特許異議申立
2017-700950
コンピュータ、薬剤分包装置、およびその制御方法とプログラム。
- 審判番号
- 2017-700950
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2013-033751外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2017年10月04日
- 審決日
- 2018年03月29日
- 公報発行日
- 2018年06月29日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【権利者】キヤノンマーケティングジャパン株式会社
- 【権利者代理人】伊藤 秀起
- 【権利者】キヤノンライフケアソリューションズ株式会社
- 【権利者代理人】伊藤 秀起
- 【権利者】株式会社エルクエスト
- 【権利者代理人】伊藤 秀起
- 【異議申立人】藤本 美都起
- 分類
- P1652.121-YAA(B65B)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第120条の5第2項、特許法第120条の5第9項、特許法第29条第2項、特許法第120条の5第4項、特許法第113条第2号、特許法第120条の8
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特許第6107216号発明「コンピュータ、薬剤分包装置、およびその制御方法とプログラム。」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
【結 論】
特許第6107216号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-7〕、8、9、10、11、12について訂正することを認める。
特許第6107216号の請求項4、8~12に係る特許を維持する。
特許第6107216号の請求項1に係る特許についての申立てを却下する。
理由
【理 由】
理 由
第1 手続の経緯
特許第6107216号(以下「本件特許」という。)の請求項1~12に係る特許についての出願は、平成25年2月22日に特許出願され、平成29年3月17日にその特許権の設定登録がされ、その後、平成29年10月4日に、そのうちの請求項1、4、8~12に係る特許について、特許異議申立人藤本美都起(以下「申立人」という。)により特許異議の申立てがされ、平成29年11月15日付けで取消理由が通知され、その指定期間内である平成30年1月15日に意見書の提出及び訂正の請求(以下「本件訂正請求」といい、訂正自体を「本件訂正」という。)がされたものである。
なお、本件訂正請求について、申立人に意見を提出する機会を与えたが、申立人からの意見書の提出はなかった。
第2 訂正の適否についての判断
本件訂正は、請求項1~7からなる一群の請求項に係る訂正、請求項8に係る訂正、請求項9に係る訂正、請求項10に係る訂正、請求項11に係る訂正、請求項12に係る訂正からなるところ、以下それぞれの訂正の適否について判断する。
1 請求項1~7に係る訂正について
(1)訂正の内容
請求項1~7に係る訂正は、以下の訂正事項から構成され、それらを訂正箇所に下線を引いて示すと、以下のとおりである(以下同じ)。
ア 訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1を削除する。
イ 訂正事項2
本件訂正前の特許請求の範囲の請求項2に、
「前記薬剤量超過判定手段により超過すると判定された場合には、前記取得手段により取得した薬剤の量の一部を前記1包の薬包紙には分包せずに、前記1包の薬包紙の次包の薬包紙に分包するかをユーザに選択させる第1の選択画面を通知する第1の通知手段
を備えることを特徴とする請求項1に記載のコンピュータ。」とあるのを、
「薬剤を薬包紙に分包する分包部と、薬包紙に印字する印字部とを備える薬剤分包装置と通信可能なコンピュータであって、
1包の薬包紙に印字する薬剤の名称と、1包の薬包紙に分包する当該名称の薬剤の量とを取得する取得手段と、
前記取得手段で取得した1包に分包する薬剤の量が、予め定義されている前記1包の薬包紙に分包すべき薬剤の量を超過するか否かを判定する薬剤量超過判定手段と、
前記薬剤量超過判定手段により超過すると判定されることを条件に、前記取得手段で取得した薬剤の量の一部を前記1包の薬包紙には分包せずに、前記1包の薬包紙の次包の薬包紙に分包するとともに、次包の薬包紙に分包される薬剤の名称を、当該次包の薬包紙に印字するように制御する制御手段と、
前記薬剤量超過判定手段により超過すると判定された場合には、前記取得手段により取得した薬剤の量の一部を前記1包の薬包紙には分包せずに、前記1包の薬包紙の次包の薬包紙に分包するかをユーザに選択させる第1の選択画面を通知する第1の通知手段と
