバは、前記光源からの光が入射されるコアと、前記コアを被覆するように設けられたクラッドと、を有し、 前記光ファイバの前記クラッドには、散乱体が添加されている発光デバイス。」 (2) 本願発明の分説 検討の便宜上、本願発明の構成を次のように構成Xと構成Aから構成Eまでに分説する。また、参考図として、本願の【図1A】及び【図2】に部材名を記入したものを掲載する。 <本願発明の分説> A 光源と、 B 前記光源からの光を伝送する光ファイバと、 C 前記光ファイバが延びる方向を変化させるとともに前記光ファイバに応力を発生させて側面発光させる光取り出し手段と、 を備え、 D 前記光ファイバは、前記光源からの光が入射されるコアと、前記コアを被覆するように設けられたクラッドと、を有し、 E 前記光ファイバの前記クラッドには、散乱体が添加されている X 発光デバイス。 <参考図> 【図1A】 [図:0001437911000001.jpg] 注 特許請求の範囲と明細書で用語が異なる場合は、括弧内に明細書の用語を記した。 【図2】 [図:0001437911000002.jpg] (3) 課題・作用効果等に関連する明細書の発明の詳細な説明の記載 後記「10 別記」の(1)に、本願明細書の発明の詳細な説明の記載のうち、発明が解決しようとする課題及び作用効果等に関連する記載を抜粋した。なお、図面は最も関連する記載に続けて掲載した。 本願明細書の発明の詳細な説明の記載を参酌すると、従来技術のLED等の発光素子を利用した発光デバイスでは、電源から発光素子まで電気配線が設けられ、このような発光デバイスの電気配線には、特に屋外や水中等で用いる場合において、例えば漏電防止のための絶縁対策のような耐環境性への配慮が必要となるところ(【0004】)、 本願発明の課題は、耐環境性への配慮の負荷が小さい発光デバイスを提供することであり、(【0005】) 本願発明によれば、光源からの光を耐環境性が優れる光ファイバで伝送し、その光を光取り出し手段により光ファイバに側面発光させるので、電気配線の場合に必要とされるような耐環境性への配慮の負荷を小さくすることができるという効果がある(【0007】)。 3 原査定における拒絶の理由の概要 原査定の拒絶の理由のうち、本願発明に対する下記引用文献1を主たる引用文献とする理由1(進歩性の欠如)の概要は、次のとおりである。 理由1(進歩性の欠如) 本願発明は、その出願前に発行された下記の引用文献に記載された発明に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。 記 <主たる引用文献> 引用文献1.実願平3-108228号(実開平5-69189号)のCD-ROM <そのほかの文献> 引用文献2.特表2016-524309号公報 引用文献3.特開2022-17558号公報 引用文献4.特表2018-512696号公報 引用文献5.特開2000-131530号公報 4 引用文献1の記載事項及び図面からの認定事項並びに引用発明の認定 (1) 引用文献1の記載事項 原査定の拒絶の理由において引用された、本願の出願前に発行された文献である引用文献1(実願平3-108228号(実開平5-69189号)のCD-ROM)には、後記「10 別記」の(2)に摘記したとおりの記載がある(なお、当合議体により、後記(3)の引用発明の認定に直接用いる記載に下線を付した。)。また、図面を最も関連する記載に続けて掲載した。 (2) 図面から把握できる事項の認定 引用文献1の【図面の簡単な説明】における【図3】及び【図4】についての記載を踏まえつつ【図1】、【図3】及び【図4】を参照すると、当業者は次のこと(以下「認定事項1」という。)を把握できると認められる。 <認定事項1> 「折曲部61~65は、ロールスクリーンのスクリーン2の平面に沿って配置され、前記平面内において折れ曲ったものであること。」 「 【図3】 図1に示すロールスクリーンにおけるスクリーンの構成を示す断面図。 [図:0001437911000003.jpg] 【図4】 図3に示すスクリーンのI-I矢視断面図。 [図:0001437911000004.jpg] 【図1】 この考案に係るシート状照明体が適用された第1実施例のロールスクリーンを示す斜視図。 [図:0001437911000005.jpg] 」 (3) 引用発明の認定 前記(2)において認定した認定事項1及び前記(1)で認定した引用文献1の記載事項(後記「10 別記」の(2)に摘記した事項)を総合すると、引用文献1には、第1実施例(【図1】~【図4】)に係る次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。なお、認定の根拠となる記載箇所を括弧内に示した。 <引用発明> 「シート体に織り込んだ光ファイバの全長方向において、全反射条件が崩れるような角度に折れ曲った、つまり照明光が臨界角以下の入射角度で入射するように折れ曲った多数の折曲部を設け、この折曲部にて照明光の一部を光ファイバ外部へ洩出させることによって光ファイバの全長方向全体に亙り照明を施すことができるシート状照明体が適用されたロールスクリーンであって、(【0005】、【0006】) ロールスクリーンは、本体1と、シート状のスクリーン2と、切替スイッチ3とから構成され、 本体1には、スクリーン2が巻装されるロール軸11を両端から支持するブラケット12に第1,第2の光源4,5が収容されており、光ファイバと光学的に接続され、 第1光源4には、花型に配置した光ファイバ6Aに向けて赤色の光を出射するものが使用され、(【0006】) 第2光源5には、魚型に配置した光ファイバ6Bに向けて青色の光を出射するものが使用され、 スクリーン2は、植物繊維を漉いて形成した和紙21,22との間に光ファイバ6A,6Bを挟み込んだ構成となっており、 光ファイバ6A、6Bにおいて、この内部を伝送する照明光の一部の全反射条件が崩れることにより、光ファイバ6A、6B外部I1~I5へ洩出することができる折曲部61~65が長さ方向全体に亙って多数形成され、(【0007】、【図4】) 前記折曲部61~65は、ロールスクリーンのスクリーン2の平面に沿って配置され、前記平面内において折れ曲ったものであり、(認定事項1) 第1光源4を作動させると、スクリーン2上に赤色で花型模様に照明光が発光し、 第2光源5を作動させると、スクリーン2上に青色で魚型模様に照明光が発光する、(【0007】) ロールスクリーン。」 5 技術常識1、2及び引用文献3技術事項の認定 (1) 引用文献7の記載事項及び技術常識1の認定 ア 引用文献7の記載事項 当審において新たに引用する、本願の出願前に発行された文献である特開2002-202415号公報(以下「引用文献7」という。)には、後記「10 別記」の(3)に摘記したとおりの記載がある(図面を最も関連する記載に続けて掲載した。下線は、当合議体による。いずれも以下同様である。なお、引用文献の参照番号を審査と審判の手続において共通のものとするため、「引用文献2」と表記せず、「引用文献7」の表記とした。)。 イ 技術常識1の認定 引用文献7の記載事項(前記ア及び後記「10 別記」の(3)参照)に例示されているように、次の技術事項は、当業者にとって技術常識であったと認められる(以下「技術常識1」という。)。 <技術常識1> 「光ファイバを用いた照明又は表示において、クラッドに光散乱粒子が添加されていない光ファイバにおける側面発光光の輝度が、クラッドに所定の割合で光散乱粒子を含有させることにより高くなること。」 (2) 引用文献4及び5の記載事項並びに技術常識2の認定 ア 引用文献4の記載事項 原査定の拒絶の理由において引用された、本願の出願前に発行された文献である引用文献4(特表2018-512696号公報)には、後記「10 別記」の(4)に摘記したとおりの記載がある。 イ 引用文献5の記載事項 原査定の拒絶の理由において引用された、本願の出願前に発行された文献である引用文献5(特開2000-131530号公報)には、後記「10 別記」の(5)に摘記したとおりの記載がある。 ウ 技術常識2の認定 引用文献7、4及び5の記載事項(前記(1)ア、前記ア、イ及び後記「10 別記」の(3)~(5)参照)に例示されているように、次の技術事項は、当業者にとって技術常識であったと認められる(以下「技術常識2」という。)。 <技術常識2> 「光ファイバを用いた照明技術において、クラッドに所定の割合で散乱体を添加した側面発光型光ファイバを用いることによって、光ファイバを全長にわたって均一かつ高い輝度で発光させること。」 (3) 引用文献3の記載事項及び引用文献3技術事項の認定 ア 引用文献3の記載事項 原査定の拒絶の理由において引用された、本願の出願前に発行された文献である引用文献3(特開2022-17558号公報)には、後記「10 別記」の(6)に摘記したとおりの記載がある。 イ 引用文献3技術事項の認定 引用文献3の記載事項(前記ア及び後記「10 別記」の(6)参照)から、引用文献3には、次の技術事項(以下「引用文献3技術事項」という。)