特許異議申立
2025-701084
遊技機
- 審判番号
- 2025-701084
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2022-147089
- 登録番号
- 7680406
- 請求日
- 2025年11月19日
- 審決日
- 2026年02月10日
- 公報発行日
- 2026年03月27日
- 結論
- 維持
- 当事者
- 【権利者】株式会社三共
- 【権利者代理人】創和国際特許事務所弁理士法人
- 【異議申立人】日本電動式遊技機特許 株式会社
- 【異議申立人代理人】弁理士法人平木国際特許事務所
- 審判長/審判官
- 審判長 秋田 将行
- 審判官 ▲吉▼川 康史
- 審判官 山崎 仁之
- 分類
- P1651.113-Y (A63F) / P1651.121-Y (A63F) / P1651.537-Y (A63F)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条、特許法第36条
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第7680406号発明「遊技機」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第7680406号の請求項1に係る特許を維持する。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特許第7680406号(以下「本件特許」という。)の請求項1に係る特許についての出願は、令和4年9月15日に出願され、令和7年5月12日に特許権の設定登録がされ、同年同月20日に特許掲載公報が発行された。その後、本件特許に対し、同年11月19日に特許異議申立人日本電動式遊技機特許株式会社(以下「申立人」という。)により特許異議の申立てがされたものである。
第2 本件発明
本件特許の請求項1の特許に係る発明(以下「本件発明」という。)は、その特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される次のとおりのものである(符号A等は分説のため合議体が付した。また、符号A等により分説された発明特定事項を、以下「構成要件A」等という。)。
「【請求項1】
A 各々が識別可能な複数種類の識別情報を変動表示可能な可変表示部を複数備え、
B 前記可変表示部を変動表示した後に表示結果を導出し、複数の可変表示部の表示結果の組合せである表示結果組合せに応じて入賞が発生可能な遊技機において、
C 遊技者が表示結果を導出させるために操作する導出操作手段と、
D 導出を許容する表示結果組合せを決定する事前決定手段と、
E 画像表示手段と、
F 前記事前決定手段の決定結果が複数種類の特定結果のうちいずれかの種類の特定結果となった遊技において、該特定結果の種類に対応する表示結果組合せを導出させるための前記導出操作手段の特定操作態様を示唆する特定示唆画像を表示させる特定示唆演出を実行する特定示唆演出実行手段と、
G 前記事前決定手段の決定結果が前記複数種類の特定結果とは異なる特別結果となった遊技において、特別表示結果組合せを導出させるための前記導出操作手段の特別操作態様を示唆する特別示唆画像を表示させる特別示唆演出を実行する特別示唆演出実行手段と、
H 画像を表示するための画像データを指定する画像データ指定手段と、 を備え、
I 前記画像データ指定手段は、画像データとともに当該画像データのレイヤを指定可能であり、
J 複数の画像データが指定された場合に、複数の画像データのレイヤが異なる場合には、レイヤの優先度に従ってそれぞれの画像データに基づく画像が重なって表示され、複数の画像データのレイヤが同一の場合には、複数の画像データのうちいずれか一の画像データに基づく画像が表示され、
K 前記事前決定手段の決定結果が前記複数種類の特定結果のうちいずれかの種類の特定結果となった遊技において前記特定示唆演出を実行する場合に特定示唆画像を表示するための画像データを指定する場合にも、前記事前決定手段の決定結果が前記特別結果となった遊技において前記特別示唆演出を実行する場合に前記特別示唆画像を表示するための画像データを指定する場合にも、同一のレイヤを指定する、
L 遊技機。」
第3 申立理由の概要
本件発明は、甲1号証に記載された発明であるか、甲1号証に記載された発明と甲2号証及び甲3号証に記載された周知技術に基づいて当業者が容易に想到し得たものであり、特許法29条1項又は2項の規定により特許を受けることができない発明である。
また、本件特許の特許請求の範囲の請求項1に記載された発明は、その発明の詳細な説明に記載されていないか、明確でないので、特許法36条6項1号及び2号に規定する要件を満たしていない。
(証拠方法)
甲1号証:特開2022-093534号公報
甲2号証:特開2015-077177号公報
甲3号証:特開2019-024915号公報
(以下、甲1号証を「甲1」等という。)
第4 各甲号証の内容
1 甲1について
(1) 甲1に記載された事項
甲1には以下の事項が記載されている(下線は合議体が付した。以下同様。)。
「【0184】
(第3の実施の形態)
次に、図面を参照しながら本発明の第3の実施の形態について説明する。
図22に示すように、本発明のスロットマシン(遊技機)10は、遊技者側を向く面である前面側が開口された箱状の筐体11と、当該筐体11の前面側開口を開閉する前面扉12とを備えている。筐体11には、回転自在な第一リール20a、第二リール20bおよび第三リール20cがユニット化されたリールユニットと、メダル(遊技価値)の払い出しを行うホッパー装置等が収納されている。また、前面扉12は、上扉12aと下扉12bとに分割されており、これら上扉12aおよび下扉12bはそれぞれ筐体11に対して開閉自在となっている。
【0185】
上扉12aには、液晶ディスプレイ(表示手段)(表示装置)13、スピーカ14などの演出用の装置、および、表示窓16が設けられている。液晶ディスプレイ13は、各種演出用の画像(動画、静止画)を表示する。また、スピーカ14は、各種演出用の音(音楽、効果音、音声等)を出力する。なお、演出用の装置としては、液晶ディスプレイ13やスピーカ14の他にランプ(LED)などの電飾装置、アクチュエータ等で動作可能な可動役物などを設けても良い。
【0186】
表示窓16の奥には、リールユニットが、その一部を表示窓16の外から視認可能に配置されている。各リール20a~20cの外周面には、複数種類の図柄が一列に配置されており、各リール20a~20cが停止すると表示窓16を通して1リール当たり3個の図柄(上段図柄、中段図柄、下段図柄)が表示される。また、表示窓16には、各リール20a~20cの図柄を視認するための表示位置として、上段、中段、下段が設けられており、各リール20a~20cの表示位置の組合せによって有効ラインが設定されている。なお、本実施形態の遊技機では、第一リール20aの中段と、第二リール20bの中段と、第三リール20cの上段とによって有効ラインが構成されている。また、本実施形態の遊技機では、1回の遊技に関して必要なメダルの数(規定枚数)が、3枚に設定されており、規定枚数のメダルが投入されると、有効ラインが有効化される。
【0187】
スロットマシン10では、遊技開始に伴って各リール20a~20cが回転を開始するとともに内部抽選が実行されて当選役のいずれかの当選またはハズレ(不当選)が決定される。次いで、リール20a~20cが停止したときに、内部抽選で当選した当選役に対応する図柄組合せが有効ラインに表示されると、この当選役が入賞となり、入賞した当選役に対応する処理(入賞処理)が実行される。」
「【0190】
スロットマシン10では、メダル投入口22にメダルが投入、または、ベットボタン23が操作され規定枚数のメダルがベットされることで、スタートレバー24の操作が有効化される。また、有効化されたスタートレバー24が操作されると遊技が開始される。遊技が開始されると、各リール20a~20cが回転を開始し、各リール20a~20cの回転速度が一定速度に到達して定常回転となるとストップボタン26a~26cの操作が有効化される。また、有効化されたストップボタン26a~26cが操作されると、操作されたストップボタン26a~26cに対応する各リール20a~20cを停止する。」
「【0198】
内部抽選手段42は、有効化されたスタートレバー24が操作されたこと(すなわち、遊技開始)に基づいて内部抽選テーブルを用いた内部抽選を行う。
