特許訂正審判
2017-390054
発光装置
- 審判番号
- 2017-390054
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 訂正審判(訂正の審決)
- 出願番号
- 特願2010-129024外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2017年06月28日
- 審決日
- 2017年10月24日
- 公報発行日
- 2018年01月26日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【請求人】シャープ 株式会社
- 【請求人代理人】特許業務法人深見特許事務所
- 分類
- P141 .851-Y (H01L) / P141 .853-Y (H01L) / P141 .854-Y (H01L) / P141 .855-Y (H01L) / P141 .856-Y (H01L)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第126条第6項、特許法第126条第1項、特許法第126条第5項、特許法第131条の2第1項、特許法第126条第7項、特許法第44条第1項、特許法第126条第1項第3号、特許法第36条第4項第1号、特許法第126条第4項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特許第5442534号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
特許第5442534号の明細書及び特許請求の範囲を本件審判請求書に添付された訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり訂正することを認める。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
特許第5442534(以下「本件特許」という。)の請求項1ないし11に係る特許についての手続の経緯は、以下のとおりである。
平成22年 6月 4日 特許法第44条第1項の規定による新たな
特許出願
(本件特許に係る出願は、平成19年3月15日に出願された特許出願
(特願2007-67362号)の一部を、平成21年9月14日に
特許法第44条第1項の規定による新たな特許出願(特願2009-
211855号)とし、更にその一部を平成22年6月4日に特許法
第44条第1項の規定による新たな特許出願(特願2010-129
024号)としたものである。)
平成22年 6月 4日 審査請求
平成25年11月18日 特許査定(11月26日送達)
平成25年12月27日 特許権の設定登録
平成29年 6月28日 本件訂正審判請求
平成29年 8月25日 訂正拒絶理由通知(8月29日発送)
平成29年 9月25日 手続補正書・意見書
第2 平成29年9月25日付け手続補正書による補正の適否について
1 補正事項
上記手続補正書による補正は、以下のとおりである(当審注:訂正箇所及び補正箇所に下線を付した。)。
(1)補正事項1
審判請求書における「6.請求の理由」「2) 訂正事項」において、
「 f 訂正事項6
特許請求の範囲の請求項9において、
「 前記基板はセラミック基板である、請求項8に記載の発光装置。」
と記載されているのを、
「 前記絶縁基板はセラミック基板である、請求項8に記載の発光装置。」
に訂正します。」を、
「 f 訂正事項6
特許請求の範囲の請求項9を削除します。」
に補正する。
(2)補正事項2
審判請求書における「6.請求の理由」「2) 訂正事項」において、
「 l 訂正事項12
明細書の段落【0015】において、
「 本発明の発光装置において、前記基板は、少なくともその表面が絶縁性を有する白色の材料で形成されていることが好ましい。ここにおいて、前記基板はセラミック基板であることが好ましい。」
と記載されているのを、
「 本発明の発光装置において、前記絶縁基板は、セラミック基板であることが好ましい。また本発明の発光装置において、前記発光部は円形状であることが好ましい。」
に訂正します。」を、
「 l 訂正事項12
明細書の段落【0015】において、
「 本発明の発光装置において、前記基板は、少なくともその表面が絶縁性を有する白色の材料で形成されていることが好ましい。ここにおいて、前記基板はセラミック基板であることが好ましい。」
と記載されているのを、
「 また本発明の発光装置において、前記発光部は円形状であることが好ましい。」
に訂正します。」
に補正する。
(3)補正事項3
審判請求書における「6.請求の理由」「3) 訂正の理由」「(ア) 訂正事項が全ての訂正要件に適合している事実の説明」において、
「 f 訂正事項6
(a) 訂正の目的について
上記訂正事項6は、請求項9の
…(略)…
したがって、訂正事項6は、特許法第126条第7項に適合するものです。」を、
「 f 訂正事項6
(a) 訂正の目的について
上記訂正事項6は、請求項9を削除する訂正であります。
上述の訂正事項1から理解されるように、訂正後の請求項1記載の特許発明には、訂正前の請求項8に記載された発明特定事項の一部が組み入れられています。このため、特許請求の範囲の整合性の観点から、請求項を削除します。このような訂正は、明りょうでない記載の釈明をしようとするものであるから、当該訂正事項6は、特許法第126条第1項第3号に規定する明りょうでない記載の釈明を目的とするものであります。
(b) 実質上特許請求の範囲を拡張し、または変更する訂正ではないこと
上記(a)から明らかなように、上記訂正事項6は、請求項9を削除するものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第126条第6項に適合するものであります。
(c) 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