が記載されていると認められる。 <引用文献3技術事項> 「側面発光型光ファイバにおいて、光散乱体を含むクラッドに対して部分的にファイバ長さ方向以外の方向に応力を付与する応力付与構造を設けることにより、応力付与構造において発光量を高めて、光源から離れた位置でも多くの発光量を得ることができるようにすること。」 6 本願発明と引用発明の対比 (1) 対比分析 本願発明と引用発明を対比する。 ア 構成Xの観点(発光デバイス) (ア) 構成Xは、「発光デバイス」に係る発明であることを特定するものである。 (イ) 引用発明における「ロールスクリーン」は、「シート状照明体が適用された」ものであって(【0006】)、「第1光源4を作動させると、スクリーン2上に赤色で花型模様に照明光が発光し」、「第2光源5を作動させると、スクリーン2上に青色で魚型模様に照明光が発光する」ものであるから(【0007】)、本願発明における「発光デバイス」に相当するといえる。 したがって、本願発明と引用発明は、構成Xの点において一致する。 イ 構成Aの観点(光源) (ア) 構成Aは、「光源」を備えることである。 (イ) 引用発明における前述の「第1光源4」及び「第2光源5」は、本願発明における「光源」に相当する。 (ウ) したがって、本願発明と引用発明は、構成Aの点において一致する。 ウ 構成Bの観点(光ファイバ) (ア) 構成Bは、「前記光源からの光を伝送する光ファイバ」を備えることである。 (イ) 引用発明における「第1,第2の光源4,5」は「光ファイバと光学的に接続され」(【0006】)、「第1光源4には…光ファイバ6Aに向けて赤色の光を出射するものが使用され」(【0006】)、「第2光源5には…光ファイバ6Bに向けて青色の光を出射するものが使用され[る]」(【0007】)。 そうすると、引用発明における「光ファイバ6A」及び「光ファイバ6B」は、本願発明にいうところの「前記光源からの光を伝送する光ファイバ」であるといえる。 (ウ) したがって、本願発明と引用発明は、構成Bの点において一致する。 エ 構成Cの観点(光取り出し手段) (ア) 構成Cは、「前記光ファイバが延びる方向を変化させるとともに前記光ファイバに応力を発生させて側面発光させる光取り出し手段」を備えることである。 (イ) 引用発明においては、「シート体に織り込んだ光ファイバの全長方向において、全反射条件が崩れるような角度に折れ曲った、つまり照明光が臨界角以下の入射角度で入射するように折れ曲った多数の折曲部を設け、この折曲部にて照明光の一部を光ファイバ外部へ洩出させることによって光ファイバの全長方向全体に亙り照明を施す」のであるから、本願発明と引用発明は、前記光ファイバは延びる方向が変化することにより側面発光する点において共通する。 (ウ) 引用発明において、「前記光ファイバが延びる方向を変化させるとともに前記光ファイバに応力を発生させて側面発光させる光取り出し手段」を備えることについては、少なくとも明示的には特定されていない。 (エ) そうすると、本願発明と引用発明の構成Cの観点における一致点及び相違点は、次のa及びbに示すとおりである。 a 構成Cの観点における一致点 C′ 前記光ファイバは延びる方向が変化することにより側面発光する点。 b 構成Cの観点における相違点 本願発明においては、 「前記光ファイバが延びる方向を変化させるとともに前記光ファイバに応力を発生させて側面発光させる光取り出し手段」を備えるのに対して、 引用発明においては、 このような手段を備えることについて、少なくとも明示的に特定されていない点。 オ 構成Dの観点(コア及びクラッド) (ア) 構成Dは、「前記光ファイバ」が「前記光源からの光が入射されるコアと、前記コアを被覆するように設けられたクラッドと、を有[する]」ことである。 (イ) 内部を全反射光が伝播する光ファイバを、光が入射するコアとその外側に設けられたクラッドから構成することは、引用文献1において従来技術として記載されるとおり(【0002】)、技術常識であって、引用発明における「光ファイバ」が前記構成を備えることは明らかである。 (ウ) したがって、本願発明と引用発明は、構成Dの点において一致する。 カ 構成Eの観点(散乱体) (ア) 構成Eは、「前記光ファイバの前記クラッドには、散乱体が添加されている」ことである。 (イ) 引用発明においては、クラッドに散乱体を添加することは特定されていないから、本願発明と引用発明は、構成Eの点において相違する。 (2) 一致点及び相違点 前記(1)の対比分析の結果をまとめると、本願発明と引用発明の一致点及び相違点は、それぞれ次のア及びイに示すとおりである。 ア 一致点 「A 光源と、 B 前記光源からの光を伝送する光ファイバと、 を備え、 C′ 前記光ファイバは延びる方向が変化することにより側面発光するものであり、 D 前記光ファイバは、前記光源からの光が入射されるコアと、前記コアを被覆するように設けられたクラッドと、を有する、 発光デバイス」の発明である点。 イ 相違点 (ア) 相違点1 本願発明においては、 「前記光ファイバが延びる方向を変化させるとともに前記光ファイバに応力を発生させて側面発光させる光取り出し手段」を備えるのに対して、 引用発明においては、 このような手段を備えることについて、少なくとも明示的には特定されていない点。 (イ) 相違点2 本願発明においては、 「前記光ファイバの前記クラッドには、散乱体が添加されている」のに対して、 引用発明においては、 クラッドに散乱体を添加することは特定されていない点。 7 判断 (1) 相違点1について ア 本願発明における「光取り出し手段」について、本願明細書の発明の詳細な説明の記載を参酌すると、次の記載がある。 「【0033】 実施形態に係る発光デバイス10において、レーザ光源11は、レーザ光を出射する。レーザ光源11からのレーザ光は、光ファイバ12のコア121に入射される。光ファイバ12は、そのレーザ光源11からのレーザ光を伝送する。光ファイバ12における光取り出し部材13上の光取り出し部132に巻き掛けられた部分では、応力の発生によりコア121からのレーザ光の漏洩が誘発されて側面発光する。したがって、この光取り出し部材13の光取り出し部132が光取り出し手段を構成する。このレーザ光の側面発光は、主には、光取り出し部132による押圧方向で且つ光取り出し部132に巻き掛けられた屈曲部頂点付近から光ファイバ12のレーザ光の伝送方向側に傾いた方向に出射される。なお、側面発光は、多くはないが、その他の方向にも出射される。光ファイバ12からのレーザ光の側面発光は、光反射部133の傾斜面で反射して光路が変更されて基材131の表面の法線方向に進む。したがって、光反射部133が光反射手段を構成する。そして、以上により、実施形態に係る発光デバイス10では、光ファイバ12の長さ方向に沿ったライン状のレーザ光の発光が得られる。」 「【0057】 上記実施形態では、光ファイバ12に光取り出し部132により応力を加え、光ファイバ12のコアから光が漏洩する状態としているが、一度加えた応力によりコアから光が漏洩する状態が維持できる場合には、光取り出し部132は必ずしも必要としない。例えば、光ファイバ12に応力を与える部材を別途準備し、光ファイバ12に応力を与えてコアから光が漏洩する状態を作り、この状態を、例えばクラッドや被覆材料の軟化温度やガラス転移温度などで保持し冷却することで、この形状を定着させる構成であってもよい。これにより、光取り出し部132が無い状態でも本発明の効果が得られる。応力を加えた状態や形状を定着させる手段は、上記の温度に限らず、紫外線照射やその他でも可能である。この場合、その応力を加えた状態や形状を定着させる手段が光取り出し手段を構成する。」 イ 引用発明は、「シート体に織り込んだ光ファイバの全長方向において、全反射条件が崩れるような角度に折れ曲った、つまり照明光が臨界角以下の入射角度で入射するように折れ曲った多数の折曲部を設け[ている]」ものであって、光ファイバの折曲形状が維持されているといえるから、本願明細書の【0057】にいうところの「その応力を加えた状態や形状を定着させる手段」が存在するといえ、本願発明における「前記光ファイバが延びる方向を変化させるとともに前記光ファイバに応力を発生させて側面発光させる光取り出し手段」に相当する構成を備えているといえる。 ウ したがって、相違点1に係る構成について引用発明においては明示的には特定がないが、引用発明が実質的には備えている、又は、引用発明が備えることが少なくとも当業者には自明であるといえ。 (2) 相違点2について ア 引用発明に内在する自明な課題について (ア) 引用発明においては、「光ファイバ6A,6Bにおいて、この内部を伝送する照明光の一部の全反射条件が崩れることにより、光ファイバ6A、6B外部I1~I5へ洩出することができる折曲部61~65が長さ方向全体に亙って多数形成され、(【0007】)」「前記折曲部61~65は、ロールスクリーンのスクリーン2の平面に沿って配置され、前記平面内において折れ曲ったものであ[る]」(認定事項1)。 (イ) ここで、光ファイバの折曲による全反射条件の崩れが、光ファイバ内部を伝送する照明光のうち、折曲部が配置されたスクリーン2の平面に対して平行な光軸をもって進行する照明光に対して大きく作用することは明らかであるから、全反射条件が崩れることによる照明光の「洩出」は、前記平面に垂直な方向に比較して、平行な方向(スクリーン2の平面に沿った方向)において相対的に大きな強度で生じることが理解できる。 (ウ) 引用発明は、「光ファイバの全長方向全体に亙り照明を施す」ための「ロールスクリーン」であって、「スクリーン2上に」「花型模様に照明光が発光し」「魚型模様に照明光が発光する」「ロールスクリーン」である。 (エ) そうすると、花型模様や魚型模様をスクリーンの外部からより明確に識別できるものとするために、スクリーンの平面に垂直な方向へ洩出する照明光の強度をより高くすることは、引用発明に内在する当業者に自明な課題といえる。 イ 相違点2の想到容易性について (ア) 光ファイバを用いた照明又は表示において、クラッドに光散乱粒子が添加されていない光ファイバにおける側面発光光の輝度が、クラッドに所定の割合で光散乱粒子を含有させることにより高くなることは技術常識である(前記技術常識1参照)。 (イ) 光ファイバを用いた照明技術において、クラッドに所定の割合で散乱体を添加した側面発光型光ファイバを用いることによって、光ファイバを全長にわたって均一かつ高い輝度で発光させることも技術常識である(前記技術常識2参照)。 (ウ) そして、クラッドが光散乱体を含む光ファイバにおける側面発光光は、光ファイバの長手方向に垂直な平面内におけるあらゆる角度において得られることは自明である。 (エ) また、側面発光型光ファイバにおいて、光散乱体を含むクラッドとファイバ長さ方向以外の方向に応力を付与する応力付与構造を併用して光源から離れた位置でも多くの発光量を得ることができるようにしたものも公知である(前記引用文献3技術事項参照)ように、一般に同じ又は共通する目的の技術効果を奏するための技術手段を併用することは、当業者には自明の設計上の選択肢である。 (オ) そうすると、引用発明において、花型模様や魚型模様の識別に寄与するスクリーンの平面に垂直な方向へ洩出する照明光の強度を高めるために、クラッドに光散乱粒子を含有させてファイバ全長における輝度を高めることは、当業者であれば容易に想到し得たことといえる。 (3) 総合評価 前記(1)及び(2)において検討したとおり、引用発明において前記相違点1及び2に係る本願発明の構成を備えるようにすることは、当業者が容易に想到し得たことである。 そして、本願発明が奏する効果としては、当該構成のものとして当業者が予測・発見困難かつ格別顕著な効果を認めることはできない。 したがって、本願発明は、引用発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 8 請求人の主張について 請求人は、審判請求書において、「光ファイバのクラッドに散乱体が添加されている」という相違点について、引用発明に対して引用文献3~5に開示された発明を適用する動機付けが認められないこと、本願発明は散乱体の添加によって、光ファイバの全長にわたって概ね均一な側面発光を適宜調整して得ることができ途切れのない連続した発光を得ることができる、という当業者が予想できない顕著な作用効果を奏するものであることを根拠として、本願発明が進歩性を有する旨主張している。 請求人の主張について検討すると、引用発明において、光ファイバのクラッドに散乱体を添加する動機付けとなる自明の課題が内在することは、前記7(2)アで説示したとおりであるから、引用発明において本願発明の構成Eを備えるようにすることの動機がないとする請求人の主張は採用できない。 また、クラッドに所定量の散乱体を添加することにより、光ファイバの長さ方向にわたって均一な輝度を得ることも、前記5(2)ウで認定したとおり技術常識(技術常識2参照)であるから、請求人が主張する「途切れのない連続した発光を得ることができる」という効果は、当業者が予測し得るものであるというべきで、本願発明が当業者が予想できない顕著な作用効果を奏する旨の請求人の主張は採用できない。 9 むすび 以上検討のとおり、本願発明は、特許法29条2項の規定により、特許を受けることができない。 したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 10 別記 (1) 課題・作用効果等に関する本願の発明の詳細な説明の記載 ア 背景技術、発明の概要等(【0001】~【0007】) 「【技術分野】【0001】 本発明は、発光デバイスに関する。 【背景技術】 【0002】 発光デバイスとして、例えばLED等の発光素子を利用したものが広く知られている(例えば特許文献1等)。 …(中略)… 【発明の概要】 【発明が解決しようとする課題】 【0004】 LED等の発光素子を利用した発光デバイスでは、電源から発光素子まで電気配線が設けられる。このような発光デバイスの電気配線には、特に屋外や水中等で用いる場合において、例えば漏電防止のための絶縁対策のような耐環境性への配慮が必要となる。 【0005】 本発明の課題は、耐環境性への配慮の負荷が小さい発光デバイスを提供することである。 【課題を解決するための手段】 【0006】 本発明は、光源と、前記光源からの光を伝送する光ファイバと、前記光ファイバが延びる方向を変化させるとともに前記光ファイバに応力を発生させて側面発光させる光取り出し手段とを備えた発光デバイスである。 【発明の効果】 【0007】 本発明によれば、光源からの光を耐環境性が優れる光ファイバで伝送し、その光を光取り出し手段により光ファイバに側面発光させるので、電気配線の場合に必要とされるような耐環境性への配慮の負荷を小さくすることができる。」 イ 発明を実施するための形態(【0009】~【0066】) 「【発明を実施するための形態】 【0009】 以下、実施形態について図面に基づいて詳細に説明する。 【0010】 図1A及びBは、実施形態に係る発光デバイス10を示す。実施形態に係る発光デバイス10は、レーザ光源11と、光ファイバ12と、光取り出し部材13とを備える。この発光デバイス10は、レーザ光源11からのレーザ光を光ファイバ12で伝送し、そのレーザ光を光取り出し部材13が光ファイバ12から取り出して側面発光させるものである。 【図1A】 [図:0001437911000006.jpg] 注 図1Aは、90度回転させて掲載している。 【図1B】 [図:0001437911000007.jpg] 注 図1Bは、90度回転させて掲載している。 【0011】 レーザ光源11としては、例えば、半導体レーザ、固体レーザ、ガスレーザ等が挙げられる。レーザ光源11は、デバイスの小型化及び省エネルギーの観点から、半導体レーザであることが好ましい。 【0012】 レーザ光源11は、複数のレーザで構成されていてもよい。例えば、レーザ光源11は、RGBの各色の半導体レーザが組み合わされて構成されていてもよい。その場合、種々の発色光を瞬時に実現することができる。また、複数のレーザで構成されたレーザ光源11では、発光強度や光干渉性の調整を容易に行うことができる。 【0013】 レーザ光源11は、可視光を発するものであってもよく、また、赤外光や紫外光を発するものであってもよい。レーザ光源11が赤外光や紫外光を発する場合、この発光デバイス10を化学反応プロセスや各種センシングの用途で用いることができる。 【0014】 レーザ光源11によれば、光干渉によるスペックル効果を利用することにより、発光デバイス10の発光について、高い視認性を得ることができる。レーザ光源11では、レーザ光の発振スペクトル(縦モード)幅を調整することにより、スペックル効果を変えることができる、つまり、観察者の視認性を変えることができる。スペックル効果は、発振スペクトル幅が狭いほど強くなり、逆に、発振スペクトル幅が広いほど弱くなる。半導体レーザの場合には、駆動電流に高周波信号を重畳することにより、発振スペクトル幅を調整することができる。また、レーザ光源11からのレーザ光の光ファイバ12への入射位置や入射角度等を変化させて反射散乱位置を調整することにより、スペックル効果を変えることもできる。 【0015】 LED等の発光素子を利用した発光デバイスの場合、電気エネルギーから光エネルギーへの変換効率が100%ではないため、光エネルギーに変換されない電気エネルギーは、熱エネルギーに変換されて発熱の原因となる。また、自然放出光を利用するため、視認性を高めるには、多くの電気エネルギーを供給して光量を増やす必要があり、このことが発熱を助長させる。そのため、冷却ファンやヒートシンク等の冷却機構が必要となり、このことが、デバイスの小型化及び薄型化を困難にしている。しかしながら、実施形態に係る発光デバイス10で用いているレーザ光源11では、かかる発熱を伴うことなく、上記のように光干渉によるスペックル効果を利用することにより高い視認性を得ることができる。