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特許異議申立

2016-700054

バーチャルリアリティ環境生成装置及びコントローラ装置

審判番号
2016-700054
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2013-062836外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2016年01月22日
審決日
2017年03月08日
公報発行日
2017年07月28日
結論
請求成立(取消)
当事者
審判長/審判官
分類
P1651.853-ZDA(G06F) / P1651.113-ZDA(G06F) / P1651.121-ZDA(G06F)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条1項3号特許法29条2項特許法113条2号
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第1項第3号、特許法第120条の5第2項第3号、特許法第29条第2項、特許法第36条第6項第1号、特許法第36条第6項第2号、特許法第36条第4項第1号
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

特許第5750717号発明「バーチャルリアリティ環境生成装置及びコントローラ装置」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

【結 論】 特許第5750717号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔30、31〕について訂正することを認める。 特許第5750717号の請求項1ないし12、15ないし25、27、30、31に係る特許を取り消す。 同請求項13、14、26、28、29に係る特許を維持する。

理由

【理 由】 第1.手続の経緯 特許第5750717号の請求項1-31に係る特許についての出願は、平成20年9月12日(国内優先権主張 平成19年9月14日)に出願された特願2009-532251号の一部を平成25年3月25日に新たな特許出願としたものであって、平成27年5月29日にその特許権の設定登録がされ、その特許に対し、特許異議申立人である日本電信電話株式会社(以下、「申立人」という)により特許異議の申立てがされ、平成28年4月19日付けの取消理由通知に対し、平成28年6月21日付けで意見書の提出及び訂正の請求がされ、その意見書及び訂正の請求に対し、申立人から平成28年7月27日付けで意見書が提出され、さらに、平成28年11月24日付けで取消理由通知(決定の予告)がされたものである。この取消理由通知(決定の予告)に対し、特許権者から何ら応答はなかった。 第2.訂正の適否 1.訂正の内容 平成28年6月21日付けの訂正請求は、特許請求の範囲の請求項30の記載を次のように訂正しようとするものである。 「【請求項30】 錯触力覚情報、触力覚情報、視覚情報、聴覚情報の少なくとも一つを表示するバーチャル物体の表示体と、 前記表示体の、刺激を備える物理量、運動量、コンテンツの少なくとも一つの情報から誘起される非線形感覚特性を備える錯触力覚によって、(1)バーチャル物体の感覚情報を提示する、及び/又は、(2)前記バーチャル物体による身体的反応を引き起こす錯触力覚インターフェース装置と を備えるバーチャル物体表示装置。」 2.訂正の目的の適否、新規事項の有無、一群の請求項及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否 この訂正は、訂正前の請求項30における「前記表示体に設けられ、刺激を備える物理量、運動量、コンテンツの少なくとも一つの情報」を「前記表示体の、刺激を備える物理量、運動量、コンテンツの少なくとも一つの情報」と訂正するものであり、明瞭でない記載の釈明を目的とする訂正であって、新規事項の追加に該当せず、事実上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 また、訂正前の請求項30、31は、請求項31が訂正の請求の対象である請求項30の記載を引用する関係にあるから、訂正前において一群の請求項に該当するものである。したがって、訂正の請求は、一群の請求項ごとにされたものである。 3.小括 したがって、上記訂正請求による訂正は特許法第120条の5第2項第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項で準用する同法第126条第4項から第6項までの規定に適合するので、訂正後の請求項30、31についての訂正を認める。 第3.特許異議の申立てについて 1.本件発明 特許第5750717号の請求項1-31に係る発明(以下、それぞれ、「本件発明1」、「本件発明2」、・・・、「本件発明31」という。また、これらをまとめて「本件発明」ということがある。)は、平成28年6月21日付け訂正請求により訂正された特許請求の範囲の請求項1-31に記載された事項により特定される次のとおりのものである。 「【請求項1】 錯触力覚デバイス、触力覚デバイス、実物体、表示体の少なくとも一つと、 錯触力覚インターフェースと、を備え、 前記錯触力覚インターフェースは、 (1)前記錯触力覚デバイス、前記触力覚デバイス、前記実物体、前記表示体の少なくとも一つの、刺激を備える物理量、及び/又は運動量、及び/又はコンテンツの情報から、及び/又は (2)前記錯触力覚デバイス、前記触力覚デバイス、前記実物体、前記表示体の少なくとも一つへの操作情報から、 誘起される非線形感覚特性を備える錯触力覚によって、 (1)バーチャル物体の感覚情報、及び/又は、操作感又は操作感覚を提示する、及び/又は、 (2)前記バーチャル物体による身体的反応を引き起こす ことを特徴とする情報処理装置。 【請求項2】 錯触力覚デバイス、触力覚デバイス、実物体、表示体の少なくとも一つと、 錯触力覚インターフェースと、を備え、 前記錯触力覚インターフェースは、 (1)前記錯触力覚デバイス、前記触力覚デバイス、前記実物体、前記表示体の少なくとも一つの、刺激を備える物理量、及び/又は運動量、及び/又はコンテンツの情報から、及び/又は (2)前記錯触力覚デバイス、前記触力覚デバイス、前記実物体、前記表示体の少なくとも一つへの操作情報から、 誘起される非線形感覚特性を備える錯触力覚によって、 (1)バーチャル物体の感覚情報、及び/又は、操作感又は操作感覚を提示する、及び/又は (2)前記バーチャル物体による身体的反応を引き起こし、ここで、 前記バーチャル物体の感覚情報、及び/又は、操作感又は操作感覚は、 (1)物理的には存在していない力感覚、及び/又は (2)物理量とは異なる力感覚、及び/又は (3)心理的感覚、及び/又は (4)身体的感覚 を備えることを特徴とする情報処理装置。 【請求項3】 錯触力覚デバイス、触力覚デバイス、実物体、表示体の少なくとも一つと、 錯触力覚インターフェースと、 センサーと、を備え、 前記錯触力覚インターフェースは、 (1)前記錯触力覚デバイス、前記触力覚デバイス、前記実物体、前記表示体の少なくとも一つの、刺激を備える物理量、及び/又は運動量、及び/又はコンテンツの情報から、及び/又は (2)前記錯触力覚デバイス、前記触力覚デバイス、前記実物体、前記表示体の少なくとも一つへの操作情報から、 誘起される非線形感覚特性を備える錯触力覚によって、 (1)バーチャル物体の感覚情報、及び/又は、操作感又は操作感覚を提示する、及び/又は (2)前記バーチャル物体による身体的反応を引き起こし、ここで 前記バーチャル物体の感覚情報、及び/又は、操作感又は操作感覚は、 (1)前記センサーによって測定された、前記錯触力覚デバイス、前記触力覚デバイス、前記実物体、及び前記表示体の少なくとも一つの動き、 (2)前記センサーによって測定された、前記錯触力覚デバイス、前記触力覚デバイス、前記実物体、及び前記表示体の少なくとも一つとの接触、 (3)前記センサーによって測定された、前記錯触力覚デバイス、前記触力覚デバイス、前記実物体、及び前記表示体の少なくとも一つへの把持、 (4)前記センサーによって測定された、前記錯触力覚デバイス、前記触力覚デバイス、前記実物体、及び前記表示体の少なくとも一つとの接触情報、 (5)前記センサーによって測定された、前記錯触力覚デバイス、前記触力覚デバイス、前記実物体、及び前記表示体の少なくとも一つへの把持情報、 (6)前記センサーによって測定された、指及び/又は掌及び/又は身体部位の動き、 (7)前記センサーによって測定された、位置及び速度の少なくとも一つの変化量 の少なくとも一つに基づいて提示されることを特徴とする情報処理装置。 【請求項4】 錯触力覚デバイス、触力覚デバイス、実物体、表示体の少なくとも一つと、 錯触力覚インターフェースと、を備え、 前記錯触力覚インターフェースは、 (1)前記錯触力覚デバイス、前記触力覚デバイス、前記実物体、前記表示体の少なくとも一つ、刺激を備える物理量、及び/又は運動量、及び/又はコンテンツの情報から、及び/又は (2)前記錯触力覚デバイス、前記触力覚デバイス、前記実物体、前記表示体の少なくとも一つへの操作情報から、 誘起される非線形感覚特性を備える錯触力覚によって、 (1)バーチャル物体の感覚情報、及び/又は、操作感又は操作感覚を提示する、及び/又は (2)前記バーチャル物体による身体的反応を引き起こし、ここで 前記バーチャル物体の感覚情報、及び/又は、操作感又は操作感覚は、 (1)前記バーチャル物体の存在の感覚、 (2)摩擦感覚、 (3)粗さ感覚、 (4)形状感覚、 (5)質感、 (6)動きに対する加速度感覚 の少なくとも一つの感覚を備えることを特徴とする情報処理装置。 【請求項5】 錯触力覚デバイス、触力覚デバイス、実物体、表示体の少なくとも一つと、 錯触力覚インターフェースと、を備え、 前記錯触力覚インターフェースは、 (1)前記錯触力覚デバイス、前記触力覚デバイス、前記実物体、前記表示体の少なくとも一つの、刺激を備える物理量、及び/又は運動量、及び/又はコンテンツの情報から、及び/又は (2)前記錯触力覚デバイス、前記触力覚デバイス、前記実物体、前記表示体の少なくとも一つへの操作情報から、 誘起される非線形感覚特性を備える錯触力覚によって、 (1)バーチャル物体の感覚情報、及び/又は、操作感又は操作感覚を提示する、及び/又は (2)前記バーチャル物体による身体的反応を引き起こし、ここで 前記バーチャル物体の感覚情報、及び/又は、操作感又は操作感覚は、 (1)目的の方向である正又は負の方向感覚、 (2)目的の方向とは異なる方向感覚、 (3)加速度による加速感覚、 の少なくとも一つの感覚を備えることを特徴とする情報処理装置。 【請求項6】 錯触力覚デバイス、触力覚デバイス、実物体、表示体の少なくとも一つと、 錯触力覚インターフェースと、を備え、 前記錯触力覚インターフェースは、 (1)前記錯触力覚デバイス、前記触力覚デバイス、前記実物体、前記表示体の少なくとも一つの、刺激を備える物理量、及び/又は運動量、及び/又はコンテンツの情報から、及び/又は (2)前記錯触力覚デバイス、前記触力覚デバイス、前記実物体、前記表示体の少なくとも一つへの操作情報から、 誘起される非線形感覚特性を備える錯触力覚によって、 (1)バーチャル物体の感覚情報、及び/又は、操作感又は操作感覚を提示する、及び/又は (2)前記バーチャル物体による身体的反応を引き起こし、ここで 前記バーチャル物体の感覚情報、及び/又は、操作感又は操作感覚の提示は、 (1)前記バーチャル物体が仮想面上及び/又は仮想面内に存在しない時に押し戻す感覚を提示せず、一方、前記バーチャル物体が仮想面上及び/又は仮想面内に存在する時に押し戻す感覚を提示すること、 (2)前記バーチャル物体が仮想面上及び/又は仮想面内に存在しない時に抗力感覚を提示せず、一方、前記バーチャル物体が仮想面上及び/又は仮想面内に存在する時に抗力感覚を提示すること、 (3)前記バーチャル物体を移動させた際に生じる方向に加速度感覚を提示すること、 (4)前記バーチャル物体との接触を検出し、変形、及び/又は、指先及び/又は身体部位に伝わる反力の計算による加速感覚を提示すること の少なくとも一つを含むことを特徴とする情報処理装置。 【請求項7】 錯触力覚デバイス、触力覚デバイス、実物体、表示体の少なくとも一つと、 錯触力覚インターフェースと、を備え、 前記錯触力覚インターフェースは、 (1)前記錯触力覚デバイス、前記触力覚デバイス、前記実物体、前記表示体の少なくとも一つの、刺激を備える物理量、及び/又は運動量、及び/又はコンテンツの情報から、及び/又は (2)前記錯触力覚デバイス、前記触力覚デバイス、前記実物体、前記表示体の少なくとも一つへの操作情報から、 誘起される非線形感覚特性を備える錯触力覚によって、 (1)バーチャル物体の感覚情報、及び/又は、操作感又は操作感覚を提示する、及び/又は (2)前記バーチャル物体による身体的反応を引き起こし、ここで 前記バーチャル物体の感覚情報、及び/又は、操作感又は操作感覚は、 (1)振動、力、トルクの少なくとも一つの物理量に対して閾値、感覚特性、応答特性の少なくとも一つ、及び/又は、 (2)前記錯触力覚デバイス、前記触力覚デバイス、前記実物体、前記表示体の少なくとも一つのヒステリシス特性及び/又は非線形特性 に基づいて提示されることを特徴とする情報処理装置。 【請求項8】 錯触力覚デバイス、触力覚デバイス、実物体、表示体の少なくとも一つと、 錯触力覚インターフェースと、を備え、 前記錯触力覚インターフェースは、 (1)前記錯触力覚デバイス、前記触力覚デバイス、前記実物体、前記表示体の少なくとも一つの、刺激を備える物理量、及び/又は運動量、及び/又はコンテンツの情報から、及び/又は (2)前記錯触力覚デバイス、前記触力覚デバイス、前記実物体、前記表示体の少なくとも一つへの操作情報から、 誘起される非線形感覚特性を備える錯触力覚によって、 (1)バーチャル物体の感覚情報、及び/又は、操作感又は操作感覚を提示する、及び/又は (2)前記バーチャル物体による身体的反応を引き起こし、ここで 前記バーチャル物体の感覚情報、及び/又は、操作感又は操作感覚は、 (1)前記バーチャル物体の押込み情報、及び/又は、 (2)前記バーチャル物体の引っ張り情報、及び/又は、 (3)前記バーチャル物体の反力情報 を備えることを特徴とする情報処理装置。 【請求項9】 錯触力覚デバイス、触力覚デバイス、実物体、表示体の少なくとも一つと、 錯触力覚インターフェースと、を備え、 前記錯触力覚インターフェースは、 (1)前記錯触力覚デバイス、前記触力覚デバイス、前記実物体、前記表示体の少なくとも一つの、刺激を備える物理量、及び/又は運動量、及び/又はコンテンツの情報から、及び/又は (2)前記錯触力覚デバイス、前記触力覚デバイス、前記実物体、前記表示体の少なくとも一つへの操作情報から、 誘起される非線形感覚特性を備える錯触力覚によって、 (1)バーチャル物体の感覚情報、及び/又は、操作感又は操作感覚を提示する、及び/又は (2)前記バーチャル物体による身体的反応を引き起こし、ここで 前記バーチャル物体の感覚情報、及び/又は、操作感又は操作感覚は、 前記錯触力覚デバイス、前記触力覚デバイス、前記実物体、前記表示体の少なくとも一つを把持し及び/又は触れながらバーチャルな感触を付加した複合感覚を備えることを特徴とする情報処理装置。 