特許訂正審判
2017-390057
発光装置用基板
- 審判番号
- 2017-390057
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 訂正審判(訂正の審決)
- 出願番号
- 特願2015-145559外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2017年06月28日
- 審決日
- 2018年01月30日
- 公報発行日
- 2018年04月27日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【請求人】シャープ 株式会社
- 【請求人代理人】特許業務法人深見特許事務所
- 分類
- P141 .851-Y (H01L) / P141 .853-Y (H01L) / P141 .854-Y (H01L) / P141 .855-Y (H01L) / P141 .856-Y (H01L)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第44条第1項、特許法第126条第1項、特許法第126条第5項、特許法第126条第6項、特許法第126条第7項、特許法第126条第4項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特許第6030193号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
特許第6030193号の明細書及び特許請求の範囲を本件審判請求書に添付された訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり訂正することを認める。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
特許第6030193(以下「本件特許」という。)の請求項1ないし8に係る特許についての手続の経緯は、以下のとおりである。
平成27年 7月23日 特許法第44条第1項の規定による新たな特許出願
(本件特許に係る出願は、平成19年3月15日に出願された特許出願(特願2007-67362号)の一部を、平成21年9月14日に特許法第44条第1項の規定による新たな特許出願(特願2009-211855号)とし、更にその一部を平成22年6月4日に特許法第44条第1項の規定による新たな特許出願(特願2010-129024号)とし、更にその一部を平成23年8月25日に特許法第44条第1項の規定による新たな特許出願(特願2011-183773号)とし、更にその一部を平成26年7月1日に特許法第44条第1項の規定による新たな特許出願(特願2014-136034号)とし、更にその一部を特許法第44条第1項の規定による新たな特許出願(特願2015-145559号)としたものである。)
平成27年 7月23日 審査請求
平成28年 9月21日 特許査定(9月27日送達)
平成28年10月28日 特許権の設定登録
平成29年 6月28日 本件訂正審判請求
第2 請求の趣旨
本件訂正審判の請求の趣旨は、特許第6030193号の明細書、特許請求の範囲を本件審判請求書に添付した訂正明細書、特許請求の範囲のとおり訂正することを認める、との審決を求めるものである。
第3 訂正の内容
請求人が求めている具体的な訂正(以下「本件訂正」という。)の内容は、以下の訂正事項のとおり訂正することを求めるものである(当審注:訂正箇所に下線を付した。)。
1 訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1において、
「 絶縁性を有する基板上面に、複数の配線パターン、正電極外部接続ランドおよび負電極外部接続ランドを備え、
前記基板上面に1つの封止体で封止された発光部が形成される第1の領域と、該第1の領域を取り囲む第2の領域とを有しており、
前記基板の形状は、四角またはその頂点の角を取った略四角形であり、
前記配線パターンは、アノード用配線パターンと、カソード用配線パターンとを備え、
前記アノード用配線パターンおよびカソード用配線パターンは、互いに対向するように形成され、
前記正電極外部接続ランドおよび負電極外部接続ランドは、前記第2の領域に形成され、かつ、外部接続配線を直接接続するためのものであり、
前記正電極外部接続ランドは前記アノード用配線パターンに、前記負電極外部接続ランドは前記カソード用配線パターンに、外部引き出し配線パターンを通じてそれぞれ電気的に接続されており、
前記外部引き出し配線パターンは、前記正電極外部接続ランドと前記アノード用配線パターンとの間の前記第2の領域に形成された第1の外部引き出し配線パターンと、前記負電極外部接続ランドと前記カソード用配線パターンとの間の前記第2の領域に形成された第2の外部引き出し配線パターンとを有し、
