特許拒絶査定不服審判
2024-014608
サイドドア
- 審判番号
- 2024-014608
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2021-202732
- 請求日
- 2024年09月12日
- 審決日
- 2026年04月28日
- 公報発行日
- 2026年07月31日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】株式会社神戸製鋼所
- 【請求人代理人】山尾 憲人
- 【請求人代理人】前堀 義之
- 【請求人代理人】近田 暢朗
- 審判長/審判官
- 審判長 八木 誠
- 審判官 河端 賢
- 審判官 浅野 麻木
- 分類
- P18 .537-WZ (B60J)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 行政事件訴訟法46条特許法36条6項1号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第36条第6項第1号、特許法第36条第6項第2号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2021-202732「サイドドア」拒絶査定不服審判事件〔令和5年6月26日出願公開、特開2023-88089〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特願2021-202732号(以下、「本願」という。)は、令和3年12月14日の出願であり、その手続の経緯は、概略、以下のとおりである。
令和6年1月22日付け :拒絶理由通知(発送日:同年1月30日)
令和6年3月29日 :意見書及び手続補正書の提出
令和6年6月 6日付け :拒絶査定(発送日:同年6月18日)
令和6年9月12日 :審判請求書の提出
令和7年6月12日付け :拒絶理由通知(発送日:同年6月17日)
令和7年7月31日及び同年8月7日:電話応対及び書類の提出
令和7年8月15日 :意見書及び手続補正書の提出
第2 本願発明
令和7年8月15日に提出の手続補正書によって補正された特許請求の範囲の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、以下のとおりである。
「 アウタパネルと、
前記アウタパネルの車幅方向内側に配置されたインナパネル(ただし、樹脂製である場合を除く。)と
を備え、
前記インナパネルは、
板状のインナパネル本体部材と、
前記インナパネル本体部材の車高方向の下側に接するように配置され、前記インナパネル本体部材の板厚より厚い、又は、前記インナパネル本体部材に比べ相対的に高い引張強さを有する板状の下部部材とからなり、
前記下部部材には、前記車幅方向から見て環状となるように開口が設けられている、サイドドア。」
第3 拒絶の理由
令和7年6月12日付けで当審より請求項1ないし7について通知した拒絶理由の概要は、次のとおりのものである。
1(サポート要件)この出願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。
2(明確性要件)この出願は、発明の詳細な説明の記載が下記の点で、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。
記
請求項1ないし7に係る発明は、発明の詳細な説明に記載されたものではない。
また、請求項3ないし7に係る発明は明確でない。
第4 判断
1 理由1(サポート要件)について
(1) 請求項1に係る発明について
ア 請求項1に係る発明における発明特定事項
請求項1にには、「本体部材」を含む「インナパネル」に関する発明特定事項として以下の事項が記載されている(下線は当審において付した。以下同様。)。
「前記アウタパネルの車幅方向内側に配置されたインナパネル(ただし、樹脂製である場合を除く。)と
を備え、
前記インナパネルは、
板状のインナパネル本体部材と、
前記インナパネル本体部材の車高方向の下側に接するように配置され、前記インナパネル本体部材の板厚より厚い、又は、前記インナパネル本体部材に比べ相対的に高い引張強さを有する板状の下部部材とからなり、
前記下部部材には、前記車幅方向から見て環状となるように開口が設けられている」
イ 発明が解決しようとする課題
(ア) 発明の詳細な説明の記載
a 発明の詳細な説明には、以下のような記載がある。
「【背景技術】
【0002】
車両のサイドドアには、車両側突時において、衝突荷重を吸収することが求められる。
例えば、特許文献1には、サイドドアの車体骨格部材と接する箇所、つまり外周部に補強部材が配置されたサイドドアが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-017200号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のサイドドア構造では、サイドドアに衝突荷重が負荷されたとしても、補強部材によってサイドドアの外周部の座屈変形が抑制され、衝突荷重が車体骨格部材に分散して伝達され得る。換言すると、補強部材によって、サイドドアに負荷された衝突荷重のうち、車体骨格部材に伝達される荷重が増大され得る。そのため、サイドドアの衝突荷重の吸収量が増加し得る。
【0005】
しかし、特許文献1に記載のサイドドアには、衝突荷重に対するサイドドア自体の強度を向上させ変形を抑制させることについては、特段の示唆が無い。そのため、側突時にサイドドアが車室内に侵入するおそれがある。また、インナパネルに対して補強部材が追加されているため、サイドドアの重量が増加するおそれがある。
【0006】
本発明は、サイドドアにおいて、重量増加を抑制しつつ、側突時の車室内への侵入を抑制することを課題とする。」
b 発明の詳細な説明に背景技術を開示する特許文献1として記載された特開2021-017200号公報には、以下のような記載がある。
(a) 「【0062】
そこで、本実施形態では、前述のように、ドアインナパネル61に補強部71~74を設けて、車両側突時のドアインナパネル61の座屈変形を抑制することで、衝突荷重を効率的に車体骨格部材2に伝達できるようにしている。以下、図10~図14を参照しながら、車両側突時のドアパネル部60の動きについて説明する。尚、図10~図14は、車両1の左側部分に衝突体Aが衝突した場合を示している。また、図10~図14では、フロントサイドドア5のドアパネル部60の動きを示し、リアサイドドア6については省略している。 【0063】 図10に示すように、衝突体Aがセンターピラー40に向かって進行してきて、車両1の左側部分と当接したとする。このとき、インナ後部64は、センターピラー40と衝突体Aとで挟まれた状態になる。 【0064】 図10の状態から、図11に示すように衝突体Aが侵入すると、フロントサイドドア5に車室内側(ここでは右側)に向かう荷重が入力される。このとき、フロントサイドドア5は、右側に移動するとともに、後側ほど右側に位置するように変形する。これにより、図11に示すように、インナ前部63とヒンジピラー20の後側のヒンジピラーフランジ24とが当接するとともに、インナ後部64とセンターピラー40の前側のセンターピラーフランジ45とが当接する。このとき、インナ前部63は、ヒンジピラー20に衝突荷重を伝達するとともに、該ヒンジピラー20から反発荷重を受ける。また、衝突体Aの侵入により、インナ前部63は前記面内方向の内側(ここでは後側)に向かう力を受ける。一方で、インナ後部64は、センターピラー40に衝突荷重を伝達するとともに、該センターピラー40から反発荷重を受ける。 