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特許異議申立

2025-700783

情報処理システム、情報処理処理方法及びプログラム

審判番号
2025-700783
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2020-215998
登録番号
7626923
請求日
2025年07月31日
審決日
2026年06月04日
公報発行日
2026年09月25日
結論
訂正認容
当事者
  • 【権利者】キヤノンマーケティングジャパン株式会社
  • 【権利者代理人】弁理士法人大塚国際特許事務所
  • 【権利者】キヤノンITソリューションズ株式会社
  • 【権利者代理人】弁理士法人大塚国際特許事務所
  • 【異議申立人】倉光 周作
審判長/審判官
  • 審判長 脇岡 剛
  • 審判官 西村 直史
  • 審判官 坂庭 剛史
分類
P1651.113-YAA(G06F) / P1651.121-YAA(G06F) / P1651.537-YAA(G06F) / P1651.536-YAA(G06F) / P1651.851-YAA(G06F) / P1651.853-YAA(G06F) / P1651.857-YAA(G06F)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第120条の5第9項、特許法第120条の5第2項、特許法第126条第7項、特許法第29条第1項、特許法第2条、特許法第29条、特許法第36条、特許法第120条の8第1項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特許第7626923号発明「情報処理システム、情報処理処理方法及びプログラム」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第7626923号の特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~11、13〕、12について訂正することを認める。 特許第7626923号の請求項1~9、11~13に係る特許を維持する。 特許第7626923号の請求項10に係る特許異議の申立てを却下する。

理由

理 由 第1 手続の経緯 特許第7626923号(以下「本件特許」という。)の請求項1~13に係る特許についての出願は、令和2年12月25日を出願日とするものであって、令和7年1月28日にその特許権の設定登録(特許掲載公報令和7年2月5日発行)がされ、その後、その特許について、同年7月31日に特許異議申立人倉光周作(以下「申立人」という。)により特許異議の申立てがされ、同年12月2日付けで取消理由が通知され、令和8年1月30日に特許権者から意見書の提出及び訂正の請求(以下「本件訂正請求」という。)がされ、同年3月16日に、この本件訂正請求について、申立人から意見書が提出されたものである。 第2 本件訂正請求について 1 訂正の内容 本件訂正請求は、「特許第7626923号の特許請求の範囲を、本訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1~13について訂正することを求める。」ものであり、その訂正(以下「本件訂正」という。)の内容は、次の訂正事項を含むものである。なお、下線は、当審が訂正箇所に付したものである。 (1)訂正事項1 特許請求の範囲の請求項1に「アプリケーションの画面に配置する部品の表示サイズに係る値であって、デバイスの種類毎の値の入力領域を1画面に表示するように表示制御する表示制御手段と、 前記入力領域で受け付けた値であって、前記画面を表示するデバイスの種類に対応する値に基づく表示サイズで前記部品を表示するアプリケーションを構築する構築手段と」と記載されているのを、「構築する部品の表示サイズを、デバイスの種類によらない固定サイズとする設定か、デバイスの種類に対応する値に基づく表示サイズとする設定かの選択を受け付ける選択受付手段と、 アプリケーションの画面に配置する部品の表示サイズに係る値であって、デバイスの種類毎の値の入力領域を1画面にまとめて表示するように表示制御する表示制御手段と、 前記選択受付手段による選択に基づき、デバイスの種類によらない固定サイズで部品を表示するアプリケーション、又は、前記入力領域で受け付けた値であって、前記画面を表示するデバイスの種類に対応する値に基づく表示サイズで前記部品を表示するアプリケーションを構築する構築手段と」に訂正する。(請求項1の記載を引用する請求項2~9、11、13も同様に訂正する。) (2)訂正事項2 特許請求の範囲の請求項10を削除する。 (3)訂正事項3 特許請求の範囲の請求項11に「請求項1乃至10のいずれか1項に記載の情報処理システム。」と記載されているのを、「請求項1乃至9のいずれか1項に記載の情報処理システム。」に訂正する。 (4)訂正事項4 特許請求の範囲の請求項13に「請求項1乃至11のいずれか1項に記載された情報処理システムの各手段として機能させるためのプログラム。」と記載されているのを、「請求項1乃至9、11のいずれか1項に記載された情報処理システムの各手段として機能させるためのプログラム。」に訂正する。 (5)訂正事項5 特許請求の範囲の請求項12に「アプリケーションの画面に配置する部品の表示サイズに係る値であって、デバイスの種類毎の値の入力領域を1画面に表示するように表示制御する表示制御ステップと、 前記入力領域で受け付けた値であって、前記画面を表示するデバイスの種類に対応する値に基づく表示サイズで前記部品を表示するアプリケーションを構築する構築ステップと」と記載されているのを、「構築する部品の表示サイズを、デバイスの種類によらない固定サイズとする設定か、デバイスの種類に対応する値に基づく表示サイズとする設定かの選択を受け付ける選択受付ステップと、アプリケーションの画面に配置する部品の表示サイズに係る値であって、デバイスの種類毎の値の入力領域を1画面にまとめて表示するように表示制御する表示制御ステップと、前記選択受付ステップでの選択に基づき、デバイスの種類によらない固定サイズで部品を表示するアプリケーション、又は、前記入力領域で受け付けた値であって、前記画面を表示するデバイスの種類に対応する値に基づく表示サイズで前記部品を表示するアプリケーションを構築する構築ステップと」に訂正する。 (6)一群の請求項について 本件訂正前の請求項2~11、13は、直接的又は間接的に請求項1を引用するものであって、訂正事項1によって記載が訂正される請求項1に連動して訂正されるものであるから、本件訂正後の請求項〔1~11、13〕は、一群の請求項である。 なお、本件訂正前の請求項12について、その請求項12を引用する他の請求項はなく、一群の請求項はない。 2 訂正の適否 (1)訂正事項1について ア 訂正の目的 (ア)訂正事項1は、訂正前の請求項1に係る特許発明に「構築する部品の表示サイズを、デバイスの種類によらない固定サイズとする設定か、デバイスの種類に対応する値に基づく表示サイズとする設定かの選択を受け付ける選択受付手段」という発明特定事項を直列的に追加するとともに、訂正前の請求項1に係る特許発明における「前記入力領域で受け付けた値であって、前記画面を表示するデバイスの種類に対応する値に基づく表示サイズで前記部品を表示するアプリケーションを構築する構築手段」を「前記選択受付手段による選択に基づき、デバイスの種類によらない固定サイズで部品を表示するアプリケーション、又は、前記入力領域で受け付けた値であって、前記画面を表示するデバイスの種類に対応する値に基づく表示サイズで前記部品を表示するアプリケーションを構築する構築手段」と限定する訂正を含むものであるから、この訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。 (イ)また、訂正事項1は、訂正前の請求項1に係る特許発明における「アプリケーションの画面に配置する部品の表示サイズに係る値であって、デバイスの種類毎の値の入力領域を1画面に表示するように表示制御する表示制御手段」を、「アプリケーションの画面に配置する部品の表示サイズに係る値であって、デバイスの種類毎の値の入力領域を1画面にまとめて表示するように表示制御する表示制御手段」にする訂正を含むものであって、この訂正は、入力領域を1画面にどのように表示するのかを特定していなかったため明瞭でなかったものを、入力領域を1画面に「まとめて」表示することを特定して限定するとともに明瞭にしたものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」及び同項ただし書第3号に掲げる「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものである。 イ 願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること (ア)願書に添付した特許請求の範囲の請求項10には、「前記構築手段により構築される部品の表示サイズを、デバイスの種類によらない固定サイズとして選択を受け付ける選択受付手段」と記載されている。また、願書に添付した明細書には、「ステップS600において、プログラム開発装置101は、Webブラウザに表示するUIをフィックスデザインとするか、レスポンシブデザインとするかの選択を受け付ける。」(【0082】)、「図6のステップS602において、プログラム開発装置101は、ステップS600にて入力されたレスポンシブデザインかどうかの設定により、以降の処理を分ける。ステップS600において、表示するUIをレスポンシブデザインで生成すると設定されている場合は、ステップS606へと処理を遷移し、フィックスデザインで生成すると設定されている(図8の801のチェックボックスが入っていない)場合は、ステップS603へと処理を遷移する。」(【0093】)と記載されている。 (イ)願書に添付した明細書の【0106】には、「プロパティ入力部1301の中にUI部品の幅をデバイス毎に入力する入力欄1401を有している。」と記載されており、【図13】及び【図14】には、プロパティ入力部1301が有する入力欄1401において、デスクトップ幅、タブレット幅、スマートフォン幅のそれぞれに対応する入力欄を「まとめて」表示したものが記載されている。 (ウ)願書に添付した明細書の【0077】~【0078】には、「ステップS507において、プログラム開発装置101は、Webアプリケーション生成部415を用いて、Webアプリケーション438に用いるプログラムを生成する。・・・ステップS508において、プログラム開発装置101は、ステップS507にて生成したプログラムをアプリケーションサーバ105に配置(デプロイ)する。」と記載されている。そして、上記(ア)も踏まえれば、「表示するUIをレスポンシブデザインで生成すると設定されている場合」、すなわち、ステップS606を経由してステップS507に到達した場合では、「デバイスの種類に対応する値に基づく表示サイズで部品を表示するアプリケーション」が生成されてデプロイされる一方、「表示するUIをフィックスデザインで生成すると設定されている場合」、すなわち、ステップS603を経由してステップS507に到達した場合では、「デバイスの種類によらない固定サイズで部品を表示するアプリケーション」が生成されてデプロイされることは明らかである。 (エ)上記(ア)~(ウ)からみて、訂正事項1は、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものではない。 (オ)よって、訂正事項1は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「本件特許明細書等」という。)に記載した事項の範囲内においてするものであり、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合する。 ウ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正でないこと 訂正事項1は、発明特定事項を直列的に付加するものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正には該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合する。 エ 特許出願の際に独立して特許を受けることができること 本件においては、訂正前の全ての請求項について特許異議申立てがされているから、訂正事項1に関して、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する特許法第126条第7項の独立特許要件は課されない。 (2)訂正事項2について ア 訂正の目的 訂正事項2は、特許請求の範囲の請求項10を削除するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。 イ 願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること 訂正事項2は、特許請求の範囲の請求項10を削除するものであるから、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてするものであり、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合する。 ウ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正でないこと 訂正事項2は、特許請求の範囲の請求項10を削除するものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正には該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合する。 エ 特許出願の際に独立して特許を受けることができること 本件においては、訂正前の全ての請求項について特許異議申立てがされているから、訂正事項2に関して、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する特許法第126条第7項の独立特許要件は課されない。 (3)訂正事項3について ア 訂正の目的 訂正事項3は、訂正前の請求項11が請求項1乃至10の記載を引用する記載であるところ、訂正事項2で請求項10が削除されて請求項10を引用できなくなったことに伴い、請求項間の引用関係を解消する訂正であるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる「明瞭でない記載の釈明」又は同第4号に掲げる「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とするものである。 イ 願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること 訂正事項3は、請求項11が引用する他の請求項の数を減少するものであるから、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてするものであり、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合する。 ウ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正でないこと 訂正事項3は、請求項11が引用する他の請求項の数を減少するものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正には該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合する。 エ 特許出願の際に独立して特許を受けることができること 本件においては、訂正前の全ての請求項について特許異議申立てがされているから、訂正事項3に関して、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する特許法第126条第7項の独立特許要件は課されない。 (4)訂正事項4について ア 訂正の目的 訂正事項4は、訂正前の請求項13が請求項1乃至11の記載を引用する記載であるところ、訂正事項2で請求項10が削除されて請求項10を引用できなくなったことに伴い、請求項間の引用関係を解消する訂正であるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる「明瞭でない記載の釈明」又は同第4号に掲げる「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とするものである。 イ 願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること 訂正事項4は、請求項13が引用する他の請求項の数を減少するものであるから、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてするものであり、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合する。 