を備えることを特徴とするコンピュータ。」に訂正する。
ウ 訂正事項3
本件訂正前の特許請求の範囲の請求項4に、
「請求項1乃至3のいずれか1項に記載のコンピュータ。」とあるのを、
「請求項2または3に記載のコンピュータ。」に訂正する。
エ 訂正事項4
本件訂正前の特許請求の範囲の請求項5に、
「請求項1乃至4のいずれか1項に記載のコンピュータ。」とあるのを、
「請求項2乃至4のいずれか1項に記載のコンピュータ。」と訂正する。
(2)訂正の目的の適否、新規事項追加の有無、特許請求の範囲の拡張・変更の存否、一群の請求項、独立特許要件
ア 訂正事項1ついて
訂正事項1は、本件訂正前の請求項1を削除するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
訂正事項1は、新規事項の追加に該当せず、また、実質的に特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないことは明らかであるから、特許法第120条の5第9項で準用する同法126条第5項及び第6項の規定に適合する。
イ 訂正事項2について
訂正事項2は、訂正事項1により請求項1を削除することに伴い、請求項1を引用する請求項2について、請求項間の引用関係を解消して独立形式に書き下すものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第4号に規定する他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることを目的とするものに該当する。
訂正事項2は、新規事項の追加に該当せず、また、実質的に特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないことは明らかであるから、特許法第120条の5第9項で準用する同法126条第5項及び第6項の規定に適合する。
ウ 訂正事項3及び4について
訂正事項3及び4は、訂正事項1による請求項1の削除と整合させるために、本件訂正前において請求項1を引用していた請求項について、引用先の請求項から、請求項1を除くものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものに該当する。
訂正事項3及び4は、新規事項の追加に該当せず、また、実質的に特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないことは明らかであるから、特許法第120条の5第9項で準用する同法126条第5項及び第6項の規定に適合する。
エ 一群の請求項について
本件訂正前の請求項1~7は、請求項2~7がそれぞれ請求項1を引用しているものである。
したがって、訂正事項1~4に係る訂正は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項ごとにされたものである。
オ 独立特許要件
本件特許異議の申立てがされていない請求項2及び5に係る、訂正事項2及び4は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものではないし、誤記又は誤訳の訂正を目的とするものでもないから、特許法第120条の5第9項で準用する同法126条第7項で規定するいわゆる独立特許要件は課されない。
2 請求項8に係る訂正について
(1)訂正の内容
請求項8に係る本件訂正の内容は、以下の訂正事項5に示されるものである。
訂正事項5は、
本件訂正前の特許請求の範囲の請求項8に、
「前記コンピュータの制御手段が、前記薬剤量超過判定工程で超過すると判定されることを条件に、前記取得工程で取得した薬剤の量の一部を前記1包の薬包紙には分包せずに、前記1包の薬包紙の次包の薬包紙に分包するとともに、次包の薬包紙に分包される薬剤の名称を、当該次包の薬包紙に印字するように制御する制御工程と
を含むことを特徴とする制御方法。」とあるのを、
「前記コンピュータの制御手段が、前記薬剤量超過判定工程で超過すると判定されることを条件に、前記取得工程で取得した薬剤の量の一部を前記1包の薬包紙には分包せずに、前記1包の薬包紙の次包の薬包紙に分包するとともに、次包の薬包紙に分包される薬剤の名称を、当該次包の薬包紙に印字するように制御する制御工程と、
前記薬剤量超過判定工程で超過すると判定された場合には、前記取得工程で取得した薬剤の量の一部を前記1包の薬包紙には分包せずに、前記1包の薬包紙の次包の薬包紙に分包するかをユーザに選択させる第1の選択画面を通知する第1の通知工程と
を含むことを特徴とする制御方法。」に訂正する。