内部抽選テーブルは、複数の乱数(例えば、0~65535の65536個の乱数)のそれぞれに対して、小役、リプレイおよびボーナスを含む各種の当選役やハズレ(不当選)が対応付けられたものであり、記憶手段60のROMに設けられた内部抽選テーブル記憶領域61に複数格納されている。本実施形態の遊技機では、後述するように、遊技状態として、一般中状態、RBB内部中状態およびRBB作動中状態が設定可能とされ、設定値として、設定1~設定6までの6つの設定値が設定可能とされており、内部抽選手段42は、遊技状態および設定値に応じて内部抽選テーブルを選択して内部抽選を行う。
なお、小役とは、入賞することにより、入賞した小役に応じた所定枚数のメダルの払い出しを受けることができる役である。また、リプレイとは、入賞することにより、メダルを新たに消費することなく、再度遊技を行うことができる役である。リプレイが入賞すると、遊技者のメダルを使うことなくスタートレバー24の操作が有効化され、スタートレバー24の操作により遊技を開始することが可能な状態となる。」
「【0200】
図24に示すように、本実施形態の遊技機では、小役として、小役1~小役40が用意されている。また、小役が含まれる当選エリアとして「小役ALL」、「1枚ALL」、「択1枚_1」~「択1枚_4」、「打順ベル1A」~「打順ベル6A」、「打順ベル1B」~「打順ベル6B」および「スイカ」が用意されている。また、小役1~小役6は入賞すると10枚のメダルが払い出される10枚役となっており、小役7、小役8、小役39、小役40は入賞すると3枚のメダルが払い出される3枚役となっており、小役9~小役38は入賞すると1枚のメダルが払い出される1枚役となっている。
なお、以下では、当選エリア「打順ベル1A」~「打順ベル6A」を打順ベルAといい、当選エリア「打順ベル1B」~「打順ベル6B」を打順ベルBといい、打順ベルA、Bをまとめて打順ベルということとする。また、当選エリア「択1枚_1」~「択1枚_4」をまとめて択1枚と呼ぶこととする。」
「【0221】
打順ベルには、それぞれ正解打順と不正解打順とが設定されている。具体的には、図25に示すように、いずれかの打順ベルが当選した場合に、正解打順で操作がされると10枚役が入賞し、不正解打順で操作がされると1枚役が入賞し得るようになっている。また、不正解打順で操作がされた場合に、所定の確率(1/2または3/4の確率)で1枚役が非入賞、より具体的にはいずれの役も入賞しないようになっている。また、各打順ベルの正解打順は1通りに定められており、他の5通りの打順は不正解打順とされている。また、「打順ベル1A」~「打順ベル6A」は、互いに異なる打順が正解打順に設定されており、「打順ベル1B」~「打順ベル6B」は、互いに異なる打順が正解打順に設定されている。」
「【0245】
指示機能制御手段51は、AT演出状態において打順ベルが当選すると、正解打順を報知する打順ナビ演出の実行を決定する。また、打順ナビ演出の実行が決定されると演出制御手段100は、液晶ディスプレイ13に正解打順を表示させる。また、指示機能制御手段51は、打順ナビ演出が実行される毎に、ナビ回数カウンタ66の記憶値から「1」を減算する処理を行う。そして、ナビ回数カウンタ66の記憶値がしきい値「0」に達すると、AT演出状態の1セットの終了条件が成立したとして、演出状態制御手段81は、AT演出状態の1セットを終了させる。」
「【0264】
表示装置13は、その表示面に演出画像を表示させることにより、演出を実行する。また、表示装置13に表示される演出画像は、描画素材(素材画像)が配置された複数のレイヤを重ね合せて形成された合成画像となっている。図28は、各演出に対応する描画素材が配置されるレイヤの概念を示す図である。
【0265】
表示装置13に表示される演出画面は、例えば1秒間が30コマ(以下、フレームという)で構成されている(いわゆる30fpsのフレームレート)。したがって、例えば1分間の長さを持った演出パターンの場合、その演出画面は全体で60秒×30フレームの計1800フレームにより成り立っている。図28には、その最小単位に当たる1つのフレームを構成するレイヤ構造が示されている。
【0266】
1つのフレームを描画する際には、優先度の低い描画素材から1つずつ順に相応のレイヤに描画される。例えば、1つのフレームが5個の描画素材で構成される場合には、まず優先度が最も低い(優先順位5位の)描画素材が最も下位のレイヤに配されて所定の位置に描画される。次に優先度が2番目に低い(優先順位4位の)描画素材が、優先順位5位の描画素材が描画されたレイヤよりも上位のレイヤに配されて所定の位置に描画される。
このようにして優先度に従い描画素材が次々と描画されていき、最後に優先度が最も高い(優先順位1位の)描画素材が優先順位2位の描画素材が描画されたレイヤよりも上位のレイヤに配されて所定の位置に描画される。全ての描画素材を各レイヤに描画し終えた段階で、これらのレイヤを上位側(前面側)からみた合成画像が、そのフレームに対応する合成画像として表示装置13に表示される。換言すると、合成画像を表示装置13で見た場合、下位のレイヤに配置された描画素材は、上位のレイヤに配置された描画素材に覆われた状態となる。さらに換言すると、上位側のレイヤほど、表示装置13における表示上の優先度が高いといえる。本実施形態の遊技機においては、各フレームにはレイヤ1~レイヤNのN枚のレイヤが存在し、番号の小さいレイヤほど表示上の優先度が低く、番号の大きいレイヤほど表示上の優先度が高くなっている。
【0267】
なお、各合成画像の描画処理は、サブ側記憶手段72のVRAM内の1領域であるフレームバッファを用いて実行される。新たな描画素材を上位のレイヤに描画することは、新たな描画素材をフレームバッファにバッファされた画像の上に重ねて描画することを意味する。あるフレームを構成する描画素材を優先度の低い方から順にフレームバッファに描画していき、全ての描画素材を描画し終えると、フレームバッファ上に完成した合成画像が当該フレームの画像として表示装置13に表示されることとなる。なお、描画素材は、サブ側記憶手段72の描画素材記憶領域(ROM)に記憶されている。
【0268】
なお、レイヤの数に特に限定はなく、例えば数十~数百のレイヤが規定されてもよい。また、各合成画像は、必ずしも全てのレイヤに描画素材が配置されて構成されるとは限らず、不使用のレイヤが適宜発生し得る。また、本実施の形態では、優先度の低い描画素材は、その上から優先度のより高い描画素材が重ねて描画されると、その重なった部分が視認できないものとするが、各描画素材には透明度の設定が可能であり、上位に重ねられる描画素材に設定された透明度が0(完全に不透明)でない場合はこの限りではなく、透明度の度合いに応じてその下位側に隠れた描画素材の存在をフレーム画像で視認できる場合もある。
【0269】
ここで、近い位置に配置された複数のレイヤー(複数の描画素材の集合体)を1つのまとまりとして捉えることにより、1つのフレームは、N枚のレイヤで構成されていると同時に、複数のレイヤ群で構成されているとみることもできる。例えば、図28に示すフレームは、3つのレイヤ群で構成されており、一番下(表示装置13で見た場合の最も背面側)に配置されたレイヤ群LG1にレイヤ群LG2が重ねられ、一番上(表示装置13で見た場合の最も前面側)にレイヤ群LG3が配置されることにより、1つのフレーム画像が完成している。
【0270】
演出画面を構成する画像は、例えば、背景画像、報知情報、重要情報等に分けられ、画像の種類毎に各レイヤ群LG1~LG3に配置される。各画像の優先度は概して重要情報が最も高く、ここから報知情報、背景画像の順に低く設定されている。1フレームの描画は優先度の低い方から順に行われ、背景画像の上に報知情報を示す画像が、さらにその上に重要情報を示す画像が重ねられて1つのフレーム画像が合成される。なお、ここで示した優先度はあくまで主要な例であり、この順番とは異なるケースも存在する。
【0271】
例えば、一番下に位置するレイヤ群LG1には、優先度が最も低い背景画像が描画される。この背景画像は全体が1個の描画素材ではなく、複数の描画素材が各々優先度の低い方から順に重ね合わされて1つの背景画像を成している。以下に説明する他のレイヤ群LG2,LG3に配置される画像についても、これと同様に構成されている。
【0272】
レイヤ群LG1の上には、レイヤ群LG2が重ねられている。レイヤ群LG2には、報知情報を構成する複数の描画素材が描画される。具体的には、例えば、カウンタの画像、打順ナビの画像等が配置される。
