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特許異議申立

2024-700526

昇華装置及び昇華方法

審判番号
2024-700526
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2019-184553
登録番号
7390703
請求日
2024年06月04日
審決日
2026年01月14日
公報発行日
2026年04月24日
結論
訂正認容
当事者
  • 【権利者】国立研究開発法人産業技術総合研究所
  • 【権利者代理人】弁理士法人クオリオ
  • 【権利者代理人】赤羽 修一
  • 【権利者代理人】星野 宏和
  • 【権利者代理人】篠田 育男
  • 【権利者代理人】田中 幸恵
  • 【権利者代理人】鈴木 悠也
  • 【異議申立人】松村 朋子
審判長/審判官
  • 審判長 水野 治彦
  • 審判官 上田 雄
  • 審判官 平瀬 知明
分類
P1652.851-XA (F26B) / P1652.853-XA (F26B) / P1652.856-XA (F26B)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法120条の2第2項特許法120条の8第1項特許法135条
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第120条の5第9項、特許法第120条の5第2項、特許法第120条の2第2項、特許法第120条の5第4項、特許法第126条第7項、特許法第126条第5項、特許法第120条の5第7項、特許法第126条第6項、特許法第120条の8第1項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特許第7390703号発明「昇華装置及び昇華方法」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第7390703号の特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~6〕、7、〔8~13〕及び14について訂正することを認める。 特許第7390703号の請求項1~3、5~6、8~11及び13に係る特許についての特許異議申立てを却下する。

理由

理 由 第1 手続の経緯 特許第7390703号(以下「本件特許」という。)の請求項1~14に係る特許についての出願は、令和元年10月7日の出願であって、令和5年11月24日にその特許権の設定登録がされ、同年12月4日に特許掲載公報が発行され、その後、その特許に対し、令和6年6月4日に特許異議申立人松村朋子(以下「申立人」という。)により、本件特許の請求項1~3、5~6、8~11及び13に係る特許に対して特許異議の申立てがされたものである。 その後の経緯は、以下のとおりである。 令和6年 7月18日付け:手続補正指令書(方式) 同年 8月 2日付け:特許異議申立書を補正する手続補正書の提出 (申立人) 同年 9月26日付け:取消理由通知 同年11月15日 :訂正請求書及び意見書の提出(特許権者) 同年11月28日付け:手続補正指令書(方式) 同年12月16日 :訂正請求書を補正する手続補正書の提出 (特許権者) 令和7年 1月27日付け:訂正請求があった旨の通知(申立人宛) 同年 3月 3日 :意見書の提出(申立人) 同年 4月17日 :意見書を補正する手続補正書の提出 同年 7月23日付け:取消理由通知 同年 9月 5日 :訂正請求書及び意見書の提出(特許権者) 同年 9月29日付け:訂正請求があった旨の通知(申立人宛) なお、令和6年11月15日にされた訂正請求書による訂正の請求は、特許法第120条の5第7項の規定により、取り下げられたものとみなす。 また、令和7年9月29日付けの通知書によって、申立人に対し、相当の期間を指定して、意見書を提出する機会を与えたが、意見書の提出はなかった。 第2 訂正の適否について 令和7年9月5日にされた訂正請求による訂正(以下「本件訂正」という。)の内容は、次のとおりである。下線は訂正箇所を示すものである。 1 一群の請求項1~7の訂正について (1)訂正の内容 ア 訂正事項1 特許請求の範囲の請求項1に 「マイクロ波照射空間に配され、固体状の被処理対象物が収納される真空容器と、 マイクロ波を照射してマイクロ波照射空間内に定在波を形成するマイクロ波加熱手段とを含み、 前記被処理対象物から不要な成分を昇華して除去している間に、前記定在波の電界又は磁界を前記被処理対象物に作用させることにより前記被処理対象物を加熱する、昇華装置。」 と記載されているのを、 「マイクロ波照射空間に配され、固体状の被処理対象物が収納される真空容器と、 マイクロ波を照射してマイクロ波照射空間内に定在波を形成するマイクロ波加熱手段とを含み、 前記被処理対象物から不要な成分を昇華して除去している間に、前記定在波の電界又は磁界を前記被処理対象物に作用させることにより前記被処理対象物を加熱する、昇華装置であって、 前記定在波の共振周波数の変化に基づき前記被処理対象物の少なくとも一部の融解を検知し、当該検知に基づき前記マイクロ波の出力を制御する制御部を有する、昇華装置。」 に訂正する。請求項1の記載を直接的に又は間接的に引用する請求項2、3、5及び6も同様に訂正する。 イ 訂正事項2 特許請求の範囲の請求項4を削除する。 ウ 訂正事項3 特許請求の範囲の請求項5に 「前記定在波は、TMmn0(mは0以上の整数、nは1以上の整数)もしくは、TEm0n(m、nは1以上の整数)のシングルモードである請求項1~4のいずれか1項に記載の昇華装置。」 