特許訂正審判
2017-390055
発光装置
- 審判番号
- 2017-390055
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 訂正審判(訂正の審決)
- 出願番号
- 特願2011-183773外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2017年06月28日
- 審決日
- 2017年11月27日
- 公報発行日
- 2018年02月23日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【請求人】シャープ 株式会社
- 【請求人代理人】特許業務法人深見特許事務所
- 分類
- P141 .851-Y (H01L) / P141 .853-Y (H01L) / P141 .854-Y (H01L) / P141 .855-Y (H01L) / P141 .856-Y (H01L)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第126条第1項、特許法第44条第1項、特許法第126条第5項、特許法第126条第6項、特許法第126条第7項、特許法第126条第4項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特許第5730711号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
特許第5730711号の明細書及び特許請求の範囲を本件審判請求書に添付された訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり訂正することを認める。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
特許第5730711(以下「本件特許」という。)の請求項1ないし8に係る特許についての手続の経緯は、以下のとおりである。
平成23年 8月25日 特許法第44条第1項の規定による新たな特許出願
(本件特許に係る出願は、平成19年3月15日に出願された特許出願(特願2007-67362号)の一部を、平成21年9月14日に特許法第44条第1項の規定による新たな特許出願(特願2009-211855号)とし、更にその一部を平成22年6月4日に特許法第44条第1項の規定による新たな特許出願(特願2010-129024号)とし、更にその一部を特許法第44条第1項の規定による新たな特許出願(特願2011-183773号)としたものである。)
平成23年 9月22日 審査請求
平成26年 3月28日 拒絶査定(4月 1日送達)
平成26年 7月 1日 拒絶査定不服審判請求
平成27年 3月18日 特許審決(3月31日送達)
平成27年 4月17日 特許権の設定登録
平成29年 6月28日 本件訂正審判請求
第2 請求の趣旨
本件訂正審判の請求の趣旨は、特許第5730711号の明細書、特許請求の範囲を本件審判請求書に添付した訂正明細書、特許請求の範囲のとおり訂正することを認める、との審決を求めるものである。
第3 訂正の内容
請求人が求めている具体的な訂正(以下「本件訂正」という。)の内容は、以下の訂正事項のとおり訂正することを求めるものである(当審注:訂正箇所に下線を付した。)。
1 訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1において、
「 熱伝導性の高い絶縁基板上に1つの発光部が設けられると共に、該発光部を取り囲む領域を有しており、前記熱伝導性の高い絶縁基板上に正電極外部接続ランドおよび負電極外部接続ランドが設けられた発光装置であって、
前記熱伝導性の高い絶縁基板の形状は、四角またはその頂点の角を取った略四角形であり、
前記熱伝導性の高い絶縁基板上に複数の配線パターンが直接形成され、
当該配線パターンは、前記正電極外部接続ランドと電気的に接続されたアノード用配線パターンと前記負電極外部接続ランドと電気的に接続されたカソード用配線パターンを含み、
前記発光部は、複数個の半導体発光素子が前記熱伝導性の高い絶縁基板に接着され、前記複数個の半導体発光素子が1つの封止体で封止されたものであり、
前記封止体の上面形状は円形状であり、前記四角またはその頂点の角を取った略四角形の絶縁基板の中央部に前記円形状の封止体を設け、
前記発光部を取り囲む領域は、前記封止体で封止されていない領域であり、
前記封止体で封止されていない領域は、前記基板の角部において広くなっている領域を有し、
前記半導体発光素子は、半導体LEDチップであり、
前記正電極外部接続ランドおよび前記負電極外部接続ランドは、前記封止体で封止され