ウ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正でないこと 訂正事項4は、請求項13が引用する他の請求項の数を減少するものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正には該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合する。 エ 特許出願の際に独立して特許を受けることができること 本件においては、訂正前の全ての請求項について特許異議申立てがされているから、訂正事項4に関して、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する特許法第126条第7項の独立特許要件は課されない。 (5)訂正事項5について ア 訂正の目的 (ア)訂正事項5は、訂正前の請求項12に係る特許発明に「構築する部品の表示サイズを、デバイスの種類によらない固定サイズとする設定か、デバイスの種類に対応する値に基づく表示サイズとする設定かの選択を受け付ける選択受付ステップ」という発明特定事項を直列的に追加するとともに、訂正前の請求項12に係る特許発明における「前記入力領域で受け付けた値であって、前記画面を表示するデバイスの種類に対応する値に基づく表示サイズで前記部品を表示するアプリケーションを構築する構築ステップ」を「前記選択受付ステップでの選択に基づき、デバイスの種類によらない固定サイズで部品を表示するアプリケーション、又は、前記入力領域で受け付けた値であって、前記画面を表示するデバイスの種類に対応する値に基づく表示サイズで前記部品を表示するアプリケーションを構築する構築ステップ」と限定する訂正を含むものであるから、この訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。 (イ)また、訂正事項5は、訂正前の請求項12に係る特許発明における「アプリケーションの画面に配置する部品の表示サイズに係る値であって、デバイスの種類毎の値の入力領域を1画面に表示するように表示制御する表示制御ステップ」を、「アプリケーションの画面に配置する部品の表示サイズに係る値であって、デバイスの種類毎の値の入力領域を1画面にまとめて表示するように表示制御する表示制御ステップ」にする訂正を含むものであって、この訂正は、入力領域を1画面にどのように表示するのかを特定していなかったため明瞭でなかったものを、入力領域を1画面に「まとめて」表示することを特定して限定するとともに明瞭にしたものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」及び同項ただし書第3号に掲げる「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものである。 イ 願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること (ア)願書に添付した特許請求の範囲の請求項10には、「前記構築手段により構築される部品の表示サイズを、デバイスの種類によらない固定サイズとして選択を受け付ける選択受付手段」と記載されている。また、願書に添付した明細書には、「ステップS600において、プログラム開発装置101は、Webブラウザに表示するUIをフィックスデザインとするか、レスポンシブデザインとするかの選択を受け付ける。」(【0082】)、「図6のステップS602において、プログラム開発装置101は、ステップS600にて入力されたレスポンシブデザインかどうかの設定により、以降の処理を分ける。ステップS600において、表示するUIをレスポンシブデザインで生成すると設定されている場合は、ステップS606へと処理を遷移し、フィックスデザインで生成すると設定されている(図8の801のチェックボックスが入っていない)場合は、ステップS603へと処理を遷移する。」(【0093】)と記載されている。 (イ)願書に添付した明細書の【0106】には、「プロパティ入力部1301の中にUI部品の幅をデバイス毎に入力する入力欄1401を有している。」と記載されており、【図13】及び【図14】には、プロパティ入力部1301が有する入力欄1401において、デスクトップ幅、タブレット幅、スマートフォン幅のそれぞれに対応する入力欄を「まとめて」表示したものが記載されている。 (ウ)願書に添付した明細書の【0077】~【0078】には、「ステップS507において、プログラム開発装置101は、Webアプリケーション生成部415を用いて、Webアプリケーション438に用いるプログラムを生成する。・・・ステップS508において、プログラム開発装置101は、ステップS507にて生成したプログラムをアプリケーションサーバ105に配置(デプロイ)する。」と記載されている。そして、上記(ア)も踏まえれば、「表示するUIをレスポンシブデザインで生成すると設定されている場合」、すなわち、ステップS606を経由してステップS507に到達した場合では、「デバイスの種類に対応する値に基づく表示サイズで部品を表示するアプリケーション」が生成されてデプロイされる一方、「表示するUIをフィックスデザインで生成すると設定されている場合」、すなわち、ステップS603を経由してステップS507に到達した場合では、「デバイスの種類によらない固定サイズで部品を表示するアプリケーション」が生成されてデプロイされることは明らかである。 (エ)上記(ア)~(ウ)からみて、訂正事項5は、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものではない。 (オ)よって、訂正事項5は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてするものであり、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合する。 ウ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正でないこと 訂正事項5は、発明特定事項を直列的に付加するものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正には該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合する。 エ 特許出願の際に独立して特許を受けることができること 本件においては、訂正前の全ての請求項について特許異議申立てがされているから、訂正事項5に関して、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する特許法第126条第7項の独立特許要件は課されない。 3 本件訂正請求についてのまとめ したがって、本件訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号、第3号及び第4号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するので、本件訂正後の請求項〔1~11、13〕、12について訂正を認める。 第3 訂正後の本件発明 上記のとおり、本件訂正請求が認められるから、本件特許の請求項1~13に係る発明(以下、「本件発明1」~「本件発明13」といい、総称して「本件発明」ともいう。)は、それぞれ、本件訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲の請求項1~13に記載された、次のとおりのものである。 「【請求項1】 構築する部品の表示サイズを、デバイスの種類によらない固定サイズとする設定か、デバイスの種類に対応する値に基づく表示サイズとする設定かの選択を受け付ける選択受付手段と、 アプリケーションの画面に配置する部品の表示サイズに係る値であって、デバイスの種類毎の値の入力領域を1画面にまとめて表示するように表示制御する表示制御手段と、 前記選択受付手段による選択に基づき、デバイスの種類によらない固定サイズで部品を表示するアプリケーション、又は、前記入力領域で受け付けた値であって、前記画面を表示するデバイスの種類に対応する値に基づく表示サイズで前記部品を表示するアプリケーションを構築する構築手段と を有することを特徴とする情報処理システム。 【請求項2】 前記入力領域は、前記デバイスの種類毎に分けられた入力欄であることを特徴とする請求項1に記載の情報処理システム。 【請求項3】 前記表示サイズに係る値とは、前記部品の横幅に係る値であり、 前記構築手段は、前記部品を前記値に係る横幅で表示するアプリケーションを構築すること を特徴とする請求項1又は2に記載の情報処理システム。 【請求項4】 前記表示サイズに係る値とは、前記デバイスの種類の画面サイズの横幅に対応する所定の割合として入力された値であり、 前記構築手段は、前記部品毎に前記デバイスの種類の画面サイズの横幅に対応する所定の割合として入力された値の横幅で該部品を表示するアプリケーションを構築することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の情報処理システム。 【請求項5】 前記構築手段は、前記デバイスの種類毎の所定の表示サイズで、複数の前記部品を表示するアプリケーションを構築することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の情報処理システム。 【請求項6】 前記表示サイズに係る値は、デフォルトでデバイスの種類毎に設定されていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の情報処理システム。 【請求項7】 前記表示サイズに係る値は、デフォルトでデバイスの種類毎に異なる値が設定されていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の情報処理システム。 【請求項8】 前記表示制御手段により前記デバイスの種類毎に定義された画面サイズでの表示を制御するために、該デバイスの種類の選択を受け付ける受付手段と、 前記表示制御手段は、前記受付手段で受け付けた種類のデバイスで定義された画面サイズに、前記部品の表示サイズでプレビューを更に表示制御することを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の情報処理システム。 【請求項9】 前記構築手段は、前記表示制御手段により表示を制御されるプレビューの前記部品の表示サイズの変更を受け付け、前記変更を受け付けた表示サイズでアプリケーションを構築することを特徴とする請求項8に記載の情報処理システム。 【請求項10】 (削除) 【請求項11】 前記デバイスの種類には、パーソナルコンピュータ、スマートフォンを含むことを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載の情報処理システム。 【請求項12】 構築する部品の表示サイズを、デバイスの種類によらない固定サイズとする設定か、デバイスの種類に対応する値に基づく表示サイズとする設定かの選択を受け付ける選択受付ステップと、 アプリケーションの画面に配置する部品の表示サイズに係る値であって、デバイスの種類毎の値の入力領域を1画面にまとめて表示するように表示制御する表示制御ステップと、 前記選択受付ステップでの選択に基づき、デバイスの種類によらない固定サイズで部品を表示するアプリケーション、又は、前記入力領域で受け付けた値であって、前記画面を表示するデバイスの種類に対応する値に基づく表示サイズで前記部品を表示するアプリケーションを構築する構築ステップと を有することを特徴とする情報処理方法。 【請求項13】 少なくとも1つのコンピュータを、請求項1乃至9、11のいずれか1項に記載された情報処理システムの各手段として機能させるためのプログラム。」 第4 取消理由通知に記載した取消理由について 1 取消理由の概要 (1)取消理由1(新規性) 請求項1~3、11~13に係る発明は、甲第20号証に記載された発明であって、特許法29条第1項3号に該当するから、請求項1~3、11~13に係る特許は、特許法29条第1項の規定に違反してされたものである。 (2)取消理由2(進歩性) 請求項1~13に係る発明は、甲第20号証に記載された発明に基いて、本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1~13に係る特許は、特許法29条2項の規定に違反してされたものである。 (3)取消理由3(明確性) 本件特許は、請求項1~13に係る発明が明確でないため、特許法36条6項2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。 (なお、請求項1の記載事項の解釈次第により、甲第6号証、甲第1号証に係る公然実施発明、甲第2号証等に基づき、進歩性が否定され得る旨も付言された。) <引用刊行物> 甲第20号証 米国特許出願公開第2015/0135104号明細書 甲第 6号証 米国特許第10769366号明細書 甲第 1号証 申立人作成の「Elementor」に係る実験報告書 甲第 2号証 “Block-specific responsive controls”に係るGitHub上で行われた議論を示すWeb上のログ 2 取消理由1(新規性)及び取消理由2(進歩性)について (1)甲第20号証の記載事項、甲20発明 ア 甲第20号証の記載事項 甲第20号証である米国特許出願公開第2015/0135104号明細書には、図面とともに以下の事項が記載されている(下線は当審による。以下同様)。 (ア)「[0014] The present application relates to the design, modification, management of UI designs for various related device contexts associated with a single application or web page. For example, the present application may relate to a rich internet application (RIA) or other design tool that facilitates users in laying out a content structure for various device contexts (e.g., desktop, tablet, and mobile, among others) in a single location and presentation. In one implementation, the present application may be based on a Responsive Grid control for HTML5 (e.g., SAP UI5-an SAP library based on HTML5 and JavaScript). The grid designer makes the features of this control visible in a graphical user interface (GUI) and lets users export the code (HTML and UI5/JavaScript) for the responsive UI layouts they designed.」 (当審訳:[0014] 本発明は、単一のアプリケーションまたはWebページに関連付けられた様々なデバイスコンテキスト向けのUIデザインの設計、変更、管理に関するものである。例えば、本発明は、ユーザが様々なデバイスコンテキスト(例えば、デスクトップ、タブレット、モバイルなど)向けのコンテンツ構造を単一の場所と表示でレイアウトできるようにするリッチインターネットアプリケーション(RIA)またはその他のデザインツールに関連してもよい。一実施形態では、本発明は、HTML5用のレスポンシブグリッドコントロール(例えば、SAP UI5 - HTML5とJavaScriptに基づくSAPライブラリ)に基づいてもよい。グリッドデザイナーは、グラフィカルユーザインターフェイス(GUI)で表示可能なこのコントロールの機能を作成し、ユーザが設計したレスポンシブUIレイアウトのコード(HTMLとUI5/JavaScript)をエクスポートできるようにする。) (イ)「[0017] The present solution provides this awareness of multiple device contexts by including multiple elements in a single GUI, including a canvas, a settings panel, and a preview area. The canvas shows the responsive grid control and is subdivided into a 12 column grid layout. The column grid layout may be subdivided into any suitable number of columns, and the illustrated example is not meant to be limiting. Buttons on top of the canvas can be used to switch between different contexts and show grids similar to those as they would be presented on the corresponding device or in the corresponding orientation. When loaded, the UI layout for the particular context spreads over the corresponding screen width to represent the corresponding layout. For example, a desktop layout may correspond to a “large” button, and the layout may stretch across the entire width of the screen. By activating buttons for either “medium” or “small” contexts, as well as other suitable labeling, the grid can adapt the width of the canvas to resemble the screen layout for tablet computers and smartphones.」 (当審訳:[0017] 本解決策は、キャンバス、設定パネル、プレビュー領域を含む複数の要素を単一のGUIに含めることで、複数のデバイスコンテキストへの対応を実現する。キャンバスにはレスポンシブグリッドコントロールが表示され、12列のグリッドレイアウトに分割される。列グリッドレイアウトは任意の適切な数の列に分割でき、図示の例は制限を意図したものではない。キャンバス上部のボタンを使用して、異なるコンテキストを切り替え、対応するデバイスまたは対応する向きで表示されるものと同様のグリッドを表示できる。特定のコンテキストのUIレイアウトが読み込まれると、対応する画面幅に広がり、対応するレイアウトを表す。例えば、デスクトップレイアウトは「大」ボタンに対応し、レイアウトは画面の幅全体に広がる場合がある。「中」または「小」コンテキストのボタンやその他の適切なラベルを有効にすることで、グリッドはキャンバスの幅をタブレットコンピュータやスマートフォンの画面レイアウトに合うように調整できる。) (ウ)「[0019] A settings panel can be available to present the settings for the currently selected block. In some instances, the settings panel can be presented in the lower left area of the screen. The settings may include multiple values, each corresponding to the currently selected block or UI element and its linked versions in the current context and at least one other context. For example, a presentation associated with a large, medium and small device context may present three values when a particular block or UI element is selected, each corresponding to one of the device contexts. Additionally, the device context currently presented in the canvas may be highlighted or otherwise distinguished to provide easier recognition for the user. Example settings may include a “span” setting that defines the amount of columns the currently selected block should span across, an “indent” value setting the amount of empty space to the left of the currently selected block or UI element, and a “line break” checkbox to determine whether to create a new line before the selected block. In some instances, the settings panel may include the options to hide or freely move blocks within one or more of the corresponding device contexts. For example, a smartphone or tablet context may include an explicit “back” button or UI element, as mobile browsers may not explicitly include such functionality. However, a desktop version may instead hide such a box, as desktop browsers typically include such functionality. [0020] A preview area may be provided (e.g., in the lower right area of the screen) to present reduced or miniature versions of some or all of the corresponding device contexts. In some instances, only the non-selected contexts may be provided (i.e., excluding the currently selected context presented in the canvas), while in other instances, the currently selected context may be provided along with the at least one other context. In response to selecting one of these contexts from the preview area, the canvas can update to display the corresponding device context. The width and aspect ratios of the different contexts in the preview area resemble the corresponding device contexts to provide an illustration of the various context differences. [0021] The blocks constituting the layout on the canvas are also displayed in the preview area. When the behavior of a block is modified via the settings panel, the block's representation in the preview area is also updated. Using the preview area, then, the user can maintain an overview of any changes to the various device contexts-i.e., not only on the currently selected device context presented on the canvas, but also the remaining contexts presented in preview area. Additionally, the blocks and UI elements are linked to each other throughout the various contexts. For example, when the user hovers over one of the blocks, all the representations of the same block are highlighted (e.g., via a linking and brushing interaction). Using this interconnection, users can monitor each version and context of the UI layout and design to identify how certain behaviors in one context affect the other contexts.」 (当審訳:[0019] 設定パネルには、現在選択されているブロックの設定を表示するために利用することができる。いくつかの例では、設定パネルは画面の左下に表示される。設定は複数の値を含むことができ、それぞれが現在選択されているブロックまたはUI要素、及び現在のコンテキストと少なくとも1つの他のコンテキストにおけるそのリンクされたバージョンに対応する。例えば、大、中、小のデバイスコンテキストに関連付けられた表現では、特定のブロックまたはUI要素が選択されたときに3つの値が表示され、それぞれがデバイスコンテキストの1つに対応する。更に、キャンバスに現在表示されているデバイスコンテキストは、ユーザが認識しやすくするために強調表示または区別されてもよい。設定の例としては、現在選択されているブロックがまたがる列数を定義する「スパン」設定、現在選択されているブロックまたはUI要素の左側の空白量を設定する「インデント」値、および選択したブロックの前に新しい行を作成するかどうかを決定する「改行」チェックボックスを含んでもよい。いくつかの例では、設定パネルには、対応する1つ以上のデバイスコンテキスト内でブロックを非表示にしたり、自由に移動したりするオプションを含んでもよい。例えば、スマートフォンやタブレットのコンテキストでは、モバイルブラウザにそのような機能が明示的に含まれていない場合があるため、明示的な「戻る」ボタンやUI要素が含まれてもよい。しかしながら、デスクトップ版では、デスクトップブラウザに通常そのような機能が含まれているため、そのようなボックスを非表示にしてもよい。 [0020] 対応するデバイスコンテキストの一部または全部の縮小版またはミニチュア版を表示するために、プレビュー領域が(例えば、画面の右下領域に)表示されてもよい。いくつかの例では、選択されていないコンテキストのみが表示されてもよい(つまり、キャンバスに表示されている現在選択されているコンテキストは表示されない)。また、他の例では、現在選択されているコンテキストと、少なくとも1つ以上の他のコンテキストが表示されてもよい。プレビュー領域からこれらのコンテキストのいずれかを選択すると、対応するデバイスコンテキストを表示するために、キャンバスを更新することができる。プレビュー領域内の異なるコンテキストの幅とアスペクト比は、対応するデバイスコンテキストに似ており、さまざまなコンテキストの違いを視覚的に示している。 [0021] キャンバス上のレイアウトを構成するブロックも、プレビュー領域に表示される。設定パネルでブロックの動作を変更すると、プレビュー領域におけるブロックの表示も更新される。プレビュー領域を使用することで、ユーザはさまざまなデバイスコンテキストの変更の全体像を管理することができる。つまり、キャンバスに表示されている現在選択されているデバイスコンテキストだけでなく、プレビュー領域に表示されているその他のコンテキストの変更も管理できる。更に、ブロックとUI要素は、さまざまなコンテキスト間で相互にリンクされている。例えば、ユーザがブロックのいずれかにカーソルを合わせると、同じブロックのすべての表示が(例えば、リンキング&ブラッシングによって)強調表示される。この相互接続を利用することで、ユーザは、あるコンテキストでの特定の動作が他のコンテキストにどのように影響するかを識別するために、UIレイアウトとデザインの各バージョンとコンテキストを監視することができる。) (エ)「[0056] FIG. 4 illustrates an example screenshot 400 of an application for interacting with one or more UI designs, including a first context presented in the primary pane. The first context is presented in a canvas 406 within the grid designer application 402, and corresponds to a “large” context (as indicated by tab 460). In some instances, the “large” context corresponds to a desktop context for a particular UI layout. In this example, the grid structure of the canvas 406 is divided into 12 separated columns with a gutter of a fixed and common value (as defined in table 464). The large context is illustrated as including five particular UI elements, 418, 422, 426, 430, and 434. As illustrated, UI element 434 is selected within the canvas, and is related within the context to UI element 418 as identified by the UI elements' respective shading and/or coloring. UI element 434 is indented as defined within settings area 410. A box 438 is provided which an allow users to easily add a new UI element to the context. Such additions may cause the addition of related UI elements within the at least one other context related to the current context. In one example, UI elements 418 and 422 may correspond to labels, UI elements 426 and 430 may correspond to input fields, and UI element 434 may correspond to a submit button. [0057] In the illustrated example, the settings area 410 includes setting information for the large context, a medium context (e.g., a tablet), and a small context (e.g., a smartphone). Any suitable number of contexts may be included in alternative examples. For example, a UI layout may be associated with many different contexts for different types of devices, different devices within a particular device type, and different orientations, among others. The present disclosure is not meant to be limited to a three-context example. The settings for the corresponding contexts' column spans, indents, and line breaks are included in the settings area 410. Alternative, fewer, and/or additional setting values may be included in the settings area 410 in different implementations. Further, while not illustrated, the settings area 410 (or in another suitable location) may include an option to hide a particular UI element in one or more of the contexts. In some instances, the UI element may be hidden in a single context, while in others, the UI element may be hidden in multiple or all of the contexts. [0058] FIG. 4 also includes preview area 414. As illustrated, preview area 414 includes preview representations of the large, medium, and small contexts. As UI elements 434 and 418 are highlighted in the canvas 406, the same UI elements are highlighted in the large context preview 442, and a linked pair of UI elements in the medium (446) and small context previews (450) is highlighted.」 (当審訳:[0056] 図4は、プライマリペインに表示される第1のコンテキストを含む、1つ以上のUIデザインを操作するアプリケーションのスクリーンショット400の例を示している。第1のコンテキストは、グリッドデザイナーアプリケーション402内のキャンバス406に表示され、「大きな」コンテキスト(タブ460で示される)に対応する。いくつかの例では、「大きな」コンテキストは、特定のUIレイアウトのデスクトップコンテキストに対応する。この例では、キャンバス406のグリッド構造は、固定された共通の値(表464で定義)のガターを持つ12個の独立した列に分割されている。大きなコンテキストは、5つの特定のUI要素418、422、426、430及び434を含むものとして示されている。図示されているように、UI要素434はキャンバス内で選択されており、UI要素のそれぞれのシェーディングおよび/または色によって識別されるように、コンテキスト内でUI要素418に関連付けられている。 UI要素434は、設定領域410で定義されているとおりにインデントされている。ボックス438が用意されており、ユーザはこれを使ってコンテキストに新しいUI要素を簡単に追加できる。このような追加によって、現在のコンテキストに関連する少なくとも1つの他のコンテキスト内に、関連するUI要素が追加されてもよい。例えば、UI要素418と422はラベルに対応し、UI要素426と430は入力フィールドに対応し、UI要素434は送信ボタンに対応してもよい。 [0057] 図示された例では、設定領域410は、大型コンテキスト、中型コンテキスト(例えば、タブレット)及び小型コンテキスト(例えば、スマートフォン)のための設定情報を含んでいる。他の例では、適切な数のコンテキストを含んでもよい。例えば、UIレイアウトは、異なる種類のデバイス、特定のデバイスタイプ内の異なるデバイス、異なる向きなど、さまざまなコンテキストに関連付けられてよい。本開示は、3つのコンテキストの例に限定されない。対応するコンテキストの列幅、インデント、および改行の設定は、設定領域410に含まれている。代わりに、異なる実装では、設定領域410に、より少ない及び/またはより多い設定値を含めてもよい。さらに、図示されていないが、設定領域410(または他の適切な場所)には、1つまたは複数のコンテキストで特定のUI要素を非表示にするオプションを含めることができる。いくつかの例では、UI要素は単一のコンテキストで非表示にでき、他の例では、複数のコンテキストまたは全てのコンテキストで非表示にできる。 [0058] 図4はプレビュー領域414も示している。図示されているように、プレビュー領域414は、大、中、小のコンテキストのプレビュー表示を含んでいる。キャンバス406でUI要素434と418が強調表示されると、同じUI要素が大コンテキストプレビュー442でも強調表示され、中コンテキストプレビュー(446)と小コンテキストプレビュー(450)では、リンクされたUI要素のペアが強調表示される。) (オ)「 [図:0001439213000001.jpg] 」(図4) (カ)「[0060] FIGS. 9 through 14 illustrate how modifications to a particular setting in the settings panel can provide immediately feedback on changes to a particular context, even where the context modified is not the currently presented context in the primary viewing area. In FIG. 9, the large context is presented in the primary viewing area, while previews of the large, medium, and small contexts are presented in the preview area. As shown, a modification is made to the column span of the UI element in the medium (or tablet) context linked to the currently selected UI element in the primary viewing area is modified in the settings area. As illustrated in FIG. 10, the corresponding change is reflected in the preview version of the medium context with a wider column span for the corresponding UI element. In FIG. 11, the column span is increased further with the preview area for the medium context concurrently showing the effects of the change. Similarly, the column span is decreased in FIG. 12, and a corresponding decrease in the column span of the UI element in the medium context is shown. FIGS. 13 and 14 show a similar change to a UI element's indention in the medium context setting and its effect on the corresponding preview of the medium context.」 (当審訳:[0060] 図9~14は、設定パネルの特定の設定を変更すると、変更されたコンテキストがプライマリ表示領域に現在表示されているコンテキストではない場合でも、特定のコンテキストの変更について即座にフィードバックが得られることを示している。図9では、プライマリ表示領域に大きなコンテキストが表示され、プレビュー領域には大、中、小のコンテキストのプレビューが表示される。図に示すように、プライマリ表示領域で現在選択されている UI 要素にリンクされた中 (またはタブレット) コンテキストの UI 要素の列幅が設定領域で変更される。図10に示されるように、対応する変更は、中コンテキストのプレビュー バージョンに反映され、対応する UI 要素の列幅が広くなる。図11では、列幅がさらに拡大され、中コンテキストのプレビュー領域に同時に変更の影響が表示される。同様に、図12では列幅が縮小され、中コンテキストの UI 要素の列幅の縮小が示される。図13と図14は、中コンテキスト設定におけるUI要素のインデントに対する同様の変更と、それが中コンテキストの対応するプレビューに与える影響を示している。) (キ)「 [図:0001439213000002.jpg] 」(図9) (ク)「 [図:0001439213000003.jpg] 」(図10) イ 甲20発明 上記アからみて、甲第20号証には、以下の発明(以下、「甲20発明」という。)が記載されていると認める。 「複数のデバイスコンテキスト(例:デスクトップ、タブレット、スマートフォン等)に対応したアプリケーションのUIレイアウトを設計・管理する情報処理システムであって、 単一の画面(GUI)上に、各デバイスコンテキストのレイアウトを表示するキャンバス、設定パネル、プレビュー領域を備え、 設定パネルには、各デバイスに対応した表示値の設定領域(setting area410)を有し、設定領域で表示値を変更することによって、プレビュー領域に即座に反映され、 設定パネルにより、選択されたUI要素の表示値(例:列幅、インデント、改行等)を各コンテキストごとに入力・変更でき、 プレビュー領域により、各コンテキストのレイアウトの縮小表示を行い、設定変更に応じて即座に反映し、ユーザが複数コンテキストの変更を俯瞰できるようにし、 各UI要素は複数コンテキスト間でリンクされ、あるコンテキストでの変更が他のコンテキストにも反映されることを特徴とする情報処理システム。」 (2)本件発明1について ア 本件発明1と甲20発明との対比 (ア)甲20発明の「UI要素」は、本件発明1の「アプリケーションの画面に配置する部品」に相当する。 甲20発明の「UI要素の表示値(例:列幅)」は、本件発明1の「部品の表示サイズに係る値」に相当する。 甲20発明は、「設定パネルにより、選択されたUI要素の表示値(例:列幅、インデント、改行等)を各コンテキストごとに入力・変更でき」るところ、当該「各コンテキスト」は、「複数のデバイスコンテキスト(例:デスクトップ、タブレット、スマートフォン等)」における「各コンテキスト」のことをいうものであり、当該「複数のデバイスコンテキスト」とは、「デスクトップ」、「タブレット」、「スマートフォン」に対応する「デバイスコンテキスト」のことをいうものであるから、「各コンテキストごとに入力・変更」するための当該「設定パネル」における、「各デバイスに対応した表示値の設定領域」は、本件発明1の「デバイスの種類毎の値の入力領域」に相当するものといえる。 そして、甲20発明の、「単一の画面(GUI)上に、…(中略)…設定パネル…(中略)…を備え」るとの構成は、本件発明1の「デバイスの種類毎の値の入力領域を1画面にまとめて表示」することに相当するといえ、甲20発明の「情報処理システム」が、そのような表示制御を行う所定の制御手段を有することは明らかであるから、甲20発明において、「単一の画面(GUI)上に、各デバイスコンテキストのレイアウトを表示するキャンバス、設定パネル、プレビュー領域を備え、設定パネルには、各デバイスに対応した表示値の設定領域(setting area410)を有し、設定領域で表示値を変更することによって、プレビュー領域に即座に反映され、設定パネルにより、選択されたUI要素の表示値(例:列幅、インデント、改行等)を各コンテキストごとに入力・変更でき」るとの構成は、本件発明1の「アプリケーションの画面に配置する部品の表示サイズに係る値であって、デバイスの種類毎の値の入力領域を1画面にまとめて表示するように表示制御する表示制御手段」「を有する」との構成に相当するものといえる。 (イ)甲20発明の「設定パネル」において、「各コンテキストごとに入力・変更」された当該「UI要素の表示値」は、本件発明1の「入力領域で受け付けた値」に相当する。 甲20発明の「プレビュー領域」は、「各コンテキストのレイアウトの縮小表示を行い、設定変更に応じて即座に反映」されるところ、当該「設定変更」は、上記「各コンテキストごとに入力・変更」された値の変更をいうものであるから、本件発明1の「前記画面を表示するデバイスの種類に対応する値に基づく表示サイズで前記部品を表示」していることに相当する。 そして、甲20発明の「複数のデバイスコンテキスト(例:デスクトップ、タブレット、スマートフォン等)に対応したアプリケーションのUIレイアウトを設計・管理する情報処理システム」は、「単一の画面(GUI)上に、各デバイスコンテキストのレイアウトを表示するキャンバス、設定パネル、プレビュー領域を備え」て、「単一の画面(GUI)」を用いて「複数のデバイスコンテキスト(例:デスクトップ、タブレット、スマートフォン等)に対応したUIレイアウト」を有するアプリケーションを構築しているといえる。 してみれば、上述のような甲20発明の「複数のデバイスコンテキスト(例:デスクトップ、タブレット、スマートフォン等)に対応したUIレイアウトを設計・管理する情報処理システム」は「前記入力領域で受け付けた値であって、前記画面を表示するデバイスの種類に対応する値に基づく表示サイズで前記部品を表示するアプリケーションを構築する構築手段」に相当する手段を有するといえるから、本件発明1の「構築する部品の表示サイズを、デバイスの種類によらない固定サイズとする設定か、デバイスの種類に対応する値に基づく表示サイズとする設定かの選択を受け付ける選択受付手段」及び「前記選択受付手段による選択に基づき、デバイスの種類によらない固定サイズで部品を表示するアプリケーション、又は、前記入力領域で受け付けた値であって、前記画面を表示するデバイスの種類に対応する値に基づく表示サイズで前記部品を表示するアプリケーションを構築する構築手段」とは、「前記入力領域で受け付けた値であって、前記画面を表示するデバイスの種類に対応する値に基づく表示サイズで前記部品を表示するアプリケーションを構築する構築手段」である点で共通しており、以下の点(相違点)において相違しているといえる。 (ウ)甲20発明の「情報処理システム」は、本件発明の「情報処理システム」に相当する。 イ 一致点及び相違点 上記アの対比からみて、本件発明1と甲20発明は、次の点で一致し、相違する。 (一致点) 「アプリケーションの画面に配置する部品の表示サイズに係る値であって、デバイスの種類毎の値の入力領域を1画面にまとめて表示するように表示制御する表示制御手段と、 前記入力領域で受け付けた値であって、前記画面を表示するデバイスの種類に対応する値に基づく表示サイズで前記部品を表示するアプリケーションを構築する構築手段と を有することを特徴とする情報処理システム。」 (相違点) 本件発明1が、「構築する部品の表示サイズを、デバイスの種類によらない固定サイズとする設定か、デバイスの種類に対応する値に基づく表示サイズとする設定かの選択を受け付ける選択受付手段」を更に有しており、構築手段が「前記選択受付手段による選択に基づき、デバイスの種類によらない固定サイズで部品を表示するアプリケーション、又は、」前記入力領域で受け付けた値であって、前記画面を表示するデバイスの種類に対応する値に基づく表示サイズで前記部品を表示するアプリケーションを構築するものであるのに対して、甲20発明は、そのような選択受付手段を有しておらず、「前記選択受付手段による選択に基づき、デバイスの種類によらない固定サイズで部品を表示するアプリケーション」を構築するものではない点。 ウ 当審の判断 (ア)本件発明1と甲20発明には、上記イに示した実質的な相違点があるから、本件発明1は甲20発明ではなく、甲20発明によって本件発明1の新規性を否定することはできない。 (イ)また、甲20発明は、構築する部品の表示サイズを、デバイスの種類に対応する値に基づく表示サイズとする発明であると理解できるものの、デバイスの種類によらない固定サイズとすることは全く想定されていない。 (ウ)そして、そもそも、甲20発明が前提とするレスポンシブデザインは、デバイスの表示能力の違いに応じた適切な異なる値を設定することが一般的な課題であるのであって、その設定値をデバイスの種類によらない固定値とすることは、前述したレスポンシブデザインにおける一般的な課題とは相反する概念であるといわざるを得ない。 (エ)上記(イ)及び(ウ)を踏まえると、甲20発明において、「構築する部品の表示サイズを、デバイスの種類によらない固定サイズとする設定か、デバイスの種類に対応する値に基づく表示サイズとする設定かの選択を受け付け」た上で、前者の設定が選択された際に、「デバイスの種類によらない固定サイズで部品を表示するアプリケーション」を構築させるように、その構成を変更する動機付けがないというしかないから、甲20発明に基づいて本件発明1の進歩性を否定することはできない。 エ 申立人の主張について (ア)申立人の主張 申立人は、意見書において、「本件特許の請求項1から13(訂正により削除された請求項10を除く)は,依然として進歩性を欠き,取り消されるべきである.」