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特許訂正審判

2017-390152

車輪支持用転がり軸受装置及びその軌道輪製造方法

審判番号
2017-390152
法域
特許
審判種別
訂正審判(訂正の審決)
出願番号
特願2007-092078外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2017年12月21日
審決日
2018年02月14日
公報発行日
2018年05月25日
結論
訂正認容
当事者
審判長/審判官
分類
P141 .851-Y (F16C) / P141 .853-Y (F16C) / P141 .854-Y (F16C) / P141 .855-Y (F16C) / P141 .856-Y (F16C)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法126条1項3号特許法126条5項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第126条第1項、特許法第126条第5項、特許法第126条第6項、特許法第126条第7項
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

特許第5070907号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。

結論

【結 論】 特許第5070907号の明細書、特許請求の範囲及び図面を本件審判請求書に添付された訂正明細書、特許請求の範囲及び図面のとおり訂正することを認める。

理由

【理 由】 第1 手続の経緯 本件訂正審判の請求に係る特許第5070907号は、平成19年3月30日の出願であって、その請求項1及び2に係る発明について、平成24年8月31日に特許権の設定登録がなされ、 平成29年12月21日に本件訂正審判の請求がなされたものである。 第2 審判請求の要旨及び訂正の内容 本件訂正審判の請求の趣旨は、「明細書、特許請求の範囲及び図面を本件審判請求書に添付された訂正明細書、特許請求の範囲及び図面のとおり訂正することを認める、との審決を求める。」ものであり、その訂正の内容は次のとおりである。 1 訂正事項1 特許請求の範囲の請求項1の 「車輪と一体に回転する回転側軌道輪と、該回転側軌道輪の外周面に形成された内輪軌道溝と対向する外輪軌道溝を内周面に有する静止側軌道輪と、これら軌道輪の軌道溝間に設けられた多数の転動体とを備え、前記回転側軌道輪及び前記静止側軌道輪のうち少なくとも一方の軌道輪が鋼材を所定の形状に塑性加工し、塑性加工の後に高周波焼入れを施して形成された車輪支持用転がり軸受装置であって、 前記鋼材は、炭素含有量が0.45質量%以上0.75質量%以下の「JIS S45C~S75C」相当材であり、塑性加工前の鋼材の金属組織に存在する全ての炭化物のうち長軸径と短軸径とのアスペクト比が2以下で短軸径が0.7μm以上の球状化炭化物の面積率が70%以上、前記球状化炭化物の平均間隔が15μm以下、高周波焼入れを施した後の軌道溝の旧オーステナイト結晶粒の粒度番号が6番以上、表面硬さがHV650以上であることを特徴とする車輪支持用転がり軸受装置。」 との記載を、 「車輪と一体に回転する回転側軌道輪と、該回転側軌道輪の外周面に形成された内輪軌道溝と対向する外輪軌道溝を内周面に有する静止側軌道輪と、これら軌道輪の軌道溝間に設けられた多数の転動体とを備え、前記回転側軌道輪及び前記静止側軌道輪のうち少なくとも一方の軌道輪が鋼材を所定の形状に塑性加工し、塑性加工の後に高周波焼入れを施して形成された車輪支持用転がり軸受装置であって、 前記鋼材は、炭素含有量が0.52質量%以上0.75質量%以下の「JIS S55C~S75C」相当材であり、塑性加工前の鋼材の金属組織に存在する全ての炭化物のうち長軸径と短軸径とのアスペクト比が2以下で短軸径が0.7μm以上の球状化炭化物の面積率が72%以上、前記球状化炭化物の平均間隔が15μm以下、高周波焼入れを施した後の軌道溝の旧オーステナイト結晶粒の粒度番号が6.5番、表面硬さがHV650以上であることを特徴とする車輪支持用転がり軸受装置。」 に訂正する(下線は特許権者が付与。以下同様。)。 2 訂正事項2 特許請求の範囲の請求項2の 「請求項1記載の車輪支持用転がり軸受装置の軌道輪を製造する方法であって、炭素含有量が0.45質量%以上0.75質量%以下の鋼材を軌道輪素材として用い、軌道輪素材を所定の形状に塑性加工する前に、740~860℃の温度で0.1時間以上加熱した後、20~70℃/hrの速度で720~680℃の温度まで冷却し、次いで720~680℃の温度で1~5時間程度保持した後、10~100℃/hrの速度で620~680℃の温度まで冷却し、さらに10~15℃/hrの速度で500~560℃の温度まで冷却する軟化焼鈍を軌道輪素材に施すことを特徴とする車輪支持用転がり軸受装置の軌道輪製造方法。」