その結果、冷却機構が不要であるので、発光デバイス10の小型化及び薄型化を図ることができる。 【0016】 光ファイバ12は、図2に示すように、コア121と、クラッド122と、被覆層123とを有する。 【図2】 [図:0001437911000008.jpg] 注 図2は、90度回転させて掲載している。 【0017】 コア121は、断面中央部に設けられている。コア121は、相対的に高屈折率であり、その形成材料としては、例えば、石英等のガラス材料、アクリル系樹脂やフッ素系樹脂等の有機材料が挙げられる。コア121の直径は、例えば10μm以上2000μm以下である。 【0018】 クラッド122は、コア121を被覆するように設けられている。クラッド122は、相対的に低屈折率であり、その形成材料としては、例えば、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、フッ素樹脂等の有機材料、石英等のガラス材料が挙げられる。クラッド122の外径は、例えば100μm以上10000μm(10mm)以下である。 …(中略)… 【0020】 光ファイバ12は、レーザ光に対する耐久性、屋外使用での耐環境性、及び製造性の観点から、コア121が石英、クラッド122がシリコーン樹脂、及び被覆層123がフッ素樹脂でそれぞれ形成されていることが好ましい。 【0021】 光ファイバ12は、レーザ光の取り出しを容易にする観点から、散乱体が添加された光散乱ファイバであることが好ましい。散乱体は、通常、コア121及び/又はクラッド122に添加されるが、レーザ光源11が有する光干渉性を低下させずにスペックル効果を発現させる観点から、少なくともクラッド122に添加されていることが好ましく、コア121に添加されず且つクラッド122に添加されていることがより好ましい。散乱体がコア121に添加されていると、コア121を伝播するレーザ光の散乱回数が多くなるため、レーザ光源11自身が有していた光干渉性が低下し易い一方、散乱体がクラッド122に添加されていると、レーザ光がコア121とクラッド122との界面に到達した際にのみに散乱することから、散乱回数が少ないため、光干渉性の低下が小さい。なお、散乱体は、被覆層123にも添加されていてもよい。被覆層123は、形成材料の結晶による光散乱機能を有していてもよい。 【0022】 散乱体としては、例えば、石英等の無機材料、ポリメチルメタクリレート樹脂(PMMA)等の有機材料、セラミックス材料、金属材料等の粉体が挙げられる。散乱体は、これらのうちの1種又は2種以上を含むことが好ましい。散乱体の添加濃度は、レーザ光の取り出し状況に合わせて適宜調整すればよい。散乱体の添加濃度が高ければ、コア121とクラッド122との界面にモード不整合部分が多く形成されることとなり、応力が発生したときのレーザ光の取り出しが容易になる。 【0023】 光取り出し部材13は、基材131と、光取り出し部132と、光反射部133とを有する。 …(中略)… 【0025】 光取り出し部132は、円柱体で構成されており、基材131上に複数が立設されている。それらの複数の光取り出し部132は、基材131の表面の正面視において、ジグザグ形状の頂点位置に配置され、且つ、図3に示すように、そのジグザグ形状の延びる方向の正面視において、奇数番目の光取り出し部132及び偶数番目の光取り出し部132の相互に近接する側の部分が重畳するように設けられている。複数の光取り出し部132は、ジグザグ形状の延びる方向に等間隔に設けられていても、等間隔に設けられていなくても、どちらでもよい。 【図3】 [図:0001437911000009.jpg] …(中略)… 【0030】 実施形態に係る発光デバイス10では、レーザ光源11に光ファイバ12の一端が接続されている。光ファイバ12は、レーザ光源11から光取り出し部材13まで延び、光取り出し部材13の基材131上において、ジグザグ形状の頂点位置に配置された複数の光取り出し部132間を縫うように設けられている。 【0031】 具体的には、光ファイバ12は、1番目の光取り出し部132では、隣接する2番目の光取り出し部132が配置されている側の部分に巻き掛けられた後、次の2番目の光取り出し部132に向かって延び、その2番目の光取り出し部132では、隣接する3番目の光取り出し部132が配置されている側の部分に巻き掛けられた後、次の3番目の光取り出し部132に向かって延び、以降、奇数番目の光取り出し部132では、隣接する偶数番目の光取り出し部132が配置されている側の部分に巻き掛けられた後、次の偶数番目の光取り出し部132に向かって延び、その偶数番目の光取り出し部132では、隣接する奇数番目の光取り出し部132が配置されている側の部分に巻き掛けられた後、次の奇数番目の光取り出し部132に向かって延び、その結果、延びる方向が光取り出し部132により変化し、基材131の表面の正面視において、波形を形成するように屈曲して設けられている。この波形の屈曲は、例えば、振幅が0.7mm以上10mm以下であり、周期が2mm以上50mm以下である。これらの振幅及び周期は、光ファイバ12の構造や形状、また漏洩光量により決定することができる。また、これら振幅及び周期は、一定でなくても良い。そして、光ファイバ12における光取り出し部132に巻き掛けられた部分には、光取り出し部132による押圧及び光取り出し部132への巻き掛けによる屈曲により、それに抗する応力が発生する。具体的には、光ファイバ12に、光取り出し部132による押圧に抗するように、断面方向に外向きの応力が発生するとともに、光取り出し部132への巻き掛けによる屈曲に抗するように、屈曲の外周側では長さ方向に引張応力及び屈曲の内周側では長さ方向に圧縮応力がそれぞれ発生する。 【0032】 次に、実施形態に係る発光デバイス10の動作について説明する。 【0033】 実施形態に係る発光デバイス10において、レーザ光源11は、レーザ光を出射する。レーザ光源11からのレーザ光は、光ファイバ12のコア121に入射される。光ファイバ12は、そのレーザ光源11からのレーザ光を伝送する。光ファイバ12における光取り出し部材13上の光取り出し部132に巻き掛けられた部分では、応力の発生によりコア121からのレーザ光の漏洩が誘発されて側面発光する。したがって、この光取り出し部材13の光取り出し部132が光取り出し手段を構成する。このレーザ光の側面発光は、主には、光取り出し部132による押圧方向で且つ光取り出し部132に巻き掛けられた屈曲部頂点付近から光ファイバ12のレーザ光の伝送方向側に傾いた方向に出射される。なお、側面発光は、多くはないが、その他の方向にも出射される。光ファイバ12からのレーザ光の側面発光は、光反射部133の傾斜面で反射して光路が変更されて基材131の表面の法線方向に進む。したがって、光反射部133が光反射手段を構成する。そして、以上により、実施形態に係る発光デバイス10では、光ファイバ12の長さ方向に沿ったライン状のレーザ光の発光が得られる。 【0034】 実施形態に係る発光デバイス10のレーザ光の発光は、観察者の網膜細胞上に、光干渉によるスペックル歪パターンを発生するスペックル現象を生じさせることにより、高い視認性を与える。 【0035】 レーザ光のような光干渉性(コヒーレンス)のよい光の映像をスクリーンに映し、その映像を肉眼で観察すると、スクリーン上の映像は、光のスペックル効果によるスペックル歪が重なった状態で視認される。このスペックル歪は、実際のスクリーン上には存在しておらず、スクリーン上の異なる場所から反射した僅かに位相が異なる光が、人間の網膜細胞上で干渉し、歪んだ光強度パターンを空間に形成する。そのため、人間の観察位置やスクリーンの位置が僅かに変わった際、その観察位置の変位で新たに異なる位相の光が網膜細胞上で干渉して、別の歪んだ光強度パターンが発生させるため、観察者はその変化を敏感に感じる。この歪は、光の光干渉に依るため微弱光であっても変化は大きく、自然放出光の発光強度に依る見え方の違いよりも観察者へのインパクトが大きい。通常、レーザプロジェクション装置等では、このスペックル効果を削減するため、光源のスペクトル幅を広げて光干渉性を低減させる、或いは、スクリーンを機械的に振動させ、人間が感知できない速度で移動させることで、網膜上に形成されるスペックル歪を平均化して観察者への不快感を低減する。 【0036】 これに対し、実施形態に係る発光デバイス10では、人間が視認し易いスペックル歪を敢えて活用する。具体的には、レーザ光源11から光干渉性のよいレーザ光を光ファイバ12で伝送する。光取り出し部材13において、光ファイバ12に押圧及び屈曲により応力を発生させ、それによりコア121からのレーザ光の漏洩を誘発させて側面発光させる。このとき、スペックル歪を活用するためには、可能な限り、レーザ光の反射回数や散乱回数を少なくし、レーザ光源11が有する光干渉性を低減させず、光ファイバ12からそのまま取り出すことが好ましい。 【0037】 実施形態に係る発光デバイス10において、光ファイバ12が、散乱体が添加された光散乱ファイバである場合、光ファイバ12における応力の影響が小さい直線状に延びる部分では、概ね光拡散ファイバ本来の光散乱による側面発光が周囲全方向に出射される。