特許異議申立
2017-700411
ドライフィルムおよびプリント配線板
- 審判番号
- 2017-700411
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2014-194603外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2017年04月25日
- 審決日
- 2018年01月18日
- 公報発行日
- 2018年06月29日
- 結論
- 請求成立(取消)
- 分類
- P1651.121-ZAA(C08J)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第120条の5第2項、特許法第29条第1項第3号、特許法第29条
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特許第6018148号発明「ドライフィルムおよびプリント配線板」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
【結 論】
特許第6018148号の明細書及び特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正明細書及び訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1ないし4〕について訂正することを認める。
特許第6018148号の請求項1ないし4に係る特許を取り消す。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
特許第6018148号(以下、「本件特許」という。)の請求項1ないし4に係る特許についての出願は、平成25年6月28日に出願した特願2013-137184号(以下、「原出願」という。)の一部を平成26年9月25日に新たな特許出願としたものであって、平成28年10月7日にその特許権の設定登録がされ、その後、その特許に対し、平成29年4月25日に特許異議申立人 山内 生平(以下、「特許異議申立人」という。)により特許異議の申立てがされ、同年6月19日付けで取消理由が通知され、同年8月21日に特許権者 太陽インキ製造株式会社より訂正請求(以下、「本件訂正の請求」という。)がされるとともに意見書が提出され、同年8月23日付けで訂正請求があった旨の通知がされ、同年9月25日に特許異議申立人より意見書が提出され、同年10月24日付けで取消理由(決定の予告)が通知されたが、特許権者からは応答がなかったものである。
第2 訂正の適否について
1 訂正の内容
本件訂正の請求による訂正の内容は、次のとおりである。なお、下線は訂正箇所を示すものである。
(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に「熱硬化性樹脂成分と、フィラーと、少なくとも2種の溶剤とを含有する樹脂層を有するドライフィルムであって、」とあるのを、「熱硬化性樹脂成分と、フィラーと、少なくとも3種の溶剤とを含有する樹脂層を有するドライフィルムであって、」に訂正する。
併せて、特許請求の範囲の請求項1を引用する請求項2ないし4についても、請求項1を訂正したことに伴う訂正をする。
(2)訂正事項2
特許請求の範囲の請求項1に「前記少なくとも2種の溶剤が、いずれも沸点が100℃以上であり、かつ、沸点が5℃以上異なり、」とあるのを、「前記少なくとも3種の溶剤が、いずれも沸点が100℃以上であり、かつ、沸点が10℃以上異なり、」に訂正する。
併せて、特許請求の範囲の請求項1を引用する請求項2ないし4についても、請求項1を訂正したことに伴う訂正をする。
(3)訂正事項3
特許請求の範囲の請求項1に「前記少なくとも2種の溶剤が、イソブチルアルコール、トルエン、n-ブタノール、酢酸ブチル、2-メトキシプロパノール、酢酸イソブチル、テトラクロロエチレン、エチレングリコールモノメチルエーテル、メチルブチルケトン、イソペンチルアルコール、エチレングリコールモノエチルエーテル、N,N-ジメチルホルムアミド、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、テレビン油、シクロヘキサノン、エチレングリコールモノブチルエーテル、キシレン、石油系ナフサおよび炭素数が8以上の芳香族炭化水素からなる群より選ばれる少なくとも2種であり、」とあるのを、「前記少なくとも3種の溶剤が、トルエン、シクロヘキサノン、および炭素数が9以上の芳香族炭化水素からなる群より選ばれる少なくとも3種であり、」に訂正する。
併せて、特許請求の範囲の請求項1を引用する請求項2ないし4についても、請求項1を訂正したことに伴う訂正をする。
(4)訂正事項4
願書に添付した明細書の【0081】に記載された【表1】中及び【0097】に記載された【表5】中、実施例4~7をそれぞれ参考例4~7に訂正する。
(5)訂正事項5
願書に添付した明細書の【0077】、【0086】、【0088】ないし【0093】、【0095】及び【0096】に記載された「実施例」を、「実施例、参考例」に訂正する。
(6)訂正事項6
願書に添付した明細書の【0078】に記載された「実施例1~13、16、19、参考例14、15、17、18」を、「実施例1~3、8~13、16、19、参考例4~7、14、15、17、18」に訂正する。
(7)訂正事項7
願書に添付した明細書の【0085】に記載された「実施例1~19」を、「実施例1~3、8~13、16、19、参考例4~7、14、15、17、18」に訂正する。
(8)訂正事項8
願書に添付した明細書の【0101】に記載された「実施例1~13、16、19」を、「実施例1~3、8~13、16、19」に訂正する。
2 訂正の目的の適否、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内か否か、特許請求の範囲の拡張・変更の存否、願書に添付した明細書又は図面の訂正に係る請求項の全てについて訂正の請求を行っているか及び一群の請求項
(1)訂正事項1について
訂正事項1は、訂正前の特許請求の範囲の請求項1に「少なくとも2種の溶剤」とあるのを、「少なくとも3種の溶剤」に限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
また、訂正事項1は、願書に添付した明細書の【0038】、【0081】の【表1】及び【0082】の【表2】等の記載に基づくものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものである。
さらに、訂正事項1は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
(2)訂正事項2について
訂正事項2は、訂正前の特許請求の範囲の請求項1に「少なくとも2種の溶剤」とあるのを、「少なくとも3種の溶剤」に限定した上で、「沸点」が「5℃以上異なる」ものから「10℃以上異なる」ものに限定したものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
また、訂正事項2は、願書に添付した明細書の【0035】、【0038】、【0081】の【表1】及び【0082】の【表2】等の記載に基づくものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものである。
さらに、訂正事項2は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
(3)訂正事項3について
訂正事項3は、訂正前の特許請求の範囲の請求項1に「少なくとも2種の溶剤が、イソブチルアルコール、トルエン、n-ブタノール、酢酸ブチル、2-メトキシプロパノール、酢酸イソブチル、テトラクロロエチレン、エチレングリコールモノメチルエーテル、メチルブチルケトン、イソペンチルアルコール、エチレングリコールモノエチルエーテル、N,N-ジメチルホルムアミド、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、テレビン油、シクロヘキサノン、エチレングリコールモノブチルエーテル、キシレン、石油系ナフサおよび炭素数が8以上の芳香族炭化水素からなる群より選ばれる少なくとも2種であり、」とあるのを、「少なくとも3種の溶剤」に限定した上で、溶剤の種類を「イソブチルアルコール、トルエン、n-ブタノール、酢酸ブチル、2-メトキシプロパノール、酢酸イソブチル、テトラクロロエチレン、エチレングリコールモノメチルエーテル、メチルブチルケトン、イソペンチルアルコール、エチレングリコールモノエチルエーテル、N,N-ジメチルホルムアミド、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、テレビン油、シクロヘキサノン、エチレングリコールモノブチルエーテル、キシレン、石油系ナフサおよび炭素数が8以上の芳香族炭化水素からなる群より選ばれる少なくとも2種」から「トルエン、シクロヘキサノン、および炭素数が9以上の芳香族炭化水素からなる群より選ばれる少なくとも3種」に限定したものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
また、訂正事項3は、願書に添付した明細書の【0036】ないし【0038】、【0081】の【表1】及び【0082】の【表2】等の記載に基づくものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものである。
さらに、訂正事項3は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
(4)訂正事項4ないし8について
訂正事項4ないし8は、訂正事項1ないし3による訂正に伴って、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載との整合を図るためのものであるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
