特許拒絶査定不服審判
2017-001551
可撓性モジュラアセンブリ
- 審判番号
- 2017-001551
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2015-054195外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2017年02月02日
- 審決日
- 2018年01月05日
- 公報発行日
- 2018年07月27日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】フィリップス ライティング ホールディング ビー ヴィ
- 【請求人代理人】特許業務法人M&Sパートナーズ
- 分類
- P18 .121-Z (G09F)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第18条の2第1項、特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2015- 54195「可撓性モジュラアセンブリ」拒絶査定不服審判事件〔平成27年 9月17日出願公開、特開2015-165307〕について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
【理 由】
1 手続の経緯
本願は、平成21年(2009年)12月3日(パリ条約による優先権主張 外国庁受理 2008年12月9日、欧州特許庁)を国際出願日とする出願である特願2011-539161号(以下「原出願」という。)の一部を、平成27年(2015年)3月18日に新たな特許出願とした特願2015-54195号であって、平成28年1月27日付けで拒絶理由が通知され、同年4月28日付けで意見書が提出されるとともに手続補正がされたが、同年9月28日付け(送達 同年10月4日)で拒絶査定(以下「原査定」という。)がされ、これに対して、平成29年2月2日に拒絶査定不服審判の請求がなされ、同時に誤訳訂正書が提出されたものである。
なお、平成29年2月2日付け提出の誤訳訂正書に係る手続は、平成29年2月14日付け却下理由通知書に記載した理由によって、平成29年4月12日に、特許法第18条の2第1項の規定により手続却下の処分がなされ、その後、同規定による却下が確定した。
2 本願発明
上記1のとおり、平成29年2月2日付け提出の誤訳訂正書に係る手続は、その却下が確定したため、本願の請求項に係る発明は、平成28年4月28日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1ないし4に記載された事項により特定されるものと認められるところ、請求項1に係る発明は、次のものである(以下「本願発明」という。)。
「【請求項1】
第1の組の導電体を有する第1の電子テキスタイルと、
第2の組の導電体を有する第2の電子テキスタイルと、
前記第1の電子テキスタイル及び前記第2の電子テキスタイルを支持するテキスタイル支持材であって、第3の組の導電体を有する、テキスタイル支持材と、
前記第1の組の導電体を前記第3の組の導電体に及び/又は前記第2の組の導電体に結合する可撓性コネクタと、
を有し、
前記第1の電子テキスタイル及び前記第2の電子テキスタイルは電子部品を有する電気回路の一体部分である、可撓性モジュラアセンブリ。」
3 刊行物の記載
(1)原査定の拒絶の理由に引用された、原出願の優先日前に日本国内において頒布された刊行物である、特開2008-270740号公報(以下「引用文献」という。)には、以下の記載がある(下線は当審が付した。)。
ア 「【技術分野】
【0001】
本発明は、布製半導体素子のパッケージ(fabric type semiconductor device package)、その製造方法およびその取り付け方法に関する。」
イ 「【0028】
本発明に係る布製半導体素子のパッケージ101は、図1に示すように、織布と、織布上に導電材をパターニングして形成したリード部(lead)110を含む布製印刷回路基板100と、前記布製印刷回路基板100のリード部110と接続している電極部210を含む半導体素子200と、布製印刷回路基板100と半導体素子200とを密封する成形部(molding)300と、を有する。
【0029】
布製印刷回路基板100は、織布上に導電材をパターニングして形成されたリード部110を含む。リード部110は、織布上にマスクを利用して導電材を蒸着または塗布することで形成することができる。
【0030】
布製印刷回路基板100と半導体素子200とを、ワイヤボンディングで接続することができる。図1に示すように、布製印刷回路基板100のリード部110と、半導体素子200の電極部210とは、ワイヤ220を介して、即ち、ワイヤボンディングで接続している。また、布製印刷回路基板100のリード部110上に金属板を設けても良い。それにより、金属板と半導体素子の電極部とがワイヤボンディングで接続していても良い。
【0031】
布製印刷回路基板100と半導体素子200とはフリップチップ接続され得る。図2に示すように、布製印刷回路基板100のリード部110または半導体素子200の電極部210には突出部150が設けられている。それにより、半導体素子200)の電極部210と布製印刷回路基板100のリード部110とは突出部150によりフリップチップ接続され得る。