つまり、この場合、側面発光には、光取り出し部132による押圧及び光取り出し部132への巻き掛けによる屈曲に起因する応力により方向付けされて出射される光と、光拡散ファイバ本来の散乱光とが混在する。また、光ファイバ12における光取り出し部132に巻き掛けられた屈曲部頂点付近以外からも側面発光が得られるので、光取り出し部材13上に設けられた光ファイバ12の全長に渡って概ね均一な側面発光を得ることができる。さらに、従来のLED等の発光素子を利用した発光デバイスでは、点光源又は限定された広さの面光源となるため発光に途切れが生じるのに対し、この発光デバイス10では、光ファイバ12が光拡散ファイバである場合、途切れのない連続した発光を得ることができる。 【0038】 一方、光ファイバ12が、散乱体が添加されていない一般ファイバである場合、光ファイバ12における応力の影響が小さい直線状に延びる部分では、光取り出し部132に巻き掛けられた屈曲部頂点から遠ざかるにしたがって側面発光の発光量が減少する。また、レーザ光の散乱回数が少ないので、光干渉性の劣化を防ぐことができ、高い視認性を得ることができる。但し、光ファイバ12が光散乱ファイバである場合と比べると、同等の側面発光を得るためには、より大きな応力の発生が必要である。また、光ファイバ12の全長に渡って均一な側面発光を得るためには、光取り出し部132の数をより多くする必要がある。 【0039】 光ファイバ12は、レーザ光源11から光取り出し部材13までの部分の一般ファイバと、光取り出し部材13上に設けられた部分の光散乱ファイバとが接続された構成であってもよい。この場合、光ファイバ12の側面発光は、概ね光取り出し部材13上において得られる。また、光ファイバ12は、全体が光散乱ファイバである構成であってもよい。この場合、光ファイバ12の側面発光は、光取り出し部材13上以外においても得られる。さらに、光ファイバ12は、発光させたい部分の光拡散ファイバと、発光させたくない部分の一般光ファイバ12とが接続された構成であってもよい。 【0040】 複数の光取り出し部132により、それぞれ光ファイバ12に同等の応力が発生する場合、光ファイバ12からの側面発光の発光強度は、光ファイバ12の長さ方向において、レーザ光源11に近接する側の方が、レーザ光源11から離間する側よりも強くなる。この側面発光の発光強度を光ファイバ12の長さ方向で均一化させるには、レーザ光源11に近接する側の光取り出し部132において光ファイバ12に発生する応力よりも、レーザ光源11から離間する側の光取り出し部132において光ファイバ12に発生する応力を大きくすればよい。具体的には、例えば、図3の正面視に示した光取り出し部132の相互に近接する側の部分の重畳範囲が、レーザ光源11に近接する側から離間する側に向かって漸次大きくなるようにしてもよい。 …(中略)… 【0057】 上記実施形態では、光ファイバ12に光取り出し部132により応力を加え、光ファイバ12のコアから光が漏洩する状態としているが、一度加えた応力によりコアから光が漏洩する状態が維持できる場合には、光取り出し部132は必ずしも必要としない。例えば、光ファイバ12に応力を与える部材を別途準備し、光ファイバ12に応力を与えてコアから光が漏洩する状態を作り、この状態を、例えばクラッドや被覆材料の軟化温度やガラス転移温度などで保持し冷却することで、この形状を定着させる構成であってもよい。これにより、光取り出し部132が無い状態でも本発明の効果が得られる。応力を加えた状態や形状を定着させる手段は、上記の温度に限らず、紫外線照射やその他でも可能である。この場合、その応力を加えた状態や形状を定着させる手段が光取り出し手段を構成する。 【0058】 なお、光ファイバ12に発生する応力の方向は、光ファイバ12の長さ方向でも、断面方向でも、どちらでもよい。 …(中略)… 【実施例】 【0060】 (光ファイバの側面発光の出射角度と発光強度との関係についての測定実験) 上記実施形態と同様、図9に示すように、光ファイバ12を、ジグザグ形状の頂点位置に配置された複数の円柱体の光取り出し部132間を縫うように設け、特定の光取り出し部132に巻き掛けられた光ファイバ12の屈曲部頂点を回転中心としてシリコンフォトダイオードPDを移動可能に設けた実験装置Aを構成した。また、光ファイバ12として、コアを石英、クラッドをシリコーン樹脂、及び被覆層をフッ素樹脂でそれぞれ形成し、クラッドに散乱体を添加していないファイバAと、クラッドに散乱体を添加したファイバBとを準備した。 【図9】 [図:0001437911000010.jpg] 【0061】 <測定1> ファイバAについて、レーザ光源から赤色(R)のレーザ光を入射し、光取り出し部132の押圧により光ファイバ12が波形に屈曲した部分を含む面内において、シリコンフォトダイオードPDを光ファイバ12のレーザ光の入射側(後方)の出射角度-180°から出射側(前方)の出射角度0°までの範囲において、各出射角度での側面発光の発光強度を測定した。緑色(G)及び青色(B)、並びに赤色(R)、緑色(G)、及び青色(B)を混合した白色(W)のレーザ光をでも同様の測定を行った。また、ファイバBについても同様の測定を行った。 【0062】 図10A及びBは、この測定1について、それぞれファイバA及びBの出射角度と発光強度との関係を示す。この結果によれば、測定範囲全方向において側面発光の出射が観察されることが分かる。また、レーザ光の波長に依る差異はあるが、散乱体の添加の有無に依らず、鉛直方向の出射角度-90°から前方方向に光量が偏っており、特に出射角度-45°付近に強く出射されていることが分かる。なお、散乱体を添加したファイバBでは、出射角度-45°付近のピークが先鋭化しており、これは散乱体自身が有する本来の特性が影響しているものと考えられる。出射角度-45°付近にエネルギーが集められることで光反射部133の設計も簡単になる。また、光ファイバ12の屈曲の曲率を小さくし、より大きな応力を発生させれば、これらの角度はいずれも鉛直方向に僅かにシフトする傾向がある。 【図10A】 [図:0001437911000011.jpg] 【図10B】 [図:0001437911000012.jpg] 【0063】 <測定2> 図11に示すように、測定1における測定面に対して垂直な面内において、同様の測定を行った。 【図11】 [図:0001437911000013.jpg] 【0064】 図12A及びBは、測定2について、それぞれファイバA及びBの出射角度と発光強度との関係を示す。この結果によれば、測定1の場合とは異なり、特定の出射角度に強い発光強度は認められず、概ねランバート放射に近いことが分かる。 【図12A】 [図:0001437911000014.jpg] 【図12B】 [図:0001437911000015.jpg] 【0065】 (光ファイバの側面発光の出射方向を考慮した光反射部の設計例) 光ファイバからの側面発光の出射方向を考慮して光反射部を設計することで、発光デバイスからの出射方向を制御することが可能である。出射方向は、光ファイバの構造や光取り出し部の構成で変化するので、各出射方向での発光強度を事前に測定しておくことにより、所望の発光デバイスの設計が可能となる。その一例を以下に示す。 【0066】 上記の測定実験では、コアを石英、クラッドをシリコーン樹脂、及び被覆層をフッ素樹脂でそれぞれ形成した光ファイバ12を用い、上記の通り、出射角度-45°付近に強い発光強度を確認した。このことを利用して、光ファイバからの側面発光を、光ファイバによるレーザ光の伝送方向に対して垂直な方向(上方)に光路変更させる構造を設計することができる。具体的には、図13A及びBに示すように、光ファイバ12から出射角度-45°で出射される側面発光が、光反射部133の傾斜角度45°の光反射面に垂直に入射するように設計すれば、光ファイバ12からのレーザ光の側面発光が、光ファイバ12のレーザ光の伝送方向に対して垂直な方向に光路変更されて視認される構成とすることができる。 【図13A】 [図:0001437911000016.jpg] 【図13B】 [図:0001437911000017.jpg] 」 (2) 引用文献1の記載事項 ア 実用新案登録請求の範囲 「【請求項1】 所定の繊維で漉き若しくは織り上げたシート体と、 照明光を出射する光源に一端が接続されると共に、外周面から前記照明光が洩出可能な角度に折曲げた折曲部を多数有するように前記シート体に織込んだ光ファイバとを備えたことを特徴とするシート状照明体。」 イ 図面の簡単な説明 「【図1】この考案に係るシート状照明体が適用された第1実施例のロールスクリーンを示す斜視図。 【図2】図1に示すロールスクリーンの駆動を行う本体内の構成ブロック図。 【図3】図1に示すロールスクリーンにおけるスクリーンの構成を示す断面図。 【図4】図3に示すスクリーンのI-I矢視断面図。」 