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特許異議申立

2026-700302

薬剤払出し装置

審判番号
2026-700302
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2024-127767
登録番号
7752306
請求日
2026年04月09日
審決日
2026年06月19日
公報発行日
2026年07月31日
結論
維持
当事者
  • 【権利者】株式会社湯山製作所
  • 【権利者代理人】藤田 隆
  • 【異議申立人】松本 保
審判長/審判官
  • 審判長 松永 稔
  • 審判官 小宮 慎司
  • 審判官 綿引 隆
分類
P1651.121-Y (B65B)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特許第7752306号発明「薬剤払出し装置」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第7752306号の請求項1~2に係る特許を維持する。

理由

理 由 第1 出願分割及び手続の経緯 1 出願分割の経緯 特許第7752306号の請求項1~2に係る特許(以下、「本件特許」という。)についての出願は、2014年(平成26年)11月18日(優先権主張:平成25年11月22日(特願2013-242379号)、平成26年9月24日(特願2014-194477号))を国際出願日とする出願(特願2015-549159号)を最先の出願とする、いわゆる第6世代の分割出願であるところ、出願の分割の経緯は、次のとおりである。なお、括弧内は各分割出願の出願日を示す。 最先の出願:特願2015-549159号(平成26年11月18日) 第1世代 :特願2019- 17254号(平成31年 2月 1日) 第2世代 :特願2020- 23319号(令和 2年 2月14日) 第3世代 :特願2021- 93638号(令和 3年 6月 3日) 第4世代 :特願2021-118640号(令和 3年 7月19日) 第5世代 :特願2022-193508号(令和 4年12月 2日) 本件出願 :特願2024-127767号(令和 6年 8月 2日) 2 手続の経緯 本件出願は、令和7年10月2日に特許権の設定登録がされ、同年同月10日に特許掲載公報が発行され、その後、本件特許の請求項1~2に係る特許について、令和8年4月9日に特許異議申立人松本保(以下、「申立人」という。)により特許異議の申立てがされたものである。 第2 本件発明 本件特許の請求項1~2に係る発明(以下、それぞれ「本件発明1」~「本件発明2」といい、まとめて「本件発明」ともいう。)は、その特許請求の範囲の請求項1~2に記載された事項により特定される次のとおりのものである。 「【請求項1】 清掃剤が充填された薬剤容器と、容器載置装置と、分配皿と、ロボットと、散薬投入ホッパーと、薬剤包装装置とを備えた薬剤払出し装置における薬剤の清掃方法であって、 清掃剤が充填された薬剤容器は密閉型であり、当該薬剤容器に充填された清掃剤は粉体であって、 容器載置装置は、分配皿の近傍に設けられ、 散薬投入ホッパーの清掃作業が必要な薬剤が散薬投入ホッパーに投入された場合、又は散薬投入ホッパーに汚れがあることが判明した場合、 下記動作(p)~(t): (p)自動または手動によって清掃剤が充填された薬剤容器を選定する動作、 (q)ロボットで清掃剤が充填された薬剤容器を分配皿の近傍に設けられた容器載置装置に載置する動作、 (r)前記容器載置装置に載置され、清掃剤が充填された薬剤容器から分配皿に清掃剤を排出する動作、 (s)分配皿から散薬投入ホッパーに清掃剤を投入する動作、 (t)投入された清掃剤を薬剤包装装置で包装する動作、 が実施され、清掃剤が散薬投入ホッパーに投入されることにより、散薬投入ホッパーが清掃される薬剤の清掃方法。 【請求項2】 薬剤包装装置は、薬剤を収容する薬剤容器を有し、 前記薬剤容器を用いて薬剤包装装置で包装される動作をさらに含み、 前記動作(t)は、前記薬剤容器を用いて薬剤包装装置で包装する動作より速い動作で実行する請求項1に記載の薬剤の清掃方法。」 第3 特許異議の申立ての理由の概要 申立人は、下記1の甲第1号証~甲第4号証(以下、「甲1」~「甲4」という。)