前記正電極外部接続ランドおよび負電極外部接続ランドは、前記第2領域において、前記基板の端と接しないように配置され、かつ、前記基板の対向する角部に、対向するように形成され、
前記基板を貫通する貫通穴を備え、
前記貫通穴は、前記第2領域において、前記基板の他の対向する角部に、対向するように1つずつ形成されたことを特徴とする発光装置用基板。」
と記載されているのを、
「 絶縁性を有する材料で形成されている絶縁基板上面に、複数の配線パターン、正電極外部接続ランドおよび負電極外部接続ランドを備え、
前記絶縁基板上面に1つの封止体で封止された発光部が形成される第1の領域と、該第1の領域を取り囲む第2の領域とを有しており、
前記絶縁基板の形状は、四角またはその頂点の角を取った略四角形であり、
前記配線パターンは、アノード用配線パターンと、カソード用配線パターンとを備え、
前記アノード用配線パターンおよびカソード用配線パターンは、互いに対向するように形成され、
前記正電極外部接続ランドおよび負電極外部接続ランドは、前記第2の領域に形成され、かつ、外部接続配線を直接接続するためのものであり、
前記正電極外部接続ランドは前記アノード用配線パターンに、前記負電極外部接続ランドは前記カソード用配線パターンに、外部引き出し配線パターンを通じてそれぞれ電気的に接続されており、
前記外部引き出し配線パターンは、前記正電極外部接続ランドと前記アノード用配線パターンとの間の前記第2の領域に形成された第1の外部引き出し配線パターンと、前記負電極外部接続ランドと前記カソード用配線パターンとの間の前記第2の領域に形成された第2の外部引き出し配線パターンとを有し、
前記正電極外部接続ランドおよび負電極外部接続ランドは、前記第2領域において、前記絶縁基板の端と接しないように配置され、かつ、前記絶縁基板の対向する角部に、対向するように形成され、
前記絶縁基板を貫通する貫通穴を備え、
前記貫通穴は、前記第2領域において、前記絶縁基板の他の対向する角部に、対向するように1つずつ形成されたことを特徴とする発光装置用絶縁基板。」
に訂正する(請求項1の記載を直接または間接に従属するか、もしくは引用する請求項2~8も同様に訂正する。)。
2 訂正事項2
特許請求の範囲の請求項2において、
「 前記正電極外部接続ランドおよび負電極外部接続ランドは、前記基板の対向する角部の第1対角線上に配置され、
前記貫通穴は、前記第1対角線と異なる第2対角線上に配置されることを特徴とする請求項1に記載の発光装置用基板。」
と記載されているのを、
「 前記正電極外部接続ランドおよび負電極外部接続ランドは、前記絶縁基板の対向する角部の第1対角線上に配置され、
前記貫通穴は、前記第1対角線と異なる第2対角線上に配置されることを特徴とする請求項1に記載の発光装置用絶縁基板。」
に訂正する(請求項2の記載を直接または間接に従属するか、もしくは引用する請求項4も同様に訂正する。)。
3 訂正事項3
特許請求の範囲の請求項3において、
「 前記貫通穴は、固定用冶具を用いて相手部材に取り付けるための固定用穴であることを特徴とする請求項1に記載の発光装置用基板。」
と記載されているのを、
「 前記貫通穴は、固定用冶具を用いて相手部材に取り付けるための固定用穴であることを特徴とする請求項1に記載の発光装置用絶縁基板。」
に訂正する(請求項3の記載を直接または間接に従属するか、もしくは引用する請求項4も同様に訂正する。)。
4 訂正事項4
特許請求の範囲の請求項4において、
「 前記貫通穴は、切り欠き状であることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の発光装置用基板。」
と記載されているのを、
「 前記貫通穴は、切り欠き状であることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の発光装置用絶縁基板。」
に訂正する。
5 訂正事項5
特許請求の範囲の請求項5において、
「 外部配線用穴が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の発光装置用基板。」
と記載されているのを、
「 外部配線用穴が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の発光装置用絶縁基板。」
に訂正する。
6 訂正事項6
特許請求の範囲の請求項6において、
「 前記外部配線用穴は、切り欠き状であることを特徴とする請求項5に記載の発光装置用基板。」
と記載されているのを、
「 前記外部配線用穴は、切り欠き状であることを特徴とする請求項5に記載の発光装置用絶縁基板。」
に訂正する。
7 訂正事項7
特許請求の範囲の請求項7において、
「 前記正電極外部接続ランドおよび負電極外部接続ランドの形状は、少なくとも丸みを有する形状を含むことを特徴とする請求項1に記載の発光装置用基板。」
と記載されているのを、
「 前記正電極外部接続ランドおよび負電極外部接続ランドの形状は、少なくとも丸みを有する形状を含むことを特徴とする請求項1に記載の発光装置用絶縁基板。」