上記(a)から明らかなように、上記訂正事項6は、請求項9を削除するものであるから、当該訂正事項6は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第126条第5項に適合するものであります。
(d) 特許出願の際に独立して特許を受けることができること
訂正事項6は、上述のとおり請求項9を削除するものであるから、特許要件の適否について見直すべき新たな事情は存在せず、本訂正により特許法第36条第4項第1号又は第6項(第4号を除く)に規定する要件を満たさなくなるものでもないから、独立特許要件を満たすものです。
したがって、訂正事項6は、特許法第126条第7項に適合するものです。」
に補正する。
(4)補正事項4
審判請求書に添付した「訂正特許請求の範囲」における【請求項9】について、
「【請求項9】
前記絶縁基板は、セラミック基板である、請求項1に記載の発光装置。」を、
「【請求項9】
(削除)」
に補正する。
(5)補正事項5
審判請求書に添付した「訂正明細書」における段落【0015】について、
「 【0015】
本発明の発光装置において、前記絶縁基板は、セラミック基板であることが好ましい。また本発明の発光装置において、前記発光部は円形状であることが好ましい。」を、
「 【0015】
また本発明の発光装置において、前記発光部は円形状であることが好ましい。」
に補正する。
2 補正事項についての当審の判断
(1)補正事項1について
補正事項1は、訂正事項6において、請求項9における記載事項の訂正であった訂正事項を、請求項9の削除という訂正事項に変更する補正である。
ある請求項の訂正事項を当該請求項の削除という訂正事項に変更する補正は、審判請求書の要旨を変更しないものとされるので、補正事項1は、審判請求書の要旨を変更するものではない。
よって、補正事項1は、特許法第131条の2第1項の規定に適合する。
(2)補正事項2について
補正事項2は、訂正事項6において、請求項9の削除という訂正事項に変更する補正である、補正事項1に整合させるため、明細書についての訂正事項である、訂正事項12を補正するものであるから、補正事項1は、審判請求書の要旨を変更するものではない。
よって、補正事項1は、特許法第131条の2第1項の規定に適合する。
(3)補正事項3について
補正事項6は、訂正事項6において、請求項9の削除という訂正事項に変更する補正である、補正事項1に整合させるため、審判請求書の「6.請求の理由」「3) 訂正の理由」「(ア) 訂正事項が全ての訂正要件に適合している事実の説明」を補正するものであるから、補正事項3は、審判請求書の要旨を変更するものではない。
よって、補正事項3は、特許法第131条の2第1項の規定に適合する。
(4)補正事項4について
補正事項4は、訂正事項6において、請求項9の削除という訂正事項に変更する補正である、補正事項1に整合させるため、訂正特許請求の範囲の記載を補正するものであるから、補正事項4は、審判請求書の要旨を変更するものではない。
よって、補正事項4は、特許法第131条の2第1項の規定に適合する。
(5)補正事項5について
補正事項5は、訂正事項6において、請求項9の削除という訂正事項に変更する補正である、補正事項1に整合させるため、訂正明細書の記載を補正するものであるから、補正事項5は、審判請求書の要旨を変更するものではない。
よって、補正事項5は、特許法第131条の2第1項の規定に適合する。
(6)補正事項についての当審の判断のまとめ
以上のとおり、補正事項1~5は、特許法第131条の2第1項の規定に適合するので、平成29年9月25日付け手続補正書による補正を認める。
第3 請求の趣旨
本件訂正審判の請求の趣旨は、特許第5730711号の明細書、特許請求の範囲を補正後の本件審判請求書に添付した訂正明細書、特許請求の範囲のとおり訂正することを認める、との審決を求めるものである。
第4 訂正の内容
請求人が求めている具体的な訂正(以下「本件訂正」という。)の内容は、以下の訂正事項のとおり訂正することを求めるものである(当審注:訂正箇所に下線を付した。)。
1 訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1において、
「 角部を有する基板上に、複数個の発光素子が搭載されるとともに、複数の配線パターン、正電極外部接続ランドおよび負電極外部接続ランドを備え、
前記発光素子は、半導体LEDチップであり、
前記配線パターンは、アノード用配線パターンと、カソード用配線パターンとを備え、
前記正電極外部接続ランドおよび負電極外部接続ランドは、外部接続配線を直接接続するためのものであって、
前記基板上で、前記複数個の発光素子が1つの封止体で封止された発光部を備え、
前記発光部と前記基板の端の間に前記封止体で封止されていない領域を備え、
前記正電極外部接続ランドおよび負電極外部接続ランドは、前記封止体で封止されていない領域において、前記基板の端と前記発光部に接しないように、前記基板の対向する角部を結ぶ第1の対角線上に前記発光部を挟んで配置されており、
前記封止体で封止されていない領域における前記正電極外部接続ランドおよび前記負電極外部接続ランドと離間した位置に、2つの固定用穴が前記基板の他の2つの対向する角部を結ぶ第2の対角線上に前記発光部を挟んで対向するように形成されたことを特徴とする発光装置。」
と記載されているのを、
「角部を有する、絶縁性を有する材料で形成されている絶縁基板上に、複数個の発光素子が搭載されるとともに、複数の配線パターン、正電極外部接続ランドおよび負電極外部接続ランドを備え、
前記発光素子は、半導体LEDチップであり、
前記配線パターンは、アノード用配線パターンと、カソード用配線パターンとを備え、
前記正電極外部接続ランドおよび負電極外部接続ランドは、外部接続配線を直接接続するためのものであって、
前記絶縁基板上で、前記複数個の発光素子が1つの封止体で封止された発光部を備え、
前記発光部と前記絶縁基板の端の間に前記封止体で封止されていない領域を備え、