【請求項10】 錯触力覚デバイス、触力覚デバイス、実物体、表示体の少なくとも一つと、 錯触力覚インターフェースと、を備え、 前記錯触力覚インターフェースは、 (1)前記錯触力覚デバイス、前記触力覚デバイス、前記実物体、前記表示体の少なくとも一つの、刺激を備える物理量、及び/又は運動量、及び/又はコンテンツの情報から、及び/又は (2)前記錯触力覚デバイス、前記触力覚デバイス、前記実物体、前記表示体の少なくとも一つへの操作情報から、 誘起される非線形感覚特性を備える錯触力覚によって、 (1)バーチャル物体の感覚情報、及び/又は、操作感又は操作感覚を提示する、及び/又は (2)前記バーチャル物体による身体的反応を引き起こし、ここで 前記バーチャル物体の感覚情報、及び/又は、操作感又は操作感覚は、 (1)感度の差を用いること、 (2)加減速パターンの制御を用いること、 (3)筋肉が引っ張られるとその直後に筋肉が強く収縮するヒステリシスを用いること、 (4)反射を用いること、 (5)筋反射を用いること、 (6)無自覚的な反応を用いること、 (7)印加電圧で特性が変わる粘弾性材料を用いること、 (8)皮膚の物理特性を疑似的に変えること、 (9)応力特性が非線形であることを用いること、 (10)印加電圧によって応力―歪特性を非線形に制御すること、 の少なくとも一つによって得られることを特徴とする情報処理装置。 【請求項11】 錯触力覚デバイス、触力覚デバイス、実物体、表示体の少なくとも一つと、 錯触力覚インターフェースと、を備え、 前記錯触力覚インターフェースは、 (1)前記錯触力覚デバイス、前記触力覚デバイス、前記実物体、前記表示体の少なくとも一つの、刺激を備える物理量、及び/又は運動量、及び/又はコンテンツの情報から、及び/又は (2)前記錯触力覚デバイス、前記触力覚デバイス、前記実物体、前記表示体の少なくとも一つへの操作情報から、 誘起される非線形感覚特性を備える錯触力覚によって、 (1)バーチャル物体の感覚情報、及び/又は、操作感又は操作感覚を提示する、及び/又は (2)前記バーチャル物体による身体的反応を引き起こし、ここで 前記バーチャル物体の感覚情報、及び/又は、操作感又は操作感覚は、 (1)異なる材質の不均質な配置、 (2)質感パラメタの制御、 (3)抗力の振動的な変化、 (4)粘弾性特性の時間的変化、 (5)比例ゲイン、積分ゲイン、微分ゲインの制御、 (6)位相パターン、及び/又はモータフィードバック、及び/又はパルスによる位置制御、 (7)回転速度及び/又は位相同期の制御、 (8)初期位相の遅延、 (9)印加電圧で特性が変わる材料、 (10)伝達特性の可変、 (11)皮膚の物理特性の可変、 (12)発振回路の使用、 (13)位相遅れの変化、 (14)複数ユニットの位相関係の調整、 (15)互いに異なる、偏心錘の重さ及び/又は形状の使用、 (16)パラメタのフィードバック可能な設定、 (17)異なる振幅及び/又は異なる周波数及び/又は異なる加減速の使用、 (18)加速度パターンの生成、 (19)粘弾性変形材料を通して伝わる力の非線形な伝達 の少なくとも一つの物理的な特性により得られることを特徴とする情報処理装置。 【請求項12】 錯触力覚デバイス、触力覚デバイス、実物体、表示体の少なくとも一つと、 錯触力覚インターフェースと、 センサーと、を備え、 前記錯触力覚インターフェースは、 (1)前記錯触力覚デバイス、前記触力覚デバイス、前記実物体、前記表示体の少なくとも一つの、刺激を備える物理量、及び/又は運動量、及び/又はコンテンツの情報から、及び/又は (2)前記錯触力覚デバイス、前記触力覚デバイス、前記実物体、前記表示体の少なくとも一つへの操作情報から、 誘起される非線形感覚特性を備える錯触力覚によって、 (1)バーチャル物体の感覚情報、及び/又は、操作感又は操作感覚を提示する、及び/又は (2)前記バーチャル物体による身体的反応を引き起こし、ここで 前記バーチャル物体の感覚情報、及び/又は、操作感又は操作感覚は、 前記センサーによって測定されたジェスチャー、及び/又は手をかざす動作に基づいて提示されることを特徴とする情報処理装置。 【請求項13】 前記錯触力覚の特性情報を基に錯触力覚誘起関数を生成する錯触力覚誘起関数生成装置をさらに備えることを特徴とする請求項1から12のいずれか1項記載の情報処理装置。 【請求項14】 前記錯触力覚誘起関数生成装置は、ユーザ特性、位置情報、姿勢情報、加速度情報、圧力情報、生理情報の少なくとも一つに基づいて、補正及び/又は学習された補正情報及び/又は学習情報を作成し、 前記補正情報及び学習情報は、 (1)ユーザの個人差を補正する感覚特性及び/又は感覚閾値を備える補正情報、 (2)各ユーザの応答特性を備える補正情報、 (3)各ユーザの錯触力覚に関する等感レベル曲線から求められた補正情報、 (4)錯触力覚誘起関数と各ユーザの錯触力覚感覚特性より得られた個人差を示す補正情報、 (5)ユーザの反応情報及び/又は行動情報を備える学習情報、 (6)能動的学習及び/又は無自覚的学習を備える学習情報、 (7)感覚の鈍化を備える学習情報、 (8)バイオフィードバックを備える学習情報 の少なくとも一つを備えることを特徴とする請求項13記載の情報処理装置。 【請求項15】 前記錯触力覚インターフェースは、身体の少なくとも一部に装着する装着部及び/又は把持部を備えることを特徴とする請求項1から12のいずれか1項に記載の情報処理装置。 【請求項16】 複数の偏心回転子、伸縮材、粘弾性材料、ヒステリシス応力特性材料の少なくとも一つをさらに備え、 前記バーチャル物体の感覚情報、及び/又は、操作感又は操作感覚は、 前記偏心回転子、前記伸縮材、前記粘弾性材料、前記ヒステリシス応力特性材料の少なくとも一つを用いることにより提示されることを特徴とする請求項1から12のいずれか1項に記載の情報処理装置。 【請求項17】 前記バーチャル物体の感覚情報及び/又は、操作感又は操作感覚は、物理的には存在していない力感覚、及び/又は、物理量とは異なる力感覚を備え、 前記力感覚の提示は、 (1)重力に逆らってインターフェース装置を持った腕が持ち上がる感覚を提示すること、 (2)前記インターフェース装置が持ちあがる感覚を提示すること、 (3)滑らかな感覚を提示すること、 (4)定速度回転でありながら加減速機構と同じような錯触力覚を提示すること、 (5)連続的な加速感を提示すること、 (6)バーチャル物体やゲームのキャラクタに触覚的に触れる感覚を提示すること、 (7)コンテンツ内のシーンやストーリに合わせてバーチャルコントローラを自在に変形・変化させる感覚を提示すること、 (8)一方向に連続的な力感覚を提示すること、 (9)バーチャル物体の可触化感覚を提示すること、 (10)弾力感、粘性感を感じながらバーチャル物体を変形・移動する感覚を提示すること、 (11)外部から押された感覚を提示すること、 (12)一定方向に力が働く感覚を提示すること、 (13)一定方向への連続的な力感覚を提示すること、 (14)強い・弱い刺激を提示した方向に連続的な力感覚を提示すること、 (15)一定方向に連続的な並進力感覚を提示すること、 (16)断続的な力の方向とは反対方向に連続的な力感覚を提示すること、 (17)目的の方向である負の方向に並進的な力感覚やトルク感覚を連続的に提示すること、 (18)任意の方向に自在に力感覚を提示すること、 (19)慣れ及び/又は鈍化が防止されるように刺激の強度、周期、方向に揺らぎを与えることによって感覚を提示すること、 (20)膨張感覚、圧縮・圧迫感覚を提示すること、 (21)バーチャルコントローラの存在感覚、感触、ボタン操作感覚を提示すること、 (22)ボタンを押した時、押し返される反力感覚を提示すること、 (23)前記バーチャルコントローラを個人の掌に合わせた形状及び/又は変形の感覚を提示すること、 (24)前記バーチャルコントローラをコンテンツに合わせた形状に形成した感覚及び/又はストーリ展開に合わせた形状変形の感覚を提示すること、 (25)前記バーチャルコントローラの重さや慣性力を生成する感覚を提示すること、 (26)VR空間内にバーチャルボタンを配置した前記バーチャルコントローラの感覚を提示すること、 (27)並進的な及び/又は回転的な錯触力覚の感覚を提示すること、 (28)クリック感を提示すること、 の少なくとも一つを備えることを特徴とする請求項1から12のいずれか1項に記載の情報処理装置。 【請求項18】 前記バーチャルコントローラの情報は、ゲームソフト内に内包されるか、または、ネットワークを介してアイテムとして配布されることを特徴とする請求項17記載の情報処理装置。 【請求項19】 前記錯触力覚は、 (1)人の身体に印加される、前記錯触力覚デバイス、前記触力覚デバイス、前記実物体、前記表示体の少なくとも一つの情報と、人の身体が感知する感覚量との関係が非線形特性であること、 (2)人の身体に印加される、前記錯触力覚デバイス、前記触力覚デバイス、前記実物体、前記表示体の少なくとも一つの情報と、人の身体が感知する感覚量との関係がヒステリシス特性であること、 の少なくとも一つを備えることを特徴とする請求項1から12のいずれか1項に記載の情報処理装置。 【請求項20】 前記錯触力覚デバイス、前記触力覚デバイス、前記実物体、前記表示体の少なくとも一つの情報は、 筋肉の緊張状態、身体的状態、生理的状態、心理的状態、呼吸、姿勢、神経発火状態の少なくとも一つの情報を用いることを特徴とする請求項1から12のいずれか1項に記載の情報処理装置。 【請求項21】 前記錯触力覚デバイス、前記触力覚デバイス、前記実物体、前記表示体の少なくとも一つの情報は、刺激を備える物理量、運動量の少なくとも一つであり、 前記錯触力覚インターフェースは、 (1)人の身体に印加される前記情報と人の身体が感知する感覚量との関係を表す感覚特性の曲線上の複数の動作点を利用して、複数の動作点に対応した複数の該情報を生成すること、 (2)人の身体に印加される前記情報と人の身体が感知する感覚量との関係を表す感覚特性の曲線上の各動作点における動作継続時間を設定した該情報を生成すること、 (3)前記感覚量の積分値がゼロとならないような該情報を生成すること、 の少なくとも一つを備えることを特徴とする請求項1から12のいずれか1項に記載の情報処理装置。 【請求項22】 前記バーチャル物体の感覚情報、及び/又は、操作感又は操作感覚、及び/又は、前記身体的反応は、 (1)前記バーチャル物体に対する押込み、及び/又は、 (2)前記バーチャル物体に対する引っ張り、及び/又は、 (3)前記バーチャル物体に対する反力 を備えることを特徴とする請求項1から12のいずれか1項に記載の情報処理装置。 【請求項23】 前記バーチャル物体は、 移動、回転、拡大、縮小、変形の少なくとも一つの動きを備えることを特徴とする請求項1から12のいずれか1項に記載の情報処理装置。 【請求項24】 前記バーチャル物体の感覚情報、及び/又は、操作感又は操作感覚は、前記バーチャル物体の操作者に提示され、前記身体的反応は、前記バーチャル物体の前記操作者に引き起こされることを特徴とする請求項1から12のいずれか1項に記載の情報処理装置。 【請求項25】 前記錯触力覚インターフェースは、コンテンツを作成し、該作成されたコンテンツは、センシング情報を基にCGを作成して、CGを表示することを特徴とする請求項1から12のいずれか1項に記載の情報処理装置。 【請求項26】 前記錯触力覚の感覚情報は、前記錯触力覚インターフェースの形状変化による感覚情報を備えることを特徴とする請求項1から12のいずれか1項に記載の情報処理装置。 【請求項27】 ネットワークを介して得られたバーチャルコントローラ、及び/又は、バーチャル物体により駆動されることを特徴とする請求項1から12のいずれか1項に記載の情報処理装置。 【請求項28】 前記錯触力覚デバイスを駆動する錯触力覚デバイス駆動装置と、 前記錯触力覚を誘起させることにより得られる錯触力感覚を提示するための錯触力覚情報を格納する記憶装置と、 前記記憶装置に格納された前記錯触力覚情報に基づいて、錯触力覚誘起関数を生成する錯触力覚誘起関数生成装置と、 をさらに備えることを特徴とする請求項1から12のいずれか1項に記載の情報処理装置。 【請求項29】 学習器及び/又は補正器を備え、錯触力覚データを用いて前記コンテンツに適応する錯触力覚誘起関数を生成する錯触力覚誘起関数生成装置をさらに備えることを特徴とする請求項1から12のいずれか1項に記載の情報処理装置。 【請求項30】 錯触力覚情報、触力覚情報、視覚情報、聴覚情報の少なくとも一つを表示するバーチャル物体の表示体と、 前記表示体の、刺激を備える物理量、運動量、コンテンツの少なくとも一つの情報から誘起される非線形感覚特性を備える錯触力覚によって、(1)バーチャル物体の感覚情報を提示する、及び/又は、(2)前記バーチャル物体による身体的反応を引き起こす錯触力覚インターフェース装置と を備えるバーチャル物体表示装置。 【請求項31】 前記表示体は、プロジェクタ、ディスプレイ、ホログラム、ヘッドマウントディスプレイの少なくとも一つを備えることを特徴とする請求項30に記載のバーチャル物体表示装置。」 2.取消理由の概要 取消理由1 本件発明1-17、19-26、28-31は、甲第1号証に記載された発明であるから、その特許は、特許法第29条第1項第3号の規定に違反してされたものである。 取消理由2 本件発明1-31は、甲第1号証に記載された発明及び甲第2-7、10、11号証に記載された技術事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、その特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。 取消理由3 本件発明1-31は、発明の詳細な説明に記載したものではなく、その特許は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。 取消理由4 本件発明1-31は明確でないから、その特許は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。 甲第1号証:特開2005-190465号公報 甲第2号証:フランク・B・ギブニー、「ブリタニカ国際大百科事典3[小項目辞典]」、テイビーエス・ブリタニカ、1993年3月、P.743 甲第3号証:前野隆司、「システムとしての触覚に学ぶ」、2006年4月5日、日本機械学会誌、第109(1049)巻、P.269-272 甲第4号証:毛利優之、前野隆司、山田陽滋、「局所滑りディスプレイを用いたヒト下位中枢への「滑りそう」な触感の呈示法」、2004年6月18日、ロボティクス・メカトロニクス講演会講演概要集2004、1A1-H-34、P.1-4 甲第5号証:昆陽雅司、「ICPFアクチュエータを用いたヒト指腹部への分布振動刺激に基づく把持力調整反射の誘発」、2006年3月31日、日本バーチャルリアリティ学会論文誌 第11(1)巻、P.3-10 甲第6号証:前野隆司、「触覚のモデリングと有限要素解析」、2004年6月25日、日本バーチャルリアリティ学会誌 第9(2)巻、P.8-13 甲第7号証:前野隆司、「無意識のための触覚センサ・触覚ディスプレイ」、2004年9月4日、日本機械学会年次大会講演資料集2004(8)、P.427-428 甲第10号証:特開2005-70843号公報 甲第11号証:特開平9-155785号公報 3.