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特許拒絶査定不服審判

2024-013878

果糖と、低分子化したプロテインと、黒胡椒抽出物とを含有する栄養補助食品

審判番号
2024-013878
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2022-183042
請求日
2024年08月29日
審決日
2026年06月15日
公報発行日
2026年08月28日
結論
請求不成立
当事者
  • 【請求人】ふるさと和漢堂株式会社
  • 【請求人代理人】磯野 富彦
審判長/審判官
  • 審判長 天野 宏樹
  • 審判官 植前 充司
  • 審判官 宮久保 博幸
分類
P18 .112-Z (A23L) / P18 .121-Z (A23L) / P18 .537-Z (A23L)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第36条第6項第1号、特許法第29条第1項第2号、特許法第29条第2項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2022-183042「果糖と、低分子化したプロテインと、黒胡椒抽出物とを含有する栄養補助食品」拒絶査定不服審判事件〔令和 5年 1月19日出願公開、特開2023- 9223〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 第1 手続の経緯 本願は、平成30年3月5日を出願日とする特願2018-38589号の一部を、令和4年11月16日に新たな特許出願(特願2022-183042号)としたものであって、令和5年11月16日付けで拒絶理由が通知され、令和6年2月9日に意見書及び手続補正書が提出されたが、同年5月27日付けの補正の却下の決定により同年2月9日提出の手続補正書による補正が却下されるとともに拒絶査定がなされ、これに対して、同年8月29日に拒絶査定不服審判が請求され、令和8年2月9日付けで当審より令和6年5月27日付けでなされた補正の却下の決定を取り消すとともに拒絶理由が通知され、同年4月9日に意見書が提出されたものである。 第2 本願発明 上記第1で言及したとおり、令和6年5月27日付けでなされた補正の却下の決定は取り消されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、同年2月9日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される以下の記載のとおりのものと認める。 「【請求項1】 果糖と、低分子化したプロテインと、栄養の吸収をサポートする黒胡椒抽出物と、を含有し、 前記低分子化したプロテインは、体内への吸収力を高めて体重を増加させることを目的として高分子を低分子化したものであり、パウダー状のコラーゲンペプチドとパウダー状のホエイペプチドとを含み、 配合の比率を、前記果糖が約50%、前記コラーゲンペプチドが約25%、前記ホエイペプチドが約6%、前記黒胡椒抽出物が約0.025%としたことを特徴とする栄養補助食品。」 第3 令和8年2月9日付けで審判請求人に通知した拒絶理由 当審より令和8年2月9日付け拒絶理由通知書により審判請求人に通知した拒絶理由は次のとおりである。 理由1(公然実施発明) この出願の請求項1に係る発明は、下記の点でその出願前に日本国内又は外国において公然実施をされた発明であるから、特許法第29条第1項第2号に該当し、特許を受けることができない。 理由2(進歩性) この出願の請求項1に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において頒布された下記の公然実施に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 なお、理由1及び理由2に関し、公然実施発明を認定する際の根拠となる文献は次のとおりである。 <引用文献> ・引用文献2:消費者庁 公正取引委員会 News Release 「ふるさと和漢堂株式会社に対する景品表示法に基づく課徴金納付命令について」、令和2年3月6日、本文、別表1、別表2、別紙、別添 理由3(サポート要件) この出願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。 なお、理由3の具体的理由は次のとおりである。 本願発明の課題は、「従来の栄養補助食品に比べて、効果的に体重を増加できる栄養補助食品を提供すること」(【0007】)と認められるところ、本願明細書全体の記載を見ても、本願発明の栄養補助食品を摂取することによる体重増加がみられたことは明らかにされておらず、ましてや、「従来の栄養補助食品」に比べて「効果的に」効果が奏されることも具体的に明らかにはされていない。