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特許拒絶査定不服審判

2024-014025

衛生紙ロール包装体

審判番号
2024-014025
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2021-058199
請求日
2024年09月02日
審決日
2026年06月23日
公報発行日
2026年09月25日
結論
請求不成立
当事者
  • 【請求人】王子ホールディングス株式会社
  • 【請求人代理人】弁理士法人谷・阿部特許事務所
審判長/審判官
  • 審判長 金丸 治之
  • 審判官 稲葉 大紀
  • 審判官 宮地 匡人
分類
P18 .121-WZ (B65D)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2021-58199「衛生紙ロール包装体」拒絶査定不服審判事件〔令和4年10月13日出願公開、特開2022-154926〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 第1 手続の経緯 本願は、令和3年3月30日の出願であって、その手続の経緯は、概略、以下のとおりである。 令和6年 1月17日付け:拒絶理由通知書 令和6年 3月15日 :意見書の提出 令和6年 5月21日付け:拒絶査定(以下「原査定」という。) (令和6年 6月 4日 :原査定の謄本の送達) 令和6年 9月 2日 :審判請求書、手続補正書の提出 令和8年 3月 5日付け:拒絶理由通知書 令和8年 4月30日 :意見書、手続補正書の提出 第2 本願発明 本願の請求項1~4に係る発明(以下、請求項1に係る発明を「本願発明」という。)は、それぞれ令和8年4月30日提出の手続補正書によって補正された特許請求の範囲の請求項1~4に記載された事項により特定されるとおりのものであるところ、請求項1の記載は次のとおりである。 「【請求項1】 複数個の衛生紙ロールを紙材で胴巻きを行い重畳する部分をヒートシールによって接着しキャラメル包装してなる衛生紙ロール包装体であって、 前記衛生紙ロール包装体の胴部の包装部分を前記衛生紙ロールの軸と平行に切断して展開した前記紙材の前記切断した方向と直交する方向における両端間の長さYが、前記衛生紙ロール包装体において並列された前記複数個の衛生紙ロールの理論周長Lの95.0%以上105.0%以下であることを特徴とする衛生紙ロール包装体。」 第3 当審拒絶理由の概要 令和8年3月5日付けで、当審が通知した拒絶理由は、概ね、次の理由を含むものである。 本願の請求項1に係る発明は、以下の引用文献6に記載された発明及び引用文献1に記載された事項に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 <引用文献等一覧> 1.特開2020-179882号公報 6.米国特許出願公開第2020/0283208号明細書 第4 当審の判断 1 引用文献の記載事項、発明 (1)引用文献6について ア 引用文献6の記載 当審が通知した拒絶理由において引用した引用文献6には、以下の記載がある(下線は当審で付したものである。「・・・」は記載の省略を示す。以下同様。)。 「[0003] Rolled products, rolled absorbent products, and rolled fibrous products such as paper towels, toilet tissue, disposable shop towels, and wipes, for example, are sometimes packaged and shipped in bundles of a plurality of rolls. In some instances, the bundled packages may have two or more rolls stacked in a side-by-side fashion with another two or more rolls.・・・」 (当審訳:[0003] 例えば、ペーパータオル、トイレットペーパー、使い捨てタオル及び拭き取り用品などのロール製品、ロール吸収性製品、ロール繊維製品は、複数のロールを束ねて包装され、出荷されることがある。いくつかの例では、束ねられた包みに、2巻以上のロールが別の2巻以上のロールと並んで積み重ねられている。・・・) 「[0042] The containers 102 that house the absorbent paper product 104 may be formed from various types of material and may be configured in various shapes and sizes. In some configurations, the containers 102 may be formed from a poly film material that may comprise polymeric films, polypropylene films, and/or polyethylene films. In some configurations, the containers 102 may be formed from cellulose, such as for example, in the form of paper and/or cardboard. The container 102 may have a preformed shape into which absorbent paper products 104 are inserted and/or may be formed by wrapping a material around one or more