と主張しており、その詳細な理由は、以下のとおりである。 訂正により,請求項1は次の通り訂正された. 「構築する部品の表示サイズを、デバイスの種類によらない固定サイズとする設定か、デバイスの種類に対応する値に基づく表示サイズとする設定かの選択を受け付ける選択受付手段と、 アプリケーションの画面に配置する部品の表示サイズに係る値であって、デバイスの種類毎の値の入力領域を1画面にまとめて表示するように表示制御する表示制御手段と、 前記選択受付手段による選択に基づき、デバイスの種類によらない固定サイズで部品を表示するアプリケーション、又は、前記入力領域で受け付けた値であって、前記画面を表示するデバイスの種類に対応する値に基づく表示サイズで前記部品を表示するアプリケーションを構築する構築手段と を有することを特徴とする情報処理システム。」 下線部の構成が,甲第20号証に開示されていないとしても,これは申立書添付の甲第2号証に開示されている.特に,甲第2号証のうち,2019年1月22日のkjellrのコメントには,次の記載がある. 「Allow for 3 different options: A. Our smart default: Stack columns on mobile. B. Use the same number of columns everywhere. C. Specify column counts for mobile, tablet, and desktop screen sizes.」 (「3つの異なるオプションを許可する. A. 賢いデフォルト: モバイルではカラムをスタックする. B. 全ての環境で同じ数のカラムを使用する. C. カラム数をモバイル,タブレット,デスクトップの画面サイズで指定する. 」) また,コメントに含まれる図には,以下のように,これらのオプションが選択肢として提示されることがわかる. [図:0001439213000004.jpg] すなわち,甲第2号証には,カラムのカラム数を,デバイスの種類によらない固定カラム数とする設定か,デバイスの種類に対応する値に基づくカラム数とする設定かの選択を受け付けることが記載され,また,前者の設定が選択されたときに,デバイスの種類によらない固定カラム数でカラムを表示するWordPressページが構築されることも自明である. 甲第2号証開示発明は取消理由で認定された甲第20号証開示発明と同様,レスポンシブデザインを採用した設計を容易とするという課題を解決するものであり,部品に係る属性値をデバイス毎に指定するという作用・機能も同一である.また,WordPressを用いてWebアプリケーションを構築することは申立書記載のとおり周知技術であり,この点で技術分野も同一であるか非常に近い.このため,甲第2号証開示発明を甲第20号証開示発明に適用することは容易想到である. また,甲第6号証には,以下の記載がある.(段落[21:43]-[22:10],下線部は申立人追加) 「The inheritance structure could also be displayed to the user in the form of a tool bar in graphical design environment 200. In this situation, method 1100 would also include the step of generating an inheritance specification tool bar to be displayed with the rendering. Examples of this kind of tool bar can be displayed with reference to FIG. 13 which illustrates toolbar 1300 above window 201. Toolbar 1300 allows users to select between different editing modes by selecting the buttons labeled with different dimension specifications. For example, if a user selected button “1200” the dimension version associated with dimension specification 1200 would be displayed in window 201 and the user could edit that dimension version. The user could also select the “All” button to enter a global editing mode in which an edit made to the current dimension version would propagate to all of the other dimension versions in the design. As mentioned previously, the user could also potentially select a sub-set of the dimension versions by, perhaps, selecting multiple buttons while pressing the “SHIFT” key, at which point they would be editing all of the selected version of the design, but not the other dimension versions. The toolbar can also display the inheritance structure of the design as the different dimension specifications can be arranged to symbolize the inheritance structure. For example, toolbar 1300 as illustrated is arranged into groups 1301 and 1302 that each display separate inheritance structure branches running from left to right. This graphical arrangement describes the inheritance structure of the design as an edit made to Default will be inherited by all of the other dimension versions, an edit made to 768 will be inherited by 320 but not 1200, and an edit made to 1200 or 320 will not be inherited by any dimension versions. Toolbar 1300 therefore gives the user a convenient way to skip between dimension versions as well as a convenient way to keep track of how the dimension structure is currently specified.」 (継承構造は,グラフィカル設計環境200内のツールバーの形でユーザに対し表示されてもよい.この場合,方法1100は,レンダリングとともに表示される継承仕様ツールを生成するステップを更に含む.この種のツールバーの例を,ツールバー1300をウィンドウ201の上に示している図13に示す.ツールバー1300を用いると,ユーザは異なる寸法仕様でラベルされたボタンを選択することにより,異なる編集モードから選択することができるようになる.例えば,ユーザがボタン「1200」を選択した場合,ウィンドウ201には寸法仕様1200に対応する寸法バージョンが表示され,ユーザはその寸法バージョンを編集できる.また,ユーザは,「すべて」ボタンを選択して,現在の寸法バージョンに対する編集がデザインの他のすべての寸法バージョンに伝播される,グローバル編集モードに入ることができる.前述のとおり,ユーザは,例えば,SHIFTキーを押しながら複数のボタンを選択するなどの方法により,寸法バージョンの部分集合を選択できるようにし,選択したデザインのバージョンすべてを編集するが,その他の寸法バージョンを編集しないようにしてもよい.ツールバーは,異なる寸法仕様をその継承構造を示すように配置し,デザインの継承構造を表示するようにしてもよい.例えば,図示したツールバー1300は,グループ1301と1302に分けられ,それぞれ左から右に別々の継承構造のブランチを表示している.この視覚的配置は,デザインの継承構造を示していて,デフォルトに対して行われた編集は他の寸法バージョンすべてによって継承され,768に対する編集は320により継承されるが1200によっては継承されず,1200又は320に対する編集は他の寸法バージョンによって継承されない.すなわち,ツールバー1300は,ユーザに対し寸法バージョン間をスキップし,寸法構造が現時点でどのように指定されているか把握するための便利な方法を提供する.) また,甲第6号証中Fig. 13を以下に示す. [図:0001439213000005.jpg] すなわち,甲第6号証には,編集をすべての寸法バージョンに伝播させる「すべて」ボタンと,各寸法仕様に対応するボタンを含むツールバー1300を表示する手段を有し,「すべて」ボタンが選択された場合,編集はすべての寸法バージョンに伝播され,寸法仕様に対応するボタンが選択された場合,編集はその寸法仕様に対応する寸法バージョンに対して行われる,情報処理システムが開示されている. 「「すべて」ボタン」は,「選択された場合,編集はすべての寸法バージョンに伝播され」るが,これは寸法バージョンの部品の属性が,寸法バージョン=デバイスの種類によらずに同一に設定されることそのものである.つまり,これは「構築する部品」の属性「を、デバイスの種類によらない」もの「とする設定」に対応する. また,「寸法仕様に対応するボタン」は,「選択された場合,編集はその寸法仕様に対応する寸法バージョンに対して行われる」のであり,これは「構築する部品」の属性を「デバイスの種類に対応する値に基づく」ものとする設定にすることに対応する. 甲第6号証開示発明は取消理由で認定された甲第20号証開示発明と同様,レスポンシブデザインを採用した設計を容易とするという課題を解決するものであり,部品に係る属性値をデバイス毎に指定するという作用・機能も同一である.このため,甲第6号証開示発明を甲第20号証開示発明に適用することは容易想到である. (イ)当審の判断 a まず、甲第2号証について検討する。 甲第2号証には、少なくとも、「ページ」の「列数」、つまり、コンテンツの画面に係る「列数」について、全ての環境で同じ数とする設定と、デバイスの種類に対応して異なる数とする設定とを選択可能にする事項が記載されているといえる。 これに対し、甲20発明において設定パネルにより入力・変更される「UI要素の表示値」は、上記ア(ア)において説示したとおり、本件発明1のアプリケーションの画面に配置する部品の表示サイズに係る値に対応するものといえるところ、甲第2号証に記載された「列数」の設定と、甲20発明における「UI要素の表示値」の設定とは、対象とする技術事項を異にするものと認められる。 そうすると、甲20発明において、選択されたUI要素の表示値を各デバイスコンテキストごとに入力・変更する手段として、甲第2号証に記載された「列数」に関する上記事項を適用すべき動機付けがあるとはいえない。 また、仮に甲第2号証に記載された上記事項を甲20発明に適用したとしても、列数について、全ての環境で同じ数とする設定と、デバイスの種類ごとに異なる数とする設定とを選択可能にする構成を付加したものにとどまり、構築する部品の表示サイズについて、デバイスの種類によらない固定サイズとする設定か、デバイスの種類に対応する値に基づく表示サイズとする設定かの選択を受け付け、さらに、その選択に基づいてアプリケーションを構築するという本件発明1の構成に至るものではない。 b 次に、甲第6号証について検討する。 下記第5.3(3)で説示するように、甲第6号証には、異なる寸法バージョンの指定の負担を軽減するために、「単一寸法編集モードを選択する」こと又は「全寸法編集モードを選択する」ことによって「プロパティに指定される値」を上記選択された寸法バージョンに反映させることに係る構成が記載されているといえる。 ここで、甲20発明に甲第6号証の上記記載事項を適用すると、異なる寸法バージョンの指定の負担を軽減するために、デバイスの種類毎の値の入力領域を1画面にまとめて表示するという構成に代えて、「プロパティに指定される値」を反映する寸法バージョンの範囲について、所定の寸法バージョン又は全寸法バージョンを選択する構成とすることが合理的であって、甲20発明において、単一画面において、設定パネルにより、選択されたUI要素の表示値を各デバイスコンテキストごとに入力・変更するという構成、すなわち、デバイスの種類毎の値の入力領域を1画面にまとめて表示するという構成を維持しつつ、甲第6号証に記載された上記事項を備えることは、当業者が容易に想到できたことであるとはいえない。 c 上記a、bのとおりであるから、甲20発明に対して、甲第2号証又は甲第6号証の記載事項を適用する動機付けがあるとはいえず、また、仮にこれらを適用したとしても、本件発明1の相違点に係る構成に至るものではない。 よって、本件発明1は、甲20発明、あるいは、甲20発明及び甲第2号証又は甲第6号証に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえないから、上記申立人の主張を採用することができない。 オ 小括 したがって、本件発明1は、甲第20号証に記載された発明ではなく、甲第20号証に記載された発明、あるいは、甲第20号証に記載された発明及び甲第2号証又は甲第6号証に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (3)本件発明12について ア 本件発明12と甲20発明との相違点は、次のとおりである。 (相違点) 本件発明12が、「構築する部品の表示サイズを、デバイスの種類によらない固定サイズとする設定か、デバイスの種類に対応する値に基づく表示サイズとする設定かの選択を受け付ける選択受付ステップ」を更に有しており、構築ステップが「前記選択受付ステップでの選択に基づき、デバイスの種類によらない固定サイズで部品を表示するアプリケーション、又は、」前記入力領域で受け付けた値であって、前記画面を表示するデバイスの種類に対応する値に基づく表示サイズで前記部品を表示するアプリケーションを構築するものであるのに対して、甲20発明は、そのような選択受付ステップを有しておらず、「前記選択受付ステップでの選択に基づき、デバイスの種類によらない固定サイズで部品を表示するアプリケーション」を構築するものではない点。 イ 上記アに係る相違点についての当審の判断は、上記(2)における本件発明1に対する判断と同様である。 ウ よって、本件発明12は、甲第20号証に記載された発明ではなく、甲第20号証に記載された発明、及び、甲第2号証又は甲第6号証に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (4)本件発明2~9、11、13について 本件発明2~9、11、13は、いずれも、本件発明1の発明特定事項を全て有するものであるから、上記(2)で示した理由と同様の理由により、甲第20号証に記載された発明ではなく、甲第20号証に記載された発明、及び、甲第2号証又は甲第6号証に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 3 取消理由3(明確性)について (1)取消理由3(明確性) 明確性に係る取消理由3は、請求項1に記載された、「アプリケーションの画面に配置する部品の表示サイズに係る値であって、デバイスの種類毎の値の入力領域を1画面に表示するように表示制御する」という記載が、 (解釈A)「アプリケーションの画面に配置する部品の表示サイズに係る値であって、デバイスの種類毎の値の入力領域を1画面に同時に表示するように表示制御する」 (解釈B)「アプリケーションの画面に配置する部品の表示サイズに係る値であって、デバイスの種類毎の値の入力領域を少なくとも一つ1画面に表示するように表示制御する」 、またはそれ以外のもののいずれを意味するものか、第三者に不測の不利益をもたらすほどに不明確であるといえるから、本件発明1は明確でなく、また、本件発明1を直接または間接的に引用する、本件発明2~13も同様に明確でない、というものである。 (2)判断 ア 訂正後の請求項1には、「アプリケーションの画面に配置する部品の表示サイズに係る値であって、デバイスの種類毎の値の入力領域を1画面にまとめて表示するように表示制御する」と記載されており、その記載は、上述した(解釈A)のような、入力領域を1画面に同時に表示するように表示制御することを意味していると理解でき、かつ、上述した(解釈B)のような、入力領域を少なくとも一つ1画面に表示するように表示制御すること、を含む他の態様を、意味していないと理解できる。 