【0065】 また、図12に示すように、インナ下部65は、サイドシル10の上側のサイドシルフランジ13及びサイドシル側壁部12cと当接する。これにより、インナ下部65は、サイドシル10に衝突荷重を伝達するとともに、該サイドシル10から反発荷重を受ける。また、衝突体Aの侵入により、インナ下部65は前記面内方向の内側(ここでは上側)に向かう力を受ける。 【0066】 また、図示は省略しているが、ウィンドウフレーム部67は、ルーフサイドレール31と当接する。これにより、ウィンドウフレーム部67は、ルーフサイドレール31に衝突荷重を伝達するとともに、ルーフサイドレール31から反発荷重を受ける。また、衝突体Aの侵入により、ウィンドウフレーム部67は前記面内方向の内側(ここでは下側)に向かう力を受ける。 【0067】 そして、図13に示すように、図11の状態から衝突体Aが右側に更に侵入してきたとする。このとき、インナ前部63は、前側補強部71により変形が抑制される。特に、前側補強部71により、前側連結壁部63cが前記面内方向の内側に折れる座屈変形が抑制される。これにより、前側外壁部63aの、前記面内方向の内側への変形が抑制される。これにより、インナ前部63は、ヒンジピラー20との接触状態を維持したままになる。一方で、この衝突シーンでは、インナ後部64については、衝突体Aとセンターピラー40との間で挟まれているため、インナ後部64とセンターピラー40との接触状態が維持される。これにより、インナ前部63からヒンジピラー20への衝突荷重の伝達を維持できるとともに、インナ後部64からセンターピラー40への衝突荷重の伝達を維持することができる。 【0068】 上述したように、前側補強部71は、車幅方向から見て、インストルメントパネルメンバ26と重複しているため、車両側突時の衝突荷重は、前側補強部71からヒンジピラー20を介してインストルメントパネルメンバ26に伝達される。インストルメントパネルメンバ26は車幅方向に延びているため、前記衝突荷重を適切に受けることができる。また、上述したように、後側補強部72は、車両前後方向における、第2のフロアクロスメンバ47と同じ位置に位置しているため、車両側突時の衝突荷重は、後側補強部72からセンターピラー40及びサイドシル10を介して第2のフロアクロスメンバ47に伝達される。第2のフロアクロスメンバ47は車幅方向に延びているため、前記衝突荷重を適切に受けることができる。 【0069】 一方で、図14に示すように、インナ下部65は、下側補強部73により変形が抑制される。特に、下側補強部73により、下側連結壁部65cが前記面内方向の内側に折れる座屈変形が抑制される。これにより、下側外壁部65aの、前記面内方向の内側への変形が抑制される。この結果、インナ下部65は、サイドシル10との接触状態を維持したままになる。よって、インナ下部65からサイドシル10への衝突荷重の伝達を維持することができる。 【0070】 上述したように、下側補強部73は、車幅方向から見て、第1のフロアクロスメンバ17と重複しているため、車両側突時の衝突荷重は、下側補強部73からサイドシル10を介して第1のフロアクロスメンバ17に伝達される。第1のフロアクロスメンバ17は車幅方向に延びているため、前記衝突荷重を適切に受けることができる。 【0071】 また、図示は省略しているが、ウィンドウフレーム部67は、上側補強部74により、上側連結壁部67cの座屈変形が抑制される。これにより、ウィンドウフレーム部67は、ルーフサイドレール31との接触状態を維持したままになる。これにより、ウィンドウフレーム部67からルーフサイドレール31への衝突荷重の伝達を維持することができる。 【0072】 上述したように、上側補強部74は、車両前後方向における、ルーフクロスメンバ36と同じ位置に位置しているため、車両側突時の衝突荷重は、上側補強部74からルーフサイドレールを介してルーフクロスメンバ36に伝達される。ルーフクロスメンバ36は車幅方向に延びているため、前記衝突荷重を適切に受けることができる。 【0073】 以上のように、車両側突時において、ドアパネル部60の外周部との結合状態を維持することで、該側突時の衝突荷重がフロントサイドドア5から車体骨格部材2にドアパネル部60全体で分散して伝達される。これにより、衝突荷重の吸収量を増加させることができる。また、車両側突時の衝突荷重がセンターピラー40に集中しにくくなるため、センターピラー40の車室内への侵入を出来る限り抑制することができる。 【0074】 したがって、本実施形態では、フロントサイドドア5は、ドアパネル部60と、車幅方向から見て、車体骨格部材2と重複するように、ドアパネル部60の外周部(インナ前部63、インナ後部64、インナ下部65、ウィンドウフレーム部67)に取り付けられた補強部71~74とを有し、補強部71~74は、板材で構成されている。これにより、ドアパネル部60は、車両側突時の車体骨格部材2からの反発荷重に対する剛性が高くなる。このため、補強部71~74により、ドアパネル部60の外周部の変形が抑制される。この結果、ドアパネル部60は、衝突荷重と車体骨格部材2からの反発荷重を受けたとしても、車室内側に抜けることなく、車体骨格部材2と結合(当接)したままになる。したがって、車両側突時の衝突荷重がフロントサイドドア5から車体骨格部材2にドアパネル部60全体で分散して伝達される。また、各補強部71~74は板材で構成されているため、フロントサイドドア5の重量増加を出来る限り抑えることができる。 【0075】 したがって、車両1を軽量化するとともに、車両側突時における衝突荷重の吸収量を増大させることができるようになる。」
(b) 「
[図:0001436713000001.jpg]
」(【図1】)
(c) 「
[図:0001436713000002.jpg]
」(【図10】)
(d) 「
[図:0001436713000003.jpg]
」(【図11】)
(e) 「
[図:0001436713000004.jpg]
」(【図12】)
(f) 「
[図:0001436713000005.jpg]
」(【図13】)
(g) 「
[図:0001436713000006.jpg]
」(【図14】)
そして、上記(a)の記載及び上記(d)ないし(g)の【図11】ないし【図14】の図示内容からみて、補強部71~74は、車幅方向から見て、車体骨格部材2と重複するように、ドアパネル部60の外周部に取り付けられ、上記(a)の記載及び上記(b)の【図1】の図示内容からみて、「ドアインナパネル61」の車高方向下側に接するように配置された「前側補強部71」、「後側補強部72」及び「下側補強部73」は、補強部71~74のうちの下側に位置し、互いに間隔を空けて車両前後方向に延びるものであり、上記(a)の記載及び上記(d)ないし(g)の【図11】ないし【図14】の図示内容からみて、フロントサイドドア5は、車幅方向から見て車体骨格部材2と重複するように補強部71~74が取り付けられたドアパネル部60の外周部以外が車室内に侵入するものであると認められる。
(イ) 発明が解決しようとする課題
発明が解決しようとする課題は、上記(ア)aの記載からみて、以下のようなものと認められる。
「サイドドアにおいて、重量増加を抑制しつつ、衝突時にサイドドアが車室内に侵入するのを抑制すること。」