前記正電極外部接続ランドおよび負電極外部接続ランドは、前記封止体で封止されていない領域において、前記絶縁基板の端と前記発光部に接しないように、前記絶縁基板の対向する角部を結ぶ第1の対角線上に前記発光部を挟んで配置されており、
前記封止体で封止されていない領域における前記正電極外部接続ランドおよび前記負電極外部接続ランドと離間した位置に、2つの固定用穴が前記絶縁基板の他の2つの対向する角部を結ぶ第2の対角線上に前記発光部を挟んで対向するように形成されたことを特徴とする発光装置。」
に訂正する(請求項1の記載を直接または間接に従属するか、もしくは引用する請求項2~7、9~11も同様に訂正する。)。
2 訂正事項2
特許請求の範囲の請求項2において、
「 前記正電極外部接続ランドは前記アノード用配線パターンに、前記負電極外部接続ランドは前記カソード用配線パターンに、前記基板上の外部引き出し配線パターンを通じてそれぞれ接続されていることを特徴とする請求項1に記載の発光装置。」
と記載されているのを、
「 前記正電極外部接続ランドは前記アノード用配線パターンに、前記負電極外部接続ランドは前記カソード用配線パターンに、前記絶縁基板上の外部引き出し配線パターンを通じてそれぞれ接続されていることを特徴とする請求項1に記載の発光装置。」
に訂正する(請求項2の記載を直接または間接に従属するか、もしくは引用する請求項3~7も同様に訂正する。)。
3 訂正事項3
特許請求の範囲の請求項3において、
「 前記基板の前記封止体で封止されていない領域に外部配線用穴が形成されたことを特徴とする請求項1または2に記載の発光装置。」
と記載されているのを、
「 前記絶縁基板の前記封止体で封止されていない領域に外部配線用穴が形成されたことを特徴とする請求項1または2に記載の発光装置。」
に訂正する(請求項3の記載を直接または間接に従属するか、もしくは引用する請求項4~7も同様に訂正する。)。
4 訂正事項4
特許請求の範囲の請求項6において、
「 前記基板が正方形状、長方形状または六角形状である、請求項1~5のいずれかに記載の発光装置。」
と記載されているのを、
「 前記絶縁基板が正方形状、長方形状または六角形状である、請求項1~5のいずれかに記載の発光装置。」
に訂正する(請求項6の記載を直接または間接に従属するか、もしくは引用する請求項7も同様に訂正する。)。
5 訂正事項5
特許請求の範囲の請求項8を削除する。
6 訂正事項6
特許請求の範囲の請求項9を削除する。
7 訂正事項7
明細書の段落【0009】において、
「 本発明の発光装置は、基板上に、複数個の発光素子が搭載されるとともに、複数の配線パターン、正電極外部接続ランドおよび負電極外部接続ランドを備え、前記発光素子は、半導体LEDチップであり、前記配線パターンは、アノード用配線パターンと、カソード用配線パターンとを備え、前記正電極外部接続ランドおよび負電極外部接続ランドは、外部接続配線を直接接続するためのものであって、前記基板上で、前記複数個の発光素子が1つの封止体で封止された発光部を備え、前記発光部と前記基板の端の間に前記封止体で封止されていない領域を備え、前記正電極外部接続ランドおよび負電極外部接続ランドは、前記封止体で封止されていない領域において、前記基板の端と前記発光部に接しないように、前記発光部を挟んで配置されており、前記封止体で封止されていない領域における前記正電極外部接続ランドおよび前記負電極外部接続ランドと離間した位置に、2つの固定用穴が前記発光部を挟んで対向するように形成されたことを特徴とする。」
と記載されているのを、
「 本発明の発光装置は、角部を有する、絶縁性を有する材料で形成されている絶縁基板上に、複数個の発光素子が搭載されるとともに、複数の配線パターン、正電極外部接続ランドおよび負電極外部接続ランドを備え、前記発光素子は、半導体LEDチップであり、前記配線パターンは、アノード用配線パターンと、カソード用配線パターンとを備え、前記正電極外部接続ランドおよび負電極外部接続ランドは、外部接続配線を直接接続するためのものであって、前記絶縁基板上で、前記複数個の発光素子が1つの封止体で封止された発光部を備え、前記発光部と前記絶縁基板の端の間に前記封止体で封止されていない領域を備え、前記正電極外部接続ランドおよび負電極外部接続ランドは、前記封止体で封止されていない領域において、前記絶縁基板の端と前記発光部に接しないように、前記絶縁基板の対向する角部を結ぶ第1の対角線上に前記発光部を挟んで配置されており、前記封止体で封止されていない領域における前記正電極外部接続ランドおよび前記負電極外部接続ランドと離間した位置に、2つの固定用穴が前記絶縁基板の他の2つの対向する角部を結ぶ第2の対角線上に前記発光部を挟んで対向するように形成されたことを特徴とする。」
に訂正する。
8 訂正事項8
明細書の段落【0010】において、
「 本発明の発光装置において、前記正電極外部接続ランドは前記アノード用配線パターンに、前記負電極外部接続ランドは前記カソード用配線パターンに、前記基板上の外部引き出し配線パターンを通じてそれぞれ接続されていることが好ましい。」
と記載されているのを、
「 本発明の発光装置において、前記正電極外部接続ランドは前記アノード用配線パターンに、前記負電極外部接続ランドは前記カソード用配線パターンに、前記絶縁基板上の外部引き出し配線パターンを通じてそれぞれ接続されていることが好ましい。」
に訂正する。
9 訂正事項9
明細書の段落【0011】において、
「 本発明の発光装置は、前記基板の前記封止体で封止されていない領域に外部配線用穴が形成されたことが好ましい。ここにおいて、前記外部配線用穴は、切り欠け状であることが好ましい。」
と記載されているのを、
「 本発明の発光装置は、前記絶縁基板の前記封止体で封止されていない領域に外部配線用穴が形成されたことが好ましい。ここにおいて、前記外部配線用穴は、切り欠け状であることが好ましい。」
に訂正する。
10 訂正事項10
明細書の段落【0012】において、
