特許拒絶査定不服審判
2025-001766
粘性流体供給装置
- 審判番号
- 2025-001766
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2021-086677
- 請求日
- 2025年02月05日
- 審決日
- 2026年02月25日
- 公報発行日
- 2026年03月27日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】株式会社FUJI
- 【請求人代理人】弁理士法人ネクスト
- 審判長/審判官
- 審判長 丸山 高政
- 審判官 鈴木 圭一郎
- 審判官 行武 哲太郎
- 分類
- P18 .561-WY (H05K) / P18 .113-WY (H05K) / P18 .121-WY (H05K)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法17条の2第3項特許法53条1項特許法159条1項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第17条の2第3項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2021- 86677「粘性流体供給装置」拒絶査定不服審判事件〔令和 4年12月 6日出願公開、特開2022-179879、請求項の数(5)〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
原査定を取り消す。
本願の発明は、特許すべきものとする。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、令和3年5月24日の出願であって、その手続の経緯の概要は以下のとおりである。
令和 6年 8月30日付け 拒絶理由通知書
10月10日 意見書・手続補正書
11月20日付け 拒絶査定
令和 7年 2月 5日 審判請求書・手続補正書
以下では、令和6年11月20日付け拒絶査定を「原査定」といい、令和7年2月5日の手続補正書による補正を「本件補正」という。
第2 本件補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
本件補正を却下する。
[理由]
1 本件補正の内容
本件補正は、特許請求の範囲の請求項1及び2について、
「【請求項1】
粘性流体を貯留する貯留トレイが載置された載置台と、
前記載置台をスライド可能に保持する本体と、
前記載置台のスライドをロックするための載置台ロック機構と、
前記本体に配設されたハンドルと、
を備え、作業者が前記ハンドルを把持して持ち運ぶ粘性流体供給装置であって、
作業者が前記ハンドルを把持することで前記載置台ロック機構により前記載置台のスライドがロックされ、作業者が前記ハンドルを離すことで前記載置台ロック機構による前記載置台のスライドのロックが解除される粘性流体供給装置。
【請求項2】
作業機の装着台に前記粘性流体供給装置が装着された際に、前記粘性流体供給装置を前記装着台に対してロックするための供給装置ロック機構を備え、
作業者が前記ハンドルを把持することで前記載置台ロック機構により前記載置台のスライドがロックされるとともに、前記供給装置ロック機構による前記粘性流体供給装置の前記装着台へのロックが解除され、作業者が前記ハンドルを離すことで前記載置台ロック機構による前記載置台のスライドのロックが解除されるとともに、前記供給装置ロック機構により前記粘性流体供給装置が前記装着台に対してロックされる請求項1に記載の粘性流体供給装置。」
を、
「【請求項1】
粘性流体を貯留する貯留トレイが載置された載置台と、
前記載置台をスライド可能に保持する本体と、
前記載置台のスライドをロックするための載置台ロック機構と、
前記本体に配設されたハンドルと、
を備え、作業者が前記ハンドルを把持して持ち運ぶことが可能な粘性流体供給装置であって、
作業者が前記粘性流体供給装置を持ち運ぶときに前記ハンドルを把持することで前記載置台ロック機構により前記載置台のスライドがロックされ、作業者が前記粘性流体供給装置を持ち運び終わって前記ハンドルを離すことで前記載置台ロック機構による前記載置台のスライドのロックが解除される粘性流体供給装置。
【請求項2】
作業機の装着台に前記粘性流体供給装置が装着された際に、前記粘性流体供給装置を前記装着台に対してロックするための供給装置ロック機構を備え、
作業者が前記粘性流体供給装置を前記装着台から取り外すときに前記ハンドルを把持することで前記載置台ロック機構のメインワイヤが引っ張られることにより前記載置台のスライドがロックされるとともに、前記供給装置ロック機構の前記メインワイヤに接続された分岐ワイヤが引っ張られることにより前記粘性流体供給装置の前記装着台へのロックが解除され、作業者が前記粘性流体供給装置を前記装着台に載置するときに前記ハンドルを離すことで前記載置台ロック機構による前記載置台のスライドのロックが解除されるとともに、前記供給装置ロック機構により前記粘性流体供給装置が前記装着台に対してロックされる請求項1に記載の粘性流体供給装置。」
とする補正を含む。(下線部は、補正箇所である。)
2 新規事項について
(1)本件補正は次の補正事項を含むものである。
<補正事項>
請求項2の供給装置ロック機構に関して、「前記供給装置ロック機構による前記粘性流体供給装置の前記装着台へのロックが解除され、」と記載されているのを、「前記供給装置ロック機構の前記メインワイヤに接続された分岐ワイヤが引っ張られることにより前記粘性流体供給装置の前記装着台へのロックが解除され、」に補正する。