そして、この「衝突時にサイドドアが車室内に侵入するのを抑制すること」に関して、上記(ア)a及びbの記載からみて、背景技術を開示する特許文献1に記載されたものは、「補強部材によってサイドドアの外周部の座屈変形が抑制され」(本願明細書の段落【0004】)るものの、外周部以外には、車幅方向から見て「車体骨格部材」と重複する補強部材が設けられておらず、サイドドアの外周部以外の部位が車室内に侵入するおそれがあることから、また、サイドドアの外周部についても補強部材が該車体骨格部材と重複して設けられない場合に車室内に侵入するおそれがあることから、該「衝突時にサイドドアが車室内に侵入するのを抑制すること」については、補強部材が該車体骨格部材と重複して設けられない場合に「衝突時にサイドドア」の外周部及び外周部以外の部位「が車室内に侵入するのを抑制すること」及び補強部材が該車体骨格部材と重複して設けられている場合に「衝突時にサイドドア」の外周部以外の部位「が車室内に侵入するのを抑制すること」を意味すると解することができる。
ウ 発明の詳細な説明に記載された課題解決手段
(ア) 発明の詳細な説明の記載
発明の詳細な説明には、上記イ(ア)aに加えて、さらに図面を含めて以下のような記載がある。
a 「【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、アウタパネルと、前記アウタパネルの車幅方向内側に配置されたインナパネルとを備え、前記インナパネルは、板状のインナパネル本体部材と、前記インナパネル本体部材の車高方向の下側に接するように配置され、前記インナパネル本体部材の板厚より厚い、又は、前記インナパネル本体部材に比べ相対的に高い引張強さを有する板状の下部部材とを有する、サイドドアを提供する。
【0008】
本発明によれば、下部部材はインナパネル本体部材に比べ相対的に高い引張強さを有する。そのため、サイドドアの下部部材を中心に側突された場合、つまり、他の車両が側突してきた場合などに効果的にサイドドアの変形を抑制できる。また、下部部材の材質を変更することで引張強さを高めることができる。つまり、形状を複雑にすることなく、下部部材の引張強さを高めることができ、下部部材の重量増加を抑制できる。
【0009】
前記下部部材は、前記インナパネル本体部材とは別体で、前記インナパネル本体部材に対して前記車幅方向に重ねて配置され、前記インナパネルは、前記インナパネル本体部材と前記下部部材とを接合する接合部を有してもよい。
【0010】
前記の構成によれば、設計の自由度が向上し得る。仮に、引張強さの異なる部材を一体で一部材として成形する場合は、引張強さの異なる部材ごとに適した加工方法で成形することが困難であるため、成形性が低下するおそれがある。しかし、引張強さの異なる部材を別体で構成する場合は、各部材ごとに適した加工方法で加工できるため、成形性が向上し得る。そのため、本発明のサイドドアでは、引張強さの異なる部材を一体で一部材として成形する場合に比べ、設計の自由度が向上し得る。
【0011】
前記下部部材には、前記車幅方向から見て環状となるように開口が設けられていてもよい。
【0012】
前記の構成によれば、サイドドアの重量が軽減され得る。
【0013】
前記インナパネルは、前記アウタパネルと前記インナパネルとの間に、車長方向に沿って延びるように配置された第1ドアビームを備えてもよい。
【0014】
前記の構成によれば、インナパネルの剛性が向上し得る。そのため、インナパネルの変形を抑制でき、側突時のサイドドアの車室内への侵入を抑制できる。
【0015】
前記第1ドアビームは、前記下部部材と一体的に一部材として構成され、前記開口の一部を画定してもよい。
【0016】
前記の構成によれば、サイドドアの部品点数を減らすことができる。そのため、組立コストや金型コストを削減できる。また、第1ドアビームを含めた状態で下部部材を成形できる。つまり、第1ドアビームと下部部材とを別々に成形する場合と比較して、成形コストを削減できる。
【0017】
前記下部部材は、前記開口を分割するように設けられた補強部材を有してもよい。
【0018】
前記の構成によれば、開口を有することによって下部部材の重量を削減しつつ、補強部材によって下部部材の剛性を向上させることができる。そのため、サイドドアの重量を削減しつつ、サイドドアの剛性を向上できる。
【0019】
前記インナパネルは、前記アウタパネルと前記インナパネルとの間に、前記車長方向に沿って延びるように配置された第2ドアビームをさらに備え、前記第2ドアビームは、前記インナパネル本体部材に比べ相対的に高い引張強さを有してもよい。
【0020】
前記の構成によれば、インナパネルの剛性が向上し得る。そのため、インナパネルの変形を抑制でき、側突時のサイドドアの車室内への侵入を抑制できる。
【0021】
前記インナパネル本体部材は、車長方向と前記車高方向とに沿って延びるパネル部と、前記パネル部の周囲から前記車幅方向外側に向けて延びる側壁部とを有してもよい。
【発明の効果】
【0022】
本発明のサイドドアによれば、重量増加を抑制しつつ、側突時の車室内への侵入が抑制され得る。」
b 「【0024】
(第1実施形態)
図1を参照すると、車両1は、前ドア(サイドドア)2と後ドア3を備える。以下の説明では、前ドア2について説明するが、後ドア3についても同様の構成である。また、本実施形態では、X方向の矢印の先は車長方向前側を指しており、Y方向の矢印の先は車幅方向外側を指しており、Z方向の矢印の先は車高方向上側を指している。
【0025】
図2を参照すると、前ドア2は、アウタパネル10とインナパネル20とを備える。アウタパネル10は、車幅方向(Y方向)外側に配置され面を構成し、インナパネル20はアウタパネル10の車幅方向(Y方向)内側に配置されている。
【0026】
図3を併せて参照すると、インナパネル20は、インナパネル本体部材21と下部部材25とを備える。本実施形態では、インナパネル本体部材21は板状で、ガラス製の窓が配置される窓枠部21aと電子機器等が配置される下側部21bとを備える。インナパネル本体部材21は、窓枠部21aを備えなくてもよい。インナパネル本体部材21は、車幅方向(Y方向)から見てアウタパネル10の上側に重なるように配置されている。
【0027】
下部部材25は、車幅方向(Y方向)から見てアウタパネルの下側に重なるように配置されている。また、下部部材25は、インナパネル本体部材21の車高方向(Z方向)の下側に接するように配置されている。本実施形態では、下部部材25は板状で、インナパネル本体部材21とは別体である。下部部材25は、下側部21bに対して車幅方向(Y方向)に重ねて配置されている。」
c 「【0035】
図3を参照すると、下部部材25は、車幅方向(Y方向)から見て略台形である。下部部材25は、横部材25a、ドアビーム(第1ドアビーム)25b、及び縦部材25c,25dを備える。
【0036】
横部材25aは、車高方向(Z方向)において下部部材25の下側を構成し、車長方向(X方向)に延びる。
【0037】
ドアビーム25bは、車高方向(Z方向)において下部部材25の上側を構成し、車長方向(X方向)に延びる。ドアビーム25bは車長方向(X方向)の前側が、後ろ側に比べ車高方向(Z方向)において高くなるように構成されている。
【0038】
縦部材25cは、車長方向(X方向)において下部部材25の前側を構成し、車高方向(Z方向)に延びる。縦部材25dは、車長方向(X方向)において下部部材25の後ろ側を構成し、車高方向(Z方向)に延びる。
【0039】
本実施形態では、ドアビーム25bは、下部部材25と一体的に一部材として構成されている。ドアビーム25bは、下部部材25と別体に構成されていてもよい。
【0040】
下部部材25には、車幅方向(Y方向)から見て環状となるように開口26が設けられている。具体的には、開口26は、横部材25a、ドアビーム25b、及び縦部材25c,25dによって画定されている。
【0041】