「 本発明の発光装置において、前記固定用穴は、切り欠け状であることが好ましい。
本発明の発光装置において、前記基板は正方形状、長方形状または六角形状であって、前記封止体で封止されていない領域における前記基板の対向する角部近傍にそれぞれ前記固定用穴が形成されたことが好ましい。」
と記載されているのを、
「 本発明の発光装置において、前記固定用穴は、切り欠け状であることが好ましい。
本発明の発光装置において、前記絶縁基板は正方形状、長方形状または六角形状であることが好ましい。」
に訂正する。
11 訂正事項11
明細書の段落【0013】を削除する。
12 訂正事項12
明細書の段落【0015】において、
「 本発明の発光装置において、前記基板は、少なくともその表面が絶縁性を有する白色の材料で形成されていることが好ましい。ここにおいて、前記基板はセラミック基板であることが好ましい。」
と記載されているのを、
「 また本発明の発光装置において、前記発光部は円形状であることが好ましい。」
に訂正する。
13 訂正事項13
明細書の段落【0018】、【0019】、【0035】、【0037】、【0046】、【0050】、【0052】、【0054】~【0060】、【0062】、【0063】、【0073】、【0074】にそれぞれ「基板」と記載されているのを、「絶縁基板」に訂正する。
14 訂正事項14
明細書の段落【0020】において、
「 本発明の発光装置1によれば、基板3上に複数形成された直線状の配線パターン4間に、配線パターン4に電気的に接続された状態で複数個の発光素子5を搭載してなることで、従来の金属基板上に絶縁層を形成する場合とは異なり、充分な電気絶縁性が達成される。すなわち、上述したように、従来の図14に示した例のような構成では、発光素子が搭載されている金属板102の直近に配線部105が設けられたプリント回路基板104が配置されているため、充分な電気的絶縁を達成することが困難であった。このような構成において絶縁物で隔離することなく充分な電気的絶縁を達成するためには、金属板102と配線部105との間の水平方向に関する直線距離dを充分な長さだけ確保する必要がある。これに対し、本発明の発光装置1では、基板3上に配線パターン4を直接形成し、またこの基板3上に発光素子5を直に搭載し、配線パターン4とはボンディングワイヤWを用いて電気的に接続した状態とするため、上述した直線距離を考慮することなく発光装置を設計することができ、製造も容易となる。また本発明の発光装置1では、金属板上に絶縁層を形成する構成でないため、製造に際して金属板上に絶縁層を形成する工程が不要であり、この点からも製造は容易である。」
と記載されているのを、
「 本発明の発光装置1によれば、絶縁基板3上に複数形成された直線状の配線パターン4間に、配線パターン4に電気的に接続された状態で複数個の発光素子5を搭載してなることで、従来の金属基板上に絶縁層を形成する場合とは異なり、充分な電気絶縁性が達成される。すなわち、上述したように、従来の図14に示した例のような構成では、発光素子が搭載されている金属板102の直近に配線部105が設けられたプリント回路基板104が配置されているため、充分な電気的絶縁を達成することが困難であった。このような構成において絶縁物で隔離することなく充分な電気的絶縁を達成するためには、金属板102と配線部105との間の水平方向に関する直線距離dを充分な長さだけ確保する必要がある。これに対し、本発明の発光装置1では、絶縁基板3上に配線パターン4を直接形成し、またこの絶縁基板3上に発光素子5を直に搭載し、配線パターン4とはボンディングワイヤWを用いて電気的に接続した状態とするため、上述した直線距離を考慮することなく発光装置を設計することができ、製造も容易となる。また本発明の発光装置1では、金属板上に絶縁層を形成する構成でないため、製造に際して金属板上に絶縁層を形成する工程が不要であり、この点からも製造は容易である。」
に訂正する。
15 訂正事項15
明細書の段落【0023】において、
「 なお、図1~図3には、発光装置1が正方形状の上面形状を有するように実現された例を示しているが、この場合には、図3に示すように、直線状の配線パターン4は、発光装置1の上面形状である正方形状の対角線の1つに平行になるように形成されてなることが好ましい。このように配線パターン4が形成されてなることで、配線パターン4の長さおよび間隔を十分に確保することができ、また後述する発光装置の固定用穴、外部配線用穴などを形成できる領域も確保できるというような利点がある。なお、上述した発光装置の上面形状とは、基板3の基板面に平行な断面における形状を意味する。」
と記載されているのを、
「 なお、図1~図3には、発光装置1が正方形状の上面形状を有するように実現された例を示しているが、この場合には、図3に示すように、直線状の配線パターン4は、発光装置1の上面形状である正方形状の対角線の1つに平行になるように形成されてなることが好ましい。このように配線パターン4が形成されてなることで、配線パターン4の長さおよび間隔を十分に確保することができ、また後述する発光装置の固定用穴、外部配線用穴などを形成できる領域も確保できるというような利点がある。なお、上述した発光装置の上面形状とは、絶縁基板3の基板面に平行な断面における形状を意味する。」
に訂正する。
16 訂正事項16
明細書の段落【0025】において、
「 また本発明の発光装置1においては、発光素子5は上面形状が長方形状の発光素子を用いることが好ましい。ここで、発光素子5の上面形状は、基板3上に搭載された状態での当該基板3の基板面に平行な断面における形状を指す。このような上面形状が長方形状の発光素子5として、具体的には、当該上面形状における短辺が200~300μmの範囲内であり、長辺が400~1000μmの範囲内である発光素子が例示される。本発明の発光装置1では、このような上面形状が長方形状の発光素子5を用いる場合には、当該発光素子5の上面形状の短辺に沿った方向が配線パターン4の長手方向と平行となるように搭載されていることが好ましい。通常、上面形状が長方形状の発光素子5においては、その上面の短辺側に電極パッドが形成されているため、上述のように発光素子5を搭載することで、ボンディングワイヤWを用いた発光素子5の電極パッドと配線パターン4との間の電気的接続を容易に行うことができ、ボンディングワイヤWの切断、ボンディングワイヤWの剥れなどの不良を防止することができる。また、このようにすることで、配線パターン4の長手方向に沿って所望の間隔、所望の数だけ発光素子5を搭載することにより所望の光が得られるよう容易に調整することができるという利点がある。」
