2021-010648
表示体
- 審判番号
- 2021-010648
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2018-536567外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2021年08月10日
- 審決日
- 2022年10月25日
- 公報発行日
- 2023年02月24日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】株式会社常盤産業
- 【請求人代理人】弁理士法人IPシーガル
- 分類
- P18 .121-Z (G09F)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
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結論
理由
目次 ▾ 12項目
第1 手続の経緯
本願は、2016年8月31日を国際出願日とする出願であって、平成30年9月28日に特許協力条約第19条補正の写し提出書が提出され、令和2年10月8日付けで拒絶理由が通知され、同年12月23日に意見書及び手続補正書が提出され、令和3年5月7日付けで拒絶査定(以下「原査定」という。)がなされ、これに対し、同年8月10日に拒絶査定不服審判の請求がなされたものである。
第2 本願発明
本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、令和2年12月23日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定されるつぎのとおりのものである。
「【請求項1】基材上に酸素の有無に応じて変色する変色層を有する表示体であって、前記変色層は、酸化還元色素と、食用色素と、還元糖と、可食性還元促進剤と、可食性保湿剤と、可食性増粘剤と、接着性素材を含有する酸素検知組成物で形成され、前記酸化還元色素は、組成物全体に対して、0.03~0.5質量%含有され、前記酸化還元色素と食用色素の配合比は、1:1~1:1.5であって、前記可食性増粘剤は、組成物全体に対して、0.1~10質量%含有され、前記基材は、プラスチックで構成されたものであることを特徴とする表示体。」
第3 原査定の拒絶の理由
拒絶査定の理由である、令和2年10月8日付けの拒絶理由通知の理由は、次の理由を含むものである。
(進歩性)この出願の請求項1に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物1~4に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
記
<引用文献等一覧>
1.特開2009-107646号公報
2.特開昭56-8547号公報
3.特開2007-183157号公報
4.特開2001-124759号公報
第4 当審の判断
1 引用例
(1)引用例1
本願の国際出願日前の平成21年5月21日に公報が発行され、原査定の拒絶の理由に引用された特開2009-107646号公報(以下「引用例1」という。)には、次の事項が記載されている。
ア 「【技術分野】【0001】本発明は、食品や医薬品の脱酸素包装において、包装内の酸素の有無を検知する酸素検知機能をもつ脱酸素剤包装体に関するものである。」
イ 「【発明が解決しようとする課題】【0007】本発明の目的は、脱酸素剤用包装材に酸素検知インキで印刷した場合にも、熱による劣化を回避した酸素検知機能付き脱酸素剤包装体を提供することにある。さらに色調変化が速くオーバーコートフィルムの剥離と色素の染み出しのない酸素検知機能付き脱酸素剤包装体を提供することにある。」
ウ 「【発明の効果】【0010】本発明によれば、製造時に熱による劣化を受けることなく、色素の染み出しが無く、変色速度の早い酸素検知剤と一体型の脱酸素剤包装体が提供され、食品の保存等の分野においてきわめて高い価値を有する。」
エ 「【0014】本発明における酸素検知剤インキ組成物は、酸素の有無で色調の変化をするものであれば特に限定されないが、酸化還元色素、還元剤、アルカリ剤、保湿剤、多孔性無機物質及びバインダー樹脂等を配合してなるものが一般的に用いられる。【0015】本発明における酸素検知剤インキ組成物で用いる酸化還元色素は、空気中の酸素で酸化されて発色し、無酸素状態では酸素検知剤中の還元剤により還元されて無色または別の色になる化合物である。例えば、2,6-ジクロルインドフェノールやメチレンブルー等が好適に用いられる。続きを表示(全20行)還元剤は、無酸素状態で酸化還元色素を還元する化合物である。例えば、グルコース、フラクトース、キシロース又はマルトース等の還元性糖類やアスコルビン酸、エリソルビン酸およびその塩等が挙げられる。アルカリ剤は、還元性糖類の還元力を調整する。