図4及び図5を参照すると、ドアビーム25bは、車長方向(X方向)に垂直な断面において、蛇腹状である。また、ドアビーム25bは、アウタパネル10とインナパネル20との間に配置されている。
【0042】
図7を参照すると、下部部材25は、インナパネル本体部材21と一部が重なるように配置されている。図7の斜線部は、下部部材25とインナパネル本体部材21とが重なる箇所を示す。具体的には、インナパネル本体部材21の前部接合部21f1と、下部部材25の縦部材25cの車高方向(Z方向)上部とが、斜線S1で示すように重なっている。インナパネル本体部材21の前部接合部21f1と、下部部材25の縦部材25cの車長方向(X方向)後部とが、斜線S2で示すように重なっている。インナパネル本体部材21の下部接合部21f2と、下部部材25の横部材25aの車高方向(Z方向)上部とが、斜線S3で示すように重なっている。インナパネル本体部材21の後部接合部21f3と、下部部材25の縦部材25dの車長方向(X方向)前部とが、斜線S4で示すように重なっている。インナパネル本体部材21の後部接合部21f3と、下部部材25の縦部材25dの車高方向(Z方向)上部とが、斜線S5で示すように重なっている。
【0043】
インナパネル本体部材21と下部部材25とは、インナパネル本体部材21と下部部材25とが重なる箇所(図7の斜線部)にスポット溶接されることで接合されている。換言すると、インナパネル20は、インナパネル本体部材21と下部部材25とを機械的に接合する接合部W1~W7を有する。接合部W1,W2は、インナパネル本体部材21の前部接合部21f1と、下部部材25の縦部材25cの車高方向(Z方向)上部とが重なる部分(斜線S1)に配置されている。接合部W3は、インナパネル本体部材21の前部接合部21f1と、下部部材25の縦部材25cの車長方向(X方向)後部とが重なる部分(斜線S2)の車高方向(Z方向)下側に配置されている。接合部W4は、インナパネル本体部材21の下部接合部21f2と、下部部材25の横部材25aの車高方向(Z方向)上部とが重ねる部分(斜線S3)の車長方向(X方向)の略中央に配置されている。接合部W5は、インナパネル本体部材21の後部接合部21f3と、下部部材25の縦部材25dの車長方向(X方向)前部とが重なる部分(斜線S4)の車高方向(Z方向)下側に配置されている。接合部W6,W7は、インナパネル本体部材21の後部接合部21f3と、下部部材25の縦部材25dの車高方向(Z方向)上部とが重なる部分(斜線S5)に配置されている。
【0044】
インナパネル本体部材21と下部部材25とは、接合部W1~W7において、リベットや接着、摩擦攪拌、レーザーによって接合されていてもよい。
【0045】
図4から図6を参照すると、アウタパネル10は、下部部材25の周囲及びドアビーム25bに沿うように取り付けられている。換言すると、アウタパネル10は、下部部材25によって車幅方向(Y方向)内側に沿うように取り付けられており、アウタパネル10に負荷された衝突荷重は、下部部材25によって伝達され得る。
【0046】
本実施形態における前ドア2によれば、下部部材25はインナパネル本体部材21に比べ相対的に高い引張強さを有する。そのため、前ドア2の下部部材25を中心に側突された場合、つまり、他の車両が側突してきた場合などに効果的に前ドア2の変形を抑制できる。また、下部部材25の材質を変更することで引張強さを高めることができる。つまり、形状を複雑にすることなく、下部部材の引張強さを高めることができ、下部部材の重量増加を抑制できる。
【0047】
さらに、インナパネル本体部材21と下部部材25とは別体に構成されている。仮に、引張強さの異なる部材を一体で一部材として成形する場合は、引張強さの異なる部材ごとに適した加工方法で成形することが困難であるため、成形性が低下するおそれがある。しかし、引張強さの異なる部材を別体で構成する場合は、各部材ごとに適した加工方法で加工できるため、成形性が向上し得る。そのため、本実施形態の前ドア2では、引張強さの異なる部材を一体で一部材として成形する場合に比べ、設計の自由度が向上し得る。
【0048】
ドアビーム25bが設けられているため、インナパネル20の剛性が向上し得る。そのため、インナパネル20の変形を抑制でき、側突時の前ドア2の車室内への侵入を抑制できる。
【0049】
下部部材25には開口26が設けられているため、前ドア2の重量が軽減され得る。
【0050】
ドアビーム25bが下部部材25と一体で一部材として構成されているため、前ドア2の部品点数を減らすことができる。そのため、組立コストや金型コストを削減できる。また、ドアビーム25bを含めた状態で下部部材25を成形できる。つまり、ドアビーム25bと下部部材25とを別々に成形する場合と比較して、成形コストを削減できる。
【0051】
なお、下部部材25は、インナパネル本体部材21と一体で構成されていてもよい。この場合、インナパネル20は、テーラードブランクにより成形される。すなわち、板厚又は引張強さが異なる部材を予め溶接等による一体としたうえで、プレス成形が行われることによって、インナパネル20は成形されてもよい。」
d 「【0052】
(第2実施形態)
図8及び図9を参照すると、本発明の第2実施形態に係る前ドア2の構成は、以下の点で第1実施形態と異なる。第2実施形態のその他の構成は第1実施形態と同様であり、第1実施形態と同一ないし同様の要素には同一の符号を付している。
【0053】
図8を参照すると、第2実施形態における下部部材25は、開口26を分割するように車高方向(Z方向)に延びる2つの補強部材40,41を備える。具体的には、補強部材40,41は、横部材25aとドアビーム25bとを接続するように、車高方向(Z方向)に延びる。車長方向(X方向)において、補強部材40は、補強部材41より前側に配置されている。
【0054】
図9を参照すると、補強部材40,41はそれぞれ、車高方向(Z方向)に垂直な断面において、蛇腹状である。そのため、補強部材40,41の剛性が向上し得る。
【0055】
アウタパネル10は、補強部材40,41に沿うように取り付けられている。そのため、アウタパネル10に負荷された衝突荷重は、補強部材40,41を含む下部部材25によって伝達され得る。
【0056】
第2実施形態によれば、開口26を有することによって下部部材25の重量を削減しつつ、補強部材40,41によって下部部材25の剛性を向上させることができる。そのため、前ドア2の重量を削減しつつ、前ドア2の剛性を向上できる。」
e 「【0057】
(第3実施形態)
図10及び図11を参照すると、本発明の第3実施形態に係る前ドア2の構成は、以下の点で第1実施形態と異なる。第3実施形態のその他の構成は第1実施形態と同様であり、第1実施形態と同一ないし同様の要素には同一の符号を付している。
【0058】
図10を参照すると、第3実施形態における下部部材25は、開口26を分割するように車長方向(X方向)に延びる補強部材42を備える。具体的には、補強部材42は、縦部材25c,25dを接続するように、車長方向(X方向)に延びる。
【0059】
図11を参照すると、補強部材42は、車長方向(X方向)に垂直な断面において、蛇腹状である。そのため、補強部材42の剛性が向上し得る。
【0060】
アウタパネル10は、補強部材42に沿うように取り付けられている。そのため、アウタパネル10に負荷された衝突荷重は、補強部材42を含む下部部材25によって伝達され得る。
【0061】
第3実施形態によれば、開口26を有することによって下部部材25の重量を削減しつつ、補強部材42によって下部部材25の剛性を向上させることができる。そのため、前ドア2の重量を削減しつつ、前ドア2の剛性を向上できる。」