と記載されているのを、
「 また本発明の発光装置1においては、発光素子5は上面形状が長方形状の発光素子を用いることが好ましい。ここで、発光素子5の上面形状は、絶縁基板3上に搭載された状態での当該絶縁基板3の基板面に平行な断面における形状を指す。このような上面形状が長方形状の発光素子5として、具体的には、当該上面形状における短辺が200~300μmの範囲内であり、長辺が400~1000μmの範囲内である発光素子が例示される。本発明の発光装置1では、このような上面形状が長方形状の発光素子5を用いる場合には、当該発光素子5の上面形状の短辺に沿った方向が配線パターン4の長手方向と平行となるように搭載されていることが好ましい。通常、上面形状が長方形状の発光素子5においては、その上面の短辺側に電極パッドが形成されているため、上述のように発光素子5を搭載することで、ボンディングワイヤWを用いた発光素子5の電極パッドと配線パターン4との間の電気的接続を容易に行うことができ、ボンディングワイヤWの切断、ボンディングワイヤWの剥れなどの不良を防止することができる。また、このようにすることで、配線パターン4の長手方向に沿って所望の間隔、所望の数だけ発光素子5を搭載することにより所望の光が得られるよう容易に調整することができるという利点がある。」
に訂正する。
17 訂正事項17
明細書の段落【0029】において、
「 本発明の発光装置1では、発光素子5と配線パターン4との間の直線距離が0.1mm以上であることが好ましく、0.5mm以上であることがより好ましい。ここで、この直線距離は、基板3の基板面に沿った方向における発光素子5と配線パターン4との間の直線距離を意味する。上記直線距離が0.1mm以上であることで、電気的絶縁性が確実に達成される。なお、ワイヤボンディングの際のタレ、ボンディングワイヤの切断防止の観点からは、発光素子5と配線パターン4との間の水平方向に沿った直線距離は、1.5mm以下であることが好ましく、1.0mm以下であることがより好ましい。」
と記載されているのを、
「 本発明の発光装置1では、発光素子5と配線パターン4との間の直線距離が0.1mm以上であることが好ましく、0.5mm以上であることがより好ましい。ここで、この直線距離は、絶縁基板3の基板面に沿った方向における発光素子5と配線パターン4との間の直線距離を意味する。上記直線距離が0.1mm以上であることで、電気的絶縁性が確実に達成される。なお、ワイヤボンディングの際のタレ、ボンディングワイヤの切断防止の観点からは、発光素子5と配線パターン4との間の水平方向に沿った直線距離は、1.5mm以下であることが好ましく、1.0mm以下であることがより好ましい。」
に訂正する。
18 訂正事項18
明細書の段落【0031】において、
「 本発明の発光装置1における基板3は、少なくともその表面が絶縁性を有する材料で形成されていればよく、特に制限されるものではないが、熱膨張が小さく、熱伝導性が高く、かつ光反射率が高いことから、白色のセラミック基板であることが好ましい。ここで、「白色」とは、物体が全ての波長の可視光線をほぼ100%反射するような物体の色を指す(ただし、100%の反射率をもった理想的な白色の物体は存在しない。)。白色のセラミック基板を基板3として用いることで、発光素子5からの出射光のうち、特に下面方向への光を白色のセラミック基板にて反射することができ、発光素子5からの出射光をロスなく有効に活用できるとともに、高い放熱性および耐熱性が要求される駆動電流として大電流を供給する用途にも好適に適用することができる。さらに、発光素子5の信頼性を向上できるとともに、封止体6が蛍光体を含有する場合(後述)には、発光素子5からの熱による蛍光体の劣化を抑えることもでき、蛍光体により波長変換されて出光する光の色度ズレが生じにくい。またさらに、上述のように光反射率の高いセラミック基板を用いることで、基板材料および/または配線パターンの形成材料に光反射率90%以上の銀を用いる必要がないため、銀マイグレーションの心配がなく、さらに銀が硫化してしまう問題もない。」
と記載されているのを、
「 本発明の発光装置1における絶縁基板3は、絶縁性を有する材料で形成されていればよく、特に制限されるものではないが、熱膨張が小さく、熱伝導性が高く、かつ光反射率が高いことから、白色のセラミック基板であることが好ましい。ここで、「白色」とは、物体が全ての波長の可視光線をほぼ100%反射するような物体の色を指す(ただし、100%の反射率をもった理想的な白色の物体は存在しない。)。白色のセラミック基板を絶縁基板3として用いることで、発光素子5からの出射光のうち、特に下面方向への光を白色のセラミック基板にて反射することができ、発光素子5からの出射光をロスなく有効に活用できるとともに、高い放熱性および耐熱性が要求される駆動電流として大電流を供給する用途にも好適に適用することができる。さらに、発光素子5の信頼性を向上できるとともに、封止体6が蛍光体を含有する場合(後述)には、発光素子5からの熱による蛍光体の劣化を抑えることもでき、蛍光体により波長変換されて出光する光の色度ズレが生じにくい。またさらに、上述のように光反射率の高いセラミック基板を用いることで、基板材料および/または配線パターンの形成材料に光反射率90%以上の銀を用いる必要がないため、銀マイグレーションの心配がなく、さらに銀が硫化してしまう問題もない。」
に訂正する。
