特許異議申立
2026-700070
製袋包装装置
- 審判番号
- 2026-700070
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2021-204291
- 登録番号
- 7719497
- 請求日
- 2026年01月22日
- 審決日
- 2026年04月24日
- 公報発行日
- 2026年06月26日
- 結論
- 維持
- 当事者
- 【権利者】株式会社イシダ
- 【権利者代理人】弁理士法人新樹グローバル・アイピー
- 【異議申立人】笹本 博之
- 審判長/審判官
- 審判長 梶尾 誠哉
- 審判官 河本 充雄
- 審判官 緑川 隆
- 分類
- P1651.121-Y (B65B)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第7719497号発明「製袋包装装置」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第7719497号の請求項1~5に係る特許を維持する。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特許第7719497号の請求項1~5に係る特許(以下、「本件特許」という。)についての出願は、令和3年12月16日の出願であって、令和7年7月29日にその特許権の設定登録がされ、同年8月6日に特許掲載公報が発行された。その後、本件特許に対し、令和8年1月22日に特許異議申立人 笹本博之(以下、「申立人」という。)により特許異議の申立てがされ、同年3月12日に申立人から手続補正書(方式)が提出されたものである。
第2 本件発明
本件特許の請求項1~5に係る発明(以下、「本件発明1」~「本件発明5」といい、まとめて「本件発明」ともいう。)は、その特許請求の範囲の請求項1~5に記載された事項により特定される次のとおりのものである。
「【請求項1】
商品が包装された袋を製造する製袋包装装置であって、
前記商品が内部を落下する筒部材と、
シート状の包材を筒状に成形するために前記筒部材に前記包材を巻きつかせるフォーマと、
筒状の前記包材を下流側に搬送する搬送機構と、
筒状の前記包材の合わせ目を縦にシールする縦シール機構と、
筒状の前記包材に外側から接して、筒状の前記包材を角筒状に成形する第1部材と、
角筒状の前記包材を横にシールし、前記包材に横シール部を形成する横シール機構と、
前記横シール部を折る第2部材と、
制御部と、
を備え、
前記制御部は、第1方向に前記第2部材を動かして前記横シール部を折った後に、前記搬送機構による前記包材の搬送方向に前記第2部材を動かし、
前記横シール機構は、筒状の前記包材を挟んで対向配置される第1シールジョー及び第2シールジョーと、前記第1シールジョー及び前記第2シールジョーを駆動するシールジョー駆動部とを有し、
前記シールジョー駆動部は、前記第1シールジョー及び前記第2シールジョーを前記第1方向に沿って移動させる第1駆動部と、前記第1シールジョー及び前記第2シールジョーを前記包材の搬送方向に沿って移動させる第2駆動部とを有しており、
前記第2駆動部は、さらに、前記第2部材を前記包材の搬送方向に沿って移動させる、
製袋包装装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記横シール部を折った後、前記包材の搬送方向に前記第2部材を動かすとともに、前記第1方向の反対方向である第2方向に前記第2部材を動かす、
請求項1に記載の製袋包装装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記搬送機構による前記包材の搬送を止めた状態で、前記第1方向に前記第2部材を動かして前記横シール部を折り、前記横シール部を折った後、前記包材の搬送方向に前記第2部材を動かし、前記搬送機構による前記包材の搬送を再開させる、
請求項1又は2に記載の製袋包装装置。
【請求項4】
前記第1駆動部とは別の、前記第1方向に前記第2部材を移動させる第3駆動部、
をさらに備える、請求項1から3のいずれかに記載の製袋包装装置。
【請求項5】
前記第1方向は、水平方向に沿った方向であり、
前記搬送機構による前記包材の搬送方向は、鉛直下向きの方向である、