f 「【0062】
(第4実施形態)
図12から図14を参照すると、本発明の第4実施形態に係る前ドア2の構成は、以下の点で第1実施形態と異なる。第4実施形態のその他の構成は第1実施形態と同様であり、第1実施形態と同一ないし同様の要素には同一の符号を付している。
【0063】
図12及び図13を参照すると、第4実施形態におけるインナパネル20は、ドアビーム25bに加え、ドアビーム(第2ドアビーム)50をさらに備える。ドアビーム50は、インナパネル本体部材21と下部部材25とのそれぞれと別体で構成され、車長方向(X方向)に沿って延びるように配置されている。」
g 「
[図:0001436713000007.jpg]
」(【図2】)
h 「
[図:0001436713000008.jpg]
」(【図3】)
i 「
[図:0001436713000009.jpg]
」(【図7】)
j 「
[図:0001436713000010.jpg]
」(【図10】)
k 「
[図:0001436713000011.jpg]
」(【図12】)
l 「
[図:0001436713000012.jpg]
」(【図13】)
(イ) 発明の詳細な説明の記載から把握できること
上記(ア)の記載からみて、発明の詳細な説明には、以下のようなことが記載されていると認められる。
a 第1及び第2実施形態に関して
(a) 「横部材25a」及び「ドアビーム(第1ドアビーム)25b」について
第1実施形態に関して、上記(ア)gないしiの【図2】、【図3】及び【図7】の図示内容並びにこれらに関する上記(ア)aの段落【0007】ないし【0016】、【0022】及びbないしdの記載からみて、「下部部材25」を構成する「横部材25a」及び「ドアビーム(第1ドアビーム)25b」は、車長方向(X方向)に延びていることが把握される。
(b) 「横部材25a」について
同【図2】、【図3】及び【図7】の図示内容からみて、「横部材25a」は、前部が「インナパネル本体部材21の前部接合部21f1と、下部部材25の縦部材25cの車長方向(X方向)後部とが重なる部分(斜線S2)の車高方向(Z方向)下側」(段落【0042】、【0043】、【図7】)まで延在するとともに、後部が「インナパネル本体部材21の後部接合部21f3と、下部部材25の縦部材25dの車長方向(X方向)前部とが重なる部分(斜線S4)の車高方向(Z方向)下側」(段落【0042】、【0043】、【図7】)まで延在していることが看取される。
(c) 「ドアビーム(第1ドアビーム)25b」について
同【図2】、【図3】及び【図7】の図示内容からみて、「ドアビーム(第1ドアビーム)25b」は、前部が「インナパネル本体部材21の前部接合部21f1と、下部部材25の縦部材25cの車高方向(Z方向)上部とが重なる部分(斜線S1)」(段落【0042】、【0043】、【図7】)まで延在するとともに、後部が「インナパネル本体部材21の後部接合部21f3と、下部部材25の縦部材25dの車高方向(Z方向)上部とが重なる部分(斜線S5)」(段落【0042】、【0043】、【図7】)まで延在していることが看取される。
b 第3実施形態に関して
(a) 「横部材25a」及び「ドアビーム(第1ドアビーム)25b」及び「補強部材42」について
第3実施形態に関して、上記(ア)gないしiの【図2】、【図3】及び【図7】の図示内容並びにこれらに関する上記(ア)aの段落【0007】ないし【0016】、【0022】及びbないしdの記載に加えて、上記(ア)jの【図10】の図示内容及び上記(ア)eの記載からみて、「下部部材25」を構成する上記a(a)の「横部材25a」及び「ドアビーム(第1ドアビーム)25b」に加えて、該「下部部材25」を構成する「補強部材42」は、車長方向(X方向)に延びていることが把握される。
(b) 「補強部材42」について
同【図2】、【図3】及び【図7】の図示内容に加えて、上記(ア)jの【図10】の図示内容からみて、上記a(b)の「横部材25a」及び上記a(c)の「ドアビーム(第1ドアビーム)25b」に加えて、「補強部材42」は、前部が「インナパネル本体部材21の前部接合部21f1と、下部部材25の縦部材25cの車高方向(Z方向)上部とが重なる部分(斜線S1)」(段落【0042】、【0043】、【図7】)まで延在するとともに、後部が「インナパネル本体部材21の後部接合部21f3と、下部部材25の縦部材25dの車高方向(Z方向)上部とが重なる部分(斜線S5)」(段落【0042】、【0043】、【図7】)まで延在していることが看取される。
c 第4実施形態に関して
(a) 「横部材25a」及び「ドアビーム(第1ドアビーム)25b」及び「ドアビーム(第2ドアビーム)50」について
第4実施形態に関して、上記(ア)gないしiの【図2】、【図3】及び【図7】の図示内容並びにこれらに関する記載上記(ア)aの段落【0007】ないし【0016】、【0022】及びbないしdの記載に加えて、上記(ア)k及びlの【図12】及び【図13】の図示内容及び上記(ア)fの記載からみて、「下部部材25」を構成する上記a(a)の「横部材25a」及び「ドアビーム(第1ドアビーム)25b」に加えて、該「下部部材25」を構成する「ドアビーム(第2ドアビーム)50」は、車長方向(X方向)に延びていることが把握される。
(b) 「ドアビーム(第2ドアビーム)50」について
同【図2】、【図3】及び【図7】の図示内容に加えて、上記(ア)jの【図10】の図示内容からみて、上記a(b)の「横部材25a」及び上記a(c)の「ドアビーム(第1ドアビーム)25b」に加えて、「ドアビーム(第2ドアビーム)50」は、前部が「インナパネル本体部材21の前部接合部21f1と、下部部材25の縦部材25cの車高方向(Z方向)上部とが重なる部分(斜線S1)」(段落【0042】、【0043】、【図7】)まで延在するとともに、後部が「インナパネル本体部材21の後部接合部21f3と、下部部材25の縦部材25dの車高方向(Z方向)上部とが重なる部分(斜線S5)」(段落【0042】、【0043】、【図7】)まで延在していることが看取される。
d 発明の詳細な説明の記載から把握できること
上記aないしcを踏まえて、発明の詳細な説明の記載、すなわち、実質的にみて、第1ないし第4実施形態から以下のことが把握できる。
(a) 「横部材25a」を設けることに関して
上記aないしc並びに上記(ア)aの段落【0007】ないし【0012】及び上記(ア)cの【0046】の記載からみて、第1ないし第4実施形態の「下部部材25」を構成する少なくとも「横部材25a」は、インナパネル本体部材21に比べ相対的に高い引張強さを有し、インナパネル本体部材の車長方向の全長にわたりインナパネル本体部材の車高方向の下側に接するように配置されて、「前ドア2の下部部材25を中心に側突された場合、つまり、他の車両が側突してきた場合などに効果的に前ドア2の変形を抑制できる」(段落【0046】)ものであると認められる。
そして、発明の詳細な説明において、「横部材25a」を設けることに関しては、上記のとおり、「他の車両が側突してきた場合などに効果的に前ドア2の変形を抑制できる」(段落【0046】)と記載されているまでではあるが、「インナパネル本体部材の車長方向の全長にわたりインナパネル本体部材の車高方向の下側に接するように配置され」ることにより、インナパネル本体部材の車長方向の全長にわたり「前ドア2の変形を抑制できる」といえることから、上記イの課題における「側突時にサイドドアが車室内に侵入するのを抑制すること」ができる可能性は高まり得るものと認められる。
(b) 「ドアビーム(第1ドアビーム)25b」を設けることに関して