ていない領域における前記基板の角部において広くなっている領域に、前記発光部を挟むように対向して設けられている、発光装置。」
と記載されているのを、
「 絶縁性を有する材料で形成されている、熱伝導性の高い絶縁基板上に1つの発光部が設けられると共に、該発光部を取り囲む領域を有しており、前記熱伝導性の高い絶縁基板上に正電極外部接続ランドおよび負電極外部接続ランドが設けられた発光装置であって、
前記熱伝導性の高い絶縁基板の形状は、四角またはその頂点の角を取った略四角形であり、
前記熱伝導性の高い絶縁基板上に複数の配線パターンが直接形成され、
当該配線パターンは、前記正電極外部接続ランドと電気的に接続されたアノード用配線パターンと前記負電極外部接続ランドと電気的に接続されたカソード用配線パターンを含み、
前記発光部は、複数個の半導体発光素子が前記熱伝導性の高い絶縁基板に接着され、前記複数個の半導体発光素子が1つの封止体で封止されたものであり、
前記封止体の上面形状は円形状であり、前記四角またはその頂点の角を取った略四角形の絶縁基板の中央部に前記円形状の封止体を設け、
前記発光部を取り囲む領域は、前記封止体で封止されていない領域であり、
前記封止体で封止されていない領域は、前記基板の角部において広くなっている領域を有し、
前記半導体発光素子は、半導体LEDチップであり、
前記正電極外部接続ランドおよび前記負電極外部接続ランドは、前記封止体で封止され
ていない領域における前記基板の角部において広くなっている領域に、前記発光部を挟むように対向して設けられている、発光装置。」
に訂正する(請求項1の記載を直接または間接に従属するか、もしくは引用する請求項2~8も同様に訂正する。)。
2 訂正事項2
明細書の段落【0009】において、
「【0009】
本発明は、熱伝導性の高い絶縁基板上に発光部が設けられると共に、該発光部を取り囲む領域を有しており、該発光部を取り囲む領域における前記熱伝導性の高い絶縁基板上に正電極外部接続ランドおよび負電極外部接続ランドが設けられた発光装置であって、前記熱伝導性の高い絶縁基板上に複数の配線パターンが直接形成され、当該配線パターンは、前記正電極外部接続ランドと電気的に接続されたアノード用配線パターンと前記負電極外部接続ランドと電気的に接続されたカソード用配線パターンを含み、前記発光部は、複数個の半導体発光素子が前記熱伝導性の高い絶縁基板に接着され、前記複数個の半導体発光素子が1つの封止体で封止されたものであり、前記半導体発光素子は、半導体LEDチップであり、前記正電極外部接続ランドおよび前記負電極外部接続ランドは、前記発光部を挟むように対向して設けられている発光装置に関する。」
と記載されているのを、
「【0009】
本発明は、絶縁性を有する材料で形成されている、熱伝導性の高い絶縁基板上に1つの発光部が設けられると共に、該発光部を取り囲む領域を有しており、該発光部を取り囲む領域を有しており、前記熱伝導性の高い絶縁基板上に正電極外部接続ランドおよび負電極外部接続ランドが設けられた発光装置であって、前記熱伝導性の高い絶縁基板の形状は、四角またはその頂点の角を取った略四角形であり、前記熱伝導性の高い絶縁基板上に複数の配線パターンが直接形成され、当該配線パターンは、前記正電極外部接続ランドと電気的に接続されたアノード用配線パターンと前記負電極外部接続ランドと電気的に接続されたカソード用配線パターンを含み、前記発光部は、複数個の半導体発光素子が前記熱伝導性の高い絶縁基板に接着され、前記複数個の半導体発光素子が1つの封止体で封止されたものであり、前記封止体の上面形状は円形状であり、前記四角またはその頂点の角を取った略四角形の絶縁基板の中央部に前記円形状の封止体を設け、前記発光部を取り囲む領域は、前記封止体で封止されていない領域であり、前記封止体で封止されていない領域は、前記基板の角部において広くなっている領域を有し、前記半導体発光素子は、半導体LEDチップであり、前記正電極外部接続ランドおよび前記負電極外部接続ランドは、前記封止体で封止されていない領域における前記基板の角部において広くなっている領域に、前記発光部を挟むように対向して設けられている発光装置に関する。」
に訂正する。
3 訂正事項3
明細書の段落【0030】において、