【0273】
レイヤ群LG2の上には、レイヤ群LG3が重ねられている。レイヤ群LG3には、重要な情報を示す複数の描画素材が描画される。重要な情報とは、例えば、のめり込み防止を報知する情報や、システムメッセージ(エラーメッセージ)等のことを指す。これらの情報は、遊技上特に重要であるため優先度が高く設定されており、他の画像に隠れてしまうことなく確実に視認できるよう最も上側のレイヤ群LG3に描画される。なお、エラーメッセージ等のシステムメッセージよりも上位のレイヤに打順ナビの画像を配置することとしてもよいが、この場合でも、のめり込み防止画像については打順ナビの画像よりも上位のレイヤに配置することが望ましい。
【0275】
(打順ナビ表示)
指示機能制御手段51が指示演出を行うことを決定すると、演出制御手段100は、報知情報の1つである打順ナビ(打順ナビ表示)を表示装置13に実行させる。打順ナビ表示とは、各ストップボタン26a~26cに対応する位置への数字、記号等の表示である。打順ナビの表示では、例えば、数字「1」、「2」、「3」、エクスクラメーションマーク「!」が表示される。図29は、打順ナビ表示の一例を示す図である。本実施の形態では、各ストップボタン26a~26cに対応する位置を、各ストップボタン26a~26c(各リール20a~20c)の上方側であって、表示装置13の表示面の下方側の位置とする。ただし、その位置にテロップ等を表示する場合には、打順ナビの表示位置をより上方とすることができる。
【0276】
以下、打順ナビ表示「3・1・2」と表記した場合、ストップボタン26aに対応する位置に数字の「3」が表示され、ストップボタン26bに対応する位置に数字の「1」が表示され、ストップボタン26cに対応する位置に数字の「2」が表示されることを意味する。また、打順ナビ表示「3・1・2」は、ストップボタン26bを最初に押下し、ストップボタン26aを2番目に押下し、ストップボタン26cを3番目に押下することを遊技者に指示する(勧める)表示ともいえる。また、本実施の形態では、最初に(次に)操作を指示する表示(図29では「1」)が他の表示(図29では「2」「3」)に比べて大きく表示され、かつ明るく表示されている(すなわち「2」「3」は「1」に比べて小さく、暗転されている)。このように最初に(次に)操作を指示するストップボタンに対応する表示と他の表示とを区別することで、遊技者が操作すべきストップボタンを認識しやすくなる。なお、図29に示す状態で、ストップボタン26bが押下されると「1」の表示が非表示となり、次に「2」の表示が拡大されるとともに「2」が明転される。
【0277】
AT演出状態において打順ベルが当選し、打順ナビ表示を表示装置13に表示させる場合、演出制御手段100は、素材画像である1と2と3を、1つのレイヤ(例えばレイヤ29)に配置させる。このように打順ナビ表示の各素材画像をまとめて1つのレイヤに配置することで、打順ナビ演出に必要なレイヤ数を削減できる。これにより、設定できるレイヤ数に余裕がない場合でも打順ナビ演出を実現することが可能となる。また、複数のレイヤについて制御を行う必要がなくなるため、制御の管理が容易となる。ただし、演出制御手段100は、素材画像である1と2と3を、それぞれ別々のレイヤに配置させてもよい。その場合、各レイヤについてそれぞれ制御する必要が生じるが、レイヤ毎の制御が可能となるため表示態様の自由度が増加するという利点がある。
【0278】
打順ナビ表示は、特定役の入賞を補助する演出に係る表示であるため、その視認性を確保する必要がある。すなわち、打順ナビ表示は他の表示によって遮られることがないようにしなければならない。演出制御手段100は、打順ナビ表示の素材画像を優先度が上位であるレイヤ群LG2のレイヤ29に配置させる。
【0279】
演出制御手段100は、打順ナビ表示(レイヤ29)よりは下位であるが、優先度が上位のレイヤ(例えば、レイヤ27,28)に、カウンタ表示や指示機能に係る特典の付与に関する示唆をする表示(特典の付与に関する期待度等の表示)(UI表示)等の素材画像を配置させる。カウンタ表示としては、所定の演出状態に関するセット数(例えば、実行されたAT演出状態のセット数)や、所定期間において実行された遊技の回数や、記憶手段60のクレジット記憶領域に記憶されている貯留数や、小役が入賞した場合のメダルの払出数等を示すものがある。なお、UI表示の具体例としては、例えば、キャラクタを表示し、キャラクタのセリフまたはキャラクタの色によって期待度を示唆するものがある。
【0280】
なお、打順ナビ表示の素材画像が配置されているレイヤより優先度が高いレイヤ群LG3のレイヤに他の表示の素材画像が配置されることがあってもよい。他の表示としては、カウンタ表示やUI表示等がある。その場合、当該他の表示の素材画像は、打順ナビ表示の素材画像と重ならない位置に配置される。なお、当該他の表示であって、打順ナビ表示と同じタイミングで表示されることがない表示については、その素材画像が、打順ナビ表示の素材画像と重なる位置に配置されていてもよい。
【0281】
(図柄ナビ表示)
演出制御手段100は、有利区間中の所定の契機で、指示機能に係る特典の付与に関する報知を行う図柄狙え演出を行う。この図柄狙え演出では、演出制御手段100は、特定図柄を狙わせる報知を、表示装置13等の演出装置に実行させる。
本実施の形態の遊技機では、特定図柄としての青7図柄「青7」を狙わせる報知をする青7狙え演出と、特定図柄としての赤7図柄「赤7」を狙わせる報知をする赤7狙え演出とが実行される。この図柄狙え演出が実行される遊技は、図柄狙え演出が実行されない遊技に比べて、指示機能に係る特典の付与に対する期待値が高くなっている。以下、青7狙え演出が実行される遊技を青7狙え遊技とし、赤7狙え演出が実行される遊技を赤7狙え遊技とする。
【0282】
特典付与手段82は、有利区間中の所定の契機で特典付与抽選を行う。この特典付与抽選によって付与される特典に、赤7狙え遊技がある。本例の赤7狙え遊技では、遊技者が、所定の図柄を表示させることを狙って(図31の例では、上段にチェリー図柄「CH」を表示させることを狙って、かつ中段に赤7図柄「赤7」を表示させることを狙って、かつ下段にチェリー図柄「CH」を表示させることを狙って)、回転中のリールを停止させる(ストップボタンを押下する)ことができる遊技である。ここで、「表示させる」とは、表示窓16(図22参照)を介して、枠内における上段、中段、下段のうちの所定の位置に、図柄を表示させることをいう。「狙って」とは、上段、中段、下段のうちの所定の位置に、狙った図柄が停止するように停止操作を行うことをいう。
赤7狙え遊技では、所定の図柄を表示させることを狙ってストップボタンが押下された場合(所定の図柄を表示させることが可能なタイミングでストップボタンが押下された場合)、リールが停止して当該所定の図柄が表示される。ただし、所定の図柄を表示させることを狙ってストップボタンが押下された場合でも、当該所定の図柄が表示されない場合(いわゆるガセ)がある。
特典付与手段82は、有利区間中であって演出状態がチャンス演出状態またはAT演出状態である場合に、特典付与抽選としての赤7狙え遊技付与抽選を行う。特典付与手段82が赤7狙え遊技付与抽選を行い赤7狙え遊技を付与することを決定すると、赤7狙え遊技において、演出制御手段100は、報知情報の1つである図柄ナビ表示(赤7狙え演出)を表示装置13に実行させる。この赤7狙え演出は、赤7狙え遊技での狙う図柄(すなわち赤7図柄「赤7」)を報知する演出である。
【0283】
図柄ナビ表示は、所定の遊技での狙う図柄を報知する演出(表示)であり、ストップボタン26a,26b,26cの押下タイミングに関する表示ともいえる。また、図柄ナビ表示は、リール20a~20cに存在する図柄に対応する表示であり、リール20a~20cの外周面に配列されている所定の図柄に対応する画像が表示される。換言すると、図柄ナビ表示は、ストップボタン26a,26b,26cの押下タイミングに関しての、リール20a~20cの図柄に対応する表示である。」
「【0307】
また、本実施の形態では、図柄ナビ表示の素材画像を、打順ナビ表示の素材画像が配置されるレイヤよりも下位のレイヤに配置させるとしたが、図柄ナビ表示の素材画像を、打順ナビ表示の素材画像が配置されるレイヤと同じレイヤに配置させてもよい。この場合でも、演出制御手段100は、図柄ナビ表示の素材画像(第1画像)を第1レイヤに配置させるとともに、所定の表示(カウンタ表示等)の第2画像を第1レイヤよりも上位の第2レイヤに配置するときに、狙う図柄を認識できるように第1画像と第2画像とを配置する。