(2)訂正の目的の適否、新規事項追加の有無、特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項5は、本件訂正前の請求項8の制御方法について「前記薬剤量超過判定工程で超過すると判定された場合には、前記取得工程で取得した薬剤の量の一部を前記1包の薬包紙には分包せずに、前記1包の薬包紙の次包の薬包紙に分包するかをユーザに選択させる第1の選択画面を通知する第1の通知工程」を追加して限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
訂正事項5は、本件訂正前の請求項2の構成(「前記薬剤量超過判定手段により超過すると判定された場合には、前記取得手段により取得した薬剤の量の一部を前記1包の薬包紙には分包せずに、前記1包の薬包紙の次包の薬包紙に分包するかをユーザに選択させる第1の選択画面を通知する第1の通知手段」)を方法として言い換えて付加したものであるから、新規事項の追加に該当せず、また、実質的に特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないことは明らかであるから、特許法第120条の5第9項で準用する同法126条第5項及び第6項の規定に適合する。
3 請求項9に係る訂正について
(1)訂正の内容
請求項9に係る本件訂正の内容は、以下の訂正事項6に示されるものである。
訂正事項6は、
本件訂正前の特許請求の範囲の請求項9に、
「前記薬剤量超過判定手段により超過すると判定されることを条件に、前記取得手段で取得した薬剤の量の一部を前記1包の薬包紙には分包せずに、前記1包の薬包紙の次包の薬包紙に分包するとともに、次包の薬包紙に分包される薬剤の名称を、当該次包の薬包紙に印字するように制御する制御手段と
して機能させることを特徴とするプログラム。」とあるのを、
「前記薬剤量超過判定手段により超過すると判定されることを条件に、前記取得手段で取得した薬剤の量の一部を前記1包の薬包紙には分包せずに、前記1包の薬包紙の次包の薬包紙に分包するとともに、次包の薬包紙に分包される薬剤の名称を、当該次包の薬包紙に印字するように制御する制御手段と、
前記薬剤量超過判定手段により超過すると判定された場合には、前記取得手段により取得した薬剤の量の一部を前記1包の薬包紙には分包せずに、前記1包の薬包紙の次包の薬包紙に分包するかをユーザに選択させる第1の選択画面を通知する第1の通知手段と
して機能させることを特徴とするプログラム。」に訂正する。
(2)訂正の目的の適否、新規事項追加の有無、特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項6は、本件訂正前の請求項9のプログラムについて「前記薬剤量超過判定手段により超過すると判定された場合には、前記取得手段により取得した薬剤の量の一部を前記1包の薬包紙には分包せずに、前記1包の薬包紙の次包の薬包紙に分包するかをユーザに選択させる第1の選択画面を通知する第1の通知手段」を追加して限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
訂正事項6は、本件訂正前の請求項2の構成を付加したものであるから、新規事項の追加に該当せず、また、実質的に特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないことは明らかであるから、特許法第120条の5第9項で準用する同法126条第5項及び第6項の規定に適合する。
4 請求項10に係る訂正について
(1)訂正の内容
請求項10に係る本件訂正の内容は、以下の訂正事項7に示されるものである。
訂正事項7は、
本件訂正前の特許請求の範囲の請求項10に、
「前記薬剤量超過判定手段により超過すると判定されることを条件に、前記取得手段で取得した薬剤の量の一部を前記1包の薬包紙には分包せずに、前記1包の薬包紙の次包の薬包紙に分包するとともに、次包の薬包紙に分包される薬剤の名称を、当該次包の薬包紙に印字するように制御する制御手段と
を備えることを特徴とする薬剤分包装置。」とあるのを、
「前記薬剤量超過判定手段により超過すると判定されることを条件に、前記取得手段で取得した薬剤の量の一部を前記1包の薬包紙には分包せずに、前記1包の薬包紙の次包の薬包紙に分包するとともに、次包の薬包紙に分包される薬剤の名称を、当該次包の薬包紙に印字するように制御する制御手段と、
前記薬剤量超過判定手段により超過すると判定された場合には、前記取得手段により取得した薬剤の量の一部を前記1包の薬包紙には分包せずに、前記1包の薬包紙の次包の薬包紙に分包するかをユーザに選択させる第1の選択画面を通知する第1の通知手段と
を備えることを特徴とする薬剤分包装置。」に訂正する。