「 本発明の発光装置1における絶縁基板3は、少なくともその表面が絶縁性を有する材料で形成されていればよく、特に制限されるものではないが、熱膨張が小さく、熱伝導性が高く、かつ光反射率が高いことから、白色のセラミック基板であることが好ましい。ここで、「白色」とは、物体が全ての波長の可視光線をほぼ100%反射するような物体の色を指す(ただし、100%の反射率をもった理想的な白色の物体は存在しない。)。白色のセラミック基板を絶縁基板3として用いることで、発光素子5からの出射光のうち、特に下面方向への光を白色のセラミック基板にて反射することができ、発光素子5からの出射光をロスなく有効に活用できるとともに、高い放熱性および耐熱性が要求される駆動電流として大電流を供給する用途にも好適に適用することができる。さらに、発光素子5の信頼性を向上できるとともに、封止体6が蛍光体を含有する場合(後述)には、発光素子5からの熱による蛍光体の劣化を抑えることもでき、蛍光体により波長変換されて出光する光の色度ズレが生じにくい。またさらに、上述のように光反射率の高いセラミック基板を用いることで、基板材料および/または配線パターンの形成材料に光反射率90%以上の銀を用いる必要がないため、銀マイグレーションの心配がなく、さらに銀が硫化してしまう問題もない。」
と記載されているのを、
「 本発明の発光装置1における絶縁基板3は、絶縁性を有する材料で形成されていればよく、特に制限されるものではないが、熱膨張が小さく、熱伝導性が高く、かつ光反射率が高いことから、白色のセラミック基板であることが好ましい。ここで、「白色」とは、物体が全ての波長の可視光線をほぼ100%反射するような物体の色を指す(ただし、100%の反射率をもった理想的な白色の物体は存在しない。)。白色のセラミック基板を絶縁基板3として用いることで、発光素子5からの出射光のうち、特に下面方向への光を白色のセラミック基板にて反射することができ、発光素子5からの出射光をロスなく有効に活用できるとともに、高い放熱性および耐熱性が要求される駆動電流として大電流を供給する用途にも好適に適用することができる。さらに、発光素子5の信頼性を向上できるとともに、封止体6が蛍光体を含有する場合(後述)には、発光素子5からの熱による蛍光体の劣化を抑えることもでき、蛍光体により波長変換されて出光する光の色度ズレが生じにくい。またさらに、上述のように光反射率の高いセラミック基板を用いることで、基板材料および/または配線パターンの形成材料に光反射率90%以上の銀を用いる必要がないため、銀マイグレーションの心配がなく、さらに銀が硫化してしまう問題もない。」
に訂正する。
4 訂正事項4
明細書の段落【0041】において、
「 本発明における封止体6は、その形状については特に制限されるものではないが、六角形状、円形状、長方形状または正方形状の上面形状を有することが好ましい。図1~図3には、第1の封止体層8を正方形状の上面形状を有するように形成し、この第1の封止体層8の上面の全面を覆うようにして正方形状の上面形状を有するように第2の封止体層9を形成してなる例を示している。なお、上述した封止体6、第1の封止体層8および第2の封止体層9の上面形状とは、基板3の絶縁基板面に平行な断面における形状を指す。」
と記載されているのを、
「 本発明における封止体6は、その形状については特に制限されるものではないが、六角形状、円形状、長方形状または正方形状の上面形状を有することが好ましい。図1~図3には、第1の封止体層8を正方形状の上面形状を有するように形成し、この第1の封止体層8の上面の全面を覆うようにして正方形状の上面形状を有するように第2の封止体層9を形成してなる例を示している。なお、上述した封止体6、第1の封止体層8および第2の封止体層9の上面形状とは、絶縁基板3の基板面に平行な断面における形状を指す。」
に訂正する。
5 訂正事項5
明細書の段落【0051】において、
「 本発明の発光装置においては、絶縁基板と同じ材料で形成された固定用冶具を用いて固定されてなることが好ましい。絶縁基板と同じ材料で形成された固定用冶具を用いることで、絶縁基板と固定用冶具との熱膨張率を同じにすることができ、熱による反りなどで基板に割れ、ヒビは発生することを低減でき、発光装置の歩留りを向上することができる。具体的には、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、ボロンナイトライド、窒化ケイ素、酸化マグネシウム、フォルステライト、ステアタイト、低温焼結セラミックから選ばれるいずれか、または、これらの複合材料で形成された固定用冶具を、絶縁基板の形成材料に合わせて好適に用いることができる。」
と記載されているのを、
「 本発明の発光装置においては、絶縁基板と同じ材料で形成された固定用冶具を用いて固定されてなることが好ましい。絶縁基板と同じ材料で形成された固定用冶具を用いることで、絶縁基板と固定用冶具との熱膨張率を同じにすることができ、熱による反りなどで絶縁基板に割れ、ヒビは発生することを低減でき、発光装置の歩留りを向上することができる。具体的には、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、ボロンナイトライド、窒化ケイ素、酸化マグネシウム、フォルステライト、ステアタイト、低温焼結セラミックから選ばれるいずれか、または、これらの複合材料で形成された固定用冶具を、絶縁基板の形成材料に合わせて好適に用いることができる。」
