特許拒絶査定不服審判
2025-003506
イベント情報配信システム、情報端末、配信方法、報知方法、プログラム
- 審判番号
- 2025-003506
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2020-164083
- 請求日
- 2025年03月04日
- 審決日
- 2025年07月01日
- 公報発行日
- 2025年07月25日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】パナソニックIPマネジメント株式会社
- 【請求人代理人】宗田 悟志
- 審判長/審判官
- 審判長 丸山 高政
- 審判官 松原 徳久
- 審判官 土居 仁士
- 分類
- P18 .121-WY (H04M) / P18 .561-WY (H04M)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法17条の2第3項特許法53条1項特許法159条1項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第17条の2第3項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2020-164083「イベント情報配信システム、情報端末、配信方法、報知方法、プログラム」拒絶査定不服審判事件〔令和 4年 4月 8日出願公開、特開2022- 56198、請求項の数(13)〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
原査定を取り消す。
本願の発明は、特許すべきものとする。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、令和2年9月29日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和 6年 4月 5日付け 拒絶理由通知書
5月29日 意見書・手続補正書
6月19日付け 拒絶理由通知書(最後)
9月25日 意見書・手続補正書
12月 4日付け 補正の却下の決定・拒絶査定
令和 7年 3月 4日 審判請求書・手続補正書
以下では、令和6年12月4日付け拒絶査定を「原査定」といい、令和7年3月4日の手続補正書による補正を「本件補正」という。
第2 本件補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
本件補正を却下する。
[理由]
1 本件補正の内容
本件補正は、特許請求の範囲の請求項1について、
「【請求項1】
複数の施設が集合した集合施設に関連するイベントであって、かつ予定日が未到来のイベントに関する設定情報を設定する設定部と、
前記施設に関連付けられた情報端末において、前記予定日に関連付けて前記イベントを報知させるために、前記設定情報を前記情報端末に配信する通信部とを備え、
前記設定部は、前記情報端末に対して、前記イベントの報知とは別に、前記イベントを前記予定日が到来する前に通知させる通知タイミングを設定し、
前記通信部は、前記通知タイミングに関する情報を前記情報端末に配信するイベント情報配信システム。」
を、
「【請求項1】
複数の施設が集合した集合施設に関連するイベントであって、かつ予定日が未到来のイベントに関する設定情報を設定する設定部と、
前記施設に関連付けられた情報端末において、前記予定日に関連付けて前記イベントを報知させるために、前記設定情報を前記情報端末に配信する通信部とを備え、
前記通信部が配信した前記設定情報における前記イベントは、前記施設において過去に発生した記録とともに同一の時間軸に関連付けたタイムライン画面により前記情報端末で報知され、
前記設定部は、前記情報端末に対して、前記イベントの報知とは別に、前記イベントを前記予定日が到来する前に通知させる通知タイミングを設定し、
前記通信部は、前記通知タイミングに関する情報を前記情報端末に配信して、前記情報端末において、前記タイムライン画面から切りかえたポップアップで前記イベントを表示させるイベント情報配信システム。」
とする補正を含む。(下線部は、補正箇所である。)
2 新規事項について
(1)本件補正は次の補正事項を含むものである。
<補正事項>
通信部に関して、「前記通知タイミングに関する情報を前記情報端末に配信する」と記載されているのを、「前記通知タイミングに関する情報を前記情報端末に配信して、前記情報端末において、前記タイムライン画面から切りかえたポップアップで前記イベントを表示させる」に補正する。
(2)前記(1)の補正事項に関連して、本願の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下、これらを「当初明細書等」という。)には、以下のとおり記載されている。なお、下線は当審において付した。
「【0033】
図5(a)-(b)は、端末装置600において表示されるさらに別の画面を示す。図5(a)は、投稿設定画面の上側部分であり、図5(b)は、投稿設定画面の下側部分である。投稿設定画面は、タイトル本文欄810、添付画像欄820、公開・終了日時欄830、未来配信設定欄840、通知設定欄850を含む。…(後略)…」
「【0035】
未来配信設定欄840は、集合施設100に関連するイベントの予定日が未到来である場合に、当該イベントの予定を配信するために使用される。未来配信について「設定する」のチェックボックスがチェックされるとイベントの予定が配信され、チェックボックスがチェックされなければイベントの予定が配信されない。また、未来配信について「設定する」のチェックボックスがチェックされると、イベント日時設定、リマインド1回目、2回目が展開される。イベント日時設定には、イベントの予定日時(以下、「予定日」ということもある)が指定される。未来配信「設定する」が選択状態の場合には、イベント日時設定の入力が必須である。
【0036】
リマインド1回目には、イベントを予定日が到来する前に通知させる1回目の通知タイミングが設定される。本実施例において「通知」とは、モニタ420にタイムライン画面を表示することである「報知」とは別に、モニタ420に画面を表示することを示す。…(後略)…
【0037】
通知設定欄850には、公開・リマインドの通知方法が設定される。公開・リマインドの通知方法は、例えば、LED(Light Emitting Diode)表示の有無、ポップアップの有無である。公開の通知方法を設定することは、施設親機400における報知の方法を設定することに相当する。
【0038】