請求項1から4のいずれかに記載の製袋包装装置。」
第3 申立理由の概要
申立人は、証拠として甲第1号証~甲第3号証(以下、「甲1」~「甲3」という。)を提出し、以下の理由により、本件特許を取り消すべきものである旨主張している。
申立理由1(進歩性)
本件発明1~5は、甲1~甲3に記載された発明に基いて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、本件特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。
[証拠方法]
甲1:独国特許発明第19704174号明細書
甲2:特開2000-335511号公報
甲3:特許第7646170号公報
なお、本件特許についての出願は、令和3年12月16日の出願であるところ、甲3は、令和7年3月17日に発行されたものであるから、本件発明に対する公知文献ではない。
第4 甲号証の記載及び甲号証に記載された発明
1 甲1(独国特許発明第19704174号明細書)
(1)甲1には以下の記載がある。なお、甲1の記載は、合議体の訳文で示す(下線は合議体が付した。以下、同様である。)。
ア 「充填チューブの端部に設けられたプランジャは、駆動機構によって底部スライダに対して垂直に移動可能であるため、底部タブの折り返しはより正確で、製造されるパウチの底部を損傷することもない。プランジャは底部に対して下げられ、所定の位置に固定される。」(2欄12~18行)
イ 「図1は、縦型管状製袋機の充填チューブを一部断面で示す側面図であり、充填チューブ内部の空気圧シリンダによって駆動されるプランジャ、充填チューブの周囲にガイドされたフィルムチューブの底部タブのシールと、完成した開口部のある空袋の上部シーム領域の冷間圧縮を行う際にD曲線に沿って移動する2つの逆回転横シールジョー、およびフィルムチューブの底部まで伸び、ヒンジを介して空気圧シリンダに接続された底部スライダを示している。
図2は、一部断面で示す側面図であり、図1の対象物を示しているが、横シールジョーが下降して開き、プランジャが下降し、底部スライダが伸長してシールされた底部タブを囲み、空袋が取り外されている。
管状製袋機において、フィルムチューブlは充填チューブ2を取り囲んでいる(図1)。フィルムチューブ1をシールするために、D曲線3に沿ってそれぞれ移動可能な、互いに逆回転する2つの横方向シールジョー4、5が用いられる。横方向シールジョー4、5の上部シール面6は上部加熱カートリッジ7によって加熱されるが、下部加熱カートリッジ8は作動しないため、下部シール面9はフィルムシールに十分な温度に達しない。こうして、上面が開口した空のパウチ10が生成される。空のパウチ10として設計された各管状袋11は、ピアシングナイフ12によってフィルムチューブ1から分離される。
横方向シールジョー4、5は、D曲線3の直線部13に沿って移動している間、常にその空間的な向きを維持する。すなわち、水平軸を中心に回転または旋回することはない。D曲線3の直線部13に沿って移動すると、シール面6、9を互いに圧接し、
上部シール面6がフィルムチューブ1の底部タブ14を溶着する。直線部13の下端15において、フィルムチューブ1はピアシングナイフ12によって切断される(図1)。次に、横方向シールジョー4、5が開き、D曲線3の曲線部16に沿って上方に移動する。横方向シールジョー4、5は、D字型経路全体にわたって動き続ける。横方向シールジョー4、5が離れると(図2)、底部タブ14が解放され、伸長した底部スライダ17によって直ちに折り畳まれる。
横方向シールジョー4、5によって解放され、シール工程でまだ温まっている底部タブ14は、高温のため容易に折り畳まれ、冷却後も折り畳まれた状態を良好に維持する。底部スライダ17は、製造される筒状袋11の底部18と平行に偏向され、その後、戻される。底部スライダ17は横方向シールジョー4に接続されており、横方向シールジョー4とともにD曲線3に沿って連続的に円運動を行う。
底部スライダ17は横方向シールジョー4と充填チューブ2の間に位置し、横方向シールジョー4にスライド可能に接続されている。底部スライダ17は、駆動装置19として機能する空気圧シリンダ20によって、横方向シールジョー4のシール面6に向かって移動し、また元の位置に戻ることができる。