また、訂正事項4ないし8は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものである。
さらに、訂正事項4ないし8は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
さらにまた、訂正事項4ないし8は、願書に添付した明細書の訂正であるが、本件訂正の請求は、訂正前の請求項の全てについて行っている。
(5)一群の請求項
訂正前の請求項2ないし4は訂正前の請求項1を直接的又は間接的に引用するものであるので、訂正前の請求項1ないし4は一群の請求項である。
そして、本件訂正の請求は、訂正前の請求項1ないし4に対してされたものである。
したがって、本件訂正の請求は、一群の請求項に対して請求されたものである。
3 むすび
以上のとおりであるから、本件訂正の請求は、特許法第120条の5第2項ただし書き第1及び3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第4項及び同条第9項において準用する同法第126条第4ないし6項の規定に適合する。
そして、特許異議の申立ては、訂正前の全ての請求項に対してされているので、訂正を認める要件として、同法第120条の5第9項において読み替えて準用する同法第126条第7項に規定する独立特許要件は課されない。
したがって、本件訂正の請求は適法なものであり、訂正後の請求項〔1ないし4〕について訂正することを認める。
第3 特許異議の申立てについて
1 本件特許発明
上記第2のとおり、訂正後の請求項〔1ないし4〕について訂正することを認めるので、本件特許の請求項1ないし4に係る発明(以下、順に「本件特許発明1」ないし「本件特許発明4」という。)は、それぞれ、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲の請求項1ないし4に記載された事項により特定される次のとおりのものであると認める。
「【請求項1】
熱硬化性樹脂成分と、フィラーと、少なくとも3種の溶剤とを含有する樹脂層を有するドライフィルムであって、
前記樹脂層が、前記熱硬化性樹脂成分としてエポキシ化合物を含み、
前記エポキシ化合物のうち、液状のエポキシ樹脂の配合量は、熱硬化性樹脂成分全重量あたり、0~30重量%であり、
前記樹脂層が、フェノール樹脂を含み、
前記少なくとも3種の溶剤が、いずれも沸点が100℃以上であり、かつ、沸点が10℃以上異なり、
前記少なくとも3種の溶剤が、トルエン、シクロヘキサノン、および炭素数が9以上の芳香族炭化水素からなる群より選ばれる少なくとも3種であり、
前記樹脂層が、フェノキシ樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、フルオレン骨格を有する熱可塑性ポリヒドロキシポリエーテル樹脂、ブロック共重合体、および、ゴム状粒子のいずれか1種を含むことを特徴とするドライフィルム。
【請求項2】
前記溶剤の残含有量の割合は、前記溶剤を含むドライフィルムの樹脂層全量基準で、0.1~4重量%であることを特徴とする請求項1に記載のドライフィルム。
【請求項3】
プリント配線板製造用であることを特徴とする請求項1または2記載のドライフィルム。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載のドライフィルムの樹脂層を硬化して得られる硬化物を具備することを特徴とするプリント配線板。」
2 取消理由の概要
取消理由の概要は次のとおりである。
「1.(新規性)本件特許の請求項1ないし4に係る発明は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となつた発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができないものであるから、本件特許の請求項1ないし4に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。
2.(進歩性)本件特許の請求項1ないし4に係る発明は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となつた発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、本件特許の請求項1ないし4に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。
甲第1号証.国際公開第2010/061980号
(甲第1号証は、平成29年4月25日に特許異議申立人が提出した特許異議申立書(以下、「特許異議申立書」という。)に添付されたものである。)」
3 取消理由についての判断
(1)甲第1号証に記載された事項等
ア 甲第1号証に記載された事項
原出願の出願前に、日本国内又は外国において、頒布された刊行物又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった文献である甲第1号証には、次の記載(以下、総称して「甲第1号証に記載された事項」という。)がある。なお、下線は当審で付したものである。
・「[0006]
本発明は、回路基板の絶縁層形成に好適な樹脂組成物において、絶縁樹脂シートの形態で使用する場合の可とう性に優れ、該樹脂組成物を硬化して得られる絶縁層表面の粗度が低くても、高いピール強度を有する導体層が形成可能である樹脂組成物を提供することを目的とする。
[課題を解決するための手段]
[0007]
上記課題に鑑み、本発明者らが鋭意検討した結果、特定のビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、液状多官能エポキシ樹脂、エポキシ硬化剤、熱可塑性樹脂、無機充填材を含有する樹脂組成物を使用することにより本発明を完成させた。
[0008]
すなわち、本発明は以下の内容を含むものである。
[1] (A)式(1)
[化1]
で表されるビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、(B)式(2)
(式中nは2~10の整数を示す。)
で表されるビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、(C)液状多官能エポキシ樹脂、(D)エポキシ硬化剤、(E)熱可塑性樹脂、(F)無機充填材を含有する樹脂組成物であって、樹脂組成物中の不揮発分100質量%に対し、成分(A)の含有量が3~15質量%、成分(B)の含有量が1~15質量%、成分(C)の含有量が1~20質量%である樹脂組成物。
[2] 式(1)で表されるビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂と式(2)で表されるビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂の合計量(不揮発分)に対する、式(1)で表されるビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂の含有割合が、40質量%超かつ75質量%以下である、上記[1]記載の樹脂組成物。
[3] 樹脂組成物中の不揮発分100質量%に対し、成分(A)及び(B)を含む固形状多官能エポキシ樹脂の総含有量が5~30質量%である、上記[1]又は[2]に記載の樹脂組成物。
[4] 液状多官能エポキシ樹脂と固体状多官能エポキシ樹脂の合計量(不揮発分)を100質量%(不揮発分)に対する、液状多官能エポキシ樹脂の含有割合が、5~60質量%である、上記[3]記載の樹脂組成物。
[5] 樹脂組成物中の不揮発分100質量%に対し、樹脂組成物中に含有される成分(A)、(B)及び(C)を含むエポキシ樹脂の総含有量が10~50質量%である、上記[1]~[4]のいずれかに記載の樹脂組成物。
[6] 樹脂組成物中に存在するエポキシ基と成分(C)のエポキシ硬化剤の反応基の比率が重量比で1:0.4~1:2となる範囲で成分(C)のエポキシ硬化剤を含む、上記[1]~[5]のいずれかに記載の樹脂組成物。
[7] 樹脂組成物の不揮発分を100質量%とした場合、成分(E)の含有量が1~20質量%である、上記[1]~[6]記載のいずれかに記載の樹脂組成物。
[8] 樹脂組成物の不揮発分を100質量%とした場合、成分(F)の含有量が10~70質量%である上記[1]~[7]のいずれかに記載の樹脂組成物。
[9] 上記[1]~[8]のいずれかに記載の樹脂組成物が支持体上に層形成されている接着フィルム。
[10] 上記[1]~[8]のいずれかに記載の樹脂組成物がシート状繊維基材中に含浸されているプリプレグ。
[11] 上記[1]~[8]のいずれかに記載の樹脂組成物の硬化物により絶縁層が形成されている回路基板。」
・「[0010]
[(A)式(1)で表されるビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂]
本発明の樹脂組成物は、以下の式(1)で表されるビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂を含有する。
[化1]
式(1)で表されるビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂は、例えば、国際公開2006/098329号パンフレットに記載されている公知化合物であり、結晶性が高いことが知られている(国際出願2006/090662号パンフレット)。常温(例えば20℃)においては固形状で、エポキシ基を2個有する多官能エポキシ樹脂である。市販品としては、下記式(2)で表されるビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂との混合物が市販されている。
(式中nは2~10の整数を示す。)