【0308】
また、本実施の形態では、打順ナビ表示として、数字、記号を表示させるものとしたが、図柄ナビ表示を、打順ナビ表示の一部として表示させてもよい。換言すると、図柄ナビ表示が、打順ナビ表示の一部を代用する(兼ねる)ものであってもよい。例えば、図34(a)に示すように、ストップボタン26aに対応する位置に図柄ナビ表示「赤7図柄」が表示され、ストップボタン26bに対応する位置に打順ナビ表示「2」が表示され、ストップボタン26cに対応する位置に打順ナビ表示「3」が表示されるようにしてもよい。このときの図柄ナビ表示「赤7図柄」は、赤7図柄を表示させることを狙って、かつ最初にストップボタン26aを押下させることを指示している。また、図柄ナビ表示の図柄数は1つに限られるものではなく、図34(b)に示すように、3つの図柄(例えば図柄ナビ表示の上段:リプレイ図柄表示、図柄ナビ表示の中段:チェリー図柄表示、図柄ナビ表示の下段:赤7図柄表示)に対応する表示をさせてもよい。
【0309】
この打順ナビを兼ねる図柄ナビ表示の素材画像は、打順ナビ表示の素材画像が配置されるレイヤと同じレイヤであっても異なるレイヤであってもよい。演出制御手段100は、打順ナビ表示を兼ねる図柄ナビ表示に対応する素材画像(第1画像)を第1レイヤに配置させるとともに、所定の表示に対応する第2画像を第1レイヤよりも上位の第2レイヤに配置させる際に、狙う図柄を認識できるように第1画像を配置させる。」
「【0351】
本実施の形態で示した図柄ナビ演出(狙え演出)は、図24で示した当選エリア「通常リプレイ」、当選エリア「リプレイ1」~「リプレイ4」、当選エリア「弱チェリー1」、「弱チェリー2」のいずれかの当選エリアに当選した際に実行される場合がある。なお、狙え演出は、小役の当選エリアに当選した際に実行され得るものであってもよい。」
「
[図:0001433137000001.jpg]
」
「
[図:0001433137000002.jpg]
」
「
[図:0001433137000003.jpg]
」
「
[図:0001433137000004.jpg]
」
「
[図:0001433137000005.jpg]
」
(2) 甲1に記載された発明
上記(1)に摘記した事項を踏まえると、甲1には次の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されていると認められる。
なお、甲1では「描画素材」と「素材画像」との記載が混在しているが、【0264】の記載によれば、両者は同一のものを指していると認められるので、甲1発明の認定に当たっては「素材画像」との記載で統一した。
「 外周面に複数種類の図柄が一列に配置されて、遊技開始に伴って回転を開始する各リール20a~20cを備え(【0186】【0187】)、
リール20a~20cが停止したときに、内部抽選で当選した当選役に対応する図柄組合せが有効ラインに表示されると、この当選役が入賞となり、入賞した当選役に対応する処理(入賞処理)が実行されるスロットマシン(遊技機)10において(【0184】【0187】)、
操作されると対応する各リール20a~20cを停止するストップボタン26a~26cと(【0190】)、
有効化されたスタートレバー24が操作されたこと(すなわち、遊技開始)に基づいて内部抽選テーブルを用いた内部抽選を行う内部抽選手段42と(【0198】)、
その表示面に演出画像を表示させることにより、演出を実行する表示装置13と(【0264】)、
指示機能制御手段51は、AT演出状態において当選エリア「打順ベル1A」~「打順ベル6A」、当選エリア「打順ベル1B」~「打順ベル6B」である打順ベルが当選すると、正解打順を報知する打順ナビ演出の実行を決定して、指示機能制御手段51が指示演出を行うことを決定すると、演出制御手段100は、報知情報の1つである打順ナビ表示を表示装置13に実行させ、正解打順で操作がされると10枚役が入賞し(【0200】【0221】【0245】【0275】)、
当選エリア「通常リプレイ」、当選エリア「リプレイ1」~「リプレイ4」、当選エリア「弱チェリー1」、「弱チェリー2」のいずれかの当選エリアに当選した際に、演出制御手段100は、特定図柄としての「赤7」を狙わせる報知である図柄ナビ表示を行う、図柄狙え演出を表示装置13に実行させ、(【0281】【0283】【0351】)、
遊技者が、所定の図柄として中段に「赤7」を表示させることを狙ってストップボタンが押下した場合、当該所定の図柄が表示され(【0282】)、
図柄ナビ表示は、打順ナビ表示を兼ねる図柄ナビ表示であってもよく(【0308】)、
表示装置13に表示される演出画像は、素材画像が配置された複数のレイヤを重ね合せて形成された合成画像となっており、1つのフレームは、3つのレイヤ群で構成されており、一番下に配置されたレイヤ群LG1にレイヤ群LG2が重ねられ、一番上にレイヤ群LG3が配置され(【0269】)、
レイヤ群LG1には、複数の素材画像が各々優先度の低い方から順に重ね合わされて成されている背景画像が描画され、レイヤ群LG2には、報知情報を構成する複数の素材画像が描画され、レイヤ群LG3には、重要な情報を示す複数の素材画像が描画され(【0271】【0272】【0273】)、
1つのフレームを描画する際には、優先度の低い素材画像から1つずつ順に相応のレイヤに描画され、全ての素材画像を各レイヤに描画し終えた段階で、これらのレイヤを上位側(前面側)からみた合成画像が、そのフレームに対応する合成画像として表示装置13に表示され(【0266】)、
打順ナビ表示を表示装置13に表示させる場合、素材画像である1と2と3をレイヤ29に配置させ、レイヤ27,28に、カウンタ表示や指示機能に係る特典の付与に関する示唆をする表示等の素材画像を配置させ(【0277】【0279】)、
打順ナビを兼ねる図柄ナビ表示の素材画像は、打順ナビ表示の素材画像が配置されるレイヤと同じレイヤであってもよい(【0309】)、
スロットマシン(遊技機)10(【0184】)。」
2 甲2について
(1) 甲2に記載された事項
甲2には以下の事項が記載されている。
「【0064】
この実施例では、3層構造の画像が表示されるものとして、各レイヤに0,1,2のレイヤ番号を割り当てている。0番のレイヤは、階層構造の一番下に位置し、主として背景画像を表示する目的に使用される。図6の例では、「BT_START」「BT_IDL」「BT_END」の各演出IDが、0番のレイヤに対応づけられている。また、これらの演出IDに対するクリアフラグはオンに設定されている。」
「【0067】
「BT_NV0」「BT_NV1」「BT_NV2」は、報知演出用の画像を表示するためのコンテンツデータである。たとえば、「BT_NV0」は、押し順役以外のチャンス役への当選を示唆する画像(3つの「!」マーク)を表示するためのコンテンツデータである。また「BT_NV1」は押し順役に当選したときの押し順を報知するためのコンテンツデータであり、「BT_NV2」は、ART中のゲームが上乗せされたことを報知するためのコンテンツデータである。なお、「BT_NV1」が使用される場合には、各「☆」マークがそれぞれ具体的な押し順を表す数字(「1」「2」「3」)に置き換えられ(図7(D)参照)、「BT_NV2」が使用される場合には、「○○」の部分が具体的な上乗せ数を示す数値に置き換えられる(図8(E2)参照)。」
「【0096】
<Lゲーム目の演出>
図7(e)は、L番目のバトル演出付きゲーム(L>M)において、ART上乗せ抽選の契機となる役に当選し、さらにART上乗せ抽選にも当選したことに応じて選択されたシナリオデータである。このシナリオデータには、2つのイベントID「evt1」「evt2」が含まれると共に、1番目のイベントID「evt1」に3つの演出ID「BT_IDL」「BT_NV0」「BT_CUTIN」が対応づけられている。
【0097】
最初の「evt1」のイベントが通知されると、対応する3つの演出ID「BT_IDL」「BT_NV0」「BT_CUTIN」に対する処理が順に実行される。「BT_IDL」および「BT_NV0」に対しては、図7(c)の例で説明したのと同様の流れで処理が進行して、各演出IDのコンテンツデータによる画像がそれぞれ0番および1番のレイヤに描画され、復元用バッファ406に、「BT_IDL」とレイヤ番号0との組み合わせによる0番レコードと、「BT_NV0」とレイヤ番号1との組み合わせによる1番レコードとが順に保存される(図8の(E-1)(E-2))。
【0098】
