特許訂正審判
2017-390053
発光装置
- 審判番号
- 2017-390053
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 訂正審判(訂正の審決)
- 出願番号
- 特願2009-211855外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2017年06月28日
- 審決日
- 2017年09月25日
- 公報発行日
- 2017年12月28日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【請求人】シャープ 株式会社
- 【請求人代理人】特許業務法人深見特許事務所
- 分類
- P141 .851-Y (H01L) / P141 .853-Y (H01L) / P141 .854-Y (H01L) / P141 .855-Y (H01L) / P141 .856-Y (H01L)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第126条第1項、特許法第126条第5項、特許法第126条第6項、特許法第44条第1項、特許法第126条第7項、特許法第126条第4項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特許第5118110号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
特許第5118110号の明細書及び特許請求の範囲を本件審判請求書に添付された訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり訂正することを認める。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
特許第5118110号(以下「本件特許」という。)の請求項1ないし13に係る特許についての手続の経緯は、以下のとおりである。
平成21年9月14日 特許出願
(本件特許に係る出願は、平成19年3月15日に出願された特許出願(特願2007-67362号)の一部を、特許法第44条第1項の規定による新たな特許出願(特願2009-211855号)としたものである。)
平成21年 9月14日 審査請求
平成23年 1月 7日 拒絶査定(1月18日送達)
平成23年 4月15日 拒絶査定不服審判請求
平成24年 9月12日 特許審決(9月25日送達)
平成24年10月26日 特許権の設定登録
平成29年 6月28日 本件訂正審判請求
第2 請求の趣旨
本件訂正審判の請求の趣旨は、特許第5118110号の明細書、特許請求の範囲を本件審判請求書に添付した訂正明細書、特許請求の範囲のとおり訂正することを認める、との審決を求めるものである。
第3 訂正の内容
請求人が求めている具体的な訂正(以下「本件訂正」という。)の内容は、以下の訂正事項のとおり訂正することを求めるものである(当審注:訂正箇所に下線を付した。)。
1 訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1において、
「 基板上面に、複数個の半導体発光素子が搭載されるとともに、配線パターンを備え、
前記半導体発光素子は、前記基板上面に直に搭載された半導体LEDチップであり、
前記配線パターンは、アノード用配線パターンと、カソード用配線パターンとを備え、
前記配線パターンの間に、それぞれ複数個の前記半導体発光素子が搭載され、
前記基板上面で、複数の列からなる前記半導体発光素子および前記配線パターンが1つの封止体で封止された発光部を備え、
前記基板は、該基板上面に、前記発光部の周囲全体を取り囲む、前記封止体で封止されていない領域を備えており、該領域は、外部接続配線を直接接続するための正電極外部接続ランドおよび負電極外部接続ランドが設けられる広さを有し、
前記正電極外部接続ランドおよび前記負電極外部接続ランドは、前記発光部を挟んで対向して設けられ、
前記正電極外部接続ランドは前記アノード用配線パターンに、前記負電極外部接続ランドは前記カソード用配線パターンに、前記基板上面に形成された外部引き出し配線パターンを通じてそれぞれ接続されており、
前記外部引き出し配線パターンは前記基板上に段差を有し、前記外部引き出し配線パターンの前記アノード用配線パターンおよびカソード用配線パターンに近い部分は前記封止体で封止されており、前記正電極外部接続ランドおよび前記負電極外部接続ランドに近い部分は封止体で封止されていないことを特徴とする発光装置。」
と記載されているのを、
「 絶縁性を有する材料で形成されている絶縁基板上面に、複数個の半導体発光素子が搭載されるとともに、配線パターンを備え、