に訂正する。
8 訂正事項8
特許請求の範囲の請求項8において、
「 前記基板は、第1面と第1面と対向する第2面とを有し、
前記配線パターン、前記外部引き出し配線パターン、前記正電極外部接続ランドおよび負電極外部接続ランドは、前記第1面上のみに形成されることを特徴とする請求項1に記載の発光装置用基板。」
と記載されているのを、
「 前記絶縁基板は、第1面と第1面と対向する第2面とを有し、
前記配線パターン、前記外部引き出し配線パターン、前記正電極外部接続ランドおよび負電極外部接続ランドは、前記第1面上のみに形成されることを特徴とする請求項1に記載の発光装置用絶縁基板。」
に訂正する。
9 訂正事項9
明細書の【発明の名称】である「発光装置用基板」を「発光装置用絶縁基板」に訂正する。
10 訂正事項10
明細書の段落【0001】、【0010】~【0012】における「発光装置用基板」を「発光装置用絶縁基板」に訂正する。
11 訂正事項11
明細書の段落【0009】において、
「 本発明の発光装置用基板は、絶縁性を有する基板上に、複数の配線パターン、正電極外部接続ランドおよび負電極外部接続ランドを備え、前記基板の形状は、四角またはその頂点の角を取った略四角形であり、前記配線パターンは、アノード用配線パターンと、カソード用配線パターンとを備え、前記正電極外部接続ランドおよび負電極外部接続ランドは、外部接続配線を直接接続するためのものであって、前記正電極外部接続ランドは前記アノード用配線パターンに、前記負電極外部接続ランドは前記カソード用配線パターンに、それぞれ電気的に接続されており、前記正電極外部接続ランドおよび負電極外部接続ランドは、前記基板の対向する角部に、対向するように形成され、前記基板を貫通する貫通穴を備え、前記貫通穴は、前記基板の他の対向する角部に、対向するように1つずつ形成されたことを特徴とする。」
と記載されているのを、
「 本発明の発光装置用絶縁基板は、絶縁性を有する材料で形成されている絶縁基板上面に、複数の配線パターン、正電極外部接続ランドおよび負電極外部接続ランドを備え、前記絶縁基板上面に1つの封止体で封止された発光部が形成される第1の領域と、該第1の領域を取り囲む第2の領域とを有しており、前記絶縁基板の形状は、四角またはその頂点の角を取った略四角形であり、前記配線パターンは、アノード用配線パターンと、カソード用配線パターンとを備え、前記アノード用配線パターンおよびカソード用配線パターンは、互いに対向するように形成され、前記正電極外部接続ランドおよび負電極外部接続ランドは、前記第2の領域に形成され、かつ、外部接続配線を直接接続するためのものであり、前記正電極外部接続ランドは前記アノード用配線パターンに、前記負電極外部接続ランドは前記カソード用配線パターンに、外部引き出し配線パターンを通じてそれぞれ電気的に接続されており、前記外部引き出し配線パターンは、前記正電極外部接続ランドと前記アノード用配線パターンとの間の前記第2の領域に形成された第1の外部引き出し配線パターンと、前記負電極外部接続ランドと前記カソード用配線パターンとの間の前記第2の領域に形成された第2の外部引き出し配線パターンとを有し、前記正電極外部接続ランドおよび負電極外部接続ランドは、前記第2領域において、前記絶縁基板の端と接しないように配置され、かつ、前記絶縁基板の対向する角部に、対向するように形成され、前記絶縁基板を貫通する貫通穴を備え、前記貫通穴は、前記第2領域において、前記絶縁基板の他の対向する角部に、対向するように1つずつ形成されたことを特徴とする。」
に訂正する。
12 訂正事項12
明細書の段落【0013】において、
「本発明の発光装置用基板において、前記正電極外部接続ランドおよび負電極外部接続ランドの形状は、少なくとも丸みを有する形状を含むことが好ましい。」
と記載されているのを、
「本発明の発光装置用絶縁基板において、前記正電極外部接続ランドおよび負電極外部接続ランドの形状は、少なくとも丸みを有する形状を含むことが好ましい。また本発明において、前記絶縁基板は、第1面と第1面と対向する第2面とを有し、前記配線パターン、前記外部引き出し配線パターン、前記正電極外部接続ランドおよび負電極外部接続ランドは、前記第1面上のみに形成されることが好ましい。」
に訂正する。
13 訂正事項13
明細書の段落【0028】において、
