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特許拒絶査定不服審判

2016-011053

波長変換型発光デバイス

審判番号
2016-011053
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2013-530838外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2016年07月22日
審決日
2017年02月27日
公報発行日
2017年09月29日
結論
請求不成立
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .575-WZ (H01L) / P18 .121-WZ (H01L)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項、特許法第17条の2第5項第2号、特許法第17条の2第6項
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

特願2013-530838「波長変換型発光デバイス」拒絶査定不服審判事件〔平成24年 4月 5日国際公開、WO2012/042452、平成25年10月17日国内公表、特表2013-539229〕について、次のとおり審決する。

結論

【結 論】 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

【理 由】 第1 手続の経緯 本願は、2011年9月23日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2010年9月29日、米国)を国際出願日とする出願であって、平成25年4月3日に特許請求の範囲が補正され、平成27年4月8日付けで拒絶理由が通知され、同年10月14日に明細書及び特許請求の範囲が補正され、平成28年3月23日付けで拒絶査定がされ、これに対して、同年7月22日に拒絶査定不服審判が請求されると同時に特許請求の範囲が補正されたものである。 第2 補正却下の決定 [補正却下の決定の結論] 平成28年7月22日付け手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。 [理由] 1 本件補正の内容 本件補正は、特許請求の範囲の請求項17を 「第1のピーク波長を有する第1の光を放射することが可能な半導体発光デバイス; 前記第1の光を吸収して第2のピーク波長を有する第2の光を放射することが可能な半導体波長変換素子であり: 前記第2のピーク波長は赤色であり、 該半導体波長変換素子は、少なくとも1つのエピタキシャル成長された半導体層を含み、 該半導体波長変換素子は、前記半導体発光デバイスによって放射された光の経路内に配置され;且つ 該半導体波長変換素子は、半導体波長変換材料の少なくとも2つの第1領域と、該少なくとも2つの第1領域間に配置された、半導体波長変換材料を有しない少なくとも1つの第2領域とを含むようにパターニングされている 半導体波長変換素子;及び 前記少なくとも1つの第2領域内に配置された波長変換素子であり、前記第1の光を吸収して第3のピーク波長を有する第3の光を放射することが可能な波長変換素子; を有する構造体。」 に補正することを含むものであって、「半導体波長変換素子」に関し、「少なくとも1つのエピタキシャル成長された半導体層を含み、」と限定するものであり、特許法第17条の2第5項第2号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものと認められるので、以下に、本件補正後の請求項17に係る発明(以下「本願補正発明」という。)について、独立特許要件の検討を行う。 2 引用例 原査定の拒絶理由に引用された国際公開第2009/131627号(以下「引用例」という。)には、図とともに次の記載がある(日本語訳及び下線は、当審による。)。 ア 「[0002] This invention relates to semiconductor light emitting devices and methods of fabricating semiconductor light emitting devices, and more particularly to semiconductor light emitting devices including wavelength conversion materials and methods of forming the same.」 (【0002】 本発明は、半導体発光素子および半導体発光素子を作成する方法に関し、詳細には、波長変換材料を含む半導体発光素子およびこれを形成する方法に関する。) イ 「[0081] Figures 4A and 4B illustrate further embodiments in which phosphor- containing regions are spaced apart laterally across a surface of an LED structure 100, rather than vertically. For example, as shown in Figure 4A, a plurality of first and second discrete phosphor-containing regions 150, 160 are provided on an LED structure 100, for example