また、本願発明の「栄養補助食品」が「従来の栄養補助食品」に比べて「効果的に体重を増加できる」ものであることが、本願の出願時において当該技術分野において広く知られていたことであるということもできない。 してみれば、当該技術分野の技術常識を加味しつつ本願明細書全体の記載に接した当業者は、請求項1で特定される栄養補助食品(本願発明)の具体的効果を認識できないから、本願発明の課題を解決しているか否かも認識することができない。 よって、本願発明に関し、本願明細書の記載は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしているとはいえない。 第4 当審の判断 改めて検討しても、令和8年2月9日付けで審判請求人に通知した拒絶理由はいずれも解消していないものと判断する。 1 理由1及び2(公然実施発明及び進歩性)について <引用文献> ・引用文献2:消費者庁 公正取引委員会 News Release 「ふるさと和漢堂株式会社に対する景品表示法に基づく課徴金納付命令について」、令和2年3月6日、本文、別表1、別表2、別紙、別添 (1)引用文献2の記載事項及び引用文献2から把握される公然実施発明 ア 引用文献2の記載事項 引用文献2の別表1(第3頁~第5頁)及び別紙(第25頁~第34頁)には、ふるさと和漢堂株式会社のウェブサイトにおいて、平成29年8月27日の段階で次の内容が公開されていたことが明らかにされている。 「 [図:0001437806000001.jpg] [図:0001437806000002.jpg] [図:0001437806000003.jpg] 」 イ 引用文献2の記載から把握される発明 これらの記載から、平成29年8月27日の時点で閲覧者を限ることなく公開されていた事項として、次の事項を読み取ることができる。 ・「太る専用プロテイン」である「高カロリー・高タンパクで効率的に太る!フトレマックス」、「Dr.FutoreMax」(以下、「フトレマックス」という。なお、登録商標の表示を省略する(以下、同様))と称する商品があったこと ・「フトレマックス」は次の成分を有していたこと ・「低分子化プロテインMIX(コラーゲンペプチド+ホエイペプチド)」と称する、微細化したタンパク質及びホエイプロテインやコラーゲン(プロテイン)を酵素分解し低分子化したもの ・「てんさい由来果糖」 ・栄養の吸収をサポートする働きがある「バイオペリン(黒コショウ抽出物)」 ・「国産生姜」 ・「有胞子性乳酸菌」 ・「カカオポリフェノール(ココアパウダー)」 ・「発芽玄米GABA」 以上の点を整理すると、平成29年8月27日の時点で、次の「フトレマックス」と称する商品が上市され、秘密保持契約を負わない一般消費者に対し、その含有成分を知り得る状態で販売されていたものと認められるところ、その内容を整理すると、「フトレマックス」は次に整理する事項を有するものと認められる。 「太るためのプロテイン含有製品である「フトレマックス」であって、 「低分子化プロテインMIX(コラーゲンペプチド+ホエイペプチド)」と称する、微細化したタンパク質及びホエイプロテインやコラーゲン(プロテイン)を酵素分解し低分子化したもの、てんさい由来果糖、バイオペリン(黒コショウ抽出物)、国産生姜、有胞子性乳酸菌、カカオポリフェノール(ココアパウダー)、発芽玄米GABAを含むものである「フトレマックス」。」(以下、「引用発明」という。) (2) 対比・判断 本願発明と引用発明とを対比する。 引用発明の「てんさい由来果糖」、「低分子化プロテインMIX」、「バイオペリン(黒コショウ抽出物)」はそれぞれ、本願発明の「果糖」、「低分子化したプロテイン」、「黒胡椒抽出物」に相当する。 次に、引用発明の「低分子プロテインMIX(コラーゲンペプチド+ホエイペプチド)」は、「太る要素1 微細化したタンパク質」及び「ホエイプロテインやコラーゲン(プロテイン)を酵素分解し低分子化したことで一般的なプロテインと比べて消化吸収性がアップしています。身体を作る重要な栄養素であるタンパク質を効率的に摂取することを目的として配合」するものであるから、本願発明の「前記低分子化したプロテインは、体内への吸収力を高めて体重を増加させることを目的として高分子を低分子化したものであり、パウダー状のコラーゲンペプチドとパウダー状のホエイペプチドとを含み、」との特定事項のうち、「前記低分子化したプロテインは、体内への吸収力を高めて体重を増加させることを目的として高分子を低分子化したものであり、コラーゲンペプチドとホエイペプチドとを含み、」との限りにおいて一致する。 