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特許異議申立

2025-700862

シングルユースマニホールド流体回収アセンブリを有する流体分配システム

審判番号
2025-700862
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2022-209834
登録番号
7638261
請求日
2025年09月03日
審決日
2025年12月03日
公報発行日
2026年01月30日
結論
維持
当事者
  • 【権利者】サイティバ ユーエス エルエルシー
  • 【権利者代理人】飯田 雅人
  • 【権利者代理人】崔 允辰
  • 【権利者代理人】田中 研二
  • 【異議申立人】栗 暢行
審判長/審判官
  • 審判長 松永 稔
  • 審判官 今井 聖和
  • 審判官 小川 将之
分類
P1652.121-Y (B65B)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条
データ出所
審決公報(XML)

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特許第7638261号発明「シングルユースマニホールド流体回収アセンブリを有する流体分配システム」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第7638261号の請求項1~5、10~14に係る特許を維持する。

理由

理 由 第1 手続の経緯 特許第7638261号の請求項1~5、10~14に係る特許(以下「本件特許」という。)についての出願は、令和4年12月27日(優先権主張 2021年12月30日 米国(US)、2022年9月22日 米国(US))の出願であって、令和7年2月20日にその特許権の設定登録がされ、同年3月3日に特許掲載公報が発行された。その後、本件特許に対し、同年9月3日に特許異議申立人 栗 暢行(以下「異議申立人」という。)は、特許異議の申立てを行った。 第2 本件特許発明 特許第7638261号の請求項1~5、10~14に係る発明(以下、それぞれ「本件特許発明1」~「本件特許発明5」、「本件特許発明10」~「本件特許発明14」といい、併せて「本件特許発明」という。)は、特許請求の範囲の請求項1~5、10~14に記載された事項により特定される次のとおりのものである。 「【請求項1】 ポンプと、シングルユース充填マニホールドと、充填バルブ装置と、複数のシングルユース容器と、制御ユニットとを備える流体分配システムであって、 前記ポンプが、流体の流れを選択的に生成するように構成されており、 前記シングルユース充填マニホールドが、充填マニホールド入口と、複数の充填マニホールド出口と、充填マニホールド本体導管とを含み、前記充填マニホールド入口が、前記充填マニホールド本体導管を介して前記複数の充填マニホールド出口の各々と流体連通し、前記充填マニホールド入口が、前記シングルユース充填マニホールドに供給流体を送達するために前記ポンプとともに配置され、前記充填マニホールド出口が、少なくとも1つの標準充填出口とアンダーフィル出口とを含み、 前記充填バルブ装置が、前記シングルユース充填マニホールドとともに配置された複数のバルブを含み、前記充填マニホールド出口の各々が前記充填バルブ装置の前記バルブのうちの対応する1つを介して独立して閉鎖可能であり、 前記シングルユース容器の各々が、無菌流体コネクタを介して前記充填マニホールド出口の対応する1つに流体接続されたアクセスポートを有し、 前記制御ユニットが、プロセッサと、流体分配プログラムを有する非一時的コンピュータ可読媒体とを含み、前記プロセッサが、前記流体分配プログラムを実行するように前記コンピュータ可読媒体とともに配置され、前記プロセッサが、前記ポンプおよび前記充填バルブ装置と電気的に通信し、前記流体分配プログラムからの命令に基づいて前記ポンプおよび前記充填バルブ装置の前記バルブを選択的に動作させ、 前記流体分配プログラムが、前記充填マニホールド出口の各標準充填出口から前記供給流体の目標充填容量を送出し、前記充填マニホールド出口の前記アンダーフィル出口から前記供給流体のアンダーフィル容量を送出し、前記充填マニホールド本体導管から前記充填マニホールド出口の前記アンダーフィル出口の外へ、前記供給流体の充填マニホールド容量をドレインする、ように構成された容器充填モジュールを有し、前記アンダーフィル容量が、前記目標充填容量よりも小さいものであり、 前記流体分配プログラムの前記容器充填モジュールが、前記プロセッサによって実行されるとき、 前記シングルユース充填マニホールドの前記充填マニホールド入口に前記供給流体を供給するステップと、 前記シングルユース充填マニホールドの前記各標準充填出口からそれぞれ無菌的に流体接続された前記シングルユース容器に流体の前記目標充填容量を順次送出するステップと、 前記目標充填容量を順次送出した後に、前記シングルユース充填マニホールドの前記アンダーフィル出口から、前記アンダーフィル出口に無菌的に流体接続された前記シングルユース容器に流体の前記アンダーフィル容量を送出するステップと、 前記アンダーフィル容量を送出した後に、流体の前記充填マニホールド容量を、前記充填マニホールド本体導管から前記アンダーフィル出口の外へ、前記アンダーフィル出口に無菌的に流体接続された前記シングルユース容器にドレインするステップと を実施するように構成されている、流体分配システム。 【請求項2】 前記充填マニホールド本体導管と流体連通するベント導管と、 前記ベント導管を選択的に閉鎖するように前記ベント導管とともに配置され、前記制御ユニットとともに動作可能に配置されたベントバルブと をさらに備える、請求項1に記載の流体分配システム。 【請求項3】 ベント液体センサであって、前記ベント導管内に配置され、前記ベント導管内の液体を検出したことに応答して液体検出信号を生成するように構成され、前記制御ユニットが前記ベント液体センサと電気的に通信して、前記ベント液体センサから前記液体検出信号を受信する、ベント液体センサと、 エアフィルタであって、前記エアフィルタが、前記ベント導管とともに配置され、前記ベントバルブが、前記ベント液体センサと前記エアフィルタとの間に介在する、エアフィルタと をさらに備え、 前記制御ユニットが、前記液体検出信号を受信したことに応答して、前記ポンプの動作を停止し、および/または前記ベントバルブを閉鎖するように構成されている、請求項2に記載の流体分配システム。 