前記半導体発光素子は、前記絶縁基板上面に直に搭載された半導体LEDチップであり、
前記配線パターンは、アノード用配線パターンと、カソード用配線パターンとを備え、
前記配線パターンの間に、それぞれ複数個の前記半導体発光素子が搭載され、
前記絶縁基板上面で、複数の列からなる前記半導体発光素子および前記配線パターンが1つの封止体で封止された発光部を備え、
前記絶縁基板は、該絶縁基板上面に、前記発光部の周囲全体を取り囲む、前記封止体で封止されていない領域を備えており、該領域は、外部接続配線を直接接続するための正電極外部接続ランドおよび負電極外部接続ランドが設けられる広さを有し、
前記正電極外部接続ランドおよび前記負電極外部接続ランドは、前記発光部を挟んで対向して設けられ、
前記正電極外部接続ランドは前記アノード用配線パターンに、前記負電極外部接続ランドは前記カソード用配線パターンに、前記絶縁基板上面に形成された外部引き出し配線パターンを通じてそれぞれ接続されており、
前記外部引き出し配線パターンは前記絶縁基板上に段差を有し、前記外部引き出し配線パターンの前記アノード用配線パターンおよびカソード用配線パターンに近い部分は前記封止体で封止されており、前記正電極外部接続ランドおよび前記負電極外部接続ランドに近い部分は封止体で封止されていないことを特徴とする発光装置。」
に訂正する(請求項1の記載を直接または間接に従属するか、もしくは引用する請求項2~8、10~13も同様に訂正する。)。
2 訂正事項2
特許請求の範囲の請求項5において、
「 前記アノード用配線パターンおよび前記カソード用配線パターンに沿って、複数個の前記半導体発光素子が前記基板上に配列されて搭載され、
前記各半導体発光素子は、隣接する前記アノード用配線パターンあるいは前記カソード用配線パターンのいずれか一方と電気的に接続されたことを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載の発光装置。」
と記載されているのを、
「前記アノード用配線パターンおよび前記カソード用配線パターンに沿って、複数個の前記半導体発光素子が前記絶縁基板上に配列されて搭載され、
前記各半導体発光素子は、隣接する前記アノード用配線パターンあるいは前記カソード用配線パターンのいずれか一方と電気的に接続されたことを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載の発光装置。」
に訂正する(請求項5の記載を直接または間接に従属するか、もしくは引用する請求項6~8、13も同様に訂正する。)。
3 訂正事項3
特許請求の範囲の請求項9を削除する。
4 訂正事項4
特許請求の範囲の請求項10において、
「 前記絶縁基板が白色のセラミック基板であることを特徴とする請求項9に記載の発光装置。」
と記載されているのを、
「 前記絶縁基板が白色のセラミック基板であることを特徴とする請求項1に記載の発光装置。」
に訂正する(請求項10の記載を直接または間接に従属するか、もしくは引用する請求項11、13も同様に訂正する。)。
5 訂正事項5
特許請求の範囲の請求項13において、
「 前記封止体が蛍光体を含有することを特徴とする請求項1~12のいずれかに記載の発光装置。」
と記載されているのを、
「 前記封止体が蛍光体を含有することを特徴とする請求項1~8、10~12のいずれかに記載の発光装置。」
に訂正する。
6 訂正事項6
明細書の段落【0009】において、
「 本発明の発光装置は、基板上面に、複数個の半導体発光素子が搭載されるとともに、配線パターンを備え、前記半導体発光素子は半導体LEDチップであり、前記配線パターンは、アノード用配線パターンと、カソード用配線パターンとを備え、前記配線パターンの間に、それぞれ複数個の前記半導体発光素子が搭載され、前記基板上面で、前記半導体発光素子および前記配線パターンが1つの封止体で封止された発光部を備え、前記基板上面の前記発光部を取り囲む前記封止体で封止されていない領域に、外部接続配線を直接接続するための正電極外部接続ランドおよび負電極外部接続ランドが設けられ、前記正電極外部接続ランドは前記アノード用配線パターンに、前記負電極外部接続ランドは前記カソード用配線パターンに、前記基板上面に形成された外部引き出し配線パターンを通じてそれぞれ接続されており、前記外部引き出し配線パターンは前記基板上に段差を有し、前記外部引き出し配線パターンの前記アノード用配線パターンおよびカソード用配線パターンに近い部分は前記封止体で封止されており、前記正電極外部接続ランドおよび前記負電極外部接続ランドに近い部分は封止体で封止されていないことを特徴とする。」
と記載されているのを、