(2)訂正の目的の適否、新規事項追加の有無、特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項7は、本件訂正前の請求項10の薬剤分包装置について「前記薬剤量超過判定手段により超過すると判定された場合には、前記取得手段により取得した薬剤の量の一部を前記1包の薬包紙には分包せずに、前記1包の薬包紙の次包の薬包紙に分包するかをユーザに選択させる第1の選択画面を通知する第1の通知手段」を追加して限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
訂正事項7は、本件訂正前の請求項2の構成を付加したものであるから、新規事項の追加に該当せず、また、実質的に特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないことは明らかであるから、特許法第120条の5第9項で準用する同法126条第5項及び第6項の規定に適合する。
5 請求項11に係る訂正について
(1)訂正の内容
請求項11に係る本件訂正の内容は、以下の訂正事項8に示されるものである。
訂正事項8は、
本件訂正前の特許請求の範囲の請求項11に、
「前記薬剤分包装置の制御手段が、前記薬剤量超過判定工程で超過すると判定されることを条件に、前記取得工程で取得した薬剤の量の一部を前記1包の薬包紙には分包せずに、前記1包の薬包紙の次包の薬包紙に分包するとともに、次包の薬包紙に分包される薬剤の名称を、当該次包の薬包紙に印字するように制御する制御工程と
を含むことを特徴とする制御方法。」とあるのを、
「前記薬剤分包装置の制御手段が、前記薬剤量超過判定工程で超過すると判定されることを条件に、前記取得工程で取得した薬剤の量の一部を前記1包の薬包紙には分包せずに、前記1包の薬包紙の次包の薬包紙に分包するとともに、次包の薬包紙に分包される薬剤の名称を、当該次包の薬包紙に印字するように制御する制御工程と
前記薬剤量超過判定工程で超過すると判定された場合には、前記取得工程で取得した薬剤の量の一部を前記1包の薬包紙には分包せずに、前記1包の薬包紙の次包の薬包紙に分包するかをユーザに選択させる第1の選択画面を通知する第1の通知工程と
を含むことを特徴とする制御方法。」に訂正する。
(2)訂正の目的の適否、新規事項追加の有無、特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項8は、本件訂正前の請求項11の制御方法について「前記薬剤量超過判定工程で超過すると判定された場合には、前記取得工程で取得した薬剤の量の一部を前記1包の薬包紙には分包せずに、前記1包の薬包紙の次包の薬包紙に分包するかをユーザに選択させる第1の選択画面を通知する第1の通知工程」を追加して限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
訂正事項8は、本件訂正前の請求項2の構成を方法として言い換えて付加したものであるから、新規事項の追加に該当せず、また、実質的に特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないことは明らかであるから、特許法第120条の5第9項で準用する同法126条第5項及び第6項の規定に適合する。
6 請求項12に係る訂正について
(1)訂正の内容
請求項12に係る本件訂正の内容は、以下の訂正事項9に示されるものである。
訂正事項9は、
本件訂正前の特許請求の範囲の請求項12に、
「前記薬剤量超過判定手段により超過すると判定されることを条件に、前記取得手段で取得した薬剤の量の一部を前記1包の薬包紙には分包せずに、前記1包の薬包紙の次包の薬包紙に分包するとともに、次包の薬包紙に分包される薬剤の名称を、当該次包の薬包紙に印字するように制御する制御手段と
して機能させることを特徴とするプログラム。」とあるのを、
「前記薬剤量超過判定手段により超過すると判定されることを条件に、前記取得手段で取得した薬剤の量の一部を前記1包の薬包紙には分包せずに、前記1包の薬包紙の次包の薬包紙に分包するとともに、次包の薬包紙に分包される薬剤の名称を、当該次包の薬包紙に印字するように制御する制御手段と
前記薬剤量超過判定手段により超過すると判定された場合には、前記取得手段により取得した薬剤の量の一部を前記1包の薬包紙には分包せずに、前記1包の薬包紙の次包の薬包紙に分包するかをユーザに選択させる第1の選択画面を通知する第1の通知手段と
して機能させることを特徴とするプログラム。」に訂正する。
(2)訂正の目的の適否、新規事項追加の有無、特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項9は、本件訂正前の請求項12のプログラムについて「前記薬剤量超過判定手段により超過すると判定された場合には、前記取得手段により取得した薬剤の量の一部を前記1包の薬包紙には分包せずに、前記1包の薬包紙の次包の薬包紙に分包するかをユーザに選択させる第1の選択画面を通知する第1の通知手段」を追加して限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