「本発明の発光装置1における絶縁基板3は、少なくともその表面が絶縁性を有する材料で形成されていればよく、特に制限されるものではないが、熱膨張が小さく、熱伝導性が高く、かつ光反射率が高いことから、白色のセラミック基板であることが好ましい。ここで、「白色」とは、物体が全ての波長の可視光線をほぼ100%反射するような物体の色を指す(ただし、100%の反射率をもった理想的な白色の物体は存在しない。)。白色のセラミック基板を絶縁基板3として用いることで、発光素子5からの出射光のうち、特に下面方向への光を白色のセラミック基板にて反射することができ、発光素子5からの出射光をロスなく有効に活用できるとともに、高い放熱性および耐熱性が要求される駆動電流として大電流を供給する用途にも好適に適用することができる。さらに、発光素子5の信頼性を向上できるとともに、封止体6が蛍光体を含有する場合(後述)には、発光素子5からの熱による蛍光体の劣化を抑えることもでき、蛍光体により波長変換されて出光する光の色度ズレが生じにくい。またさらに、上述のように光反射率の高いセラミック基板を用いることで、基板材料および/または配線パターンの形成材料に光反射率90%以上の銀を用いる必要がないため、銀マイグレーションの心配がなく、さらに銀が硫化してしまう問題もない。」
と記載されているのを、
「本発明の発光装置1における絶縁基板3は、絶縁性を有する材料で形成されていればよく、特に制限されるものではないが、熱膨張が小さく、熱伝導性が高く、かつ光反射率が高いことから、白色のセラミック基板であることが好ましい。ここで、「白色」とは、物体が全ての波長の可視光線をほぼ100%反射するような物体の色を指す(ただし、100%の反射率をもった理想的な白色の物体は存在しない。)。白色のセラミック基板を絶縁基板3として用いることで、発光素子5からの出射光のうち、特に下面方向への光を白色のセラミック基板にて反射することができ、発光素子5からの出射光をロスなく有効に活用できるとともに、高い放熱性および耐熱性が要求される駆動電流として大電流を供給する用途にも好適に適用することができる。さらに、発光素子5の信頼性を向上できるとともに、封止体6が蛍光体を含有する場合(後述)には、発光素子5からの熱による蛍光体の劣化を抑えることもでき、蛍光体により波長変換されて出光する光の色度ズレが生じにくい。またさらに、上述のように光反射率の高いセラミック基板を用いることで、基板材料および/または配線パターンの形成材料に光反射率90%以上の銀を用いる必要がないため、銀マイグレーションの心配がなく、さらに銀が硫化してしまう問題もない。」
に訂正する。
第4 当審の判断
1 訂正の目的の適否、新規事項の有無、及び拡張・変更の存否について
(1)訂正事項1について
ア 訂正の目的について
訂正事項1は、請求項1において、「絶縁性を有する基板」について、「絶縁性を有する材料で形成されている絶縁基板」として上位概念から下位概念へ変更するものであるから、特許請求の範囲を減縮しようとするものである。また、訂正事項1は、請求項1の記載を直接または間接に引用する請求項2~8においても、同様に、特許請求の範囲を減縮しようとするものである。
したがって、訂正事項1は、特許法第126条第1項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであるか否かについて
本件特許の願書に添付した明細書の段落【0016】には、「…本発明の発光装置1は、絶縁基板3に上に、直線状の配線パターン4が平行に配置されて複数形成され、…封止体6で封止された発光部2を備えることを特徴とする。本発明の発光装置1では、特に、絶縁基板3に発光素子5を直に搭載することで隣接する発光素子間、および発光素子/電極間の絶縁耐圧を高くすることができる。」と、段落【0017】には、「本発明の発光装置1によれば、絶縁基板3上に複数形成された直線状の配線パターン4間に、配線パターン4に電気的に接続された状態で複数個の発光素子5を搭載してなることで、従来の金属基板上に絶縁層を形成する場合とは異なり、充分な電気絶縁性が達成される。…これに対し、本発明の発光装置1では、絶縁基板3上に配線パターン4を直接形成し、またこの絶縁基板3上に発光素子5を直に搭載し、…」と、段落【0028】には、「本発明の発光装置1における絶縁基板3は、…(略)…熱膨張が小さく、熱伝導性が高く、かつ光反射率が高いことから、白色のセラミック基板であることが好ましい。…(略)…またさらに、上述のように光反射率の高いセラミック基板を用いることで、基板材料および/または配線パターンの形成材料に光反射率90%以上の銀を用いる必要がないため、銀マイグレーションの心配がなく、さらに銀が硫化してしまう問題もない。」と、段落【0029】には、「白色のセラミック基板を用いる場合には、光反射率が90%以上と高いことから、酸化アルミニウム(アルミナ)、窒化アルミニウム、ボロンナイトライド、窒化ケイ素、酸化マグネシウム、フォルステライト、ステアタイト、低温焼結セラミックから選ばれるいずれか、または、これらの複合材料で形成されたセラミック基板が好ましい。上述した中でも、安価で、反射率が高く、加工しやすく、工業材料として広く使われている酸化アルミニウム(アルミナ)で形成された白色のセラミック基板が特に好ましい。」と記載されている(当審注:下線は合議体が付加した。)。
訂正事項1による訂正後の請求項1における「絶縁性を有する材料で形成されている絶縁基板」に関連して、訂正前の上記段落【0028】、【0029】には、「セラミック基板」及びその具体例として酸化アルミニウム(アルミナ)等で形成されたセラミック基板が記載されている。