「 本発明の発光装置は、絶縁性を有する材料で形成されている絶縁基板上面に、複数個の半導体発光素子が搭載されるとともに、配線パターンを備え、前記半導体発光素子は、前記絶縁基板上面に直に搭載された半導体LEDチップであり、前記配線パターンは、アノード用配線パターンと、カソード用配線パターンとを備え、前記配線パターンの間に、それぞれ複数個の前記半導体発光素子が搭載され、前記絶縁基板上面で、複数の列からなる前記半導体発光素子および前記配線パターンが1つの封止体で封止された発光部を備え、前記絶縁基板は、該絶縁基板上面に、前記基板上面の前記発光部の周囲全体を取り囲む、前記封止体で封止されていない領域を備えており、該領域は、外部接続配線を直接接続するための正電極外部接続ランドおよび負電極外部接続ランドが設けられる広さを有し、前記正電極外部接続ランドおよび前記負電極外部接続ランドは、前記発光部を挟んで対向して設けられ、前記正電極外部接続ランドは前記アノード用配線パターンに、前記負電極外部接続ランドは前記カソード用配線パターンに、前記絶縁基板上面に形成された外部引き出し配線パターンを通じてそれぞれ接続されており、前記外部引き出し配線パターンは前記絶縁基板上に段差を有し、前記外部引き出し配線パターンの前記アノード用配線パターンおよびカソード用配線パターンに近い部分は前記封止体で封止されており、前記正電極外部接続ランドおよび前記負電極外部接続ランドに近い部分は封止体で封止されていないことを特徴とする。」
に訂正する。
7 訂正事項7
明細書の段落【0013】において、
「 本発明の発光装置は、前記アノード用配線パターンおよび前記カソード用配線パターンに沿って、複数個の前記半導体発光素子が前記基板上に配列されて搭載され、前記各半導体発光素子は、隣接する前記アノード用配線パターンあるいは前記カソード用配線パターンのいずれか一方と電気的に接続されていることが好ましい。」
と記載されているのを、
「 本発明の発光装置は、前記アノード用配線パターンおよび前記カソード用配線パターンに沿って、複数個の前記半導体発光素子が前記絶縁基板上に配列されて搭載され、前記各半導体発光素子は、隣接する前記アノード用配線パターンあるいは前記カソード用配線パターンのいずれか一方と電気的に接続されていることが好ましい。」
に訂正する。
8 訂正事項8
明細書の段落【0017】に、「本発明における前記基板は絶縁基板であることが好ましい。この場合、前記絶縁基板が白色のセラミック基板であることがより好ましく、」と記載されているのを、「本発明における前記絶縁基板は白色のセラミック基板であることがより好ましく、」に訂正する。
9 訂正事項9
明細書の段落【0021】、【0022】、【0040】、【0055】、【0057】、【0059】~【0063】、【0066】、【0076】、【0077】にそれぞれ「基板」と記載されているのを、「絶縁基板」に訂正する。
10 訂正事項10
明細書の段落【0023】において、
「 本発明の発光装置1によれば、基板3上に複数形成された直線状の配線パターン4間に、配線パターン4に電気的に接続された状態で複数個の発光素子5を搭載してなることで、従来の金属基板上に絶縁層を形成する場合とは異なり、充分な電気絶縁性が達成される。すなわち、上述したように、従来の図14に示した例のような構成では、発光素子が搭載されている金属板102の直近に配線部105が設けられたプリント回路基板104が配置されているため、充分な電気的絶縁を達成することが困難であった。このような構成において絶縁物で隔離することなく充分な電気的絶縁を達成するためには、金属板102と配線部105との間の水平方向に関する直線距離dを充分な長さだけ確保する必要がある。これに対し、本発明の発光装置1では、基板3上に配線パターン4を直接形成し、またこの基板3上に発光素子5を直に搭載し、配線パターン4とはボンディングワイヤWを用いて電気的に接続した状態とするため、上述した直線距離を考慮することなく発光装置を設計することができ、製造も容易となる。また本発明の発光装置1では、金属板上に絶縁層を形成する構成でないため、製造に際して金属板上に絶縁層を形成する工程が不要であり、この点からも製造は容易である。」
と記載されているのを、
「 本発明の発光装置1によれば、絶縁基板3上に複数形成された直線状の配線パターン4間に、配線パターン4に電気的に接続された状態で複数個の発光素子5を搭載してなることで、従来の金属基板上に絶縁層を形成する場合とは異なり、充分な電気絶縁性が達成される。すなわち、上述したように、従来の図14に示した例のような構成では、発光素子が搭載されている金属板102の直近に配線部105が設けられたプリント回路基板104が配置されているため、充分な電気的絶縁を達成することが困難であった。このような構成において絶縁物で隔離することなく充分な電気的絶縁を達成するためには、金属板102と配線部105との間の水平方向に関する直線距離dを充分な長さだけ確保する必要がある。これに対し、本発明の発光装置1では、絶縁基板3上に配線パターン4を直接形成し、またこの絶縁基板3上に発光素子5を直に搭載し、配線パターン4とはボンディングワイヤWを用いて電気的に接続した状態とするため、上述した直線距離を考慮することなく発光装置を設計することができ、製造も容易となる。また本発明の発光装置1では、金属板上に絶縁層を形成する構成でないため、製造に際して金属板上に絶縁層を形成する工程が不要であり、この点からも製造は容易である。」