訂正事項9は、本件訂正前の請求項2の構成を付加したものであるから、新規事項の追加に該当せず、また、実質的に特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないことは明らかであるから、特許法第120条の5第9項で準用する同法126条第5項及び第6項の規定に適合する。
7 小括
上記1~6に示したとおり、本件訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書き第1号、第3号及び第4号に掲げるいずれかの事項を目的とするものであり、かつ、同条第4項及び同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するので、本件訂正後の請求項〔1~7〕、8、9、10、11、12について訂正を認める。
第3 特許異議の申立てについて
1 本件発明
本件訂正が認められることにより、本件特許の請求項2~12係る発明(以下「本件発明2」等という。)は、本件訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲の請求項2~12に記載された事項により特定されるとおりのものである。
そして、本件特許異議の申立ての対象は、以下に示す、本件発明4、8~12である。(なお、請求項4は、請求項2又は請求項3を引用するものであるから、請求項2及び請求項3についても併せて示す。)
「【請求項2】
薬剤を薬包紙に分包する分包部と、薬包紙に印字する印字部とを備える薬剤分包装置と通信可能なコンピュータであって、
1包の薬包紙に印字する薬剤の名称と、1包の薬包紙に分包する当該名称の薬剤の量とを取得する取得手段と、
前記取得手段で取得した1包に分包する薬剤の量が、予め定義されている前記1包の薬包紙に分包すべき薬剤の量を超過するか否かを判定する薬剤量超過判定手段と、
前記薬剤量超過判定手段により超過すると判定されることを条件に、前記取得手段で取得した薬剤の量の一部を前記1包の薬包紙には分包せずに、前記1包の薬包紙の次包の薬包紙に分包するとともに、次包の薬包紙に分包される薬剤の名称を、当該次包の薬包紙に印字するように制御する制御手段と、
前記薬剤量超過判定手段により超過すると判定された場合には、前記取得手段により取得した薬剤の量の一部を前記1包の薬包紙には分包せずに、前記1包の薬包紙の次包の薬包紙に分包するかをユーザに選択させる第1の選択画面を通知する第1の通知手段と
を備えることを特徴とするコンピュータ。
【請求項3】
前記第1の通知手段で通知される前記第1の選択画面を介して、前記取得手段により取得した薬剤の量の一部を、前記1包の薬包紙には分包せずに前記1包の薬包紙の次包の薬包紙に分包するか否かの選択を受け付ける第1の選択受付手段と、
前記第1の選択受付手段により、前記1包の薬包紙の次包の薬包紙に分包するとの選択を受け付けた場合には、前記取得手段により取得した薬剤の量の一部を前記1包の薬包紙の次包の薬包紙に配分した、前記分包部に分包指示する分包データを生成する分包データ生成手段と
を備えることを特徴とする請求項2に記載のコンピュータ。
【請求項4】
前記取得手段は、前記1包の薬包紙に分包される薬剤の服用タイミングを更に取得し、
前記制御手段は、前記取得した服用タイミングを前記1包の薬包紙に印字し、かつ前記次包の薬包紙にも同じ服用タイミングを印字するように制御する
ことを特徴とする請求項2または3に記載のコンピュータ。
【請求項8】
薬剤を薬包紙に分包する分包部と、薬包紙に印字する印字部とを備える薬剤分包装置と通信可能なコンピュータの制御方法であって、
前記コンピュータの取得手段が、1包の薬包紙に印字する薬剤の名称と、1包の薬包紙に分包する当該名称の薬剤の量とを取得する取得工程と、
前記コンピュータの薬剤量超過判定手段が、前記取得工程で取得した1包に分包する薬剤の量が、予め定義されている前記1包の薬包紙に分包すべき薬剤の量を超過するか否かを判定する薬剤量超過判定工程と、
前記コンピュータの制御手段が、前記薬剤量超過判定工程で超過すると判定されることを条件に、前記取得工程で取得した薬剤の量の一部を前記1包の薬包紙には分包せずに、前記1包の薬包紙の次包の薬包紙に分包するとともに、次包の薬包紙に分包される薬剤の名称を、当該次包の薬包紙に印字するように制御する制御工程と、
前記薬剤量超過判定工程で超過すると判定された場合には、前記取得工程で取得した薬剤の量の一部を前記1包の薬包紙には分包せずに、前記1包の薬包紙の次包の薬包紙に分包するかをユーザに選択させる第1の選択画面を通知する第1の通知工程と
を含むことを特徴とする制御方法。
【請求項9】
薬剤を薬包紙に分包する分包部と、薬包紙に印字する印字部とを備える薬剤分包装置と通信可能なコンピュータで読み取り実行可能なプログラムであって、