甲号証の記載 (1)甲第1号証 本件特許に係る出願の優先権主張の日前に頒布された甲第1号証には、図面とともに、以下の事項が記載されている。 「【0001】 本発明は、感覚特性を利用した触力覚情報提示システムおよび方法に関するものである。」 「【0008】 上述の点に鑑み、本発明の第1の目的は、人に仮想物体の存在や衝突の衝撃力を与える従来の非接地型で身体内にベースがないマンマシンインタフェースにおいて、人間の感覚特性を利用した触力覚情報提示機構を実現することで、触力覚提示機の物理的特性だけでは提示し得ない、同一方向に振動・トルク・力などの触力覚情報を連続的に提示できる触力覚情報提示システムおよび方法を提供することにある。 【0009】 また、上記マンマシンインタフェースで連続的に物理量を提示し続ける時、提示機の性能が十分に大きければ、連続して同一方向にトルク、乃至力などの物理量を提示し続けることができる。しかし、現実的には提示機の性能は無限大ではなく、提示機の性能が十分でない場合は、例えば、連続的にトルクを提示し続ける時、提示の1サイクルの中で回転子の回転速度を初期状態に戻す必要が出てくる。つまり、回転子の角運動量ベクトルの積分値をゼロにすることが求められる。この場合、正反対のトルクまたは力を提示することになり、正方向と負方向の感覚が互いに打ち消し合うという問題が生じる。 【0010】 よって、本発明の第2の目的は、人間の感覚特性を利用して、触力覚提示機の動作において、たとえ物理的に1サイクルで初期状態に戻り、物理的な積分値がゼロになったとしても、感覚量の感覚的積分値がゼロにはならず、任意の方向に自在に感覚を提示し続けることのできる触力覚情報提示システムおよび方法を提供することにある。」 「【0019】 本発明に係る触力覚情報提示システムおよび触力覚情報提示方法を実施することにより、以下に列挙する格別な効果を得ることができる。 【0020】 (1)非接地型で身体内にベースがないマンマシンインタフェースでは従来困難だった、トルクおよび力などの触力覚情報を同一方向に連続的または断続的に提示することが可能になる。 【0021】 (2)人間の感覚特性および錯覚を利用することにより、物理的には存在し得ないトルクあるいは力などの触力覚的感覚物理特性を人に提示することが可能になる。 【0022】 (3)人間の感覚特性を利用することにより触力覚情報を省エネルギーで効率良く提示することが可能となり、小型化した触力覚提示システムを実現することができる。 【0023】 (4)振動感覚,トルク感覚,力感覚を提示するために、従来はそれぞれに対応した装置が必要であったが、本発明によれば、偏心回転子という1つの機構で振動感覚,トルク感覚,力感覚のいずれか1つ以上を同時に提示することが可能となり、多様な触力覚情報を提示することができ、且つ、その提示システムを小型化することができる。 【0024】 (5)本発明を実施することにより、VR(Virtual Reality)の分野において用いられる機器,ゲームの分野において用いられる機器,携帯電話機,携帯型ナビゲーション機器,PDA(携帯情報端末)などに搭載され得る、有用なマンマシンインタフェース・ロボットとマシンとの間のインタフェース・動物とマシンとの間のインタフェース等を実現することができる。例えばVRの分野においては、上記マンマシンインタフェースを介して人に力を提示したり、抗力あるいは反力などを与えて人の動きを制限することにより、仮想空間における物体の存在や衝突による衝撃を提示することができる。また、携帯電話機,携帯型ナビゲーション機器,PDAなどに上記インタフェースを搭載することにより、操作者の皮膚を介して、従来には見られなかった各種多様な指示・案内等を実現することができる。 【0025】 (6)従来から知られている携帯電話のマナーモードなどで用いられている偏心回転子は、回転速度を増加させることで振動強度を増加させており、振動周波数と振動強度を独立に制御することはできなかったが、本発明を適用した偏心回転子では、回転速度を変化させることなしに、偏心振動の振動強度を変化させることができる。これによって、振動周波数と振動強度を独立に制御することが可能になる。 【0026】 (7)本発明を適用したシート状偏心回転子アレイによれば、それぞれの偏心回転子の回転を適切に制御することで掌上に空間・時間的に様々なパターンの、振動感覚、トルク感覚、力感覚を提示することができる。また、シート状偏心回転子アレイは、手袋もしくは衣類もしくはその他ウェアラブルな形態を有するものに応用することができる。 【0027】 (8)本発明を適用したシート状偏心回転子アレイによれば、掌などの動きに合わせて力感覚の空間部分を適切に変化させることにより、仮想的な物体の存在、形状、弾性、テクスチャーなどの物体に関する様々な触力覚情報を提示することができる。 【0028】 (9)慣性座標系において、合成角運動量ベクトルの時間変化を制御する場合、その制御の容易さは大きな利点となる。すなわち、合成角運動量ベクトルをゼロの近傍で急激に変化させることによって、大きなトルクを発生させながらも、プリセッション・トルクを小さく抑え込むことが可能になる。また、ユーザの動きに伴ってトルク提示機が揺れて困る場合には、適度な大きさの合成角運動量ベクトルの近傍で合成角運動量ベクトルを時間変化させることにより、トルク提示機の揺れを抑えながら所定のトルクを提示することが可能となる。」 「【0051】 感覚特性は、筋肉の緊張状態、あるいは、身体的・生理的・心理的状態のいずれか1つ以上の状態によりトルク感覚517の感度が変化する。例えば、筋肉が外力である提示トルク514(短い時間で強いトルク524)で瞬時に伸ばされることで、筋肉の中の筋紡錘というセンサがこれを感知し、この外力に負けないパワーを持つ筋肉起因トルク515(筋肉反射起因トルク525)で条件反射的に筋肉が素早く収縮する。このとき筋電511が発生する。それを検知した制御回路512は触力覚提示機513を制御して、筋肉の収縮に同期して提示トルク516(穏やかに中程度のトルク526)を働かせることでトルク感覚517の感度を変化させる。 【0052】 以上のことは、筋肉の緊張状態だけに限らず、呼吸・姿勢・神経発火の状態のいずれか1つ以上の状態による感覚感度の変化の場合にも成立する。」 「【0064】 図13は、2つの偏心回転子A812および偏心回転子B813を1組として、その3組を直交座標系に配置した触力覚提示機1301を示す図である。図中符号1310は偏心回転子、1311はそれを駆動するモータである。このように複数個の偏心回転子を3次元空間的に配置することによって、(図11-2)~(図11-4)で示された振動感覚、トルク感覚、力感覚を任意の3次元方向に提示することができる。上記の直交座標系の配置は、3次元方向に提示するための一例である。」 「【0073】 図17は、力覚に関する感覚特性を用い、2つの偏心回転子A1012および偏心回転子B1013の回転を反対方向に位相同期させた触力覚情報提示方法を示す図である。 【0074】 図17中の(図17-2)は、(図17-1)の2つの偏心回転子A1012および偏心回転子B1013を反対方向に同期回転させた場合を模式化したものである。この反対方向の同期回転の結果、任意の方向に直線的に単振動する力を合成することができる。(図17-3)は感覚特性1031が対数関数的な特性の場合を模式化したものであり、感覚特性1031は感覚特性211と同様に刺激である物理量1032に対してその感覚量1033が対数などの非線形特性であることを示している。この感覚特性1031上の、動作点A1034で正の力を発生し、動作点B1035で逆方向の負の力を発生した場合を考えると、力感覚1044は(図17-4)のように表わされる。2つの偏心回転子の合成回転速度の大きさ1042は偏心回転子A1012および偏心回転子B1013の回転速度の合成であり、力1043は2つの偏心回転子の合成回転速度の大きさ1042の時間微分に比例する。動作点A1034、および動作点B1035で動作させると、力感覚1044が知覚される。力1043は、物理的に1サイクルで初期状態1048に戻り、その積分値はゼロとなっている。しかし、感覚量である力感覚1044の感覚的積分値はゼロになるとは限らない。動作点A1034および動作点B1035を適切に選択して、動作点A継続時間1045および動作点B継続時間1046を適切に設定し、2つの偏心回転子A1012および偏心回転子B1013の同期位相を調整することで、任意の方向に自在に力感覚を提示し続けることができる。 【0075】 以上のことは、感覚特性1031が指数関数的な場合などの非線形特性を示す時にも成立する。(図17-3)の感覚特性1031が(図3-1)の感覚特性231のように閾値を持つ場合も、(図3-2)と同様な力感覚が生じ、片方の方向のみに力感覚を間欠的に提示し続けることができる。 【0076】 図18は、図17で示された2つの偏心回転子を用いた力感覚の提示方法を用いて、自分で押す感覚(図18-1)、膨張感(図18-2)、圧迫感(図18-3)、自分で引っ張る感覚(図18-4)、外部から引っ張られる感覚(図18-5)、外部から押される感覚(図18-6)を提示する方法を模式化した図である。 【0077】 自分で押す感覚(図18-1)は、掌の裏と表に、ツイン偏心回転子1111およびツイン偏心回転子1112を用いて、それぞれ力1113および力1114を提示することによって、自分で掌の表によって物体を押したような感覚を提示することができる。 【0078】 膨張感(図18-2)、圧迫感(図18-3)、自分で引っ張る感覚(図18-4)、外部から引っ張られる感覚(図18-5)、外部から押される感覚(図18-6)についても同様に提示することができる。 【0079】 図19は、手袋状偏心回転子アレイ1170の1171上のそれぞれのツイン偏心回転子1172の回転を適切に制御することで、掌および指先などに、力1173、せん断力1174、トルク1175を提示する方法を示す図である。 【0080】 また、図20のように、指に巻かれたスキン状偏心回転子アレイ1181上で同一方向にトルクを提示することで、指全体をひねる合成トルク1185を提示することができる。 【0081】 さらに、図21のように、掌に提示する抗力1193の空間的な強度分布を適切に調整することで、球状抗力1191や立方体状抗力1192などを提示することによって、掌に球や立方体などの3次元形状感覚、あるいは弾力感覚およびプニョプニョ感などの触覚感覚を提示することができる。 【0082】 さらに、図22のように、掌に提示する抗力1193の空間的な強度分布を時間的に変化させることによって、力が掌上を伝わって行く感覚1195、物が掌上を転がっていく感覚、力が掌を通過していく力感覚1196を提示することができる。同様に、せん断力、トルクなどを変化させることによって、表面粗さなどの仮想物体表面のテクスチャーを提示することができる。 【0083】 図19~図22に示した以上の提示方法によれば、掌の動きに合わせて力感覚の空間分布を適切に変化させることによって、仮想的な物体の存在、形状、弾性、テクスチャーなどの物体に関する様々な触力覚情報を提示することができる。」 以上の記載から、甲第1号証には、次の発明(以下「甲1発明」という)が記載されているものと認められる(なお、括弧内は甲第1号証の対応する箇所を示す。)。 [甲1発明] 「ツイン偏心回転子1172(【図19】、【0079】)と、仮想的な物体(【図21】、【0083】)と、 手袋状偏心回転子アレイ1170(【図19】、【0079】)と、を備え、 前記手袋状偏心回転子アレイ1170は、 前記ツイン偏心回転子1172の2つの偏心回転子A1012および偏心回転子B1013の合成回転速度の大きさ1042の時間微分に比例する力1043に対して非線形特性1031である力感覚1044を提示し、物理的な前記力1043の積分値がゼロになったとしても、感覚量の前記力感覚1044の感覚的積分値がゼロにはならず、非線形特性上の動作点A1034および動作点B1035を適切に選択して、動作点A継続時間1045および動作点B継続時間1046を適切に設定し、2つの偏心回転子A1012およびB1013の同期位相を調整することで、任意の方向に自在に前記力感覚1044を提示し続けることができ(【図17】、【0073】、【0074】、【0010】)、さらに、掌に提示する抗力1193の空間的な強度分布を適切に調整することで、球状抗力1191や立方体状抗力1192などを提示することによって、掌に球や立方体などの3次元形状感覚、あるいは弾力感覚およびプニョプニョ感などの触覚感覚を提示することができ(【図21】、【0081】)、掌に提示する抗力1193の空間的な強度分布を時間的に変化させることによって、力が掌上を伝わって行く感覚1195、物が掌上を転がっていく感覚、力が掌を通過していく力感覚1196を提示することができ(【図22】、【0082】)、掌の動きに合わせて力感覚の空間分布を適切に変化させることによって、仮想的な物体の存在、形状、弾性、テクスチャーなどの物体に関する様々な触力覚情報を提示することができる(【0083】)、 触力覚情報提示システム(【0001】)であって、 人間の感覚特性および錯覚を利用することにより、物理的には存在し得ない力を人に提示することが可能になり(【0021】)、 前記感覚特性は、筋肉の緊張状態、身体的・生理的・心理的状態、呼吸・姿勢・神経発火の状態のいずれか1つ以上の状態により感覚感度が変化するものであり、筋肉が外力である提示トルク514(短い時間で強いトルク524)で瞬時に伸ばされることで、筋肉の中の筋紡錘というセンサがこれを感知し、この外力に負けないパワーを持つ筋肉起因トルク515(筋肉反射起因トルク525)で条件反射的に筋肉が素早く収縮する(【0051】、【0052】)、 触力覚情報提示システム。」 4.当審の判断 (1)取消理由通知に記載した取消理由について ア.取消理由1、及び、取消理由2の検討 (第29条第1項第3号、第29条第2項) (ア)本件発明1について 本件発明1と甲1発明とを対比する。 本件発明1の「錯触力覚」とは、明細書の【0031】、【0045】の記載によれば、錯覚による物理的には存在していない力の知覚であり、具体的には、偏心錘の回転によって生成された運動量の変化により誘起される錯覚による力の知覚である。