に訂正する。
第4 当審の判断
1 訂正の目的の適否、新規事項の有無、及び拡張・変更の存否について
(1)訂正事項1について
ア 訂正の目的について
訂正事項1は、請求項1において、材料について限定されていなかった「絶縁基板」について、「絶縁性を有する材料で形成されている、」との構成を付加して限定するものであるから、特許請求の範囲を減縮しようとするものである。また、訂正事項1は、請求項1の記載を直接または間接に従属するか、もしくは引用する請求項2~8においても、同様に、特許請求の範囲を減縮しようとするものである。
したがって、訂正事項1は、特許法第126条第1項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであるか否かについて
本件特許の願書に添付した明細書の段落【0018】には、「…本発明の発光装置1は、絶縁基板3に上に、直線状の配線パターン4が平行に配置されて複数形成され、…封止体6で封止された発光部2を備えることを特徴とする。本発明の発光装置1では、特に、絶縁基板3に発光素子5を直に搭載することで隣接する発光素子間、および発光素子/電極間の絶縁耐圧を高くすることができる。」と、段落【0019】には、「本発明の発光装置1によれば、絶縁基板3上に複数形成された直線状の配線パターン4間に、配線パターン4に電気的に接続された状態で複数個の発光素子5を搭載してなることで、従来の金属基板上に絶縁層を形成する場合とは異なり、充分な電気絶縁性が達成される。…これに対し、本発明の発光装置1では、絶縁基板3上に配線パターン4を直接形成し、またこの絶縁基板3上に発光素子5を直に搭載し、…」と、段落【0030】には、「本発明の発光装置1における絶縁基板3は、…(略)…熱膨張が小さく、熱伝導性が高く、かつ光反射率が高いことから、白色のセラミック基板であることが好ましい。…(略)…またさらに、上述のように光反射率の高いセラミック基板を用いることで、基板材料および/または配線パターンの形成材料に光反射率90%以上の銀を用いる必要がないため、銀マイグレーションの心配がなく、さらに銀が硫化してしまう問題もない。」と、段落【0031】には、「白色のセラミック基板を用いる場合には、光反射率が90%以上と高いことから、酸化アルミニウム(アルミナ)、窒化アルミニウム、ボロンナイトライド、窒化ケイ素、酸化マグネシウム、フォルステライト、ステアタイト、低温焼結セラミックから選ばれるいずれか、または、これらの複合材料で形成されたセラミック基板が好ましい。上述した中でも、安価で、反射率が高く、加工しやすく、工業材料として広く使われている酸化アルミニウム(アルミナ)で形成された白色のセラミック基板が特に好ましい。」と記載されている(当審注:下線が合議体が付加した。)。
訂正事項1による訂正後の請求項1における「『絶縁性を有する材料で形成されている、』絶縁基板」に関連して、訂正前の上記段落【0030】、【0031】には、「セラミック基板」及びその具体例として酸化アルミニウム(アルミナ)等で形成されたセラミック基板が記載されている。
したがって、訂正事項1は、本件特許の願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下、本件特許の願書に添付した明細書を「本件特許明細書」という。また、本件特許の願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面を「本件特許明細書等」という。)の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものでない。
したがって、訂正事項1は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正である。
よって、訂正事項1は、特許法第126条第5項の規定に適合する。
ウ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものであるか否かについて
訂正事項1は、請求項1において、発明特定事項を付加するものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。また、訂正事項1は、請求項1の記載を直接または間接に従属するか、もしくは引用する請求項2~8においても、同様に、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。
よって、訂正事項1は、特許法第126条第6項の規定に適合する。
(2)訂正事項2について
ア 訂正の目的について
訂正事項2は、訂正事項1による訂正に伴い特許請求の範囲の記載と明細書の記載との整合性を図るための訂正である。