ウ 技術分野、従来の技術、考案が解決しようとする課題等(段落【0001】~【0005】) 「【0001】 【産業上の利用分野】 この考案は、合成繊維や動植物の繊維で織り上げたシート体に、折曲部から光が洩出可能な光ファイバを織り込んだシート状照明体に関するものである。 【0002】 【従来の技術】 光の伝送手段として光ファイバが開発され使用されている。 この光ファイバは、中心側と外側との間の屈折率を調整し、つまり中心側のコアの方を外側のクラッドよりも高屈折率にすることで全反射条件を実現させ、これによってコア内に送り込んだ光をクラッドとの間で連続的に全反射させながら遠方へ光を伝送させるものである。 このような光ファイバを使用したものとして、例えば一端から送り込んだ特定波長の光を他端面から出射させ、これによって各種の色を発光させるような室内インテリア用の照明器具等が知られている。 【0003】 【考案が解決しようとする課題】 このような光ファイバを利用した照明器具等は、一般的に光ファイバの一端から光を取り込み、光ファイバ内で全反射させながら他端まで導光し、その他端面で発光させる構成となっているので、主に光ファイバの小さな端面部分のみでの照明に限られており、照明効果が弱い。 そこで、この考案は、上記した従来の欠点に鑑み、光ファイバの全長方向での発光を行い、効果的な照明を施すことが可能となるシート状照明体を提供することを目的とするものである。 【0004】 【課題を解決するための手段】 即ち、この考案のシート状照明体は、所定の繊維で漉き若しくは織り上げたシート体と、照明光を出射する光源に一端が接続されると共に、外周面から前記照明光が洩出可能な角度に折曲げた折曲部を多数有するように前記シート体に織込んだ光ファイバとを備えたものである。 【0005】 【作用】 この考案のシート状照明体は、シート体に織り込んだ光ファイバの全長方向において、全反射条件が崩れるような角度に折れ曲った、つまり照明光が臨界角以下の入射角度で入射するように折れ曲った多数の折曲部を設け、この折曲部にて照明光の一部を光ファイバ外部へ洩出させることによって光ファイバの全長方向全体に亙り照明を施すことができる。」 エ 実施例(段落【0006】、【0007】) 「【0006】 【実施例】 以下この考案の実施例について添付図面を参照しながら説明する。 図1はこの考案に係るシート状照明体が適用されたロールスクリーンを示すものであり、このロールスクリーンは、本体1と、シート状のスクリーン2と、切替スイッチ3とから構成されている。 本体1には、スクリーン2が巻装されるロール軸11を両端から支持するブラケット12に第1,第2の光源4,5が収容されており、後に説明する光ファイバと光学的に接続されている。なお、この本体1のロール軸11には、従来のものと同様にモータ(図略)が収容されており、スクリーン11の巻取り或は展開を自動的に行うこともできるように構成されている。 第1光源4には、花型に配置した光ファイバ6Aに向けて所定波長の光、即ちこの実施例では赤色の光を出射するものが使用されており、図2に示す切替スイッチ3を介して電源8と接続されている。 【図1】 [図:0001437911000018.jpg] 【図2】 [図:0001437911000019.jpg] 【0007】 第2光源5には、魚型に配置した光ファイバ6Bに向けて所定波長の光、即ちこの実施例では青色の光を出射するものが使用されており、同様に切替スイッチ3を介して電源8と接続されている。 スクリーン2は、例えば図3に示す如く植物繊維を漉いて形成した和紙21,22との間に光ファイバ6A,6Bを挟み込んだ構成となっている。そして、これらの光ファイバ6A,6Bには、例えば光ファイバ6Aにおいて、図4に示す如く、この内部を伝送する照明光の一部が臨界角以上で入射して(全反射条件が崩れる)光ファイバ6A外部I1~I5へ洩出することができる折曲部61~65が長さ方向全体に亙って多数形成されている。 切替スイッチ3は、第1,第2光源4,5の何れかを作動させて何れか一方の光ファイバ6A,6Bを照明させるものであり、例えば第1光源4を作動させると、スクリーン2上に赤色で花型模様に照明光が発光するようになっている。また、第2光源5を作動させると、スクリーン2上に青色で魚型模様に照明光が発光する。 【図3】 [図:0001437911000020.jpg] 【図4】 [図:0001437911000021.jpg] 」 (3) 引用文献7の記載事項 「【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、側面発光性光ファイバーに関し、さらに詳しく述べると、コアの長さ方向少なくとも一端から入射された光を、コアの周囲(すなわち、側面)に配置されたクラッドを通して出射させる、側面発光性光ファイバーに関する。 …(中略)… 【0002】 【従来の技術】周知のように、蛍光灯のような放電管は、特定波長領域の可視光を発し、通常は照明の用途で用いられている。また、放電管がネオン管の場合には、いわゆるネオンサインの形で広告又は装飾等の表示の用途にも使用されている。放電管は、電圧の印加によって発光可能である。このとき、放電管は熱を発することが一般的である。したがって、放電管は漏電及び発熱を考慮して使用される必要がある。そのため、放電管は、例えば水中での照明又は表示の用途に使用することは実質的に不可能となる。 【0003】最近になって、上述のような照明又は表示を実現するため、光源を照明又は表示を行うべき場所から遠隔に配置した発光装置が注目されている。このような発光装置は、光源とは隔離して配置した光ファイバーを備えて、照明場所の近傍において所望の照明を行なったり、表示を行なったりしている。 …(中略)… 【0007】 【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、比較的長いコア長の(長尺の)光ファイバーにおいても、長さ方向にわたる側面発光輝度の均一性を高めることができる、側面発光性光ファイバーを提供することにある。 【0008】 【課題を解決するための手段】本発明によれば、上述の課題を解決するものとして、中央部のコアと、前記コアの周囲に配置されたクラッドとを備える側面発光性光ファイバーにおいて、前記クラッドが、前記コアと接する透明な第1層と前記第1層の外側に形成された光拡散性の第2層とからなり、かつ両層が一体的に成形されてなることを特徴とする、側面発光性光ファイバー(単に、光ファイバーと呼ぶこともある)が提供される。 …(中略)… 【0009】 【発明完成の過程】前述の10m以上の長尺の光ファイバーは、光ファイバーの透明な単層クラッドの外周面を、光拡散性の半透明樹脂層で被覆し、これにより、長さ方向にわたる輝度の均一性を高くしながら、明るく発光させることも可能である。これは、次の様な理由によるものと考えられる。透明な単層クラッドに覆われたコアを含む光ファイバーは、クラッド外周面(すなわち、側面)から光が漏れ出ることなく、長さ方向一端から他端まで光を伝送することが可能である。これは、相対的に低屈折率のクラッドと、相対的に高屈折率のコアとの界面での全反射を有効に利用できるからであった。 【0010】ところが、比較的大きな直径、たとえば、3mm以上の直径を有するコアを含む場合、クラッド自体が光拡散性を持たなくても、わずかではあるが、側面から光が漏光し、長さ方向にわたって薄明るく発光する。これは、コア径が大きくなるにつれて、全反射条件を満たさない角度でコアークラッド界面に入射される光成分の割合が増えるからである。また、クラッドとコアとの界面の密着レベルは、肉眼での見た目が透き通る様な透明であっても、微視的に見れば部分的には不均一であり、この不均一部分が発光点となり得るからである。 【0011】上記の様な漏光光は、比較的低い角度方向(クラッド側面に平行な方向をゼロ度とみなす。)で、クラッド外周面から出射する成分が多い。したがって、このままの状態では、長さ方向にわたる輝度の均一性は高いものの、漏光による発光輝度が小さく、ネオンライク(ネオンの様)に発光させて、イルミネーション用の長尺発光体として用いることはできない。 【0012】そこで、この様な透明クラッドの外周面に光拡散層を密着させ、光拡散層で光を拡散し、比較的高角度成分(クラッド側面に対して垂直な方向に近い出射光成分)の割合を増加させるようにする。これにより、発光輝度の減衰を抑え、長さ方向にわたって均一に輝度を向上させることができるが判明した。この様にすれば、ネオンライクに発光し、イルミネーション用の長尺発光体として用いることもできる。 【0013】この様なクラッド外周面に光拡散層を配置するには、公知の方法で行える。たとえば、電線を樹脂で被覆する方法を真似て、透明ポリマーと、そのポリマー中に分散された(白色無機粉末等)とを含有する溶融樹脂を用いて、光ファイバーのクラッド外周面に樹脂を適用して冷却固化し、光拡散層を形成できる。また、光拡散層からなるチューブを用意しておき、光ファイバーを挿入することもできる。 