具体的には、日本化薬(株)製の「NC3000-FH」、「NC3000-H」、「NC3000」、「NC3000L」、「NC3100」が挙げられる。式(1)で表されるビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂と式(2)で表されるビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂の合計量に対する式(1)で表されるビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂の含有割合は、「NC3000-FH」が約15~20質量%、「NC3000-H」が約20~25質量%、「NC3000」が約30~40質量%、「NC3000L」が約40~50質量%、「NC3100」が約55~65質量%となる。これらのうち、式(1)で表されるビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂を、本発明の樹脂組成物中で適切な配合比とするには、その含有割合が多いものを用いないと困難であるため「NC3000L」、「NC3100」を使用するのが好ましい。例えば、含有割合の多い「NC3100」、「NC3000L」と他の含有割合の低いものとを混合して、適切な配合比に調整してもよい。式(1)で表されるエポキシ樹脂は高い結晶性を有するものの、特定の配合比においては結晶化が抑制され、可とう性に優れた絶縁樹脂シートが調製可能となり、さらに、該樹脂組成物を硬化して絶縁層を形成した場合に、絶縁層表面が比較的低粗度であっても、高いピール強度を有する導体層が形成可能となることを見出した。」
・「[0013]
本発明の樹脂組成物においては、式(1)又は式(2)で表されるビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂以外の固形状多官能エポキシ樹脂を含有してもよい。固形状多官能エポキシ樹脂は常温(例えば20℃)において固形状で、エポキシ基を2個以上有するエポキシ樹脂である。式(1)又は式(2)で表されるビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂以外の固形状多官能エポキシ樹脂としては、ガラス転移温度の高さ、熱膨張率の低さといった観点から、芳香族系多官能エポキシ樹脂が好ましい。好ましい例としては、ナフトール型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、式(1)又は式(2)以外のビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂等が挙げられる。これらの固形状多官能エポキシ樹脂は2種以上を混合して用いてもよい。」
・「[0015]
[(C)液状多官能エポキシ樹脂]
本発明の樹脂組成物は、液状多官能エポキシ樹脂を含有する。液状多官能エポキシ樹脂は、常温(例えば20℃)おいては液状で、エポキシ基を2個以上有する多官能エポキシ樹脂であり、例えば、液状の、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、シクロヘキサンジメタノール型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂などが挙げられる。市販されているものとしては、ジャパンエポキシレジン(株)製の、jER828EL、jER807、jER152、jER630、DIC(株)製のHP4032、HP4032D、東都化成(株)製のZX1658等が挙げられる。液状多官能エポキシ樹脂は2種以上を混合して用いてもよい。」
・「[0016]
本発明の樹脂組成物において、液状多官能エポキシ樹脂の含有量の範囲は、樹脂組成物中の不揮発分100質量%に対し、1~20質量%が好ましく、5~16質量%がより好ましく、9~12質量%が更に好ましい。含有量が少なすぎると、絶縁樹脂シートの可とう性や溶融性が低下する傾向にあり、含有量が多すぎると、ガラス転移温度が低下する、熱膨張率が上昇するといった傾向にあり、また低粗度における導体層の高ピール強度化も困難になる傾向にある。また液状多官能エポキシ樹脂と固体状多官能エポキシ樹脂の合計量を100質量%(不揮発分)に対し、液状多官能エポキシ樹脂の含有量を5~60質量%の範囲とするのが好ましく、10~50質量%の範囲とするのがより好ましく、20~40質量%の範囲とするのが更に好ましい。含有量が少なすぎると、絶縁樹脂シートの可とう性や溶融性が低下する傾向にあり、含有量が多すぎると、ガラス転移温度が低下する、熱膨張率が上昇するといった傾向にあり、また低粗度における導体層の高ピール強度化も困難になる傾向にある。」
・「[0018]
[(D)エポキシ硬化剤]
成分(D)のエポキシ硬化剤としては、エポキシ樹脂を硬化する機能を有するものであれば特に限定されず、好ましいものとしては、例えばフェノール系硬化剤、ナフトール系硬化剤、活性エステル系硬化剤、ベンゾオキサジン系硬化剤、シアネートエステル樹脂等のエポキシ硬化剤が挙げられる。エポキシ硬化剤は2種以上を混合して用いてもよい。」
・「[0023]
[(E)熱可塑性樹脂]
本発明において、熱可塑性樹脂は、絶縁樹脂シートや絶縁層の可とう性を付与する他、式(1)で表されるビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂の再結晶化の抑制にも寄与する。熱可塑性樹脂としては、例えば、フェノキシ樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリスルホン樹脂等が挙げられ、フェノキシ樹脂、ポリビニルアセタール樹脂が好ましく、特にフェノキシ樹脂が好ましい。熱可塑性樹脂は2種以上を混合して用いてもよい。熱可塑性樹脂の含有量は、樹脂組成物中の不揮発分100質量%に対し、1~20質量%の範囲であるのが好ましく、2~15質量%の範囲であるのがより好ましく、3~10質量%の範囲であるのが更に好ましい。含有量が少なすぎると、可とう性や結晶析出の抑制効果が得られない傾向にあり、含有量が多すぎると、樹脂組成物の粘度が高くなりすぎて、ラミネート性が低下し、回路上の配線パターンへの埋め込みなどが困難になる傾向にある。熱可塑性樹脂の重量平均分子量は8000~70000の範囲であるのが好ましく、さらに好ましくは10000~60000、さらに好ましくは20000~60000である。分子量が小さすぎると十分な導体層のピール強度が得られない傾向にあり、分子量が大きすぎると、粗度が大きくなりやすい、熱膨張率が大きくなりやすいなどの傾向にある。重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法(ポリスチレンン換算)で測定される。GPC法による重量平均分子量は、具体的には、測定装置として(株)島津製作所製LC-9A/RID-6Aを、カラムとして昭和電工(株)社製Shodex K-800P/K-804L/K-804Lを、移動相としてクロロホルム等を用いて、カラム温度40℃にて測定し、標準ポリスチレンの検量線を用いて算出することができる。
[0024]
フェノキシ樹脂としては、ビスフェノールA骨格、ビスフェノールF骨格、ビスフェノールS骨格、ビスフェノールアセトフェノン骨格、ノボラック骨格、ビフェニル骨格、フルオレン骨格、ジシクロペンタジエン骨格、ノルボルネン骨格、ナフタレン骨格、アントラセン骨格、アダマンタン骨格、テルペン骨格、トリメチルシクロヘキサン骨格から選択される1種以上の骨格を有するものが挙げられる。フェノキシ樹脂は2種以上を混合して用いてもよい。フェノキシ樹脂の末端はフェノール性水酸基、エポキシ基等のいずれの官能基でもよい。市販品としては、例えば、ジャパンエポキシレジン(株)製1256、4250(ビスフェノールA骨格含有フェノキシ樹脂)、ジャパンエポキシレジン製YX8100(ビスフェノールS骨格含有フェノキシ樹脂)、ジャパンエポキシレジン製YX6954(ビスフェノールアセトフェノン骨格含有フェノキシ樹脂)や、その他東都化成(株)製FX280、FX293、ジャパンエポキシレジン(株)製YL7553、YL6794、YL7213、YL7290、YL7482等が挙げられる。
[0025]
ポリビニルアセタール樹脂の具体例としては、電気化学工業(株)製、電化ブチラール4000-2、5000-A、6000-C、6000-EP、積水化学工業(株)製エスレックBHシリーズ、BXシリーズ、KSシリーズ、BLシリーズ、BMシリーズ等が挙げられる。ポリイミド樹脂の具体例としては、新日本理化(株)製のポリイミド「リカコートSN20」および「リカコートPN20」が挙げられる。また、2官能性ヒドロキシル基末端ポリブタジエン、ジイソシアネート化合物及び四塩基酸無水物を反応させて得られる線状ポリイミド(特開2006-37083号公報記載のもの)、ポリシロキサン骨格含有ポリイミド(特開2002-12667号公報、特開2000-319386号公報等に記載のもの)等の変性ポリイミドが挙げられる。ポリアミドイミド樹脂の具体例としては、東洋紡績(株)製のポリアミドイミド「バイロマックスHR11NN」および「バイロマックスHR16NN」が挙げられる。また、日立化成工業(株)製のポリシロキサン骨格含有ポリアミドイミド「KS9100」、「KS9300」等の変性ポリアミドイミドが挙げられる。ポリエーテルスルホン樹脂の具体例としては、住友化学(株)社製のポリエーテルスルホン「PES5003P」等が挙げられる。ポリスルホン樹脂の具体例としては、ソルベンアドバンストポリマーズ(株)社製のポリスルホン「P1700」、「P3500」等が挙げられる。これら各種熱可塑性樹脂は2種以上を混合して用いてもよい。」
・「[0026]
[(F)無機充填材]
本発明において、無機充填剤は熱膨張率を低下等に寄与する。無機充填材としては、例えば、シリカ、アルミナ、硫酸バリウム、タルク、クレー、雲母粉、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、窒化ホウ素、ホウ酸アルミニウム、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸ビスマス、酸化チタン、ジルコン酸バリウム、ジルコン酸カルシウムなどが挙げられ、これらの中でも無定形シリカ、溶融シリカ、結晶シリカ、合成シリカ等のシリカが特に好適である。シリカとしては球状のものが好ましい。無機充填材は2種以上を組み合わせて使用してもよい。」