上記aないしc並びに上記(ア)aの段落【0007】ないし【0012】及び上記(ア)cの【0046】の記載に加えて、上記(ア)aの段落【0013】ないし【0016】及び上記(ア)cの【0048】の記載からみて、第1ないし第4実施形態の「下部部材25」を構成する少なくとも「ドアビーム(第1ドアビーム)25b」は、インナパネル本体部材21に比べ相対的に高い引張強さを有し、インナパネル本体部材の車高方向の下側の下部外周部以外に前部及び後部が接し、インナパネル本体部材の車長方向の全長にわたり配置されて、「前ドア2の下部部材25を中心に側突された場合、つまり、他の車両が側突してきた場合などに効果的に前ドア2の変形を抑制できる」(段落【0046】)ものであるともに、「ドアビーム25bが設けられているため、インナパネル20の剛性が向上し得る。そのため、インナパネル20の変形を抑制でき、側突時の前ドア2の車室内への侵入を抑制できる」(段落【0048】)ものであると認められる。
すなわち、上記イの課題における「側突時にサイドドアが車室内に侵入するのを抑制すること」ができるものと認められる。
(c) 「補強部材42」を設けることに関して
上記a及びb並びに上記(ア)aの段落【0007】ないし【0016】並びに上記(ア)cの【0046】及び【0048】の記載に加えて、上記(ア)aの段落【0017】、【0018】及び上記(ア)eの【0058】ないし【0061】の記載からみて、第3実施形態の「下部部材25」を構成する少なくとも「補強部材42」は、インナパネル本体部材の車高方向の下側の下部外周部以外に前部及び後部が接し、インナパネル本体部材の車長方向の全長にわたり配置されて、「前ドア2の下部部材25を中心に側突された場合、つまり、他の車両が側突してきた場合などに効果的に前ドア2の変形を抑制できる」(段落【0046】)ものであるともに、「補強部材42によって下部部材25の剛性を向上させることができる」(段落【0061】)ものであると認められる。
そして、発明の詳細な説明において、「補強部材42」を設けることに関しては、上記のとおり、「補強部材42によって下部部材25の剛性を向上させることができる」(段落【0061】)と記載されているまでではあるが、「インナパネル本体部材の車高方向の下側の下部外周部以外に前部及び後部が接し、インナパネル本体部材の車長方向の全長にわたり配置されている」ことにより、インナパネル本体部材の車長方向の全長にわたり前ドア2の「下部部材25の剛性を向上させることができる」といえることから、側突時のサイドドアの車室内への侵入を抑制できる可能性は高まり得るものと認められる。
(d) 「ドアビーム(第2ドアビーム)50」を設けることに関して
上記a及びc並びに上記(ア)aの段落【0007】ないし【0016】並びに上記(ア)cの【0046】及び【0048】の記載に加えて、上記(ア)aの段落【0019】、【0020】及び上記(ア)fの【0063】の記載からみて、第4実施形態の「下部部材25」を構成する少なくとも「ドアビーム(第2ドアビーム)50」は、インナパネル本体部材21に比べ相対的に高い引張強さを有し、インナパネル本体部材の車高方向の下側の下部外周部以外に前部及び後部が接し、インナパネル本体部材の車長方向の全長にわたり配置されて、「前ドア2の下部部材25を中心に側突された場合、つまり、他の車両が側突してきた場合などに効果的に前ドア2の変形を抑制できる」(段落【0046】)ものであるともに、「インナパネルの剛性が向上し得る。そのため、インナパネルの変形を抑制でき、側突時のサイドドアの車室内への侵入を抑制できる」(段落【0020】)ものであると認められる。
すなわち、上記イの課題における「側突時にサイドドアが車室内に侵入するのを抑制すること」ができるものと認められる。
(ウ) 発明の詳細な説明に記載された課題解決手段
a 発明の詳細な説明に記載された課題解決手段
(a) 上記(ア)及び(イ)からみて、上記イの課題を解決するための手段は、上記アの事項に加えて、特に上記イの課題における「側突時にサイドドアが車室内に侵入するのを抑制すること」に対応するものとして、上記アの事項として請求項1において既に特定されている「下部部材」について既に特定されている「前記インナパネル本体部材の車高方向の下側に接するように配置され、前記インナパネル本体部材の板厚より厚い、又は、前記インナパネル本体部材に比べ相対的に高い引張強さを有する板状の下部部材」なる事項を踏まえると、少なくとも「前記インナパネル本体部材の車高方向の下側に接するように配置され」ている上記(イ)d(a)の「横部材25a」を設けることに関して、以下の特に下線を付した事項を含むものであると理解される。
「下部部材は、インナパネル本体部材の車長方向の全長にわたりインナパネル本体部材の車高方向の下側に接するように配置されていること。」
すなわち、発明の詳細な説明には、「下部部材25」を構成する少なくとも同「横部材25a」を設けることに関して、上記下線を付した「インナパネル本体部材の車長方向の全長にわたり」なる事項を含むもののみが記載されており、上記(イ)d(a)のとおり、このような「インナパネル本体部材の車長方向の全長にわたりインナパネル本体部材の車高方向の下側に接するように配置されていること」を前提として、「前ドア2の下部部材25を中心に側突された場合、つまり、他の車両が側突してきた場合などに効果的に前ドア2の変形を抑制できる」(段落【0046】)ものであると認められ、また、上記(イ)d(b)及び(c)のインナパネル本体部材21に比べ相対的に高い引張強さを有し、インナパネル本体部材の車高方向の下側の下部外周部以外に前部及び後部が接し、インナパネル本体部材の車長方向の全長にわたり配置されている「ドアビーム(第1ドアビーム)25b」及び「ドアビーム(第2ドアビーム)50」を設けることに関する記載においてのみ上記イの課題における「側突時にサイドドアが車室内に侵入するのを抑制すること」に対応する「側突時の前ドア2の車室内への侵入を抑制できる」(段落【0048】)及び「側突時のサイドドアの車室内への侵入を抑制できる」(段落【0020】)なることが明記され、上記「横部材25a」を設けることに関する記載においては、「他の車両が側突してきた場合などに効果的に前ドア2の変形を抑制できる」(段落【0046】)と記載されているまでであることを踏まえると、同「横部材25a」を設けることに関して、上記下線を付した「インナパネル本体部材の車長方向の全長にわたり」なる事項を含むことにより、インナパネル本体部材の車長方向の全長にわたり「前ドア2の変形を抑制できる」といえることから、上記イの課題における「側突時にサイドドアが車室内に侵入するのを抑制すること」ができる可能性は高まり得るものと認められる。
(b) そして、「下部部材」が「インナパネル本体部材」の車長方向の一部にのみ「インナパネル本体部材の車高方向の下側に接するように配置されている」ような場合、側突時にサイドドアが車室内に侵入する可能性が高まることは、当業者であれば明らかであるところ、発明の詳細な説明には、そのような「下部部材」が「インナパネル本体部材」の車長方向の一部にのみ「インナパネル本体部材の車高方向の下側に接するように配置されている」ような場合にも、上記イの課題における「側突時にサイドドアが車室内に侵入するのを抑制すること」ができる構成については、何ら記載も示唆もなく、また、そのような「下部部材」が「インナパネル本体部材」の車長方向の一部にのみ「インナパネル本体部材の車高方向の下側に接するように配置されている」ような場合は、「側突時に」インナパネル本体部材の車長方向の一部についてのみ「前ドア2の変形を抑制できる」にとどまり、それ以外の部分については、「前ドア2の変形を抑制できる」には至らず、該それ以外の部分に側突された場合のみならず、「前ドア2の下部部材25を中心に側突された場合」(段落【0046】)であっても、該それ以外の部分における該変形によりサイドドアが車室内に侵入してしまうこととなるため、上記イの課題における「側突時にサイドドアが車室内に侵入するのを抑制すること」ができるには至らないものと認められる。このような「下部部材」が「インナパネル本体部材」の車長方向の一部にのみ「インナパネル本体部材の車高方向の下側に接するように配置されている」ような場合については、発明の詳細な説明において一切記載されておらず、上記イの課題における「側突時にサイドドアが車室内に侵入するのを抑制すること」ができることが裏付けられているものと把握されるものではない。