「evt1」のイベントに対応づけられた3番目の演出IDの「BT_CUTIN」は2番のレイヤに対応づけられ、クリアフラグはオフに設定されている(図6を参照)。したがって、この「BT_CUTIN」に対しては、図9のステップS5の「NO」判定に応じてステップS6,S7がスキップされてステップS8が実行される。この結果、0番および1番のレイヤの画像が維持され、2番のレイヤに「BT_CUTIN」のコンテンツデータによる画像が描画され、これら3層の画像の重ね合わせによって、液晶表示器6には図7(E1)に示すような画像が表示される。
【0099】
上記の処理の後のステップS9は「NO」となるため、ステップS10が実行される。この結果、復元用バッファ406では、0番および1番のレコードが維持されて、新たに、「BT_IDL」とレイヤ番号2との組み合わせによる新規レコードが2番のレコードとして追加される(図8の(E-3))。
【0100】
2番目のイベントID「evt2」には、1つの演出ID「BT_NV2」のみが対応づけられている。この「BT_NV2」には1番のレイヤが対応づけられ、クリアフラグはオフに設定されている(図6を参照)。したがって、図9の処理において「evt2」のイベントが通知されて「BT_NV2」が処理対象に設定されると、ステップS5が「NO」となってステップS8に進み、「BT_NV2」とレイヤ番号1とを含む描画指示コマンドが出力される。この描画指示コマンドが実行されると、「BT_NV0」のコンテンツデータによる画像が描画されている1番のレイヤが「BT_NV2」のコンテンツデータにより更新される。この結果、液晶表示器6の表示は、図7(E1)に示す画面から図7(E2)に示す画面へと更新される。」
「
[図:0001433137000006.jpg]
」
「
[図:0001433137000007.jpg]
」
(2) 甲2から認定される技術
上記1に摘記した事項を踏まえると、甲2には次の技術(以下「甲2技術」という。)が記載されていると認められる。
「0番および1番のレイヤに「BT_IDL」および「BT_NV0」が描画され、2番のレイヤに「BT_CUTIN」が描画され、これら3層の画像の重ね合わせによって、液晶表示器6に表示された画面が、「evt2」のイベントが通知されると、「BT_NV0」の画像が描画されている1番のレイヤが「BT_NV2」により更新され、別の画面へと更新される技術。」
3 甲3に記載された事項
(1) 甲3に記載された事項
甲3には以下の事項が記載されている。
「【0111】
図8(A)は本実施形態におけるVRAMのレイヤ構造を示したメモリマップ図、(B)は本実施形態におけるSNDRAMのレイヤ構造を示したメモリマップ図である。図8(A)に示すように、VRAM642(図7参照)の任意領域6423には、演出画像(動画を含む)のデータの複数の画像レイヤとして例えば50個のVレイヤ0~Vレイヤ49がメモリ領域として設定されており、つまり複数のレイヤに分けて演出の画像を管理するための区画として設定されている。詳細には、CPU601は、画像・音声ROM611から素材として読み出した画像データを、階層としての順番が設定されたVレイヤ0~Vレイヤ49に分けて格納する。なお、1つのVレイヤには1つの画像データが格納されるように構成されており、つまり新たな画像データを1つのVレイヤに格納すると、前の画像データは消去されることになる。また、CPU601は、Vレイヤのそれぞれについて、画像データの変更等を何も行わないで維持する指令(NULL)と、画像データを消去する指令(CLR)とを実行可能に構成されている。
【0112】
本実施形態では、Vレイヤ49が最前面、Vレイヤ0が最背面となるように設定され、LCD410の表示画面の1フレームごとの画像として生成してフレームバッファ6421にフレームデータとして格納する際、最前面の側にある画像から投影された1フレームの画像に生成される。従って、例えばステージの背景となるステージ画像がVレイヤ0に格納され、挿し込み画像としてのカットイン画像等がVレイヤ0よりも前面側となるVレイヤ1に格納されることで、LCD410にはカットイン画像がステージ画像の上に重畳されて表示されることになる。なお、カットイン画像がLCD410の全画面の画像であれば、ステージ画像は見えなくなり、カットイン画像が部分的な画像であれば、ステージ画面に部分的にカットイン画像が重畳されて見えることになる。要するに、Vレイヤ0~Vレイヤ49において、全画面の画像であれば前面側のレイヤ(Vレイヤ49の側)の画像が優先的に表示され、前面側のレイヤの画像が画面における部分画像であれば、背面側のレイヤ(Vレイヤ0の側)の画像が部分画像の隙間から表示されることになる。」
「【0115】
[画像データの管理]
ついで、本実施形態に係るスロットマシン1における演出画像の出力処理を実行する際の画像データの管理を図9を用いて説明する。図9は本実施形態に係る遊技機のVレイヤの管理状態を説明する説明図である。
【0116】
上述したように、本実施形態に係るスロットマシン1においては、50個のVレイヤ0~Vレイヤ49が設定されており、図9に示すように、演出名(演出内容)とその画像データとが各Vレイヤに対応付けられて格納され、それによって表示装置410のLCDから出力される画像が管理される。なお、図9に示す画像データは、表示装置410のLCDから出力される画像と略同義であるので、以下の説明では、単に「画像」とも言う。
【0117】
演出の画像としては、例えばステージ等に合わせて流すステージ演出の画像の他、演出に合わせて流す画像、ゲーム数を表示する画像、獲得枚数を表示する画像、ストップボタンB1~ストップボタンB3の打順を表示する画像など、多数種類の画像が準備される。このように、多数種類の画像がVレイヤ0~Vレイヤ49に分類されて管理されることで、レイヤの階層順に重畳された画像がフレームバッファ6421に1フレーム分の画像として生成される。
【0118】
本実施形態のスロットマシン1では、図9に示すように、第1演出としての1確停止演出の画像(1ST-MOV)、第2演出としてのカットイン演出の画像(CUTIN-MOV)がVレイヤ2で管理される。なお、その他の画像がVレイヤ0~Vレイヤ1、或いはVレイヤ3~Vレイヤ49のそれぞれで管理されるものであるが、説明を簡素化するため、その説明を省略する。
【0119】
なお、カットイン演出とは、レア役やBB等の低確率の当選役が内部抽選で当選した場合や入賞した場合に演出効果を高めるために差し込み画像を流すものである。また、「1確」とは、内部抽選でボーナスに当選し、かつ第1停止操作(ストップボタンを1回押下)したことでボーナスの当選の確定が遊技者に分かるように、当選していない状態では停止することが無いリール配列の所定の図柄が有効ラインL1上に停止するものである。また、ここで言うボーナスの当選とは、必ずしも1種類のボーナスを指すものではなく、本実施形態に当て嵌めて説明すると、例えば内部抽選でボーナスのうちのBB2が当選し、かつBB1を構成する図柄が有効ラインL1上に停止してもよく、つまり何れかの種類のボーナスの当選が確定したことを指すものであってよい。1確停止演出とは、このように「1確」となった場合、即ち、第1停止操作によってボーナスの当選の確定が遊技者に分かるようなリール配列の所定の図柄が有効ラインL1上に停止した場合に、「1確」となったことを盛上げる演出効果を高めるために行う演出である。そして、本実施形態における1確停止演出は、第1停止操作から第3停止操作までの最短の時間よりも1確停止演出が長く、つまり第3停止操作の前までに1確停止演出が終了しないことがある。このような問題は、本実施形態に係るスロットマシン1のように、停止操作の後に次の停止操作の受付を一定時間(例えば200ms)不能な状態にする、いわゆるインターロック機能を搭載していないスロットマシンでは顕著な現象として生じ易くなる。」
「【0129】
次に、例えば時点T2にストップボタンB1が押下され(即ち遊技進行操作のうちの第1遊技進行操作)、そのストップボタンB1の押下タイミングが、上述した「1確」の状態となるタイミングであると、主制御部100における遊技進行状態として、リール制御手段130により第1リールR1の回転が「1確」の状態となるように停止制御される。また、ストップボタンB1が押下されたことをコマンド送信手段180がコマンドとして送信し、副制御部300のコマンド受信手段310がそのコマンドを受信すると、演出制御手段320は、画像・音声ROM611(図6参照)からVRAM642のVレイヤ2(図9参照)に1確停止演出の画像(1ST-MOV)を読み込む。これにより、表示装置410の画像出力状態として、1確停止演出の画像(1ST-MOV)が画像出力される。さらに、演出制御手段320は、画像・音声ROM611(図6参照)からSNDRAM622のSNDレイヤ2(図10(A)参照)に1確停止音(1ST-SND)を読み込み、音響装置420の音声出力状態として、1確停止音(1ST-SND)が音声出力される。なお、この1確停止音(1ST-SND)の再生時間は、基本的に1確停止演出の画像(1ST-MOV)と同じ再生時間になるようにデータが構成されている。