【請求項4】 前記流体分配プログラムは、 前記プロセッサによって実行されるとき、 前記シングルユース充填マニホールドの前記充填マニホールド本体導管を、前記供給流体の前記充填マニホールド容量によってプライミングするステップと、 前記充填マニホールド本体導管のプライミング中に、前記ベントバルブが開位置にある状態で、前記充填マニホールド本体導管内の空気を前記ベント導管から追い出すステップと、 前記充填マニホールド本体がプライミングされた後に、前記ベント導管を閉鎖するように前記ベントバルブを閉位置にするステップと を実施するように構成された充填マニホールドプライミングモジュールを含む、請求項2に記載の流体分配システム。 【請求項5】 分配マニホールド入口と、複数の分配マニホールド出口と、分配マニホールド本体導管とを含むシングルユース分配マニホールドであって、前記分配マニホールド入口が、前記分配マニホールド本体導管を介して前記複数の分配マニホールド出口の各々と流体連通し、前記複数の分配マニホールド出口のうちの1つが、前記充填マニホールド入口と無菌的に流体接続し、前記分配マニホールド入口が、前記分配マニホールド出口のうちの1つを介して前記シングルユース充填マニホールドに前記供給流体を送達するために前記ポンプとともに配置された、シングルユース分配マニホールドと、 前記シングルユース分配マニホールドとともに配置された複数のバルブを含む分配バルブ装置であって、前記分配マニホールド出口の各々が、前記分配バルブ装置の前記バルブのうちの対応する1つを介して独立して閉鎖可能であるようになってる、分配バルブ装置と をさらに備える、請求項1に記載の流体分配システム。 【請求項10】 請求項1に記載の流体分配システムを用いて流体を無菌的に分配する方法であって、 シングルユース充填マニホールドの充填マニホールド入口に供給流体を供給するステップと、 前記シングルユース充填マニホールドの複数の充填マニホールド出口のうちの留保していた充填マニホールド出口を除くすべてから、前記充填マニホールド出口に無菌的に流体接続されたシングルユース容器に前記供給流体の充填部分をそれぞれ送出するステップと、 前記充填部分を送出した後に、前記充填マニホールド出口のうちの前記留保していた充填マニホールド出口から、前記充填マニホールド出口に無菌的に流体接続されたシングルユース容器に前記供給流体のアンダーフィル部分を送出するステップであって、前記アンダーフィル部分が前記充填部分よりも小さい、ステップと、 アンダーフィル部分を送出した後に、前記シングルユース充填マニホールドの本体導管からの前記供給流体の充填マニホールド容量を、前記充填マニホールド出口のうちの前記留保していた充填マニホールド出口から、前記充填マニホールド出口に無菌的に流体接続された前記シングルユース容器にドレインするステップと を含む、方法。 【請求項11】 前記シングルユース充填マニホールドの前記本体導管内に残っている前記供給流体の前記充填マニホールド容量をドレインする前記ステップが、前記本体導管と流体連通するマニホールドベントを開放することと、ドレイン中に前記充填マニホールド容量を前記本体導管内の空気と交換することとを含む、請求項10に記載の方法。 【請求項12】 前記供給流体を前記充填マニホールド入口に供給する前記ステップが、前記シングルユース充填マニホールドの前記本体導管を前記充填マニホールド容量によってプライミングすることと、プライミング中に前記本体導管内の空気を前記本体導管と流体連通している前記マニホールドベントから追い出すことと、プライミング後に前記マニホールドベントを閉鎖することとを含む、請求項11に記載の方法。 【請求項13】 前記充填部分を送出する前記ステップが、各充填部分を順次送出することを含む、請求項10に記載の方法。 【請求項14】 前記アンダーフィル部分と前記充填マニホールド容量とが組み合わされて、前記充填部分と実質的に同じになる、請求項10に記載の方法。」 第3 申立理由の概要 1 異議申立人の提出した証拠 異議申立人は、次の甲第1号証~甲第4号証(以下、それぞれ「甲1」~「甲4」という。)を証拠として提出している。 甲第1号証(甲1):特許第5043035号公報 甲第2号証(甲2):特許第6307440号公報 甲第3号証(甲3):米国特許第9278769号公報 甲第4号証(甲4):米国特許出願公開第2021/0395071号公報 2 特許異議の申立理由 異議申立人の主張する特許異議の申立ての理由(進歩性欠如)は、本件特許発明は、甲1に記載された発明、及び甲2~甲4に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件特許は、特許法29条2項の規定に違反してされたものである、というものである。 第4 異議申立人の提出した証拠の記載 1 甲1について (1) 甲1の記載 甲1には、以下の記載がある(下線は当審において加筆した。以下同じ。)。 「【技術分野】 ・・・(中略)・・・ 【0002】 本発明は一般に、1つまたは複数の生物流体および/またはプロセス流体の保存または供給容器からの、溶液の無菌移送に関する。シングルユースマニホールド装置は、生物学的処理用途において必要とされる移送を実施する。本発明を用いて、好ましくは1つまたは複数の使い捨て導電率センサおよびしばしば1つまたは複数の遠隔制御ピンチ弁と関連して、自動分注が達成される。」 「【発明が解決しようとする課題】 【0008】 本発明によって、予め滅菌されたシングルユースプラスチック配管および少なくとも1つの折りたたみ可能な部分を有する容器を包含する技術分野において、自動化された無菌マニホールドおよびセンサを組み込むシステムにおける著しいコスト削減およびよりよい性能が実現できることが見出された。生物学的または化学的流体と接触する部品およびセンサは各々予め滅菌され、使用後は廃棄可能である。」 「【課題を解決するための手段】 【0009】 本発明は、少なくとも1つのセンサを含み、予め滅菌された使い捨てのマニホールドユニットに関し、これらマニホールドユニットを、「棚から即」使用可能なように滅菌梱包され、従って使用場所における長く時間のかかる洗浄および検査という問題に直接対処する使い捨てユニットにしている。複数の実施形態が開示される。各実施形態は、配管部分、少なくとも1つのセンサおよび複数のシングルユース保存または収集袋を含み、これらの各々は、選択的に開閉可能な複数の入口および/または出口通路を有する。配管部分は、遠隔操作が可能な1つまたは複数のピンチ弁と相互作用することができる。