本件発明1の「錯触力覚デバイス」とは、上記錯触力覚を生じさせるデバイスであって、これについては、同記載における、回転が制御される偏心錘を備えた錯触力覚デバイス107が具体例として記載され、また、該デバイスの制御方法について、明細書の【0082】、【0083】に記載され、これによれば、「錯触力覚デバイス」は、偏心モータの回転パターンを制御して2つの偏心回転子の合成運動量を時間的に変化させることにより、一定方向に連続的に働く力が知覚される錯覚を誘起させることができ、感覚特性上の動作点A、及び動作点Bで位相180°毎に交互に加減速させると、一定方向の力感覚が連続的に知覚され、その運動量及び力の積分値はゼロとなっているが、感覚量である力感覚の感覚的積分値はゼロにならないものを含むものである。 一方、甲1発明の「ツイン偏心回転子1172」は、「2つの偏心回転子A1012および偏心回転子B1013の合成回転速度の大きさ1042の時間微分に比例する力1043に対して非線形特性1031である力感覚1044を提示」するものであって、「物理的な前記力1043の積分値がゼロになったとしても、感覚量の前記力感覚1044の感覚的積分値がゼロにはならず、非線形特性上の動作点A1034および動作点B1035を適切に選択して、動作点A継続時間1045および動作点B継続時間1046を適切に設定し、2つの偏心回転子A1012およびB1013の同期位相を調整することで、任意の方向に自在に前記力感覚1044を提示し続けることができ」、「人間の感覚特性および錯覚を利用することにより、物理的には存在し得ない力を人に提示することが可能」になるものである。 したがって、本件発明1の「錯触力覚デバイス」と甲1発明の「ツイン偏心回転子1172」は、何れも、偏心回転子の回転によって生成された運動量の変化により誘起される錯覚による力の知覚を生じさせるデバイスであるから、甲1発明の「ツイン偏心回転子1172」は、本件発明1の「錯触力覚デバイス」に相当するといえる。 本件発明は、バーチャルリアリティの技術分野の発明であり、バーチャルリアリティの技術分野においては、「表示」との表現は、視覚的な情報の提示との意味だけでなく、触覚や聴覚の情報の提示などの広い意味の情報の提示との意味としても用いられている。また、請求項1における、「実物体、表示体」との対照的な記載から、「実物体」が実際にあるものを意味するのに対し、「表示体」は実際にはない表示されたものを意味すると考えられる。 したがって、本件発明1の「表示体」とは、上記広い意味の情報の提示により提示されたもの、すなわち、“錯触力覚情報、触力覚情報、視覚情報、聴覚情報により表示されたもの”を意味し、具体的には、実施例に記載された「バーチャル粘土」や「バーチャル・コントローラ」などが表示されたものを意味すると認められる。 一方、甲1発明の「仮想的な物体」は、【図21】に示されるような、実際には存在しない掌の触覚などにより感じる球や立方体であるから、本件発明1の「表示体」に相当するといえる。 甲1発明の「手袋状偏心回転子アレイ1170」は、上記「ツイン偏心回転子1172」(本件発明1の「錯触力覚デバイス」に相当)により、仮想的な物体の存在、形状、弾性、テクスチャーなどの物体に関する様々な触力覚情報を提示するものであるから、本件発明1の「錯触力覚インターフェース」に相当する。 したがって、本件発明1と甲1発明とは、「錯触力覚デバイス、触力覚デバイス、実物体、表示体の少なくとも一つと、錯触力覚インターフェースと、を備え」る点で一致する。 甲1発明は、「ツイン偏心回転子1172の2つの偏心回転子A1012および偏心回転子B1013の合成回転速度の大きさ1042の時間微分に比例する力1043」(本件発明1の「錯触力覚デバイスの、刺激を備える物理量の情報」に相当)に対して「非線形特性1031である力感覚1044を提示し、仮想的な物体の存在などの触力覚情報を提示し、物理的な前記力1043の積分値がゼロになったとしても、感覚量の前記力感覚1044の感覚的積分値がゼロにはならず、非線形特性上の動作点A1034および動作点B1035を適切に選択して、動作点A継続時間1045および動作点B継続時間1046を適切に設定し、2つの偏心回転子A1012およびB1013の同期位相を調整することで、任意の方向に自在に前記力感覚1044を提示し続けることができ」、「人間の感覚特性および錯覚を利用することにより、物理的には存在し得ない力を人に提示することが可能」になるものであり、「掌に提示する抗力1193の空間的な強度分布を適切に調整することで、球状抗力1191や立方体状抗力1192などを提示することによって、掌に球や立方体などの3次元形状感覚、あるいは弾力感覚およびプニョプニョ感などの触覚感覚を提示することができ、掌に提示する抗力1193の空間的な強度分布を時間的に変化させることによって、力が掌上を伝わって行く感覚1195、物が掌上を転がっていく感覚、力が掌を通過していく力感覚1196を提示することができ」るものであるから、本件発明1の文言を用いれば、「錯触力覚デバイスの、刺激を備える物理量の情報から、誘起される非線形感覚特性を備える錯触力覚によって、バーチャル物体の感覚情報を提示する」ものであるといえる。 したがって、本件発明1と甲1発明とは、「前記錯触力覚インターフェースは、 (1)前記錯触力覚デバイス、前記触力覚デバイス、前記実物体、前記表示体の少なくとも一つの、刺激を備える物理量、及び/又は運動量、及び/又はコンテンツの情報から、及び/又は (2)前記錯触力覚デバイス、前記触力覚デバイス、前記実物体、前記表示体の少なくとも一つへの操作情報から、 誘起される非線形感覚特性を備える錯触力覚によって、 (1)バーチャル物体の感覚情報、及び/又は、操作感又は操作感覚を提示する、及び/又は、 (2)前記バーチャル物体による身体的反応を引き起こす」ものである点で一致する。 甲1発明の「触力覚情報提示システム」は、「情報処理装置」といえるから、本件発明1と甲1発明とは、「情報処理装置」である点で一致する。 以上のとおり、本件発明1と甲1発明とは全ての点で一致するから、本件発明1は、甲第1号証に記載された発明である。 また、請求項1に記載された複数の選択肢の内の上記一致するとした点以外の選択肢や発明の詳細な説明の記載を参酌した請求項の文言の解釈により、本件発明1と甲1発明とに相違点が存在したとしても、本件発明1は、甲1発明及び甲第2-7、10、11号証に記載された技術事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 (イ)本件発明2について 本件発明2は、本件発明1に、さらに、「ここで、 前記バーチャル物体の感覚情報、及び/又は、操作感又は操作感覚は、 (1)物理的には存在していない力感覚、及び/又は (2)物理量とは異なる力感覚、及び/又は (3)心理的感覚、及び/又は (4)身体的感覚 を備える」ことを付加したものである。 甲1発明において、「仮想的な物体の存在、形状、弾性、テクスチャーなどの物体に関する様々な触力覚情報」(本件発明2の「バーチャル物体の感覚情報」に相当)は、本件発明2でいう「物理的には存在していない力感覚」を備えるといえるから、本件発明2と甲1発明は、「ここで、 前記バーチャル物体の感覚情報、及び/又は、操作感又は操作感覚は、 (1)物理的には存在していない力感覚、及び/又は (2)物理量とは異なる力感覚、及び/又は (3)心理的感覚、及び/又は (4)身体的感覚 を備える」点で一致する。 したがって、本件発明2と甲1発明とは全ての点で一致するから、本件発明2は、甲第1号証に記載された発明である。 また、請求項2に記載された複数の選択肢の内の上記一致するとした点以外の選択肢や発明の詳細な説明の記載を参酌した請求項の文言の解釈により、本件発明1と甲1発明とに相違点が存在したとしても、本件発明2は、甲1発明及び甲第2-7、10、11号証に記載された技術事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 (ウ)本件発明3について 本件発明3は、本件発明1に、さらに、「センサー」を備え、「ここで 前記バーチャル物体の感覚情報、及び/又は、操作感又は操作感覚は、 (1)前記センサーによって測定された、前記錯触力覚デバイス、前記触力覚デバイス、前記実物体、及び前記表示体の少なくとも一つの動き、 (2)前記センサーによって測定された、前記錯触力覚デバイス、前記触力覚デバイス、前記実物体、及び前記表示体の少なくとも一つとの接触、 (3)前記センサーによって測定された、前記錯触力覚デバイス、前記触力覚デバイス、前記実物体、及び前記表示体の少なくとも一つへの把持、 (4)前記センサーによって測定された、前記錯触力覚デバイス、前記触力覚デバイス、前記実物体、及び前記表示体の少なくとも一つとの接触情報、 (5)前記センサーによって測定された、前記錯触力覚デバイス、前記触力覚デバイス、前記実物体、及び前記表示体の少なくとも一つへの把持情報、 (6)前記センサーによって測定された、指及び/又は掌及び/又は身体部位の動き、 (7)前記センサーによって測定された、位置及び速度の少なくとも一つの変化量 の少なくとも一つに基づいて提示される」ことを付加したものである。 甲1発明は、「掌の動きに合わせて力感覚の空間分布を適切に変化させることによって、仮想的な物体の存在、形状、弾性、テクスチャーなどの物体に関する様々な触力覚情報を提示することができる」ものであるが、「掌の動きに合わせて力感覚の空間分布を適切に変化させる」ためには、掌の動きを検出するセンサーを備えていなければならないことは当業者に明らかであるから、甲1発明は、掌の動きを検出するセンサーを備え、該センサーの検出結果に基づいて触力覚情報を提示するものであるといえる。 このことは、本件発明3の、「センサー」を備え、「ここで 前記バーチャル物体の感覚情報は、 (6)前記センサーによって測定された、掌の動き、 に基づいて提示される」ことに相当する。 したがって、本件発明3と甲1発明とは、「センサー」を備え、「ここで 前記バーチャル物体の感覚情報、及び/又は、操作感又は操作感覚は、 (1)前記センサーによって測定された、前記錯触力覚デバイス、前記触力覚デバイス、前記実物体、及び前記表示体の少なくとも一つの動き、 (2)前記センサーによって測定された、前記錯触力覚デバイス、前記触力覚デバイス、前記実物体、及び前記表示体の少なくとも一つとの接触、 (3)前記センサーによって測定された、前記錯触力覚デバイス、前記触力覚デバイス、前記実物体、及び前記表示体の少なくとも一つへの把持、 (4)前記センサーによって測定された、前記錯触力覚デバイス、前記触力覚デバイス、前記実物体、及び前記表示体の少なくとも一つとの接触情報、 (5)前記センサーによって測定された、前記錯触力覚デバイス、前記触力覚デバイス、前記実物体、及び前記表示体の少なくとも一つへの把持情報、 (6)前記センサーによって測定された、指及び/又は掌及び/又は身体部位の動き、 (7)前記センサーによって測定された、位置及び速度の少なくとも一つの変化量 の少なくとも一つに基づいて提示される」点で一致する。 よって、本件発明3と甲1発明とは全ての点で一致するから、本件発明3は、甲第1号証に記載された発明である。 また、請求項3に記載された複数の選択肢の内の上記一致するとした点以外の選択肢や発明の詳細な説明の記載を参酌した請求項の文言の解釈により、本件発明3と甲1発明とに相違点が存在したとしても、本件発明3は、甲1発明及び甲第2-7、10、11号証に記載された技術事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 (エ)本件発明4について 本件発明4は、本件発明1に、さらに、「ここで 前記バーチャル物体の感覚情報、及び/又は、操作感又は操作感覚は、 (1)前記バーチャル物体の存在の感覚、 (2)摩擦感覚、 (3)粗さ感覚、 (4)形状感覚、 (5)質感、 (6)動きに対する加速度感覚 の少なくとも一つの感覚を備える」ことを付加したものである。 甲1発明において、「仮想的な物体の存在、形状、弾性、テクスチャーなどの物体に関する様々な触力覚情報」(本件発明4の「バーチャル物体の感覚情報」に相当)は、「球や立方体などの3次元形状感覚、あるいは弾力感覚およびプニョプニョ感などの触覚感覚」を含むものであるから、本件発明4と甲1発明は、「ここで 前記バーチャル物体の感覚情報、及び/又は、操作感又は操作感覚は、 (1)前記バーチャル物体の存在の感覚、 (2)摩擦感覚、 (3)粗さ感覚、 (4)形状感覚、 (5)質感、 (6)動きに対する加速度感覚 の少なくとも一つの感覚を備える」点で一致する。 したがって、本件発明4と甲1発明とは全ての点で一致するから、本件発明4は、甲第1号証に記載された発明である。 また、請求項4に記載された複数の選択肢の内の上記一致するとした点以外の選択肢や発明の詳細な説明の記載を参酌した請求項の文言の解釈により、本件発明4と甲1発明とに相違点が存在したとしても、本件発明4は、甲1発明及び甲第2-7、10、11号証に記載された技術事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 (オ)本件発明5について 本件発明5は、本件発明1に、さらに、「ここで 前記バーチャル物体の感覚情報、及び/又は、操作感又は操作感覚は、 (1)目的の方向である正又は負の方向感覚、 (2)目的の方向とは異なる方向感覚、 (3)加速度による加速感覚、 の少なくとも一つの感覚を備える」ことを付加したものである。 甲1発明において、「仮想的な物体の存在、形状、弾性、テクスチャーなどの物体に関する様々な触力覚情報」(本件発明5の「バーチャル物体の感覚情報」に相当)は、「任意の方向に自在に前記力感覚1044を提示し続けることができ」るものであるから、本件発明5でいう「(1)目的の方向である正又は負の方向感覚」、「(2)目的の方向とは異なる方向感覚」を備えるといえ、本件発明5と甲1発明は、「ここで 前記バーチャル物体の感覚情報、及び/又は、操作感又は操作感覚は、 (1)目的の方向である正又は負の方向感覚、 (2)目的の方向とは異なる方向感覚、 (3)加速度による加速感覚、 の少なくとも一つの感覚を備える」点で一致する。 したがって、本件発明5と甲1発明とは全ての点で一致するから、本件発明5は、甲第1号証に記載された発明である。 また、請求項5に記載された複数の選択肢の内の上記一致するとした点以外の選択肢や発明の詳細な説明の記載を参酌した請求項の文言の解釈により、本件発明5と甲1発明とに相違点が存在したとしても、本件発明5は、甲1発明及び甲第2-7、10、11号証に記載された技術事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 (カ)本件発明6について 本件発明6は、本件発明1に、さらに、「ここで 前記バーチャル物体の感覚情報、及び/又は、操作感又は操作感覚の提示は、 (1)前記バーチャル物体が仮想面上及び/又は仮想面内に存在しない時に押し戻す感覚を提示せず、一方、前記バーチャル物体が仮想面上及び/又は仮想面内に存在する時に押し戻す感覚を提示すること、 (2)前記バーチャル物体が仮想面上及び/又は仮想面内に存在しない時に抗力感覚を提示せず、一方、前記バーチャル物体が仮想面上及び/又は仮想面内に存在する時に抗力感覚を提示すること、 (3)前記バーチャル物体を移動させた際に生じる方向に加速度感覚を提示すること、 (4)前記バーチャル物体との接触を検出し、変形、及び/又は、指先及び/又は身体部位に伝わる反力の計算による加速感覚を提示すること の少なくとも一つを含む」ことを付加したものである。 