19 訂正事項19
明細書の段落【0042】において、
「 本発明における封止体6は、その形状については特に制限されるものではないが、六角形状、円形状、長方形状または正方形状の上面形状を有することが好ましい。図1~図3には、第1の封止体層8を正方形状の上面形状を有するように形成し、この第1の封止体層8の上面の全面を覆うようにして正方形状の上面形状を有するように第2の封止体層9を形成してなる例を示している。なお、上述した封止体6、第1の封止体層8および第2の封止体層9の上面形状とは、基板3の基板面に平行な断面における形状を指す。」
と記載されているのを、
「 本発明における封止体6は、その形状については特に制限されるものではないが、六角形状、円形状、長方形状または正方形状の上面形状を有することが好ましい。図1~図3には、第1の封止体層8を正方形状の上面形状を有するように形成し、この第1の封止体層8の上面の全面を覆うようにして正方形状の上面形状を有するように第2の封止体層9を形成してなる例を示している。なお、上述した封止体6、第1の封止体層8および第2の封止体層9の上面形状とは、絶縁基板3の基板面に平行な断面における形状を指す。」
に訂正する。
第5 当審の判断
1 訂正の目的の適否、新規事項の有無、及び拡張・変更の存否について
(1)訂正事項1について
ア 訂正の目的について
訂正事項1は、請求項1において、絶縁性について限定されていなかった「基板」について、「絶縁性を有する材料で形成されている絶縁基板」とし、構成を付加して限定するものであるから、特許請求の範囲を減縮しようとするものである。
したがって、訂正事項1は、特許法第126条第1項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであるか否かについて
本件特許の願書に添付した明細書の段落【0019】には、「…本発明の発光装置1では、特に、基板3に発光素子5を直に搭載することで隣接する発光素子間、および発光素子/電極間の絶縁耐圧を高くすることができる。」と、段落【0020】には、「本発明の発光装置1によれば、基板3上に複数形成された直線状の配線パターン4間に、配線パターン4に電気的に接続された状態で複数個の発光素子5を搭載してなることで、従来の金属基板上に絶縁層を形成する場合とは異なり、充分な電気絶縁性が達成される。…これに対し、本発明の発光装置1では、基板3上に配線パターン4を直接形成し、またこの基板3上に発光素子5を直に搭載し、…」と、段落【0031】には、「本発明の発光装置1における基板3は、…(略)…熱膨張が小さく、熱伝導性が高く、かつ光反射率が高いことから、白色のセラミック基板であることが好ましい。…(略)…またさらに、上述のように光反射率の高いセラミック基板を用いることで、基板材料および/または配線パターンの形成材料に光反射率90%以上の銀を用いる必要がないため、銀マイグレーションの心配がなく、さらに銀が硫化してしまう問題もない。」と、段落【0032】には、「白色のセラミック基板を用いる場合には、光反射率が90%以上と高いことから、酸化アルミニウム(アルミナ)、窒化アルミニウム、ボロンナイトライド、窒化ケイ素、酸化マグネシウム、フォルステライト、ステアタイト、低温焼結セラミックから選ばれるいずれか、または、これらの複合材料で形成されたセラミック基板が好ましい。上述した中でも、安価で、反射率が高く、加工しやすく、工業材料として広く使われている酸化アルミニウム(アルミナ)で形成された白色のセラミック基板が特に好ましい。」と記載されている(当審注:下線は合議体が付加した。以下同じ。)。
訂正事項1による訂正後の請求項1における「絶縁性を有する材料で形成されている絶縁基板」に関連して、訂正前の上記段落【0031】、【0032】には、「セラミック基板」及びその具体例として酸化アルミニウム(アルミナ)等で形成されたセラミック基板が記載されている。
したがって、訂正事項1は、本件特許の願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下、本件特許の願書に添付した明細書を「本件特許明細書」という。また、本件特許の願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面を「本件特許明細書等」という。)の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものでない。
したがって、訂正事項1は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正である。
よって、訂正事項1は、特許法第126条第5項の規定に適合する。
ウ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものであるか否かについて
訂正事項1は、請求項1において、発明特定事項を付加するものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。
よって、訂正事項1は、特許法第126条第6項の規定に適合する。
(2)訂正事項2~4について
ア 訂正の目的について
訂正事項2~4は、訂正事項1から理解されるように、訂正後の請求項1の記載との整合性の観点から、請求項2、3、6に記載の「基板」について訂正するものであるから、明瞭でない記載の釈明をしようとするものである。
また、訂正事項2~4は、請求項2、3、6において、絶縁性について限定されていなかった「基板」について、「絶縁基板」とし、構成を付加して限定するものであるから、特許請求の範囲を減縮しようとするものである。
したがって、訂正事項2~4は、特許法第126条第1項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮及び同法同条第1項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