に訂正する。
11 訂正事項11
明細書の段落【0032】において、
「 本発明の発光装置1では、発光素子5と配線パターン4との間の直線距離が0.1mm以上であることが好ましく、0.5mm以上であることがより好ましい。ここで、この直線距離は、基板3の基板面に沿った方向における発光素子5と配線パターン4との間の直線距離を意味する。上記直線距離が0.1mm以上であることで、電気的絶縁性が確実に達成される。なお、ワイヤボンディングの際のタレ、ボンディングワイヤの切断防止の観点からは、発光素子5と配線パターン4との間の水平方向に沿った直線距離は、1.5mm以下であることが好ましく、1.0mm以下であることがより好ましい。」
と記載されているのを、
「 本発明の発光装置1では、発光素子5と配線パターン4との間の直線距離が0.1mm以上であることが好ましく、0.5mm以上であることがより好ましい。ここで、この直線距離は、絶縁基板3の基板面に沿った方向における発光素子5と配線パターン4との間の直線距離を意味する。上記直線距離が0.1mm以上であることで、電気的絶縁性が確実に達成される。なお、ワイヤボンディングの際のタレ、ボンディングワイヤの切断防止の観点からは、発光素子5と配線パターン4との間の水平方向に沿った直線距離は、1.5mm以下であることが好ましく、1.0mm以下であることがより好ましい。」
に訂正する。
12 訂正事項12
明細書の段落【0034】において、
「 本発明の発光装置1における基板3は、少なくともその表面が絶縁性を有する材料で形成されていればよく、特に制限されるものではないが、熱膨張が小さく、熱伝導性が高く、かつ光反射率が高いことから、白色のセラミック基板であることが好ましい。ここで、「白色」とは、物体が全ての波長の可視光線をほぼ100%反射するような物体の色を指す(ただし、100%の反射率をもった理想的な白色の物体は存在しない。)。白色のセラミック基板を基板3として用いることで、発光素子5からの出射光のうち、特に下面方向への光を白色のセラミック基板にて反射することができ、発光素子5からの出射光をロスなく有効に活用できるとともに、高い放熱性および耐熱性が要求される駆動電流として大電流を供給する用途にも好適に適用することができる。さらに、発光素子5の信頼性を向上できるとともに、封止体6が蛍光体を含有する場合(後述)には、発光素子5からの熱による蛍光体の劣化を抑えることもでき、蛍光体により波長変換されて出光する光の色度ズレが生じにくい。またさらに、上述のように光反射率の高いセラミック基板を用いることで、基板材料および/または配線パターンの形成材料に光反射率90%以上の銀を用いる必要がないため、銀マイグレーションの心配がなく、さらに銀が硫化してしまう問題もない。」
と記載されているのを、
「 本発明の発光装置1における絶縁基板3は、絶縁性を有する材料で形成されていればよく、特に制限されるものではないが、熱膨張が小さく、熱伝導性が高く、かつ光反射率が高いことから、白色のセラミック基板であることが好ましい。ここで、「白色」とは、物体が全ての波長の可視光線をほぼ100%反射するような物体の色を指す(ただし、100%の反射率をもった理想的な白色の物体は存在しない。)。白色のセラミック基板を絶縁基板3として用いることで、発光素子5からの出射光のうち、特に下面方向への光を白色のセラミック基板にて反射することができ、発光素子5からの出射光をロスなく有効に活用できるとともに、高い放熱性および耐熱性が要求される駆動電流として大電流を供給する用途にも好適に適用することができる。さらに、発光素子5の信頼性を向上できるとともに、封止体6が蛍光体を含有する場合(後述)には、発光素子5からの熱による蛍光体の劣化を抑えることもでき、蛍光体により波長変換されて出光する光の色度ズレが生じにくい。またさらに、上述のように光反射率の高いセラミック基板を用いることで、基板材料および/または配線パターンの形成材料に光反射率90%以上の銀を用いる必要がないため、銀マイグレーションの心配がなく、さらに銀が硫化してしまう問題もない。」
に訂正する。
第4 当審の判断
1 訂正の目的の適否、新規事項の有無、及び拡張・変更の存否について