b 発明の詳細な説明に記載された他の課題解決手段
また、上記(ア)及び(イ)からみて、上記イの課題を解決するための手段は、上記アの事項に加えて、特に上記イの課題における「側突時にサイドドアが車室内に侵入するのを抑制すること」に対応するものとして、上記アの事項として「下部部材」について既に特定されている事項を踏まえた上記aのほかにも、上記(イ)d(b)の「ドアビーム(第1ドアビーム)25b」、上記(イ)d(c)の「補強部材42」及び上記(イ)d(d)の「ドアビーム(第2ドアビーム)50」を設けることに関して、以下の特に下線を付した事項を含むものであると理解される。
「下部部材は、インナパネル本体部材の車高方向の下側の下部外周部以外に前部及び後部が接し、インナパネル本体部材の車長方向の全長にわたり配置されていること。」
エ サポート要件の検討(特許請求の範囲における課題解決手段の反映)
請求項1に係る発明は、上記アの事項として「下部部材」について既に特定されている事項を踏まえると、上記ウ(ウ)の少なくともaの発明の詳細な説明に記載された課題解決手段について特定されていないため、請求項1に係る発明には、上記イの課題を解決することができないもの、すなわち、上記ウ(ウ)a(b)で示したように、「下部部材」が「インナパネル本体部材」の車長方向の一部にのみ「インナパネル本体部材の車高方向の下側に接するように配置されている」ものが包含されており、その場合、上記イの課題における「衝突時にサイドドアが車室内に侵入するのを抑制する」ことを十分になし得るとはいえないことから、また、上記ウ(ウ)bの発明の詳細な説明に記載された他の課題解決手段についても特定されていないため、請求項1に係る発明は、発明の詳細な説明の記載から当業者が上記課題を解決できると認識できる範囲を超えるものである。
したがって、上記アの事項を発明特定事項として含む請求項1に係る発明は、発明の詳細な説明に記載された課題解決手段が反映されていないため、発明の詳細な説明の記載から把握される発明の範囲を超えるものであり、発明の詳細な説明に記載されたものではない。
オ 令和7年8月15日提出の意見書について
a 同意見書における審判請求人の主張
審判請求人は、上記意見書において、当審による令和7年6月12日付けの拒絶理由通知における「理由1(サポート要件)」に係る指摘に対して、以下のように主張する(下線は、当審において付した。)。
(a) 「上記指摘に対し、本願明細書段落0006に記載の課題「本発明は、サイドドアにおいて、重量増加を抑制しつつ、側突時の車室内への侵入を抑制することを課題とする」については、「下部部材は、インナパネル本体部材の車長方向の全長にわたりインナパネル本体部材の車高方向の下側に接するように配置されていること」を必ずしも要するものではありません。下部部材の配置については、インナパネル本体部材の車長方向の全長にわたるのではなく一部であったとしても、下部部材が相対的に高い引張強さを有していることから、上記課題における耐側突性は向上し得ます。本願の課題において「重量増加を抑制しつつ、」と記載していることからも、下部部材は軽量であることが好ましく、その配置についてインナパネル本体部材の車長方向の全長にわたるものであるとの限定したものであるべきとの解釈は過度な指摘であるものと思料します。」
(b) 「 また、審査基準においては、サポート要件の判断について以下のように記載されています。「発明の詳細な説明に記載された特定の具体例にとらわれて、必要以上に特許請求の範囲の減縮を求めることにならないようにする。」実際、本願明細書では、文言上、下部部材がインナパネル本体部材の車長方向の全長にわたるものであることを要する記載はなく、図面において一例として下部部材がインナパネル本体部材の車長方向のほぼ全長にわたるものが示されている程度です。」
(c) 「 本願発明は、具体的には、インナパネルをインナパネル本体部材と下部部材とから構成することによって、上記課題にもあるように、重量増加を抑制しつつ、インナパネル自体の強度を向上させ、インナパネルの変形を抑制し、達成され得るものであり、上記の通り一部であっても下部部材は相対的に高い引張強さを有しているため、出願時の技術常識を考慮すれば全面がインナパネル本体部材で構成する場合と比較して側突時の車室内への侵入を抑制できるという効果を奏し得ることは明らかです。従って、請求項1に係る発明は、発明の詳細な説明の記載から認識される課題を解決できる範囲を超えるものではなく、上記指摘は失当であるものと思料します。」
b 上記aの主張の検討
(a) 上記(a)の主張について
(a)-1 「下部部材の配置については、インナパネル本体部材の車長方向の全長にわたるのではなく一部であったとしても、下部部材が相対的に高い引張強さを有していることから、上記課題における耐側突性は向上し得ます。」なる主張について
上記ウ(ウ)a及びb並びに上記エのとおり、発明の詳細な説明には、「下部部材25」を構成する少なくとも同「横部材25a」を設けることに関して、「インナパネル本体部材の車長方向の全長にわたり」なる事項を含むもののみが記載されており、「ドアビーム(第1ドアビーム)25b」、「補強部材42」及び「ドアビーム(第2ドアビーム)50」を設けることに関しても、インナパネル本体部材の車長方向の全長にわたり配置されているもののみが記載されており、「下部部材」が「インナパネル本体部材」の車長方向の一部にのみ「インナパネル本体部材の車高方向の下側に接するように配置されている」ような場合に、上記イの課題における「側突時にサイドドアが車室内に侵入するのを抑制すること」ができることについては、何ら記載がない。
そして、上記ウ(ウ)a及びb並びに上記エのとおり、同「横部材25a」を設けることに関しては、「インナパネル本体部材の車長方向の全長にわたり」なる事項を含むことにより、インナパネル本体部材の車長方向の全長にわたり「前ドア2の変形を抑制できる」といえることから、上記イの課題における「側突時にサイドドアが車室内に侵入するのを抑制すること」ができる可能性は高まり得るものと認められ、「ドアビーム(第1ドアビーム)25b」、「補強部材42」及び「ドアビーム(第2ドアビーム)50」を設けることに関しても、「インナパネル本体部材の車長方向の全長にわたり」配置されて、上記イの課題における「側突時にサイドドアが車室内に侵入するのを抑制すること」ができるものであると認められる。