遠隔操作は、選択される実施形態に従って手順を実行するようにプログラムされたコントローラによって自動化される。」 「【発明を実施するための最良の形態】 ・・・(中略)・・・ 【0022】 図1は、本発明による、滅菌済みシングルユース(single-use)部品を示す。一般に、これらの使い捨て部品は、マニホールドおよび移送配管アセンブリと、複数の袋である。複数のシングルユース保存/収集袋21、22、23が示される。各々は3つの管接続部を有する。主要な入口配管は、無菌コネクタ24および手動遮断クランプ25を備え、各々は一般に既知の構成から成る。溶液保存中、無菌コネクタ24は、無菌コネクタ24を汚染から保護するためにエンドキャップ(図示されず)で覆われる。手動遮断クランプ25は、溶液保存中は閉じられる。これらは第1の管接続部30において示される。 【0023】 第2の管接続部26は、閉じた手動遮断クランプと共に袋に接続される、短い配管部分を備える。この配管およびクランプ構成は、充填操作中の袋内部のいかなる気体および/または圧力上昇をも取り除くように使用される。第3の管接続部27は、第2の接続部と同一であり、短い配管部分およびクランプを含む。これは、袋の内容物の再循環のための補助入口および/または出口として使用されることができる。 【0024】 典型的な袋充填操作中は、第1のおよび/または最後の収集袋は、品質制御袋の目的を果たすことができる。しばしばこれらの品質制御袋は、1リッタ(106mm3)などのように、より小さな容積であろう。最初の装置起動サイクル中に、第1のこのような品質保証(QA)袋はプロセス溶液で満たされる。通常は(1または複数の)QA袋よりも大きな容積を有し、操作の生成物を含む袋の全てが充填された分注サイクルの終わりには、第2のQA袋が充填される。QA袋に含まれる溶液は、次に、汚染または他の品質保証の必要性のために分析される。 【0025】 袋充填処理が完了すると、各袋上の手動遮断クランプが閉じられ、無菌管接続部が非接続状態にされる。保存中、無菌コネクタ端部はエンドキャップ(図示されず)で保護される。 【0026】 次いで図1のシングルユース滅菌済みマニホールドおよび移送配管アセンブリを参照すると、1つのこのようなユニットは28で全体的に示される。これは、自動溶液移送のための一般化されたマニホールドを示す。ユニット28の移送配管31の入口端部29は、溶液、典型的には滅菌溶液の、タンクなどの容器との連通のためである。滅菌されたマニホールドおよび移送配管アセンブリ28は、随意のインライン圧力センサ32およびシングルユース滅菌フィルタ33と一緒に示される。連続的に接続された複数の端部を有する1つの端部が、例示されるフィルタ33の下流に位置している。適切な動きを与えるデバイスによって、溶液は、タンクまたはリザーバからセンサ32(もし含まれていれば)およびフィルタ33を通って移動し、次いでシングルユース滅菌済み保存袋へ連続的に分岐される。 【0027】 図2は、複数のピンチ弁41、42、43、およびこれらの保存袋に対するそれぞれの相対位置を示す。弁のいくつかまたは全ては、遠隔操作されることができ、典型的には空気圧でまたは電気的に駆動される。典型的な装備は、12までのまたはそれより多くの空気圧で作動されるピンチ弁を収容できる能力を有する。同様の数の保存袋が収容されてよい。図2は、随意の圧力センサおよびシングルユース滅菌フィルタに関連する、ピンチ弁の相対的な位置を示す。図3は、タンク44およびポンプユニット45のポンプヘッドに対するマニホールドおよび移送配管アセンブリ28の相対的な位置を示す。好ましくは、ポンプは、穏やかで再現可能な袋充填を提供する、高精度、低せん断のぜん動ポンプである。一実施例はワトソン・マーロウ(Watson Marlow)620REぜん動ポンプヘッドである。 【0028】 保存袋へのアクセスはピンチ弁を介して提供される。ピンチ弁は通常閉じられており、典型的な空気圧ピンチ弁は、開くために加圧された空気(例えば、551.58~689.475KPa(80~100psi))を必要とする。このようなピンチ弁が加圧されると、溶液は保存袋へ入ることが許容され、一方、袋内の空気は一体の通気フィルタを通って逃がされる。(1又は複数の)ピンチ弁は、空気圧でまたは電気的に操作されるピンチ弁(現在はアクロ・アソシエイツ・インク(ACRO Assoiates、Inc)から入手可能)である。それらは、配管外部に取り付けられ、複数弁用コントローラ(現在はサイログ社(SciLog Inc.)から入手可能)または別のコンピュータベースの処理ロジック制御(PLC)デバイスによって操作される。外部ピンチ弁は、配管内の滅菌環境を損なうことなく、マニホールド内部の溶液を分岐させる。他の装置で使用されている隔膜弁は、プロセス溶液と常に接触しているが、ピンチ弁はプロセス溶液と接触しない。 【0029】 随意の使い捨て圧力センサ22は、フィルタの背圧を連続的に監視する。このセンサは、望まれない事態を回避するために、適切なコントローラに情報を提供することができる。例えば、使用者が決定する安全な圧力限界が超過されたとき、コントローラは、滅菌フィルタの能力が使い尽されたことを示す警報を発することができる。この件についての詳細は、米国特許第5947689号および特許第6350382号、ならびに米国特許出願公開第2002/0043487号で見いだされる。本明細書で言及されるこれらの特許および公開ならびに全ての他の参考文献は、参照により本明細書に組み込まれる。 【0030】 コントローラは、独立型のユニットまたは別のデバイスと関連していてもよい。好ましい構成では、コントローラはポンプユニット45と関連する。これは図3の46において示される。それがどのような形態をとるにしても、コントローラは、遠隔操作可能な(1又は複数の)ピンチ弁の操作を制御する。バッチ充填速度は、各保存袋へ供給されるバッチ容積と同様、コントローラ内に存在するソフトウエアを介して使用者がプログラミング可能である。コントローラは、容積、重量によってまたは充填時間およびポンプ速度に基づいて自動袋充填を提供する。 【0031】 典型的には、使用者により決定されるプログラムが、図1~3による保存袋の自動充填のために提供されるであろう。これは、サイログ社(Scilog、Inc.)のサイプロ(SciPro)コントローラに関して記載され、一般的には、米国特許第5947689号および特許第6350382号ならびに米国特許出願公開第2002/0043487号に記載されている。