を証拠方法として提出し、下記2の申立理由により、本件特許の請求項1~2に係る特許を取り消すべきである旨主張している。 1 証拠方法 甲1:国際公開第2014/046148号 甲2:特開2004-105514号公報 甲3:曽我聡他、“薬物のクロスコンターミネーションの検討(第4報)”、九州薬学会会報、九州山口薬学会、昭和58年10月20日発行、第37号、p.97-102 甲4:特願2013-242379号特許出願書面 2 申立理由 本件発明1~2は、甲1に記載された発明と、甲2~甲3の記載事項に基いて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、本件特許の請求項1~2に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。 なお、本件の最先の優先日(平成25年11月22日。以下、「第1優先日」という。)になされた優先権基礎出願の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(甲4。以下、「出願当初明細書等」という。)には、清掃剤を用いた清掃に関する記載はなく、清掃剤を用いた清掃に関する本件発明は、少なくとも最先の優先日の次の優先日(平成26年9月24日)以降に追加された事項に対応しているため、甲1(平成26年3月27日国際公開)は証拠として適格である。 第4 甲1の記載、甲1発明 1 甲1の記載 甲1には、以下の記載がある。(下線は当審にて付した。) 「背景技術 ・・・ [0004] 薬剤包装装置203は、図49の様に包装用ホッパ220と、包装装置221によって構成されている。」 「[0086] 実用設計に近い形の薬剤フィーダ50は、先の実施形態と同様、薬剤容器2と、本体装置3によって構成されている(図4)。 まず薬剤容器2の構造について説明する。なお本実施形態では、用途に応じて5種類の薬剤容器2A,2B,2C,2D,2E,2Fが用意されている。 即ち第1形態の薬剤容器2Aは、図5の様に薬剤排出部8に蓋が無いタイプである。第2形態の薬剤容器2Bは、図10の様に2面開放型であり、薬剤排出部8に蓋が無く且つ水平姿勢とした際に、天面に相当する部位が大きく開放されたタイプである。第3形態の薬剤容器2Cは、図12の様に密閉型であり、蓋が有るタイプである。第4形態の薬剤容器2Dは図34の様に密閉型であり、蓋が有るタイプである。第5形態の薬剤容器2Eは図43の様に密閉型であり、蓋が有るタイプであって、天面に相当する部位に大蓋があって開閉することができるタイプである。」 「[0157] 次に、薬剤フィーダ50の周辺機器について説明する。 本実施形態の薬剤フィーダ50は、散薬分包機能を備えた薬剤払出し装置100の一部を構成するものである。 薬剤払出し装置100の全体構造は、例えば図30に示す様なものである。薬剤払出し装置100は、機能上、上下方向に薬剤棚部領域103と、薬剤分割領域105と、薬剤包装領域106とに分けられる。 最上部の薬剤棚部領域103は、周囲に薬剤容器収納棚101が並べられており、その内部に薬剤容器移動装置102が設けられている。 薬剤棚部領域103は、図示しない除湿装置で除湿されている。また薬剤棚部領域103の内部には図示しない集塵装置が設けられており、薬剤棚部領域103内の塵が除去される。例えば薬剤棚部領域103に、送風ファンを設け、送風ファンによって薬剤棚部領域103内の空気を循環させる。そして送風ファンの吸気側等、一定の通気経路にフィルターを設け、薬剤棚部領域103を浮遊する塵等を除去する。」 「[0159] 薬剤分割領域105には、散薬分配装置202が設けられている。本実施形態では、散薬分配装置202は、分配皿212を2枚、有している。散薬分配装置202には、本実施形態の薬剤フィーダ50が複数台設置されている。本実施形態では、各分配皿212に薬剤フィーダ50が複数設置されている。より具体的に説明すると、各分配皿212に薬剤フィーダ50が3台ずつ設置されている。各薬剤フィーダ50は、各分配皿212に対して接線方向に取り付けられている。なお、薬剤フィーダ50の各分配皿212に対する取付け角度は、接線方向に限定されるものではないが、薬剤フィーダ50を、各分配皿212に対して接線方向に取り付けることにより、薬剤の分配精度が高まる効果がある。