底部スライダ17の駆動装置19は、底部スライダ17とともにジョイント21を中心に旋回可能である。そのため、図2に示す位置では、横方向シールジョー4、5は、図1に示す位置と比較して、ジョイント21を中心にわずかに旋回する。」(2欄50行~3欄47行)
ウ 「特許請求の範囲
1.フィルムチューブを受け入れる充填チューブと、フィルムチューブをシールするための少なくとも2つの逆回転する横方向シールジョーとを備え、横方向シールジョー(4)に底部スライダ(17)が設けられ、横方向シールジョー(4)に接続され、横方向シールジョー(4)と共にD曲線(3)に沿って移動可能であり、底部スライダ(17)は、横方向シールジョー(4)と充填チューブ(2)との間に配置され、管状製袋(11)の底部(18)に沿って移動して底部タブ(14)全体を折り畳むことができ、充填チューブ(2)内の充填チューブの下端には、駆動装置(24)によって底部スライダ(17)に対して垂直に移動可能なプランジャ(23)が設けられていることを特徴とする管状製袋機。」(4欄19~37行)
「
[図:0001436218000001.jpg]
[図:0001436218000002.jpg]
」
(2)甲1に記載された発明
ア 上記(1)ウによれば、甲1には、フィルムチューブを受け入れる充填チューブと、フィルムチューブをシールするための少なくとも2つの逆回転する横方向シールジョーとを備え、横方向シールジョーに底部スライダが設けられ、横方向シールジョーに接続され、横方向シールジョーと共にD曲線に沿って移動可能であり、底部スライダは、横方向シールジョーと充填チューブとの間に配置され、管状製袋の底部に沿って移動して底部タブ全体を折り畳むことができ、充填チューブ内の充填チューブの下端には、駆動装置によって底部スライダに対して垂直に移動可能なプランジャが設けられている管状製袋機が記載されている。
イ 上記(1)イによれば、管状製袋機においては、上面が開口した空のパウチが生成されるものであり、横方向シールジョーは、D曲線の直線部に沿って移動している間、常にその空間的な向きを維持し、D曲線の直線部に沿って移動すると、シール面を互いに圧接し、上部シール面がフィルムチューブの底部タブを溶着し、次に、横方向シールジョーが開き、D曲線の曲線部に沿って上方に移動し、横方向シールジョーは、D字型経路全体にわたって動き続け、横方向シールジョーが離れると、底部タブが解放され、伸長した底部スライダによって直ちに折り畳まれ、底部スライダは、シール面に向かって移動し、また元の位置に戻ることができるものである。
ウ 以上によれば、甲1には、以下の発明(以下、「甲1発明」という。)が記載されているといえる。
「フィルムチューブを受け入れる充填チューブと、フィルムチューブをシールするための少なくとも2つの逆回転する横方向シールジョーとを備え、横方向シールジョーに底部スライダが設けられ、横方向シールジョーに接続され、横方向シールジョーと共にD曲線に沿って移動可能であり、底部スライダは、横方向シールジョーと充填チューブとの間に配置され、管状製袋の底部に沿って移動して底部タブ全体を折り畳むことができ、充填チューブ内の充填チューブの下端には、駆動装置によって底部スライダに対して垂直に移動可能なプランジャが設けられている管状製袋機であって、
管状製袋機においては、上面が開口した空のパウチが生成されるものであり、
横方向シールジョーは、D曲線の直線部に沿って移動している間、常にその空間的な向きを維持し、D曲線の直線部に沿って移動すると、シール面を互いに圧接し、上部シール面がフィルムチューブの底部タブを溶着し、次に、横方向シールジョーが開き、D曲線の曲線部に沿って上方に移動し、横方向シールジョーは、D字型経路全体にわたって動き続け、横方向シールジョーが離れると、底部タブが解放され、伸長した底部スライダによって直ちに折り畳まれ、底部スライダは、シール面に向かって移動し、また元の位置に戻ることができる、管状製袋機。」
(3)申立人の主張
ア 申立人は、特許異議申立書の8ページ下から6行~14ページ4行において、甲1の請求項1、1欄37~60行、3欄10~47行、図1、図2の記載によれば、甲1には以下の発明が記載されている旨主張している。