【0032】
布製印刷回路基板100に接続される半導体素子には、半導体チップ、受動素子、および、集積回路チップセットのうち1つ以上が含まれ得る。したがって、図3に示すように、多数の受動素子または集積回路チップセットなどを実装できるように、様々なリードパターンを有する布製印刷回路基板100´を用いることができる。」
ウ 「【0039】
図6は、図5に示したように、衣服500に分散して配置された布製半導体素子のパッケージ101,101´を電気的に接続する方法を示したものである。
【0040】
図6(a)を参照すると、導電性繊維400で縫って、布製半導体素子のパッケージ101,101´を衣服などに取り付けることができる。縫われた導電性繊維400の導電体401の一部が露出するように、レーザまたは刃物などで導電性繊維400の被膜を除去する。その後、露出している導電体401の部分と布製半導体素子のパッケージ101のリード部110とを導電性接着剤403で接続させる。また、同様に、布製半導体素子のパッケージ101に接続された導電体繊維400を別の布製半導体素子のパッケージ101´に接続させても良い。
【0041】
図6(b)を参照すると、リードパターン111が形成された別の布製印刷回路基板100´を用いて、各々の布製半導体素子のパッケージ101,101´を電気的に接続させることができる。まず、各々の布製半導体素子のパッケージ101,101´に形成されたリード部110,110´と、別の布製印刷回路基板100´に形成されたリードパターン111とを互いに接触させる。その後、互いに接触しているリードパターン111と、リード部110,110´とを、繊維405で縫う。それにより、衣服に取り付けられた各々の布製半導体素子のパッケージ101,101´は互いに電気的に接続される。
【0042】
このようにして、図5に示した各々の布製半導体素子のパッケージ101,101´は、導電性繊維400により電気的に接続されるだけでなく、衣服500に取り付けられる。」
エ 「【0050】
図8は、布製印刷回路基板で具現化される様々な受動素子の例を示したものである。半導体素子が搭載される布製印刷回路基板は16ピンパッド13、12ピンパッド15,17、ワイヤ21、インダクター23,25、蓄電器(capacitor)27,29,31、および、抵抗33などで具現化され得る。」
オ 図1、5ないし8は次のものである。
(2)引用発明
上記(1)によれば、引用文献には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。
「織布と、織布上に導電材をパターニングして形成したリード部(lead)110を含む布製印刷回路基板100と、前記布製印刷回路基板100のリード部110と接続している電極部210を含む半導体素子200と、布製印刷回路基板100と半導体素子200とを密封する成形部(molding)300と、を有する布製半導体素子のパッケージ101と、
布製半導体素子のパッケージ101,101´が導電性繊維400により電気的に接続されるだけでなく、取り付けられる衣服500からなり、
前記布製印刷回路基板100は、織布上に導電材をパターニングして形成されたリード部110を含み、
各々の布製半導体素子のパッケージ101,101´にはリード部110,110´が形成され、
前記布製印刷回路基板100と前記半導体素子200とを、ワイヤボンディングで接続し、
前記布製印刷回路基板100に接続される半導体素子には、半導体チップ、受動素子、および、集積回路チップセットのうち1つ以上が含まれ、
縫われた導電性繊維400の露出している導電体401の部分と布製半導体素子のパッケージ101のリード部110とを導電性接着剤403で接続させ、同様に、布製半導体素子のパッケージ101に接続された導電体繊維400を別の布製半導体素子のパッケージ101´に接続させることで布製半導体素子のパッケージ101、101´を電気的に接続して衣服500に分散して配置した、
衣服500。」
4 対比・判断
(1)本願発明と引用発明とを対比する。
ア 引用発明の「布製半導体素子のパッケージ101」は、「織布と、織布上に導電材をパターニングして形成したリード部(lead)を含む布製印刷回路基板と、前記布製印刷回路基板のリード部と接続している電極部を含む半導体素子と、布製印刷回路基板と半導体素子とを密封する成形部(molding)と、を有する」ものであるから、「導電材をパターニングして形成したリード部(lead)」を有する「布製半導体素子のパッケージ101」であるといえる。
したがって、引用発明の「織布と、織布上に導電材をパターニングして形成したリード部(lead)を含む布製印刷回路基板と、前記布製印刷回路基板のリード部と接続している電極部を含む半導体素子と、布製印刷回路基板と半導体素子とを密封する成形部(molding)と、を有する」「布製半導体素子のパッケージ101」は、本願発明1の「第1の組の導電体を有する第1の電子テキスタイル」に相当する。
また、引用発明の「各々の布製半導体素子のパッケージ101,101´にはリード部110,110´が形成され」る「布製半導体素子のパッケージ101´」は、「リード部110´」を有する「布製半導体素子のパッケージ101´であるといえる。