例えば、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物、炭酸塩、炭酸水素塩、カルボン酸塩、酒石酸塩又はリン酸塩等が挙げられる。アルカリ性が強すぎると還元力は強くなるが還元性糖類が褐変しやすく安定性に支障を来たす。アルカリ性が弱すぎると還元力が弱くなり、酸素検知剤の変色に長時間を要する。この為、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム又は炭酸水素カリウム等が好適に用いられ、アルカリ性を調整する為にこれらを併用することもできる。保湿剤は充分な変色速度を得る為に必要な少量の水分を酸素検知剤中に保持する役割を持つ。例えば、グリセリン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール又はポリエチレングリコール等の多価アルコールが挙げられる。多孔性無機物質は、その表面積の大きさにより酸素との接触がより速く行われるようにするとともに、保湿剤と吸湿した水分を孔内に留めて酸素検知印刷部表面の乾燥状態を保持する役割を持つ。例えば、二酸化珪素、ケイ酸カルシウム又は水酸化マグネシウム等の無色又は白色のものが、色調に影響がなく好ましい。バインダー樹脂には、例えば、セルロース誘導体、酢酸ビニル樹脂、ブチラール樹脂、ポリエステル樹脂、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルアルコール、その他天然又は合成の高分子化合物が用いられる。上記の組成物は適切な溶媒に溶解又は分散させて使用する。溶媒としては芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素、エステル類、アルコール類、ケトン類、セロソルブ類又は水などが挙げられる。これらの主要成分の他に、酸素の有無で変色しない色素を添加することができる。これは色調の変化をわかりやすくする為のもので、赤色系色素が好適に用いられる。赤色系色素の具体例としては、例えば食品系添加物の食用赤色2号、3号、104号、105号、106号が挙げられる。また、紫外線に対する安定性を向上させるために紫外線吸収剤を添加することもできる。【0016】本発明における酸素検知剤インキを調製する場合の組成は下記のようになる。酸化還元色素0.001~2重量%還元剤 0.1~20重量%アルカリ剤 0.1~20重量%保湿剤 0.1~20重量%多孔質無機物質 1~30重量%バインダー樹脂 1~30重量%溶剤 残部」
オ 「【0023】実施例1図1、2は本発明の積層フィルムAの概念図である。繊維質基材(2)の撥水撥油紙(商品名 WOP紙:中越パルプ工業製)に通気性熱接着性樹脂基材(1)の有孔ポリエチレンフィルム(新日本アルク工業製)をラミネートしたのち、撥水撥油紙の有孔ポリエチレンの反対側に酸素検知剤インキで外周より10mm以上離して印刷した。酸素検知剤インキの組成は以下の通りとした。続きを表示(全14行)エチルセルロース 12.0 重量%イソプロピルアルコール 48.0 重量%2,6-ジクロルインドフェノール0.1 重量%食用赤色106号 0.02重量%フラクトース 7.5 重量%炭酸ナトリウム 2.5 重量%ポリエチレングリコール 5.0 重量%シリカ 0.6 重量%水 24.28重量%図3~5は本発明の積層フィルムBの概念図である。透明樹脂フィルム(7)のポリエチレンテレフタレート(PET)に透明部(9)を設けるように印刷した。印刷の上に熱接着性樹脂基材(5)の低密度ポリエチレン(LDPE)を積層し、透明部(9)から5mm以上離して針にて貫通孔(8)を開けた。」
そうすると、上記ア乃至オより、引用例1には、次の発明(以下「引用発明1」という。)が示されているものと認められる。
「繊維質基材(2)の撥水撥油紙(商品名 WOP紙:中越パルプ工業製)に通気性熱接着性樹脂基材(1)の有孔ポリエチレンフィルム(新日本アルク工業製)をラミネートしたのち、撥水撥油紙の有孔ポリエチレンの反対側に酸素の有無で色調の変化をする酸素検知剤インキで外周より10mm以上離して印刷した、積層フィルムであって、酸素検知剤インキの組成は、エチルセルロース 12.0 重量%イソプロピルアルコール 48.0 重量%続きを表示(全12行)2,6-ジクロルインドフェノール 0.1 重量%食用赤色106号 0.02重量%還元剤としてのフラクトース 7.5 重量%炭酸ナトリウム 2.5 重量%保湿剤としてのレングリコール 5.0 重量%シリカ 0.6 重量%水 24.28重量%である、積層フィルム。」
また、上記エより、引用例1には、次の技術事項(以下「引用例1技術事項」という。)が示されているものと認められる。
「酸化還元色素 0.001~2重量%還元剤 0.1~20重量%アルカリ剤 0.1~20重量%保湿剤 0.1~20重量%多孔質無機物質 1~30重量%バインダー樹脂 1~30重量%溶剤 残部の組成である酸素検知剤インキ。」