との記載を、 「請求項1記載の車輪支持用転がり軸受装置の軌道輪を製造する方法であって、炭素含有量が0.52質量%以上0.75質量%以下の鋼材を軌道輪素材として用い、軌道輪素材を所定の形状に塑性加工する前に、740~860℃の温度で0.1時間以上加熱した後、20~70℃/hrの速度で720~680℃の温度まで冷却し、次いで720~680℃の温度で1~5時間程度保持した後、10~100℃/hrの速度で620~680℃の温度まで冷却し、さらに10~15℃/hrの速度で500~560℃の温度まで冷却する軟化焼鈍を軌道輪素材に施すことを特徴とする車輪支持用転がり軸受装置の軌道輪製造方法。」に訂正する。 3 訂正事項3 明細書の段落[0006]の 「前記鋼材は、炭素含有量が0.45質量%以上0.75質量%以下の「JIS S45C~S75C」相当材であり、塑性加工前の鋼材の金属組織に存在する全ての炭化物のうち長軸径と短軸径とのアスペクト比が2以下で短軸径が0.7μm以上の球状化炭化物の面積率が70%以上、前記球状化炭化物の平均間隔が15μm以下、高周波焼入れを施した後の軌道溝の旧オーステナイト結晶粒の粒度番号が6番以上」との記載を、 「前記鋼材は、炭素含有量が0.52質量%以上0.75質量%以下の「JIS S55C~S75C」相当材であり、塑性加工前の鋼材の金属組織に存在する全ての炭化物のうち長軸径と短軸径とのアスペクト比が2以下で短軸径が0.7μm以上の球状化炭化物の面積率が72%以上、前記球状化炭化物の平均間隔が15μm以下、高周波焼入れを施した後の軌道溝の旧オーステナイト結晶粒の粒度番号が6.5番」に訂正する。 4 訂正事項4 明細書の段落[0007]、[0008]、[0012]、[0013]、[0027]及び[0028]の 「0.45質量%」との記載を、 「0.52質量%」に訂正する。 5 訂正事項5 明細書の段落[0008]及び[0027]の 「70%」との記載を、 「72%」に訂正する。 6 訂正事項6 明細書の段落[0009]の 「6番以上」との記載を、 「6.5番」に訂正する。 7 訂正事項7 明細書の段落[0015][表1]の 「実施例1」~「実施例4」、「実施例6」~「実施例9」、「実施例11」及び「実施例12」を、 「参考例1」~「参考例4」、「参考例6」~「参考例9」、「参考例11」及び「参考例12」を、に訂正する。 8 訂正事項8 明細書の段落[0016]の 「実施例1~12」との記載を、 「実施例5及び10並びに参考例1~4、6~9、11~12」に訂正する。 9 訂正事項9 明細書の段落[0026]の 「実施例1~12」との記載を、 「実施例5及び10」に訂正し、 「球状化炭化物の面積率を70%以上」との記載を、 「球状化炭化物の面積率を72%以上」に訂正し、 「粒度番号を6番以上」との記載を、 「粒度番号を6.5番」に訂正する。 10 訂正事項10 図面の[図5]の「本特許の範囲」の線及び矢印が短軸径0.7μm以上の球状化炭化物の面積率(%)70%を始点としている記載を、短軸径0.7μm以上の球状化炭化物の面積率(%)72%を始点とする記載に訂正する。 第3 当審の判断 1 訂正事項1及び2について (1)訂正の目的の適否について 訂正事項1は、訂正前の特許請求の範囲の請求項1において、鋼材の炭素含有量について「0.45質量%以上0.75質量%以下」と記載されているのを「0.52質量%以上0.75質量%以下」に減縮し、「JIS S45C~S75C」相当材を「JIS S55C~S75C」相当材に限定し、球状化炭化物の面積率について「70%以上」と記載されているのを「72%以上」に減縮し、粒度番号について「6番以上」と記載されているのを「6.5番」に限定するものであるから、訂正事項1は、特許法第126条第1項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 訂正事項2は、訂正前の特許請求の範囲の請求項2において、鋼材の炭素含有量について「0.45質量%以上0.75質量%以下」と記載されているのを「0.52質量%以上0.75質量%以下」に減縮するものであるから、訂正事項2は、特許法第126条第1項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 したがって、訂正事項1及び2は、特許法第126条第1項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 (2)新規事項の有無について 願書に添付した明細書の段落【0015】の【表1】には、実施例5の軌道輪素材がS55Cであり、球状炭化物面積が72.4%であり、結晶粒度が6.5番である事が記載されており、実施例10の軌道輪素材がS75Cであり、球状炭化物面積が73.4%であり、結晶粒度が6.5番である事が記載されている。 JIS S55Cの炭素含有量は0.52質量%~0.58質量%であるから、軌道輪素材である鋼材の炭素含有量の下限値の「0.52質量%」は当業者の技術常識に鑑みて明細書に記載されているに等しい事項である。 