・「[0040]
本発明の樹脂組成物は、硬化物の機械強度を高める、応力緩和効果等の目的で固体状のゴム粒子を含有してもよい。ゴム粒子は、樹脂組成物を調製する際の有機溶媒にも溶解せず、エポキシ樹脂等の樹脂組成物中の成分とも相溶せず、樹脂組成物のワニス中では分散状態で存在するものが好ましい。このようなゴム粒子は、一般には、ゴム成分の分子量を有機溶剤や樹脂に溶解しないレベルまで大きくし、粒子状とすることで調製される。ゴム粒子としては、例えば、コアシェル型ゴム粒子、架橋アクリルニトリルブタジエンゴム粒子、架橋スチレンブタジエンゴム粒子、アクリルゴム粒子などが挙げられる。コアシェル型ゴム粒子は、粒子がコア層とシェル層を有するゴム粒子であり、例えば、外層のシェル層がガラス状ポリマー、内層のコア層がゴム状ポリマーで構成される2層構造、または外層のシェル層がガラス状ポリマー、中間層がゴム状ポリマー、コア層がガラス状ポリマーで構成される3層構造のものなどが挙げられる。ガラス層は例えば、メタクリル酸メチルの重合物などで構成され、ゴム状ポリマー層は例えば、ブチルアクリレート重合物(ブチルゴム)などで構成される。コアシェル型ゴム粒子の具体例としては、スタフィロイドAC3832、AC3816N、(ガンツ化成(株)商品名)、メタブレンKW-4426(三菱レイヨン(株)商品名)が挙げられる。アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)粒子の具体例としては、XER-91(平均粒径0.5μm、JSR(株)製)などが挙げられる。スチレンブタジエンゴム(SBR)粒子の具体例としては、XSK-500(平均粒径0.5μm、JSR(株)製)などが挙げられる。アクリルゴム粒子の具体例としては、メタブレンW300A(平均粒径0.1μm)、W450A(平均粒径0.5μm)(三菱レイヨン(株)製)を挙げることができる。」
・「[0046]
本発明の樹脂組成物は、支持体上に塗布し樹脂組成物層を形成させて接着フィルムとするか、または繊維からなるシート状繊維基材中に該樹脂組成物を含浸させてプリプレグとすることができる。本発明の樹脂組成物は回路基板に塗布して絶縁層を形成することもできるが、工業的には、一般に、接着フィルムまたはプリプレグの形態として絶縁層形成に用いられる。本発明の接着フィルムは、当業者に公知の方法、例えば、有機溶剤に樹脂組成物を溶解した樹脂ワニスを調製し、支持体上に、この樹脂ワニスを塗布し、更に加熱、あるいは熱風吹きつけ等により有機溶剤を乾燥させて樹脂組成物層を形成させることにより製造することができる。
[0047]
有機溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、カルビトールアセテート等の酢酸エステル類、セロソルブ、ブチルカルビトール等のカルビトール類、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン等のアミド系溶媒等を挙げることができる。有機溶剤は1種を使用しても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
[0048]
乾燥条件は特に限定されないが、樹脂組成物層への有機溶剤の含有割合が10質量%以下となるのが好ましく、より好ましくは5質量%以下となるように乾燥させる。乾燥条件は、簡単な実験により適宜、好適な乾燥条件を設定することができる。ワニス中の有機溶媒量によっても異なるが、例えば30~60質量%の有機溶剤を含むワニスを50~150℃で3~10分程度乾燥させることができる。」
・「[0053]
次に、本発明の接着フィルムを用いて本発明の多層プリント配線板等の回路基板を製造する方法について説明する。樹脂組成物層が保護フィルムで保護されている場合はこれらを剥離した後、樹脂組成物層を内層回路基板に直接接するように、内層回路基板の片面又は両面にラミネートする。本発明の接着フィルムにおいては真空ラミネート法により減圧下で内層回路基板にラミネートする方法が好適に用いられる。ラミネートの方法はバッチ式であってもロールでの連続式であってもよい。またラミネートを行う前に接着フィルム及び内層回路基板を必要により加熱(プレヒート)しておいてもよい。」
・「[0067]
以下、実施例及び比較例を用いて本発明をより詳細に説明するが、これらは本発明をいかなる意味においても制限するものではない。なお、以下の記載において、「部」は「質量部」を意味する。
[0068]
(実施例1)
液状ビスフェノールA型エポキシ樹脂(エポキシ当量180、ジャパンエポキシレジン(株)製「jER828EL」)25部と、ビフェニル型エポキシ樹脂(エポキシ当量269、日本化薬(株)製「NC3000L」)20部、ナフタレン型4官能エポキシ樹脂(エポキシ当量162、DIC(株)製「HP-4700」)15部、フェノキシ樹脂(重量平均分子量38000、ジャパンエポキシレジン(株)製「YX6954」不揮発分30質量%のメチルエチルケトン(以下「MEK」と略称する。)とシクロヘキサノンの1:1溶液)30部とをMEK15部、シクロヘキサノン15部に撹拌しながら加熱溶解させた。そこへ、フェノールノボラック系硬化剤(DIC(株)製「LA-7054」の固形分60%のMEK溶液、フェノール性水酸基当量124)40部、硬化触媒(四国化成工業(株)製、「2E4MZ」)0.1部、球形シリカ(平均粒径0.5μm、アミノシラン処理付「SOC2」アドマテックス社製)70部を混合し、高速回転ミキサーで均一に分散して、樹脂ワニスを作製した。次に、かかる樹脂ワニスを5℃で1週間保管後、ポリエチレンテレフタレート(厚さ38μm、以下「PET」と略称する。)上に、乾燥後の樹脂厚みが40μmとなるようにダイコーターにて塗布し、80~120℃(平均100℃)で6分間乾燥した(残留溶媒量約2質量%)。次いで樹脂組成物の表面に厚さ15μmのポリプロピレンフィルムを貼り合わせながらロール状に巻き取った。ロール状の接着フィルムを幅507mmにスリット(slit)し、これより507×336mmサイズのシート状の接着フィルムを得た。
[0069]
(実施例2)
液状ビスフェノールA型エポキシ樹脂(エポキシ当量180、ジャパンエポキシレジン(株)製「jER828EL」)15部と、ビフェニル型エポキシ樹脂(エポキシ当量269、日本化薬(株)製「NC3000L」)35部、ナフタレン型4官能エポキシ樹脂(エポキシ当量162、DIC(株)製「HP-4700」)10部、フェノキシ樹脂(重量平均分子量38000、ジャパンエポキシレジン(株)製「YX6954」不揮発分30質量%のMEKとシクロヘキサノンの1:1溶液)20部とをMEK15部、シクロヘキサノン15部に撹拌しながら加熱溶解させた。そこへ、フェノールノボラック系硬化剤(DIC(株)製「LA-7054」の固形分60%のMEK溶液、フェノール性水酸基当量124)40部、硬化触媒(四国化成工業(株)製、「2E4MZ」)0.1部、球形シリカ(平均粒径0.5μm、アミノシラン処理付「SOC2」アドマテックス社製)70部、ポリビニルブチラール樹脂溶液(ガラス転移温度105℃、積水化学工業(株)製「KS-1」)を固形分15%のエタノールとトルエンの1:1溶液)20部を混合し、高速回転ミキサーで均一に分散して、樹脂ワニスを作製した。次に、かかる樹脂ワニスを使用し、実施例1と全く同様にして接着フィルムを得た。
[0070]
(実施例3)
液状ビスフェノールA型エポキシ樹脂(エポキシ当量180、ジャパンエポキシレジン(株)製「jER828EL」)10部と、ビフェニル型エポキシ樹脂(エポキシ当量269、日本化薬(株)製「NC3000L」)40部、ビフェニル型エポキシ樹脂(エポキシ当量258、日本化薬(株)製「NC3100」)6部、ナフタレン型4官能エポキシ樹脂(エポキシ当量162、DIC(株)製「HP-4700」)10部、フェノキシ樹脂(重量平均分子量38000、ジャパンエポキシレジン(株)製「YX6954」不揮発分30質量%のMEKとシクロヘキサノンの1:1溶液)20部とをMEK15部、シクロヘキサノン15部に撹拌しながら加熱溶解させた。そこへ、フェノールノボラック系硬化剤(DIC(株)製「LA-7054」の固形分60%のMEK溶液、フェノール性水酸基当量124)40部、硬化触媒(四国化成工業(株)製、「2E4MZ」)0.1部、球形シリカ(平均粒径0.5μm、アミノシラン処理付「SOC2」アドマテックス社製)70部、ポリビニルブチラール樹脂溶液(ガラス転移温度105℃、積水化学工業(株)製「KS-1」)を固形分15%のエタノールとトルエンの1:1溶液)20部を混合し、高速回転ミキサーで均一に分散して、樹脂ワニスを作製した。次に、かかる樹脂ワニスを使用し、実施例1と全く同様にして接着フィルムを得た。
[0071]
(実施例4)
液状ビスフェノールA型エポキシ樹脂(エポキシ当量180、ジャパンエポキシレジン(株)製「jER828EL」)10部と、ビフェニル型エポキシ樹脂(エポキシ当量269、日本化薬(株)製「NC3000L」)25部、ビフェニル型エポキシ樹脂(エポキシ当量258、日本化薬(株)製「NC3100」)6部、ナフタレン型4官能エポキシ樹脂(エポキシ当量162、DIC(株)製「HP-4700」)6部、フェノキシ樹脂(重量平均分子量38000、ジャパンエポキシレジン(株)製「YX6954」不揮発分30質量%のMEKとシクロヘキサノンの1:1溶液)15部とをMEK15部、シクロヘキサノン15部に撹拌しながら加熱溶解させた。そこへ、フェノールノボラック系硬化剤(DIC(株)製「LA-7054」の固形分60%のMEK溶液、フェノール性水酸基当量124)30部、硬化触媒(四国化成工業(株)製、「2E4MZ」)0.1部、球形シリカ(平均粒径0.5μm、アミノシラン処理付「SOC2」アドマテックス社製)75部、ポリビニルブチラール樹脂溶液(ガラス転移温度105℃、積水化学工業(株)製「KS-1」)を固形分15%のエタノールとトルエンの1:1溶液)15部を混合し、高速回転ミキサーで均一に分散して、樹脂ワニスを作製した。次に、かかる樹脂ワニスを使用し、実施例1と全く同様にして接着フィルムを得た。