イ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであるか否かについて
本件特許明細書の段落【0019】には、「…本発明の発光装置1では、特に、基板3に発光素子5を直に搭載することで隣接する発光素子間、および発光素子/電極間の絶縁耐圧を高くすることができる。」と、段落【0020】には、「本発明の発光装置1によれば、基板3上に複数形成された直線状の配線パターン4間に、配線パターン4に電気的に接続された状態で複数個の発光素子5を搭載してなることで、従来の金属基板上に絶縁層を形成する場合とは異なり、充分な電気絶縁性が達成される。…これに対し、本発明の発光装置1では、基板3上に配線パターン4を直接形成し、またこの基板3上に発光素子5を直に搭載し、…」と記載されている。
また、「絶縁性を有する材料で形成されている絶縁基板」に関連して、上記(1)イで検討したように、訂正前の上記段落【0031】、【0032】には、「セラミック基板」及びその具体例として酸化アルミニウム(アルミナ)等で形成されたセラミック基板が記載されている。
したがって、訂正事項2~4は、本件特許明細書等の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものでない。
したがって、訂正事項2~4は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正である。
よって、訂正事項2~4は、特許法第126条第5項の規定に適合する。
ウ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものであるか否かについて
訂正事項2~4は、訂正事項1から理解されるように、訂正後の請求項1の記載との整合性の観点から、請求項2、3、6に記載の「基板」について訂正し、また、絶縁性について限定されていなかった「基板」について、「絶縁基板」とし、構成を付加して限定するものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。
よって、訂正事項2~4は、特許法第126条第6項の規定に適合する。
(3)訂正事項5、6について
ア 訂正の目的について
訂正事項5、6は、それぞれ、請求項8、9を削除するものであるから、特許請求の範囲を減縮しようとするものである。
したがって、訂正事項5、6は、特許法第126条第1項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであるか否かについて
訂正事項5、6は、それぞれ、請求項8、9を削除するものであるから、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正である。
よって、訂正事項5、6は、特許法第126条第5項の規定に適合する。
ウ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものであるか否かについて
訂正事項5、6は、それぞれ、請求項8、9を削除するものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。
よって、訂正事項5、6は、特許法第126条第6項の規定に適合する。
(4)訂正事項7~12について
ア 訂正の目的について
訂正事項7~12は、訂正事項1~6による訂正に伴い特許請求の範囲の記載と明細書の記載との整合性を図るための訂正である。
よって、訂正事項7~12は、特許法第126条第1項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
イ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであるか否かについて
訂正事項7~12は、訂正事項1~6による訂正に伴い特許請求の範囲の記載と明細書の記載との整合性を図るための訂正であるから、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正である。
よって、訂正事項7~12は、特許法第126条第5項の規定に適合する。
ウ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものであるか否かについて
訂正事項7~12は、訂正事項1~6による訂正に伴い特許請求の範囲の記載と明細書の記載との整合性を図るための訂正であるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。
よって、訂正事項7~12は、特許法第126条第6項の規定に適合する。
(5)訂正事項13~19について
ア 訂正の目的について
(ア)訂正事項13~17及び19による訂正、並びに訂正事項18による訂正のうち、「基板3として」を「絶縁基板3として」に訂正する訂正は、訂正事項1~4による訂正に伴い特許請求の範囲の記載と明細書の記載との整合性を図るための訂正である。
(イ)次に、訂正事項18による訂正のうち、本件特許明細書の段落【0031】に記載の「基板3は、少なくともその表面が絶縁性を有する材料で形成されていればよく」を、「絶縁基板3は、絶縁性を有する材料で形成されていればよく」に訂正する訂正について検討する。
訂正事項18よる訂正のうち、当該訂正は、訂正事項1~4による訂正に伴い特許請求の範囲の記載と明細書の記載との整合性を図るための訂正である。
(ウ)よって、訂正事項13~19は、特許法第126条第1項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
イ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであるか否かについて
(ア)本件特許明細書の段落【0031】には、「本発明の発光装置1における基板3は、少なくともその表面が絶縁性を有する材料で形成されていればよく、特に制限されるものではないが、熱膨張が小さく、熱伝導性が高く、かつ光反射率が高いことから、白色のセラミック基板であることが好ましい。」と記載されている。