球状化炭化物の面積率の下限値72%は、訂正前の「70%以上」の範囲に含まれており、実施例5では72.4%であるから、明細書に記載されている事項の範囲内である。 粒度番号の6.5番は、訂正前の「6番以上」に含まれており、実施例5及び10の粒度番号であるから、明細書に記載されている事項の範囲内である。 したがって、訂正事項1及び2は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであるから、特許法第126条第5項の規定を満たすものである。 (3)特許請求の範囲の拡張又は変更の有無について 訂正事項1は、特許請求の範囲の請求項1の、鋼材の炭素含有量について「0.45質量%以上0.75質量%以下」と記載されているのを「0.52質量%以上0.75質量%以下」に減縮し、「JIS S45C~S75C」相当材を「JIS S55C~S75C」相当材に限定し、球状化炭化物の面積率について「70%以上」と記載されているのを「72%以上」に減縮し、粒度番号について「6番以上」と記載されているのを「6.5番」に限定するものであって、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 訂正事項2は、特許請求の範囲の請求項2の鋼材の炭素含有量について「0.45質量%以上0.75質量%以下」と記載されているのを「0.52質量%以上0.75質量%以下」に減縮するものであって、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 したがって、訂正事項1及び2は、特許法第126条第6項の規定を満たすものである。 (4)独立特許要件について 訂正事項1及び2により訂正された訂正後の特許請求の範囲の請求項1及び2に係る発明は、拒絶すべき理由を有しないとして特許された訂正前の特許発明を減縮したものであるから、特許出願の際独立して特許を受けることができない発明でないことは明らかであり、特許法第126条第7項の規定を満たすものである。 2 訂正事項3~6について (1)訂正の目的の適否について 訂正事項3~6は、訂正事項1及び2に係る訂正に伴って、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載との整合を図るため、「0.45質量%」との記載を「0.52質量%」に訂正し、「S45C」との記載を「S55C」に訂正し、「70%」との記載を「72%」に訂正し、「6番以上」との記載を「6.5番」に訂正するものである。 したがって、当該訂正事項は、特許法第126条第1項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。 (2)新規事項の有無について 前記「1(2)」で述べたとおり、炭素含有量を0.52質量%以上とし、S55C相当材を特定し、球状化炭化物の面積率を72%以上とし、粒度番号を6.5番とすることは願書に添付した明細書の段落[0015]の[表1]の実施例5及び10に基づくものである。 したがって、訂正事項3~6は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであるから、特許法第126条第5項の規定を満たすものである。 (3)特許請求の範囲の拡張又は変更の有無について 訂正事項3~6は、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載との整合を図るために、明細書の記載を訂正するものであるから、特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 したがって、訂正事項3~6は、特許法第126条第6項の規定を満たすものである。 3 訂正事項7及び8について (1)訂正の目的の適否について 訂正事項7及び8は、訂正事項1及び2に係る訂正に伴って、特許請求の範囲の請求項1及び2に対応しないものとなる「実施例1」~「実施例4」、「実施例6」~「実施例9」、「実施例11」及び「実施例12」を、「参考例1」~「参考例4」、「参考例6」~「参考例9」、「参考例11」及び「参考例12」とするとともに、特許請求の範囲の請求項1及び2に対応する実施例についての記載を「実施例1~12」から「実施例5及び10」とすることで、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載との整合を図るための訂正である。 したがって、訂正事項7及び8は、特許法第126条第1項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。 (2)新規事項の有無について 訂正事項1及び2により訂正後の特許請求の範囲に対応する実施例は実施例5及び10のみとなる。