これらの手法を使って、過剰な圧力上昇が、関連する漏洩および袋の破損と共に防止される。例えば、そのようにプログラムされれば、使用者が決定する安全圧力限界が超過されると、コントローラは、全てのポンピング動作を停止する。 【0032】 マニホールドを制御するための例示の溶液移送プログラムは次のとおりである。SciPro編集モードにおいて、使用者は複数袋用の計測プログラムを入力し、保存する。下記のものは、3つの20リッタ(206mm3)保存袋21、22、23を充填するための簡単なプログラムの一実施例である。 充填プログラム実施例 【0033】 [図:0001431168000001.jpg] 【0034】 速度および時間プログラムステップの変化はいかなる保存袋容積にも適合する。充填されるべき袋の数を増やす(実施例では12まで)ために、追加の「実行」プログラムブロックを挿入することができる。しかしながら、容量または重量プログラム命令のいずれかに基づいて保存袋が充填される、類似のソフトウエアプログラムを作成することができる。重量による袋充填のためには、適切な能力を持つ重量計が必要とされる。この点に関してコントローラにデータを供給するために、随意の重量計またはロードセル47を提供することができる。この実施形態は使用者が決定した流体の容積を測定し、これらは、充填されるべき次の空の保存袋へ自動的に切り換わることが理解されるであろう。 ・・・(中略)・・・ 【0055】 シングルユース滅菌済みマニホールドを利用する典型的なTFF用途は図7~9に示される。図7は、使い捨ての滅菌済み部品を示し、配管の濾過通液(flow-through)区分内のプロセス溶液袋82と同様、透過収集袋81を有する配管濾過済み流体区分を含む。これらは無菌で密封され、予め滅菌された(例えば、放射線を受けた)梱包内にある。TFF用途の最初、透過収集袋81は空で、ガス抜きされており、無菌でTFFマニホールドに接続された。プロセス溶液袋は、図1~3のシステムを使用するなどによって、予め充填された。プロセス溶液袋82は随意の計器83上に置かれ、装置の残部に無菌で接続される。いくつかの用途では、重量情報が、制御ロジックを実行する際にコントローラに伝達されることができる。」 「 [図:0001431168000002.jpg] 」 「 [図:0001431168000003.jpg] 」 「 [図:0001431168000004.jpg] 」 (2) 甲1発明 ア 上記(1)の段落0055の記載によると、図3には、システムが記載されているといえる。 そして、段落0027の記載によると、図番44は「タンク」、図番45は「ポンプユニット」、図番41、42、43は「ピンチ弁」を示し、段落0026の記載によると、図番28は「自動溶液移送のためのシングルユース滅菌済みマニホールドおよび移送配管アセンブリ」を示し、段落0022の記載によると図番21、22、23は「複数のシングルユース保存/収集袋」を示し、段落0030の記載によると、図番46は「コントローラ」を示すといえる。 そうすると、甲1の図3には、「タンク44と、ポンプユニット45と、自動溶液移送のためのシングルユース滅菌済みマニホールドおよび移送配管アセンブリ28と、複数のピンチ弁41、42、43と、複数のシングルユース保存/収集袋21、22、23と、コントローラ46とを備えるシステム」が記載されているといえる。 イ 上記(1)の段落0026において「ユニット28の移送配管31」と記載されているから、図3に示される「自動溶液移送のためのシングルユース滅菌済みマニホールドおよび移送配管アセンブリ28」も、「移送配管31」を有しているといえる。 また、段落0026には、「移送配管31の入口端部29」は、「溶液の」「タンクなどの容器との連通のためのものであ」ることが記載されているから、図3においても、「自動溶液移送のためのシングルユース滅菌済みマニホールドおよび移送配管アセンブリ28」が有する移送配管31の入口端部29に対応する箇所に、ポンプユニット45が接続されているといえる。 加えて、図3において、移送配管31の複数の出口部分に、複数のシングルユース保存/収集袋21、22、23がそれぞれ接続されているといえる。 また、段落0026には、図1の説明として「溶液は、タンクまたはリザーバからセンサ32およびフィルタ33を通って移動し、次いでシングルユース滅菌済み保存袋へ連続的に分岐されるものである」ことが記載されているから、図3において、溶液は、タンク44からポンプユニット34および移送配管31を介して複数のシングルユース保存/収集袋21、22、23へ連続的に分岐されるものといえる。 そうすると、甲1には、図3に記載されたシステムについて、「シングルユース滅菌済みマニホールドおよび移送配管アセンブリ28が、移送配管31を有し、移送配管31の入口にポンプユニット45が接続され、移送配管31の複数の出口に複数のシングルユース保存/収集袋21、22、23がそれぞれ接続され、溶液は、タンク44からポンプユニット45および移送配管31を介して複数のシングルユース保存/収集袋21、22、23へ連続的に分岐され」ることが記載されているといえる。 ウ 上記(1)の図3から、移送配管31の複数の出口部分に、それぞれ複数のピンチ弁41、42、43が設けられていることが見て取れる。また、段落0027によれば、「複数のピンチ弁41、42、43」は「遠隔操作されることができ」、段落0028によれば、「保存袋へのアクセスはピンチ弁を介して提供され」ており、「ピンチ弁は通常閉じられており」、「ピンチ弁が加圧されると、溶液は保存袋へ入ることが許容され」る。 エ 上記(1)の段落0022には、「複数のシングルユース保存/収集袋21、22、23」の各々は「管接続部」を有し、入口配管は、「無菌コネクタ24」を備えることが記載され、図3にも同様の構成が示されているから、図3においても、「複数のシングルユース保存/収集袋21、22、23は管接続部を有し、それぞれの管接続部は、無菌コネクタ24を介して移送配管31の複数の出口に接続されて」いるといえる。 オ 上記(1)の段落0031、0055によると、段落0030に記載された「使用者により決定されるプログラム」は、図3のシステムの「保存袋の自動充填のために提供され」るものであるといえる。 そして、段落0030によると、「コントローラ」は、「ポンプユニット45と関連」し、「遠隔操作可能な(1又は複数の)ピンチ弁の操作を制御」しており、また、「バッチ充填速度」は、「コントローラ内に存在するソフトウエアを介して使用者がプログラミング可能であ」る。 