イ したがって、本件特許の特許請求の範囲の記載が、第三者に不測の不利益を及ぼすほどに不明確であるとはいえないから、本件発明は明確である。 第5 取消理由通知に採用しなかった特許異議申立理由について 1 公然実施発明(Elementor)を主引用例とする新規性・進歩性欠如 (1)公然実施発明 ア 甲第10号証である「readme.txt in hello-elementor/2.3.0 - WordPress Themes」なるウェブページの写しには、以下の記載がある。 「Make WordPress Themes」 「New version of Hello Elementor - 2.3.0」 「=== Hello Elementor ===」 「License: GNU General Public License v3 or later」 「A lightweight, plain-vanilla theme for Elementor page builder.」 「== Changelog ==」 「= 2.3.0 - 2020-04-19 =」 イ 上記アからみて、WordPressテーマであるHello Elementorバージョン2.3.0は、前記WordPressのプラグインソフトウェアであるElementorのためのテーマであり、2020年4月19日に作成されて不特定多数に利用可能になっていたことが認められる。 ウ 上記アは、Hello ElementorなるWordPressテーマを用いるWordPress及びElementorが公然実施された事実を直接的に示してはいないものの、Hello Elementorバージョン2.3.0が、本件特許に係る出願の日である2020年12月25日よりも半年以上前に作成されて不特定多数に利用可能になっていたことを踏まえると、本件特許に係る出願の日である2020年12月25日より前に誰にも利用されていないという方が、むしろ不合理であるから、Hello ElementorなるWordPressテーマを利用するために必須のWordPress(Webサーバー上で動作するプログラム)及びElementor(前記WordPressのプラグイン)は、公然実施されていたと推認すべきである。 エ 一方、甲第1号証である申立人作成の「Elementor」に係る実験報告書の第1~2、13~17ページには、以下の記載がある。 「XAMPP バージョン7.4.12 (公開日 2020 年11 月16 日 (UTC)) XAMPP は,Windows 上でPHP に対応したApache HTTP サーバーを構築するために,出願日時点で広く用いられていたプログラムである.」 「WordPress バージョン5.6 (公開日2020年12月8日 (タイムゾーン不明)) WordPressは,出願日時点で広く用いられていたコンテンツ・マネージメント・システムである.」 「Elementor バージョン3.0.15 (公開日2020年12月21日 (UTC)) Elementorは,WordPressのプラグインである.」 「Hello Elementor バージョン2.3.0 (公開日 2020年4月19日 (タイムゾーン不明)) Hello Elementorは,WordPressのテーマであり,Elementorプラグインと同時に使用される.」 「4. 確認実験 画面上部の「+新規」をホバーし,「固定ページ」を選ぶと,図17のような画面が表示された.ここで,「Edit with Elementor」(Elementorで編集)を押した.」 「このとき,図18 に示すElementor 画面が表示された.」 「画面左側の「Divider」(区切り線)を,画面右側のページ表示部の「Drag widget here」(ウィジェットをここにドラッグ)にドラッグ・ドロップすると,ページ内に区切り線が追加された.(以下,この区切り線を,「区切り線部品」という.) このときの画面表示を図19 に示す.」 「画面の左側に,Divider (区切り線)の属性を編集するパネルが現れていることが確認できた.また,パネルで編集できる属性の一つに,「Width」(横幅)があること(以下「横幅属性」という),横幅属性の編集欄にコンピュータのモニタのアイコン(以下「デスクトップアイコン」)があること,デスクトップアイコンをホバーすると「Desktop」(デスクトップ)と記されたラベルが表示されること,デスクトップアイコンの横(パネルの右端)に「%」と「px」の表示があり,「%」が強調されていること,これらの下にスライダと数値入力欄(以下「横幅入力欄」という)が表示されていること,また,デスクトップアイコンと,「%」「px」の表示をホバーしたときには,マウスポインタがリンクを選択するためのもの(手の形をしたもの)に切り替わることがわかった.図20 に,パネル部を拡大表示したものを示す.」 「デスクトップアイコンを押すと,コンピュータのモニタ,タブレット,スマートフォンをそれぞれ模したアイコンを含む選択肢(以下「デバイス選択部」という)が表示された.これを用いると,デバイスの種類毎に横幅属性を設定することができた.これを図21 に示す.」 「デバイス選択部中スマートフォンのアイコンを押すと,図22 のように,画面右のページ表示部がスマートフォンサイズのものに切り替わり,また,横幅入力欄が空欄に切り替わった.デスクトップアイコンは,スマートフォンアイコンに置き換わった.」 「ここで,横幅入力欄に「70」を入力すると,図23 に示すように,区切り線部品の横幅が,画面サイズの横幅の70%に設定され,ページ表示部に反映された.」 オ 上記ウ及びエからみて、以下の発明(以下、「公然実施発明」という。)が公然実施されていたと推認される。 「HTTPサーバーが構築されたコンピュータであって、 前記コンピュータは、WordPressを実行するとともに前記WordPressのプラグインであるElementorを実行し、前記プラグインと同時にWordPressのテーマであるHello Elementorバージョン2.3.0を使用し、 前記コンピュータは、 Elementor 画面を表示することによって表示された固定ページ内に区切り線が追加された場合、前記区切り線の属性を編集するパネルを表示し、前記属性は、「Width」を含み、 前記属性の編集欄にコンピュータのモニタのアイコンがあり、その下に、スライダと数値入力欄が表示され、 前記アイコンをホバーすると「Desktop」(デスクトップ)と記されたラベルが表示され、前記アイコンを押すと,コンピュータのモニタ,タブレット,スマートフォンをそれぞれ模したアイコンを含む選択肢が表示され、 スマートフォンのアイコンを押すと、前記コンピュータのモニタのアイコンはスマートフォンのアイコンに置き換わるとともに入力欄が空欄に切り替わり、 デバイスの種類毎に前記属性を設定することができる、 コンピュータ。」 (2)本件発明1と公然実施発明との対比 ア 公然実施発明の「ページ」と、本件発明1の「アプリケーション」とは、「構築」される「コンテンツ」である点で共通している。 イ 公然実施発明における固定ページ内に追加された区切り線の属性に含まれる「Width」は、本件発明1の「画面に配置する部品の表示サイズ」に相当する。 ウ 公然実施発明のコンピュータがデバイス毎に切り替えて表示する「スライダ」及び「数値入力欄」は共に、本件発明1の「デバイスの種類毎の値の入力領域」に対応する。 エ 公然実施発明において区切り線の属性が編集された編集後のページと、本件発明1の構築手段によって構築される、前記入力領域で受け付けた値であって、前記画面を表示するデバイスの種類に対応する値に基づく表示サイズで前記部品を表示するアプリケーションとは、「前記入力領域で受け付けた値であって、前記画面を表示するデバイスの種類に対応する値に基づく表示サイズで前記部品を表示する」ものである点で共通している。 オ 公然実施発明の「コンピュータ」は、本件発明1の「情報処理システム」に相当する。 カ 以上のことからみて、本件発明1と公然実施発明とは、次の点で一致し、相違する。 (一致点) 「コンテンツの画面に配置する部品の表示サイズに係る値であって、デバイスの種類毎の値の入力領域を表示するように表示制御する表示制御手段と、 前記入力領域で受け付けた値であって、前記画面を表示するデバイスの種類に対応する値に基づく表示サイズで前記部品を表示するコンテンツを構築する構築手段と を有することを特徴とする情報処理システム。」 (相違点1)本件発明1が「構築する部品の表示サイズを、デバイスの種類によらない固定サイズとする設定か、デバイスの種類に対応する値に基づく表示サイズとする設定かの選択を受け付ける選択受付手段」を有し、構築手段は、「前記選択受付手段による選択に基づき、デバイスの種類によらない固定サイズで部品を表示するアプリケーション」を構築するものであるのに対して、公然実施発明は、そのような構成を有していない点、 (相違点2)コンテンツが、本件発明1が「アプリケーション」であるのに対して、公然実施発明は「ページ」である点、及び、 (相違点3)本件発明1の表示制御手段が、デバイスの種類毎の値の入力領域を「1画面にまとめて」表示するように表示制御するのに対して、公然実施発明では、デバイスの種類毎の数値入力欄を切り替えて表示している点。 (3)当審の判断 ア 相違点1~3は実質的な相違点であるから、本件発明1は公然実施発明ではなく、したがって、公然実施発明によって本件発明1の新規性を否定することはできない。 イ また、公然実施発明は、属性の値をデバイスの種類毎に異なる値に設定する発明であると理解できるものの、属性の値をデバイスの種類によらない固定値とすることは全く想定されていない。 ウ 上記イを踏まえると、属性の値をデバイスの種類毎に異なる値に設定する公然実施発明から、あえて、属性の値をデバイスの種類によらない固定値にしようとする動機付けがあるとはいえないから、公然実施発明から出発して、上記相違点1に係る本件発明1の発明特定事項を有するものに到達することは、当業者が容易になし得ることではないといわざるを得ない。 エ 上記ウからみて、相違点2~3について検討するまでもなく、本件発明1は、公然実施発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 オ 本件発明2~9,11~13も、同様の理由により、公然実施発明ではなく、公然実施発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではないから、その新規性及び進歩性を否定することはできない。 2 甲第2号証を主引用例とする新規性・進歩性欠如 (1)甲第2号証の記載事項、甲2発明 ア 甲第2号証である“Block-specific responsive controls”に係るGitHub上で行われた議論のログを示したウェブページの写しには、図面とともに以下の事項が記載されている。 「WordPress/gutenberg」(第1ページ) 「Kjellr on Jan 30, 2019 - edited by kjellr」(第10ページ。以下同じ) [図:0001439213000006.jpg] 」 「The first frame just adds the "Stack on mobile" toggle we currently have available to the Media & Textblock. By default, it's turned on, and everything's handled automatically. This is the best setting for users who do not want to manage these settings. Unlike today, if a user were to toggle that off though, they'd be presented with more fine-tuned controls there instead. From here, they can either leave it alone (it'd default to the same size for each), or adjust to set a different column count for each device type.」 (当審訳:最初のフレームでは、メディア&テキストブロックで現在利用可能な「モバイルでスタック」トグルを追加します。それはデフォルトではオンになっており、すべて自動的に処理されます。これは、これらの設定を管理したくないユーザにとって最適な設定です。ただし、今とは異なり、ユーザがトグルをオフにすると、より詳細なコントロールが表示されます。そこから、それをそのままにしておく(デフォルトではすべてのデバイスで同じサイズになります)か、デバイスの種類ごとに異なる列数を設定するように調整することができます。) イ 上記アの図面からみて、トグルがオフの場合では、「デバイスの種類ごとの列数の値の入力領域を1画面にまとめて表示」していることが見て取れる。 ウ 上記ア及びイからみて、甲第2号証には、以下の発明(以下、「甲2発明」という。)が記載されていると認める。 「WordPress/gutenbergを実行してページを作成するコンピュータであって、 前記コンピュータは、列数を設定するコントロールを表示し、 前記コントロールは、ユーザがオン又はオフにすることが可能なトグルを含み、 前記トグルがオンの場合のデフォルトでは、前記列数は、すべてのデバイスで同じサイズになるように設定され、 前記トグルがオフにされた場合では、デバイスの種類ごとの列数の値の入力領域を1画面にまとめて表示するとともに、デバイスの種類ごとに異なる列数を設定するように調整することができる、 コンピュータ。」 (2)本件発明1と甲2発明との対比 ア 甲2発明の「ページ」と、本件発明1の「アプリケーション」とは、「構築」される「コンテンツ」である点で共通している。 イ 甲2発明のコンピュータは、「ユーザがオン又はオフにすることが可能なトグルを含」む「コントロールを表示」する機能を有し、「前記トグルがオンの場合のデフォルトでは、前記列数は、すべてのデバイスで同じサイズになるように設定され」、「前記トグルがオフにされた場合では」、「デバイスの種類ごとに異なる列数を設定」できるのだから、前記機能と、本件発明1の「構築する部品の表示サイズを、デバイスの種類によらない固定サイズとする設定か、デバイスの種類に対応する値に基づく表示サイズとする設定かの選択を受け付ける選択受付手段」とは、「デバイスの種類によらない固定とする設定か、デバイスの種類に対応する値に基づく表示とする設定かの選択を受け付ける選択受付手段」である点で共通している。 ウ 甲2発明のコンピュータは、コントロールが含むトグルがオフにされた場合において、「デバイスの種類ごとの列数の値の入力領域を1画面にまとめて表示する」機能を有しているから、前記機能と、本件発明1の「アプリケーションの画面に配置する部品の表示サイズに係る値であって、デバイスの種類毎の値の入力領域を1画面にまとめて表示するように表示制御する表示制御手段」とは、「画面に係る値であって、デバイスの種類毎の値の入力領域を1画面にまとめて表示するように表示制御する表示制御手段」である点で共通している。 エ 甲2発明のコンピュータはページを作成する機能を有し、コントロールが含むトグルがオンの場合では、「列数は、すべてのデバイスで同じ」値とされるのだから、この場合では「すべてのデバイスで同じ列数のページ」が作成されると理解できる一方、前記トグルがオフの場合では、「デバイスの種類ごとに異なる列数のページ」が作成できると理解される。これを踏まえると、前記機能と、本件発明1の「前記選択受付手段による選択に基づき、デバイスの種類によらない固定サイズで部品を表示するアプリケーション、又は、前記入力領域で受け付けた値であって、前記画面を表示するデバイスの種類に対応する値に基づく表示サイズで前記部品を表示するアプリケーションを構築する構築手段」とは、「前記選択受付手段による選択に基づき、デバイスの種類によらない固定で表示するコンテンツ、又は、前記入力領域で受け付けた値であって、前記画面を表示するデバイスの種類に対応する値に基づく表示で表示するコンテンツを構築する構築手段」である点で共通している。 オ 甲2発明の「コンピュータ」は、本件発明1の「情報処理システム」に相当する。 カ 以上のことからみて、本件発明1と甲2発明とは、次の点で一致し、相違する。 (一致点) 「デバイスの種類によらない固定とする設定か、デバイスの種類に対応する値に基づく表示とする設定かの選択を受け付ける選択受付手段と、 コンテンツの画面に係る値であって、デバイスの種類毎の値の入力領域を1画面にまとめて表示するように表示制御する表示制御手段と、 前記選択受付手段による選択に基づき、デバイスの種類によらない固定で表示するコンテンツ、又は、前記入力領域で受け付けた値であって、前記画面を表示するデバイスの種類に対応する値に基づく表示で表示するコンテンツを構築する構築手段と を有することを特徴とする情報処理システム。」 (相違点1)本件発明1は、「構築する部品」であって、かつ、画面「に配置する部品」の「表示サイズ」に係る値を入力領域で受け付けているのに対して、甲2発明では、部品の表示サイズではなく、列数を受け付けている点、及び、 (相違点2)構築手段によって構築するコンテンツが、本件発明1が「アプリケーション」であるのに対して、甲2発明は「ページ」である点。 (3)当審の判断 ア 新規性について 相違点1~2は実質的な相違点であるから、本件発明1は甲2発明ではなく、したがって、甲2発明によって本件発明1の新規性を否定することはできない。 イ 進歩性について 相違点1及び2について、以下、まとめて検討する。 甲2発明は、「ページ」の「列数」をデバイスの種類によらない同一値に設定するものであるところ、当該設定の対象である「ページ」の「列数」は、コンテンツの画面に係る値であって、仮に、「画面に配置する部品の表示サイズ」に係る値を設定することが周知技術であったとしても、コンテンツの画面に係る「ページ」の「列数」の設定と、上記「画面に配置する部品の表示サイズ」の設定とは、技術事項を異にするものと認められることからすると、甲2発明の上記設定の対象として上記「画面に配置する部品の表示サイズ」を採用するべき動機付けがあるとはいえない。さらに、甲2発明に、上記「画面に配置する部品の表示サイズ」に係る値を設定する周知技術を適用したとしても、デバイスの種類によらない同一値に設定する対象を「画面に配置する部品の表示サイズ」とし、加えて、構築手段によって構築するコンテンツを「アプリケーション」とすることは、当業者が容易に想到できたことであるとはいえない。 以上のとおり、本件発明1は、甲2発明、あるいは、甲2発明及び上記周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 3 甲第6号証を主引用例とする新規性・進歩性欠如 (1)甲第6号証の記載事項、甲6発明 ア 甲第6号証である米国特許第10769366号明細書には、図面とともに以下の事項が記載されている。 (ア)「Graphic designers and developers have found themselves faced with the difficult task of producing various versions of the same designs that are optimized for different rendering spaces. Responsive graphical design tools seek to ease the burden of specifying all of these different versions.」(第1欄第66~第2欄4行) (当審訳:グラフィックデザイナーや開発者は、異なるレンダリング空間に最適化された同一デザインの複数バージョンを作成する困難な課題に直面している。レスポンシブグラフィカルデザインツールは、これらすべての異なるバージョンの指定の負担を軽減しようとする。) (イ)「A tool for designing a responsive graphical design can be described with reference to FIG. 2. FIG. 2 illustrates a graphical design environment 200 that allows a user to specify a responsive graphical design.」(第6欄第61~64行) (当審訳:参照される図2には、レスポンシブなグラフィックデザインを設計するためのツールが示されている。図2は、ユーザがレスポンシブなグラフィックデザインを記述できるグラフィックデザイン環境200を示している。) (ウ)「Graphical design environment 200 also includes a widget interface 202. The widget interface allows a user to add a widget to the window 201. A widget can be any design element associated with the design including a button, a pull-down menu, a hyperlink, a text box, or a page. In specific embodiments of the invention,the widget can be added by dragging and dropping a widget from widget menu 203 into window 201.The widget interface also allows a user to specify states for a widget by providing values for specific properties. A widget state is defined by a set of values for each of that widget's properties.」(第7欄第12~22行) (当審訳:グラフィカルデザイン環境200は、ウィジェットインターフェース202も備えている。ウィジェットインターフェースにより、ユーザはウィジェットをウィンドウ201に追加できる。ウィジェットは、ボタン、プルダウンメニュー、ハイパーリンク、テキストボックス、ページなど、デザインに関連付けられたあらゆるデザイン要素である。本発明の特定の実施形態では、ウィジェットメニュー203からウィジェットをウィンドウ201にドラッグアンドドロップすることでウィジェットを追加できる。ウィジェットインターフェースでは、特定のプロパティに値を指定することで、ウィジェットの状態を設定できる。ウィジェットの状態は、そのウィジェットの各プロパティの値のセットによって定義される。) (エ)「Widgets added to a design using widget interface 202 can have various responsive user definable properties. These properties can all be configured to be responsive by defining different values for the properties in different dimension versions.」(第8欄第62~66行) (当審訳:ウィジェットインターフェース202を使用してデザインに追加されたウィジェットは、さまざまなレスポンシブなユーザ定義プロパティを持つことができる。これらのプロパティはすべて、異なる寸法バージョンで異なる値を定義することにより、レスポンシブに構成できる。) (オ)「Method 1000 begins with a step 1001 of selecting an editing mode.」(第16欄第30~31行) (当審訳:方法1000は、編集モードを選択するステップ1001で開始する。) (カ)「In specific embodiments of the invention, the default mode will be a single-dimension editing mode in which widgets will only receive specifications for the dimension version of the design that is currently being viewed or that is currently selected. In these embodiments, a user may be required to select an all-dimension or multi-dimension editing mode from a pull down menu before that editing mode will be entered.」(第16欄第43~50行) (当審訳:本発明の特定の実施形態では、デフォルトモードは単一寸法編集モードであり、ウィジェットは、現在表示または選択されているデザインの寸法バージョンの仕様のみを受け取る。これらの実施形態では、ユーザは、編集モードに入る前に、プルダウンメニューから全寸法編集モードまたは多寸法編集モードを選択することが要求され得る。) (キ)「Toolbar 1300 allows users to select between different editing modes by selecting the buttons labeled with different dimension specifications.」(第21欄第49~52行) (当審訳:ツールバー1300では、異なる寸法仕様がラベル付けされたボタンを選択することで、異なる編集モードを切り替えることができる。) (ク)「The user could also select the “All” button to enter a global editing mode in which an edit made to the current dimension version would propagate to all of the other dimension versions in the design.」(第21欄第55~58行) (当審訳:ユーザは「すべて」ボタンを選択してグローバル編集モードに入ることもでき、そのモードでは現在の寸法バージョンに加えられた編集がデザイン内の他のすべての寸法バージョンに反映される。) (ケ)「 [図:0001439213000007.jpg] 」(図13) (コ)「The manner in which different properties propagate through inheritance might also differ from one widget property to another. For example, a color of a widget might propagate automatically while a size of a widget might be inherited and require a confirmatory response from a user before the change propagated to another widget.」(第22欄第28~34行) (当審訳:継承によって異なるプロパティが伝播する方法は、ウィジェットのプロパティごとに異なるかもしれず、例えば、ウィジェットの色は自動的に伝播する一方、ウィジェットのサイズの継承には、変更が別のウィジェットに伝播する前にユーザからの確認応答が必要かもしれない。) (サ)「Designs specified in a design environment using the tools and methods described above can be used to generate an instantiation of the design for rendering in an external player. In specific embodiments of the invention, the design will be exported from the tool in the form of an instantiation that can be stored and rendered externally to the tool at any time. The exported design could be a prototype of a web page or web site and the external player could be a web browser.」(第27欄第1~9行) (当審訳:上記のツールと方法を用いてデザイン環境で記述されたデザインは、外部プレーヤーでレンダリングするためのデザインのインスタンスを生成するために使用できる。本発明の特定の実施形態では、デザインはツールからインスタンスの形式でエクスポートされ、ツールの外部にいつでも保存およびレンダリングできる。エクスポートされたデザインは、WebページまたはWebサイトのプロトタイプであり、外部プレーヤーはWebブラウザであり得る。) (シ)「In specific embodiments of the invention, the generated instantiation of the design can have varying degrees of the design's responsive nature expressed. For example, a user may choose to export an instantiation of the design that is not responsive.」(第27欄第25~29行) (当審訳:本発明の特定の実施形態では、生成されたデザインのインスタンスは、デザインのレスポンシブ性の程度を様々に変化させることができる。例えば、ユーザは、レスポンシブでないデザインのインスタンスをエクスポートすることを選択できる。) (ス)「Finally, a user could of course generate an instantiation of the design that was fully responsive to a dimension of the rendering space afforded by the external player as was specified in the design environment.」(第27欄第42~46行) (当審訳:最後に、ユーザは、デザイン環境で記述したように、外部プレーヤーによって提供されるレンダリング空間の寸法に完全にレスポンシブなデザインのインスタンスを生成することも当然可能である。) (セ)「In specific embodiments of the invention, the generated instantiation can enable its responsiveness in various ways. For example, the generated instantiation could comprise media queries in an encoding of the instantiation,」(第27欄第60~62行) (当審訳:本発明の特定の実施形態では、生成されたインスタンスは、さまざまな方法で応答性を実現することができる。例えば、生成されたインスタンスは、インスタンスのエンコードにメディアクエリを含めることができ、) (ソ)「Any of the methods described herein can be conducted through the use of a computer system 2000 as shown in FIG. 20. For example, the design environment could be provided by a processing system 2001 acting in tandem with a memory 2002.」 (当審訳:本明細書に記載の方法はいずれも、図20に示すようなコンピュータシステム2000を用いて実施することができる。例えば、デザイン環境は、メモリ2002と連携して動作する処理システム2001によって提供される。) イ 上記アからみて、甲第6号証には、以下の発明(以下、「甲6発明」という。)が記載されていると認める。 「レスポンシブなグラフィックデザインを設計するためのツールであって、 ユーザがレスポンシブなグラフィックデザインを記述できるグラフィックデザイン環境200は、ウィジェットインターフェース202を備え、ウィジェットインターフェースにより、ユーザはウィジェットをウィンドウ201に追加でき、 ウィジェットは、ボタン、プルダウンメニュー、ハイパーリンク、テキストボックス、ページなど、デザインに関連付けられたあらゆるデザイン要素であり、 ウィジェットメニュー203からウィジェットをウィンドウ201にドラッグアンドドロップすることでウィジェットを追加でき、ウィジェットインターフェースでは、特定のプロパティに値を指定することで、ウィジェットの状態を設定でき、ウィジェットの状態は、そのウィジェットの各プロパティの値のセットによって定義され、 ウィジェットインターフェース202を使用してデザインに追加されたウィジェットは、さまざまなレスポンシブなユーザ定義プロパティを持つことができ、これらのプロパティはすべて、異なる寸法バージョンで異なる値を定義することにより、レスポンシブに構成でき、 編集モードを選択するステップ1001で開始し、 デフォルトモードは単一寸法編集モードであり、ウィジェットは、現在表示または選択されているデザインの寸法バージョンの仕様のみを受け取り、 ユーザは、全寸法編集モードを選択でき、ツールバー1300では、異なる寸法仕様がラベル付けされたボタンを選択することで、異なる編集モードを切り替えることができ、ユーザは「すべて」ボタンを選択してグローバル編集モードに入ることもでき、そのモードでは現在の寸法バージョンに加えられた編集がデザイン内の他のすべての寸法バージョンに反映され、 継承によって異なるプロパティが伝播する方法は、ウィジェットのプロパティごとに異なるかもしれず、例えば、ウィジェットの色は自動的に伝播する一方、ウィジェットのサイズの継承には、変更が別のウィジェットに伝播する前にユーザからの確認応答が必要かもしれず、 上記のツールと方法を用いてデザイン環境で記述されたデザインは、外部プレーヤーでレンダリングするためのデザインのインスタンスを生成するために使用でき、デザインはツールからインスタンスの形式でエクスポートされ、エクスポートされたデザインは、WebページまたはWebサイトのプロトタイプであり、外部プレーヤーはWebブラウザであり、 生成されたデザインのインスタンスは、デザインのレスポンシブ性の程度を様々に変化させることができ、ユーザは、レスポンシブでないデザインのインスタンスをエクスポートすることを選択でき、 外部プレーヤーによって提供されるレンダリング空間の寸法に完全にレスポンシブなデザインのインスタンスを生成することも当然可能であり、生成されたインスタンスは、インスタンスのエンコードにメディアクエリを含めることができ、 方法はコンピュータシステム2000を用いて実施することができ、デザイン環境は、処理システム2001によって提供される、 ツール。」 (2)本件発明1と甲6発明との対比 ア 甲6発明のツールにおけるデザイン要素である「ウィジェット」は、グラフィックデザイン環境200のウィンドウ201にドラッグアンドドロップされるものであるから、それは、本件発明1の「画面に配置する部品」に相当するものであり、そうすると、甲6発明の「ウィジェットのサイズ」は、本件発明1の「部品の表示サイズ」に相当するといえる。 イ 甲6発明のツールでは、異なる寸法バージョンの指定の負担を軽減するために、「ツールバー1300」で、ユーザが「すべて」ボタンを選択して「グローバル編集モード」すなわち「全寸法編集モード」が選択された場合では、「プロパティに指定される値」が「他のすべての寸法バージョンに反映され」、「ウィジェットのプロパティ」も「継承され」るものであって、特に「ウィジェットのサイズの継承」においては、「変更が別のウィジェットに伝播する前にユーザからの確認応答が必要」かもしれないとしても、その確認応答を行うことによって「現在の寸法バージョンに加えられた編集がデザイン内の他のすべての寸法バージョンに反映され」ると理解できるものであり、その一方、「デフォルトモード」である「単一寸法編集モード」では、「プロパティに指定される値」が特定の寸法バージョンに反映されるものと理解できる。 ウ 上記イを踏まえると、甲6発明のツールの「単一寸法編集モードを選択する」こと又は「全寸法編集モードを選択する」ことに係る構成と、本件発明1の「構築する部品の表示サイズを、デバイスの種類によらない固定サイズとする設定か、デバイスの種類に対応する値に基づく表示サイズとする設定かの選択を受け付ける選択受付手段」とは、「選択を受け付ける選択受付手段」である限りで共通している。 エ 甲6発明のツールでデザインされた「WebページまたはWebサイトのプロトタイプ」から生成された「インスタンス」と、本件発明1の「アプリケーション」とは、「コンテンツ」である点で共通している。 オ 甲6発明のツールにおいて表示されるウィジェットインターフェース202において「特定のプロパティに値を指定すること」は、所定の「入力領域」で値を指定していると理解されるものであるから、「ウィジェットのプロパティ」のうちの「ウィジェットのサイズ」というプロパティについても、ウィジェットインターフェース202において、前述した所定の「入力領域」で値を指定するようになっているというべきである。 カ 上記イ及びオを踏まえると、甲6発明のツールにおいて、ウィジェットインターフェース202の表示においては、「プロパティについて指定される値」の表示を含むものと解される。 そうすると、甲6発明のツールにおいて、上記プロパティについて指定される値を含むウィジェットインターフェース202を表示する機能と、本件発明1の「アプリケーションの画面に配置する部品の表示サイズに係る値であって、デバイスの種類毎の値の入力領域を1画面にまとめて表示するように表示制御する表示制御手段」とは、「コンテンツの画面に配置する部品の表示サイズに係る値の入力領域を表示するように表示制御する表示制御手段」である点で共通する。 キ 甲6発明のツールは「レスポンシブでないデザインのインスタンス」又は「レスポンシブなデザインのインスタンス」を「エクスポート」できるものであるから、それらのインスタンスのいずれかをエクスポートする機能と、本件発明1の「前記選択受付手段による選択に基づき、デバイスの種類によらない固定サイズで部品を表示するアプリケーション、又は、前記入力領域で受け付けた値であって、前記画面を表示するデバイスの種類に対応する値に基づく表示サイズで前記部品を表示するアプリケーションを構築する構築手段」とは、「デバイスの種類によらない固定サイズで部品を表示するコンテンツ、又は、前記入力領域で受け付けた値であって、前記画面を表示するデバイスの種類に対応する値に基づく表示サイズで前記部品を表示するコンテンツを構築する構築手段」である点において共通している。 ク 甲6発明のツールにおける「グラフィックデザイン環境200」は、「処理システム2001によって提供され」、当該ツールの動作としての方法は、「コンピュータシステム2000を用いて実施」されるものであるから、前記「処理システム2001」を有する前記「コンピュータシステム2000」によって実現される前記「ツール」は、本件発明1の「情報処理システム」に対応する。 ケ 以上のことからみて、本件発明1と甲6発明とは、次の点で一致し、相違する。 (一致点) 「選択を受け付ける選択受付手段と、 コンテンツの画面に配置する部品の表示サイズに係る値の入力領域を表示するように表示制御する表示制御手段と、 デバイスの種類によらない固定サイズで部品を表示するコンテンツ、又は、前記入力領域で受け付けた値であって、前記画面を表示するデバイスの種類に対応する値に基づく表示サイズで前記部品を表示するコンテンツを構築する構築手段と を有することを特徴とする情報処理システム。」 (相違点1)本件発明1の表示制御手段が、「デバイスの種類毎の」値の入力領域を「1画面にまとめて」表示しているのに対して、甲6発明では、「プロパティについて指定される値」を表示している点、 (相違点2)本件発明1の「選択を受け付ける選択受付手段」は、「構築する部品の表示サイズを、デバイスの種類によらない固定サイズとする設定か、デバイスの種類に対応する値に基づく表示サイズとする設定かの選択を受け付ける」ものであるのに対して、甲6発明の「選択を受け付ける選択受付手段」は、「単一寸法編集モードを選択する」又は「全寸法編集モードを選択する」ものである点、 (相違点3)コンテンツが、本件発明1が「アプリケーション」であるのに対して、甲6発明は「インスタンス」である点。 (3)当審の判断 ア 新規性について 相違点1~3は実質的な相違点であるから、本件発明1は甲6発明ではなく、したがって、甲6発明によって本件発明1の新規性を否定することはできない。 イ 進歩性について 事案に鑑みて、まず相違点1及び2について検討する。 甲6発明において、「単一寸法編集モードを選択する」こと又は「全寸法編集モードを選択する」ことによって「プロパティに指定される値」を上記選択された寸法バージョンに反映させることに係る構成は、異なる寸法バージョンの指定の負担を軽減するためのものといえるところ、仮に、「デバイスの種類毎の」値の入力領域を「1画面にまとめて」表示することが周知技術であったとしても、上記周知技術は、異なる寸法バージョンの指定の負担を軽減することができないものであり、甲6発明の「プロパティに指定される値」に係る構成に代えて、上記周知技術を適用すべき動機付けがあるとはいえない。さらに、甲6発明の選択を受け付ける選択受付手段」は、「プロパティに指定される値」を反映する寸法バージョンの範囲について、所定の寸法バージョン又は全寸法バージョンを選択するものであるといえるものであり、「構築する部品の表示サイズを、デバイスの種類によらない固定サイズとする設定か、デバイスの種類に対応する値に基づく表示サイズとする設定かの選択を受け付ける」ものとはいえないため、甲6発明の「プロパティに指定される値」に係る構成に代えて、上記周知技術を適用したとしても、「構築する部品の表示サイズを、デバイスの種類によらない固定サイズとする設定か、デバイスの種類に対応する値に基づく表示サイズとする設定かの選択を受け付ける選択受付手段」を備え、かつ、「デバイスの種類毎の」値の入力領域を「1画面にまとめて」表示することは、当業者が容易に想到できたものとはいえない。 以上のとおりであるから、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明1は、甲6発明、あるいは、甲6発明及び上記周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 ウ 本件発明2~9,11~13も、同様の理由により、甲6発明ではなく、甲6発明、あるいは、甲6発明及び上記周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではないから、その新規性及び進歩性を否定することはできない。 4 サポート要件違反・実施可能要件違反 (1)申立人の主張の概要 申立人は、訂正前の特許請求の範囲に関し、サポート要件及び実施可能要件に係る理由も申し立てており、その理由は、以下のとおりである(特許異議申立書第77~78ページ)。 ア 本件発明1には,構成として「前記入力領域で受け付けた値であって,前記画面を表示するデバイスの種類に対応する値に基づく表示サイズで前記部品を表示するアプリケーションを構築する構築手段」を含む. イ 一方,明細書及び図面に開示された構築手段は,「Webアプリケーション」に係るものであり(段落0002~段落0003,段落0015,段落0056,段落0077参照),「Webアプリケーション」以外のアプリケーションの構築手段に関しては,段落0017に次のように言及されるだけである. 「【0017】なお、この実施形態においては、プログラム開発装置101で生成するアプリケーションはWebアプリケーションとしたが、これに限定するものではなく、携帯電話・スマートフォン・タブレットなどの情報処理装置で動作するアプリケーションや組込みソフトウェアなど、Web技術による通信を利用したアプリケーションでなくてもよい。」 ウ WebアプリケーションとWebアプリケーション以外のアプリケーションは,その構築方法が異なることが,当業者に知られている.例えば,「前記画面を表示するデバイスの種類に対応する値に基づく表示サイズで前記部品を表示する」ために,開示された実施形態ではメディアクエリを用いているところ,これはWebアプリケーション特有の方法であり,Webアプリケーション以外のアプリケーションの構築には利用できない. エ 出願時の技術常識に照らしても,明細書の開示内容をすべてのアプリケーションに適用されるよう拡張又は一般化することは困難である.(これは「組込みソフトウェア」で顕著である.) オ よって,請求項1及びこれを引用する請求項2から請求項11並びに請求項13は請求項に係る発明が発明の詳細な説明に記載した範囲を超えるものである. 情報処理方法に係る請求項12に関しても,同様に,請求項に係る発明が発明の詳細な説明に記載した範囲を超えるものである. カ また,前記理由から,当業者が,明細書及び図面に記載された発明の実施についての説明と出願時の技術常識とに基づいて,請求項に係る発明を実施しようとした場合に,Webアプリケーション以外のアプリケーションについて,請求項1に示す構築手段及び請求項12に示す構築ステップをどのように実装するかを理解できない.よって,本願の発明の詳細な説明は,当業者が請求項1から請求項13に係る発明を実施することができる程度に発明の詳細な説明が記載されたものではない. (2)当審の判断(サポート要件) ア サポート要件の判断基準 特許請求の範囲の記載がサポート要件に適合するか否かは、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載とを対比し、特許請求の範囲に記載された発明が、発明の詳細な説明に記載された発明であって、発明の詳細な説明の記載により当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否か、また、その記載や示唆がなくとも、当業者が本件特許の出願時の技術常識に照らして当該発明の課題を解決できる範囲のものであるか否かを検討して判断すべきものである。 以下、この観点により検討する。 イ サポート要件の判断 (ア)訂正後の本件特許の特許請求の範囲の記載は、上記第3で示したとおりのものである。 (イ)一方、本件特許明細書の発明の詳細な説明の記載(【0011】、【0013】)からみて、本件発明が解決しようとする課題は、「デバイスの種類に応じたアプリケーション画面を容易に設計できる仕組みを提供すること」(以下「本件課題」という。)にあると認められる。 (ウ)また、上記(イ)に係る本件課題に係る解決手段は、プログラム開発装置101が、開発者の操作に従って、UI部品のサイズをデバイスごとに設定することによって、UI定義を含む画面レイアウトを定義したこと(【0016】、【0041】、【0046】、【0106】、【0108】、【0146】、【0149】、【図13】、【図14】、【図21】)にあるといえる。 (エ)そして、上記(ウ)に示した解決手段によって定義された画面レイアウトに基づき、プログラム開発装置101がアプリケーションを生成する段階(【0017】、【0037】、【0046】、【0077】~【0078】)では、上記(イ)に係る本件課題は、既に解決されているものであるといえる。 (オ)してみれば、上記(エ)の段階において、どのような種類の「アプリケーション」を生成しようとも、その構成は、上記(イ)に係る本件課題を解決できると認識できる範囲のものである。 (カ)したがって、申立人の上記(1)の主張のうち、サポート要件に係る主張は採用できない。 (3)当審の判断(実施可能要件) ア 実施可能要件の判断基準 (物の発明) 物の発明における実施とは、その物の生産、使用等をする行為をいうから(特許法2条3項1号)、例えば、明細書等にその物を生産することができる具体的な記載があるか、そのような記載がなくても、出願時の技術常識に基づいて当業者がその物を生産することができるのであれば、実施可能要件を満たすということができる。 (方法の発明) 方法の発明における実施とは、その方法の使用をする行為をいうから(特許法2条3項2号)、方法の発明について、例えば、明細書等にその方法を使用することができることの具体的な記載があるか、そのような記載がなくても、出願時の技術常識に基づいて当業者がその方法を使用することができるのであれば、実施可能要件を満たすということができる。 以下、この観点により検討する。 イ 実施可能要件の判断 (ア)本件特許明細書の発明の詳細な説明には、開発者の操作に従って定義された画面レイアウトに基づき、プログラム開発装置101が「Webアプリケーション」を生成すること(【0037】、【0077】~【0078】)が具体的に記載されており、また、【0017】には、生成するアプリケーションは、Webアプリケーションに限定されず、「携帯電話・スマートフォン・タブレットなどの情報処理装置で動作するアプリケーション」や「組込みソフトウェア」などでもよい、と記載されている。 (イ)そして、上記(ア)に示した「携帯電話・スマートフォン・タブレットなどの情報処理装置で動作するアプリケーション」や「組込みソフトウェア」においても、所定の大きさの表示画面を備えるデバイスに搭載されて実行され、当該画面内の所定の位置に所定のサイズのUI部品を表示させる機能を、例えばC言語のような一般的なプログラミング言語で記述されたプログラムを生成させることによって、作成して使用できることは、顕著な事実である。 (なお、特に「携帯電話・スマートフォン・タブレットなどの情報処理装置で動作するアプリケーション」については、甲第14号証に係る「PWA(Progressive Web Apps)」や、「PhoneGap(その後のApache Cordova)」のような、本件特許の出願前に当業者によく知られたソリューションによって、「アプリケーション」を作成して使用できることも明らかである。) (ウ)一方、申立人の上記(1)の主張のうち、実施可能要件に係る主張は、要するに、Webアプリケーション以外のアプリケーションについて、請求項1に示す構築手段及び請求項12に示す構築ステップをどのように実装するのかを理解できない、というものであるが、申立人は、Webアプリケーション以外のアプリケーションが構築できないことを立証していない。 (エ)上記(ア)~(ウ)を踏まえると、当業者であれば、出願時の技術常識に基づいて、Webアプリケーションに限られない「アプリケーション」を作成して使用できると推認できるから、本件発明に関する発明の詳細な説明の記載は、実施可能要件に適合する。 第6 むすび 以上のとおりであるから、取消理由通知書に記載した取消理由及び特許異議の申立ての理由によっては、請求項1~9、11~13に係る特許を取り消すことはできない。また、他にこれらの特許を取り消すべき理由を発見しない。 また、請求項10に係る特許に対する特許異議の申立ては、本件訂正により当該請求項10が削除されたことにより申立ての対象が存在しないものとなったため、特許法第120条の8第1項で準用する同法第135条の規定により却下する。 よって、結論のとおり決定する。

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2025-700783

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