(2)引用例2
本願の国際出願日前の昭和56年1月28日に公報が発行され、原査定の拒絶の理由に引用された特開昭56-8547号公報(以下「引用例2」という。)には、次の事項が記載されている。
ア 「【特許請求の範囲】1. (A)還元剤,(B)(A)により還元されて色変化を示す色素,(C)増粘剤および(D)溶媒を含む印刷可能な酸素検知剤…7. (C)の増粘剤がソジウムカルボキシメチルセルロース,ヒドロキシエチルセルロース,メチルセルロース,アルギン酸ナトリウム,ポリビニルアルコール,アラビヤゴム末,トラガカントゴム,デキストリン,カゼインからなる群から選ばれる少くとも一種の化合物である特許請求の範囲第1項記載の検知剤」
イ 「3 発明の詳細な説明本発明は酸素検知剤に関するものである。更に詳しくは図案や文字を印刷することの可能なインキ化された検知剤及びこの検知剤を基体の表面に印刷もしくは塗付してなるシート状酸素検知剤に関する。」(3頁左下欄1~6行)
ウ 「増粘剤(C)としては酸素検知剤をシートに印刷または塗付した場合に生ずる滲みを防止する作用を有するものであれば足りる。増粘剤として好適に用いられるものとしては例えば水溶性高分子があげられ,水溶性高分子としては例えばソジウムカルボキシメチルセルロース,ヒドロキシエチルセルロース,メチルセルロース,アルギン酸ナトリウム,ポリビニルアルコール,アラビヤゴム末,トラガカントゴム,デキストリン,カゼインなどがあげられる。増粘剤の量は通常,組成物中に0.05~10%,特に0.1~5%含まれるのが好ましい。」(4頁右上欄7~18行)
そうすると、上記ア乃至ウより、引用例2には、次の発明(以下「引用発明2」という。)が示されているものと認められる。
「(A)還元剤,(B)(A)により還元されて色変化を示す色素,(C)増粘剤(メチルセルロース)および(D)溶媒を含む印刷可能な酸素検知剤であって、酸素検知剤の組成物中に増粘剤(メチルセルロース)の量が0.1~5%含まれる、酸素検知剤。」
(3)引用例3
本願の国際出願日前の平成19年7月19日に公報が発行され、原査定の拒絶の理由に引用された特開2007-183157号公報(以下「引用例3」という。)には、次の事項が記載されている。
ア 「【技術分野】【0001】 本発明は、酸素吸収剤及び不活性ガス置換による脱酸素状態を判定するための酸素インジケーター用インキ組成物およびそれを使用した酸素インジケーター並びに酸素インジケーターを含有する包装材料に関する。さらに詳しくは室温保管時には安定で、高温滅菌処理を施した場合に還元剤が作用する酸素インジケーターにおいて、熱処理が比較的低温である場合にも包装体内の酸素濃度が1%以下であれば還元色を呈し、内容物が脱酸素状態に保管されていることを保証する酸素インジケーター用インキ組成物およびそれを使用した酸素インジケーター並びに酸素インジケーターを含有する包装材料に関する。」
イ 「【0008】本発明は、このような従来技術の問題点を解決しようとするものであり、高温滅菌処理時に初めて還元剤が作用し、包装体内の酸素濃度が1%以下であれば還元色を呈する酸素インジケーター用インキ組成物およびそれを使用した酸素インジケーター並びに酸素インジケーターを含有する包装材料を提供することを目的とする。」
ウ 「【0025】本発明の酸素インジケーター用インキ組成物は、すくなくとも酸化還元色素、着色剤、室温では安定な還元剤、バインダー樹脂、及び溶媒からなるものである。そして、上記インキ組成物に、さらに還元反応を促進する目的により、金属酸化物や遷移金属錯体などの金属触媒を添加してもよい。以下に本発明を実施するための最良の形態について具体的に説明する。」
エ 「【0029】メチレンブルーと赤色106号(アシッドレッド)の組み合わせの場合、着色剤の添加量は酸化還元色素1重量部に対して、0.01重量部から1重量部であることが望ましい。これより添加量が少ないと、酸化色の影響を低減させる効果が期待できない。また、これより多いと赤色の色調が強くなり過ぎるため、酸化色と還元色の違いが判別しにくい恐れがある。」
そうすると、上記ア乃至エより、引用例3は、次の発明(以下「引用発明3」という。)が示されているものと認められる。
「酸化還元色素(メチレンブルー)、着色剤赤色106号(アシッドレッド)、室温では安定な還元剤、バインダー樹脂、及び溶媒からなる酸素インジケーター用インキ組成物であって、酸化還元色素(メチレンブルー)と対する着色剤赤色106号(アシッドレッド)の添加量は、100:1~1:1である、酸素インジケーター用インキ組成物。」
(4)引用例4
本願の国際出願日前の平成13年5月11日に公報が発行され、原査定の拒絶の理由に引用された特開2001-124759号公報(以下「引用例4」という。)には、次の事項が記載されている。
