特許拒絶査定不服審判
2017-006342
切削インサート、切削工具および切削加工物の製造方法
- 審判番号
- 2017-006342
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2015-524044外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2017年05月01日
- 審決日
- 2018年08月28日
- 公報発行日
- 2018年10月26日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】京セラ株式会社
- 分類
- P18 .55 -WY (B23C) / P18 .121-WY (B23C)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法17条の2第3項特許法53条1項特許法159条1項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第17条の2第3項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2015-524044「切削インサート、切削工具および切削加工物の製造方法」拒絶査定不服審判事件〔平成26年12月31日国際公開、WO2014/208513、請求項の数(9)〕について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
原査定を取り消す。
本願の発明は、特許すべきものとする。
理由
【理 由】
1 手続の経緯
本願は、2014年(平成26年)6月24日を国際出願日とする出願(優先権主張 平成25年6月27日、同年11月8日)であって、平成28年5月31日付けの拒絶理由通知に対して同年8月5日に意見書及び手続補正書が提出されたところ、平成29年1月27日付けで拒絶査定がなされた(謄本送達 同年同月31日)。
これに対して、平成29年5月1日に拒絶査定不服審判が請求されると同時に手続補正書が提出されたものである。
2 平成29年5月1日に提出された手続補正書による補正についての却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
平成29年5月1日に提出された手続補正書による補正(以下「本件補正」という。)を却下する。
[理由]
(1)補正の内容
本件補正は、補正前の特許請求の範囲の請求項1及び明細書の【0006】を各々補正するものであり、その内、補正前後の請求項1は次のとおりである。(下線は、補正箇所に付したものである。)
(補正前)
「 【請求項1】
多角形状であって、辺部および該辺部に隣接する一対の角部を有する上面と、
該上面に対応する多角形状の下面と、
該下面および前記上面の間に設けられた側面と、
前記上面と前記側面との交線部であって、前記一対の角部に位置した一対のコーナー切刃と、
前記上面と前記側面との交線部であって、前記辺部に位置した主切刃とを備え、被削材を切削するために用いられる切削インサートであって、
前記主切刃は、上方に凸の形状であって、前記コーナー切刃よりも上方に位置しており、側面視において、上方に凸の曲線部、および該曲線部から前記一対のコーナー切刃のそれぞれに向かって延びた一対の直線部を有するとともに、
前記曲線部における頂部は、前記一対のコーナー切刃のうち、前記被削材を切削する際に前記被削材の加工面に近接する一方の前記コーナー切刃の側に寄っていることを特徴とする切削インサート。」
(補正後)
「 【請求項1】
多角形状であって、辺部および該辺部に隣接する一対の角部を有する上面と、
該上面に対応する多角形状の下面と、
該下面および前記上面の間に設けられた側面と、
前記上面と前記側面との交線部であって、前記一対の角部の全体に位置した一対のコーナー切刃と、
前記上面と前記側面との交線部であって、前記辺部の全体に位置した主切刃とを備え、被削材を切削するために用いられる切削インサートであって、
前記主切刃は、上方に凸の形状であって、その最低点が前記コーナー切刃の最高点よりも上方に位置しており、側面視において、上方に凸の曲線部、および該曲線部から前記一対のコーナー切刃のそれぞれに向かって延びた一対の直線部を有するとともに、
前記曲線部における頂部は、前記一対のコーナー切刃のうち、前記被削材を切削する際に前記被削材の加工面に近接する一方の前記コーナー切刃の側に寄っていることを特徴とする切削インサート。」
(2)本件補正についての検討
ア 補正事項の整理
特許請求の範囲の請求項1に関する本件補正を整理すると次のとおりである。
[補正事項1]
平成28年8月5日付けの手続補正書により補正された請求項1(以下「旧請求項1」という。)の「一対のコーナー切刃」及び「主切刃」の位置する箇所を、それぞれ「一対の角部の全体」及び「辺部の全体」とする。
[補正事項2]
旧請求項1の「主切刃」と「コーナー切刃」とが「前記主切刃は、上方に凸の形状であって、前記コーナー切刃よりも上方に位置しており、」とされたものを、「前記主切刃は、上方に凸の形状であって、その最低点が前記コーナー切刃の最高点よりも上方に位置しており、」とする。
イ 新規事項の追加の有無について
まず、補正事項2について検討する。
本願の願書に最初に添付された明細書(以下「当初明細書」という。また、本願の願書に最初に添付された明細書又は図面をまとめて「当初明細書等」という。)には「最低点」や「最高点」という用語は記載がされていない。また、「主切刃」と「コーナー切刃」の両方を含むインサートの全体切刃の高低を確認できるものとして、発明の一実施形態のインサート側面図として、【図4】及び【図5】が、発明の一変形例として【図9】が存在し、これら図面のうち、図4及び5には図中にLとした破線が看取できる。当該Lは「仮想平面L」と明細書中には記載され、頂部63が一方のコーナー寄りに位置しているとした【0036】にて記載がなされている。また、【0037】には、「頂部63は、コーナー切刃5の高さ位置と比較して、上方に例えば0.2~1.2mm高い位置に形成されている。」とした記載がなされている。加えて、図4、5の図示では、上方に凸形状とされた一対の直線部62(第1の直線部62a)、曲線部61、頂部63、主切刃6の部分が、いずれも仮想平面Lの線よりすべて上方に位置し、コーナー切刃5(5a)の引き出し線が指す部分と直線部62(62a)の部分は段差なく繋がっていて、コーナー切刃5はどの部分も仮想平面Lよりやや下方に位置した、全体に緩い凹曲線、あるいは一様な直線と見てとれる。
そうすると、これらの記載及び図面からの看取事項を総合すると、コーナー切刃5について、主切刃6との接続以外の箇所が高くされているとは確認できないし、主切刃6について、コーナー切刃5との接続以外の箇所が低くされているとは確認できない。この場合、コーナー切刃5で最も高い位置になるのは、主切刃6との接続点になり、主切刃6の最低点もこの接続点になることから、「その最低点が前記コーナー切刃の最高点よりも上方に位置」することはあり得ないことになる。
したがって、補正事項2は、当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものといえるから、当初明細書等の記載された事項の範囲内においてなされたものではない。
よって、補正事項2は、当初明細書等に記載した事項の範囲内においてなされたものではないから、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない。
ウ 新規事項の追加の有無についてのむすび
本件補正は、補正事項2を含むものであるから、他の補正事項について検討するまでもなく、本件補正は、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない。
(3)補正の却下の決定についてのむすび
以上検討したとおり、本件補正は、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていないものであるから、同法第159条第1項で読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
3 本願発明について
本件補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1-9に係る発明は、平成28年8月5日付け手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1-9に記載された事項により特定されるとおりのものであると認める。
そして、本願については、原査定の拒絶理由を検討してもその理由によって拒絶すべきものとすることはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
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