したがって、引用発明の「各々の布製半導体素子のパッケージ101,101´にはリード部110,110´が形成され」る「布製半導体素子のパッケージ101´」は、本願発明1の「第2の組の導電体を有する第2の電子テキスタイル」に相当する。
イ 「布製半導体素子のパッケージ101、101´を電気的に接続して」「分散して配置した」「衣服500」は、布製半導体素子のパッケージ101、101´を支持する導電体を有するテキスタイル支持材であり、また、「布製半導体素子のパッケージ101,101´が」「電気的に接続されるだけでなく、取り付けられる衣服500」の「導電性繊維400」は、衣服500が有する導電体であるから、本願発明1の「第3の組の導電体」に相当し、引用発明の「布製半導体素子のパッケージ101、101´を」「縫われた導電性繊維400の露出している導電体401の部分と布製半導体素子のパッケージ101のリード部110とを導電性接着剤403で接続させ、同様に、布製半導体素子のパッケージ101に接続された導電体繊維400を別の布製半導体素子のパッケージ101´に接続させることで」「電気的に接続して」「分散して配置した」「衣服500」であって「導電性繊維400」を有する「衣服500」は、本願発明1の「前記第1の電子テキスタイル及び前記第2の電子テキスタイルを支持するテキスタイル支持材であって、第3の組の導電体を有する、テキスタイル支持材」に相当する。
ウ 引用発明の「縫われた導電性繊維400の露出している導電体401の部分と布製半導体素子のパッケージ101のリード部110とを」「接続」する「導電性接着剤403」と、本願発明1の「前記第1の組の導電体を前記第3の組の導電体に及び/又は前記第2の組の導電体に結合する可撓性コネクタ」とは、「前記第1の組の導電体を前記第3の組の導電体に結合する」部材である点で一致する。
エ 「半導体素子」は電子部品であり、また、「織布上に導電材をパターニングして形成したリード部(lead)を含」み、前記「リード部と接続している電極部を含む半導体素子と」を有する布製半導体素子のパッケージ101、101´は、電子部品を有する電気回路の一体部分であるから、引用発明の「織布上に導電材をパターニングして形成したリード部(lead)を含む布製印刷回路基板と、前記布製印刷回路基板のリード部と接続している電極部を含む半導体素子と」「を有する」「布製半導体素子のパッケージ101、101´」は、本願発明1の「電子部品を有する電気回路の一体部分である」「前記第1の電子テキスタイル及び前記第2の電子テキスタイル」に相当する。
オ 上記アないしエでの検討を踏まえると、引用発明の「衣服500」は、本願発明1の「可撓性モジュラアセンブリ」に相当する。
カ 上記アないしオによれば、両者は
「第1の組の導電体を有する第1の電子テキスタイルと、
第2の組の導電体を有する第2の電子テキスタイルと、
前記第1の電子テキスタイル及び前記第2の電子テキスタイルを支持するテキスタイル支持材であって、第3の組の導電体を有する、テキスタイル支持材と、
前記第1の組の導電体を前記第3の組の導電体に結合する部材と、
を有し、
前記第1の電子テキスタイル及び前記第2の電子テキスタイルは電子部品を有する電気回路の一体部分である、可撓性モジュラアセンブリ。」
である点で一致し、下記点で相違する。
・第1の組の導電体を第3の組の導電体に結合する部材が、本願発明1では、「可撓性コネクタ」であるのに対して、引用発明はこのように特定されない点(以下「相違点」という。)。
(2)判断
上記相違点について検討する。
引用発明は、「縫われた導電性繊維400の露出している導電体401の部分」と「布製半導体素子のパッケージ101のリード部110」とを接続するに際して「導電性接着剤403」を用いているが、電気的に接続する手段として導電性接着剤もコネクタも本願優先日前に周知の常套手段であり、かつ、接続する「縫われた導電性繊維400」と「布製半導体素子」はいずれも「可撓性」の部材であるから、上記「導電体401」と「リード部110」を接続するに際して、導電性接着剤に代えて上記の周知の可撓性コネクタを採用することは当業者が必要に応じて適宜なし得る設計的事項にすぎず、これによる効果も予測される範囲を超えるものでなく、上記相違点は格別なものとは認められない。
(3)審判請求書における請求人の主張について
審判請求書における請求人の主張は、平成29年2月2日付け提出の誤訳訂正書に基づいて訂正された請求項に基づくものであるところ、当該訂正は、上記1のとおり、平成29年2月14日付け却下理由通知書に記載した理由によって、平成29年4月12日に、特許法第18条の2第1項の規定により却下されたため、採用できない。
(4)小括
以上の検討によれば、本願発明1は、引用発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。
5 むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、他の請求項について検討するまでもなく、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないものである。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。
J-PlatPat 審決検索を開く
2017-001551