「A 商品が内部を落下する充填チューブ(2)(筒部材)と、筒状に成形したフィルムチューブ(1)(包材)に底部タブ(14)(横シール部)を形成する横方向シールジョー(4)(横シール機構)と、底部タブ(14)を折る底部スライダ(17)(第2部材)とを備え、
・・・管状製袋機(製袋包装装置)。」
イ しかし、甲1には、充填チューブの内部を商品が落下することは記載も示唆もされていない。
したがって、甲1の記載から、「商品が内部を落下する充填チューブ」との構成を発明として認定することはできない。
よって、申立人の上記主張は採用できない。
2 甲2(特開2000-335511号公報)
甲2には、以下の記載がある。
「【請求項1】 被包装物を供給するためのフォーミングチューブの外周面に帯状の包装フィルムを筒状に巻き付け、その包装フィルムの両側端部を縦シールして該包装フィルムを筒状に成形するとともに、該包装フィルムを一対のヒータブロックで横方向から挟み込んで横シールすることにより、袋状の包装体を形成し、かつこの包装体の内部に前記フォーミングチューブを通して被包装物を充填し、下方に移送する機能を備えた縦型製袋充填包装機において、
前記ヒータブロックの直上位置で横方向に移動して、前記包装体の底部に形成した横シール部を該包装体の底面側に折り曲げる折り込み部材を備えたことを特徴とする平底形成装置。」
「【0014】同図に示すように、この実施形態に係る縦型製袋充填包装機は、包装フィルムFを筒状に成形するためのフォーミングチューブ1を備えており、図示しない巻回ドラムから引出されてきた帯状の包装フィルムFを、このフォーミングチューブ1の外周面へ筒状に巻き付けながら繰出しベルト3によって下方に移送していくとともに、フォーミングチューブ1に巻き付けた包装フィルムFを、縦ヒータブロック4を使用して縦シールし筒状に成形する。
【0015】続いて、筒状に成形した包装フィルムFをフォーミングチューブ1の下方に繰り出し、一対の横ヒータブロック5A,5Bにより横方向から挟み込んで横シールすることにより袋状の包装体10を形成した後、フォーミングチューブ1を介して包装体10の内部に被包装物を充填する。また、包装フィルムFの横シール時には、包装体10の側面下部へ底部折り込み板6が差し込まれ(図13参照)、包装体10の底部を平底に形成する構成を備えている。
【0016】さらに、この実施形態に係る縦型製袋充填包装機は、横ヒータブロック5Aの直上位置で横方向に移動して、包装体10の底部に形成した横シール部12を折り曲げるための折り込み部材100と、横ヒータブロック5A,5Bによる横シール位置から下方に移送されてきた包装体10の底部11を冷却する中間冷却手段200と、落下してきた包装体10を搬送する搬送手段300とを含む平底形成装置を備えている。
【0017】図2乃至図6は折り込み部材100とその周辺に設けられた構成要素を説明するための図であり、各図の(a)は平面図、(b)は概略正面図である。まず、図2を参照して折り込み部材100とその周辺構造について説明する。各横ヒータブロック5A,5Bは、互いに対向して、それぞれブロック支持体7A,7Bに固定されている。各ブロック支持体7A,7Bは、各横ヒータブロック5A,5Bを開閉するために、各々図示左右方向に移動自在となっている。
【0018】そして、一方のブロック支持体7A(以下、左ブロック支持体7Aという)の上面には、折り込み固定ホルダ101が搭載してあり、この折り込み固定ホルダ101の側面からは、2本の折り込み案内ロッド102が延出している。これら折り込み案内ロッド102には、ガイドブッシュ103を介して折り込み部材本体104が摺動自在に支持してある。この折り込み部材本体104は、図示しないコイルスプリング等の付勢部材を介して、図示左方向に常時付勢されている。
【0019】折り込み部材本体104の中央部には、図2(b)に示す支軸105を介して板状の折り込み部材100が装着してあり、この折り込み部材100が折り込み部材本体104と一体に図示左右方向へ移動自在となっている。折り込み部材100は、図2(b)に示すように、横ヒータブロック5Aの直上位置に配置してあり、横ヒータブロック5Aの上面に沿って移動する。」
「【図2】
[図:0001436218000003.jpg]
【図3】
[図:0001436218000004.jpg]
【図4】