【0130】
続いて、例えば時点T3にストップボタンB2が押下されると(即ち遊技進行操作)、主制御部100における遊技進行状態として、リール制御手段130により第2リールR2の回転が停止制御され、さらに同様に、例えば時点T4にストップボタンB3が押下されると(即ち遊技進行操作のうちの第2遊技進行操作)、主制御部100における遊技進行状態として、リール制御手段130により第3リールR3の回転が停止制御される。この際、ストップボタンB3の押下タイミングが、有効ラインL1上にBB1の入賞図柄組合せが揃うタイミングであると、コマンド送信手段180が第3停止操作に係るコマンドを送信し、副制御部300のコマンド受信手段310がそのコマンドを受信すると、演出制御手段320は、画像・音声ROM611(図6参照)からVRAM642のVレイヤ2(図9参照)にカットイン演出の画像(CUTIN-MOV)を読み込む。これにより、表示装置410の画像出力状態として、1確停止演出の画像(1ST-MOV)からカットイン演出の画像(CUTIN-MOV)に切換えられ、カットイン演出の画像(CUTIN-MOV)が画像出力される。さらに、演出制御手段320は、画像・音声ROM」611(図6参照)からSNDRAM622のSNDレイヤ2(図10(A)参照)にカットイン演出音(CUTIN-SND)を読み込む。これにより、音響装置420の音声出力状態として、カットイン演出音(CUTIN-SND)の音声出力が開始される。
【0131】
なお、図11に示す1確停止演出の画像(1ST-MOV)は、カットイン演出の画像(CUTIN-MOV)が時間的に重なることを示すものであり、実際にVレイヤ2においては、カットイン演出の画像(CUTIN-MOV)が読み込まれ、1確停止演出の画像(1ST-MOV)のデータは消されて存在しなくなる。
【0132】
ところで、VRAM642には例えば50個のVレイヤ0~Vレイヤ49が用意されているが、例えばAT状態等において、残りゲーム数の画像、メダルの獲得枚数の画像、打順を示す画像、キャラクタ画像、台詞画像など、多数種類の画像を重畳する必要がある場合には、VRAM642の任意領域6423の容量が限られているためにVレイヤの数に限りがあり、重畳させる画像を管理するために必要なVレイヤの数が足りなくなる虞もある。そのため、本実施形態に係るスロットマシン1においては、1確停止演出の画像(1ST-MOV)を読み込んだVレイヤ2に上書きされる形でカットイン演出の画像(CUTIN-MOV)が読み込まれる。これにより、レイヤの数が限られた中でも、重畳させる画像を管理するために必要なVレイヤの数を確保することができる。」
「
[図:0001433137000008.jpg]
」
「
[図:0001433137000009.jpg]
」
(2) 甲3から認定される技術
上記(1)に摘記した事項を踏まえると、甲3には次の技術(以下「甲3技術」という。)が記載されていると認められる。
「Vレイヤ49が最前面、Vレイヤ0が最背面となるように設定され、1フレームごとの画像として最前面の側にある画像から投影された1フレームの画像に生成され、VRAM642のVレイヤ2に1確停止演出の画像(1ST-MOV)を読み込み、1確停止演出の画像(1ST-MOV)が画像出力され、コマンド送信手段180が第3停止操作に係るコマンドを送信すると、VRAM642のVレイヤ2カットイン演出の画像(CUTIN-MOV)を読み込み、1確停止演出の画像(1ST-MOV)からカットイン演出の画像(CUTIN-MOV)に切換えられ、カットイン演出の画像(CUTIN-MOV)が画像出力される技術。」
第5 判断(新規性・進歩性)
1 本件発明と甲1発明との対比
(1) 構成要件A~E、Lについて
甲1発明における「図柄」、「リール20a~20c」、「ストップボタン26a~26c」、「内部抽選手段42」、「表示装置13」、「スロットマシン(遊技機)10」は、それぞれ本件発明における構成要件A~E、Lの「識別情報」、「可変表示部」、「導出操作手段」、「事前決定手段」、「画像表示手段」、「遊技機」に相当する。
よって、甲1発明は、本件発明の構成要件A~E、Lを備える。
(2) 構成要件Fについて
甲1発明における「打順ナビ演出」は、複数の当選エリアからなる「打順ベル」が当選すると、10枚役が入賞する「正解打順を報知」する演出である。そして、「打順ナビ表示」によって「正解打順を報知」することは明らかである。
これより、甲1発明における「打順ベル」、「正解打順」、「打順ナビ表示」、「打順ナビ演出」は、それぞれ本件発明における構成要件Fの「複数種類の特定結果」、「特定操作態様」、「特定示唆画像」、「特定示唆演出」に相当する。
よって、甲1発明は、本件発明の構成要件Fを備える。
(3) 構成要件Gについて
甲1発明における「図柄狙え演出」は、「当選エリア「通常リプレイ」、当選エリア「リプレイ1」~「リプレイ4」、当選エリア「弱チェリー1」、「弱チェリー2」のいずれかの当選エリア」が当選すると、中段に「赤7」を狙わせる報知である図柄ナビ表示を行う演出である。そして、中段に「赤7」を表示させることを狙ってストップボタンが押下された場合、「赤7」が表示される。
また、上記(2)に示したとおり、甲1発明における「打順ベル」が本件特許における「複数種類の特定結果」に相当するところ、「当選エリア「通常リプレイ」、当選エリア「リプレイ1」~「リプレイ4」、当選エリア「弱チェリー1」、「弱チェリー2」のいずれかの当選エリア」と「打順ベル」の当選エリアは異なっている。
これより、甲1発明における「当選エリア「通常リプレイ」、当選エリア「リプレイ1」~「リプレイ4」、当選エリア「弱チェリー1」、「弱チェリー2」のいずれかの当選エリア」、「中段に「赤7」を表示させることを狙ってストップボタン」を「押下」すること、「図柄ナビ表示」、「図柄狙え演出」は、それぞれ本件発明における構成要件Gの「特別結果」、「特別操作態様」、「特別示唆画像」、「特別示唆演出」に相当する。
よって、甲1発明は、本件発明の構成要件Gを備える。
(4) 構成要件H~Iについて
甲1発明における「素材画像」は、本件発明における「画像データ」に相当する。
そして、甲1発明は、打順ナビ表示を表示装置13に表示させる場合、素材画像である1と2と3をレイヤ29に配置させ、レイヤ27,28に、カウンタ表示や指示機能に係る特典の付与に関する示唆をする表示等の素材画像を配置させていることから、合成画像を表示するために素材画像及び当該素材画像を描画するレイヤを指定しているといえ、本件発明における構成要件H~Iの「画像を表示するための画像データを指定する画像データ指定手段」及び「前記画像データ指定手段は、画像データとともに当該画像データのレイヤを指定可能であり」に相当する構成を備える。
よって、甲1発明は、本件発明の構成要件H~Iを備える。
(5) 構成要件Jについて
甲1発明は、打順ナビ表示を表示させる場合、素材画像である1と2と3をレイヤ29に配置させるもの、すなわち、同一のレイヤに複数の素材画像を配置するものであるから、甲1発明は、1フレームの合成画像を表示するために、優先度の低い素材画像から1つずつ順に相応のレイヤに描画し、レイヤが異なる素材画像及びレイヤが同一の素材画像を含め、全ての素材画像を各レイヤに描画し終えた段階で、これらのレイヤを上位側(前面側)からみた合成画像を表示するものである。
よって、本件発明における構成要件Jと甲1発明は、「複数の画像データが指定された場合に、」「レイヤの優先度に従ってそれぞれの画像データに基づく画像が重なって表示され」る点で共通する。
(6) 構成要件Kについて
上記(2)のとおり、甲1発明の「打順ナビ表示」が本件発明の「特定示唆画像」に相当するから、「打順ナビ表示」を表示させるための「素材画像である1と2と3」が、本件発明の「特定示唆画像を表示するための画像データ」に相当する。
また、上記(3)のとおり、甲1発明の「図柄ナビ表示」が本件発明の「特別示唆画像」に相当する。
