特許訂正審判
2021-390059
電気掃除機
- 審判番号
- 2021-390059
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 訂正審判(訂正の審決)
- 出願番号
- 特願2013-104785
- 登録番号
- 特許第5841563号(P5841563)
- 請求日
- 2021年04月01日
- 審決日
- 2021年08月04日
- 公報発行日
- 2021年11月26日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【請求人】シャープ 株式会社
- 【請求人代理人】井上 知哉
- 審判長/審判官
- 審判長 小川 恭司
- 審判官 鶴江 陽介
- 審判官 佐々木 芳枝
- 分類
- P141 .853-Y (A47L) / P141 .854-Y (A47L) / P141 .841-Y (A47L) / P141 .855-Y (A47L)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第126条第1項、特許法第126条第6項、特許法第126条第5項、特許法第126条、特許法第126条第3項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特許第5841563号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
特許第5841563号の特許請求の範囲を本件審判請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後〔1-3〕について訂正することを認める。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本件訂正審判の請求(以下「本件審判請求」という。)に係る特許第5841563号(以下「本件特許」という。)の請求項1ないし3に係る発明についての出願は、平成20年10月23日に出願した特願2008-272924号の一部を、平成22年10月15日に特願2010-232634号として出願し、更にその一部を平成23年12月27日に特願2011-285808号として出願し、更にその一部を平成24年5月11日に特願2012-109639号として出願し、更にその一部を平成24年6月25日に特願2012-141902号として出願し、更にその一部を平成24年10月29日に特願2012-237359号として出願し、更にその一部を平成25年5月17日に特願2013-104785号として出願したものであって、平成27年11月20日に特許権の設定登録がされたものであり、その後、令和3年4月1日に本件審判請求がされたものである。
第2 請求の趣旨及び内容
本件審判請求の趣旨は、「特許第5841563号の特許請求の範囲を、本件審判請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり訂正することを認める、との審決を求める」というものである。
そして、請求人が本件審判請求により求めている訂正(以下「本件訂正」という。)の内容は、以下のとおりである。(なお、下線は訂正箇所を示す。)
1 訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に「塵埃を含む旋回気流を導入する導入口」と記載されているのを、「塵埃を含む旋回気流となる空気が吸い込まれる導入口」に訂正する(請求項1の記載を引用する請求項2及び請求項3も同様に訂正する)。
2 訂正事項2
特許請求の範囲の請求項1に「および上部フィルタを上部より覆い」と記載されているのを、「および前記上部フィルタを上部より覆い」に訂正する(請求項1の記載を引用する請求項2及び請求項3も同様に訂正する)。
3 訂正事項3
特許請求の範囲の請求項1に「掃除機本体の垂直方向」と記載されているのを、「前記掃除機本体の垂直方向」に訂正する(請求項1の記載を引用する請求項2及び請求項3も同様に訂正する)。
第3 当審の判断
1 訂正事項1について
(1) 訂正の目的について
本件訂正前の請求項1における「塵埃を含む旋回気流を導入する導入口」との記載では、導入口に導入される前の空気が既に旋回気流であると解する余地があり、当該記載は明瞭でない記載であったところ、訂正事項1により、本件訂正前の当該記載を「塵埃を含む旋回気流となる空気が吸い込まれる導入口」と訂正することで、導入口に吸い込まれた後で空気が旋回気流となることが明確となり、記載が明瞭でないことが解消される。
したがって、訂正事項1に係る訂正は、特許法第126条第1項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものに該当する。
(2) 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
訂正事項1が、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正でないかどうかを検討するにあたり、最初に本件訂正前の請求項1における「塵埃を含む旋回気流を導入する導入口」との記載の技術上の意味について検討する。
本件訂正前の請求項1の記載は、以下のとおりである。
「【請求項1】
塵埃を含む旋回気流を導入する導入口を有し、旋回気流により塵埃を集塵する集塵容器、前記集塵容器から排気するための内筒排気口が形成されるとともに、前記集塵容器の底部まで延設された内筒、及び前記内筒を介して排気される空気の出口となる開口を有し掃除機本体に着脱可能なサイクロン集塵装置、前記掃除機本体に設けられ吸気された空気を機外へと排気するための電動送風機を、備えた電気掃除機において、
前記集塵容器は、
遠心力で塵埃を分離する分離部、及び分離した塵埃を収容する集塵部を有し、
前記サイクロン集塵装置は、
前記内筒を介して上方へと排気される空気をさらに上方へと通過させて濾過する上部フィルタ、該上部フィルタを除塵する除塵部材、および上部フィルタを上部より覆い当該上部フィルタを通過した空気を排気する上蓋を備え、当該サイクロン集塵装置を前記掃除機本体に装着したときに、前記集塵容器を含めた前記サイクロン集塵装置の軸を、掃除機本体の垂直方向に対して前記電動送風機側に斜めに配置させ、
前記除塵部材は、前記上部フィルタの上部に位置し、手動または駆動機構を介して駆動され、前記上部フィルタを除塵し、
前記内筒の端部は、前記集塵容器の底部に設けられたシール部材でシールされることを特徴とする電気掃除機。」