(1)訂正事項1について
ア 訂正の目的について
訂正事項1は、請求項1において、絶縁性について限定されていなかった「基板」について、「絶縁性を有する材料で形成されている絶縁基板」とし、構成を付加して限定するものであるから、特許請求の範囲を減縮しようとするものである。
したがって、訂正事項1は、特許法第126条第1項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであるか否かについて
本件特許の願書に添付した明細書の段落【0022】には、「…本発明の発光装置1では、特に、基板3に発光素子5を直に搭載することで隣接する発光素子間、および発光素子/電極間の絶縁耐圧を高くすることができる。」と、段落【0023】には、「本発明の発光装置1によれば、基板3上に複数形成された直線状の配線パターン4間に、配線パターン4に電気的に接続された状態で複数個の発光素子5を搭載してなることで、従来の金属基板上に絶縁層を形成する場合とは異なり、充分な電気絶縁性が達成される。…これに対し、本発明の発光装置1では、基板3上に配線パターン4を直接形成し、またこの基板3上に発光素子5を直に搭載し、…」と、段落【0034】には、「本発明の発光装置1における基板3は、少なくともその表面が絶縁性を有する材料で形成されていればよく、特に制限されるものではないが、熱膨張が小さく、熱伝導性が高く、かつ光反射率が高いことから、白色のセラミック基板であることが好ましい。…(略)…またさらに、上述のように光反射率の高いセラミック基板を用いることで、基板材料および/または配線パターンの形成材料に光反射率90%以上の銀を用いる必要がないため、銀マイグレーションの心配がなく、さらに銀が硫化してしまう問題もない。」と、段落【0035】には、「白色のセラミック基板を用いる場合には、光反射率が90%以上と高いことから、酸化アルミニウム(アルミナ)、窒化アルミニウム、ボロンナイトライド、窒化ケイ素、酸化マグネシウム、フォルステライト、ステアタイト、低温焼結セラミックから選ばれるいずれか、または、これらの複合材料で形成されたセラミック基板が好ましい。上述した中でも、安価で、反射率が高く、加工しやすく、工業材料として広く使われている酸化アルミニウム(アルミナ)で形成された白色のセラミック基板が特に好ましい。」と記載されている(当審注:下線は合議体が付加した。以下同じ。)。
訂正事項1による訂正後の請求項1における「絶縁性を有する材料で形成されている絶縁基板」に関連して、訂正前の上記段落【0034】、【0035】には、「セラミック基板」及びその具体例として酸化アルミニウム(アルミナ)等で形成されたセラミック基板が記載されている。
したがって、訂正事項1は、本件特許の願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下、本件特許の願書に添付した明細書を「本件特許明細書」という。また、本件特許の願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面を「本件特許明細書等」という。)の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものでない。
したがって、訂正事項1は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正である。
よって、訂正事項1は、特許法第126条第5項の規定に適合する。
ウ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものであるか否かについて
訂正事項1は、請求項1において、発明特定事項を付加するものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。
よって、訂正事項1は、特許法第126条第6項の規定に適合する。
(2)訂正事項2について
ア 訂正の目的について
訂正事項2は、訂正事項1から理解されるように、訂正後の請求項1の記載との整合性の観点から、「基板」について訂正するものであるから、明瞭でない記載の釈明をしようとするものである。
したがって、訂正事項2は、特許法第126条第1項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
イ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであるか否かについて