また、引用発明の「バイオペリン(黒コショウ抽出物)」は栄養の吸収をサポートする働きがあるとされるから、本願発明の「栄養の吸収をサポートする」との点も明らかにされている。 さらに、引用発明の「太るためのプロテイン含有製品である「フトレマックス」」が、本願発明の「栄養補助食品」に相当することも明らかである。 すると、両者の一致点・相違点は次のとおりである。 (一致点) 「果糖と、低分子化したプロテインと、栄養の吸収をサポートする黒胡椒抽出物と、を含有し、 前記低分子化したプロテインは、体内への吸収力を高めて体重を増加させることを目的として高分子を低分子化したものであり、コラーゲンペプチドとホエイペプチドとを含む、 栄養補助食品。」 (相違点) ・相違点1 本願発明はコラーゲンペプチドとホエイペプチドが「パウダー状」であると特定するのに対し、引用発明にはそのような特定がない点。 ・相違点2 本願発明は「配合の比率を、前記果糖が約50%、前記コラーゲンペプチドが約25%、前記ホエイペプチドが約6%、前記黒胡椒抽出物が約0.025%とした」と特定するのに対し、引用発明にはそのような特定がない点。 上記相違点について検討する。 ・相違点1について 「フトレマックス」は、粉末状の商品として提供されているものであり(要すれば、「太りたいなら太るぞドットコム」、URL:https://futoruzo.com/futoremax-review/ を参照されたい。当該ホームページに掲載されている写真等の一部を以下抜粋する。)、引用文献2の別紙の商品形態を参酌すると、提供の形態は平成29年8月27日時点から変更されていないと認められる。 「 [図:0001437806000004.jpg] [図:0001437806000005.jpg] 」 してみると、「フトレマックス」に含まれる「コラーゲンペプチド」と「ホエイペプチド」も当然、「パウダー状」であるといえる。 よって、相違点1は実質的な相違点ではない。 ・相違点2について 本願発明と引用発明である「フトレマックス」は、ともに含まれる全成分が同じであり、目的も「体重を増加するため(太るため)」という点で同じである。してみれば、引用発明である「フトレマックス」においても、各成分の割合は太るという目的が達成されるよう調整されており、相違点2に係る本願発明の特定事項を満たす蓋然性が極めて高い。 また、仮にそうではないとしても、引用発明も「太るため」に同じ成分を用いている以上、各成分の割合を最適化し、相違点2に係る本願発明の特定事項を満たすものとすることは、当業者にとって何ら困難性を伴うものではない。 (3) 審判請求人の主張について ア 審判請求書における審判請求人の主張について 審判請求人は審判請求書において、「引用文献2に記載された発明」(本拒絶理由では、引用文献2から把握される公然実施発明を引用発明としている点に注意されたい。)について、「パウダー状のコラーゲンペプチド」及び「パウダー状のホエイペプチド」を含有させた栄養補助食品の構成は記載されていない旨主張(審判請求書第4頁)する。 しかしながら、上記「相違点1について」で検討したとおり、「フトレマックス」との商品は粉末状で提供されているものであり、引用文献2の別紙(第25頁~第34頁)の写真もそのような理解と矛盾するものではないから、この点は相違点とはならない。 次に、「本件却下発明は、栄養素を摂取者の体に効率よく吸収させることができるという黒胡椒抽出物の作用効果に着眼して、栄養補助食品においてタンパク質や果糖に加えて黒胡椒抽出物を含有させた構成を特徴点の一つとするものですが、この点に加えて、タンパク質としてパウダー状のコラーゲンペプチド及びホエイペプチドを含むものを用いることで、タンパク質の消化吸収性の向上を図り、さらには、かかる構成において、同時摂取されるこれら各成分について摂取者の体重増加の作用効果を最大限発揮し得る配合割合を見出したものです。そのため、仮に百歩譲って、果糖、コラーゲンペプチド、ホエイペプチド、及び黒胡椒抽出物を含有する栄養補助食品の構成自体がたとえ公知あるいは容易想到と認められるとしても、それらの配合割合をも特定した本件却下発明は、当業者が適宜好適化することで容易に想到できる事項ということはできません。」(審判請求書第4頁ないし第5頁)と主張する。 この点に関しても、上記「相違点2について」で検討したとおり、引用発明も本願発明と同一成分からなり同じ目的の栄養補助食品である以上、その好適化された配合割合も同一である蓋然性が高いものといわざるを得ない。 また、同じ目的で同じ成分からなる栄養補助食品を組み立てる以上、その配合割合を最適化することは、当業者が通常有する創作能力の発揮にすぎない。 