訂正事項7及び8は、訂正後の特許請求の範囲に対応する態様と対応しない態様とを明記する訂正に過ぎず、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであるから、特許法第126条第5項の規定を満たすものである。 (3)特許請求の範囲の拡張又は変更の有無について 訂正事項7及び8は、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載との整合を図るために、明細書の記載を訂正するものであるから、特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 したがって、訂正事項7及び8は、特許法第126条第6項の規定を満たすものである。 4 訂正事項9について (1)訂正の目的の適否について 訂正事項9は、訂正事項1及び2に係る訂正に伴って、特許請求の範囲の請求項1及び2に対応する実施例についての記載を「実施例1~12」から「実施例5及び10」と訂正するとともに、球状化炭化物の面積率を「70%以上」から「72%以上」に、粒度番号を「6番以上」から「6.5番」にそれぞれ訂正することで、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載との整合を図るためのものである。 したがって、訂正事項9は、特許法第126条第1項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。 (2)新規事項の有無について 訂正事項1及び2により訂正後の特許請求の範囲に対応する実施例は実施例5及び10のみとなる。「実施例1~12」との記載を「実施例5及び10」と訂正することは、訂正後の特許請求の範囲に対応する態様を明記する訂正に過ぎず、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものである また、前記「1(2)」で述べたとおり、球状化炭化物の面積率を72%以上とし、粒度番号を6.5番とすることは願書に添付した明細書の段落[0015]の[表1]の実施例5及び10に基づくものであって、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものである。 したがって、訂正事項9は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであるから、特許法第126条第5項の規定を満たすものである。 (3)特許請求の範囲の拡張又は変更の有無について 訂正事項9は、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載との整合を図るために、明細書の記載を訂正するものであるから、特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 したがって、訂正事項9は、特許法第126条第6項の規定を満たすものである。 5 訂正事項10について (1)訂正の目的の適否について 訂正事項10は、訂正事項1による「球状化炭化物の面積率を70%以上」との記載を「球状化炭化物の面積率を72%以上」とする訂正に整合させるために、横軸「短軸径0.7μm以上の球状化炭化物の面積率(%)」の70%を始点とする「本特許の範囲」の領域の記載を、訂正後の、72%を始点とする領域の記載とすることで、特許請求の範囲の記載と図面の記載との整合を図るための訂正である。 したがって、訂正事項10は、特許法第126条第1項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。 (2)新規事項の有無について 前記「1(2)」で述べたとおり、球状化炭化物の面積率を72%以上とすることは願書に添付した明細書の段落[0015]の[表1]の実施例5及び10に基づくものである。 したがって、訂正事項10は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであって、特許法第126条第5項の規定を満たすものである。 (3)特許請求の範囲の拡張又は変更の有無について 訂正事項10は、特許請求の範囲の記載と図面の記載との整合を図るために、図面の記載を訂正するものであるから、特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 したがって、訂正事項10は、特許法第126条第6項の規定を満たすものである。 第4 むすび 以上のとおり、本件訂正審判の請求に係る訂正は、特許法第126条第1項ただし書第1号及び第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第5項ないし第7項までの規定を満たすものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2017-390152

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