前記コンピュータを、
1包の薬包紙に印字する薬剤の名称と、1包の薬包紙に分包する当該名称の薬剤の量とを取得する取得手段と、
前記取得手段で取得した1包に分包する薬剤の量が、予め定義されている前記1包の薬包紙に分包すべき薬剤の量を超過するか否かを判定する薬剤量超過判定手段と、
前記薬剤量超過判定手段により超過すると判定されることを条件に、前記取得手段で取得した薬剤の量の一部を前記1包の薬包紙には分包せずに、前記1包の薬包紙の次包の薬包紙に分包するとともに、次包の薬包紙に分包される薬剤の名称を、当該次包の薬包紙に印字するように制御する制御手段と、
前記薬剤量超過判定手段により超過すると判定された場合には、前記取得手段により取得した薬剤の量の一部を前記1包の薬包紙には分包せずに、前記1包の薬包紙の次包の薬包紙に分包するかをユーザに選択させる第1の選択画面を通知する第1の通知手段と
して機能させることを特徴とするプログラム。
【請求項10】
薬剤を薬包紙に分包する分包部と、薬包紙に印字する印字部とを備える薬剤分包装置であって、
1包の薬包紙に印字する薬剤の名称と、1包の薬包紙に分包する当該名称の薬剤の量とを取得する取得手段と、
前記取得手段で取得した1包に分包する薬剤の量が、予め定義されている前記1包の薬包紙に分包すべき薬剤の量を超過するか否かを判定する薬剤量超過判定手段と、
前記薬剤量超過判定手段により超過すると判定されることを条件に、前記取得手段で取得した薬剤の量の一部を前記1包の薬包紙には分包せずに、前記1包の薬包紙の次包の薬包紙に分包するとともに、次包の薬包紙に分包される薬剤の名称を、当該次包の薬包紙に印字するように制御する制御手段と、
前記薬剤量超過判定手段により超過すると判定された場合には、前記取得手段により取得した薬剤の量の一部を前記1包の薬包紙には分包せずに、前記1包の薬包紙の次包の薬包紙に分包するかをユーザに選択させる第1の選択画面を通知する第1の通知手段と
を備えることを特徴とする薬剤分包装置。
【請求項11】
薬剤を薬包紙に分包する分包部と、薬包紙に印字する印字部とを備える薬剤分包装置の制御方法であって、
前記薬剤分包装置の取得手段が、1包の薬包紙に印字する薬剤の名称と、1包の薬包紙に分包する当該名称の薬剤の量とを取得する取得工程と、
前記薬剤分包装置の薬剤量超過判定手段が、前記取得工程で取得した1包に分包する薬剤の量が、予め定義されている前記1包の薬包紙に分包すべき薬剤の量を超過するか否かを判定する薬剤量超過判定工程と、
前記薬剤分包装置の制御手段が、前記薬剤量超過判定工程で超過すると判定されることを条件に、前記取得工程で取得した薬剤の量の一部を前記1包の薬包紙には分包せずに、前記1包の薬包紙の次包の薬包紙に分包するとともに、次包の薬包紙に分包される薬剤の名称を、当該次包の薬包紙に印字するように制御する制御工程と
前記薬剤量超過判定工程で超過すると判定された場合には、前記取得工程で取得した薬剤の量の一部を前記1包の薬包紙には分包せずに、前記1包の薬包紙の次包の薬包紙に分包するかをユーザに選択させる第1の選択画面を通知する第1の通知工程と
を含むことを特徴とする制御方法。
【請求項12】
薬剤を薬包紙に分包する分包部と、薬包紙に印字する印字部とを備える薬剤分包装置で読み取り実行可能なプログラムであって、
前記薬剤分包装置を、
1包の薬包紙に印字する薬剤の名称と、1包の薬包紙に分包する当該名称の薬剤の量とを取得する取得手段と、
前記取得手段で取得した1包に分包する薬剤の量が、予め定義されている前記1包の薬包紙に分包すべき薬剤の量を超過するか否かを判定する薬剤量超過判定手段と、
前記薬剤量超過判定手段により超過すると判定されることを条件に、前記取得手段で取得した薬剤の量の一部を前記1包の薬包紙には分包せずに、前記1包の薬包紙の次包の薬包紙に分包するとともに、次包の薬包紙に分包される薬剤の名称を、当該次包の薬包紙に印字するように制御する制御手段と
前記薬剤量超過判定手段により超過すると判定された場合には、前記取得手段により取得した薬剤の量の一部を前記1包の薬包紙には分包せずに、前記1包の薬包紙の次包の薬包紙に分包するかをユーザに選択させる第1の選択画面を通知する第1の通知手段と
して機能させることを特徴とするプログラム。」
2 取消理由の概要
平成29年11月15日付けで特許権者に通知した取消理由の概要は、以下のとおりである。
なお、上記取消理由通知は、本件特許異議の申立てにおいて申立てられた全ての申立理由を採用した。
<理由1>本件発明4、8~12は、その出願前日本国内または外国において頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
記
甲第1号証等を、以下「甲1」等という。
また、甲1に記載された発明、甲2に記載された事項を、以下それぞれ、「甲1発明」、「甲2記載事項」という。