[0072]
(実施例5)
液状ビスフェノールA型エポキシ樹脂(エポキシ当量180、ジャパンエポキシレジン(株)製「jER828EL」)15部と、ビフェニル型エポキシ樹脂(エポキシ当量269、日本化薬(株)製「NC3000L」)35部、ナフタレン型4官能エポキシ樹脂(エポキシ当量162、DIC(株)製「HP-4700」)10部、フェノキシ樹脂(重量平均分子量38000、ジャパンエポキシレジン(株)製「YX6954」不揮発分30質量%のMEKとシクロヘキサノンの1:1溶液)20部とをMEK15部、シクロヘキサノン15部に撹拌しながら加熱溶解させた。そこへ、フェノールノボラック系硬化剤(DIC(株)製「LA-7054」の固形分60%のMEK溶液、フェノール性水酸基当量124)20部、活性エステル系硬化剤(大日本インキ化学工業(株)製「EXB9451」、活性基当量223、固形分が65質量%のトルエン溶液)30部、硬化触媒(四国化成工業(株)製、「2E4MZ」)0.1部、球形シリカ(平均粒径0.5μm、アミノシラン処理付「SOC2」アドマテックス社製)70部、ポリビニルブチラール樹脂溶液(ガラス転移温度105℃、積水化学工業(株)製「KS-1」)を固形分15%のエタノールとトルエンの1:1溶液)20部を混合し、高速回転ミキサーで均一に分散して、樹脂ワニスを作製した。次に、かかる樹脂ワニスを使用し、実施例1と全く同様にして接着フィルムを得た。
[0073]
(実施例6)
実施例2のフェノキシ樹脂(重量平均分子量38000、ジャパンエポキシレジン(株)製「YX6954」不揮発分30質量%のMEKとシクロヘキサノンの1:1溶液)20部を、フェノキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン(株)製「YL7553」、重量平均分子量35000~40000、不揮発分30質量%のMEKとシクロヘキサノンの1:1溶液)20部に変更する以外は、全く同様にして樹脂ワニスを作製した。次に、かかる樹脂ワニスを使用し、実施例1と全く同様にして接着フィルムを得た。
[0074]
(実施例7)
実施例4のフェノキシ樹脂(重量平均分子量38000、ジャパンエポキシレジン(株)製「YX6954」不揮発分30質量%のMEKとシクロヘキサノンの1:1溶液)15部を、フェノキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン(株)製「YL7482」、重量平均分子量35000~40000、不揮発分30質量%のMEKとシクロヘキサノンの1:1溶液)15部に変更する以外は、全く同様にして樹脂ワニスを作製した。次に、かかる樹脂ワニスを使用し、実施例1と全く同様にして接着フィルムを得た。
[0075]
(実施例8)
液状ビスフェノールA型エポキシ樹脂(エポキシ当量180、ジャパンエポキシレジン(株)製「jER828EL」)15部と、ビフェニル型エポキシ樹脂(エポキシ当量269、日本化薬(株)製「NC3000L」)35部、ナフタレン型4官能エポキシ樹脂(エポキシ当量162、DIC(株)製「HP-4700」)10部、フェノキシ樹脂(重量平均分子量50000、ジャパンエポキシレジン(株)製「E1256」不揮発分40質量%のシクロヘキサノン溶液)20部とをMEK15部、シクロヘキサノン15部に撹拌しながら加熱溶解させた。そこへ、フェノールノボラック系硬化剤(DIC(株)製「LA-7054」の固形分60%のMEK溶液、フェノール性水酸基当量124)20部、ナフトール系硬化剤(東都化成(株)製「SN-485」、フェノール性水酸基当量215)の固形分60%のMEK溶液30部、硬化触媒(四国化成工業(株)製、「2E4MZ」)0.1部、球形シリカ(平均粒径0.5μm、アミノシラン処理付「SOC2」アドマテックス社製)70部、ポリビニルブチラール樹脂溶液(ガラス転移温度105℃、積水化学工業(株)製「KS-1」)を固形分15%のエタノールとトルエンの1:1溶液)20部を混合し、高速回転ミキサーで均一に分散して、樹脂ワニスを作製した。次に、かかる樹脂ワニスを使用し、実施例1と全く同様にして接着フィルムを得た。
[0076]
(実施例9)
液状ビスフェノールA型エポキシ樹脂(エポキシ当量180、ジャパンエポキシレジン(株)製「jER828EL」)15部と、ビフェニル型エポキシ樹脂(エポキシ当量269、日本化薬(株)製「NC3000L」)15部、ビフェニル型エポキシ樹脂(エポキシ当量258、日本化薬(株)製「NC3100」)20部、ナフタレン型4官能エポキシ樹脂(エポキシ当量162、DIC(株)製「HP-4700」)10部、フェノキシ樹脂(重量平均分子量38000、ジャパンエポキシレジン(株)製「YX6954」不揮発分30質量%のMEKとシクロヘキサノンの1:1溶液)20部とをMEK15部、シクロヘキサノン15部に撹拌しながら加熱溶解させた。そこへ、フェノールノボラック系硬化剤(DIC(株)製「LA-7054」の固形分60%のMEK溶液、フェノール性水酸基当量124)40部、硬化触媒(四国化成工業(株)製、「2E4MZ」)0.1部、球形シリカ(平均粒径0.5μm、アミノシラン処理付「SOC2」アドマテックス社製)70部、ポリビニルブチラール樹脂溶液(ガラス転移温度105℃、積水化学工業(株)製「KS-1」)を固形分15%のエタノールとトルエンの1:1溶液)20部を混合し、高速回転ミキサーで均一に分散して、樹脂ワニスを作製した。次に、かかる樹脂ワニスを使用し、実施例1と全く同様にして接着フィルムを得た。
[0077]
(実施例10)
液状ビスフェノールA型エポキシ樹脂(エポキシ当量180、ジャパンエポキシレジン(株)製「jER828EL」)25部と、ビフェニル型エポキシ樹脂(エポキシ当量269、日本化薬(株)製「NC3000L」)20部、ナフタレン型4官能エポキシ樹脂(エポキシ当量162、DIC(株)製「HP-4700」)15部、フェノキシ樹脂(重量平均分子量38000、ジャパンエポキシレジン(株)製「YX6954」不揮発分30質量%のMEKとシクロヘキサノンの1:1溶液)20部とをMEK15部、シクロヘキサノン15部に撹拌しながら加熱溶解させた。そこへ、フェノールノボラック系硬化剤(DIC(株)製「LA-7054」の固形分60%のMEK溶液、フェノール性水酸基当量124)40部、硬化触媒(四国化成工業(株)製、「2E4MZ」)0.1部、球形シリカ(平均粒径0.5μm、アミノシラン処理付「SOC2」アドマテックス社製)70部、ポリビニルブチラール樹脂溶液(ガラス転移温度105℃、積水化学工業(株)製「KS-1」)を固形分15%のエタノールとトルエンの1:1溶液)20部を混合し、高速回転ミキサーで均一に分散して、樹脂ワニスを作製した。次に、かかる樹脂ワニスを使用し、実施例1と全く同様にして接着フィルムを得た。
[0078]
(実施例11)
液状ビスフェノールA型エポキシ樹脂(エポキシ当量180、ジャパンエポキシレジン(株)製「jER828EL」)15部と、ビフェニル型エポキシ樹脂(エポキシ当量269、日本化薬(株)製「NC3000L」)35部、ナフタレン型4官能エポキシ樹脂(エポキシ当量162、DIC(株)製「HP-4700」)10部、フェノキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン(株)製「YL7553」、重量平均分子量35000~40000、不揮発分30質量%のMEKとシクロヘキサノンの1:1溶液)20部とをMEK15部、シクロヘキサノン15部に撹拌しながら加熱溶解させた。そこへ、フェノールノボラック系硬化剤(DIC(株)製「LA-7054」の固形分60%のMEK溶液、フェノール性水酸基当量124)20部、ナフトールノボラック系硬化剤(東都化成(株)製「SN485」の固形分60%のMEK溶液、フェノール性水酸基当量215)30部、硬化触媒(四国化成工業(株)製、「2E4MZ」)0.1部、球形シリカ(平均粒径0.5μm、アミノシラン処理付「SOC2」アドマテックス社製)70部、ポリビニルブチラール樹脂溶液(ガラス転移温度105℃、積水化学工業(株)製「HS-1」)を固形分15%のエタノールとトルエンの1:1溶液)20部を混合し、高速回転ミキサーで均一に分散して、樹脂ワニスを作製した。次に、かかる樹脂ワニスを使用し、実施例1と全く同様にして接着フィルムを得た。
[0079]
(実施例12)
液状ビスフェノールA型エポキシ樹脂(エポキシ当量180、ジャパンエポキシレジン(株)製「jER828EL」)10部と、ビフェニル型エポキシ樹脂(エポキシ当量269、日本化薬(株)製「NC3000L」)15部、ビフェニル型エポキシ樹脂(エポキシ当量258、日本化薬(株)製「NC3100」)6部、ナフタレン型4官能エポキシ樹脂(エポキシ当量162、DIC(株)製「HP-4700」)3部、フェノキシ樹脂(重量平均分子量38000、ジャパンエポキシレジン(株)製「YX6954」不揮発分30質量%のMEKとシクロヘキサノンの1:1溶液)10部とをMEK25部、シクロヘキサノン25部に撹拌しながら加熱溶解させた。そこへ、フェノールノボラック系硬化剤(DIC(株)製「LA-7054」の固形分60%のMEK溶液、フェノール性水酸基当量124)20部、硬化触媒(四国化成工業(株)製、「2E4MZ」)0.1部、球形シリカ(平均粒径0.5μm、アミノシラン処理付「SOC2」アドマテックス社製)110部、ポリビニルブチラール樹脂溶液(ガラス転移温度105℃、積水化学工業(株)製「KS-1」)を固形分15%のエタノールとトルエンの1:1溶液)10部を混合し、高速回転ミキサーで均一に分散して、樹脂ワニスを作製した。次に、かかる樹脂ワニスを使用し、実施例1と全く同様にして接着フィルムを得た。
[0080]
(実施例13)