本件訂正前の請求項1の記載によれば、導入口から導入される空気は塵埃を含んでおり、集塵容器が旋回気流により遠心力で塵埃を分離する分離部を有しているものである。
また、サイクロン式の電気掃除機において、外部から導入される空気は、塵埃の遠心分離を行う集塵容器内部で旋回気流とされることは技術常識である。
そうすると、本件訂正前の請求項1における「塵埃を含む旋回気流を導入する導入口」との記載において、当該導入口は、塵埃を含む空気が旋回気流となる集塵容器より上流側に位置すると解されるから、「塵埃を含む旋回気流を導入する」とは、塵埃を含む空気であって、集塵容器において旋回気流となる空気を導入することであると理解できる。
ここで、本件訂正前の請求項1によれば、電動送風機によって電気掃除機に空気が吸気されるものであるから、導入口から空気が吸い込まれることをふまえると、上記「導入する」とは吸い込まれることであると理解できる。
してみると、本件訂正前の請求項1の記載全体をみれば、本件訂正前の請求項1に記載された「塵埃を含む旋回気流を導入する」ことは、もともと塵埃を含む旋回気流となる空気が吸い込まれることを意味していたことは明らかであるから、訂正事項1に係る訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。
したがって、訂正事項1に係る訂正は、特許法第126条第6項の規定に適合する。
(3) 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
上記(2)で検討したとおり、本件訂正前の請求項1の記載全体をみれば、本件訂正前の請求項1に記載された「塵埃を含む旋回気流を導入する導入口」は、もともと塵埃を含む旋回気流となる空気が吸い込まれる導入口を意味していたことは明らかであるから、訂正事項1は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてなされた訂正である。
したがって、訂正事項1に係る訂正は、特許法第126条第5項の規定に適合する。
(4) 独立特許要件について
上記(1)で検討したとおり、訂正事項1に係る訂正は、特許法第126条第1項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とする訂正であって、同第1号又は第2号に掲げる事項を目的とする訂正ではないから、同法第126条第7項に規定される独立特許要件は課されない。
2 訂正事項2ないし3について
(1) 訂正の目的について
本件訂正前の上記請求項1には、「上部フィルタ」及び「掃除機本体」という記載が複数箇所記載されているところ、後に記載された、「前記」の付されていない「上部フィルタ」及び「掃除機本体」が、初出の「上部フィルタ」及び「掃除機本体」と同じものであるのかそれとも異なるものであるのか判別できず、当該「前記」の付されていない「上部フィルタ」及び「掃除機本体」という記載は、明瞭でない記載であった。
ここで、訂正事項2ないし3のとおり、後に記載された、「前記」の付されていない「上部フィルタ」及び「掃除機本体」という記載に、「前記」を付して訂正されることにより、当該「前記」の付されていない「上部フィルタ」及び「掃除機本体」が、初出の「上部フィルタ」及び「掃除機本体」と同じものであることが明確となり、記載が明瞭でないことが解消される。
したがって、訂正事項2ないし3に係る訂正は、特許法126条1項ただし書3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものに該当する。
(2) 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
本件訂正前の上記請求項1には、「上部フィルタ」及び「掃除機本体」という記載が複数箇所記載されているところ、本件訂正前の請求項1の記載全体からみて、それぞれの「上部フィルタ」は同じものを意味していて、またそれぞれの「掃除機本体」は同じものを意味していることは明らかであり、本件訂正前の請求項1に記載されている、「前記」の付されていない「上部フィルタ」及び「掃除機本体」は、本件訂正後の請求項1に記載されている「前記上部フィルタ」及び「前記掃除機本体」と同じものであることは明らかであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。
したがって、訂正事項2ないし3に係る訂正は、特許法第126条第6項の規定に適合する。
(3) 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
上記(2)で検討したとおり、本件訂正前の請求項1に記載されている、「前記」の付されていない「上部フィルタ」及び「掃除機本体」は、本件訂正後の請求項1に記載されている「前記上部フィルタ」及び「前記掃除機本体」と同じものであることは明らかであるから、訂正事項2ないし3は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてなされた訂正である。
したがって、訂正事項2ないし3に係る訂正は、特許法第126条第5項の規定に適合する。
(4) 独立特許要件について
上記(1)で検討したとおり、訂正事項2ないし3に係る訂正は、特許法第126条第1項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とする訂正であって、同第1号又は第2号に掲げる事項を目的とする訂正ではないから、同法第126条第7項に規定される独立特許要件は課されない。
3 一群の請求項ごとに訂正を請求することについて
本件訂正前の請求項2及び請求項3は、本件訂正前の請求項1を引用したものであるから、本件訂正前の請求項1ないし3は、特許法施行規則第45条の4に規定する関係を有する一群の請求項を構成する。そして、本件審判請求は、訂正事項1ないし3により、本件訂正前の請求項1ないし3の記載を訂正しようとするものであり、一群の請求項1ないし3に対して請求されている。
したがって、本件審判請求は特許法第126条第3項の規定に適合する。
第4 むすび
以上のとおり、本件審判請求に係る訂正事項1ないし訂正事項3に係る訂正は、いずれも特許法第126条第1項ただし書第3号に規定された事項を目的とするものであり、かつ、同条第3項、第5項及び第6項の規定に適合するものである。
よって、結論のとおり審決する。
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