<刊行物>
甲1:米国特許出願公開第2008/0149522号明細書
甲2:国際公開第2011/052766号
(1)本件発明4について
本件発明4は、甲1発明及び甲2記載事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。
(2)本件発明8~12について
本件発明8~12は、甲1発明、あるいは甲1発明及び甲2記載事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。
3 上記取消理由についての判断
本件特許異議の申立ての対象である本件発明4、8~12(本件発明1は本件訂正により削除された。)について、以下のとおり判断する。
(1)甲号証について
ア 甲1発明
甲1の段落[0002]~[0012]、[0020]~[0021]、FIG.1及びFIG.3の記載事項により、甲1には、以下の甲1発明が記載されている。
「薬剤を投薬封筒に包装する包装手段と、投薬封筒に印刷する印刷ユニットとを備える自動薬剤包装機に接続されたコントローラであって、
各投薬の名称と数量とを抽出する抽出手段と
各投薬の計算された総量が、自動薬剤包装機に設定された任意の投薬封筒の包装量を超えるか否かを判断する超過判断手段と、
前記超過判断手段により前記総量が超えると判断された場合、前記抽出手段で抽出した各投薬の数量を分割して2つの投薬封筒に包装するとともに、分割包装状態を2つの包装した封筒に印刷する制御する制御手段とを
備えるコントローラ。」
イ 甲2記載事項
甲2には、以下の甲2記載事項が記載されている。
「処方データにおいて1単位として包装するように指示されていた薬剤が異なる分包袋に包装されること」及び
「後払出分の薬剤の名称が、後払出分の薬剤が分包される分包袋に印刷されること」
(2)本件発明4について
ア 対比
本件特許の請求項4は、請求項2又は、請求項2を引用する請求項3を引用するから、本件発明4と甲1発明とを対比すると、少なくとも以下の点で相違する。
<相違点1>
本件発明4は、薬剤量超過判定手段により超過すると判定された場合には、取得手段により取得した薬剤の量の一部を1包の薬包紙には分包せずに、前記1包の薬包紙の次包の薬包紙に分包するかをユーザに選択させる第1の選択画面を通知する第1の通知手段を備えるのに対して、甲1発明は、そのような通知手段を備えてない点。
イ 相違点1についての検討
「薬剤量超過判定手段により超過すると判定された場合には、取得手段により取得した薬剤の量の一部を1包の薬包紙には分包せずに、前記1包の薬包紙の次包の薬包紙に分包するかをユーザに選択させる第1の選択画面を通知する第1の通知手段を備える」点は、甲1に記載されていなし、示唆する記載もないし、また、甲2に記載もされていないし、示唆する記載もない。
そして、本件発明4は、相違点1に係る構成により、ユーザーの選択により「薬剤の量が予め定義されている1包の薬包紙に分包すべき薬剤の量を超過する場合に、薬剤の量の一部を1包の薬包紙には分包せずに、1包の薬包紙の次包の薬包紙に分包する」「仕組みを提供することが可能となる。」(明細書【0013】、【0048】等)との格別の作用効果を奏するものである。
よって、本件発明4は、甲1発明及び甲2記載事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(3)本件発明8について
ア 対比
本件発明8と甲1発明とを対比すると、少なくとも以下の点で相違する。
<相違点2>
本件発明8は、薬剤量超過判定工程で超過すると判定された場合には、取得工程で取得した薬剤の量の一部を1包の薬包紙には分包せずに、前記1包の薬包紙の次包の薬包紙に分包するかをユーザに選択させる第1の選択画面を通知する第1の通知工程を含むのに対して、甲1発明は、そのような通知工程を含まない点。
イ 相違点2についての検討
「剤量超過判定工程で超過すると判定された場合には、取得工程で取得した薬剤の量の一部を1包の薬包紙には分包せずに、前記1包の薬包紙の次包の薬包紙に分包するかをユーザに選択させる第1の選択画面を通知する第1の通知工程を含む」点は、甲1に記載されていなし、示唆する記載もないし、また、甲2に記載もされていないし、示唆する記載もない。
そして、本件発明8は、相違点2に係る構成により、ユーザーの選択により「薬剤の量が予め定義されている1包の薬包紙に分包すべき薬剤の量を超過する場合に、薬剤の量の一部を1包の薬包紙には分包せずに、1包の薬包紙の次包の薬包紙に分包する」「仕組みを提供することが可能となる。」(明細書【0013】、【0048】等)との格別の作用効果を奏するものである。
よって、本件発明8は、甲1発明、あるいは甲1発明及び甲2記載事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(4)本件発明9について