と記載されているのを、 「前記定在波は、TMmn0(mは0以上の整数、nは1以上の整数)もしくは、TEm0n(m、nは1以上の整数)のシングルモードである請求項1~3のいずれか1項に記載の昇華装置。」 に訂正する。 エ 訂正事項4 特許請求の範囲の請求項6に 「前記昇華装置が真空凍結乾燥装置である、請求項1~5のいずれか1項に記載の昇華装置。」 と記載されているのを、 「前記昇華装置が真空凍結乾燥装置である、請求項1~3及び5のいずれか1項に記載の昇華装置。」 に訂正する。 オ 訂正事項5 特許請求の範囲の請求項7に 「前記昇華装置が、噴霧凍結粉末を生成するための凍結チャンバを有しない、請求項1~6のいずれか1項に記載の昇華装置。」 と記載されているのを、 請求項1を引用する部分について独立形式に改め、 「マイクロ波照射空間に配され、固体状の被処理対象物が収納される真空容器と、 マイクロ波を照射してマイクロ波照射空間内に定在波を形成するマイクロ波加熱手段とを含み、 前記被処理対象物から不要な成分を昇華して除去している間に、前記定在波の電界又は磁界を前記被処理対象物に作用させることにより前記被処理対象物を加熱する、昇華装置であって、 前記昇華装置が、噴霧凍結粉末を生成するための凍結チャンバを有しない、昇華装置。」 に訂正する。 (2)訂正の適否について ア 一群の請求項について 訂正前の請求項1~7について、請求項2~7は、請求項1を直接的又は間接的に引用しているものであって、訂正事項1によって記載が訂正される請求項1に連動して訂正されるものである。したがって、訂正前の請求項1~7に対応する訂正後の請求項1~7は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項である。 イ 訂正事項1 (ア)訂正の目的 訂正事項1は、訂正前の請求項1に記載された「昇華装置」に対し、「前記定在波の共振周波数の変化に基づき前記被処理対象物の少なくとも一部の融解を検知し、当該検知に基づき前記マイクロ波の出力を制御する制御部を有する」との発明特定事項を直列的に付加して限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 (イ)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること 訂正事項1は、訂正前の請求項4、及び願書に添付した明細書の段落【0035】の記載に基づくものであるから、願書に添付した明細書、 特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合するものである。 (ウ)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正でないこと 訂正事項1は、発明特定事項を直列的に付加するものであって、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項に適合するものである。 (エ)特許出願の際に独立して特許を受けることができること 訂正事項1により訂正される請求項1は、訂正前の請求項1について特許異議の申立てがされているので、訂正事項1に関して、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する同法第126条第7項の独立特許要件は課されない。 ウ 訂正事項2 (ア)訂正の目的 訂正事項2は、訂正前の請求項4を削除するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 (イ)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること 訂正事項2は、訂正前の請求項4を削除するものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合するものである。 (ウ)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと 訂正事項2は、訂正前の請求項4を削除するものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項に適合するものである。 (エ)特許出願の際に独立して特許を受けることができること 訂正事項2は、訂正前の請求項4を削除するものであるから、訂正事項2に関して、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する同法第126条第7項の独立特許要件は課されない。 エ 訂正事項3 (ア)訂正の目的 訂正事項3は、訂正前の請求項5が、請求項1~4のいずれかを引用するものであったのを、訂正事項2により訂正前の請求項4が削除されたことに伴い、請求項1~3のいずれかを引用するものとしたものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。 (イ)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること 訂正事項3は、訂正事項2により訂正前の請求項4が削除されたことに伴い、請求項1~3のいずれかを引用するものとしたものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合するものである。 (ウ)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないことについて 訂正事項4は、訂正事項2により訂正前の請求項4が削除されたことに伴い、請求項間の引用関係を整合させるために請求項1~3のいずれかを引用するものとしたものであって、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。