甲1発明において、「仮想的な物体の存在、形状、弾性、テクスチャーなどの物体に関する様々な触力覚情報」(本件発明6の「バーチャル物体の感覚情報」に相当)を提示することは、仮想的な物体の存在を示すためには、仮想的な物体に接触している場合としていない場合を示す必要があるのは明らかであることから、本件発明6の「(1)前記バーチャル物体が仮想面上に存在しない時に押し戻す感覚を提示せず、一方、前記バーチャル物体が仮想面上に存在する時に押し戻す感覚を提示する」ことに相当するものであるといえる。 したがって、本件発明6と甲1発明は、「ここで 前記バーチャル物体の感覚情報、及び/又は、操作感又は操作感覚の提示は、 (1)前記バーチャル物体が仮想面上及び/又は仮想面内に存在しない時に押し戻す感覚を提示せず、一方、前記バーチャル物体が仮想面上及び/又は仮想面内に存在する時に押し戻す感覚を提示すること、 (2)前記バーチャル物体が仮想面上及び/又は仮想面内に存在しない時に抗力感覚を提示せず、一方、前記バーチャル物体が仮想面上及び/又は仮想面内に存在する時に抗力感覚を提示すること、 (3)前記バーチャル物体を移動させた際に生じる方向に加速度感覚を提示すること、 (4)前記バーチャル物体との接触を検出し、変形、及び/又は、指先及び/又は身体部位に伝わる反力の計算による加速感覚を提示すること の少なくとも一つを含む」点で一致する。 よって、本件発明6と甲1発明とは全ての点で一致するから、本件発明6は、甲第1号証に記載された発明である。 また、請求項6に記載された複数の選択肢の内の上記一致するとした点以外の選択肢や発明の詳細な説明の記載を参酌した請求項の文言の解釈により、本件発明6と甲1発明とに相違点が存在したとしても、本件発明6は、甲1発明及び甲第2-7、10、11号証に記載された技術事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 (キ)本件発明7について 本件発明7は、本件発明1に、さらに、「ここで 前記バーチャル物体の感覚情報、及び/又は、操作感又は操作感覚は、 (1)振動、力、トルクの少なくとも一つの物理量に対して閾値、感覚特性、応答特性の少なくとも一つ、及び/又は、 (2)前記錯触力覚デバイス、前記触力覚デバイス、前記実物体、前記表示体の少なくとも一つのヒステリシス特性及び/又は非線形特性 に基づいて提示される」ことを付加したものである。 甲1発明において、「仮想的な物体の存在、形状、弾性、テクスチャーなどの物体に関する様々な触力覚情報」(本件発明7の「バーチャル物体の感覚情報」に相当)は、「ツイン偏心回転子1172の2つの偏心回転子A1012および偏心回転子B1013の合成回転速度の大きさ1042の時間微分に比例する力1043に対して非線形特性1031である力感覚1044を提示」することによって、提示されるものであるから、本件発明7でいう「(1)力に対して感覚特性に基づいて提示される」ものに相当するといえる。 したがって、本件発明7と甲1発明は、「ここで 前記バーチャル物体の感覚情報、及び/又は、操作感又は操作感覚は、 (1)振動、力、トルクの少なくとも一つの物理量に対して閾値、感覚特性、応答特性の少なくとも一つ、及び/又は、 (2)前記錯触力覚デバイス、前記触力覚デバイス、前記実物体、前記表示体の少なくとも一つのヒステリシス特性及び/又は非線形特性 に基づいて提示される」点で一致する。 よって、本件発明7と甲1発明とは全ての点で一致するから、本件発明7は、甲第1号証に記載された発明である。 また、請求項7に記載された複数の選択肢の内の上記一致するとした点以外の選択肢や発明の詳細な説明の記載を参酌した請求項の文言の解釈により、本件発明7と甲1発明とに相違点が存在したとしても、本件発明7は、甲1発明及び甲第2-7、10、11号証に記載された技術事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 (ク)本件発明8について 本件発明8は、本件発明1に、さらに、「ここで 前記バーチャル物体の感覚情報、及び/又は、操作感又は操作感覚は、 (1)前記バーチャル物体の押込み情報、及び/又は、 (2)前記バーチャル物体の引っ張り情報、及び/又は、 (3)前記バーチャル物体の反力情報 を備える」ことを付加したものである。 甲1発明において、「仮想的な物体の存在、形状、弾性、テクスチャーなどの物体に関する様々な触力覚情報」(本件発明8の「バーチャル物体の感覚情報」に相当)は、「球状抗力1191や立方体状抗力1192」を含むものであるから、このことは本件発明8でいう「(3)前記バーチャル物体の反力情報」を備えることに相当するといえる。 したがって、本件発明8と甲1発明とは、「ここで 前記バーチャル物体の感覚情報、及び/又は、操作感又は操作感覚は、 (1)前記バーチャル物体の押込み情報、及び/又は、 (2)前記バーチャル物体の引っ張り情報、及び/又は、 (3)前記バーチャル物体の反力情報 を備える」点で一致する。 よって、本件発明8と甲1発明とは全ての点で一致するから、本件発明8は、甲第1号証に記載された発明である。 また、請求項8に記載された複数の選択肢の内の上記一致するとした点以外の選択肢や発明の詳細な説明の記載を参酌した請求項の文言の解釈により、本件発明8と甲1発明とに相違点が存在したとしても、本件発明8は、甲1発明及び甲第2-7、10、11号証に記載された技術事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 (ケ)本件発明9について 本件発明9は、本件発明1に、さらに、「ここで 前記バーチャル物体の感覚情報、及び/又は、操作感又は操作感覚は、 前記錯触力覚デバイス、前記触力覚デバイス、前記実物体、前記表示体の少なくとも一つを把持し及び/又は触れながらバーチャルな感触を付加した複合感覚を備える」ことを付加したものである。 甲1発明において、「仮想的な物体の存在、形状、弾性、テクスチャーなどの物体に関する様々な触力覚情報」(本件発明9の「バーチャル物体の感覚情報」に相当)は、「球や立方体などの3次元形状感覚、あるいは弾力感覚およびプニョプニョ感などの触覚感覚」を含むものであり、これらは、本件発明9でいう「表示体に触れながらバーチャルな感触を付加した複合感覚」に相当するといえる。 したがって、本件発明9と甲1発明とは、「ここで 前記バーチャル物体の感覚情報、及び/又は、操作感又は操作感覚は、 前記錯触力覚デバイス、前記触力覚デバイス、前記実物体、前記表示体の少なくとも一つを把持し及び/又は触れながらバーチャルな感触を付加した複合感覚を備える」点で一致する。 よって、本件発明9と甲1発明とは全ての点で一致するから、本件発明9は、甲第1号証に記載された発明である。 また、請求項9に記載された複数の選択肢の内の上記一致するとした点以外の選択肢や発明の詳細な説明の記載を参酌した請求項の文言の解釈により、本件発明9と甲1発明とに相違点が存在したとしても、本件発明9は、甲1発明及び甲第2-7、10、11号証に記載された技術事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 (コ)本件発明10について 本件発明10は、本件発明1に、さらに、「ここで 前記バーチャル物体の感覚情報、及び/又は、操作感又は操作感覚は、 (1)感度の差を用いること、 (2)加減速パターンの制御を用いること、 (3)筋肉が引っ張られるとその直後に筋肉が強く収縮するヒステリシスを用いること、 (4)反射を用いること、 (5)筋反射を用いること、 (6)無自覚的な反応を用いること、 (7)印加電圧で特性が変わる粘弾性材料を用いること、 (8)皮膚の物理特性を疑似的に変えること、 (9)応力特性が非線形であることを用いること、 (10)印加電圧によって応力―歪特性を非線形に制御すること、 の少なくとも一つによって得られる」ことを付加したものである。 甲1発明において、「仮想的な物体の存在、形状、弾性、テクスチャーなどの物体に関する様々な触力覚情報」(本件発明10の「バーチャル物体の感覚情報」に相当)は、力1043に対する力感覚1044の特性が非線形特性であること(換言すれば、力の大きさにより力感覚の感度に差があること)を利用して提示するものであり、このことは、本件発明10でいう「バーチャル物体の感覚情報」は、「(1)感度の差を用いることによって得られる」ことに相当するといえる。 したがって、本件発明10と甲1発明とは、「ここで 前記バーチャル物体の感覚情報、及び/又は、操作感又は操作感覚は、 (1)感度の差を用いること、 (2)加減速パターンの制御を用いること、 (3)筋肉が引っ張られるとその直後に筋肉が強く収縮するヒステリシスを用いること、 (4)反射を用いること、 (5)筋反射を用いること、 (6)無自覚的な反応を用いること、 (7)印加電圧で特性が変わる粘弾性材料を用いること、 (8)皮膚の物理特性を疑似的に変えること、 (9)応力特性が非線形であることを用いること、 (10)印加電圧によって応力―歪特性を非線形に制御すること、 の少なくとも一つによって得られる」点で一致する。 よって、本件発明10と甲1発明とは全ての点で一致するから、本件発明10は、甲第1号証に記載された発明である。 また、請求項10に記載された複数の選択肢の内の上記一致するとした点以外の選択肢や発明の詳細な説明の記載を参酌した請求項の文言の解釈により、本件発明10と甲1発明とに相違点が存在したとしても、本件発明10は、甲1発明及び甲第2-7、10、11号証に記載された技術事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 (サ)本件発明11について 本件発明11は、本件発明1に、さらに、「ここで 前記バーチャル物体の感覚情報、及び/又は、操作感又は操作感覚は、 (1)異なる材質の不均質な配置、 (2)質感パラメタの制御、 (3)抗力の振動的な変化、 (4)粘弾性特性の時間的変化、 (5)比例ゲイン、積分ゲイン、微分ゲインの制御、 (6)位相パターン、及び/又はモータフィードバック、及び/又はパルスによる位置制御、 (7)回転速度及び/又は位相同期の制御、 (8)初期位相の遅延、 (9)印加電圧で特性が変わる材料、 (10)伝達特性の可変、 (11)皮膚の物理特性の可変、 (12)発振回路の使用、 (13)位相遅れの変化、 (14)複数ユニットの位相関係の調整、 (15)互いに異なる、偏心錘の重さ及び/又は形状の使用、 (16)パラメタのフィードバック可能な設定、 (17)異なる振幅及び/又は異なる周波数及び/又は異なる加減速の使用、 (18)加速度パターンの生成、 (19)粘弾性変形材料を通して伝わる力の非線形な伝達 の少なくとも一つの物理的な特性により得られる」ことを付加したものである。 甲1発明において、「仮想的な物体の存在、形状、弾性、テクスチャーなどの物体に関する様々な触力覚情報」(本件発明11の「バーチャル物体の感覚情報」に相当)は、「2つの偏心回転子A1012および偏心回転子B1013の合成回転速度の大きさ1042」に対応した「動作点A1034および動作点B1035を適切に選択」し、「同期位相を調整」することにより提示するものであり、これは、本件発明11でいう「バーチャル物体の感覚情報」は、「(7)回転速度及び/又は位相同期の制御の物理的な特性により得られる」ことに相当するといえる。 したがって、本件発明11と甲1発明とは、「ここで 前記バーチャル物体の感覚情報、及び/又は、操作感又は操作感覚は、 (1)異なる材質の不均質な配置、 (2)質感パラメタの制御、 (3)抗力の振動的な変化、 (4)粘弾性特性の時間的変化、 (5)比例ゲイン、積分ゲイン、微分ゲインの制御、 (6)位相パターン、及び/又はモータフィードバック、及び/又はパルスによる位置制御、 (7)回転速度及び/又は位相同期の制御、 (8)初期位相の遅延、 (9)印加電圧で特性が変わる材料、 (10)伝達特性の可変、 (11)皮膚の物理特性の可変、 (12)発振回路の使用、 (13)位相遅れの変化、 (14)複数ユニットの位相関係の調整、 (15)互いに異なる、偏心錘の重さ及び/又は形状の使用、 (16)パラメタのフィードバック可能な設定、 (17)異なる振幅及び/又は異なる周波数及び/又は異なる加減速の使用、 (18)加速度パターンの生成、 (19)粘弾性変形材料を通して伝わる力の非線形な伝達 の少なくとも一つの物理的な特性により得られる」点で一致する。 よって、本件発明11と甲1発明とは全ての点で一致するから、本件発明11は、甲第1号証に記載された発明である。 また、請求項11に記載された複数の選択肢の内の上記一致するとした点以外の選択肢や発明の詳細な説明の記載を参酌した請求項の文言の解釈により、本件発明11と甲1発明とに相違点が存在したとしても、本件発明11は、甲1発明及び甲第2-7、10、11号証に記載された技術事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 (シ)本件発明12について 本件発明12は、本件発明1に、さらに、「センサー」を備え、「ここで 前記バーチャル物体の感覚情報、及び/又は、操作感又は操作感覚は、 前記センサーによって測定されたジェスチャー、及び/又は手をかざす動作に基づいて提示される」ことを付加したものである。 上記(ウ)で述べたように、甲1発明は、掌の動きを検出するセンサーを備え、該センサーの検出結果に基づいて触力覚情報を提示するものであるといえ、センサーで検出した掌の動きは、本件発明12でいう「センサーによって測定されたジェスチャー」といえるから、甲1発明は、センサーを備え、バーチャル物体の感覚情報は、前記センサーによって測定されたジェスチャー基づいて提示されるものであるといえる。 したがって、本件発明12と甲1発明とは、「センサー」を備え、「ここで 前記バーチャル物体の感覚情報、及び/又は、操作感又は操作感覚は、 前記センサーによって測定されたジェスチャー、及び/又は手をかざす動作に基づいて提示される」点で一致する。 よって、本件発明12と甲1発明とは全ての点で一致するから、本件発明12は、甲第1号証に記載された発明である。 また、請求項12に記載された複数の選択肢の内の上記一致するとした点以外の選択肢や発明の詳細な説明の記載を参酌した請求項の文言の解釈により、本件発明12と甲1発明とに相違点が存在したとしても、本件発明12は、甲1発明及び甲第2-7、10、11号証に記載された技術事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 (ス)本件発明13について 本件発明13は、本件発明1ないし12に、「前記錯触力覚の特性情報を基に錯触力覚誘起関数を生成する錯触力覚誘起関数生成装置をさらに備える」ものである。 本件発明における、「錯触力覚の特性情報を基に」生成した「錯触力覚誘起関数」とは、明細書の【0071】の記載によれば、提示された錯触力覚情報に対する錯触力覚感覚の強度である。 甲第1号証には、このような「錯触力覚誘起関数」を生成することについて記載されていないし、示唆もされていない。