液状ビスフェノールA型エポキシ樹脂(エポキシ当量180、ジャパンエポキシレジン(株)製「jER828EL」)10部と、ビフェニル型エポキシ樹脂(エポキシ当量269、日本化薬(株)製「NC3000L」)15部、ビフェニル型エポキシ樹脂(エポキシ当量258、日本化薬(株)製「NC3100」)6部、ナフタレン型4官能エポキシ樹脂(エポキシ当量162、DIC(株)製「HP-4700」)3部、フェノキシ樹脂(重量平均分子量38000、ジャパンエポキシレジン(株)製「YX6954」不揮発分30質量%のMEKとシクロヘキサノンの1:1溶液)10部とをMEK25部、シクロヘキサノン25部に撹拌しながら加熱溶解させた。そこへ、フェノールノボラック系硬化剤(DIC(株)製「LA-7054」の固形分60%のMEK溶液、フェノール性水酸基当量124)15部、ナフトールノボラック系硬化剤(東都化成(株)製「SN485」の固形分60%のMEK溶液、フェノール性水酸基当量215)10部、硬化触媒(四国化成工業(株)製、「2E4MZ」)0.1部、球形シリカ(平均粒径0.5μm、アミノシラン処理付「SOC2」アドマテックス社製)110部、ポリビニルブチラール樹脂溶液(ガラス転移温度105℃、積水化学工業(株)製「KS-1」)を固形分15%のエタノールとトルエンの1:1溶液)10部を混合し、高速回転ミキサーで均一に分散して、樹脂ワニスを作製した。次に、かかる樹脂ワニスを使用し、実施例1と全く同様にして接着フィルムを得た。」
イ 甲第1号証に記載された発明
甲第1号証に記載された事項、特に実施例2ないし9及び11ないし13に関する記載を整理すると、甲第1号証には次の発明(以下、甲第1号証の実施例2に基づく発明を「甲1発明2」のようにいう。)が記載されていると認める。
<甲1発明2>
「液状ビスフェノールA型エポキシ樹脂(エポキシ当量180、ジャパンエポキシレジン(株)製「jER828EL」)15部と、ビフェニル型エポキシ樹脂(エポキシ当量269、日本化薬(株)製「NC3000L」)35部、ナフタレン型4官能エポキシ樹脂(エポキシ当量162、DIC(株)製「HP-4700」)10部、フェノキシ樹脂(重量平均分子量38000、ジャパンエポキシレジン(株)製「YX6954」不揮発分30質量%のMEKとシクロヘキサノンの1:1溶液)20部とをMEK15部、シクロヘキサノン15部に撹拌しながら加熱溶解させ、そこへ、フェノールノボラック系硬化剤(DIC(株)製「LA-7054」の固形分60%のMEK溶液、フェノール性水酸基当量124)40部、硬化触媒(四国化成工業(株)製、「2E4MZ」)0.1部、球形シリカ(平均粒径0.5μm、アミノシラン処理付「SOC2」アドマテックス社製)70部、ポリビニルブチラール樹脂溶液(ガラス転移温度105℃、積水化学工業(株)製「KS-1」)を固形分15%のエタノールとトルエンの1:1溶液)20部を混合し、高速回転ミキサーで均一に分散して、樹脂ワニスを作製し、次に、かかる樹脂ワニスを5℃で1週間保管後、ポリエチレンテレフタレート(厚さ38μm)上に、乾燥後の樹脂厚みが40μmとなるようにダイコーターにて塗布し、80~120℃(平均100℃)で6分間乾燥し(残留溶媒量約2質量%)、次いで樹脂組成物の表面に厚さ15μmのポリプロピレンフィルムを貼り合わせながらロール状に巻き取り、ロール状の接着フィルムを幅507mmにスリット(slit)することにより得た接着フィルム。」
<甲1発明3>
液状ビスフェノールA型エポキシ樹脂(エポキシ当量180、ジャパンエポキシレジン(株)製「jER828EL」)10部と、ビフェニル型エポキシ樹脂(エポキシ当量269、日本化薬(株)製「NC3000L」)40部、ビフェニル型エポキシ樹脂(エポキシ当量258、日本化薬(株)製「NC3100」)6部、ナフタレン型4官能エポキシ樹脂(エポキシ当量162、DIC(株)製「HP-4700」)10部、フェノキシ樹脂(重量平均分子量38000、ジャパンエポキシレジン(株)製「YX6954」不揮発分30質量%のMEKとシクロヘキサノンの1:1溶液)20部とをMEK15部、シクロヘキサノン15部に撹拌しながら加熱溶解させ、そこへ、フェノールノボラック系硬化剤(DIC(株)製「LA-7054」の固形分60%のMEK溶液、フェノール性水酸基当量124)40部、硬化触媒(四国化成工業(株)製、「2E4MZ」)0.1部、球形シリカ(平均粒径0.5μm、アミノシラン処理付「SOC2」アドマテックス社製)70部、ポリビニルブチラール樹脂溶液(ガラス転移温度105℃、積水化学工業(株)製「KS-1」)を固形分15%のエタノールとトルエンの1:1溶液)20部を混合し、高速回転ミキサーで均一に分散して、樹脂ワニスを作製し、次に、かかる樹脂ワニスを5℃で1週間保管後、ポリエチレンテレフタレート(厚さ38μm)上に、乾燥後の樹脂厚みが40μmとなるようにダイコーターにて塗布し、80~120℃(平均100℃)で6分間乾燥し(残留溶媒量約2質量%)、次いで樹脂組成物の表面に厚さ15μmのポリプロピレンフィルムを貼り合わせながらロール状に巻き取り、ロール状の接着フィルムを幅507mmにスリット(slit)することにより得た接着フィルム。」
<甲1発明4>
「液状ビスフェノールA型エポキシ樹脂(エポキシ当量180、ジャパンエポキシレジン(株)製「jER828EL」)10部と、ビフェニル型エポキシ樹脂(エポキシ当量269、日本化薬(株)製「NC3000L」)25部、ビフェニル型エポキシ樹脂(エポキシ当量258、日本化薬(株)製「NC3100」)6部、ナフタレン型4官能エポキシ樹脂(エポキシ当量162、DIC(株)製「HP-4700」)6部、フェノキシ樹脂(重量平均分子量38000、ジャパンエポキシレジン(株)製「YX6954」不揮発分30質量%のMEKとシクロヘキサノンの1:1溶液)15部とをMEK15部、シクロヘキサノン15部に撹拌しながら加熱溶解させ、そこへ、フェノールノボラック系硬化剤(DIC(株)製「LA-7054」の固形分60%のMEK溶液、フェノール性水酸基当量124)30部、硬化触媒(四国化成工業(株)製、「2E4MZ」)0.1部、球形シリカ(平均粒径0.5μm、アミノシラン処理付「SOC2」アドマテックス社製)75部、ポリビニルブチラール樹脂溶液(ガラス転移温度105℃、積水化学工業(株)製「KS-1」)を固形分15%のエタノールとトルエンの1:1溶液)15部を混合し、高速回転ミキサーで均一に分散して、樹脂ワニスを作製し、次に、かかる樹脂ワニスを5℃で1週間保管後、ポリエチレンテレフタレート(厚さ38μm)上に、乾燥後の樹脂厚みが40μmとなるようにダイコーターにて塗布し、80~120℃(平均100℃)で6分間乾燥し(残留溶媒量約2質量%)、次いで樹脂組成物の表面に厚さ15μmのポリプロピレンフィルムを貼り合わせながらロール状に巻き取り、ロール状の接着フィルムを幅507mmにスリット(slit)することにより得た接着フィルム。」
<甲1発明5>
「液状ビスフェノールA型エポキシ樹脂(エポキシ当量180、ジャパンエポキシレジン(株)製「jER828EL」)15部と、ビフェニル型エポキシ樹脂(エポキシ当量269、日本化薬(株)製「NC3000L」)35部、ナフタレン型4官能エポキシ樹脂(エポキシ当量162、DIC(株)製「HP-4700」)10部、フェノキシ樹脂(重量平均分子量38000、ジャパンエポキシレジン(株)製「YX6954」不揮発分30質量%のMEKとシクロヘキサノンの1:1溶液)20部とをMEK15部、シクロヘキサノン15部に撹拌しながら加熱溶解させ、そこへ、フェノールノボラック系硬化剤(DIC(株)製「LA-7054」の固形分60%のMEK溶液、フェノール性水酸基当量124)20部、活性エステル系硬化剤(大日本インキ化学工業(株)製「EXB9451」、活性基当量223、固形分が65質量%のトルエン溶液)30部、硬化触媒(四国化成工業(株)製、「2E4MZ」)0.1部、球形シリカ(平均粒径0.5μm、アミノシラン処理付「SOC2」アドマテックス社製)70部、ポリビニルブチラール樹脂溶液(ガラス転移温度105℃、積水化学工業(株)製「KS-1」)を固形分15%のエタノールとトルエンの1:1溶液)20部を混合し、高速回転ミキサーで均一に分散して、樹脂ワニスを作製し、次に、かかる樹脂ワニスを5℃で1週間保管後、ポリエチレンテレフタレート(厚さ38μm)上に、乾燥後の樹脂厚みが40μmとなるようにダイコーターにて塗布し、80~120℃(平均100℃)で6分間乾燥し(残留溶媒量約2質量%)、次いで樹脂組成物の表面に厚さ15μmのポリプロピレンフィルムを貼り合わせながらロール状に巻き取り、ロール状の接着フィルムを幅507mmにスリット(slit)することにより得た接着フィルム。」
<甲1発明6>
「液状ビスフェノールA型エポキシ樹脂(エポキシ当量180、ジャパンエポキシレジン(株)製「jER828EL」)15部と、ビフェニル型エポキシ樹脂(エポキシ当量269、日本化薬(株)製「NC3000L」)35部、ナフタレン型4官能エポキシ樹脂(エポキシ当量162、DIC(株)製「HP-4700」)10部、フェノキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン(株)製「YL7553」、重量平均分子量35000~40000、不揮発分30質量%のMEKとシクロヘキサノンの1:1溶液)20部とをMEK15部、シクロヘキサノン15部に撹拌しながら加熱溶解させ、そこへ、フェノールノボラック系硬化剤(DIC(株)製「LA-7054」の固形分60%のMEK溶液、フェノール性水酸基当量124)40部、硬化触媒(四国化成工業(株)製、「2E4MZ」)0.1部、球形シリカ(平均粒径0.5μm、アミノシラン処理付「SOC2」アドマテックス社製)70部、ポリビニルブチラール樹脂溶液(ガラス転移温度105℃、積水化学工業(株)製「KS-1」)を固形分15%のエタノールとトルエンの1:1溶液)20部を混合し、高速回転ミキサーで均一に分散して、樹脂ワニスを作製し、次に、かかる樹脂ワニスを5℃で1週間保管後、ポリエチレンテレフタレート(厚さ38μm)上に、乾燥後の樹脂厚みが40μmとなるようにダイコーターにて塗布し、80~120℃(平均100℃)で6分間乾燥し(残留溶媒量約2質量%)、次いで樹脂組成物の表面に厚さ15μmのポリプロピレンフィルムを貼り合わせながらロール状に巻き取り、ロール状の接着フィルムを幅507mmにスリット(slit)することにより得た接着フィルム。」