よって、訂正事項4は、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項の規定に適合するものである。 (エ)特許出願の際に独立して特許を受けることができること 訂正事項3により訂正される請求項5は、訂正前の請求項5について特許異議の申立てがされているので、訂正事項3に関して、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する同法第126条第7項の独立特許要件は課されない。 オ 訂正事項4 (ア)訂正の目的 訂正事項4は、訂正前の請求項6が請求項1~5のいずれかを引用するものであったのを、訂正事項2により訂正前の請求項4が削除されたことに伴い、請求項1~3及び5のいずれかを引用するものとしたものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。 (イ)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること 訂正事項4は、訂正事項2により訂正前の請求項4が削除されたことに伴い、請求項1~3及び5のいずれかを引用するものとしたものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合するものである。 (ウ)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと 訂正事項4は、訂正事項2により訂正前の請求項4が削除されたことに伴い、請求項間の引用関係を整合させるために請求項1~3及び5のいずれかを引用するものとしたものであって、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。よって、訂正事項4は、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項の規定に適合するものである。 (エ)特許出願の際に独立して特許を受けることができること 訂正事項4により訂正される請求項6は、訂正前の請求項6について特許異議の申立てがされているので、訂正事項4に関して、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する同法第126条第7項の独立特許要件は課されない。 カ 訂正事項5 (ア)訂正の目的 訂正事項5は、訂正前の請求項7が、請求項1~6のいずれかを引用する記載であったのを、請求項1を引用するものについて、請求項間の引用関係を解消して、独立形式請求項に改めるものである。 よって、訂正事項5は、特許法第120条の5第2項ただし書第4号に掲げる「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とするものである。 (イ)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること 訂正事項5は、訂正前の請求項1、及び願書に添付した明細書の段落【0013】の記載に基づくものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合するものである。 (ウ)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないことについて 訂正事項5は、訂正前の請求項7が、請求項1を引用するものについて、独立形式請求項に改めるものであって、カテゴリーや対象、目的を変更するものでもないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。よって、訂正事項5は、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項の規定に適合するものである。 (エ)特許出願の際に独立して特許を受けることができること 訂正事項5は、訂正前の請求項7が請求項1~6のいずれかを引用する記載であったのを、請求項1を引用するものについて、請求項間の引用関係を解消して、独立形式請求項に改めるものであり、請求項7は請求項間の引用関係の解消を目的とする訂正のみがされた請求項であるから、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する特許法第126条第7項の独立特許要件は課されない。 キ 別の訂正単位とする求めについての検討 特許権者は、訂正後の請求項7についての訂正が認められる場合には、一群の請求項1~7とは、別の訂正単位にすることを求めている。そして、訂正事項5は、一群の請求項1~7を構成する請求項7について引用関係を解消する訂正をするものであるから、訂正事項5により訂正された訂正後の請求項7は、別の訂正単位とすることを認める。 2 一群の請求項8~14の訂正について (1)訂正の内容 ア 訂正事項6 特許請求の範囲の請求項8に 「真空容器内に収納した固体状の被処理対象物から不要な成分を昇華して除去している間に、該被処理対象物にマイクロ波の定在波を照射して、該定在波の電界又は磁界を該被処理対象物に作用させることにより該被処理対象物を加熱する、昇華方法。」 と記載されているのを、 「真空容器内に収納した固体状の被処理対象物から不要な成分を昇華して除去している間に、該被処理対象物にマイクロ波の定在波を照射して、該定在波の電界又は磁界を該被処理対象物に作用させることにより該被処理対象物を加熱する、昇華方法であって、 前記定在波の共振周波数の変化に基づき前記被処理対象物の少なくとも一部の融解を検知し、当該検知に基づいて前記マイクロ波の出力を制御する、昇華方法。」 に訂正する。請求項8の記載を直接的に又は間接的に引用する請求項9~11及び13も同様に訂正する。 