本件特許明細書の段落【0022】には、「…本発明の発光装置1では、特に、基板3に発光素子5を直に搭載することで隣接する発光素子間、および発光素子/電極間の絶縁耐圧を高くすることができる。」と、段落【0023】には、「本発明の発光装置1によれば、基板3上に複数形成された直線状の配線パターン4間に、配線パターン4に電気的に接続された状態で複数個の発光素子5を搭載してなることで、従来の金属基板上に絶縁層を形成する場合とは異なり、充分な電気絶縁性が達成される。…これに対し、本発明の発光装置1では、基板3上に配線パターン4を直接形成し、またこの基板3上に発光素子5を直に搭載し、…」と記載されている。
また、「絶縁性を有する材料で形成されている絶縁基板」に関連して、上記(1)イで検討したように、訂正前の上記段落【0034】、【0035】には、「セラミック基板」及びその具体例として酸化アルミニウム(アルミナ)等で形成されたセラミック基板が記載されている。
したがって、訂正事項2は、本件特許明細書等の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものでない。
したがって、訂正事項2は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正である。
よって、訂正事項2は、特許法第126条第5項の規定に適合する。
ウ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものであるか否かについて
訂正事項2は、請求項5において、発明特定事項を付加するものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。
よって、訂正事項2は、特許法第126条第6項の規定に適合する。
(3)訂正事項3について
ア 訂正の目的について
訂正事項3は、請求項9を削除するものであるから、特許請求の範囲を減縮しようとするものである。
したがって、訂正事項3は、特許法第126条第1項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであるか否かについて
訂正事項3は、請求項9を削除するものであるから、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正である。
よって、訂正事項3は、特許法第126条第5項の規定に適合する。
ウ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものであるか否かについて
訂正事項3は、請求項9を削除するものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。
よって、訂正事項3は、特許法第126条第6項の規定に適合する。
(4)訂正事項4について
ア 訂正の目的について
訂正事項3から理解されるように、訂正前の請求項9は削除されている。訂正事項4は、訂正後の請求項10について、引用請求項から請求項9を除くものであるから、明瞭でない記載の釈明をしようとするものである。
したがって、訂正事項4は、特許法第126条第1項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
イ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであるか否かについて
訂正事項4は、訂正後の請求項10について、引用請求項から請求項9を除くものであるから、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正である。
よって、訂正事項4は、特許法第126条第5項の規定に適合する。
ウ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものであるか否かについて
訂正事項4は、訂正後の請求項10について、引用請求項から請求項9を除くものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。
よって、訂正事項4は、特許法第126条第6項の規定に適合する。
(5)訂正事項5について
ア 訂正の目的について
訂正事項3から理解されるように、訂正前の請求項9は削除されている。訂正事項5は、訂正後の請求項13について、引用請求項から請求項9を除くものであるから、明瞭でない記載の釈明をしようとするものである。
したがって、訂正事項5は、特許法第126条第1項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
イ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであるか否かについて
訂正事項5は、訂正後の請求項13について、引用請求項から請求項9を除くものであるから、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正である。