(2)前記(1)の補正事項に関連して、本願の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下、これらを「当初明細書等」という。)には、以下のとおり記載されている。なお、下線は当審において付した。
「【0025】
さらに、フラックスユニット30は、ユニットロック機構160と載置台ロック機構162とを備える。ユニットロック機構160は、操作レバー166とメインワイヤ168とロックアーム170とを有している。操作レバー166は、ハンドル152とともに、そのハンドル152の挿入方向側に上下方向に延びる姿勢で配設されている。操作レバー166は、上端部において概してL字型に屈曲しており、屈曲した先端は挿入方向に向って延び出している。そして、操作レバー166は、L字型に屈曲した角部において本体ベース100により揺動軸172を中心に揺動可能に支持されている。なお、操作レバー166は、コイルスプリング(図示省略)により挿入方向に向って付勢されている。このため、作業者がハンドル152を、操作レバー166とともに把持することで、操作レバー166が、コイルスプリングの弾性力に抗して引抜方向に向って揺動する。そして、作業者が、ハンドル152を、操作レバー166とともに離すことで、操作レバー166が、コイルスプリングの弾性力により挿入方向に向って揺動する。」
「【0029】
そして、作業者がハンドル152を、操作レバー166とともに把持することで、図6に示すように、操作レバー166が、コイルスプリングの弾性力に抗して引抜方向に揺動する。この際、メインワイヤ168の操作レバー166に固定されている端部が下方に向って引っ張られ、プーリ176により挿入方向に方向転換しているメインワイヤ168が引抜方向に引っ張られる。このため、ロックアーム170のL字型の先端が、コイルスプリングの弾性力に抗して上方に向って揺動することで、ロックアーム170のL字型の先端の掛止ロッド180への掛け止めが解除される。これにより、フラックスユニット30のフィーダ保持台82へのロックが解除されて、作業者が把持しているハンドル152を引抜方向に向って引っ張ることで、フラックスユニット30がフィーダ保持台82から取り外される。」
「【0052】
なお、上記実施例において、装着機16は、作業機の一例である。フラックスユニット30は、粘性流体供給装置の一例である。フィーダ保持台82は、装着台の一例である。本体ベース100は、本体の一例である。載置台112は、載置台の一例である。貯留トレイ122は、貯留トレイの一例である。ハンドル152は、ハンドルの一例である。ユニットロック機構160は、供給装置ロック機構の一例である。載置台ロック機構162は、載置台ロック機構の一例である。フラックスユニット230は、粘性流体供給装置の一例である。第1ハンドル232は、ハンドルの一例である。第2ハンドル234は、第2のハンドルの一例である。」
「【図6】
[図:0001432876000001.jpg]
」
(3)前記(1)の補正事項の「前記供給装置ロック機構の前記メインワイヤに接続された分岐ワイヤが引っ張られることにより前記粘性流体供給装置の前記装着台へのロックが解除され、」について、前記(2)で摘記した当初明細書等における記載に基づくと、「ユニットロック機構160」の「操作レバー166」(【0025】)が「引抜方向に揺動」すると、「メインワイヤ168」が「引っ張られ」、「ロックアーム170のL字型の先端の掛止ロッド180への掛け止めが解除」され、「フラックスユニット30のフィーダ保持台82へのロックが解除」(【0029】、図6)されることが当初明細書等に記載されているといえる。
ここで、当該「フラックスユニット30」、「ユニットロック機構160」及び「フィーダ保持台82」は、本件補正発明の「粘性流体供給装置」、「供給装置ロック機構」及び「装着台」に対応するものである(【0052】)。
しかしながら、「ユニットロック機構160」の「メインワイヤ」が引っ張られることにより「フラックスユニット30」の「フィーダ保持台82へのロックが解除」されることは記載されているものの、「ユニットロック機構160」の「メインワイヤに接続された分岐ワイヤ」が引っ張られることにより「フラックスユニット30」の「フィーダ保持台82へのロックが解除」されることは当初明細書等には記載も示唆もされていない。
したがって、本件補正は、当初明細書等に記載された事項の範囲内においてするものとはいえず、特許法17条の2第3項に規定する要件を満たしていない。
(4)以上のとおり、上記補正事項を含む本件補正は、特許法第17条の2第3項の規定に違反するものであり、同法第159条第1項で読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。
よって、前記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。
第3 本願発明について
本件補正は、前記第2のとおり却下されたので、本願の請求項1~5に係る発明は、令和6年10月10日の手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1~5に記載された事項により特定されるとおりのものと認める。
そして、本願については、原査定の拒絶理由を検討してもその理由によって拒絶すべきものとすることはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
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