イ 訂正事項7 特許請求の範囲の請求項12を削除する。 ウ 訂正事項8 特許請求の範囲の請求項13に 「前記定在波は、TMmn0(mは0以上の整数、nは1以上の整数)もしくは、TEm0n(m、nは1以上の整数)のシングルモードである請求項8~12のいずれか1項に記載の昇華方法。」 と記載されているのを、 「前記定在波は、TMmn0(mは0以上の整数、nは1以上の整数)もしくは、TEm0n(m、nは1以上の整数)のシングルモードである請求項8~11のいずれか1項に記載の昇華方法。」 に訂正する。 エ 訂正事項9 特許請求の範囲の請求項14に 「前記昇華方法が、噴霧凍結粉末を生成するための凍結チャンバを用いない、請求項8~13のいずれか1項に記載の昇華方法。」 と記載されているのを、請求項8を引用する部分について独立形式に改め、 「真空容器内に収納した固体状の被処理対象物から不要な成分を昇華して除去している間に、該被処理対象物にマイクロ波の定在波を照射して、該定在波の電界又は磁界を該被処理対象物に作用させることにより該被処理対象物を加熱する、昇華方法であって、 前記昇華方法が、噴霧凍結粉末を生成するための凍結チャンバを用いない、昇華方法。」 に訂正する。 (2)訂正の適否について ア 一群の請求項について 訂正前の請求項8~14について、請求項9~14は、請求項8を直接的又は間接的に引用しているものであって、訂正事項6によって記載が訂正される請求項8に連動して訂正されるものである。したがって、訂正前の請求項8~14に対応する訂正後の請求項8~14は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項である。 イ 訂正事項6 (ア)訂正の目的 訂正事項6は、訂正前の請求項8に記載された「昇華装置」に対し、「前記定在波の共振周波数の変化に基づき前記被処理対象物の少なくとも一部の融解を検知し、当該検知に基づき前記マイクロ波の出力を制御する」との発明特定事項を直列的に付加して限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 (イ)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること 訂正事項6は、訂正前の請求項12及び願書に添付した明細書の段落【0035】の記載に基づくものであるから、願書に添付した明細書、 特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。 (ウ)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと 訂正事項6は、発明特定事項を直列的に付加するものであって、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項に適合するものである。 (エ)特許出願の際に独立して特許を受けることができること 訂正事項6により訂正される請求項8は、訂正前の請求項8について特許異議の申立てがされているので、訂正事項6に関して、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する特許法第126条第7項の独立特許要件は課されない。 ウ 訂正事項7 (ア)訂正の目的 訂正事項7は、訂正前の請求項12を削除するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 (イ)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること 訂正事項7は、訂正前の請求項12を削除するものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。 (ウ)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと 訂正事項7は、訂正前の請求項12を削除するものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。 (エ)特許出願の際に独立して特許を受けることができること 訂正事項7は、訂正前の請求項12を削除するものであり、訂正事項7に関して、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する同法第126条第7項の独立特許要件は課されない。 エ 訂正事項8 (ア)訂正の目的 訂正事項8は、訂正前の請求項13が請求項8~12のいずれかを引用するものであったのを、訂正事項7により訂正前の請求項12が削除されたことに伴い、請求項8~11のいずれかを引用するものとしたものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。 (イ)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること 訂正事項8は、訂正事項7により訂正前の請求項12が削除されたことに伴い、請求項8~11のいずれかを引用するものとしたものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合するものである。 (ウ)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないことについて 訂正事項8は、訂正事項7により訂正前の請求項12が削除されたことに伴い、請求項間の引用関係を整合させるために請求項8~11のいずれかを引用するものとしたものであって、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。