ア 「【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、包装容器内のガス雰囲気の状態、包装状態を確認するためのガス検知用インジケーターの形態に関するものである。【0002】【従来の技術】食品や医薬品の品質を保持するために、ガスバリアー性の優れた材料で包装した包装体内のガスを窒素や二酸化炭素で置換包装したり、また乾燥剤や脱酸素剤を用い、その他包装体内の内容物の保存を阻害する気体を吸収する薬剤を包装容器内に投入したりする方法がとられている。その際、薬剤のガス能力や、包装体のピンホール、シール不良の有無を確認するためにインジケーターが同時に投入される事が有る。特に酸素はその反応性の高さから食品や医薬品を酸化し、劣化を起こす事が知られている。多くの食品、医薬品は脱酸素剤を共存させる事によって包装体内に残存及び侵入する酸素を吸収し劣化を防止している。このとき包装体内の酸素の残存、侵入することを検知するために酸素ガス検知用インジケーターが同時に投入されている。【0003】酸素ガス検知用インジケーター以外にも内容物の品質を確認する目的で湿度検知用インジケーターやタイムインジケーターなど、多種類の検知用インジケーターが開発されている。ガス検知用インジケーターの代表的な形態は錠剤又はシート状である。錠剤は目視により両面からインジケーター機能を確認する事ができるが、厚みがあり、また、小袋に投入して用いる場合には、かさばるという欠点があった。一方、シート状のインジケーターは、インジケーター機能を有する組成物を紙の片面に含浸または塗布しているため、目視により片側からインジケーター機能を確認する事ができるが、反対側から確認することができないため、包装体に投入する時に一つ一つその向きを考慮する必要があった。以上のように包装容器内で場所をとらず、しかも両面からインジケーター機能を確認できるガス検知用インジケーターは現在までのところ開発されていない。【0004】【発明が解決しようとする課題】本発明は上記従来技術の問題点を解決するためになされたものであり、かさばることがなく、両面からインジケーター機能を確認できるガス検知用インジケーターを提供することを課題としたものである。」
イ 「【0014】基材は透明であって、インジケーター機能表示部を印刷またはコーティングできれば良く、ガラス、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ナイロン、ポリビニルアルコール、ポリカーボネート、ポリスチレン、エバール、セロファンなどが利用できる。」
そうすると、上記ア及びイより、引用例4には、次の発明(以下「引用発明4」という。)が示されているものと認められる。
「酸素ガス検知用インジケーター機能表示部を印刷またはコーティングする基材であって、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリスチレンのいずれからなる基材。」
2 対比
本願発明と引用発明1とを対比する。
(1)後者の「『通気性熱接着性樹脂基材(1)の有孔ポリエチレンフィルム(新日本アルク工業製)をラミネートした』『繊維質基材(2)の撥水撥油紙(商品名 WOP紙:中越パルプ工業製)』」、「酸素検知剤インキ」、「2,6-ジクロルインドフェノール」、「食用赤色106号」、「還元剤としてのフラクトース」、「炭酸ナトリウム」、「保湿剤としてのポリエチレングリコール」は、それぞれ、前者の「基材」、「酸素検知組成物」、「酸化還元色素」、「食用色素」、「還元糖」、「還元促進剤」、「保湿剤」に相当する。
(2)後者の「積層フィルム」は、「酸素の有無で色調の変化をする酸素検知剤インキ」で印刷されたものであるから、「酸素の有無で色調の変化をする酸素検知剤インキ」による印刷層が形成されているところ、後者の「積層フィルム」は、当該印刷層による表示がなされているといえるから、後者の「積層フィルム」は、酸素の有無に応じて変色する層を備え、当該層による表示機能を備える点で前者の「表示体」と機能が一致する。
(3)後者の「炭酸ナトリウム」は、食品添加物として用いられるものであるから、前者の「還元促進剤」と後者の「炭酸ナトリウム」とは、可食性との特性で一致する。
(4)後者の「ポリエチレングリコール」は食品に乳化剤として添加されるものであるから、前者の「保湿剤」と後者の「保湿剤としてのポリエチレングリコール」とは、可食性との特性で一致する。
(5)後者の「2,6-ジクロルインドフェノール」は、酸素検知剤インキにおいて、0.1重量%であるから、前者の「酸化還元色素」と後者の「2,6-ジクロルインドフェノール」とは、組成物全体に対して、0.1質量%含有されている点で一致する。
本願発明と引用発明1とは、以下の一致点で一致し、以下の各相違点で相違する。
[一致点]
「基材上に酸素の有無に応じて変色する変色層を有する表示体であって、前記変色層は、酸化還元色素と、食用色素と、還元糖と、可食性還元促進剤と、可食性保湿剤と、を含有する酸素検知組成物で形成され、前記酸化還元色素は、組成物全体に対して、0.1質量%含有され、前記ことする表示体。」