一方、上記ウ(ウ)a(b)及び上記エのとおり、「下部部材」が「インナパネル本体部材」の車長方向の一部にのみ「インナパネル本体部材の車高方向の下側に接するように配置されている」ような場合には、「側突時に」インナパネル本体部材の車長方向の一部についてのみ「前ドア2の変形を抑制できる」にとどまり、それ以外の部分については、「前ドア2の変形を抑制できる」には至らず、該それ以外の部分に側突された場合のみならず、「前ドア2の下部部材25を中心に側突された場合」(段落【0046】)であっても、該それ以外の部分における該変形によりサイドドアが車室内に侵入してしまうこととなるため、上記イの課題における「側突時にサイドドアが車室内に侵入するのを抑制すること」ができるには至らないものと認められる。このような「下部部材」が「インナパネル本体部材」の車長方向の一部にのみ「インナパネル本体部材の車高方向の下側に接するように配置されている」ような場合については、発明の詳細な説明において一切記載されておらず、上記イの課題における「側突時にサイドドアが車室内に侵入するのを抑制すること」ができることが裏付けられているものと把握されるものではない。
上記意見書の主張においても「上記課題における耐側突性は向上し得ます」と主張するにとどまっており、上記イの課題における「側突時にサイドドアが車室内に侵入するのを抑制すること」にまで言及していないことからも、上記の通りであるといえる。
したがって、上記主張は、課題解決手段に係る主張としては失当であり、採用することはできない。
(a)-2 「本願の課題において「重量増加を抑制しつつ、」と記載していることからも、軽量であることが好ましく、その配置についてインナパネル本体部材の車長方向の全長にわたるものであるとの限定したものであるべきとの解釈は過度な指摘である」なる主張について
該主張における「軽量であることが好ましく」については、発明の詳細な説明には、上記ウ(ア)aのとおり、「形状を複雑にすることなく」(段落【0008】、【0046】)、「車幅方向からみて環状となるように開口が設けられていてもよい。」(段落【0011】、【0012】、【0017】、【0018】、【0061】)の各構成により実現することが記載されているまでである。
そして、上記主張の「全長にわたるものであるとの限定したものであるべきとの解釈は過度な指摘」については、発明の詳細な説明には、「インナパネル本体部材の車長方向の全長にわたり」なる態様についてのみ既に記載がなされており、例えば、仮に「一部のみ」なる態様について開示がなされており、これに対して「インナパネル本体部材の車長方向の全長にわたり」のように重量が増加する方向の新たな改変を伴うようなものではないことから、何ら過度な指摘ではなく、本来の課題解決手段を請求項1に係る発明の発明特定事項として反映することが必要であることを指摘するものである。
したがって、上記主張は、課題解決手段に係る主張としては失当であり、採用することはできない。
(b) 上記(b)の主張について
(b)-1 「本願明細書では、文言上、下部部材がインナパネル本体部材の車長方向の全長にわたるものであることを要する記載はなく」なる主張について
上記(a)-1と同様であり、採用することはできない。
(b)-2 「図面において一例として下部部材がインナパネル本体部材の車長方向のほぼ全長にわたるものが示されている程度」なる主張について
発明の詳細な説明においては、該主張において「一例として」とされる図面に開示されたものに対して、他の例として、「下部部材」が「インナパネル本体部材」の車長方向の一部にのみ「インナパネル本体部材の車高方向の下側に接するように配置されている」ような態様について、何ら具体的に記載されておらず、その可能性すら言及されていない。そして、本来の課題解決手段については、上記ウ(ウ)a(及びb並びに上記エのとおりである。
したがって、上記主張は、課題解決手段に係る主張としては失当であり、採用することはできない。
(c) 上記(c)の主張について
(c)-1 「一部であっても下部部材は相対的に高い引張強さを有しているため、出願時の技術常識を考慮すれば全面がインナパネル本体部材で構成する場合と比較して側突時の車室内への侵入を抑制できるという効果を奏し得ることは明らか」なる主張(下線を付した点)について
該主張における「全面がインナパネル本体部材で構成する場合と比較」は前提において誤りである。
すなわち、発明の詳細な説明には、背景技術として、「特許文献1には、サイドドアの車体骨格部材と接する箇所、つまり外周部に補強部材が配置されたサイドドアが開示されている。」(段落【0002】)、「特許文献1に記載のサイドドア構造では、サイドドアに衝突荷重が負荷されたとしても、補強部材によってサイドドアの外周部の座屈変形が抑制され」(段落【0004】)及び「インナパネルに対して補強部材が追加されている」(段落【0005】)と記載されていることから、本願の請求項1に係る発明による効果を比較するにあたっては、該背景技術として記載されたような「外周部に補強部材が配置されたサイドドア」と比較するのが本来的であり、上記主張のような「全面がインナパネル本体部材で構成する場合と比較」することは前提において誤りであって、比較の対象として、「全面がインナパネル本体部材で構成する場合」のように比較の対象とすべき本来の背景技術よりも強度の低いものを据えて、課題を解決するための手段として必要とされる事項を不当に過小に印象づけるものであって採用することはできない。
なお、背景技術を開示する特許文献1として記載された特開2021-017200号公報に記載されたものは、「ドアインナパネル61に補強部71~74を設け」(同文献の段落【0062】)たものであり、これは、実質的にみて、本願の請求項1に係る発明の「インナパネル本体部材」に相当する「ドアインナパネル61」と本願の請求項1に係る発明の「下部部材」と同様に「インナパネル本体部材」の「変形を抑制」(同文献の段落【0062】、【0067】、【0069】、【0071】、【0074】)する機能をもつ「補強部71~74」とからなるものを、本願の請求項1に係る発明の「インナパネル」と比較するのが本来的である。
したがって、上記主張の下線を付した点は、課題解決手段に係る主張としては失当であり、採用することはできない。
(c)-2 「一部であっても下部部材は相対的に高い引張強さを有しているため、出願時の技術常識を考慮すれば全面がインナパネル本体部材で構成する場合と比較して側突時の車室内への侵入を抑制できるという効果を奏し得ることは明らか」なる主張(下線を付した点)について
上記(c)-1を踏まえて、本来の背景技術を前提とした課題解決手段については、上記(a)-1と同様であり、該主張については採用することはできない。
c 以上のとおり、上記意見書における主張はいずれも採用することができず、上記エのとおり、請求項1に係る発明は、発明の詳細な説明に記載された課題解決手段が反映されていないため、発明の詳細な説明の記載から把握される発明の範囲を超えるものであり、発明の詳細な説明に記載されたものではない。
カ したがって、請求項1に係る発明は、発明の詳細な説明に記載されたものではない。
(2) 請求項2ないし7係る発明
請求項1を引用する請求項2ないし7に係る発明も上記(1)アの事項を発明特定事項として含むものであり、同様に「インナパネル本体部材の車長方向の全長にわたり」なる事項を含むものではないことから、同様に、請求項2ないし7に係る発明は、発明の詳細な説明に記載されたものではない。
2 小括
よって、請求項1ないし7に係る発明は、発明の詳細な説明に記載されたものではない。
第5 むすび
以上のとおり、請求項1ないし7に係る発明は、発明の詳細な説明に記載されたものではないものであるから、特許請求の範囲の記載が特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしておらず、特許を受けることができない。
したがって、本願は拒絶されるべきものである。
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2024-014608