よって、訂正事項8は、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項の規定に適合するものである。 (エ)特許出願の際に独立して特許を受けることができること 訂正事項8により訂正される請求項13は、訂正前の請求項13について特許異議の申立てがされているので、訂正事項8に関して、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する同法第126条第7項の独立特許要件は課されない。 オ 訂正事項9 (ア)訂正の目的 訂正事項9は、訂正前の請求項14が、請求項8~13のいずれかを引用する記載であったのを、請求項8を引用するものについて、請求項間の引用関係を解消して、独立形式請求項に改めるものである。 よって、訂正事項9は、特許法第120条の5第2項ただし書第4号に掲げる「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とするものである。 (イ)新規事項の有無 訂正事項9は、訂正前の請求項8、及び願書に添付した明細書の段落【0013】の記載に基づくものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合するものである。 (ウ)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないことについて 訂正事項9は、訂正前の請求項14が、請求項8を引用するものについて、独立形式請求項に改めるものであって、カテゴリーや対象、目的を変更するものでもないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。よって、訂正事項9は、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項の規定に適合するものである。 (エ)特許出願の際に独立して特許を受けることができること 訂正事項9は、訂正前の請求項14が請求項8~13のいずれかを引用する記載であったのを、請求項8を引用するものについて、請求項間の引用関係を解消して、独立形式請求項に改めるものであり、請求項14は請求項間の引用関係の解消を目的とする訂正のみがされた請求項であるから、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する同法第126条第7項の独立特許要件は課されない。 カ 別の訂正単位とする求め 特許権者は、訂正後の請求項14についての訂正が認められる場合には、一群の請求項8~14とは、別の訂正単位にすることを求めている。そして、訂正事項9は、一群の請求項8~14を構成する請求項14について引用関係を解消する訂正をするものであるから、訂正事項9により訂正された訂正後の請求項14は、別の訂正単位とすることを認める。 3 小括 上記のとおり、訂正事項1~9に係る訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号、第3号及び第4号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。 したがって、特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~6〕、7、〔8~13〕及び14について訂正することを認める。 第3 審理の対象について 1 本件訂正後の特許請求の範囲 本件訂正後の特許請求の範囲は以下のとおりである。 「【請求項1】 マイクロ波照射空間に配され、固体状の被処理対象物が収納される真空容器と、 マイクロ波を照射してマイクロ波照射空間内に定在波を形成するマイクロ波加熱手段とを含み、 前記被処理対象物から不要な成分を昇華して除去している間に、前記定在波の電界又は磁界を前記被処理対象物に作用させることにより前記被処理対象物を加熱する、昇華装置であって、 前記定在波の共振周波数の変化に基づき前記被処理対象物の少なくとも一部の融解を検知し、当該検知に基づき前記マイクロ波の出力を制御する制御部を有する、昇華装置。 【請求項2】 前記真空容器内を真空にする真空排気手段を有する請求項1に記載の昇華装置。 【請求項3】 前記マイクロ波加熱手段は、前記マイクロ波照射空間を有する空胴共振器と、マイクロ波発生器とを含む請求項1又は2に記載の昇華装置。 【請求項4】(削除) 【請求項5】 前記定在波は、TMmn0(mは0以上の整数、nは1以上の整数)もしくは、TEm0n(m、nは1以上の整数)のシングルモードである請求項1~3のいずれか1項に記載の昇華装置。 【請求項6】 前記昇華装置が真空凍結乾燥装置である、請求項1~3及び5のいずれか1項に記載の昇華装置。 【請求項7】 マイクロ波照射空間に配され、固体状の被処理対象物が収納される真空容器と、 マイクロ波を照射してマイクロ波照射空間内に定在波を形成するマイクロ波加熱手段とを含み、 前記被処理対象物から不要な成分を昇華して除去している間に、前記定在波の電界又は磁界を前記被処理対象物に作用させることにより前記被処理対象物を加熱する、昇華装置であって、 前記昇華装置が、噴霧凍結粉末を生成するための凍結チャンバを有しない、昇華装置。 【請求項8】 真空容器内に収納した固体状の被処理対象物から不要な成分を昇華して除去している間に、該被処理対象物にマイクロ波の定在波を照射して、該定在波の電界又は磁界を該被処理対象物に作用させることにより該被処理対象物を加熱する、昇華方法であって、 前記定在波の共振周波数の変化に基づき前記被処理対象物の少なくとも一部の融解を検知し、当該検知に基づいて前記マイクロ波の出力を制御する、昇華方法。 【請求項9】 前記昇華で失われた前記被処理対象物の熱量を、前記定在波照射により該被処理対象物に供給する、請求項8に記載の昇華方法。 