そうすると、甲1には、図3に記載されたシステムについて、「コントローラ46は、ポンプユニット45と関連し、遠隔操作可能な(1又は複数の)ピンチ弁の操作を制御し、バッチ充填速度は、コントローラ内に存在するソフトウエアを介して使用者がプログラミング可能であり、使用者により決定されるプログラムが、システムの保存袋の自動充填のために提供され」ることが記載されているといえる。 カ 上記(1)の段落0033の表1は、段落0032に記載のとおり「3つの20リッタ(206mm3)保存袋21、22、23を充填するための簡単なプログラムの一実施例」であるところ、表1の第1列の006、009、012、015、018において、ポンプを選択的に「オン」または「オフ」することが記載されており、表1の第1列の003、007、013、019において、ピンチ弁41、42、43を選択的に「通電」または「非通電」とすることが記載されており、表1の第1列の004、005、010、011、016、017において、袋21、22、23にそれぞれポンプ速度毎分5リットルで20リットルを順次充填することが記載されている。 そうすると、甲1には、図3に記載されたシステムについて、「3つの20リッタの保存袋21、22、23を充填するためのプログラムは、ポンプユニット45を選択的にオンおよびオフし、ピンチ弁41、42、43を選択的に通電および非通電とすることで、保存袋21、22、23にそれぞれポンプ速度毎分5リットルで20リットルを順次充填する」ことが記載されているといえる。 キ 以上を踏まえると、甲1には次の発明(以下、「甲1発明」という。)が記載されているといえる。 [甲1発明] 「 タンク44と、ポンプユニット45と、自動溶液移送のためのシングルユース滅菌済みマニホールドおよび移送配管アセンブリ28と、複数のピンチ弁41、42、43と、複数のシングルユース保存/収集袋21、22、23と、コントローラ46とを備えるシステムであって、(上記ア) シングルユース滅菌済みマニホールドおよび移送配管アセンブリ28が、移送配管31を有し、移送配管31の入口にポンプユニット45が接続され、移送配管31の複数の出口に複数のシングルユース保存/収集袋21、22、23がそれぞれ接続され、溶液は、タンク44からポンプユニット45および移送配管31を介して複数のシングルユース保存/収集袋21、22、23へ連続的に分岐され、(上記イ) 複数のピンチ弁41、42、43は、移送配管31の複数の出口にそれぞれ設けられ、遠隔操作されることができ、保存袋へのアクセスはピンチ弁を介して提供され、ピンチ弁は通常閉じられており、このようなピンチ弁が加圧されると、溶液は保存袋へ入ることが許容され、(上記ウ) 複数のシングルユース保存/収集袋21、22、23は管接続部を有し、それぞれの管接続部は、無菌コネクタ24を介して移送配管31の複数の出口に接続されており(上記エ)、 コントローラ46は、ポンプユニット45と関連し、遠隔操作可能な(1又は複数の)ピンチ弁の操作を制御し、バッチ充填速度は、コントローラ内に存在するソフトウエアを介して使用者がプログラミング可能であり、使用者により決定されるプログラムが、システムの保存袋の自動充填のために提供され、(上記オ) 3つの20リッタの保存袋21、22、23を充填するためのプログラムは、ポンプユニット45を選択的にオンおよびオフし、ピンチ弁41、42、43を選択的に通電および非通電とすることで、保存袋21、22、23にそれぞれポンプ速度毎分5リットルで20リットルを順次充填する(上記カ)、システム。」 2 甲2について 甲2には、以下の記載がある。 「【課題を解決するための手段】 【0013】 一実施形態では、医療用流体移送システムは、ソース容器に連結するように構成された第1の閉鎖可能コネクタとターゲット容器に連結するように構成された第2の閉鎖可能コネクタとを有するホースアセンブリを備える。システムは、ホースアセンブリを通して流体を移送するように構成されたポンプも備える。システムは、第2の容器に関する情報を出力するように構成されたデスティネーションセンサ(destination sensor)も備える。このシステムは、流体移送命令を含む、命令を受信し、流体移送命令に基づきポンプを動作させ、デスティネーションセンサから第2の容器に関する情報を受信し、デスティネーションセンサから受信した情報に基づきポンプを動作させるように構成された制御システムも備える。」 「【発明を実施するための形態】 ・・・(中略)・・・ 【0030】 多くの状況において、流体は、ソース容器からターゲット容器に移送される。いくつかの場合において、薬剤などの正確な量の流体をターゲット容器内に移送することが望ましいことがある。例えば、いくつかの実施形態では、薬剤は、バイアルまたは他の容器内に貯蔵され、正確な用量の薬剤が抽出され、その用量分が患者に送達されるようにターゲットデバイスに移送されうる。いくつかの実施形態において、複数のソース容器からの流体が組み合わされるか、または混ぜ合わされて、単一のターゲット容器内に送り込まれうる。例えば、いくつかの実施形態では、薬剤の混合物がターゲット容器内に形成されうるか、または濃縮された薬剤がターゲット容器内で希釈剤と組み合わされうる。流体の所望の割合を得るために、ターゲット容器内に移送される流体の量を正確に測定することが望ましい場合がある。また、ソース容器からターゲット容器に移送される流体の量を正確に測定することで、無駄になる流体の量を減らすことができる(例えば、必要以上に多い流体がソース容器から引き出されるとき)。無駄の削減は、例えば、いくつかの場合において、移送される流体が高価であるため望ましい。 ・・・(中略)・・・ 【0036】 それぞれの移送ステーション118a~bは、例えば、医療用バイアルまたは袋、ビン、またはバットなどの他の好適な容器であってもよい、流体ソース容器120a~bを備えることができる。本明細書で開示されている多くの実施形態ではバイアルをソース容器として使用することを説明しているが、別段言及していない場合でも、他の容器を使用することもできることは理解されるであろう。いくつかの実施形態において、ソース容器120a~bのそれぞれは、固有の流体を収容することができ、ユーザが移送に対して選択することができるさまざまな流体を提供する。他の実施形態では、ソース容器120a~bの2つまたはそれ以上は、同じ流体を収容することができる。いくつかの実施形態において、ソース容器120a~bは、中に収容されている流体の種類を識別するバーコードを備える。