【0014】しかしながら、上記の様にして光拡散層を後から被覆する方法では、光ファイバーの製造工程に、光拡散層を被覆するための追加工程が必要になり、コストアップに直結する。 【0015】また、クラッドの外周面に、別体で光拡散層を被覆するので、光拡散層とクラッドとの密着(接着)強度を上げることが難しかった。その結果、光ファイバーの曲げ操作、温度変化等の物理的な要因により、光拡散層-クラッド間の層間剥離が発生しやすかった。この様な剥離が部分的にでも生じると、密着部分に比べて剥離部分の輝度が低下し、輝度ムラが発生する。その結果、イルミネーション用の発光体として満足する性能が発揮できない。 …(中略)… 【0018】本発明の別の目的は、比較的コア径の大きな光ファイバー(たとえば、直径5mm以上)においても、光拡散層と、コアに接する透明層(従来で言えば、単層の透明クラッドのこと。)との層間剥離が効果的に防止できる、側面発光性光ファイバーを提供することにある。 【0019】 【発明の実施の形態】以下、本発明をその典型的な実施の形態にしたがって説明する。なお、説明において参照する図面中、同一又は相当の部分には同一の符号を付することとする。図1の斜視図には、本発明の一実施形態の光ファイバー10が示されている。この光ファイバー10は、その中央部のいわゆるコア1と、その周縁部の、クラッド2とを基本的に備えている。 【図1】 [図:0001437911000022.jpg] …(中略)… 【0031】(クラッド)クラッド2は、前述の様に、第1層3及び第2層4とが一体化される。 …(中略)… 【0034】光拡散性の第2層は、通常、フッ素系ポリマーと、そのフッ素系ポリマー中に分散された光散乱粒子とを含む材料から形成される。光散乱粒子の含有割合は、前記第2層全質量に対して、通常0.01~50質量%、好適には0.1~45質量%、特に好適には1~40質量%である。光散乱粒子の含有量が少なすぎると、光源の強度(消費電力)を大きくしても、ネオンライクな発光体として必要とされる十分な輝度(たえば、白色発光の場合で、100カンデラ/m2以上)が得られないおそれがある。反対に10質量%よりも多すぎると、比較的長いコア長の光ファイバーを、全長にわたって均一な輝度で発光させることができないおそれがある。 【0035】光散乱粒子は、通常、ガラスもしくはその他の材料からなるビーズや、二酸化チタンや二酸化ケイ素等の無機粒子である。具体的には、1.5~3.0の範囲の屈折率を有する、白色の無機粒子を挙げることができる。白色無機粒子としては、硫酸バリウム(屈折率=1.51)、マグネシア(屈折率=1.8)、またはチタニア(二酸化チタン;屈折率=2.6)が好ましい。」 (4) 引用文献4の記載事項 「【技術分野】 【0002】 本開示は、概して、光拡散ファイバー(LDF)等の光拡散光学系の光源として、レーザーの使用を必要とする、光照射システムのスペックル低減概念に関するものである。 …(中略)… 【0039】 図1を参照する。本開示の態様による、スペックルを低減するように構成された、光照射システム200が示されている。システム200は、300~3000nmの波長範囲において、マルチモード動作するように構成された、光散乱光バイバー100を備えている。一般に、ファイバー100は0.4以上の開口数(NA)を有している。特定の態様において、ファイバーのコア領域は、約50μm~約600μmの範囲の半径を有している。例えば、開口数0.4、及びかかるコア領域の半径寸法を有するLDFは、それぞれ、波長400nmにおいて、50,000~7,000,000のモードをサポートすることができる。0.4より大きい開口数を有するLDFは、更に多くのモードをサポートすることができる。 【図1】 [図:0001437911000023.jpg] 注 図1は、90度回転させて掲載している。 【0040】 図1にも示すように、光照射システム200に用いられる光散乱光ファイバー100は、レーザー光出力24等からの光線がファイバーの一端に誘導されると、散乱光パターン60を生成することができる。システム200の特定の態様において、ファイバー100は、実質的にその長さに沿って散乱光パターン60を発するように構成されている。別の態様において、ファイバー100は、その長さに沿った1つ以上の区域から、選択的に散乱光パターン60を発するように構成されている。システム200の特定の構成において、約0.5~5dB/mの減衰度で、ファイバー100によって、散乱光パターン60が生成される。更に図1に示すように、システム200は、散乱光パターン60を用いて、1つ以上の物体70を照射することができる。 …(中略)… 【0054】 図1A及び1Bを参照する。光散乱光ファイバー100は、内側クラッド120を囲む外側クラッド130を更に備えることができる。 【図1A】 [図:0001437911000024.jpg] 【図1B】 [図:0001437911000025.jpg] …(中略)… 【0055】 図1A及び1Bに示すように、外側クラッド130は、内側層134及び外側散乱層136を含むことができ、外側散乱層136が、内側層134を囲んでいる。外側クラッド130の外側散乱層は、TiO2粒子及び/又はその他の散乱粒子等の光散乱剤132でドープすることができる。別の実施の形態(図示せず)において、外側クラッド130は、内側層134を有さずに、外側散乱層136を含むことができる。これ等の実施の形態の一部において、外側散乱層136は、TiO2粒子等の光散乱剤132でドープすることができる。 …(中略)… 【0057】 一部の別の実施の形態において、コア領域110から放射状に発せられ、内側クラッド120を介して、光拡散光ファイバー100から出射する、光の角度分布の均一性及び/又は性質を向上させるために、外側クラッド130を利用することができる。外側クラッド130、特に外側散乱層136に含まれる散乱剤132は、平均径が約200nm~約10μmのナノ粒子又はマイクロ粒子を含むことができる。一部の実施の形態において、散乱剤132として用いられる粒子の平均径は、約200nm、300nm、400nm、500nm、600nm、700nm、800nm、900nm、1μm、2μm、3μm、4μm、5μm、6μm、7μm、8μm、9μm、又は10μmである。散乱剤132の濃度は、光拡散光ファイバー100の長さに沿って変化しても一定であってもよい。更に、散乱剤132の濃度は、全体の減衰を制限しつつ、ファイバー100から出射する光の均一な散乱をもたらすのに十分な質量パーセントとすることができる。一部の実施の形態において、外側クラッド130中の散乱剤132の質量パーセントは、約1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、又は50%である。一部の実施の形態において、外側クラッド130は、散乱剤132として、TiO2、ZnO、SiO2、又はZr等の金属酸化物又はその他の高屈折率材料を含む微粒子を有している。散乱剤132として用いられる散乱材料は、マイクロサイズ又はナノサイズの粒子、又は気泡等の低屈折率の空所を含むこともできる。 …(中略)… 【0059】 一部の実施の形態において、散乱剤132は、白インク等のTiO2系粒子を含みこれに限定されない、散乱粒子を含むことができ、散乱粒子によって、光拡散光ファイバー100のコア領域110、及び内側クラッド120から散乱される光が、角度とは無関係に分布する。一部の実施の形態において、散乱剤132は、外側クラッド130の外側散乱層136の内部に配置されている。例えば、一部の実施の形態において、外側散乱層136は約1μm~約5μmの厚さを有することができる。別の実施の形態において、大きな角度(すなわち、約15度を超える角度)でファイバー100から散乱される光の強度が、より均一に変化するように、外側散乱層136の厚さ、及び外側散乱層136の内部の散乱剤の濃度を、光散乱光ファイバー100の軸方向の長さに沿って変化させることができる。」 (5) 引用文献5の記載事項 「【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、光ファイバに関し、さらに詳しく述べると、コアの長さ方向少なくとも一端から入射された光を、コアの周囲(すなわち、側面)に配置されたクラッドを通して出射させる、いわゆる側面出射型の光ファイバに関する。本発明はまた、このような側面出射型の光ファイバの製造方法に関する。 …(中略)… 【0009】そこで、本発明は、高い輝度を有する光を大きい視野角をもって出射させることができる側面出射型の光ファイバと、それを簡便に製造することができる光ファイバの製造方法とを提供することを目的とする。 【0010】 【課題を解決するための手段】本発明によれば、上述の課題を解決するものとして、中央部のコアと、前記コアの周囲に配置されたクラッドとを備える光ファイバであって、前記クラッドが、前記コアよりも低い屈折率を有するポリマーをバインダとして含む光拡散材料からなる光拡散部分を含む光拡散層であって、周方向に1~300μmの肉厚をもって前記光拡散部分を前記コアと密着して設けたものと、光透過性樹脂材料からなり、前記光拡散層と一体となるように成形された前記光拡散層を覆う保護層と、を含んでいることを特徴とする光ファイバが提供される。