[図:0001436218000005.jpg]
【図5】
[図:0001436218000006.jpg]
【図6】
[図:0001436218000007.jpg]
」
なお、上記第3で検討したとおり、甲3は、本件発明に対する公知文献ではないから、甲3の摘記は省略する。
第5 申立理由1(進歩性)について
1 本件発明1について
(1)対比
本件発明1と甲1発明とを対比する。
ア 甲1発明の「管状製袋機」は、袋を製造する製袋装置といえるから、本件発明1とは、「袋を製造する製袋」「装置」である点で共通する。
イ 甲1発明の「充填チューブ」は、筒状の部材であるといえるから、本件発明1の「筒部材」に相当し、本件発明1と甲1発明とは、「筒状部材」を備える点で共通する。
ウ 甲1発明において、「フィルムチューブ」は、筒状の包材といえる。
また、甲1発明において、「横方向シールジョーは、D曲線の直線部に沿って移動している間、常にその空間的な向きを維持し、D曲線の直線部に沿って移動すると、シール面を互いに圧接し、上部シール面はフィルムチューブの底部タブを溶着」するものであるから、「フィルムチューブ」を横に「溶着」し、「フィルムチューブ」に「底部タブ」を形成する横溶着機構を備えているといえる。
そうすると、甲1発明の「フィルムチューブ」、「溶着」、「底部タブ」は、本件発明1の「筒状」の「包材」、「シール」、「横シール部」にそれぞれ相当し、本件発明1と甲1発明とは、「筒状」の「包材を横にシールし、前記包材に横シール部を形成する横シール機構」を備える点で共通する。
エ 甲1発明の「底部スライダ」は、「管状製袋の底部に沿って移動して底部タブ全体を折り畳むことができ」るものであるから、「底部タブ」を折る部材であるといえる。
そうすると、甲1発明の「底部スライダ」は、本件発明1の「前記横シール部を折る第2部材」に相当し、本件発明1と甲1発明とは、「前記横シール部を折る第2部材」を備える点で共通する。
オ 甲1発明が、「管状製袋機」の動作を制御する制御部を備えることは自明の事項であるから、本件発明1と甲1発明とは「制御部」を備える点で共通する。
また、甲1発明は、「横方向シールジョーが離れると、底部タブが解放され、伸長した底部スライダによって直ちに折り畳まれるもの」であるから、上記制御部は、第1方向に「底部スライダ」を動かして「底部タブ」を折っているといえる。
そうすると、本件発明1と甲1発明とは、「前記制御部は、第1方向に前記第2部材を動かして前記横シール部を折っ」ている点で共通する。
カ 甲1発明の「2つの逆回転する横方向シールジョー」は、「フィルムチューブをシールするための」ものであるから、「フィルムチューブ」を挟んで対向配置されるといえる。
また、甲1発明において、上記ウの横溶着機構が、「2つの逆回転する横方向シールジョー」を駆動するシールジョー駆動部を有することは自明の事項である。
そうすると、甲1発明の「2つの逆回転する横方向シールジョー」は、それぞれ、本件発明1の「第1シールジョー」、「第2シールジョー」に相当し、本件発明1と甲1発明とは、「前記横シール機構」が、「筒状の前記包材を挟んで対向配置される第1シールジョー及び第2シールジョーと、前記第1シールジョー及び前記第2シールジョーを駆動するシールジョー駆動部とを有し」ている点で共通する。
キ 以上によれば、本件発明1と甲1発明との一致点、相違点は以下のとおりとなる。
<一致点>
「袋を製造する製袋装置であって、
筒部材と、
筒状の包材を横にシールし、前記包材に横シール部を形成する横シール機構と、
前記横シール部を折る第2部材と、
制御部と、
を備え、
前記制御部は、第1方向に前記第2部材を動かして前記横シール部を折り、
前記横シール機構は、筒状の前記包材を挟んで対向配置される第1シールジョー及び第2シールジョーと、前記第1シールジョー及び前記第2シールジョーを駆動するシールジョー駆動部とを有している、
製袋包装装置。」
<相違点>
相違点1:本件発明1は、「商品が包装された袋を製造する製袋包装装置」であるのに対し、甲1発明は、「上面が開口した空のパウチ」を「生成」する「管状製袋機」である点。
相違点2:筒部材について、本件発明1は、「前記商品が内部を落下する」のに対し、甲1発明は、「充填チューブ内の充填チューブの下端には、駆動装置によって底部スライダに対して垂直に移動可能なプランジャが設けられて」いる点。