[相違点1]
本願発明の「変色層」が「可食性増粘剤」を含有し、「可食性増粘剤」は、組成物全体に対して、「0.1~10質量%」含有されているのに対し、引用発明1は、エチルセルロースを12.0重量%含有する点。
[相違点2]
本願発明が「接着性素材」を含有するのに対し、引用発明1は、「接着性素材」を含有するのか定かでない点。
[相違点3]
本願発明が、「酸化還元色素と食用色素の配合比は、1:1~1:1.5」であるのに対し、引用発明1は、「2,6-ジクロルインドフェノール」と「食用赤色106号」との配合比が5:1である点。
[相違点4]
本願発明が、基材は、「プラスチック」で構成されたものであるのに対し、引用発明1は、「通気性熱接着性樹脂基材(1)の有孔ポリエチレンフィルム(新日本アルク工業製)をラミネートした」「繊維質基材(2)の撥水撥油紙(商品名 WOP紙:中越パルプ工業製)」である点。
3 判断
(1)[相違点1]について
引用発明2の「(A)還元剤,(B)(A)により還元されて色変化を示す色素,(C)増粘剤(メチルセルロース)および(D)溶媒を含む印刷可能な酸素検知剤」及び「増粘剤(メチルセルロース)」は、それぞれ、本願発明の「酸素検知組成物」及び「可食性増粘剤」に相当し、本願発明の「可食性増粘剤」と引用発明2の「増粘剤(メチルセルロース)」とは、組成物全体に対して、「0.1~5質量%」含有されている点で一致する。
ここで、引用発明1のエチルセルロースが増粘剤であるとの記載はないところ、一般に、セルロースは増粘剤として機能する物質であることからすれば、引用発明1のエチルセルロースに替えて、引用発明2の「増粘剤(メチルセルロース)」を採用することは、当業者にとって、何ら困難性のないことであり、「増粘剤(メチルセルロース)」を採用するに際しては、引用発明2のとおり、組成物全体に対して、「0.1~5質量%」含有することとなる。
してみると、引用発明1のエチルセルロースに替えて、引用発明2の組成物全体に対して、「0.1~5質量%」含有する「増粘剤(メチルセルロース)」を採用することにより、上記相違点1の構成とすることは、当業者が容易になし得るものである。
(2)[相違点2]について
引用例1技術事項には、酸素検知剤インキの組成として「バインダー樹脂」が示されている。
してみると、引用発明1に、引用例1技術事項を適用し、上記相違点2の構成とすることは、当業者が容易になし得るものである。
(3)[相違点3]について
引用発明3の「酸化還元色素(メチレンブルー)」及び「着色剤赤色106号(アシッドレッド)」は、それぞれ、本願発明の「酸化還元色素」及び「食用色素」に相当し、配合比が1:1である点で一致する。
ここで引用例1技術事項には、酸素検知剤インキの組成として「酸化還元色素0.001~2重量%」が示されている。
他方、引用発明1の食用赤色106号が0.02重量%であることからすると、引用発明1において、酸化還元色素と食用赤色106号との配合比を1:2~10:1までの広範な配合比とすることは、当業者が適宜なし得るものと認められる。
してみると、引用発明1に、引用発明3の「酸化還元色素(メチレンブルー)と対する着色剤赤色106号(アシッドレッド)の添加量は、1:1」との配合比を適用し、上記相違点3の構成とすることは、当業者にとって何ら困難性のないことである。
(4)[相違点4]について
引用発明4の「基材」及び「ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリスチレン」はそれぞれ、本願発明の「基材」及び「プラスチック」に相当する。
ここで、引用発明1の基材は、通気性熱接着性樹脂基材(1)の有孔ポリエチレンフィルム(新日本アルク工業製)をラミネートした繊維質基材(2)の撥水撥油紙(商品名 WOP紙:中越パルプ工業製)であって、繊維質紙基材にプラスチックフィルムをラミネートしたものであることから、引用発明1の基材を、引用発明4のように、プラスチックとすることは、当該積層フィルムの用途に応じて適宜選択し得る事項であると認められる。
してみると、引用発明1に引用発明4を適用することにより、上記相違点4の構成とすることは、当業者にとって何ら困難性のないことである。
本願発明の効果も、引用発明1乃至引用発明4及び引用例1技術事項から、当業者が予測し得る程度のものといえる。
第5 むすび
以上のとおりであるから、本願発明は、本願出願の出願前に出願公開された引用文献1乃至4に記載された発明及び引用例1技術事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。
したがって、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2021-010648