よって、訂正事項5は、特許法第126条第5項の規定に適合する。
ウ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものであるか否かについて
訂正事項5は、訂正後の請求項13について、引用請求項から請求項9を除くものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。
よって、訂正事項5は、特許法第126条第6項の規定に適合する。
(6)訂正事項6~8について
ア 訂正の目的について
訂正事項6~8は、訂正事項1~4による訂正に伴い特許請求の範囲の記載と明細書の記載との整合性を図るための訂正である。
よって、訂正事項6~8は、特許法第126条第1項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
イ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであるか否かについて
訂正事項6~8は、訂正事項1~4による訂正に伴い特許請求の範囲の記載と明細書の記載との整合性を図るための訂正であるから、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正である。
よって、訂正事項6~8は、特許法第126条第5項の規定に適合する。
ウ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものであるか否かについて
訂正事項6~8は、訂正事項1~4による訂正に伴い特許請求の範囲の記載と明細書の記載との整合性を図るための訂正であるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。
よって、訂正事項6~8は、特許法第126条第6項の規定に適合する。
(7)訂正事項9~12について
ア 訂正の目的について
(ア)訂正事項9~11による訂正、及び訂正事項12による訂正のうち、「基板3として」を「絶縁基板3として」に訂正する訂正は、訂正事項1~4による訂正に伴い特許請求の範囲の記載と明細書の記載との整合性を図るための訂正である。
(イ)a 次に、訂正事項12による訂正のうち、本件特許明細書の段落【0034】に記載の「基板3は、少なくともその表面が絶縁性を有する材料で形成されていればよく」を、「絶縁基板3は、絶縁性を有する材料で形成されていればよく」に訂正する訂正について検討する。
b 本件特許明細書の段落【0023】には、「本発明の発光装置1によれば、基板3上に複数形成された直線状の配線パターン4間に、配線パターン4に電気的に接続された状態で複数個の発光素子5を搭載してなることで、従来の金属基板上に絶縁層を形成する場合とは異なり、充分な電気絶縁性が達成される。…(略)…また本発明の発光装置1では、金属板上に絶縁層を形成する構成でないため、製造に際して金属板上に絶縁層を形成する工程が不要であり、この点からも製造は容易である。」と記載されている。
本件特許明細書の段落【0034】には、「本発明の発光装置1における基板3は、少なくともその表面が絶縁性を有する材料で形成されていればよく、特に制限されるものではないが、熱膨張が小さく、熱伝導性が高く、かつ光反射率が高いことから、白色のセラミック基板であることが好ましい。」と記載されている。
c 上記段落【0034】に記載の「基板3は、少なくともその表面が絶縁性を有する材料で形成されていればよく」との構成は、「金属板上に絶縁層を形成する構成」を包含するから、上記段落【0023】の「本発明の発光装置1では、金属板上に絶縁層を形成する構成でない」との記載との関係で不合理を生じているために不明瞭となっているものである。
d 一方、上記(1)イで検討したように、上記段落【0034】、【0035】には、「セラミック基板」及びその具体例として酸化アルミニウム(アルミナ)等で形成されたセラミック基板が記載されていることを勘案すると、上記段落【0034】の上記記載の本来の意は、「絶縁基板3は、絶縁性を有する材料で形成されていればよく」のことであることは明らかである。
e したがって、訂正事項12は、本件特許明細書中の、特許明細書中の他の記載との関係で不合理を生じているために不明瞭となっている記載を訂正し、その本来の意を明らかにするための訂正であるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
(ウ)よって、訂正事項9~12は、特許法第126条第1項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
イ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであるか否かについて