したがって、訂正事項1は、本件特許の願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下、本件特許の願書に添付した明細書を「本件特許明細書」という。また、本件特許の願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面を「本件特許明細書等」という。)の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものでない。
したがって、訂正事項1は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正である。
よって、訂正事項1は、特許法第126条第5項の規定に適合する。
ウ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものであるか否かについて
訂正事項1は、請求項1において、発明特定事項を上位概念から下位概念に変更するものであり、発明の対象やカテゴリーを変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。また、訂正事項1は、請求項1の記載を直接または間接に引用する請求項2~8においても、同様に、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。
よって、訂正事項1は、特許法第126条第6項の規定に適合する。
(2)訂正事項2~8について
ア 訂正の目的について
訂正事項2~8は、訂正事項1から理解されるように、訂正後の請求項1の記載との整合性の観点から、請求項2~8に記載の「発光装置用基板」及び「基板」について訂正するものであるから、明瞭でない記載の釈明をしようとするものである。また、訂正事項2は、請求項2の記載を直接または間接に引用する請求項4においても、同様に、特許請求の範囲を減縮しようとするものであり、訂正事項3は、請求項3の記載を引用する請求項4においても、同様に、特許請求の範囲を減縮しようとするものである。
したがって、訂正事項2~8は、特許法第126条第1項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
イ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであるか否かについて
本件特許明細書の段落【0016】には、「…本発明の発光装置1では、特に、絶縁基板3に発光素子5を直に搭載することで隣接する発光素子間、および発光素子/電極間の絶縁耐圧を高くすることができる。」と、段落【0017】には、「本発明の発光装置1によれば、絶縁基板3上に複数形成された直線状の配線パターン4間に、配線パターン4に電気的に接続された状態で複数個の発光素子5を搭載してなることで、従来の金属基板上に絶縁層を形成する場合とは異なり、充分な電気絶縁性が達成される。…これに対し、本発明の発光装置1では、絶縁基板3上に配線パターン4を直接形成し、またこの絶縁基板3上に発光素子5を直に搭載し、…」と記載されている。
また、「絶縁性を有する材料で形成されている絶縁基板」に関連して、上記(1)イで検討したように、訂正前の上記段落【0028】、【0029】には、「セラミック基板」及びその具体例として酸化アルミニウム(アルミナ)等で形成されたセラミック基板が記載されている。
したがって、訂正事項2~8は、本件特許明細書等の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものでない。
したがって、訂正事項2~8は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正である。
よって、訂正事項2~8は、特許法第126条第5項の規定に適合する。
ウ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものであるか否かについて
訂正事項2~8は、訂正事項1から理解されるように、訂正後の請求項1の記載との整合性の観点から、請求項2~8に記載の「発光装置用基板」及び「基板」について訂正するものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。また、訂正事項2は、請求項2の記載を直接または間接に引用する請求項4においても、同様に、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、訂正事項3は、請求項3の記載を引用する請求項4においても、同様に、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。
よって、訂正事項2~8は、特許法第126条第6項の規定に適合する。