<甲1発明7>
「液状ビスフェノールA型エポキシ樹脂(エポキシ当量180、ジャパンエポキシレジン(株)製「jER828EL」)10部と、ビフェニル型エポキシ樹脂(エポキシ当量269、日本化薬(株)製「NC3000L」)25部、ビフェニル型エポキシ樹脂(エポキシ当量258、日本化薬(株)製「NC3100」)6部、ナフタレン型4官能エポキシ樹脂(エポキシ当量162、DIC(株)製「HP-4700」)6部、フェノキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン(株)製「YL7482」、重量平均分子量35000~40000、不揮発分30質量%のMEKとシクロヘキサノンの1:1溶液)15部とをMEK15部、シクロヘキサノン15部に撹拌しながら加熱溶解させ、そこへ、フェノールノボラック系硬化剤(DIC(株)製「LA-7054」の固形分60%のMEK溶液、フェノール性水酸基当量124)30部、硬化触媒(四国化成工業(株)製、「2E4MZ」)0.1部、球形シリカ(平均粒径0.5μm、アミノシラン処理付「SOC2」アドマテックス社製)75部、ポリビニルブチラール樹脂溶液(ガラス転移温度105℃、積水化学工業(株)製「KS-1」)を固形分15%のエタノールとトルエンの1:1溶液)15部を混合し、高速回転ミキサーで均一に分散して、樹脂ワニスを作製し、次に、かかる樹脂ワニスを5℃で1週間保管後、ポリエチレンテレフタレート(厚さ38μm)上に、乾燥後の樹脂厚みが40μmとなるようにダイコーターにて塗布し、80~120℃(平均100℃)で6分間乾燥し(残留溶媒量約2質量%)、次いで樹脂組成物の表面に厚さ15μmのポリプロピレンフィルムを貼り合わせながらロール状に巻き取り、ロール状の接着フィルムを幅507mmにスリット(slit)することにより得た接着フィルム。」
<甲1発明8>
「液状ビスフェノールA型エポキシ樹脂(エポキシ当量180、ジャパンエポキシレジン(株)製「jER828EL」)15部と、ビフェニル型エポキシ樹脂(エポキシ当量269、日本化薬(株)製「NC3000L」)35部、ナフタレン型4官能エポキシ樹脂(エポキシ当量162、DIC(株)製「HP-4700」)10部、フェノキシ樹脂(重量平均分子量50000、ジャパンエポキシレジン(株)製「E1256」不揮発分40質量%のシクロヘキサノン溶液)20部とをMEK15部、シクロヘキサノン15部に撹拌しながら加熱溶解させ、そこへ、フェノールノボラック系硬化剤(DIC(株)製「LA-7054」の固形分60%のMEK溶液、フェノール性水酸基当量124)20部、ナフトール系硬化剤(東都化成(株)製「SN-485」、フェノール性水酸基当量215)の固形分60%のMEK溶液30部、硬化触媒(四国化成工業(株)製、「2E4MZ」)0.1部、球形シリカ(平均粒径0.5μm、アミノシラン処理付「SOC2」アドマテックス社製)70部、ポリビニルブチラール樹脂溶液(ガラス転移温度105℃、積水化学工業(株)製「KS-1」)を固形分15%のエタノールとトルエンの1:1溶液)20部を混合し、高速回転ミキサーで均一に分散して、樹脂ワニスを作製し、次に、かかる樹脂ワニスを5℃で1週間保管後、ポリエチレンテレフタレート(厚さ38μm)上に、乾燥後の樹脂厚みが40μmとなるようにダイコーターにて塗布し、80~120℃(平均100℃)で6分間乾燥し(残留溶媒量約2質量%)、次いで樹脂組成物の表面に厚さ15μmのポリプロピレンフィルムを貼り合わせながらロール状に巻き取り、ロール状の接着フィルムを幅507mmにスリット(slit)することにより得た接着フィルム。」
<甲1発明9>
「液状ビスフェノールA型エポキシ樹脂(エポキシ当量180、ジャパンエポキシレジン(株)製「jER828EL」)15部と、ビフェニル型エポキシ樹脂(エポキシ当量269、日本化薬(株)製「NC3000L」)15部、ビフェニル型エポキシ樹脂(エポキシ当量258、日本化薬(株)製「NC3100」)20部、ナフタレン型4官能エポキシ樹脂(エポキシ当量162、DIC(株)製「HP-4700」)10部、フェノキシ樹脂(重量平均分子量38000、ジャパンエポキシレジン(株)製「YX6954」不揮発分30質量%のMEKとシクロヘキサノンの1:1溶液)20部とをMEK15部、シクロヘキサノン15部に撹拌しながら加熱溶解させ、そこへ、フェノールノボラック系硬化剤(DIC(株)製「LA-7054」の固形分60%のMEK溶液、フェノール性水酸基当量124)40部、硬化触媒(四国化成工業(株)製、「2E4MZ」)0.1部、球形シリカ(平均粒径0.5μm、アミノシラン処理付「SOC2」アドマテックス社製)70部、ポリビニルブチラール樹脂溶液(ガラス転移温度105℃、積水化学工業(株)製「KS-1」)を固形分15%のエタノールとトルエンの1:1溶液)20部を混合し、高速回転ミキサーで均一に分散して、樹脂ワニスを作製し次に、かかる樹脂ワニスを5℃で1週間保管後、ポリエチレンテレフタレート(厚さ38μm)上に、乾燥後の樹脂厚みが40μmとなるようにダイコーターにて塗布し、80~120℃(平均100℃)で6分間乾燥し(残留溶媒量約2質量%)、次いで樹脂組成物の表面に厚さ15μmのポリプロピレンフィルムを貼り合わせながらロール状に巻き取り、ロール状の接着フィルムを幅507mmにスリット(slit)することにより得た接着フィルム。」
<甲1発明11>
「液状ビスフェノールA型エポキシ樹脂(エポキシ当量180、ジャパンエポキシレジン(株)製「jER828EL」)15部と、ビフェニル型エポキシ樹脂(エポキシ当量269、日本化薬(株)製「NC3000L」)35部、ナフタレン型4官能エポキシ樹脂(エポキシ当量162、DIC(株)製「HP-4700」)10部、フェノキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン(株)製「YL7553」、重量平均分子量35000~40000、不揮発分30質量%のMEKとシクロヘキサノンの1:1溶液)20部とをMEK15部、シクロヘキサノン15部に撹拌しながら加熱溶解させ、そこへ、フェノールノボラック系硬化剤(DIC(株)製「LA-7054」の固形分60%のMEK溶液、フェノール性水酸基当量124)20部、ナフトールノボラック系硬化剤(東都化成(株)製「SN485」の固形分60%のMEK溶液、フェノール性水酸基当量215)30部、硬化触媒(四国化成工業(株)製、「2E4MZ」)0.1部、球形シリカ(平均粒径0.5μm、アミノシラン処理付「SOC2」アドマテックス社製)70部、ポリビニルブチラール樹脂溶液(ガラス転移温度105℃、積水化学工業(株)製「HS-1」)を固形分15%のエタノールとトルエンの1:1溶液)20部を混合し、高速回転ミキサーで均一に分散して、樹脂ワニスを作製し、次に、かかる樹脂ワニスを5℃で1週間保管後、ポリエチレンテレフタレート(厚さ38μm)上に、乾燥後の樹脂厚みが40μmとなるようにダイコーターにて塗布し、80~120℃(平均100℃)で6分間乾燥し(残留溶媒量約2質量%)、次いで樹脂組成物の表面に厚さ15μmのポリプロピレンフィルムを貼り合わせながらロール状に巻き取り、ロール状の接着フィルムを幅507mmにスリット(slit)することにより得た接着フィルム。」
<甲1発明12>
「液状ビスフェノールA型エポキシ樹脂(エポキシ当量180、ジャパンエポキシレジン(株)製「jER828EL」)10部と、ビフェニル型エポキシ樹脂(エポキシ当量269、日本化薬(株)製「NC3000L」)15部、ビフェニル型エポキシ樹脂(エポキシ当量258、日本化薬(株)製「NC3100」)6部、ナフタレン型4官能エポキシ樹脂(エポキシ当量162、DIC(株)製「HP-4700」)3部、フェノキシ樹脂(重量平均分子量38000、ジャパンエポキシレジン(株)製「YX6954」不揮発分30質量%のMEKとシクロヘキサノンの1:1溶液)10部とをMEK25部、シクロヘキサノン25部に撹拌しながら加熱溶解させ、そこへ、フェノールノボラック系硬化剤(DIC(株)製「LA-7054」の固形分60%のMEK溶液、フェノール性水酸基当量124)20部、硬化触媒(四国化成工業(株)製、「2E4MZ」)0.1部、球形シリカ(平均粒径0.5μm、アミノシラン処理付「SOC2」アドマテックス社製)110部、ポリビニルブチラール樹脂溶液(ガラス転移温度105℃、積水化学工業(株)製「KS-1」)を固形分15%のエタノールとトルエンの1:1溶液)10部を混合し、高速回転ミキサーで均一に分散して、樹脂ワニスを作製し次に、かかる樹脂ワニスを5℃で1週間保管後、ポリエチレンテレフタレート(厚さ38μm)上に、乾燥後の樹脂厚みが40μmとなるようにダイコーターにて塗布し、80~120℃(平均100℃)で6分間乾燥し(残留溶媒量約2質量%)、次いで樹脂組成物の表面に厚さ15μmのポリプロピレンフィルムを貼り合わせながらロール状に巻き取り、ロール状の接着フィルムを幅507mmにスリット(slit)することにより得た接着フィルム。」
<甲1発明13>