そして、本願明細書全体の記載を見ても、本願発明の特定の配合割合が他の配合割合のものに比して予期せぬ効果を奏するものであることは、実施例等を通じて具体的に示されているものではないから、「同時摂取されるこれら各成分について摂取者の体重増加の作用効果を最大限発揮し得る配合割合を見出した」との主張はその裏付けを欠くものであり、採用することができない。 イ 令和8年4月9日提出の意見書における審判請求人の主張について 審判請求人は、令和8年4月9日に提出した意見書(以下、「意見書」という。)において、次のとおり主張する。 「本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」といいます。)において、「パウダー状のコラーゲンペプチド」及び「パウダー状のホエイペプチド」を含有させた栄養補助食品の構成については、引用文献中に記載はなく、その示唆もありません。 また、本願発明では、果糖が約50%、コラーゲンペプチドが約25%、ホエイペプチドが約6%、黒胡椒抽出物が約0.025%の配合比率としています。このように果糖、コラーゲンペプチド、ホエイペプチド、及び黒胡椒抽出物について所定割合で配合することで、同時に摂取することで摂取者の体重を効果的に増加し得る最適な配合割合を見出したものです。引用文献記載の商品が本願発明と同一成分からなり同じ目的の栄養補助食品であるとしても、その配合割合は明らかではなく、当業者が通常有する創作能力の発揮にすぎない、との評価は当たりません。 したがって、本願発明は新規性・進歩性を有するものです。」(意見書第2頁) 上記審判請求人の主張は、引用文献2には「パウダー状のコラーゲンペプチド」及び「パウダー状のホエイペプチド」を含有させた栄養補助食品の構成については、引用文献中に記載がないこと(主張1)、引用文献記載の商品が本願発明と同一成分からなり同じ目的の栄養補助食品であるとしても、その配合割合は明らかではなく、当業者が通常有する創作能力の発揮にすぎない、との評価は当たらないこと(主張2)を主張するものと解される。 上記主張について順次検討する。 主張1について検討するに、令和8年2月9日付けで通知した拒絶理由通知において、「(なお、「フトレマックス」と称する商品の商品設計書等、その配合割合を公的に証明できるものが提示された場合は、同一である蓋然性が高いとする推定を覆しうる。)」旨記載したにもかかわらず、意見書においては、単に記載がないことのみを基に主張するにとどまり、具体的に異なることを示す証拠が提示されているものでもない(なお、本願発明と公然実施発明が異なるものであるとの主張でもない。)。してみると、上記(2)の推定を覆す事情があるとはいえないから、上記主張1は採用できない。 次に主張2について検討する。 主張2は、引用文献記載の商品が本願発明と同一成分からなり同じ目的の栄養補助食品であるとしても、その配合割合は明らかではなく、当業者が通常有する創作能力の発揮にすぎない、との評価は当たらないというものであるが、当該主張2についても、単に引用文献2において配合割合が明らかではないことにのみ依拠するものであり、具体的な証拠等を伴うものではない。 そして、通常、成分組成を目的に応じて最適化することは当業者が通常有する創作能力の発揮にすぎないものと考えられるところ、同一成分からなり同じ目的の栄養補助食品を得ようとする場合に配合割合を最適化すれば、同じ組成になる蓋然性が高いもの、すなわち、上記(2)の対比・判断と同様に考えられる。してみると、上記(2)の推定を覆す事情があるとはいえないから、上記主張2も採用できない。 (4) 理由1及び理由2のまとめ 上記(2)及び(3)のとおりであるから、本願発明は、その出願前に公然実施された発明である引用発明であって、特許法第29条第1項第2号に該当し、特許を受けることができないか、そうではないとしても、引用発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。 2 理由3(サポート要件)について (1) サポート要件の判断基準 特許請求の範囲の記載が、サポート要件に適合するか否かは、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載とを対比し、特許請求の範囲に記載された発明が、発明の詳細な説明に記載された発明で、発明の詳細な説明の記載により当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否か、また、その記載や示唆がなくとも当業者が出願時の技術常識に照らし当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否かを検討して判断すべきものである。 (2) サポート要件についての判断 本願発明の課題は、「従来の栄養補助食品に比べて、効果的に体重を増加できる栄養補助食品を提供すること」(【0007】)と認められるところ、本願明細書全体の記載を見ても、本願発明の栄養補助食品を摂取することによる体重増加がみられたことは明らかにされておらず、ましてや、「従来の栄養補助食品」に比べて「効果的に」効果が奏されることも具体的に明らかにはされていない。また、本願発明の「栄養補助食品」が「従来の栄養補助食品」に比べて「効果的に体重を増加できる」ものであることが、本願の出願時において当該技術分野において広く知られていたことであるということもできない。 してみれば、当該技術分野の技術常識を加味しつつ本願明細書全体の記載に接した当業者は、請求項1で特定される栄養補助食品(本願発明)の具体的効果を認識できないから、本願発明の課題を解決しているか否かも認識することができない。 よって、本願発明に関し、本願明細書の記載は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしているとはいえない。 (3) 審判請求人の主張について 審判請求人は意見書において、次のとおり主張する。 「拒絶理由通知では、本願発明の課題は、「従来の栄養補助食品に比べて、効果的に体重を増加できる栄養補助食品を提供すること」(【0007】)と認められるところ、本願明細書全体の記載を見ても、本願発明の栄養補助食品を摂取することによる体重増加がみられたことは明らかにされていないと認定されています。 しかし、たとえ実際に、本願発明の栄養補助食品を摂取することによる体重増加がみられたことは明らかにされていないとしても、本願発明の構成ではタンパク質及び炭水化物(糖)が少なくとも全体の約80%以上含まれ、しかも、プロテイン(たんぱく質)が低分子化されており、そうでない場合と比較してプロテインの吸収力が高くなっています。それゆえ、摂取者は、効率的にタンパク質及び炭水化物を摂取することができ(段落【0009】、【0015】)、ひいては、それが摂取者の体重増加につながることは明らかです。 このことから、本願発明は、発明の詳細な説明の記載により当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであり、体重増加がみられたことは明らかにされていないとしても、当業者が出願時の技術常識に照らし当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものです。 したがって、サポート要件を満たしていると思料します。」(意見書第2頁) 上記主張は要するに、「本願発明の構成ではタンパク質及び炭水化物(糖)が少なくとも全体の約80%以上含まれ」、「しかも、プロテイン(たんぱく質)が低分子化されており、そうでない場合と比較してプロテインの吸収力が高くなって」おり、「それゆえ、摂取者は、効率的にタンパク質及び炭水化物を摂取することができ」、「ひいては、それが摂取者の体重増加につながることは明らか」であると主張するものであると解されるが、タンパク質及び炭水化物(糖)の割合が大きく、かつ、プロテインが低分子化されていることにより吸収力が高くなることまではいえるものの、その結果として、「従来の栄養補助食品に比べて、効果的に体重を増加できる」か否かは直ちには明らかではない(効率的に摂取できるとしても、筋肉や脂肪等の体組織として定着しなければ体重増加につながるとはいえないし、また、「効率的に」体外へ排出されてしまうものであれば、やはり効率的な体重増加にはつながらないこととなると考えられる。)。 また、「従来の栄養補助食品に比べて、効果的に体重を増加できる」ことを裏付ける具体的な検証が行われているものでもなく、また、その効果が当該技術分野においてよく知られた技術的事項であるとする事情もない。 してみると、審判請求人の上記主張は採用することができず、上記(2)の判断に影響するものではない。 (4) 理由3についてのまとめ 上記(2)及び(3)のとおりであるから、本願発明は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。 第5 むすび 以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第1項第2号に該当し特許を受けることができないものであり、また、同法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、さらに、特許請求の範囲の記載が同法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていないから、拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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