また、甲第2-7、10、11号証にも、それを示唆する記載は見当たらない。申立人は、甲第1号証に記載された「制御回路」が「錯触力覚誘起関数生成装置」に該当すると主張するが、該「制御回路」は、上記したような「錯触力覚の特性情報を基に錯触力覚誘起関数を生成する」ものではない。 したがって、本件発明13は、甲第1号証に記載された発明であるとはいえないし、甲第1号証に記載された発明及び甲第2-7、10、11号証に記載された技術事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるともいえない。 (セ)本件発明14について 本件発明14は、本件発明13において、「前記錯触力覚誘起関数生成装置は、ユーザ特性、位置情報、姿勢情報、加速度情報、圧力情報、生理情報の少なくとも一つに基づいて、補正及び/又は学習された補正情報及び/又は学習情報を作成し、 前記補正情報及び学習情報は、 (1)ユーザの個人差を補正する感覚特性及び/又は感覚閾値を備える補正情報、 (2)各ユーザの応答特性を備える補正情報、 (3)各ユーザの錯触力覚に関する等感レベル曲線から求められた補正情報、 (4)錯触力覚誘起関数と各ユーザの錯触力覚感覚特性より得られた個人差を示す補正情報、 (5)ユーザの反応情報及び/又は行動情報を備える学習情報、 (6)能動的学習及び/又は無自覚的学習を備える学習情報、 (7)感覚の鈍化を備える学習情報、 (8)バイオフィードバックを備える学習情報 の少なくとも一つを備える」ことを付加したものである。 上記(ス)で述べたように、本件発明13は、甲第1号証に記載された発明であるとはいえないし、甲第1号証に記載された発明及び甲第2-7、10、11号証に記載された技術事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるともいえないから、本件発明13に、さらに、発明特定事項を付加した本件発明14は、甲第1号証に記載された発明であるとはいえないし、甲第1号証に記載された発明及び甲第2-7、10、11号証に記載された技術事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるともいえない。 (ソ)本件発明15について 本件発明15は、本件発明1ないし12において、「前記錯触力覚インターフェースは、身体の少なくとも一部に装着する装着部及び/又は把持部を備える」ことを付加したものである。 甲1発明において、「手袋状偏心回転子アレイ1170」(本件発明15の「錯触力覚インターフェース」に相当)は、手袋状のものであるから、「身体の少なくとも一部に装着する装着部及び/又は把持部」を備えるのは明らかである。 したがって、本件発明15と甲1発明とは、「前記錯触力覚インターフェースは、身体の少なくとも一部に装着する装着部及び/又は把持部を備える」点で一致する。 よって、本件発明15と甲1発明とは全ての点で一致するから、本件発明15は、甲第1号証に記載された発明である。 また、請求項15に記載された複数の選択肢の内の上記一致するとした点以外の選択肢や発明の詳細な説明の記載を参酌した請求項の文言の解釈により、本件発明15と甲1発明とに相違点が存在したとしても、本件発明15は、甲1発明及び甲第2-7、10、11号証に記載された技術事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 (タ)本件発明16について 本件発明16は、本件発明1ないし12において、「複数の偏心回転子、伸縮材、粘弾性材料、ヒステリシス応力特性材料の少なくとも一つをさらに備え、 前記バーチャル物体の感覚情報、及び/又は、操作感又は操作感覚は、 前記偏心回転子、前記伸縮材、前記粘弾性材料、前記ヒステリシス応力特性材料の少なくとも一つを用いることにより提示される」ことを付加したものである。 甲1発明は、「2つの偏心回転子A1012および偏心回転子B1013」を備え、「仮想的な物体の存在、形状、弾性、テクスチャーなどの物体に関する様々な触力覚情報」(本件発明16の「バーチャル物体の感覚情報」に相当)は、この「2つの偏心回転子A1012および偏心回転子B1013」を用いることにより提示される。このことは、本件発明16の「複数の偏心回転子をさらに備え、前記バーチャル物体の感覚情報は、前記偏心回転子を用いることにより提示される」ことに相当する。 したがって、本件発明16と甲1発明は、「複数の偏心回転子、伸縮材、粘弾性材料、ヒステリシス応力特性材料の少なくとも一つをさらに備え、 前記バーチャル物体の感覚情報、及び/又は、操作感又は操作感覚は、 前記偏心回転子、前記伸縮材、前記粘弾性材料、前記ヒステリシス応力特性材料の少なくとも一つを用いることにより提示される」点で一致する。 よって、本件発明16と甲1発明とは全ての点で一致するから、本件発明16は、甲第1号証に記載された発明である。 また、請求項16に記載された複数の選択肢の内の上記一致するとした点以外の選択肢や発明の詳細な説明の記載を参酌した請求項の文言の解釈により、本件発明16と甲1発明とに相違点が存在したとしても、本件発明16は、甲1発明及び甲第2-7、10、11号証に記載された技術事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 (チ)本件発明17について 本件発明17は、本件発明1ないし12において、「前記バーチャル物体の感覚情報及び/又は、操作感又は操作感覚は、物理的には存在していない力感覚、及び/又は、物理量とは異なる力感覚を備え、 前記力感覚の提示は、 (1)重力に逆らってインターフェース装置を持った腕が持ち上がる感覚を提示すること、 (2)前記インターフェース装置が持ちあがる感覚を提示すること、 (3)滑らかな感覚を提示すること、 (4)定速度回転でありながら加減速機構と同じような錯触力覚を提示すること、 (5)連続的な加速感を提示すること、 (6)バーチャル物体やゲームのキャラクタに触覚的に触れる感覚を提示すること、 (7)コンテンツ内のシーンやストーリに合わせてバーチャルコントローラを自在に変形・変化させる感覚を提示すること、 (8)一方向に連続的な力感覚を提示すること、 (9)バーチャル物体の可触化感覚を提示すること、 (10)弾力感、粘性感を感じながらバーチャル物体を変形・移動する感覚を提示すること、 (11)外部から押された感覚を提示すること、 (12)一定方向に力が働く感覚を提示すること、 (13)一定方向への連続的な力感覚を提示すること、 (14)強い・弱い刺激を提示した方向に連続的な力感覚を提示すること、 (15)一定方向に連続的な並進力感覚を提示すること、 (16)断続的な力の方向とは反対方向に連続的な力感覚を提示すること、 (17)目的の方向である負の方向に並進的な力感覚やトルク感覚を連続的に提示すること、 (18)任意の方向に自在に力感覚を提示すること、 (19)慣れ及び/又は鈍化が防止されるように刺激の強度、周期、方向に揺らぎを与えることによって感覚を提示すること、 (20)膨張感覚、圧縮・圧迫感覚を提示すること、 (21)バーチャルコントローラの存在感覚、感触、ボタン操作感覚を提示すること、 (22)ボタンを押した時、押し返される反力感覚を提示すること、 (23)前記バーチャルコントローラを個人の掌に合わせた形状及び/又は変形の感覚を提示すること、 (24)前記バーチャルコントローラをコンテンツに合わせた形状に形成した感覚及び/又はストーリ展開に合わせた形状変形の感覚を提示すること、 (25)前記バーチャルコントローラの重さや慣性力を生成する感覚を提示すること、 (26)VR空間内にバーチャルボタンを配置した前記バーチャルコントローラの感覚を提示すること、 (27)並進的な及び/又は回転的な錯触力覚の感覚を提示すること、 (28)クリック感を提示すること、 の少なくとも一つを備える」ことを付加するものである。 甲1発明において提示される「仮想的な物体の存在、形状、弾性、テクスチャーなどの物体に関する様々な触力覚情報」(本件発明17の「バーチャル物体の感覚情報」に相当)は、物理的には存在していない力感覚であり、該力感覚の提示は、「掌に球や立方体などの3次元形状感覚、あるいは弾力感覚およびプニョプニョ感などの触覚感覚を提示することができ」るものであるから、このことは、本件発明17の、「バーチャル物体の感覚情報は、物理的には存在していない力感覚を備え、前記力感覚の提示は、(9)バーチャル物体の可触化感覚を提示することを備える」ことに相当する。 したがって、本件発明17と甲1発明は、「前記バーチャル物体の感覚情報及び/又は、操作感又は操作感覚は、物理的には存在していない力感覚、及び/又は、物理量とは異なる力感覚を備え、 前記力感覚の提示は、 (1)重力に逆らってインターフェース装置を持った腕が持ち上がる感覚を提示すること、 (2)前記インターフェース装置が持ちあがる感覚を提示すること、 (3)滑らかな感覚を提示すること、 (4)定速度回転でありながら加減速機構と同じような錯触力覚を提示すること、 (5)連続的な加速感を提示すること、 (6)バーチャル物体やゲームのキャラクタに触覚的に触れる感覚を提示すること、 (7)コンテンツ内のシーンやストーリに合わせてバーチャルコントローラを自在に変形・変化させる感覚を提示すること、 (8)一方向に連続的な力感覚を提示すること、 (9)バーチャル物体の可触化感覚を提示すること、 (10)弾力感、粘性感を感じながらバーチャル物体を変形・移動する感覚を提示すること、 (11)外部から押された感覚を提示すること、 (12)一定方向に力が働く感覚を提示すること、 (13)一定方向への連続的な力感覚を提示すること、 (14)強い・弱い刺激を提示した方向に連続的な力感覚を提示すること、 (15)一定方向に連続的な並進力感覚を提示すること、 (16)断続的な力の方向とは反対方向に連続的な力感覚を提示すること、 (17)目的の方向である負の方向に並進的な力感覚やトルク感覚を連続的に提示すること、 (18)任意の方向に自在に力感覚を提示すること、 (19)慣れ及び/又は鈍化が防止されるように刺激の強度、周期、方向に揺らぎを与えることによって感覚を提示すること、 (20)膨張感覚、圧縮・圧迫感覚を提示すること、 (21)バーチャルコントローラの存在感覚、感触、ボタン操作感覚を提示すること、 (22)ボタンを押した時、押し返される反力感覚を提示すること、 (23)前記バーチャルコントローラを個人の掌に合わせた形状及び/又は変形の感覚を提示すること、 (24)前記バーチャルコントローラをコンテンツに合わせた形状に形成した感覚及び/又はストーリ展開に合わせた形状変形の感覚を提示すること、 (25)前記バーチャルコントローラの重さや慣性力を生成する感覚を提示すること、 (26)VR空間内にバーチャルボタンを配置した前記バーチャルコントローラの感覚を提示すること、 (27)並進的な及び/又は回転的な錯触力覚の感覚を提示すること、 (28)クリック感を提示すること、 の少なくとも一つを備える」点で一致する。 よって、本件発明17と甲1発明とは全ての点で一致するから、本件発明17は、甲第1号証に記載された発明である。 また、請求項17に記載された複数の選択肢の内の上記一致するとした点以外の選択肢や発明の詳細な説明の記載を参酌した請求項の文言の解釈により、本件発明17と甲1発明とに相違点が存在したとしても、本件発明17は、甲1発明及び甲第2-7、10、11号証に記載された技術事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 (ツ)本件発明18について 本件発明18は、本件発明1ないし12を引用する本件発明17において、「前記バーチャルコントローラの情報は、ゲームソフト内に内包されるか、または、ネットワークを介してアイテムとして配布される」ことを付加したものであり、「前記バーチャルコントローラ」との記載から、本件発明17の(1)から(28)の選択肢のうち「バーチャルコントローラ」と記載されている選択肢を選択した場合について限定を付加するものである。 本件発明18は、上記「(ア)本件発明1について」で述べたように、本件発明1と甲1発明とは全ての点で一致し、また、上記「(チ)本件発明17について」で述べたように、本件発明17と甲1発明は、「前記バーチャル物体の感覚情報及び/又は、操作感又は操作感覚は、物理的には存在していない力感覚、及び/又は、物理量とは異なる力感覚を備え」る点で一致するから、本件発明18と甲1発明とは、次の点で相違し、その余の点では一致する。 [相違点] 本件発明18は、「前記力感覚の提示は、 (1)重力に逆らってインターフェース装置を持った腕が持ち上がる感覚を提示すること、 (2)前記インターフェース装置が持ちあがる感覚を提示すること、 (3)滑らかな感覚を提示すること、 (4)定速度回転でありながら加減速機構と同じような錯触力覚を提示すること、 (5)連続的な加速感を提示すること、 (6)バーチャル物体やゲームのキャラクタに触覚的に触れる感覚を提示すること、 (7)コンテンツ内のシーンやストーリに合わせてバーチャルコントローラを自在に変形・変化させる感覚を提示すること、 (8)一方向に連続的な力感覚を提示すること、 (9)バーチャル物体の可触化感覚を提示すること、 (10)弾力感、粘性感を感じながらバーチャル物体を変形・移動する感覚を提示すること、 (11)外部から押された感覚を提示すること、 (12)一定方向に力が働く感覚を提示すること、 (13)一定方向への連続的な力感覚を提示すること、 (14)強い・弱い刺激を提示した方向に連続的な力感覚を提示すること、 (15)一定方向に連続的な並進力感覚を提示すること、 (16)断続的な力の方向とは反対方向に連続的な力感覚を提示すること、 (17)目的の方向である負の方向に並進的な力感覚やトルク感覚を連続的に提示すること、 (18)任意の方向に自在に力感覚を提示すること、 (19)慣れ及び/又は鈍化が防止されるように刺激の強度、周期、方向に揺らぎを与えることによって感覚を提示すること、 (20)膨張感覚、圧縮・圧迫感覚を提示すること、 (21)バーチャルコントローラの存在感覚、感触、ボタン操作感覚を提示すること、 (22)ボタンを押した時、押し返される反力感覚を提示すること、 (23)前記バーチャルコントローラを個人の掌に合わせた形状及び/又は変形の感覚を提示すること、 (24)前記バーチャルコントローラをコンテンツに合わせた形状に形成した感覚及び/又はストーリ展開に合わせた形状変形の感覚を提示すること、 (25)前記バーチャルコントローラの重さや慣性力を生成する感覚を提示すること、 (26)VR空間内にバーチャルボタンを配置した前記バーチャルコントローラの感覚を提示すること、 (27)並進的な及び/又は回転的な錯触力覚の感覚を提示すること、 (28)クリック感を提示すること、 の少なくとも一つを備え」、「前記バーチャルコントローラの情報は、ゲームソフト内に内包されるか、または、ネットワークを介してアイテムとして配布される」ものであるのに対し、甲1発明は、そのような特定はなされていない点。 上記相違点について検討する。 