(3)訂正事項9~12について
ア 訂正の目的について
訂正事項9~12は、上記訂正事項1~8による訂正に伴い、特許請求の範囲の記載と明細書の記載との整合性を図るための訂正であるから、明瞭でない記載の釈明をしようとするものである。
よって、訂正事項9~12は、特許法第126条第1項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
イ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであるか否かについて
訂正事項9~12は、訂正事項1~8による訂正に伴い、特許請求の範囲の記載と明細書における特許請求の範囲と同様な記載との整合性を図るための訂正であるから、訂正事項9~12は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正である。
よって、訂正事項9~12は、特許法第126条第5項の規定に適合する。
ウ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものであるか否かについて
訂正事項9~12は、訂正事項1~8による訂正に伴い、特許請求の範囲の記載と明細書の記載との整合性を図るための訂正であるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。
よって、訂正事項9~12は、特許法第126条第6項の規定に適合する。
(4)訂正事項13について
ア 訂正の目的について
訂正事項13は、本件特許明細書の段落【0028】に記載の「絶縁基板3は、少なくともその表面が絶縁性を有する材料で形成されていればよく」を、「絶縁基板3は、絶縁性を有する材料で形成されていればよく」に訂正するものである。
したがって、訂正事項13は、訂正事項1~8による訂正に伴い特許請求の範囲の記載と明細書の記載との整合性を図るための訂正である。
よって、訂正事項13は、特許法第126条第1項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
イ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであるか否かについて
上記(1)イで検討したように、訂正前の上記段落【0028】、【0029】には、「セラミック基板」及びその具体例として酸化アルミニウム(アルミナ)等で形成されたセラミック基板が記載されている。
したがって、訂正事項13は、本件特許明細書等の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものでない。
したがって、訂正事項13は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正である。
よって、訂正事項13は、特許法第126条第5項の規定に適合する。
ウ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものであるか否かについて
訂正事項13は、上記アで検討したように、訂正事項1~8による訂正に伴い特許請求の範囲の記載と明細書の記載との整合性を図るための訂正であり、請求項に記載された事項の解釈に影響を与え、その結果、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。
よって、訂正事項13は、特許法第126条第6項の規定に適合する。
2 独立特許要件について
上記1(1)アで検討したとおり、訂正事項1は、特許法第126条第1項ただし書き第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
そこで、本件訂正後の特許請求の範囲に記載されている事項により特定される発明が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか否かについて検討すると、当該発明が特許出願の際独立して特許を受けることができないとする理由を発見しない。
したがって、本件訂正後の特許請求の範囲に記載されている事項により特定される発明は、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるから、訂正事項1は、特許法第126条第7項の規定に適合する。
なお、本件訂正審判の請求の趣旨は、上記第2のとおりであり、特許権全体に対して訂正審判を請求する場合に該当するから、特許法第126条第4項の規定に適合するか否かについての検討は不要である。
第5 むすび
以上のとおり、訂正事項1~13は、特許法第126条第1項ただし書第1号または第3号に掲げる事項を目的とし、かつ同法同条第5項ないし第7項の規定に適合する。
よって、結論のとおり審決する。
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2017-390057