「液状ビスフェノールA型エポキシ樹脂(エポキシ当量180、ジャパンエポキシレジン(株)製「jER828EL」)10部と、ビフェニル型エポキシ樹脂(エポキシ当量269、日本化薬(株)製「NC3000L」)15部、ビフェニル型エポキシ樹脂(エポキシ当量258、日本化薬(株)製「NC3100」)6部、ナフタレン型4官能エポキシ樹脂(エポキシ当量162、DIC(株)製「HP-4700」)3部、フェノキシ樹脂(重量平均分子量38000、ジャパンエポキシレジン(株)製「YX6954」不揮発分30質量%のMEKとシクロヘキサノンの1:1溶液)10部とをMEK25部、シクロヘキサノン25部に撹拌しながら加熱溶解させ、そこへ、フェノールノボラック系硬化剤(DIC(株)製「LA-7054」の固形分60%のMEK溶液、フェノール性水酸基当量124)15部、ナフトールノボラック系硬化剤(東都化成(株)製「SN485」の固形分60%のMEK溶液、フェノール性水酸基当量215)10部、硬化触媒(四国化成工業(株)製、「2E4MZ」)0.1部、球形シリカ(平均粒径0.5μm、アミノシラン処理付「SOC2」アドマテックス社製)110部、ポリビニルブチラール樹脂溶液(ガラス転移温度105℃、積水化学工業(株)製「KS-1」)を固形分15%のエタノールとトルエンの1:1溶液)10部を混合し、高速回転ミキサーで均一に分散して、樹脂ワニスを作製し、次に、かかる樹脂ワニスを5℃で1週間保管後、ポリエチレンテレフタレート(厚さ38μm)上に、乾燥後の樹脂厚みが40μmとなるようにダイコーターにて塗布し、80~120℃(平均100℃)で6分間乾燥し(残留溶媒量約2質量%)、次いで樹脂組成物の表面に厚さ15μmのポリプロピレンフィルムを貼り合わせながらロール状に巻き取り、ロール状の接着フィルムを幅507mmにスリット(slit)することにより得た接着フィルム。」
(2)対比・判断
ア 本件特許発明1について
本件特許発明1と甲1発明2を対比する。
甲1発明2における「液状ビスフェノールA型エポキシ樹脂(エポキシ当量180、ジャパンエポキシレジン(株)製「jER828EL」)15部と、ビフェニル型エポキシ樹脂(エポキシ当量269、日本化薬(株)製「NC3000L」)35部、ナフタレン型4官能エポキシ樹脂(エポキシ当量162、DIC(株)製「HP-4700」)10部」は、その機能、構成又は技術的意義からみて、本件特許発明1における「熱硬化性樹脂成分」に相当し、以下同様に、「球形シリカ(平均粒径0.5μm、アミノシラン処理付「SOC2」アドマテックス社製)70部」は「フィラー」に、「シクロヘキサノン15部」、「トルエン」、「MEK」及び「エタノール」は「少なくとも3種の溶剤」に、「ダイコーターにて塗布し」た「樹脂ワニス」は「樹脂層」に、「接着フィルム」は「ドライフィルム」に、それぞれ相当する。
甲1発明2における「フェノキシ樹脂(重量平均分子量38000、ジャパンエポキシレジン(株)製「YX6954」不揮発分30質量%のMEKとシクロヘキサノンの1:1溶液)20部」は、その機能、構成又は技術的意義からみて、本件特許発明1における「フェノキシ樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、フルオレン骨格を有する熱可塑性ポリヒドロキシポリエーテル樹脂、ブロック共重合体、および、ゴム状粒子のいずれか1種」に相当し、同様に、「フェノールノボラック系硬化剤(DIC(株)製「LA-7054」の固形分60%のMEK溶液、フェノール性水酸基当量124)40部」は「フェノール樹脂」に相当する。
甲1発明2における「液状ビスフェノールA型エポキシ樹脂(エポキシ当量180、ジャパンエポキシレジン(株)製「jER828EL」)15部と、ビフェニル型エポキシ樹脂(エポキシ当量269、日本化薬(株)製「NC3000L」)35部、ナフタレン型4官能エポキシ樹脂(エポキシ当量162、DIC(株)製「HP-4700」)10部」は、本件特許発明1における「エポキシ化合物」に相当する。
甲1発明2における「液状ビスフェノールA型エポキシ樹脂(エポキシ当量180、ジャパンエポキシレジン(株)製「jER828EL」)15部」は、「液状ビスフェノールA型エポキシ樹脂(エポキシ当量180、ジャパンエポキシレジン(株)製「jER828EL」)15部と、ビフェニル型エポキシ樹脂(エポキシ当量269、日本化薬(株)製「NC3000L」)35部、ナフタレン型4官能エポキシ樹脂(エポキシ当量162、DIC(株)製「HP-4700」)10部」の全質量(15部+35部+10部)当たり、25質量%であり、質量%は重量%とほぼ同じ値を示すものであるから、本件特許発明1における「0~30重量%」に含まれる。
甲1発明2には、本件特許発明1における発明特定事項と相当関係のとれない発明特定事項(硬化触媒等の成分及び製法に関する事項等。)が含まれるが、本件特許発明1は、請求項1の記載からみて、請求項1に記載された発明特定事項以外の発明特定事項を含むものを排除していない。
甲1発明2における発明特定事項が並べられる順序は、本件特許発明1における発明特定事項が並べられる順序と異なるが、本件特許発明1において、発明特定事項が並べられる順序に技術的意義はない。
したがって、本件特許発明1と甲1発明2は、次の点で一致する。
「熱硬化性樹脂成分と、フィラーと、少なくとも3種の溶剤とを含有する樹脂層を有するドライフィルムであって、
前記樹脂層が、前記熱硬化性樹脂成分としてエポキシ化合物を含み、
前記エポキシ化合物のうち、液状のエポキシ樹脂の配合量は、熱硬化性樹脂成分全重量あたり、0~30重量%であり、
前記樹脂層が、フェノール樹脂を含み、
前記樹脂層が、フェノキシ樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、フルオレン骨格を有する熱可塑性ポリヒドロキシポリエーテル樹脂、ブロック共重合体、および、ゴム状粒子のいずれか1種を含むドライフィルム。」
そして、次の点で相違する。
<相違点>
「少なくとも3種の溶剤」に関して、本件特許発明1においては、「前記少なくとも3種の溶剤が、いずれも沸点が100℃以上であり、かつ、沸点が10℃以上異なり、
前記少なくとも3種の溶剤が、トルエン、シクロヘキサノン、および炭素数が9以上の芳香族炭化水素からなる群より選ばれる少なくとも3種」であるのに対し、甲1発明2においては、「シクロヘキサノン15部」、「トルエン」、「MEK」及び「エタノール」である点。
そこで、相違点について検討する。
本件特許発明1や甲1発明2のような、熱硬化性樹脂成分と、フィラーと、溶剤とを含有するドライフィルム用の樹脂組成物の溶剤として、トルエン、シクロヘキサノン及びソルベントナフサの少なくとも3種を使用することは、原出願の出願前に周知(特許異議申立人が平成29年9月25日に提出した意見書に添付された特開2011-144361号公報の【0116】等を参照。以下、「周知技術」という。なお、特開2011-144361号公報の【0116】等に記載されたものは、本件特許発明1と同一と評価してもよいものでもある。)である。
そして、ソルベントナフサには、炭素数9以上の芳香族炭化水素(例えば、沸点が約159~160℃である炭素数9のプロピルベンゼン、沸点が約183℃である炭素数10のn-ブチルベンゼン等。)が含まれることは原出願の出願前に当業者の技術常識(必要であれば、「東京都環境科学研究所年報 2007 石油系混合溶剤の成分組成調査 第135ないし139ページ、https://www.tokyokankyo.jp/kankyoken_contents/report-news/2007/hokoku8.pdf」等を参照。)である。
したがって、甲1発明2において、周知技術及び技術常識を適用し、溶剤として、トルエン(沸点110℃)、シクロヘキサノン(沸点150℃)及びソルベントナフサ(沸点が約159~160℃である炭素数9のプロピルベンゼン、沸点が約183℃である炭素数10のn-ブチルベンゼン等の炭素数9以上の芳香族炭化水素が含まれる。)を使用するようにして、相違点に係る本件特許発明1の発明特定事項とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。
また、本件特許の明細書の【0097】の【表5】に示された参考例4ないし7(溶剤が2種の例)の方が実施例8及び9(溶剤が3種の例)よりもドライフィルムの硬度、気泡残留及びキャリアフィルムの剥離性等が優れていることからみて、溶剤として、「トルエン、シクロヘキサノン、および炭素数が9以上の芳香族炭化水素からなる群より選ばれる少なくとも3種」を使用したことによる効果は、格別なものとはいえない。
本件特許発明1と甲1発明3ないし9及び11ないし13との対比についても、甲1発明2と同様である。
よって、本件特許発明1は、当業者が甲1発明2ないし9及び11ないし13、すなわち甲第1号証に記載された発明並びに周知技術及び技術常識に基づいて容易に発明をすることができたものである。
イ 本件特許発明2について
甲1発明2ないし9及び11ないし13においては、「残留溶媒量約2質量%」であるから、本件特許発明2において新たに追加された事項は、甲1発明2ないし9及び11ないし13が有しているものである。
したがって、本件特許発明2は、当業者が甲第1号証に記載された発明並びに周知技術及び技術常識に基づいて容易に発明をすることができたものである。
ウ 本件特許発明3について
本件特許発明3において新たに追加された事項は、甲第1号証([0006]及び[0053]等参照。)に記載されている。
したがって、本件特許発明3は、当業者が甲第1号証に記載された発明並びに周知技術及び技術常識に基づいて容易に発明をすることができたものである。
エ 本件特許発明4について
本件特許発明4において新たに追加された事項は、甲第1号証([0006]及び[0053]等参照。)に記載されている。
したがって、本件特許発明4は、当業者が甲第1号証に記載された発明並びに周知技術及び技術常識に基づいて容易に発明をすることができたものである。
(3)むすび
よって、本件特許発明1ないし4は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、それらの特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。
第4 結語
上記第3のとおり、本件特許の請求項1ないし4に係る特許は、特許法第29条の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
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2017-700411