よって、訂正事項2は、特許法第126条第1項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
イ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであるか否かについて
訂正事項2は、訂正事項1による訂正に伴い、特許請求の範囲の記載と明細書における特許請求の範囲と同様な記載との整合性を図るための訂正であるから、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正である。
よって、訂正事項2は、特許法第126条第5項の規定に適合する。
ウ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものであるか否かについて
訂正事項2は、訂正事項1による訂正に伴い特許請求の範囲の記載と明細書の記載との整合性を図るための訂正であるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。
よって、訂正事項2は、特許法第126条第6項の規定に適合する。
(3)訂正事項3について
ア 訂正の目的について
訂正事項3は、本件特許明細書の段落【0030】に記載の「絶縁基板3は、少なくともその表面が絶縁性を有する材料で形成されていればよく」を、「絶縁基板3は、絶縁性を有する材料で形成されていればよく」に訂正するものである。
したがって、訂正事項3は、訂正事項1による訂正に伴い特許請求の範囲の記載と明細書の記載との整合性を図るための訂正である。
よって、訂正事項3は、特許法第126条第1項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
イ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであるか否かについて
上記(1)イで検討したように、訂正前の上記段落【0030】、【0031】には、「セラミック基板」及びその具体例として酸化アルミニウム(アルミナ)等で形成されたセラミック基板が記載されているから、訂正事項3は、本件特許明細書等の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものでない。
したがって、訂正事項3は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正である。
よって、訂正事項3は、特許法第126条第5項の規定に適合する。
ウ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものであるか否かについて
訂正事項3は、上記アで検討したように、訂正事項1による訂正に伴い特許請求の範囲の記載と明細書の記載との整合性を図るための訂正であり、請求項に記載された事項の解釈に影響を与え、その結果、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。
よって、訂正事項3は、特許法第126条第6項の規定に適合する。
(4)訂正事項4について
ア 訂正の目的について
本件特許の願書に最初に添付した明細書の段落【0041】における「…の上面形状とは、基板3の絶縁基板面に平行な断面における…」という記載は、段落【0022】の「…上面形状とは、絶縁基板3の基板面に平行な断面における…」との記載、【0024】の「…の上面形状は、絶縁基板3上に搭載された状態での当該絶縁基板3の基板面に平行な上面における形状を…」との記載に鑑みると、「…の上面形状とは、絶縁基板3の基板面に平行な断面における…」の誤記である。
したがって、訂正事項4は、誤記の訂正を目的とするものである。
よって、訂正事項4は、特許法第126条第1項ただし書第2号に掲げる誤記又は誤訳の訂正を目的とするものである。
イ 願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであるか否かについて
訂正事項4は、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正である。
したがって、訂正事項4は、第126条第5項の規定に適合する。
ウ 特許請求の範囲の拡張・変更の有無について
訂正事項4は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
したがって、訂正事項4は、第126条第6項の規定に適合する。
(5)訂正事項5について
ア 訂正の目的について
訂正事項5は、明細書の段落【0051】に記載の「熱による反りなどで基板に割れ」を、「熱による反りなどで絶縁基板に割れ」に訂正するものである。