absorbent paper products 104 to define a shape that conforms with the shapes of individual products and/or arrangements of products. As shown in FIG. 1A, the container 102 may also include a seal 114, such as an envelope seal, for example, formed thereon. As shown in FIG. 1A, the container 102 may include a top side 116 and a bottom side 118. The container may also include a front panel 120 and a rear panel 122, wherein the front and rear panels 120, 122 are connected with and separated by opposing first and second sides 124, 126. The front panel 120, the rear panel 122, the first side 124, and/or the second side 126 may be substantially planar, curved, or convex as shown in FIG. 1A and may also define an outer surface 128 of the container 102. [0043] It is to be appreciated that the packages 100 may include various quantities of absorbent paper products 104 that may be arranged in various orientations within the containers 102. For example, as shown in FIG. 1A, an individually wrapped package 100 may include four rolls of rolled paper product 106 inside a container 102, wherein two rolls 106a are stacked on another two rolls 106a.・・・」 (当審訳:[0042] 吸収性紙製品104を収容する包装体102は、種々の材料から形成されてもよく、種々の形状および寸法で構成されてもよい。いくつかの形態では、包装体102は、ポリマーフィルム、ポリプロピレンフィルム及び/又はポリエチレンフィルムを含むポリフィルム材料から形成されてもよい。いくつかの形態では、包装体102は、例えば紙及び/又はボール紙の形態のセルロースから形成されてもよい。包装体102は、吸収性紙製品104が挿入される予め形成された形状を有していてもよく、及び/又は、1個以上の吸収性紙製品104の周囲に材料を巻き付けて、個々の製品及び/又は製品の配置に適合する形状を画定することによって形成されていてもよい。図1Aに示すように、包装体102には、例えば封筒の封のようなシール114が形成されていてもよい。図1Aに示すように、包装体102は、上部116および下部118を含んでいてもよい。包装体はまた、前方パネル120と後方パネル122を有し、この前後方パネル120、122に接続され、第1及び第2の側部124、126を対向させることによって、分離されている。前方パネル120、後方パネル122、第1側部124、第2側部126は、図1Aに示すように、実質的に平面状、湾曲状、または凸状であってもよく、包装体102の外面128を画定することができる。 [0043] パッケージ100は、包装体102内に様々な向きで配置され得る様々な量の吸収性紙製品104を含み得ることを理解されたい。例えば、図1Aに示すように、個別包装されたパッケージ100は、包装体102内に4巻のロール紙製品106を含み、2巻の106aが他の2巻の106aの上に積み重ねられている場合がある。・・・) 「 [図:0001438741000001.jpg] 」 (当審訳:図1A) イ 引用文献6の記載から認定できる事項 上記アの[0042]及び図1Aから、包装体102は、吸収性紙製品104を胴巻きによりキャラメル包装したものであることが看取できる。 ウ 引用発明 上記ア、イから、引用文献6には、以下の発明(以下「引用発明」という。)が記載されている。 「複数の積み重ねられたペーパータオル、トイレットペーパー、使い捨てタオル及び拭き取り用品などの吸収性紙製品104を収容する包装体102であって、([0003]、[0043]、図1A) 吸収性紙製品104を胴巻きによりキャラメル包装した、(上記イ) 包装体102。」 (2)引用文献1について ア 引用文献1の記載 当審が通知した拒絶理由において引用した引用文献1には、以下の記載がある。 「【技術分野】 【0001】 本発明は、ロール製品を複数個包装袋に収納したロール製品パッケージに関する。」 「【0035】 なお、複数個のロール製品5の積層体の周長に対する、包装袋1のフィルムの周長の比率は、96%以上104%以下であることが好ましく、より好ましくは97%以上103%以下、更に好ましくは98%以上102%以下である。ロール製品5の周長に対する、包装袋1のフィルムの周長の比率が96%未満である場合、フィルムに過剰なテンションが掛かり、シールライン32aから破れてしまい、比率が104%を超えるとタイト性が低下してロール製品パッケージ6の美粧性が劣る。」 「【0039】 各評価項目については、以下の通り評価を行った。 ・・・ <商品の美粧性> ロール製品パッケージが良好なタイト性(フィルムがブカブカでないこと、運搬時にロールがパッケージ内部で動いたりせず、正しく包装されていること)を有するか否かを評価した。 ・・・」 イ 引用文献1に記載された事項 上記アの記載から、引用文献1には、次の技術的事項(以下「引用文献1記載事項」という。)が記載されている。 「ロール製品を複数個包装袋に収納したロール製品パッケージにおいて、複数個のロール製品5の積層体の周長に対する、包装袋1のフィルムの周長の比率は、96%以上104%以下であることが好ましいこと。」 (3)周知技術 ア 引用文献9 本審決で、周知技術を示す引用文献9として新たに引用する特開2008-7922号公報には、以下の記載がある。 「【特許請求の範囲】 【請求項1】 パルプ繊維及び熱可塑性樹脂繊維からなる混抄紙であることを特徴とするヒートシール可能な包装紙。」 「【背景技術】 【0002】 例えばトイレットペーパーロールやキッチンペーパーロールのようなロール状紙製品等は、一般的に複数個を一纏めにして消費者に対して販売されることが多い(例えば特許文献1、2参照)。 この場合、各製品は、図2や図3に示すように複数個積み重ねられた状態で、ポリエチレンフィルム等の熱可塑性樹脂フィルム10によって包装されるのが一般的である。包装形態としては、図示のようにフィルム10を包装対象物11の外形に合わせて折り曲げて包み、フィルムの重なり合う部分をヒートシールするキャラメル包装の他、ガゼット包装、ピロー包装などが採用されている。包装の外面には、必要に応じて、包装素材と同素材で形成した把手12がヒートシールにより取り付けられる。・・・」 「【0031】 かくして構成された包装紙1においては、防水層3表面対防水層3表面、防水層3表面対混抄紙層2表面、および混抄紙層2表面対混抄紙層2表面のいずれにおいても、良好なヒートシール性が発揮される。包装形態としては、前述のキャラメル包装、ガゼット包装、ピロー包装などを採用できる。」 「【図2】 [図:0001438741000002.jpg] 」 イ 引用文献10 本審決で、周知技術を示す引用文献10として新たに引用する欧州特許出願公開第3730695号明細書には、以下の記載がある。 「Technical field of the invention [0001] The present invention relates to a coated paper, and method for the manufacture thereof.」 (当審訳:発明の属する技術分野 [0001] 本発明は、コーティングされた紙、並びにその製造のための方法に関する。) 「Summary of the invention [0005] It is an object of the resent invention to provide a coated paper that can be used for single use packaging (such as toilet, kitchen paper rolls etc.). The coated paper of the present invention, has good workability (i.e. can be easily folded) and can be produced on standard paper machine. The coated paper is preferably heat-sealable and more preferably a heat-sealable wrapping paper. The heat-sealability of the paper renders the same suitable to be utilized on the same machine used for plastic packaging. This is a big advantage for companies manufacturing packaging of different products in that the change of raw material for the packaging will not require additional investment.」 (当審訳:発明の概要 [0005] 本発明の目的は、使い捨て包装(トイレットペーパーやキッチンペーパーのロールなど)に使用できるコート紙を提供することにある。本発明のコート紙は、加工性が良好(すなわち、容易に折り曲げることができる)であり、標準的な抄紙機で製造することができる。このコート紙は、好ましくはヒートシール可能であり、さらに好ましくはヒートシール可能な包装紙である。この紙のヒートシール性により、プラスチック包装に使用されるのと同じ機械での利用が可能となる。これは、包装用原材料を変更する際に追加投資を必要としないという点で、様々な製品の包装を製造する企業にとって大きな利点である。) ウ 周知技術 上記ア及びイを参照すると、以下の事項は周知技術(以下、「周知技術1」という。)である。 「衛生紙の包装材として、ヒートシール可能な包装紙を用いること。」 2 対比・判断 (1)対比 本願発明と引用発明とを対比する。 ・引用発明の「複数の積み重ねられたペーパータオル、トイレットペーパー、使い捨てタオル及び拭き取り用品などの吸収性紙製品104」は、本願発明の「複数個の衛生紙ロール」に相当し、引用発明の「吸収性紙製品104を収容する包装体102」は、本願発明の「衛生紙ロール包装体」に相当する。 ・引用発明の「吸収性紙製品104を胴巻きによりキャラメル包装した」態様は、本願発明の「衛生紙ロールを紙材で胴巻きを行い重畳する部分をヒートシールによって接着しキャラメル包装してなる」態様と、「衛生紙ロールを胴巻きを行いキャラメル包装してなる」態様に限り一致する。 そうすると、本願発明と引用発明とは次の点で一致し、相違する。 <一致点> 「複数個の衛生紙ロールを胴巻きを行いキャラメル包装してなる衛生紙ロール包装体。」 <相違点1> 胴巻きの材料に関して、本願発明では、「紙材」であるに対して、引用発明では、そのように特定されていない点。 <相違点2> キャラメル包装の接着方法に関して、本願発明では、「胴巻きを行い重畳する部分をヒートシールによって接着」するのに対して、引用発明では、そのように特定されていない点。 <相違点3> 本願発明では、「前記衛生紙ロール包装体の胴部の包装部分を前記衛生紙ロールの軸と平行に切断して展開した前記紙材の前記切断した方向と直交する方向における両端間の長さYが、前記衛生紙ロール包装体において並列された前記複数個の衛生紙ロールの理論周長Lの95.0%以上105.0%以下である」のに対し、引用発明は、そのように特定されていない点。 (2)判断 上記相違点について検討する。 ア 相違点1、2について 相違点1、2は関連しているため、まとめて判断する。 上記(3)ウで周知技術1として示したとおり、「衛生紙の包装材として、ヒートシール可能な包装紙を用いること」は周知技術である。 そして、引用文献6の[0042]には、「吸収性紙製品104を収容する包装体102は、種々の材料から形成されてもよく、」及び「いくつかの形態では、包装体102は、例えば紙及び/又はボール紙の形態のセルロースから形成されてもよい。」と記載されているとともに、引用発明も当該周知技術も、衛生紙を包装する包装体に関するものであるから、引用発明に当該周知技術を適用する動機付けは十分存在するものである。 そうすると、引用発明において、上記引用文献6に記載された事項及び上記周知技術を適用し、包装体102の材料として、ヒートシール可能な包装紙を採用し、胴巻きによりキャラメル包装する際に、ヒートシールによる接着を行うことで、相違点1、2に係る本願発明の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。 イ 相違点3について 引用発明は、「複数の積み重ねられたペーパータオル、トイレットペーパー、使い捨てタオル及び拭き取り用品などの吸収性紙製品104を収容する包装体102」であり、包装体102の包装材料の外周の長さを、複数の積み重ねられた吸収性紙製品104の外周に沿った長さの近傍に設計すること、すなわち、両者の比率を100%近傍に設計することは、当業者であれば困難なことではない。 そして、上記両者の比率に関して、上記1(2)イで示したとおり引用文献1記載事項は、「複数個のロール製品5の積層体の周長に対する、包装袋1のフィルムの周長の比率は、96%以上104%以下であることが好ましいこと。」を開示しているから、引用発明において、引用文献1記載事項を適用して、相違点3に係る本願発明の数値範囲となる衛生紙ロール包装体とすることは、当業者が容易になし得たことである。 ウ 効果について 上記各相違点を総合的に勘案しても、本願発明の奏する作用効果は、引用発明、引用文献6に記載された事項、引用文献1記載事項及び周知技術の奏する作用効果から予測される範囲内のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。 エ 請求人の主張について (ア)請求人は、令和8年4月30日提出の意見書において、包装体102の包装材料の外周の長さを、複数の積み重ねられた吸収性紙製品104の外周に沿った長さの近傍に設計すること、すなわち、両者の比率を100%近傍に設計することは、本願発明の課題である「包装紙」の破れにくさ、美粧性の観点について、全く考慮していないものである旨、また、引用文献1に記載された事項は、飽くまでプラスチックフィルムに関するものであり、当業者であれば、プラスチックフィルムと紙の破れやすさや美粧性に対する評価は、両者の素材の物性が全く異なることを考慮すれば、同じではなく、プラスチックフィルムにおける評価を紙における評価にそのまま適用できないことが理解できる旨主張する。 しかしながら、包装体102の包装材料の外周の長さを、複数の積み重ねられた吸収性紙製品104の外周に沿った長さの近傍に設計すること、すなわち、両者の比率を100%近傍に設計することは、吸収性紙製品104を包装するという包装体102の本来の目的からして、当業者であれば当然に行うことである。 そして、当該主張は、破れやすさや美粧性に対する評価が、紙とプラスチックフィルムとで全く異なることを主張しているにすぎず、引用発明に対し引用文献1記載事項を適用することができない旨を主張するものではない。 また、「包装紙」の破れにくさ、美粧性の観点から考察しても、本願発明の奏する作用効果が格別顕著なものとはいえない。 したがって、請求人の上記主張は採用できない。 (イ)また、請求人は同意見書において、引用文献6、1には、包装紙のヒートシールについて記載がないので、本願発明の複数個の衛生紙ロールを紙材で胴巻きを行い重畳する部分をヒートシールによって接着しキャラメル包装してなる衛生紙ロール包装には容易想到できない旨主張する。 しかしながら、上記アにおいて説示したとおり、引用発明において、周知技術であるヒートシール可能な包装紙を用いて、本願発明の複数個の衛生紙ロールを紙材で胴巻きを行い重畳する部分をヒートシールによって接着しキャラメル包装してなる衛生紙ロール包装体とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。 したがって、請求人の上記主張は採用できない。 オ まとめ 以上のとおり、本願発明は、引用発明、引用文献6に記載された事項、引用文献1記載事項及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 第5 むすび 以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2024-014025

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