甲1発明は、【0024】に記載されているように、「VR(Virtual Reality)の分野において用いられる機器,ゲームの分野において用いられる機器・・・などに搭載され得る」ものであり、このようなゲーム等の分野において、バーチャルコントローラを用いることは、普通に行われていることであり、甲第1号証にも、「仮想ホイール」(【0125】を参照)が、バーチャルコントローラの一例として記載されている。また、ゲームの動作に必要な情報を、ゲームソフト内に内包すること、ネットワークを介してアイテムとして配布することも普通に行われていることである。 したがって、甲1発明の触力覚情報提示システムの用途を、ゲームのバーチャルコントローラとして「(21)バーチャルコントローラの存在感覚、感触、ボタン操作感覚を提示」し、ゲームの動作に必要な情報である「バーチャルコントローラの情報」を、「ゲームソフト内に内包されるか、または、ネットワークを介してアイテムとして配布される」ようにして上記相違点に係る構成とすることは、当業者が容易に想到し得ることである。 よって、本件発明18は、甲1発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 (テ)本件発明19について 本件発明19は、本件発明1ないし12において、「前記錯触力覚は、 (1)人の身体に印加される、前記錯触力覚デバイス、前記触力覚デバイス、前記実物体、前記表示体の少なくとも一つの情報と、人の身体が感知する感覚量との関係が非線形特性であること、 (2)人の身体に印加される、前記錯触力覚デバイス、前記触力覚デバイス、前記実物体、前記表示体の少なくとも一つの情報と、人の身体が感知する感覚量との関係がヒステリシス特性であること、 の少なくとも一つを備える」ことを付加したものである。 甲1発明は、「(人に与える)力1043に対して非線形特性1031である力感覚1044(本件発明19の「錯触力覚」に相当)を提示する」ものであり、このことは、本件発明19の「人の身体に印加される、前記錯触力覚デバイス、前記触力覚デバイス、前記実物体、前記表示体の少なくとも一つの情報と、人の身体が感知する感覚量との関係が非線形特性である」ことに相当する。 したがって、本件発明19と甲1発明とは、「前記錯触力覚は、 (1)人の身体に印加される、前記錯触力覚デバイス、前記触力覚デバイス、前記実物体、前記表示体の少なくとも一つの情報と、人の身体が感知する感覚量との関係が非線形特性であること、 (2)人の身体に印加される、前記錯触力覚デバイス、前記触力覚デバイス、前記実物体、前記表示体の少なくとも一つの情報と、人の身体が感知する感覚量との関係がヒステリシス特性であること、 の少なくとも一つを備える」点で一致する。 よって、本件発明19と甲1発明とは全ての点で一致するから、本件発明19は、甲第1号証に記載された発明である。 また、請求項19に記載された複数の選択肢の内の上記一致するとした点以外の選択肢や発明の詳細な説明の記載を参酌した請求項の文言の解釈により、本件発明19と甲1発明とに相違点が存在したとしても、本件発明19は、甲1発明及び甲第2-7、10、11号証に記載された技術事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 (ト)本件発明20について 本件発明20は、本件発明1ないし12において、「前記錯触力覚デバイス、前記触力覚デバイス、前記実物体、前記表示体の少なくとも一つの情報は、 筋肉の緊張状態、身体的状態、生理的状態、心理的状態、呼吸、姿勢、神経発火状態の少なくとも一つの情報を用いる」ことを付加したものである。 甲1発明は、「人間の感覚特性および錯覚を利用することにより、物理的には存在し得ない力を人に提示することが可能になり、 前記感覚特性は、筋肉の緊張状態、身体的・生理的・心理的状態、呼吸・姿勢・神経発火の状態のいずれか1つ以上の状態により感覚感度が変化するもの」である。 上記力の提示は、「ツイン偏心回転子1172」(本件発明20でいう「錯触力覚デバイス」)によりなされるのであるから、甲1発明は、「前記錯触力覚デバイスの情報は、筋肉の緊張状態、身体的状態、生理的状態、心理的状態、呼吸、姿勢、神経発火状態の少なくとも一つの情報を用いる」ものであるといえる。 したがって、本件発明20と甲1発明とは、「前記錯触力覚デバイス、前記触力覚デバイス、前記実物体、前記表示体の少なくとも一つの情報は、 筋肉の緊張状態、身体的状態、生理的状態、心理的状態、呼吸、姿勢、神経発火状態の少なくとも一つの情報を用いる」点で一致する。 よって、本件発明20と甲1発明とは全ての点で一致するから、本件発明20は、甲第1号証に記載された発明である。 また、請求項20に記載された複数の選択肢の内の上記一致するとした点以外の選択肢や発明の詳細な説明の記載を参酌した請求項の文言の解釈により、本件発明20と甲1発明とに相違点が存在したとしても、本件発明20は、甲1発明及び甲第2-7、10、11号証に記載された技術事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 (ナ)本件発明21について 本件発明21は、本件発明1ないし12において、「前記錯触力覚デバイス、前記触力覚デバイス、前記実物体、前記表示体の少なくとも一つの情報は、刺激を備える物理量、運動量の少なくとも一つであり、 前記錯触力覚インターフェースは、 (1)人の身体に印加される前記情報と人の身体が感知する感覚量との関係を表す感覚特性の曲線上の複数の動作点を利用して、複数の動作点に対応した複数の該情報を生成すること、 (2)人の身体に印加される前記情報と人の身体が感知する感覚量との関係を表す感覚特性の曲線上の各動作点における動作継続時間を設定した該情報を生成すること、 (3)前記感覚量の積分値がゼロとならないような該情報を生成すること、 の少なくとも一つを備える」ことを付加したものである。 甲1発明は、上記(ア)で述べたように、「錯触力覚デバイスの刺激を備える物理量の情報」から錯触力覚が誘起されるものである。また、「ツイン偏心回転子1172の2つの偏心回転子A1012および偏心回転子B1013の合成回転速度の大きさ1042の時間微分に比例する力1043に対して非線形特性1031である力感覚1044を提示する」、「非線形特性上の動作点A1034および動作点B1035を適切に選択して、動作点A継続時間1045および動作点B継続時間1046を適切に設定し、2つの偏心回転子A1012およびB1013の同期位相を調整する」ものであり、さらに、「感覚量の前記力感覚1044の感覚的積分値がゼロにはなら」ないものである。 甲1発明のこれらの点は、本件発明21の「前記錯触力覚デバイスの情報は、刺激を備える物理量であり、 前記錯触力覚インターフェースは、 (1)人の身体に印加される前記情報と人の身体が感知する感覚量との関係を表す感覚特性の曲線上の複数の動作点を利用して、複数の動作点に対応した複数の該情報を生成すること、 (2)人の身体に印加される前記情報と人の身体が感知する感覚量との関係を表す感覚特性の曲線上の各動作点における動作継続時間を設定した該情報を生成すること、 (3)前記感覚量の積分値がゼロとならないような該情報を生成すること、 の少なくとも一つを備える」こと相当するといえる。 したがって、本件発明21と甲1発明とは、「前記錯触力覚デバイス、前記触力覚デバイス、前記実物体、前記表示体の少なくとも一つの情報は、刺激を備える物理量、運動量の少なくとも一つであり、 前記錯触力覚インターフェースは、 (1)人の身体に印加される前記情報と人の身体が感知する感覚量との関係を表す感覚特性の曲線上の複数の動作点を利用して、複数の動作点に対応した複数の該情報を生成すること、 (2)人の身体に印加される前記情報と人の身体が感知する感覚量との関係を表す感覚特性の曲線上の各動作点における動作継続時間を設定した該情報を生成すること、 (3)前記感覚量の積分値がゼロとならないような該情報を生成すること、 の少なくとも一つを備える」点で一致する。 よって、本件発明21と甲1発明とは全ての点で一致するから、本件発明21は、甲第1号証に記載された発明である。 また、請求項21に記載された複数の選択肢の内の上記一致するとした点以外の選択肢や発明の詳細な説明の記載を参酌した請求項の文言の解釈により、本件発明21と甲1発明とに相違点が存在したとしても、本件発明21は、甲1発明及び甲第2-7、10、11号証に記載された技術事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 (ニ)本件発明22について 本件発明22は、本件発明1ないし12において、「前記バーチャル物体の感覚情報、及び/又は、操作感又は操作感覚、及び/又は、前記身体的反応は、 (1)前記バーチャル物体に対する押込み、及び/又は、 (2)前記バーチャル物体に対する引っ張り、及び/又は、 (3)前記バーチャル物体に対する反力 を備える」ことを付加したものである。 甲1発明は、「掌に提示する抗力1193の空間的な強度分布を適切に調整することで、球状抗力1191や立方体状抗力1192などを提示することによって、掌に球や立方体などの3次元形状感覚、あるいは弾力感覚およびプニョプニョ感などの触覚感覚を提示することができ」るものである。 この「球や立方体などの3次元形状感覚、あるいは弾力感覚およびプニョプニョ感などの触覚感覚」は、本件発明22の「前記バーチャル物体の感覚情報は、(3)前記バーチャル物体に対する反力を備える」ことに相当するものであるといえる。 したがって、本件発明22と甲1発明とは、「前記バーチャル物体の感覚情報、及び/又は、操作感又は操作感覚、及び/又は、前記身体的反応は、 (1)前記バーチャル物体に対する押込み、及び/又は、 (2)前記バーチャル物体に対する引っ張り、及び/又は、 (3)前記バーチャル物体に対する反力 を備える」点で一致する。 よって、本件発明22と甲1発明とは全ての点で一致するから、本件発明22は、甲第1号証に記載された発明である。 また、請求項22に記載された複数の選択肢の内の上記一致するとした点以外の選択肢や発明の詳細な説明の記載を参酌した請求項の文言の解釈により、本件発明22と甲1発明とに相違点が存在したとしても、本件発明22は、甲1発明及び甲第2-7、10、11号証に記載された技術事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 (ヌ)本件発明23について 本件発明23は、本件発明1ないし12において、「前記バーチャル物体は、 移動、回転、拡大、縮小、変形の少なくとも一つの動きを備える」ことを付加したものである。 甲1発明は、「掌に提示する抗力1193の空間的な強度分布を時間的に変化させることによって、力が掌上を伝わって行く感覚1195、物が掌上を転がっていく感覚、力が掌を通過していく力感覚1196を提示すること」ができるものである。 これらの提示する感覚は、本件発明23の「前記バーチャル物体は、移動、回転の動きを備える」ことに相当する。 したがって、本件発明23と甲1発明は、「前記バーチャル物体は、 移動、回転、拡大、縮小、変形の少なくとも一つの動きを備える」点で一致する。 よって、本件発明23と甲1発明とは全ての点で一致するから、本件発明23は、甲第1号証に記載された発明である。 また、請求項23に記載された複数の選択肢の内の上記一致するとした点以外の選択肢や発明の詳細な説明の記載を参酌した請求項の文言の解釈により、本件発明23と甲1発明とに相違点が存在したとしても、本件発明23は、甲1発明及び甲第2-7、10、11号証に記載された技術事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 (ネ)本件発明24について 本件発明24は、本件発明1ないし12において、「前記バーチャル物体の感覚情報、及び/又は、操作感又は操作感覚は、前記バーチャル物体の操作者に提示され、前記身体的反応は、前記バーチャル物体の前記操作者に引き起こされる」ことを付加したものである。 甲1発明において、「仮想的な物体の存在、形状、弾性、テクスチャーなどの物体に関する様々な触力覚情報」(本件発明24の「バーチャル物体の感覚情報」に相当)が、仮想的な物体の操作者に提示され、身体的反応が該操作者に引き起こされるのは明らかであるから、本件発明24と甲1発明とは、「前記バーチャル物体の感覚情報、及び/又は、操作感又は操作感覚は、前記バーチャル物体の操作者に提示され、前記身体的反応は、前記バーチャル物体の前記操作者に引き起こされる」点で一致する。 よって、本件発明24と甲1発明とは全ての点で一致するから、本件発明24は、甲第1号証に記載された発明である。 また、請求項24に記載された複数の選択肢の内の上記一致するとした点以外の選択肢や発明の詳細な説明の記載を参酌した請求項の文言の解釈により、本件発明24と甲1発明とに相違点が存在したとしても、本件発明24は、甲1発明及び甲第2-7、10、11号証に記載された技術事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 (ノ)本件発明25について 本件発明25は、本件発明1ないし12において、「前記錯触力覚インターフェースは、コンテンツを作成し、該作成されたコンテンツは、センシング情報を基にCGを作成して、CGを表示する」ことを付加したものである。 本件発明25と甲1発明とを対比する。 本件発明25が引用する本件発明1ないし12が、甲1発明と全ての点で一致することから、両者は次の点で相違し、その余の点で一致する。 [相違点] 本件発明25は、「前記錯触力覚インターフェースは、コンテンツを作成し、該作成されたコンテンツは、センシング情報を基にCGを作成して、CGを表示する」ものであるのに対し、甲1発明はそのようなものではない点。 本件発明25と甲1発明には、上記相違点が存在するから、本件発明25は、甲第1号証に記載された発明であるとはいえない。 次に、上記相違点について検討する。 甲1発明は、甲第1号証の【0024】に記載されているように、「VR(Virtual Reality)の分野において用いられる機器,ゲームの分野において用いられる機器・・・などに搭載され得る」ものである。 甲1発明において、仮想的な物体(球や立方体)は、「錯触力覚インターフェース」が作成した「コンテンツ」といえる。また、VR(Virtual Reality)やゲームの分野において、操作情報などを基にコンテンツである仮想的な物体のCGを作成して表示することは普通に行われていることであるから、甲1発明をVR(Virtual Reality)やゲームに用いた場合において、仮想的な物体(球や立方体)のCGを作成して表示すること(本件発明25でいう「前記錯触力覚インターフェースは、コンテンツを作成し、該作成されたコンテンツは、センシング情報を基にCGを作成して、CGを表示する」こと)は、当業者が容易に想到し得ることである。 したがって、本件発明25は、甲1発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 (ハ)本件発明26について 本件発明26は、本件発明1ないし12において、「前記錯触力覚の感覚情報は、前記錯触力覚インターフェースの形状変化による感覚情報を備える」ことを付加したものである。 