(ア)本件特許明細書の段落【0034】には、「本発明の発光装置1における基板3は、少なくともその表面が絶縁性を有する材料で形成されていればよく、特に制限されるものではないが、熱膨張が小さく、熱伝導性が高く、かつ光反射率が高いことから、白色のセラミック基板であることが好ましい。」と記載されている。
(イ)上記(1)イで検討したように、訂正前の上記段落【0034】、【0035】には、「セラミック基板」及びその具体例として酸化アルミニウム(アルミナ)等で形成されたセラミック基板が記載されており、これらの例示されている基板は絶縁基板であることが一般的であることを勘案すると、訂正事項9~11による訂正、及び訂正事項12による訂正のうち、「基板3として」を「絶縁基板3として」に訂正する訂正は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正である。
(ウ)次に、訂正事項12による訂正のうち、「基板3は、少なくともその表面が絶縁性を有する材料で形成されていればよく」を、「絶縁基板3は、絶縁性を有する材料で形成されていればよく」に訂正する訂正について検討する。
上記(1)イで検討したように、訂正前の上記段落【0034】、【0035】には、「セラミック基板」及びその具体例として酸化アルミニウム(アルミナ)等で形成されたセラミック基板が記載されているから、訂正事項12による訂正のうち、「基板3は、少なくともその表面が絶縁性を有する材料で形成されていればよく」を、「絶縁基板3は、絶縁性を有する材料で形成されていればよく」に訂正する訂正は、本件特許明細書等の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものでない。
(エ)したがって、訂正事項9~12は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正である。
よって、訂正事項9~12は、特許法第126条第5項の規定に適合する。
ウ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものであるか否かについて
(ア)訂正事項9~11による訂正、及び訂正事項12による訂正のうち、「基板3として」を「絶縁基板3として」に訂正する訂正は、請求項に記載された事項の解釈に影響を与え、その結果、実質上特許請求の範囲を拡張又は変更するものには該当しない。
(イ)次に、訂正事項12による訂正のうち、「基板3は、少なくともその表面が絶縁性を有する材料で形成されていればよく」を、「絶縁基板3は、絶縁性を有する材料で形成さればよく」に訂正する訂正について検討する。
訂正事項1による訂正後の請求項1には、「絶縁性を有する材料で形成されている絶縁基板」と記載されており、絶縁性について限定されていない「基板」は記載されていないので、訂正事項12による訂正のうち、当該訂正は、請求項に記載された事項の解釈に影響を与えるものではない。
したがって、訂正事項12による訂正のうち、当該訂正は、請求項に記載された事項の解釈に影響を与え、その結果、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。
(ウ)よって、訂正事項9~12は、特許法第126条第6項の規定に適合する。
2 独立特許要件について
上記1(1)アで検討したとおり、訂正事項1は、特許法第126条第1項ただし書き第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
そこで、本件訂正後の特許請求の範囲に記載されている事項により特定される発明が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか否かについて検討すると、当該発明が特許出願の際独立して特許を受けることができないとする理由を発見しない。
したがって、本件訂正後の特許請求の範囲に記載されている事項により特定される発明は、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるから、訂正事項1は、特許法第126条第7項の規定に適合する。
なお、本件訂正審判の請求の趣旨は、上記第2のとおりであり、特許権全体に対して訂正審判を請求する場合に該当するから、特許法第126条第4項の規定に適合するか否かについての検討は不要である。
第5 むすび
以上のとおり、訂正事項1~12は、特許法第126条第1項ただし書第1号または第3号に掲げる事項を目的とし、かつ同法同条第5項ないし第7項の規定に適合する。
よって、結論のとおり審決する。
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2017-390053