using the techniques described herein. The discrete phosphor-containing regions 150, 160 can include different types of phosphors and/or phosphors having different doping levels that are configured to emit different colors of light when stimulated by light within their respective excitation regions. [0082] The first discrete phosphor-containing regions 150 can be configured to emit longer wavelength light, such as red light, in response to blue or UV light emitted by the LED structure 100, while the second discrete phosphor-containing regions 160 can be configured to emit shorter wavelength light, such as green/yellow light, in response to blue or UV light emitted by the LED structure 100. [0083] As illustrated in Figures 4A and 4B, the first and second discrete phosphor-containing regions 150, 160 can be disposed on a surface 100A of the LED structure 100 in an alternating manner.However, in some embodiments, two discrete phosphor-containing regions of the same type can be disposed adjacent one another and may abut or be spaced apart from one another as shown in Figure 4A.」 (【0081】 図4Aおよび図4Bは、蛍光体含有領域が垂直ではなくLED構造100の表面を横切って水平に間隔を開けて配置されている他の諸実施形態を示している。たとえば、図4Aに示されている通り、たとえば、本明細書に記載されている技法を使用して、LED構造100上に複数の第1および第2の個別蛍光体含有領域150、160が設けられている。個別蛍光体含有領域150、160は、それぞれの励起領域内の光によって刺激されたときに種々の色の光を放出するように構成された、種々のタイプの蛍光体、または種々のドーピング・レベルを有する蛍光体、あるいはその両方を含むことができる。 【0082】 第1の個別蛍光体含有領域150は、LED構造100によって放出された青色光または紫外光に応答して、赤色光などのより長い波長の光を放出するように構成することができ、第2の個別蛍光体含有領域160は、LED構造100によって放出された青色光または紫外光に応答して、緑色/黄色光などのより短い波長の光を放出するように構成することができる。 【0083】 図4Aおよび図4Bに示されている通り、第1および第2の個別蛍光体含有領域150、160は、交互にLED構造100の表面100A上に配置することができる。しかし、いくつかの諸実施形態では、同じタイプの2つの個別蛍光体含有領域は、相互に隣接して配置することができ、相互に境を接するか、または図4Aに示されているように相互に間隔を空けて配置することができる。) ウ 図4Aは、以下のものである。 上記によれば、引用例には、 「LED構造100上に複数の第1および第2の個別蛍光体含有領域150、160が設けられている、波長変換材料を含む半導体発光素子であって、 個別蛍光体含有領域150、160は、それぞれの励起領域内の光によって刺激されたときに種々の色の光を放出するように構成された、種々のタイプの蛍光体、または種々のドーピング・レベルを有する蛍光体、あるいはその両方を含むことができ、 第1の個別蛍光体含有領域150は、LED構造100によって放出された青色光または紫外光に応答して、赤色光などのより長い波長の光を放出するように構成され、 第2の個別蛍光体含有領域160は、LED構造100によって放出された青色光または紫外光に応答して、緑色/黄色光などのより短い波長の光を放出するように構成され、 第1および第2の個別蛍光体含有領域150、160は、相互に間隔を空けて交互にLED構造100の表面100A上に配置されている 半導体発光素子。」(以下「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。 3 対比 本願補正発明と引用発明を対比する。 (1)引用発明の「LED構造100」は、「青色光または紫外光」を「放出」するものであるから、本願補正発明の「第1のピーク波長を有する第1の光を放射することが可能な半導体発光デバイス」に相当する。 (2)引用発明の「第1の個別蛍光体含有領域150」は、「LED構造100上に…設けられ」、「LED構造100によって放出された青色光または紫外光に応答して」、「赤色光…を放出するように構成され」ているから、本願補正発明の「半導体波長変換素子」と、「前記第1の光を吸収して第2のピーク波長を有する第2の光を放射することが可能な波長変換素子であり:前記第2のピーク波長は赤色であり、前記半導体発光デバイスによって放射された光の経路内に配置されている、波長変換素子」の点で一致する。 (3)引用発明において、「第1および第2の個別蛍光体含有領域150、160は、相互に間隔を空けて交互にLED構造100の表面100A上に配置されている」から、引用発明の「第1の個別蛍光体含有領域150」は、(第1の個別蛍光体含有領域150の)波長変換材料が設けられている領域の間に(第1の個別蛍光体含有領域150の)波長変換材料を有しない領域を含むようにパターニングされているものと認められるところであり、本願補正発明の「半導体波長変換素子」と、「該波長変換素子は、波長変換材料の少なくとも2つの第1領域と、該少なくとも2つの第1領域間に配置された、波長変換材料を有しない少なくとも1つの第2領域とを含むようにパターニングされている」点で一致する。 (4)引用発明の「第2の個別蛍光体含有領域160」は、「LED構造100によって放出された青色光または紫外光に応答して、緑色/黄色光などのより短い波長の光を放出するように構成」され、また、「(第1の個別蛍光体含有領域150と)交互にLED構造100の表面100A上に配置されている」ものであるから、本願補正発明の「前記少なくとも1つの第2領域内に配置された波長変換素子であり、前記第1の光を吸収して第3のピーク波長を有する第3の光を放射することが可能な波長変換素子」に相当する。 (5)引用発明の「半導体発光素子」は、本願補正発明でいう「構造体」といえる。 (6)以上より、両者は、 「第1のピーク波長を有する第1の光を放射することが可能な半導体発光デバイス; 前記第1の光を吸収して第2のピーク波長を有する第2の光を放射することが可能な波長変換素子であり: 前記第2のピーク波長は赤色であり、 該波長変換素子は、前記半導体発光デバイスによって放射された光の経路内に配置され;且つ 該波長変換素子は、波長変換材料の少なくとも2つの第1領域と、該少なくとも2つの第1領域間に配置された、波長変換材料を有しない少なくとも1つの第2領域とを含むようにパターニングされている 波長変換素子;及び 前記少なくとも1つの第2領域内に配置された波長変換素子であり、前記第1の光を吸収して第3のピーク波長を有する第3の光を放射することが可能な波長変換素子; を有する構造体。」の点で一致する。 (7)一方、両者は、次の点で相違する。 本願補正発明では、「第2の光を放射することが可能な波長変換素子」が「少なくとも1つのエピタキシャル成長された半導体層を含」む「半導体波長変換素子」とされているのに対し、 引用発明において、「第1の個別蛍光体含有領域150」がこのようなものとはされていない点。 4 判断 上記相違点について検討する。 (1)引用発明において、「第1の個別蛍光体含有領域150」の組成や形成方法は、当業者が引用発明を実施する際に,公知のものから適宜選択し得るものであるところ、「青色光または紫外光に応答して」、「赤色光を放出するように構成され」ている「波長変換素子」として、「エピタキシャル成長された半導体層を含」む「半導体波長変換素子」は、例えば、特開2003-78165号公報(以下「公知文献1」という。)に記載されているように、本願の優先日時点で公知である。 公知文献1には、以下の記載がある。 「【請求項5】 シリコン基板と、該シリコン基板表面からエピタキシャル成長した炭化ケイ素結晶からなる中間層と、該中間層表面からエピタキシャル成長した13族元素窒化物発光ダイオード層と、該13族元素窒化物発光ダイオード層表面からエピタキシャル成長した酸化亜鉛結晶蛍光体層とを備え、該酸化亜鉛結晶蛍光体層として、青色蛍光体層、緑色蛍光体層及び赤色蛍光体層のうちの少なくとも緑色蛍光体層及び赤色蛍光体層を、該13族元素窒化物発光ダイオード層の表面の異なる領域に別々に備えることを特徴とする発光素子。 【請求項6】 上記13族元素窒化物発光ダイオード層は紫外線を中心波長とする光を放出できる請求項1乃至5のうちのいずれか1項に記載の発光素子。 【請求項7】 上記13族元素窒化物発光ダイオード層は青色を中心波長とする光を放出できる請求項1乃至5のうちのいずれか1項に記載の発光素子。」 上記「エピタキシャル成長した酸化亜鉛結晶蛍光体層」は、「エピタキシャル成長された半導体層を含」む「半導体波長変換素子」に相当し、「『エピタキシャル成長した酸化亜鉛結晶』の『赤色蛍光体層』」が、紫外線又は青色の光により励起されて、赤色を発光することが理解できる。 (2)してみると、引用発明において、「第1の個別蛍光体含有領域150」として、公知文献1に記載された「『エピタキシャル成長した酸化亜鉛結晶』の『赤色蛍光体層』」を採用することは、当業者が容易になし得たことである。 (3)よって、引用発明において、上記相違点に係る本願補正発明の発明特定事項を採用することは、当業者が上記公知文献1の記載に基づいて容易になし得たことである。 5 小括 したがって、本願補正発明は、当業者が引用発明及び公知文献1の記載に基づいて容易に発明をすることができたものと認められ、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができない。 よって、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 第3 本願発明について 1 本願発明 本件補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項に係る発明は、平成27年10月14日に補正された特許請求の範囲の請求項1ないし17に記載される事項によって特定されるものであるところ、請求項17に係る発明(以下「本願発明」という。)