バーコードは、ソース容器120a~bに収容される流体の識別情報が、メモリモジュール106内に格納されるようにコントローラ104および/またはメモリ106と(例えば、通信インターフェース110を介して)通信するバーコードスキャナ105によってスキャンされうる。いくつかの実施形態において、流体移送ステーション118a~bは、ソース容器120a~bから正確な量の流体を例えば、IVバッグであってもよいターゲット容器124a~bに移送するように構成されている。本明細書で説明されているさまざまな実施形態において、異なる種類のターゲットコネクタまたはデスティネーション容器は、別段言及していない場合でも、IVバッグ(例えば、注射器、ビン、バイアル、エラストマーポンプなど)の代わりに使用されうることは理解されるであろう。いくつかの実施形態において、流体は最初に、正確な量の流体が測定されるようにソース容器120a~bから中間測定容器122a~bに移送されうる。中間測定容器122a~bは、例えば、注射器であってもよい。測定された後、流体は、中間測定容器122a~bからターゲット容器124a~bに移送することができる。 ・・・(中略)・・ 【0152】 いくつかの実施形態において、システムは、流体移送に対する流体の最終体積として流体をコネクタからターゲット容器内にフラッシングするように構成されうる。したがって、いくつかの実施形態では、コネクタをフラッシングするときにユーザ側でターゲット容器を変える必要はない。図50は、コネクタをフラッシングするための方法の例示的な一実施形態を示す流れ図である。ブロック922で、システムは、ユーザから(例えば、ユーザインターフェースを介して)、または外部システムによって(例えば、データ接続を介して)、受信されうる、最終流体移送命令を受信することができる。例えば、ユーザインターフェースは、ソース容器および/または他のコンポーネントを取り外す前に特定の流体移送が最後に実行されることをユーザが指定するために使用できるボタンを有することができる。最終移送命令は、移送されるべき流体の体積の指示も含みうる。 【0153】 ブロック924で、システムは、例えば、知られているかまたは計算されたフラッシュ体積を移送されるべき体積から差し引くことによって流体移送部分体積を計算することができる。ブロック926で、システムは、本明細書で説明されているようにソース容器から流体の部分体積分をターゲット容器に移送することができ、システムは、その部分体積分が移送された後、流体移送を停止することができる。ブロック928で、システムは、空気ソースを利用することができる。例えば、システムは、ソース容器(例えば、バイアル)を取り外し、空気ソースアタッチメント(例えば、アタッチメント770)を取り付けることをユーザに指示することができる。ブロック930で、システムは、本明細書で説明されているようにコネクタから流体をフラッシングして追い出し、フラッシングされた流体をターゲット容器(例えば、IVバッグ)内に送り込むことができる。いくつかの実施形態において、流体と一緒に、ある程度の空気もターゲット容器内に送り込まれうる。ターゲット容器内にフラッシングされた流体の体積は、予め決定されているか、または流体工学システムを通る流体経路の部分の知られている体積に基づき計算されうる。フラッシュプロセスの前にターゲット容器内に送り込まれる流体移送部分体積分と、フラッシングされた流体体積分が加わって、受信した命令で移送されるべき流体の指定された体積に実質的に等しくなる。」 「 [図:0001431168000005.jpg] 」 第5 当審の判断 1 甲1を主引用例とする進歩性欠如 (1) 本件特許発明1について ア 対比 本件特許発明1と甲1発明を対比する。 (ア)甲1発明の「ポンプユニット45」、「複数のシングルユース保存/収集袋21、22、23」は、それぞれ本件特許発明1の「ポンプ」、「複数のシングルユース容器」に相当する。 (イ)甲1発明の「自動溶液移送のためのシングルユース滅菌済みマニホールドおよび移送配管アセンブリ28」は、本件特許発明1の「シングルユース充填マニホールド」に対応する。 また、甲1発明の「複数のピンチ弁41、42、43」は、「保存袋の自動充填のため」に提供されるプログラムにより制御されるものであり、「弁」は英語で「バルブ」ということから、本件特許発明1の「充填バルブ装置」に相当する。 (ウ)甲1発明の「コントローラ46」は、本件特許発明1の「制御ユニット」に相当する。 (エ)甲1発明の「システム」は、「溶液は、タンク44からポンプユニット45および移送配管31を介して複数のシングルユース保存/収集袋21、22、23へ連続的に分岐され」るものであるから、本件特許発明1の「流体分配システム」に相当する。 したがって、甲1発明は、「ポンプと、シングルユース充填マニホールドと、充填バルブ装置と、複数のシングルユース容器と、制御ユニットとを備える流体分配システム」に係る発明である点で、本件特許発明1と共通する。 (オ)甲1発明の「ポンプユニット45」は、「選択的にオンおよびオフ」することで、「保存袋21、22、23にそれぞれ20リットルを順次充填する」ものであるから、甲1発明の「ポンプユニット45」と本件特許発明1の「ポンプ」とは、「流体の流れを選択的に生成するように構成されて」いる点で一致する。 (カ)甲1発明の「シングルユース滅菌済みマニホールドおよび移送配管アセンブリ28」は、「移送配管31を有し」、「移送配管31」は、「入口にポンプユニット45が接続され」、「複数の出口に複数のシングルユース保存/収集袋21、22、23がそれぞれ接続され」、「溶液は、タンク44からポンプユニット45および移送配管31を介して複数のシングルユース保存/収集袋21、22、23へ連続的に分岐され」るものであるから、甲1発明の「シングルユース滅菌済みマニホールドおよび移送配管アセンブリ28」と本件特許発明1の「シングルユース充填マニホールド」とは、「充填マニホールド入口と、複数の充填マニホールド出口と、充填マニホールド本体導管とを含み、前記充填マニホールド入口が、前記充填マニホールド本体導管を介して前記複数の充填マニホールド出口の各々と流体連通し、前記充填マニホールド入口が、前記シングルユース充填マニホールドに供給流体を送達するために前記ポンプとともに配置され」る点で共通する。 (キ)甲1発明の「複数のピンチ弁41、42、43」は、「移送配管31の複数の出口にそれぞれ設けられ」、「3つの20リッタの保存袋21、22、23を充填するためのプログラム」は、「ピンチ弁41、42、43を選択的に通電および非通電とすることで、保存袋21、22、23にそれぞれポンプ速度毎分5リットルで20リットルを順次充填」しているところ、保存袋21、22、23の容量である20リットルを、一定のポンプ速度で保存袋21、22、23に充填していることから、標準的な充填を行っているといえ、この充填が行われる「移送配管31の複数の出口」は、標準的な充填を行う出口であるといえる。 そうすると、甲1発明の「移送配管31の複数の出口」と本件特許発明1の「充填マニホールド出口」とは、「少なくとも1つの標準充填出口を含」む点で共通する。 (ク)甲1発明の「複数のピンチ弁41、42、43」は、「移送配管31の複数の出口に」「それぞれ接続され」、「遠隔操作されることができ、保存袋へのアクセスはピンチ弁を介して提供され、ピンチ弁は通常閉じられており、このようなピンチ弁が加圧されると、溶液は保存袋へ入ることが許容され」ることから、甲1発明の「複数のシングルユース保存/収集袋21、22、23」と、本件特許発明1の「充填バルブ装置」とは、「前記シングルユース充填マニホールドとともに配置された複数のバルブを含み、前記充填マニホールド出口の各々が前記充填バルブ装置の前記バルブのうちの対応する1つを介して独立して閉鎖可能であ」る点で共通する。 (ケ)甲1発明の「複数のシングルユース保存/収集袋21、22、23」は、「管接続部を有し、それぞれの管接続部は、無菌コネクタ24を介して移送配管31の複数の出口に接続されて」いることから、甲1発明の「複数のシングルユース保存/収集袋21、22、23」と本件特許発明1の「シングルユース容器の各々」とは、「無菌流体コネクタを介して前記充填マニホールド出口の対応する1つに流体接続されたアクセスポートを有」する点で共通する。 (コ)甲1発明の「コントローラ46」は、「ポンプユニット45と関連し、遠隔操作可能な(1又は複数の)ピンチ弁の操作を制御し、バッチ充填速度は、コントローラ内に存在するソフトウエアを介して使用者がプログラミング可能であり、使用者により決定されるプログラムが、システムの保存袋の自動充填のために提供され」、「3つの20リッタの保存袋21、22、23を充填するためのプログラム」は、「ポンプユニット45を選択的にオンおよびオフし、ピンチ弁41、42、43を選択的に通電および非通電とすることで、保存袋21、22、23にそれぞれポンプ速度毎分5リットルで20リットルを順次充填する」ものであるところ、プログラムは、保存袋のそれぞれに充填するものであるから、流体分配を行うプログラムであるといえ、また、コントローラがポンプユニットやピンチ弁を制御する際には、ポンプユニットやピンチ弁と電気的に通信していること、及び、コントローラが、プログラムを実行するためのプロセッサとプログラムを保存するための非一時的コンピュータ可読媒体とを有することは技術常識といえる。 そうすると、甲1発明の「コントローラ46」と本件特許発明1の「制御ユニット」とは、「プロセッサと、流体分配プログラムを有する非一時的コンピュータ可読媒体とを含み、前記プロセッサが、前記流体分配プログラムを実行するように前記コンピュータ可読媒体とともに配置され、前記プロセッサが、前記ポンプおよび前記充填バルブ装置と電気的に通信し、前記流体分配プログラムからの命令に基づいて前記ポンプおよび前記充填バルブ装置の前記バルブを選択的に動作させ」る点で共通する。 (サ)甲1発明の「複数のピンチ弁41、42、43」は、「移送配管31の複数の出口にそれぞれ設けられ」、「3つの20リッタの保存袋21、22、23を充填するためのプログラム」は、「ポンプユニット45を選択的にオンおよびオフし、ピンチ弁41、42、43を選択的に通電および非通電とすることで、保存袋21、22、23にそれぞれポンプ速度毎分5リットルで20リットルを順次充填する」ものであるところ、保存袋21、22、23の容量である20リットルを、保存袋21、22、23に充填していることから、この「20リットル」は「目標充填容量である」といえ、また、プログラムは、保存袋21、22、23に充填していることから、「容器充填モジュール」を有しているといえる。 そうすると、上記(カ)及び(ケ)も考慮すると、甲1発明の「3つの20リッタの保存袋21、22、23を充填するためのプログラム」と本件特許発明1の「流体分配プログラム」とは「前記充填マニホールド出口の各標準充填出口から前記供給流体の目標充填容量を送出する、ように構成された容器充填モジュールを有し、前記流体分配プログラムの前記容器充填モジュールが、前記プロセッサによって実行されるとき、前記シングルユース充填マニホールドの前記充填マニホールド入口に前記供給流体を供給するステップと、前記シングルユース充填マニホールドの前記各標準充填出口からそれぞれ無菌的に流体接続された前記シングルユース容器に流体の前記目標充填容量を順次送出するステップと、を実施するように構成されている」点で共通する。 以上によれば、本件特許発明1と甲1発明は、以下の一致点、相違点を有する。 [一致点] 「 ポンプと、シングルユース充填マニホールドと、充填バルブ装置と、複数のシングルユース容器と、制御ユニットとを備える流体分配システムであって、 前記ポンプが、流体の流れを選択的に生成するように構成されており、 前記シングルユース充填マニホールドが、充填マニホールド入口と、複数の充填マニホールド出口と、充填マニホールド本体導管とを含み、前記充填マニホールド入口が、前記充填マニホールド本体導管を介して前記複数の充填マニホールド出口の各々と流体連通し、前記充填マニホールド入口が、前記シングルユース充填マニホールドに供給流体を送達するために前記ポンプとともに配置され、 前記充填マニホールド出口が、少なくとも1つの標準充填出口を含み、 前記充填バルブ装置が、前記シングルユース充填マニホールドとともに配置された複数のバルブを含み、前記充填マニホールド出口の各々が前記充填バルブ装置の前記バルブのうちの対応する1つを介して独立して閉鎖可能であり、 前記シングルユース容器の各々が、無菌流体コネクタを介して前記充填マニホールド出口の対応する1つに流体接続されたアクセスポートを有し、 前記制御ユニットが、プロセッサと、流体分配プログラムを有する非一時的コンピュータ可読媒体とを含み、前記プロセッサが、前記流体分配プログラムを実行するように前記コンピュータ可読媒体とともに配置され、前記プロセッサが、前記ポンプおよび前記充填バルブ装置と電気的に通信し、前記流体分配プログラムからの命令に基づいて前記ポンプおよび前記充填バルブ装置の前記バルブを選択的に動作させ、 前記流体分配プログラムが、前記充填マニホールド出口の各標準充填出口から前記供給流体の目標充填容量を送出する、ように構成された容器充填モジュールを有し、 前記流体分配プログラムの前記容器充填モジュールが、前記プロセッサによって実行されるとき、 前記シングルユース充填マニホールドの前記充填マニホールド入口に前記供給流体を供給するステップと、 前記シングルユース充填マニホールドの前記各標準充填出口からそれぞれ無菌的に流体接続された前記シングルユース容器に流体の前記目標充填容量を順次送出するステップと、 を実施するように構成されている、流体分配システム。」 [相違点] [相違点1-1] 「充填マニホールド出口」について、本件特許発明1は「少なくとも1つの標準充填出口とアンダーフィル出口とを含」むのに対し、甲1発明は、そのような特定がされていない点。 [相違点1-2] 「容器充填モジュール」について、本件特許発明1は「前記充填マニホールド出口の前記アンダーフィル出口から前記供給流体のアンダーフィル容量を送出し、前記充填マニホールド本体導管から前記充填マニホールド出口の前記アンダーフィル出口の外へ、前記供給流体の充填マニホールド容量をドレインする、ように構成され」ているのに対して、甲1発明は、そのような特定がされていない点。 [相違点1-3] 「アンダーフィル容量」について、本件特許発明1は「前記目標充填容量よりも小さいものであ」るのに対し、甲1発明は、そのような特定がされていない点。 [相違点1-4] 「前記流体分配プログラムの前記容器充填モジュールが、前記プロセッサによって実行されるとき」について、本件特許発明1は、「前記目標充填容量を順次送出した後に、前記シングルユース充填マニホールドの前記アンダーフィル出口から、前記アンダーフィル出口に無菌的に流体接続された前記シングルユース容器に流体の前記アンダーフィル容量を送出するステップと、前記アンダーフィル容量を送出した後に、流体の前記充填マニホールド容量を、前記充填マニホールド本体導管から前記アンダーフィル出口の外へ、前記アンダーフィル出口に無菌的に流体接続された前記シングルユース容器にドレインするステップとを実施するように構成されている」のに対して、甲1発明は、そのような特定がされていない点。 イ 判断 相違点1-1について検討する。 本件特許発明1の「アンダーフィル出口」とは、「アンダーフィル」動作を実施する「出口」である(本件特許明細書の段落【0049】)ところ、甲1には「移送配管31の複数の出口」において、アンダーフィル動作を実施することについて記載も示唆もされていない。 また、甲2の段落0152、0153には、コネクタをフラッシングするための方法において、最終流体移送命令を受信した後に、ソース容器から流体の部分体積分をターゲット容器に移送し、フラッシングされた流体をターゲット容器内に送り込み、流体の部分体積分と、フラッシングされた流体体積分が加わって、流体の指定された体積に実質的に等しくなり、これによりコネクタをフラッシングするときにユーザ側でターゲット容器を変える必要はない旨記載されているが、このフラッシングは、あくまで通常の流体移送を行う出口において行うものであり、フラッシングを行う際の専用の出口を設定するものではないから、相違点1-1に係る構成である「少なくとも1つの標準充填出口とアンダーフィル出口とを含」むものではない。 そうすると、仮に甲1発明に甲2に記載されたフラッシングするための方法を採用したとしても、相違点1-1に係る構成とはならない。 加えて、相違点1-1に係る構成は、甲3及び甲4にも、記載も示唆もされていない。 したがって、相違点1-2~相違点1-4について検討するまでもなく、本件特許発明1は、甲1発明及び甲2~4に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 (2) 本件特許発明2~5、10~14について 本件特許発明2~5、10~14は、本件特許発明1を限定した発明であるところ、本件特許発明1が上記(1)イのとおり、甲1発明及び甲2~4に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない以上、本件特許発明2~5、10~14も甲1発明及び甲2~4に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 (3) 異議申立人の主張について 異議申立人は、本件特許発明1では、アンダーフィル出口からも、アンダーフィル容量と充填マニホールド容量を組み合わせた目標充填容量の溶液をシングルユース容器に充填するものであるから、標準充填出口とアンダーフィル出口は単なる呼称の違いというほかなく、甲1の三つの出口部位と実質的に異ならない旨、主張する(特許異議申立書38頁下から11行~同頁下から2行)。 しかしながら、上記(1)のとおり、本件特許発明1の「アンダーフィル出口」とは、「アンダーフィル」動作を実施する「出口」である(本件特許明細書の段落【0049】)ところ、甲1には、アンダーフィル動作を実施することについて記載されていない以上、甲1の三つの出口部位は、「アンダーフィル出口」とはいえない。 また、異議申立人は、「技術分野が同一で、また機能も共通する」から、相違点に係る甲2の構成を甲1に適用して、本件特許発明1を行うことは当業者が容易に想到しうるものである旨、主張する(特許異議申立書41頁下から8行~同頁下から1行)。 しかしながら、異議申立人の主張するように、「技術分野が同一で、また機能も共通する」であったとしても、上記(1)のとおり、甲2には、相違点1-1に係る構成について記載されていない。 したがって、異議申立人の主張は採用できない。 第6 むすび したがって、特許異議の申立ての理由及び異議申立人の提出した証拠によっては、本件特許を取り消すことはできない。 また、他に本件特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。

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2025-700862

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    共通の審決分類: 121・B65B
  • 2023-701207異議申立 / 2024-02-28 / 維持補助操作パネル及び包装関連装置
    共通の審決分類: 121・B65B

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