ア 対比
本件発明9と甲1発明とを対比すると、少なくとも以下の点で相違する。
<相違点3>
本件発明9は、薬剤量超過判定手段により超過すると判定された場合には、取得手段により取得した薬剤の量の一部を1包の薬包紙には分包せずに、前記1包の薬包紙の次包の薬包紙に分包するかをユーザに選択させる第1の選択画面を通知する第1の通知手段を備えるのに対して、甲1発明は、そのような通知手段を備えてない点。
イ 相違点3についての検討
相違点3に係る本件発明9の構成は、相違点1に係る本件発明4の構成と実質的に同じであるから、上記(2)イにおいて、本件発明4の相違点1について述べた理由と同様の理由により、本件発明9は、甲1発明、あるいは甲1発明及び甲2記載事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(5)本件発明10について
ア 対比
本件発明10と甲1発明とを対比すると、少なくとも以下の点で相違する。
<相違点4>
本件発明10は、薬剤量超過判定手段により超過すると判定された場合には、取得手段により取得した薬剤の量の一部を1包の薬包紙には分包せずに、前記1包の薬包紙の次包の薬包紙に分包するかをユーザに選択させる第1の選択画面を通知する第1の通知手段を備えるのに対して、甲1発明は、そのような通知手段を備えてない点。
イ 相違点4についての検討
相違点4に係る本件発明10の構成は、相違点1に係る本件発明4の構成と実質的に同じであるから、上記(2)イの本件発明4の相違点1について述べた理由と同様の理由により、本件発明10は、甲1発明、あるいは甲1発明及び甲2記載事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(6)本件発明11について
ア 対比
本件発明11と甲1発明とを対比すると、少なくとも以下の点で相違する。
<相違点5>
本件発明11は、薬剤量超過判定工程で超過すると判定された場合には、取得工程で取得した薬剤の量の一部を1包の薬包紙には分包せずに、前記1包の薬包紙の次包の薬包紙に分包するかをユーザに選択させる第1の選択画面を通知する第1の通知工程を含むのに対して、甲1発明は、そのような通知工程を含まない点。
イ 相違点5についての検討
相違点5に係る本件発明11の構成は、相違点2に係る本件発明8の構成と実質的に同じであるから、上記(3)イの本件発明8の相違点2について述べた理由と同様の理由により、本件発明11は、甲1発明、あるいは甲1発明及び甲2記載事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(7)本件発明12について
ア 対比
本件発明12と甲1発明とを対比すると、少なくとも以下の点で相違する。
<相違点6>
本件発明12は、薬剤量超過判定手段により超過すると判定された場合には、取得手段により取得した薬剤の量の一部を1包の薬包紙には分包せずに、前記1包の薬包紙の次包の薬包紙に分包するかをユーザに選択させる第1の選択画面を通知する第1の通知手段を備えるのに対して、甲1発明は、そのような通知手段を備えてない点。
イ 相違点6についての検討
相違点6に係る本件発明12の構成は、相違点1に係る本件発明4の構成と実質的に同じであるから、上記(2)イの本件発明4の相違点1について述べた理由と同様の理由により、本件発明12は、甲1発明、あるいは甲1発明及び甲2記載事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(8)小括
よって、本件発明4、8~12に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものではないから、本件発明4、8~12に係る特許は、特許法第113条第2号に該当せず、取り消されるべきものとすることはできない。
第4 むすび
以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由によっては、本件発明4、8~12に係る特許を取り消すことはできない。
また、本件特許の請求項1は、本件訂正により削除されたため、本件特許の請求項1に対して申立人がした特許異議の申立てについては、対象となる請求項が存在しない。よって、本件特許の請求項1に係る特許異議の申立ては不適法であって、その補正をすることができないものであるから、特許法第120条の8で準用する同法第135条の規定により、却下すべきものである。
そして、他に本件発明4、8~12に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
審決本文(J-PlatPat)
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2017-700950