は、次のとおりである。 「第1のピーク波長を有する第1の光を放射することが可能な半導体発光デバイス; 前記第1の光を吸収して第2のピーク波長を有する第2の光を放射することが可能な半導体波長変換素子であり: 前記第2のピーク波長は赤色であり、 該半導体波長変換素子は、前記半導体発光デバイスによって放射された光の経路内に配置され;且つ 該半導体波長変換素子は、半導体波長変換材料の少なくとも2つの第1領域と、該少なくとも2つの第1領域間に配置された、半導体波長変換材料を有しない少なくとも1つの第2領域とを含むようにパターニングされている 半導体波長変換素子;及び 前記少なくとも1つの第2領域内に配置された波長変換素子であり、前記第1の光を吸収して第3のピーク波長を有する第3の光を放射することが可能な波長変換素子; を有する構造体。」 2 引用例 引用例及び引用発明は、上記第2[理由]2のとおりである。 3 対比 本願発明と引用発明を対比するに、本願発明は、本願補正発明から、「該半導体波長変換素子は、少なくとも1つのエピタキシャル成長された半導体層を含み」との事項を省いものであるから、上記第2[理由]3での検討より、両者は、次の点で一致し、また、相違するものと認められる。 すなわち、両者は、 「第1のピーク波長を有する第1の光を放射することが可能な半導体発光デバイス; 前記第1の光を吸収して第2のピーク波長を有する第2の光を放射することが可能な波長変換素子であり: 前記第2のピーク波長は赤色であり、 該波長変換素子は、前記半導体発光デバイスによって放射された光の経路内に配置され;且つ 該波長変換素子は、波長変換材料の少なくとも2つの第1領域と、該少なくとも2つの第1領域間に配置された、波長変換材料を有しない少なくとも1つの第2領域とを含むようにパターニングされている 波長変換素子;及び 前記少なくとも1つの第2領域内に配置された波長変換素子であり、前記第1の光を吸収して第3のピーク波長を有する第3の光を放射することが可能な波長変換素子; を有する構造体。」の点で一致する。 一方、両者は、 本願発明では、「第2の光を放射することが可能な波長変換素子」が「半導体波長変換素子」とされているのに対し、 引用発明において、「第1の個別蛍光体含有領域150」が「半導体波長変換素子」とはされていない点で相違する。 4 判断 上記相違点について検討する。 (1)引用発明において、「第1の個別蛍光体含有領域150」の組成や形成方法は、当業者が引用発明を実施する際に,公知のものから適宜選択し得るものであるところ、「青色光または紫外光に応答して」、「赤色光を放出するように構成され」ている「波長変換素子」として、「半導体波長変換素子」は、例えば、原査定の拒絶理由に引用された特開2005-285800号公報(以下「公知文献2」という。)に記載されているように、本願の優先日時点で公知である。 公知文献2には、以下の記載がある。 「【0032】 蛍光体5は、粒径が1μm程度以上の従来から用いられている半導体粒子を用いることができるが、粒径がナノメーターサイズの半導体ナノ粒子を用いるのが良い。特に、平均粒子径が10nm以下であることが好ましい。粒子径10nm以下の半導体ナノ粒子は、ナノ粒子のサイズを変えることで、赤(長波長)から青(短波長)まで様々な発光を示し、バンドギャップより高エネルギーであれば、励起波長に制限がなく、発光寿命が希土類より10万倍短く、吸収、発光のサイクルを素早く繰り返すので、非常に高い輝度を実現でき、有機色素よりもずっと劣化が少ない(劣化するまでに蛍光として出てくる光子の数は、色素の10万倍程度とされている)という特徴を有しているため、優れた発光効率を実現でき、かつ長寿命の発光装置を実現できるという特徴を示す。 【0033】 …… 【0034】 発光素子3から発せられる励起光の中心波長が450nm以下、特に380~420nmであることが、高い光出力を得る点で好ましい。また、発光素子3は、半導体材料からなる発光層を備えることが高い外部量子効率の点で好ましい。このような半導体材料としてZnSeや窒化物半導体(GaNなど)など種々の半導体を挙げることができるが、発光波長が上記波長範囲であれば、特に半導体材料の種類は限定されない。これらの半導体材料を有機金属気相成長法(MOCVD法)や分子線エピタシャル成長法などの結晶成長法により、発光素子基板上に半導体材料からなる発光層を有する積層構造を形成したものである。」 上記「半導体ナノ粒子」は、「半導体波長変換素子」に相当し、450nm以下の光により励起されて、赤色を発光することが理解できる。 (2)してみると、引用発明において、「第1の個別蛍光体含有領域150」として、上記「赤色を発光する半導体ナノ粒子」を採用することは、当業者が公知文献2の記載に基づいて容易になし得たことである。 (3)よって、引用発明において、上記相違点に係る本願発明の発明特定事項を採用することは、当業者が公知文献2の記載に基づいて容易になし得たことである。 5 むすび したがって、本願発明は、当業者が引用発明及び公知文献2の記載に基づいて容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 よって、結論のとおり審決する。

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2016-011053

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