ここで、保護層の光拡散材料は、0.01~10重量%の量で光散乱体を含んでいることが好ましい。 …(中略)… 【0012】 【発明の実施の形態】以下、本発明をその典型的な実施の形態にしたがって説明する。なお、説明において参照する図面中、同一又は相当の部分には同一の符号を付することとする。図1の斜視図には、本発明の一実施形態の光ファイバ10が示されている。この光ファイバ10は、その中央部のいわゆるコア1と、その周縁部の、コア1よりも低い屈折率を有するポリマーよりなるクラッド2とを基本的に備えている。 【図1】 [図:0001437911000026.jpg] …(中略)… 【0017】光ファイバ10のクラッド2は、好適には、コア1よりも低い屈折率を有するポリマーをバインダとして含む光拡散材料からなり、周方向に1~300μmの肉厚をもってそのコア1の外周面全体と密着して設けられた光拡散層3と、光透過性樹脂材料からなり、光拡散層3と一体となるように成形されたその光拡散層3を覆う保護層4と、を含んで構成される。 【0018】光拡散層3の光拡散材料は、もしもコア1が約1.5の屈折率をもった上述のポリマーからなっている場合、その屈折率よりも低い1.34~1.43の屈折率を有するテトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン・エチレン共重合体(ETFE)又はテトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン・フッ化ビリニデン共重合体(THV)のような透光性のフッ素系ポリマーをバインダとして含むのが好ましい。また、このバインダと組み合わせて、好適には約10nm~300μmの粒径を有する光散乱体5を含むのが好ましい。 【0019】光散乱体としては、ガラスもしくはその他の材料からなるビーズ又は二酸化チタン粒子が一般に用いられる。また、光散乱体は、本発明の効果を損なわない限り、上記以外のものであってもよく、具体的には、例えば、1.5~3.0の範囲の屈折率を有する、白色の無機粉末や着色顔料をあげることができる。白色無機粉末としては、硫酸バリウム(屈折率=1.51)、マグネシア(屈折率=1.8)、チタニア(屈折率=2.6)等も好ましい。また、光散乱体とともに、蛍光染料等の色材を含有させ、コアに供給された白色光を着色光として出射させることもできる。 【0020】光拡散材料中において、光散乱体は0.01~10重量%の量で含まれるのが、輝度の制御を容易に行い得るという点で好ましい。もしもこの光散乱体の含有量が0.01重量%よりも少なすぎると、光源の強度(消費電力)を大きくしても、ネオン管と代替可能な発光体として必要とされる十分な輝度(例えば、白色発光の場合で、1000cd/m2 以上)が得られないおそれがある。反対に10重量%よりも多すぎると、比較的長い(例えば、2m以上の)ファイバを全長にわたって均一な輝度で発光させることができないおそれがある。 【0021】本発明の実施において、光拡散材料を構成するバインダポリマーは、必要に応じて、上記したフッ素ポリマー以外のものであってもよい。しかし、ここで使用するポリマーは、コアよりも低い屈折率を有していなければならない。本実施形態では、光拡散層3はその厚さを制御して周方向に1~300μmまで薄くなっている。このような場合、光拡散層3による光遮蔽効果を最小限に抑えることができる。すなわち、図2に示されるように、光ファイバ10が少なくともその一端に、光源11からの光を導入して伝送する間にその側面部から外部へ広い視野角をもって光を出射させるときも、光拡散層3によりその輝度を低下させない。したがって、この光ファイバ10は、比較的高い輝度の光を側面部全体から出射させることができる。(後略) 【図2】 [図:0001437911000027.jpg] 」 (6) 引用文献3の記載事項 「【技術分野】 【0001】 本発明は、側面発光型光ファイバに関する。 【背景技術】 【0002】 照明等に用いられる側面発光型光ファイバでは、コアやクラッドに光散乱体を含ませ、その濃度等を調整して発光量が制御されている。 …(中略)… 【発明が解決しようとする課題】 【0004】 側面発光型光ファイバにおいて、光散乱体の濃度を高くして発光量を多くしようとすると、光源に近い位置では、多くの発光量が得られるものの、光源からの距離が遠くなると、急激に発光量が低下し、そのため短尺でしか使用することができない。一方、光散乱体の濃度を低くして長尺で発光量を均一化しようとすると、全体的に発光量が少なく、そのため適用できる用途が限定される。 【0005】 本発明の課題は、長尺の光源から離れた位置でも多くの発光量を得ることができる側面発光型光ファイバを提供することである。 【課題を解決するための手段】 【0006】 本発明は、コアと、前記コアを被覆するように設けられた光散乱体を含むクラッドと、を有するファイバ本体を備えた側面発光型光ファイバであって、前記クラッドに対して部分的にファイバ長さ方向以外の方向に応力を付与する応力付与構造が構成されている。 【発明の効果】 【0007】 本発明によれば、光散乱体を含むクラッドに対して部分的にファイバ長さ方向以外の方向に応力を付与する応力付与構造が構成されていることにより、その応力付与構造において発光量が高められ、そのため長尺の光源から離れた位置でも多くの発光量を得ることができる。 …(中略)… 【0010】 (実施形態1) 図1A~Cは、実施形態1に係る側面発光型光ファイバAを示す。 【0011】 実施形態1に係る側面発光型光ファイバAは、ファイバ本体10を備え、ファイバ本体10は、コア11とクラッド12と被覆層13とを有する。 【図1A】 [図:0001437911000028.jpg] 注 図1Aは、90度回転させて掲載している。 【図1B】 [図:0001437911000029.jpg] 【図1C】 [図:0001437911000030.jpg] …(中略)… 【0014】 クラッド12は、分散した光散乱体Sを含む。光散乱体Sとしては、例えば、粉状のセラミックスや金属や石英などの無機材料、粉状のポリメタクリル酸メチル樹脂(PMMA)などの有機材料等が挙げられる。クラッド12における光散乱体Sの含有量は、例えば0.01質量%以上10質量%以下である。なお、コア11は、このような光散乱体Sを実質的に含まないことが好ましい。 …(中略)… 【0018】 実施形態1に係る側面発光型光ファイバAは、応力付与部材20を更に備える。 …(中略)… 【0020】 応力付与部材20は、第1及び第2板状部品21,22の各応力付与部24が、ファイバ本体10の外周面に断面U字溝状の凹みを形成するように食い込み、ファイバ本体10の外周面をファイバ長さ方向に対して直交する横断面に沿う方向に線状に押圧し、且つこれらに保持部品23が外嵌めされ、これにより被覆層13を介してクラッド12に対して外部から部分的にファイバ長さ方向に直交する横断面に沿った方向に応力を付与する。すなわち、応力付与部材20は、クラッド12に対して部分的にファイバ長さ方向に対して角度をなす方向、すなわち、ファイバ長さ方向以外の方向に応力を付与する応力付与構造を構成する。 【0021】 以上の構成の実施形態1に係る側面発光型光ファイバAによれば、このように光散乱体Sを含むクラッド12に対して部分的にファイバ長さ方向以外の方向に応力を付与する応力付与構造が構成されていることにより、その応力付与構造において発光量が高められ、そのため長尺の光源から離れた位置でも多くの発光量を得ることができる。これは、クラッド12に対して部分的に応力が付与されることにより、その応力がコア11とクラッド12との界面、及びクラッド12と被覆層13との界面に影響し、コア11の伝搬光のクラッド12の伝搬光への変換、及びクラッド12の伝搬光の被覆層13の伝搬光への変換が促進され、そのクラッド12の伝搬光がクラッド12の光散乱体Sで散乱し、また、被覆層13が光散乱体Sを含む場合には、それが被覆層13の光散乱体Sで散乱するためであると推測される。なお、応力付与構造は、クラッド12に対してファイバ長さ方向以外の方向に加えて、ファイバ長さ方向にも応力を付与していてもよい。また、応力付与構造での光吸収を低減する観点からは、第1及び第2板状部品21,22並びに保持部品23は、伝搬光に対して透明な材料で形成されていることが好ましい。同様の観点から、応力付与部24の表面は光反射面に構成されていることが好ましい。なお、第1及び第2板状部品21,22並びに保持部品23は、透明な部材と光反射面を有する部材とを組み合わせたものであってもよい。」

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2024-020963

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