相違点3:本件発明1は、「シート状の包材を筒状に成形するために前記筒部材に前記包材を巻きつかせるフォーマと、
筒状の前記包材を下流側に搬送する搬送機構と、
筒状の前記包材の合わせ目を縦にシールする縦シール機構と、
筒状の前記包材に外側から接して、筒状の前記包材を角筒状に成形する第1部材と、」を備え、「横シール機構」が、「角筒状の前記包材を横にシールし」ているのに対し、甲1発明は、「フィルムチューブ」を横に「溶着」しているものの、その他の構成を備えていない点。
相違点4:本件発明1は、「前記制御部」が「第1方向に前記第2部材を動かして前記横シール部を折った後に、前記搬送機構による前記包材の搬送方向に前記第2部材を動かし」、「前記第2駆動部は、さらに、前記第2部材を前記包材の搬送方向に沿って移動させ」ているのに対し、甲1発明は、制御部が、第1方向に「底部スライダ」を動かして「底部タブ」を折っているものの、その後の「底部スライダ」は、「元の位置に戻」る点。
相違点5:シールジョー駆動部について、本件発明1は、「前記第1シールジョー及び前記第2シールジョーを前記第1方向に沿って移動させる第1駆動部と、前記第1シールジョー及び前記第2シールジョーを前記包材の搬送方向に沿って移動させる第2駆動部とを有して」いるのに対し、甲1発明は、「2つの逆回転する横方向シールジョー」を「D曲線に沿って移動」させる駆動部を有している点。
相違点6:本件発明は、「前記第2駆動部は、さらに、前記第2部材を前記包材の搬送方向に沿って移動させる」のに対し、甲1発明は、そのような構成を備えていない点。
(2)相違点についての判断
本件発明1の「製袋包装装置」は、「商品」が、「筒部材」の「内部を落下」して、「商品が包装された袋を製造する」ものであるから、相違点1及び相違点2をまとめて検討する。
ア 甲1発明は、「上面が開口した空のパウチ」を「生成」する「管状製袋機」であって、「充填チューブ内の充填チューブの下端には、駆動装置によって底部スライダに対して垂直に移動可能なプランジャが設けられて」いるものであるから、「充填チューブ」の内部に商品を落下させることはできない。
そして、甲1発明の「プランジャ」について、甲1(上記第4 1(1)ア参照)には、「充填チューブの端部に設けられたプランジャは、駆動機構によって底部スライダに対して垂直に移動可能であるため、底部タブの折り返しはより正確で、製造されるパウチの底部を損傷することもない。プランジャは底部に対して下げられ、所定の位置に固定される。」と記載されている。
そうすると、甲1発明の「上面が開口した空のパウチ」を「生成」する「管状製袋機」において、「充填チューブ内の充填チューブの下端」に「設けられて」いる「プランジャ」は必須の構成であるから、この構成に代えて、「充填チューブ」の内部を商品が落下するようにして、商品が包装された「パウチ」を製造する製袋包装装置とすることには阻害要因がある。そして、このことは、甲2及び甲3の記載に左右されるものではない。
イ したがって、甲1発明において、相違点1及び相違点2に係る本件発明1の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たものとはいえない。
(3)小括
以上によれば、その他の相違点について判断するまでもなく、本件発明1は、甲1発明、甲2及び甲3に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
2 本件発明2~5について
本件発明2~5は、本件発明1の全ての構成を備える発明であるから、本件発明1と同様に、甲1発明、甲2及び甲3に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
3 まとめ
以上によれば、申立理由1(進歩性)には理由がない。
第6 むすび
以上のとおりであるから、特許異議の申立ての理由及び証拠によっては、本件特許を取り消すことはできない。
また、他に本件特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
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2026-700070