(イ)上記(1)イで検討したように、訂正前の上記段落【0031】、【0032】には、「セラミック基板」及びその具体例として酸化アルミニウム(アルミナ)等で形成されたセラミック基板が記載されており、これらの例示されている基板は絶縁基板であることが一般的であることを勘案すると、訂正事項13~17及び19による訂正、並びに訂正事項18による訂正のうち、「基板3として」を「絶縁基板3として」に訂正する訂正は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正である。
(ウ)次に、訂正事項18による訂正のうち、「基板3は、少なくともその表面が絶縁性を有する材料で形成されていればよく」を、「絶縁基板3は、絶縁性を有する材料で形成されていればよく」に訂正する訂正について検討する。
上記(1)イで検討したように、訂正前の上記段落【0031】、【0032】には、「セラミック基板」及びその具体例として酸化アルミニウム(アルミナ)等で形成されたセラミック基板が記載されているから、訂正事項18による訂正のうち、「基板3は、少なくともその表面が絶縁性を有する材料で形成されていればよく」を、「絶縁基板3は、絶縁性を有する材料で形成されていればよく」に訂正する訂正は、本件特許明細書等の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものでない。
(エ)したがって、訂正事項13~19は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正である。
よって、訂正事項13~19は、特許法第126条第5項の規定に適合する。
ウ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものであるか否かについて
(ア)訂正事項13~17及び19による訂正、並びに訂正事項18による訂正のうち、「基板3として」を「絶縁基板3として」に訂正する訂正は、上記ア(ア)で検討したように、訂正事項1~4による訂正に伴い特許請求の範囲の記載と明細書の記載との整合性を図るための訂正であり、請求項に記載された事項の解釈に影響を与え、その結果、実質上特許請求の範囲を拡張又は変更するものには該当しない。
(イ)次に、訂正事項18による訂正のうち、「基板3は、少なくともその表面が絶縁性を有する材料で形成されていればよく」を、「絶縁基板3は、絶縁性を有する材料で形成さればよく」に訂正する訂正について検討する。
訂正事項18よる訂正のうち、当該訂正は、上記ア(イ)で検討したように、訂正事項1~4による訂正に伴い特許請求の範囲の記載と明細書の記載との整合性を図るための訂正であり、請求項に記載された事項の解釈に影響を与え、その結果、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。
(ウ)よって、訂正事項13~19は、特許法第126条第6項の規定に適合する。
2 独立特許要件について
上記1(1)アで検討したとおり、訂正事項1~6は、特許法第126条第1項ただし書き第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
そこで、本件訂正後の特許請求の範囲に記載されている事項により特定される発明が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか否かについて検討すると、当該発明が特許出願の際独立して特許を受けることができないとする理由を発見しない。
したがって、本件訂正後の特許請求の範囲に記載されている事項により特定される発明は、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるから、訂正事項1~6は、特許法第126条第7項の規定に適合する。
なお、本件訂正審判の請求の趣旨は、上記第3のとおりであり、特許権全体に対して訂正審判を請求する場合に該当するから、特許法第126条第4項の規定に適合するか否かについての検討は不要である。
第6 訂正拒絶理由通知について
審判請求書における「6.請求の理由」「2)訂正事項」の「f 訂正事項6」に対しては、概略、次の訂正拒絶理由が通知されていた。
「ア 訂正事項6について
…(略)…
(イ)訂正前の請求項9が引用する訂正前の請求項8には、「前記基板は、少なくともその表面が絶縁性を有する白色の材料で形成されている」と記載されている。
訂正後の請求項9、又は訂正後の請求項9が引用する訂正後の請求項1のいずれにも基板が、「白色の材料で形成されている」ことは記載されていない。
したがって、訂正事項6は、訂正前の請求項9において、基板が、「少なくともその表面が絶縁性を有する白色の材料で形成されている」ものから、訂正後の請求項9において、「絶縁性材料で形成されている絶縁基板」が、「白色の材料で形成されている」もの以外を含むものに特許請求の範囲を拡大するものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張するものである。
したがって、訂正事項6は、特許法第126条第6項の規定に適合するものではない。
よって、訂正事項6は、訂正要件を満たしていない。」
上記の訂正拒絶理由の通知に対し、平成29年9月25日付け手続補正書による補正の補正事項1(上記「第2」「1(1)」を参照。)により、訂正事項6において、請求項9を削除する補正がされることになり、当該訂正拒絶理由において訂正事項6に対して訂正の要件を満たしていないとした上記の点は解消された。
第7 むすび
以上のとおり、訂正事項1~19は、特許法第126条第1項ただし書第1号または第3号に掲げる事項を目的とし、かつ同法同条第5項ないし第7項の規定に適合する。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。
J-PlatPat 審決検索を開く
2017-390054