また薬剤容器移動装置102で薬剤容器2Cを保持し、薬剤容器2Cを振動台20に固定する際や、振動台20から薬剤容器2Cを取り外す際に、薬剤容器移動装置102の無駄な動作が少なくなるという効果が期待できる。 薬剤包装領域106には、薬剤包装装置203が内蔵されている。 また薬剤払出し装置100には、処方箋を読み取る処方箋読み取り手段46と、各機器の動作を制御する制御装置47とを備えている。」 「[図30] [図:0001437443000001.jpg] 」 「[図49] [図:0001437443000002.jpg] 」 2 甲1発明 (1) 甲1の段落0004、0086、0157、0159の記載によると、甲1には、密閉型である薬剤容器2Cと本体装置3によって構成される薬剤フィーダ50と、分配皿212と、薬剤容器移動装置102と、包装用ホッパ220と包装装置221によって構成される薬剤包装装置203とを備える、散薬分包機能を備えた薬剤払出し装置100、及び当該薬剤払出し装置100における方法が記載されているといえる。 (2) また、甲1の図30から、薬剤フィーダ50の本体装置3は、分配皿212の近傍に設けられていることが見て取れる。 (3) 以上を踏まえると、甲1には次の発明(以下、「甲1発明」という。)が記載されているといえる。 <甲1発明> 「密閉型である薬剤容器2Cと本体装置3によって構成される薬剤フィーダ50と、分配皿212と、薬剤容器移動装置102と、包装用ホッパ220と包装装置221によって構成される薬剤包装装置203とを備え、 薬剤フィーダ50の本体装置3は、分配皿212の近傍に設けられている、 散薬分包機能を備えた薬剤払出し装置100における方法。」 第5 申立理由の検討 1 本件発明1について (1)対比 第1優先日に出願された、本件特許についての出願の第1の優先基礎出願(特願2013-242379号)の出願当初明細書等である甲4には、本件発明1に係る「薬剤の清掃方法」についての記載はないから、第1優先日から、第2の優先基礎出願(特願2014-194477号)の出願日である平成26年9月24日(以下、「第2優先日」という。)までの期間については、優先権主張の効果は認められない。 そこで、本件発明1と、第2優先日前である平成26年3月27日に国際公開され公知となった甲1に記載された発明である甲1発明とを対比する。 ア 甲1の「薬剤容器2C」、「本体装置3」、「分配皿212」、「薬剤容器移動装置102」、「包装用ホッパ220」、「包装装置221」は、それぞれ本件発明1の「薬剤容器」、「容器載置装置」、「分配皿」、「ロボット」、「散薬投入ホッパー」、「薬剤包装装置」と対応する。 そうすると、甲1発明の「薬剤払出し装置100」は、「薬剤容器と、容器載置装置と、分配皿と、ロボットと、散薬投入ホッパーと、薬剤包装装置とを備えた薬剤払出し装置」であって、「薬剤容器は密閉型であり」、「容器載置装置は、分配皿の近傍に設けられ」といえる点で、本件発明1の「薬剤払出し装置」と共通する。 イ 以上を踏まえると、本件発明1と甲1発明とは次の点で一致し、相違する。 <一致点> 薬剤容器と、容器載置装置と、分配皿と、ロボットと、散薬投入ホッパーと、薬剤包装装置とを備えた薬剤払出し装置における方法であって、 薬剤容器は密閉型であり、 容器載置装置は、分配皿の近傍に設けられた、 方法。 <相違点> 本件発明1が、「薬剤の清掃方法」に係る発明であって、薬剤容器に「清掃剤が充填され」、「清掃剤は粉体であって」、「散薬投入ホッパーの清掃作業が必要な薬剤が散薬投入ホッパーに投入された場合、又は散薬投入ホッパーに汚れがあることが判明した場合、 下記動作(p)~(t): (p)自動または手動によって清掃剤が充填された薬剤容器を選定する動作、 (q)ロボットで清掃剤が充填された薬剤容器を分配皿の近傍に設けられた容器載置装置に載置する動作、 (r)前記容器載置装置に載置され、清掃剤が充填された薬剤容器から分配皿に清掃剤を排出する動作、 (s)分配皿から散薬投入ホッパーに清掃剤を投入する動作、 (t)投入された清掃剤を薬剤包装装置で包装する動作、 が実施され、清掃剤が散薬投入ホッパーに投入されることにより、散薬投入ホッパーが清掃される」ことを特定しているのに対し、甲1発明は、薬剤の清掃について何ら特定していない点。 (2)相違点についての検討 ア 申立人は、特許異議申立書の17ページ4行~最下行において、相違点について、甲2の段落0143~0163、0177~0178、0188、0174、0193、0194、及び甲3を引用して、当業者が容易になし得たことである旨主張している。 イ まず、申立人は、甲2に記載された「投入ホッパー1」が、本件発明1の「薬剤容器」に対応すると主張する。 しかしながら、甲1の段落0175に「以上説明した実施形態では、薬剤フィーダ1,50を利用して散薬分配装置202の分配皿212に散薬を供給した」と記載されているとおり、甲1発明は、薬剤フィーダ50を構成する「密閉型である薬剤容器2C」から、散薬を分配皿212に直接供給するものであり、甲2に記載された、投入された散薬を分割円盤110に堆積させるための「投入ホッパー1」に対応する構成を有していないから、甲1発明に甲2の「投入ホッパー1」を組み合わせて、これを本件発明1の「薬剤容器」に対応するものと見ることはできない。 したがって、申立人の当該主張は失当である。 ウ そして、甲2の段落0136~174、0191~0198には、「散薬包装装置の清掃材による清掃」に係る事項(以下、「甲2開示事項1」という。)が開示されているところ、甲1発明に、「散薬分包機能」という共通する機能に係る甲2開示事項1を適用したとしても、相違点に係る本件発明1の構成となる、甲1の「密閉型である薬剤容器2C」に、粉体である清掃剤を充填するという構成に到達しない。 したがって、本件発明1は、甲1発明及び甲2開示事項1に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 エ また、甲2の段落0177~0188、0199~0200には、「錠剤包装装置の清掃剤による清掃」に係る事項(以下、「甲2開示事項2」という。)が開示されているところ、甲1発明に係る「散薬分包機能を備えた薬剤払出し装置100」と「錠剤包装装置」とは、その構造が異なることから、甲1発明に、甲2開示事項2を適用する動機付けは存在しない。 したがって、本件発明1は、甲1発明及び甲2開示事項2に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 オ 加えて、甲3(98ページ2~4行、23~24行)には、分包機に残置付着する薬物粉末を取り除くために除去剤を用い、分包機において第1薬を分割分包し、その直後に除去剤を第2薬として分割分包すること(以下、「甲3開示事項」という。)が記載されているものの、甲1発明に、甲3開示事項を適用したとしても、相違点に係る本件発明1の構成となる、甲1の「密閉型である薬剤容器2C」に、粉体である清掃剤を充填するという構成に到達しない。 したがって、本件発明1は、甲1発明及び甲3開示事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえないから、申立人の主張は理由がない。 カ 以上のとおり、本件発明1は、甲1発明と、甲2~甲3に開示された事項によって当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 2 本件発明2について 本件特許の請求項2の記載は、請求項1の記載を引用するものであり、本件発明2は、本件発明1の構成をすべて備えるものであるから、上記1における検討と同様の理由により、甲1発明と、甲2~甲3に開示された事項によって当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 3 小括 よって、本件発明は、甲1発明及び甲2~甲3の記載事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえないから、その特許は特許法第29条第2項の規定に違反してされたものとすることはできない。 第6 むすび 以上のとおりであるから、申立人の主張する特許異議の申立ての理由及び申立人が提出した証拠によっては、本件特許の請求項1~2に係る特許を取り消すことはできない。 また、他に、本件特許の請求項1~2に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。

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