本件発明26と甲1発明とを対比する。 本件発明26が引用する本件発明1ないし12が、甲1発明と全ての点で一致することから、両者は次の点で相違し、その余の点で一致する。 [相違点] 本件発明26は、「前記錯触力覚の感覚情報は、前記錯触力覚インターフェースの形状変化による感覚情報を備える」ものであるのに対し、甲1発明はそのようなものではない点。 本件発明26と甲1発明には、上記相違点が存在するから、本件発明26は、甲第1号証に記載された発明であるとはいえない。 次に、上記相違点について検討する。 本件発明26における「錯触力覚インターフェースの形状変化」とは、明細書の【0180】の記載によれば、錯触力覚インターフェース自体の形状の変化をいうのであって、錯触力覚インターフェースが備えるデバイスの変化をいうものではない。 甲第1号証には、「前記錯触力覚の感覚情報は、前記錯触力覚インターフェースの形状変化による感覚情報を備える」ことについて記載されていないし、示唆もされていない。申立人は、甲第1号証に記載された、「ピエゾ素子」の「単振動」が、本件発明26の「錯触力覚インターフェースの形状変化」に該当すると主張するが、該「ピエゾ素子」は、錯触力覚インターフェースにおける、ユーザに感覚を提示するためのデバイスであって、その「単振動」が、錯触力覚インターフェースの形状変化といえるものではない。 したがって、本件発明26は、甲第1号証に記載された発明及び甲第2-7、10、11号証に記載された技術事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 (ヒ)本件発明27について 本件発明27は、本件発明1ないし12において、「ネットワークを介して得られたバーチャルコントローラ、及び/又は、バーチャル物体により駆動される」ことを付加したものである。 本件発明27と甲1発明とを対比する。 本件発明27が引用する本件発明1ないし12が、甲1発明と全ての点で一致することから、両者は次の点で相違し、その余の点で一致する。 [相違点] 本件発明27は、「ネットワークを介して得られたバーチャルコントローラ、及び/又は、バーチャル物体により駆動される」ものであるのに対し、甲1発明はそのようなものではない点。 上記相違点について検討する。 甲1発明は、【0024】に記載されているように、「VR(Virtual Reality)の分野において用いられる機器,ゲームの分野において用いられる機器・・・などに搭載され得る」ものであり、このようなゲーム等の分野において、バーチャルコントローラを用いることは、普通に行われていることであり、甲第1号証にも、「仮想ホイール」(【0125】を参照)が、バーチャルコントローラの一例として記載されている。また、ゲーム等の分野において、コントローラなどの動作に必要な情報を、ネットワークを介して配布することは普通に行われていることであるから、甲1発明において、「ネットワークを介して得られたバーチャルコントローラ、及び/又は、バーチャル物体により駆動される」ようにすることは、当業者が容易に想到し得ることである。 したがって、本件発明27は、甲1発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 (フ)本件発明28について 本件発明23は、本件発明1ないし12において、「前記錯触力覚デバイスを駆動する錯触力覚デバイス駆動装置と、 前記錯触力覚を誘起させることにより得られる錯触力感覚を提示するための錯触力覚情報を格納する記憶装置と、 前記記憶装置に格納された前記錯触力覚情報に基づいて、錯触力覚誘起関数を生成する錯触力覚誘起関数生成装置と、 をさらに備える」ことを付加したものである。 上記(ス)で述べたように、甲第1号証及び甲第2-7、10、11号証には、「錯触力覚誘起関数」を生成することについて記載されていないし、示唆もされていない。 したがって、本件発明28は、甲第1号証に記載された発明であるとはいえないし、甲第1号証に記載された発明及び甲第2-7、10、11号証に記載された技術事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるともいえない。 (ヘ)本件発明29について 本件発明29は、本件発明1ないし12において、「学習器及び/又は補正器を備え、錯触力覚データを用いて前記コンテンツに適応する錯触力覚誘起関数を生成する錯触力覚誘起関数生成装置をさらに備える」ことを付加したものである。 上記(ス)で述べたように、甲第1号証及び甲第2-7、10、11号証には、「錯触力覚誘起関数」を生成することについて記載されていないし、示唆もされていない。 したがって、本件発明29は、甲第1号証に記載された発明であるとはいえないし、甲第1号証に記載された発明及び甲第2-7、10、11号証に記載された技術事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるともいえない。 (ホ)本件発明30について 本件発明30における、「表示体」とは、上記(ア)で述べたように、「錯触力覚情報、触力覚情報、視覚情報、聴覚情報が表示されたもの」を意味し、具体的には、「バーチャル粘土」や「バーチャル・コントローラ」を意味すると認められる。 一方、甲1発明の「仮想的な物体」は、実際には存在しない掌の触覚などにより感じる球や立方体であるから、本願発明30の「錯触力覚情報、触力覚情報、視覚情報、聴覚情報の少なくとも一つを表示するバーチャル物体の表示体」に相当するものといえるから、本件発明30と甲1発明とは、「錯触力覚情報、触力覚情報、視覚情報、聴覚情報の少なくとも一つを表示するバーチャル物体の表示体」を備える点で一致する。 また、上記(ア)で述べたように、甲1発明は、「錯触力覚デバイスの、刺激を備える物理量の情報から、誘起される非線形感覚特性を備える錯触力覚によって、バーチャル物体の感覚情報を提示する、及び/又は、バーチャル物体による身体的反応を引き起こす」、「錯触力覚インターフェース」を備えるものであるといえる。 この「錯触力覚デバイスの、刺激を備える物理量の情報」(甲1発明の「ツイン偏心回転子1172の2つの偏心回転子A1012および偏心回転子B1013の合成回転速度の大きさ1042の時間微分に比例する力1043」)は、球や立方体の抗力を提示しようとするときには、提示しようとする球や立方体の抗力(すなわち、「表示体の、刺激を備える物理量の情報」)を用いて算出することは明らかであるから、甲1発明は、「表示体の、刺激を備える物理量の情報から誘起される非線形感覚特性を備える錯触力覚によって、(1)バーチャル物体の感覚情報を提示する、及び/又は、(2)前記バーチャル物体による身体的反応を引き起こす錯触力覚インターフェース装置」を備えるということができる。 よって、本件発明30と甲1発明とは、「前記表示体の、刺激を備える物理量の情報から誘起される非線形感覚特性を備える錯触力覚によって、(1)バーチャル物体の感覚情報を提示する、及び/又は、(2)前記バーチャル物体による身体的反応を引き起こす錯触力覚インターフェース装置」を備える点で一致する。 甲1発明のシステムは、仮想的な物体の存在、形状、弾性、テクスチャーなどの物体に関する様々な触力覚情報を提示するものであるから、「バーチャル物体表示装置」といえ、本件発明30と甲1発明とは、「バーチャル物体表示装置」である点で一致する。 したがって、本件発明30と甲1発明とは全ての点で一致するから、本件発明30は、甲第1号証に記載された発明である。 また、請求項30に記載された複数の選択肢の内の上記一致するとした点以外の選択肢や発明の詳細な説明の記載を参酌した請求項の文言の解釈により、本件発明30と甲1発明とに相違点が存在したとしても、本件発明30は、甲1発明及び甲第2-7、10、11号証に記載された技術事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 (マ)本件発明31について 本件発明31は、本件発明30において、「表示体は、プロジェクタ、ディスプレイ、ホログラム、ヘッドマウントディスプレイの少なくとも一つを備える」ことを付加したものである。 本件発明31と甲1発明とを対比する。 上記(ホ)で述べたように、本件発明31が引用する本件発明30が、甲1発明と全ての点で一致することから、両者は次の点で相違し、その余の点で一致する。 [相違点] 本件発明31は、「表示体は、プロジェクタ、ディスプレイ、ホログラム、ヘッドマウントディスプレイの少なくとも一つを備える」ものであるのに対し、甲1発明はそのような特定はなされていない点。 本件発明31と甲1発明には、上記相違点が存在するから、本件発明31は、甲第1号証に記載された発明であるとはいえない。 次に、上記相違点について検討する。 甲1発明は、甲第1号証の【0024】に記載されているように、「VR(Virtual Reality)の分野において用いられる機器,ゲームの分野において用いられる機器・・・などに搭載され得る」ものである。 VR(Virtual Reality)やゲームの分野において、仮想的な物体をディスプレイなどに表示することは普通に行われていることであるから、甲1発明において、表示体を表示するための、プロジェクタ、ディスプレイ、ホログラム、ヘッドマウントディスプレイの少なくとも一つを備えることは、当業者が容易に想到し得ることである。 したがって、本件発明31は、甲1発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 (ミ)まとめ 以上のとおり、本件発明1-12、15-17、19-24、30は、甲第1号証に記載された発明である。 また、本件発明1-12、15-25、27、30、31は、甲第1号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 さらに、本件発明13、14、26、28、29は、甲第1号証に記載された発明であるとはいえないし、甲第1号証に記載された発明及び甲第2-7、10、11号証に記載された技術事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるともいえない。 イ.取消理由3、及び、取消理由4の検討 (第36条第6項第1号、第36条第6項第2号) (ア)本件発明1について 「錯触力覚」とは、上記ア.(ア)で述べたように、錯覚による物理的には存在していない力の知覚であり、具体的には、偏心錘の回転によって生成された運動量の変化により誘起される錯覚による力である。よって、これに対する「触力覚」とは、錯覚によるものではない物理的に存在している力の知覚であると理解できる。 「表示体」とは、上記ア.(ア)で述べたように、「錯触力覚情報、触力覚情報、視覚情報、聴覚情報が表示されたもの」を意味し、具体的には、「バーチャル粘土」や「バーチャル・コントローラ」を意味するものである。 「錯触力覚デバイスのコンテンツの情報」、及び、「触力覚デバイスのコンテンツの情報」とは、明細書の【0051】、【0052】、【0069】、【0120】、【0127】、【0183】の記載に基づいて、それぞれ、錯触力覚デバイスにより提示されるコンテンツの情報、及び、触力覚デバイスにより提示されるコンテンツの情報を意味していると理解できる。 「実物体の運動量」とは、明細書の【0032】、【0046】、【0066】、【0107】、【0222】の記載に基づいて、バーチャル物体に対する実際に存在する物体の運動を表す量を意味していると理解できる。 「表示体の刺激を備える物理量」、「表示体の運動量」とは、明細書の【0060】-【0065】、【0218】-【0221】の記載に基づいて、「表示体」が、ユーザに刺激を提示するための物理量、運動を表す量を意味すると理解できる。 「表示体のコンテンツの情報」とは、明細書の【0044】-【0046】、【0183】の記載に基づいて、バーチャルコントローラなどの「表示体」の内容(コンテンツ)の情報を意味すると理解できる。 「表示体への操作情報」とは、明細書の【0110】、【0183】の記載に基づいて、バーチャルコントローラなどの「表示体」への操作情報を意味すると理解できる。 これらの用語の理解に基づいて、本件発明1は、請求項1に記載されたとおりのものであると認められる明確なものであり、発明の詳細な説明に記載されたものである。 (イ)本件発明2-29について 本件発明2-29についても、上記(ア)で述べた事項について同様に理解でき、また、その他の用語、文言についても、当業者に明確に理解できるものであり、発明の詳細な説明に記載されたものである。 (ウ)本件発明30、31について 平成28年6月21日付けの訂正請求により訂正された請求項30の記載により、本件発明30は明確なものとなり、また、発明の詳細な説明に記載されたものである。請求項30を引用する請求項31についても、同様に、明確なものとなり、発明の詳細な説明に記載されたものである。 (エ)まとめ 以上のとおり、本件発明1-31は、明確なものであり、発明の詳細な説明に記載されたものである。 (2)取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由について 申立人は、本件特許明細書の発明の詳細な説明は、当業者が本件発明1-31の実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものではないから、その特許は、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである旨主張している。 しかしながら、上記(1)イ.で述べたように、本件発明1-31は、明確なものであって、発明の詳細な説明に記載されたものであり、該記載に基づいて当業者が本件発明1-31の実施をすることができるものである。 したがって、本件特許明細書の発明の詳細な説明は、当業者が本件発明1-31の実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものではないということはできない。 よって、申立人の主張には理由がない。 第4.むすび 以上のとおりであるから、請求項1-12、15-25、27、30、31に係る特許は、特許法第29条第1項第3号、第2項の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。 また、取消理由通知書に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載された特許異議申立理由によっては、請求項13、14、26、28、29に係る特許を取り消すことはできない。 他に請求項13、14、26、28、29に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。

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2016-700054

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