そして、甲1発明の「図柄ナビ表示」は「打順ナビ表示を兼ねる図柄ナビ表示」であってもよく、「打順ナビを兼ねる図柄ナビ表示の素材画像」は「打順ナビ表示の素材画像」が配置されるレイヤと同じレイヤであってよいから、甲1発明において、「打順ナビ演出」において「打順ナビ表示」を表示させる場合に「素材画像である1と2と3」が配置されるレイヤと、「図柄狙え演出」において「図柄ナビ表示」を表示させる場合に「打順ナビを兼ねる図柄ナビ表示の素材画像」が配置されるレイヤは、同一のレイヤが指定されているといえる。
よって、甲1発明は、本件発明の構成要件Kを備える。
(7)本件発明と甲1発明との一致点、相違点
上記(1)~(6)の検討を踏まえると、本件発明と甲1発明は、
「A 各々が識別可能な複数種類の識別情報を変動表示可能な可変表示部を複数備え、
B 前記可変表示部を変動表示した後に表示結果を導出し、複数の可変表示部の表示結果の組合せである表示結果組合せに応じて入賞が発生可能な遊技機において、
C 遊技者が表示結果を導出させるために操作する導出操作手段と、
D 導出を許容する表示結果組合せを決定する事前決定手段と、
E 画像表示手段と、
F 前記事前決定手段の決定結果が複数種類の特定結果のうちいずれかの種類の特定結果となった遊技において、該特定結果の種類に対応する表示結果組合せを導出させるための前記導出操作手段の特定操作態様を示唆する特定示唆画像を表示させる特定示唆演出を実行する特定示唆演出実行手段と、
G 前記事前決定手段の決定結果が前記複数種類の特定結果とは異なる特別結果となった遊技において、特別表示結果組合せを導出させるための前記導出操作手段の特別操作態様を示唆する特別示唆画像を表示させる特別示唆演出を実行する特別示唆演出実行手段と、
H 画像を表示するための画像データを指定する画像データ指定手段と、 を備え、
I 前記画像データ指定手段は、画像データとともに当該画像データのレイヤを指定可能であり、
J’ 複数の画像データが指定された場合に、レイヤの優先度に従ってそれぞれの画像データに基づく画像が重なって表示され、
K 前記事前決定手段の決定結果が前記複数種類の特定結果のうちいずれかの種類の特定結果となった遊技において前記特定示唆演出を実行する場合に特定示唆画像を表示するための画像データを指定する場合にも、前記事前決定手段の決定結果が前記特別結果となった遊技において前記特別示唆演出を実行する場合に前記特別示唆画像を表示するための画像データを指定する場合にも、同一のレイヤを指定する、
L 遊技機。」
である点で一致し、以下の点で相違する。
(相違点)
「画像データ指定手段」により複数の画像データが指定される場合に、本件発明は、「複数の画像データのレイヤが同一の画像データについては、複数の画像データのうちいずれか一の画像データに基づく画像を表示する」ものであるのに対し、甲1発明は、レイヤが異なる素材画像及びレイヤが同一の素材画像を含め、全ての素材画像を各レイヤに描画するものである点。
2 相違点についての判断
本件発明は、画像データ指定手段により、画像を表示するための画像データ及び当該画像データのレイヤを指定する際に、特定示唆画像を表示するための画像データを指定する場合にも、特別示唆画像を表示するための画像データを指定する場合にも、同一のレイヤを指定することで、仮に、画像データ指定手段により、特定示唆画像を表示するために、特定示唆画像を表示するための画像データと特別示唆画像を表示するための画像データが同時に指定されたとしても、「複数の画像データのレイヤが同一の場合には、複数の画像データのうちいずれか一の画像データに基づく画像」を表示するという制御を行うことで、特定示唆画像を表示するための画像データに基づく画像のみを表示し、異なる操作態様を示唆するナビ画像が重なって表示されてしまうことを防止するものである。
対して、上記1(5)に示したとおり、甲1発明は、1フレームの合成画像を表示するために、優先度の低い素材画像から1つずつ順に相応のレイヤに描画し、レイヤが異なる素材画像及びレイヤが同一の素材画像を含め、全ての素材画像を各レイヤに描画し終えた段階で、これらのレイヤを上位側(前面側)からみた合成画像を表示するものである。また、甲1の全体を見ても、1つのフレームを描画する際に、図柄ナビ表示の素材画像と打順ナビ表示の素材画像を同一のレイヤに配置し、合成画像として表示装置13に表示する際に、いずれか一の素材画像のみを表示するものについては記載も示唆もされていない。
そして、甲2技術は、上記第4の2(2)に示したとおり、「0番および1番のレイヤに「BT_IDL」および「BT_NV0」が描画され、2番のレイヤに「BT_CUTIN」が描画され、これら3層の画像の重ね合わせによって、液晶表示器6に表示された画面が、「evt2」のイベントが通知されると、「BT_NV0」の画像が描画されている1番のレイヤが「BT_NV2」により更新され、別の画面へと更新される技術。」である。
ここで、甲2技術は、所定の画面を表示した後、所定のタイミングで、当該所定の画面における「BT_NV0」を「BT_NV2」に更新することで、各レイヤに「BT_IDL」、「BT_NV2」及び「BT_CUTIN」を重ね合わせた別の画面を表示するものであって、別の画面を表示する際に「BT_NV0」と「BT_NV2」をともに指定し、そのうち「BT_NV2」に基づいて別の画面を表示するものとはいえない。
そうすると、甲2技術は、「画像データ指定手段」により、「画像を表示するための画像データ」及び「当該画像データのレイヤ」を指定し、指定された「複数の画像データ」について、「レイヤが同一の画像データについては、複数の画像データのうちいずれか一の画像データに基づく画像を表示する」ものではなく、甲2技術は、相違点に係る本件発明の構成を充足するものとはいえない。
さらに、甲3技術は、上記第4の3(2)に示したとおり、「Vレイヤ49が最前面、Vレイヤ0が最背面となるように設定され、1フレームごとの画像として最前面の側にある画像から投影された1フレームの画像に生成され、VRAM642のVレイヤ2に1確停止演出の画像(1ST-MOV)を読み込み、1確停止演出の画像(1ST-MOV)が画像出力され、コマンド送信手段180が第3停止操作に係るコマンドを送信すると、VRAM642のVレイヤ2カットイン演出の画像(CUTIN-MOV)を読み込み、1確停止演出の画像(1ST-MOV)からカットイン演出の画像(CUTIN-MOV)に切換えられ、カットイン演出の画像(CUTIN-MOV)が画像出力される技術。」である。
ここで、甲3技術は、Vレイヤ2に1確停止演出の画像(1ST-MOV)を読み込み、1確停止演出の画像(1ST-MOV)を画像出力した後、所定のタイミングで、Vレイヤ2の1確停止演出の画像(1ST-MOV)をカットイン演出の画像(CUTIN-MOV)に切り換えることで、カットイン演出の画像(CUTIN-MOV)を画像出力するものであって、カットイン演出の画像(CUTIN-MOV)を画像出力する際に、1確停止演出の画像(1ST-MOV)とカットイン演出の画像(CUTIN-MOV)をともに指定し、そのうちカットイン演出の画像(CUTIN-MOV)に基づいて画像出力するものとはいえない。
そうすると、甲3技術は、「画像データ指定手段」により、「画像を表示するための画像データ」及び「当該画像データのレイヤ」を指定し、指定された「複数の画像データ」について、「レイヤが同一の画像データについては、複数の画像データのうちいずれか一の画像データに基づく画像を表示する」ものではなく、甲3技術は、相違点に係る本件発明の構成を充足するものとはいえない。
3 申立人の主張について
(1) 「複数の画像データのレイヤが同一の場合」について
申立人は申立書の4.ア(ウ-10)において、甲1発明の「打順ナビを兼ねる図柄ナビ表示の素材画像」が配置されるレイヤと「打順ナビ表示の素材画像」が配置されるレイヤが同じレイヤであることが、本件発明の「複数の画像データのレイヤが同一の場合」に相当する旨主張している。
しかしながら、本件発明は、特定示唆画像や特別示唆画像といった画像を表示するために、まず、画像データ指定手段により、画像を表示するための画像データ及び当該画像データのレイヤを指定し(構成要件H、I)、指定された複数の画像データについて、レイヤが異なる画像データについては、レイヤの優先度に従ってそれぞれの画像データに基づく画像を重ねて表示し、レイヤが同一の画像データについては、複数の画像データのうちいずれか一の画像データに基づく画像を表示する(構成要件J)ものであり、構成要件H~Jは一の画像を表示するための一連の処理を特定している。