【請求項10】 前記昇華方法が真空凍結乾燥方法である、請求項8又は9に記載の昇華方法。 【請求項11】 前記被処理対象物中の氷を昇華対象とする、請求項8~10のいずれか1項に記載の昇華方法。 【請求項12】(削除) 【請求項13】 前記定在波は、TMmn0(mは0以上の整数、nは1以上の整数)もしくは、TEm0n(m、nは1以上の整数)のシングルモードである請求項8~11のいずれか1項に記載の昇華方法。 【請求項14】 真空容器内に収納した固体状の被処理対象物から不要な成分を昇華して除去している間に、該被処理対象物にマイクロ波の定在波を照射して、該定在波の電界又は磁界を該被処理対象物に作用させることにより該被処理対象物を加熱する、昇華方法であって、 前記昇華方法が、噴霧凍結粉末を生成するための凍結チャンバを用いない、昇華方法。」 2 本件訂正前後の請求項の対応関係について (1)本件訂正後の請求項1について 本件訂正後の請求項1は、本件訂正前の請求項1の発明特定事項を訂正前の請求項4の発明特定事項で更に特定したものであり、訂正前の請求項4に対応する。 (2)本件訂正後の請求項2及び3について 本件訂正後の請求項2及び3は、本件訂正前の請求項2及び3の発明特定事項を、訂正前の請求項4の発明特定事項で更に特定したものであり、訂正前の請求項2及び3を引用する訂正前の請求項4にそれぞれ対応する。 (3)本件訂正後の請求項5及び6について 本件訂正後の請求項5及び6は、本件訂正前の請求項5及び6の発明特定事項を、訂正前の請求項4の発明特定事項で更に特定したものであり、訂正前の請求項4を引用する訂正前の請求項5及び6にそれぞれ対応する。 (4)本件訂正後の請求項7について 本件訂正後の請求項7は、本件訂正前の請求項7の発明特定事項を訂正前の請求項1の発明特定事項で更に特定したものであり、訂正前の請求項7に対応する。 (5)本件訂正後の請求項8について 本件訂正後の請求項8は、本件訂正前の請求項8の発明特定事項を訂正前の請求項12の発明特定事項で更に特定したものであり、訂正前の請求項12に対応する。 (6)本件訂正後の請求項9~11について 本件訂正後の請求項9~11は、本件訂正前の請求項9~11の発明特定事項を、訂正前の請求項12の発明特定事項で更に特定したものであり、訂正前の請求項9~11を引用する訂正前の請求項12にそれぞれ対応する。 (7)本件訂正後の請求項13について 本件訂正後の請求項13は、本件訂正前の請求項13の発明特定事項を訂正前の請求項12で更に特定したものであり、訂正前の請求項12を引用する訂正前の請求項13に対応する。 (8)本件訂正後の請求項14について 本件訂正後の請求項14は、本件訂正前の請求項14の発明特定事項を訂正前の請求項8の発明特定事項で更に特定したものであり、訂正前の請求項14に対応する。 3 当審の判断 (1)本件訂正後の請求項1、7、8及び14について 本件訂正後の請求項1、7、8及び14は、訂正前の請求項4、7、12及び14に対応する。そして、訂正前の請求項4、7、12及び14は、特許異議の申立てがされていないから、それに対応する本件訂正後の請求項1、7、8及び14は、特許法第120条の2第2項の規定により、審理することができない。 (2)本件訂正後の請求項2、3、5、6、9~11及び13について 本件訂正後の請求項2、3、5、6、9~11及び13は、上記2のとおり、訂正前の請求項2及び3を引用する訂正前の請求項4、訂正前の請求項4を引用する訂正前の請求項5及び6、訂正前の請求項9~11を引用する訂正前の請求項12及び訂正前の請求項12を引用する訂正前の請求項13にそれぞれ対応する。そして、訂正前の請求項2及び3を引用する訂正前の請求項4、訂正前の請求項4を引用する訂正前の請求項5及び6、訂正前の請求項9~11を引用する訂正前の請求項12及び訂正前の請求項12を引用する訂正前の請求項13は、特許異議の申立てがされていない訂正前の請求項4又は12の発明特定事項をすべて含むものであるから、本件異議申立の趣旨及び申立人の主張に鑑みると、審理することができないものであったと解される。 そうすると、訂正前の請求項2及び3を引用する訂正前の請求項4、訂正前の請求項4を引用する訂正前の請求項5及び6、訂正前の請求項9~11を引用する訂正前の請求項12及び訂正前の請求項12を引用する訂正前の請求項13に対応する本件訂正後の請求項2、3、5、6、9~11及び13は、本件訂正後の請求項1、7、8及び14と同様に審理することができない。 (3)小括 上記(1)のとおり、本件訂正後の請求項1、7、8及び14は、特許異議申立てのされていない訂正前の請求項4、7、12及び14にそれぞれ対応するものであるから、特許法第120条の2第2項の規定により、審理することができない。 また、上記(2)のとおり、本件訂正後の請求項2、3、5、6、9~11及び13は、本件訂正後の請求項1、7、8及び14と同様に審理することができない。 第4 むすび 上記第3のとおり、本件訂正後の請求項1~3、5~11、13及び14は、いずれも、特許法第120条の2第2項の規定により、審理することができないものである。 したがって、本件特許の請求項1~3、5~6、8~11及び13に係る特許についての特許異議の申立ては、適法な訂正により申立ての対象が実質的に存在しないことになったから、特許法第120条の8第1項で準用する同法第135条の規定により却下すべきものである。 よって、結論のとおり決定する。

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2024-700526

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