図6は、端末装置600において表示されるさらに別の画面を示す。添付画像欄820において機能Bが選択された場合に1枚の画像のみが添付可能である。図1に戻る。端末装置600は、投稿設定画面に対するユーザからの操作を受けつけると、ネットワーク320経由でサーバ330に操作の内容を送信する。サーバ330の通信部700は、操作の内容を受信する。設定部712は、図5(a)-(b)、図6に対する操作の内容が含まれた設定情報を設定する。設定情報には、集合施設100に関連するイベントであって、かつ予定日が未到来のイベントに関する情報も含まれる。設定情報には、例えば、施設親機400に報知を終了させる終了タイミング、施設親機400における報知の方法、施設親機400に対して、イベントを予定日が到来する前に通知させる通知タイミングが含まれる。
【0039】
通信部700は、設定部712において設定された設定情報が含まれた信号(以下、これもまた「設定情報」という)を生成し、設定情報を施設親機400に送信する。…(後略)…」
「【0041】
(4)施設親機400における表示の動作
図2(b)に示される施設親機400の通信部450は、設定情報をサーバ330から受信する。制御部440は、通信部450において受信した設定情報をもとに、タイムライン画面を生成する。モニタ420は、制御部440において生成されたタイムライン画面を表示する。」
「【0047】
このように制御部440は、イベントと、施設110において過去に発生した記録とを同一の時間軸900に関連付けてモニタ420から報知する。…(中略)…また、設定情報においてLED表示あるいはポップアップ通知が設定されている場合、制御部440は、LED表示あるいはポップアップ通知を実行してもよい。」
「【0051】
図8(c)は、設定情報においてリマインドの通知が設定されている場合にモニタ420に表示される画面(以下、「通知画面」という)を示す。リマインドの通知が設定されている場合は、図5(b)のリマインド1回目、リマインド2回目が設定されている場合であり、これは、予定日が到来する前にイベントを通知する通知タイミングが設定情報に含まれている場合に相当する。図2(b)に示される施設親機400の設定部442は、通信部450が受信した設定情報に通知タイミングが含まれている場合、イベントの通知を設定する。一方、設定部442は、通信部450が受信した設定情報に通知タイミングが含まれていない場合、イベントの通知を設定しない。このように、設定部442は、通知タイミングにおけるイベントの通知の有無を設定する。制御部440は、設定部442がイベントの通知を設定した場合、通知タイミングが到来すると通知画面をモニタ420に表示する。」
「【図5】
[図:0001424527000001.jpg]
」
「【図8】
[図:0001424527000002.jpg]
」
(3)前記(1)の補正事項の「前記情報端末において、前記タイムライン画面から切りかえたポップアップで前記イベントを表示させる」について、前記(2)で摘記した当初明細書等における記載に基づくと、集合施設100に関連するイベントであって、かつ、予定日が未到来であるイベントの予定を配信する際に、リマインドの通知方法を設定することができ(【0035】~【0037】、【図5】)、通知方法にはポップアップが含まれ(【0037】、【図5】(b))、当該設定した通知方法が含まれる設定情報を受信した施設親機400は、ポップアップ通知を実行することができる(【0038】~【0039】、【0041】、【0047】)ため、施設親機400において、イベントが到来する前に通知(リマインド)を行う際に、ポップアップでイベントを表示(通知)することが、当初明細書等には記載されているといえる。(なお、【0051】には、【図8】(c)の通知画面がポップアップ通知であることは明記されていない。)
しかしながら、施設親機400のモニタ420において、ポップアップでイベントを表示(通知)する直前にタイムライン画面が表示されていて、タイムライン画面から切りかえてポップアップでイベントを表示(通知)することは、当初明細書等には記載も示唆もされていないし、ポップアップでイベントを表示(通知)する直前に、施設親機400のモニタ420にどのような画面が表示されているのかについてすら、記載も示唆もされていない。
加えて、仮に、ポップアップが、タイムライン画面から切りかえたものであるとすると、ポップアップでイベント表示される直前にタイムライン画面が表示される構成を必要とするところ、そのような構成としては、例えば、タイムライン画面が、施設親機400のモニタ420におけるホーム画面(基本画面)であり、特別な表示がなされていない場合には常にホーム画面が表示されている構成や、あるいは、通知タイミングが到来すると、タイムライン画面をいったん表示してからポップアップに切りかえてイベントを表示(通知)する構成が想定される。
しかしながら、このように想定される構成のうち、タイムライン画面をホーム画面とする構成については、当初明細書等におけるタイムライン画面を示す図8(a)、(b)に「戻る」アイコンが表示されており、一般的にホーム画面には「戻る」アイコンが表示されないから、当初明細書等においてタイムライン画面をホーム画面とする構成が想定されていないことは明らかであり、また、タイムライン画面をいったん表示してからポップアップに切りかえる構成についても、タイムライン画面をいったん表示する必要性がなく、ポップアップ表示の構成としては不自然であることは明らかである。
そうすると、タイムライン画面から切りかえたポップアップで表示する構成は、当初明細書等には記載も示唆もされておらず、当業者にとって自明でもなく、技術常識でもない。よって、そのような当初明細書等において想定されていないポップアップ表示や不自然なポップアップ表示を導入することとなる本件補正は、当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものと認められる。
したがって、本件補正は、当初明細書等に記載された事項の範囲内においてするものとはいえず、特許法17条の2第3項に規定する要件を満たしていない。
(4)以上のとおり、上記補正事項を含む本件補正は、特許法第17条の2第3項の規定に違反するものであり、同法第159条第1項で読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。
よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。
第3 本願発明について
本件補正は、前記第2のとおり却下されたので、本願の請求項1~13に係る発明は、令和6年5月29日の手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1~13に記載された事項により特定されるとおりのものである。
そして、本願については、原査定の拒絶理由を検討してもその理由によって拒絶すべきものとすることはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
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