本件特許明細書の段落【0051】の「本発明の発光装置においては、絶縁基板と同じ材料で形成された固定用冶具を用いて固定されてなることが好ましい。絶縁基板と同じ材料で形成された固定用冶具を用いることで、絶縁基板と固定用冶具との熱膨張率を同じにすることができ、熱による反りなどで基板に割れ、ヒビは発生することを低減でき、発光装置の歩留りを向上することができる。具体的には、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、ボロンナイトライド、窒化ケイ素、酸化マグネシウム、フォルステライト、ステアタイト、低温焼結セラミックから選ばれるいずれか、または、これらの複合材料で形成された固定用冶具を、絶縁基板の形成材料に合わせて好適に用いることができる。」における「熱による反りなどで基板に割れ」は、同段落の「絶縁基板と固定用冶具との熱膨張率を同じにする」、「絶縁基板の形成材料に合わせて好適に用いる」との記載との関係で不合理を生じているために不明瞭となっているところ、本来の意は、「熱による反りなどで絶縁基板に割れ」のことであることが明らかである。
したがって、訂正事項5は、本件特許明細書中の、特許明細書中の他の記載との関係で不合理を生じているために不明瞭となっている記載を訂正し、その本来の意を明らかにするための訂正であるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
よって、訂正事項5は、特許法第126条第1項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
イ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであるか否かについて
上記アで検討したように本件特許明細書の段落【0051】には、「…(略)…絶縁基板と同じ材料で形成された固定用冶具を用いることで、絶縁基板と固定用冶具との熱膨張率を同じにすることができ、熱による反りなどで基板に割れ、ヒビは発生することを低減でき、発光装置の歩留りを向上することができる。…(略)…で形成された固定用冶具を、絶縁基板の形成材料に合わせて好適に用いることができる。」と記載されているから、当該「基板」を「絶縁基板」とする訂正は、本件特許明細書等の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものでない。
したがって、訂正事項5は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正である。
よって、訂正事項5は、特許法第126条第5項の規定に適合する。
ウ 特許請求の範囲の拡張・変更の有無について
訂正事項5は、本件特許明細書の段落【0051】に一箇所だけ「基板」と記載されていたのを他の記載に併せて「絶縁基板」とする訂正であり、請求項の解釈に影響を与えるものではない。
したがって、訂正事項5は請求項に記載された事項の解釈に影響を与え、その結果、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
よって、訂正事項5は、第126条第6項の規定に適合する。
2 独立特許要件について
上記1(1)アで検討したとおり、訂正事項1は、特許法第126条第1項ただし書き第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、上記1(4)アで検討したとおり、訂正事項4は、特許法第126条第1項ただし書き第2号に掲げる誤記又は誤訳の訂正を目的とするものである。
そこで、本件訂正後の特許請求の範囲に記載されている事項により特定される発明が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか否かについて検討すると、当該発明が特許出願の際独立して特許を受けることができないとする理由を発見しない。
したがって、本件訂正後の特許請求の範囲に記載されている事項により特定される発明は、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるから、訂正事項1及び4は、特許法第126条第7項の規定に適合する。
なお、本件訂正審判の請求の趣旨は、上記第2のとおりであり、特許権全体に対して訂正審判を請求する場合に該当するから、特許法第126条第4項の規定に適合するか否かについての検討は不要である。
第5 むすび
以上のとおり、訂正事項1~5は、特許法第126条第1項ただし書第1号または第3号に掲げる事項を目的とし、かつ同法同条第5項ないし第7項の規定に適合する。
よって、結論のとおり審決する。
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2017-390055