このことから、構成要件Jの「複数の画像データのレイヤが同一の場合」とは、構成要件H~Jを踏まえると、「画像データ指定手段」により指定された「複数の画像データのレイヤが同一の場合」と解されるところ、甲1発明は、1つのフレームを描画する際に、図柄ナビ表示の素材画像と打順ナビ表示の素材画像を、同一のレイヤに配置するものとはいえない。
そのため、申立人の上記主張は採用できない。
(2) 技術常識について
申立人は申立書の4.ア(ウ-10)において、ナビの視認性確保のためにいずれか一の画像データに基づく画像を表示することは当業者が直ちに想起しうることであり、通常、事前にデータを初期化(リセット)したり、後から取り込んだデータで上書きするなど一定のルールに基づいて画像データを構成することが技術常識であるから、甲1発明が「複数の画像データのレイヤが同一の場合には、複数の画像データのうちいずれか一の画像データに基づく画像が表示」されることは明白である旨主張している。
ここで、技術常識であると主張する、「事前にデータを初期化(リセット)したり、後から取り込んだデータで上書きするなど一定のルールに基づいて画像データを構成すること」について検討すると、その文脈から、「データ」とは「画像データ」を、「事前」とは「画像を表示」する前を、「後から」とは「画像を表示」した後を意味していると解されるから、画像を表示する前に画像データを初期化したり、画像を表示した後に取り込んだ画像データで上書きすることで画像データを構成することは技術常識であるとの主張であると認められる。
しかしながら、上記(1)でも示したように、構成要件Jの「複数の画像データのレイヤが同一の場合」は、構成要件H~Jを踏まえると、「画像データ指定手段」により指定された「複数の画像データのレイヤが同一の場合」と解されるところ、甲1発明は、1つのフレームを描画する際に、図柄ナビ表示の素材画像と打順ナビ表示の素材画像を、同一のレイヤに配置するものとはいえない。
そして、申立人が主張する技術常識は、画像を表示する前や後における画像データの構成についてのものであり、1つのフレームを描画する際の画像データの構成についてのものであるとはいえないため、技術常識を踏まえても、甲1発明が「複数の画像データのレイヤが同一の場合には、複数の画像データのうちいずれか一の画像データに基づく画像が表示」されることが明白とはいえない。
よって、申立人の上記主張は採用できない。
(3) 周知技術について
申立人は申立書の4.ア(ウ-10)において、「複数の画像データのレイヤが異なる場合には、レイヤの優先度に従ってそれぞれの画像データに基づく画像が重なって表示され、複数の画像データのレイヤが同一の場合には、複数の画像データのうちいずれか一の画像データに基づく画像が表示され」るようにすることは、甲2及び甲3から周知技術と認められ、甲1発明に当該周知技術を適用して、本件発明の構成要件Jの構成を実現することは、当業者にとって容易である旨主張する。
しかしながら、上記2で述べたとおり、相違点に係る本件発明の構成は、甲2技術及び甲3技術により充足されるものではない。よって、甲2技術及び甲3技術から導かれる周知技術を甲1発明に適用しても、相違点に係る本件発明の構成は充足されない。
よって、申立人の上記主張は採用できない。
4 まとめ
以上のとおりであるから、本件発明は、甲1に記載された発明ではなく、甲1発明と甲2技術、甲3技術に基づいて当業者が容易に想到し得たものでもない。
したがって、本件特許は特許法29条1項又は2項の規定に違反してされたものではない。
第6 判断(サポート要件・明確性)
1 申立人の主張について
申立人は、申立書の4.イにおいて、構成要件Jにおける「複数の画像データのレイヤが同一の場合」とは、本件発明の遊技機において、どのような「場合」を意味するのか不明であり、かかる「場合」が不明であるため、本件発明の解決しようとする技術的課題を特定することができない旨主張する。
2 申立人の主張についての判断
(1) 本件特許明細書の記載事項について
本件特許の願書に添付した明細書(以下「本件特許明細書」という。)には以下の事項が記載されている。
「【0826】
本実施例では、演出制御部151は、押し順ナビ、7ナビ、!小赤ナビ、!大赤ナビ、!小紫ナビ、!大紫ナビ、!緑ナビのいずれを実行する場合にも、ナビ画像を表示させる動画データのレイヤとして同一のレイヤ20を指定する動画リストを作成する。このため、何らかの不具合により以前の表示コマンドが残ってしまっている場合など、動画リストによって、押し順ナビを構成するナビ画像、7ナビを構成するナビ画像、!小赤ナビを構成するナビ画、!大赤ナビを構成するナビ画像、!小紫ナビを構成するナビ画像、!大紫ナビを構成するナビ画像、!緑ナビを構成するナビ画像のうち異なる操作態様や内容を示唆するナビ画像の動画データが指定された場合でも、そのうち一の動画データのみが再生リストに設定され、一の内容を示唆するナビ画像のみが表示される。
【0827】
具体的には、動画リストによって、押し順ナビを構成するナビ画像の動画データ、7ナビを構成するナビ画像の動画データが指定された場合でも、そのうち一の動画データのみが再生リストに設定され、一の内容を示唆するナビ画像のみが表示されるので、異なる操作態様を示唆するナビ画像が重なって表示されてしまうことを防止できる。特に、ナビ領域において一部が重複して押し順ナビを構成するナビ画像と、7ナビを構成するナビ画像と、が重複して表示されることで、示唆される操作態様が分かり難くなってしまうことがない。」
(2) 判断
上記第5の3(1)に示したとおり、本件発明は、構成要件H~Jの記載から、特定示唆画像や特別示唆画像といった画像を表示するために、まず、画像データ指定手段により、画像を表示するための画像データ及び当該画像データのレイヤを指定し(構成要件H、I)、指定された複数の画像データについて、レイヤが異なる画像データについては、レイヤの優先度に従ってそれぞれの画像データに基づく画像を重ねて表示し、レイヤが同一の画像データについては、複数の画像データのうちいずれか一の画像データに基づく画像を表示する(構成要件J)ものであることが理解でき、構成要件Jにおける「複数の画像データのレイヤが同一の場合」が、画像を表示するために指定された「複数の画像データのレイヤが同一の場合」を意味することは明らかである。
また、本件発明は、本件特許明細書の【0827】に記載されたように、「異なる操作態様を示唆するナビ画像が重なって表示されてしまうことを防止」することを課題としている。
そして、本件発明は、画像データ指定手段により、画像を表示するための画像データ及び当該画像データのレイヤを指定する際に、特定示唆画像を表示するための画像データを指定する場合にも、特別示唆画像を表示するための画像データを指定する場合にも、同一のレイヤを指定することが特定されており、仮に、画像データ指定手段により、特定示唆画像を表示するために、特定示唆画像を表示するための画像データと特別示唆画像を表示するための画像データが同時に指定されたとしても、「複数の画像データのレイヤが同一の場合には、複数の画像データのうちいずれか一の画像データに基づく画像」を表示するという制御を行うことによって、「動画リストによって、押し順ナビを構成するナビ画像の動画データ、7ナビを構成するナビ画像の動画データが指定された場合でも、そのうち一の動画データのみが再生リストに設定され、一の内容を示唆するナビ画像のみが表示される」という効果を奏し、前記課題を解決できると当業者であれば認識できるものである。
よって、本件発明の「複数の画像データのレイヤが同一の場合」との記載は、その意味するところが明確である。また、本件発明は、発明の詳細な説明に記載された発明である。
3 まとめ
以上のとおりであるから、本件発明の範囲は明確であり、発明の詳細な説明に記載された範囲のものである。
したがって、本件特許は特許法36条6項1号及び2号の規定に違反してされたものではない。
第7 むすび
以上のとおり、特許異議の申立ての理由及び証拠によっては、請求項1に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に請求項1に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
審決本文(J-PlatPat)
J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。
J-PlatPat 審決検索を開く
2025-701084