特許拒絶査定不服審判
2016-002847
振動装置,音響発生装置,スピーカーシステム,電子機器
- 審判番号
- 2016-002847
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2013-551548外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2016年02月25日
- 審決日
- 2017年02月20日
- 公報発行日
- 2017年05月26日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】京セラ株式会社
- 分類
- P18 .537-WZ (H04R)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法36条6項1号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第36条第6項第1号
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2013-551548「振動装置,音響発生装置,スピーカーシステム,電子機器」拒絶査定不服審判事件〔平成25年 7月 4日国際公開、WO2013/099512〕について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本願は、平成24年11月29日(優先権主張 平成23年12月26日、平成24年9月27日 日本国)を国際出願日とする出願であって、平成26年10月7日付け拒絶理由通知に対して、同年12月11日付けで意見書が提出されるのと同時に手続補正がなされ、平成27年4月3日付け最後の拒絶理由通知に対して、同年6月4日付けで意見書が提出されるのと同時に手続補正がなされたが、同年11月26日付けで(同年6月4日付けの)手続補正が却下されるとともに拒絶査定がなされた。これに対して、平成28年2月25日付けで拒絶査定不服審判が請求されると同時に手続補正がなされ、平成28年10月21日付け当審の拒絶理由通知に対して、同年12月16日付けで意見書の提出と同時に手続補正がなされた。
第2 平成28年10月21日付け当審の拒絶理由通知の概要
この出願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。
記
請求項1に係る発明は、平成27年6月4日付け意見書を参照すると、本願明細書(発明の詳細な説明)に記載された「実施の形態の第5および図7」の振動装置に対応するものと認められる。
そこで、本願明細書の実施の形態の第5の記載(段落【0051】、【0052】)、関連する記載(段落【0018】、【0031】、【0047】等)および図7を参照すると、振動体は「フィルム(振動板)、励振器、樹脂層」を含んで構成されているものである。また、負荷部材は、振動体の長さ方向の中央部において振動体の幅方向(図7のy軸方向)の中央部および両端部に配置された3つ、並びに振動体の長さ方向(図7のx軸方向)の中央部に取り付けられた励振器の部分と長さ方向の端部との間の位置に取り付けられた2つのものを備えている。
しかしながら、請求項1には、振動体を構成する「フィルム」、及び振動体の長さ方向の中央部において、振動体の幅方向の中央部および両端部の「3つの負荷部材」について記載されておらず、発明の課題を解決するための発明特定事項が請求項1に反映されていないため、発明の詳細な説明に記載された範囲を超えて特許を請求するものである。
よって、請求項1に係る発明は、発明の詳細な説明に記載したものでない。
・・・(中略)・・・
・補正の示唆
請求項1に、振動体の必須構成要素である「フィルム」を加え、図7に記載された「計5つの負荷部材」を明確にされたい。
第3 本願発明
本願の請求項1ないし10に係る発明は、平成28年12月16日付け手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし10に記載された事項により特定されるところ、請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は以下のとおりのものである。なお、下線部は、補正された事項である。
「【請求項1】
振動体と、
該振動体の一部分に取り付けられて、取り付けられた部分の前記振動体の振幅を小さくする負荷部材と、
を少なくとも有しており、
前記振動体は、励振器と、振動板と、樹脂層と、を含んで構成されており、
前記樹脂層は、前記励振器よりも厚く、かつ前記励振器を覆うように配置されており、
前記負荷部材は、前記励振器と非接触となるように前記樹脂層に取り付けられており、
前記振動体は、第1方向に長くなっているとともに、該第1方向における両端が支持されており、
前記振動体における、前記励振器が取り付けられた部分と、前記第1方向のそれぞれの端部と、の間であり、3次共振の振幅が最大となる部分に、前記負荷部材としての第1負荷部材がそれぞれ1つずつ取り付けられており、
前記振動体の表面に沿った方向であり前記第1方向に直交する方向を第2方向とすると、
前記第1負荷部材は、前記第2方向の長さが前記第1方向の長さよりも長い形状を有していることを特徴とする振動装置。」
第4 平成28年12月16日付け意見書の内容
上記の補正は、本願の願書に最初に添付した明細書の段落0047,0052および図7の記載に基づくもので新規事項の追加に該当するものではありません。また、段落0053に記載の課題を解決するための発明特定事項を加えるものであって、明瞭でない記載の釈明に相当するものです。
なお、図7には5つの負荷部材が示されていますか、実施形態の第5の例の説明としての段落0052および段落0053においては、負荷部材は、励振器が取り付けられた部分と長さ方向の端部との間の位置であって、振動体の長さ方向における3次共振の振幅が大きい位置に取り付けられていることによって、振動体の長さ方向における3次共振の周波数における振幅の急激な増大を小さくすることができ、特定の周波数における音圧の急激な増大を低減することができると述べております。すなわち、上記のような請求項1の補正により、発明の課題を解決するための発明特定事項は請求項1に反映されたものになっていると思料致します。
第5 当審の判断
本願発明の特定事項である「3次共振の振幅が最大となる部分に、前記負荷部材としての第1負荷部材がそれぞれ1つずつ取り付け」たことは、本願明細書の段落【0051】ないし【0053】、および図7に記載されている「実施の形態の第5の例」である。
ここで、当該実施の形態の第5の例に関して、段落【0051】に「本例においては、図6に示した実施の形態の第4の例の振動装置と異なる点のみについて説明し、同様の構成要素には同一の参照符号を付して重複する説明を省略する。」と記載されており、また、当該実施の形態の第4の例に関して、段落【0049】に「本例においては、図4,図5に示した実施の形態の第3の例の振動装置と異なる点のみについて説明し、同様の構成要素には同一の参照符号を付して重複する説明を省略する。」と記載されている。よって、「実施の形態の第5の例」は、「実施の形態の第3の例」として記載された構成を含んだものである。
そうすると、実施の形態の第3の例(段落【0047】、図4を参照。)の構成である「負荷部材41が、振動体10の幅方向(図4のy軸方向)の中央部および両端部に配置されている」構成(以下、これらの負荷部材41を「3つの負荷部材」という。)は、当該実施の形態の第5の例についても必須の構成要件であるから、3つの負荷部材を構成要件としていない本願発明は、発明の詳細な説明に記載したものではない。
なお、審判請求人は、平成28年12月16日付け意見書において、本願発明により「3次共振の周波数における振幅の急激な増大を小さくすることができ、特定の周波数における音圧の急激な増大を低減することができる」旨を主張している。しかしながら、励振器と第1の方向のそれぞれ端部との間にそれぞれ負荷部材を取り付けただけで、それがたとえ3次共振の振幅が最大となる部分に取り付けたとしても、3つの負荷部材を備えないものでも同様の効果が得られるかどうかは本願明細書に明記されていない。つまり、本願明細書には、上記で指摘したとおり、3つの負荷部材を備えた前提で発明の課題を解決できることが記載されているものである。そして、3つの負荷部材を備えないものまで含む本願発明は、そもそもの本願の課題である、振動体の振幅が最大となる中央部において振幅の急激な変化を低減すること(本願明細書の段落【0004】、【0010】を参照。)までをも解決できるとは認められない。
よって、当審の拒絶理由は解消していない。
第6 むすび
以上のとおり、請求項1に係る発明は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。
その他の請求項に係る発明を検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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